説明

難燃性複合材を製造する方法、複合材およびこの使用

難燃性複合材を製造する方法、複合材およびこの使用。水性ゲル形成組成物、例えば難燃性コーティング組成物を基板上に適用する工程により難燃性複合材を製造する方法は、アルミノシリケートを含み、アルミノシリケートはアルカリ金属アルミネートおよびアルカリ金属シリケート、ならびに110℃より高い沸点を有する有機液体、例えばシリコーン油を含む。アルカリ金属シリケートについてのSiO:XO(式中、Xはアルカリ金属シリケートのアルカリ金属を表す。)のモル比は3.6:1から10:1であり、アルカリ金属アルミネートが1.35:1のYO:Al(式中、Yはアルカリ金属アルミネートのアルカリ金属を表す。)のモル比を有する場合は、これは乾燥および硬化によって本組成物から調製される塗膜もしくはコーティングに改良された耐水性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性複合材を製造する方法、難燃性を備えるコーティングを有する複合材、ならびに建設材料としてのこの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
可溶性シリケートは、接着剤、コーティング剤および結合剤として広範に使用されている。これらが使用される多くの用途において可溶性シリケートの固有の溶解度は、有利ではあるが、例えば耐水性、構造の完全性および強度が不可欠と判断される用途には不利である。
【0003】
上記に挙げた種類の組成物中におけるシリケートの溶解度を最小限に抑えるために、例えば金属(例えばカルシウムおよびマグネシウム)塩の添加による、大きな努力が重ねられてきた。しかし、このような塩の添加は、連続網状構造を備える生成物ではなくむしろ沈降形を生じさせる傾向がある。沈降反応において形成される可溶性塩は、適用される塗膜の物理的完全性、従って最終的には最終生成物の強度にとって有害である。
【0004】
これらのような因子は、例えば難燃性コーティング組成物の製造におけるシリケートの使用にとって妨害物である。難燃性コーティング組成物は、例えばこれらを建造物に組み込む前、または組み込んだ後に易燃性建築材料に適用するために、建築業および建物の維持管理産業において広範囲に適用されている。易燃性材料の例は、例えば膨張ポリスチレンもしくはウレタンプラスチックのポリマー製タイルおよびシートならびにこのようなプラスチックを含有する複合材である。木材、木材チップおよび紙をベースとする材料もまたこのようなコーティングの適用から利益を得ることができる。難燃性コーティング複合材のクラスには、熱もしくは火に曝露させられると一部には膨張することによってこれらの保護作用を発揮する、いわゆる膨張性防炎コーティングが含まれる。
【0005】
一部の場合には、易燃性材料は、事前に塗布された難燃性コーティングを備えて販売される。例えばSafeCoat E84(商標)として公知の膨張性難燃性コーティングは、販売する前に膨張ポリスチレン/ポリウレタンフォーム製品へ事前に塗布される。
【0006】
US−A−5 462 699は、特に、建築材料に適用するための難燃性組成物に関し、組成物は、シリケート、水および界面活性剤を含有する。
【0007】
これらの公開日は本出願の出願日より後であるPCT公開WO 2007/012832、WO 2007/013791およびWO 2007/012441は、水性ゲル形成組成物、例えば難燃性コーティング組成物であって、アミノシリケートおよび110℃より高い沸点を有する有機液体、例えば表面へのコーティングとしての組成物の適用およびその後の乾燥によって形成される塗膜の完全性を強化するシリコーン油を含む組成物について開示している。これらの用途の実施例において使用されるナトリウムシリケートの唯一の例は、3.3:1のSiO:NaOのモル比を有する。
【0008】
建築用断熱材料、例えば膨張ポリスチレン(例えば屋根断熱)のためのシリケートをベースとする難燃性組成物を使用する場合の問題は、必要になるまで、このような材料は建築現場へ配送された後にしばしば悪天候条件に曝されたままにされることである。これらが濡れないように守るための細心の注意が払われない限り、このような曝露は、シリケートをベースとする組成物の難燃性の著しい減少を生じさせることがある。
【0009】
WO 2007/012832、WO 2007/013791およびWO 2007/012441に開示されているように、上記で考察した溶解度の問題が大きく是正され、従って難燃性組成物として使用するために適合する組成物を製造するような方法で、改良された水性コーティングをアルミノシリケートから製造できることが見いだされた。現在では、WO 2007/012832、WO 2007/013791およびWO 2007/012441に開示されているような組成物には、アルミノシリケートの製造において使用するための特定のアルカリ金属シリケートの選択によって改良された耐水性を与られることが見いだされている。
【0010】
WO 2007/012832、WO 2007/013791およびWO 2007/012441に関して、本発明は、難燃性使用のための水性組成物には限定されない;例えば接着剤もしくは結合剤としての組成物の使用などの他の適用は、本発明の範囲内に含まれている。本発明の組成物のまた別の利点は、これらがハロゲン含有化合物を実質的に含んでいない難燃系を調製するために使用できる点である。ハロゲン含有化合物は、これらが環境上のリスクを備える可能性があるために望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,462,699号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/012832号
【特許文献3】国際公開第2007/013791号
【特許文献4】国際公開第2007/012441号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明は、発泡ポリマーのビーズ上に水性ゲル形成組成物を適用する工程によって難燃性複合材を製造する方法であって、組成物はアルカリ金属アルミネート、好ましくはナトリウムアルミネートおよびアルカリ金属シリケートを含むアルミノシリケート、ならびに表面へのコーティングとしての組成物の適用、およびその後の乾燥によって形成される塗膜の完全性を強化する有機液体を含む方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、水性ゲル形成組成物であって、
(a)アルカリ金属アルミネートおよびアルカリ金属シリケートを含むアルミノシリケート5重量%から40重量%、
(b)有機液体0.1重量%から10重量%(有機液体は110℃より高い沸点を有する。)
を含み、
アルカリ金属シリケートについてのSiO:XO(式中、Xはアルカリ金属シリケートのアルカリ金属を表す。)のモル比は3.6:1から10:1であり、アルカリ金属アルミネートは1.35:1のYO:Al(式中、Yはアルカリ金属アルミネートのアルカリ金属を表す。)のモル比を用いて表されることを特徴とする組成物を提供する。
【0014】
本方法は、以下の
i)発泡ポリマーのビーズを提供する工程、
ii)工程i)のビーズ上にコーティングを適用する工程、および
iii)このように被覆されたビーズを前記複合材へ成形する工程
を含んでいる。
【0015】
好ましい実施形態は、添付の従属請求項に見いだすことができる。発泡ポリマーは、PUR、PET、EPP、EPE、膨張ポリビニルアリーレンまたはこれらの組み合わせから選択される。工程iii)の好ましい実施形態は、キャスティング法およびプレス法である。工程ii)は流動層内で実施することができるが、コーティングはビーズ上に噴霧され、ビーズ層を通して空気流が流される。また別の実施形態では、工程ii)を攪拌層内で実施するのが好ましいが、コーティングはビーズ上に噴霧される。工程ii)はさらにまたミキサー内、例えばリボンブレンダー内で実施することもでき、コーティングはビーズ上に噴霧される、または工程ii)はローラー手段、ブラシ手段またはこの中に被覆もしくは含浸させられる生成物を浸漬することのできるコーティングを含有するための容器を含む適用手段によって実施される。
【0016】
1つの実施形態では、工程iii)は、工程iv)、v)およびvi)をさらに含んでおり、工程iv)では被覆されたビーズをプレス機へ移し、v)では前記プレス内に存在する被覆されたビーズへ蒸気を適用し、およびvi)では前記プレス機から複合材を放出する。コーティング組成物は、30分間から24時間にわたり50から120℃の温度で加熱することによって硬化させられる。
【0017】
本明細書における沸点は、標準大気圧で測定されるものとする。
【0018】
「水性」は、組成物の残部が水および場合により1つ以上の他の成分を含むことを意味している。典型的には、本発明の組成物は、水を少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%含んでいる。
【0019】
本明細書で使用されるように、用語「ゲル」は、連続液相(本発明の場合には、主として水)を取り囲んでいる連続固体骨格(本発明では、アルミノシリケートをベースとする。)を含有する物質を意味する、例えば1990年にAcademic Press Inc.によって発行されたSol−Gel Science,The Physics and Chemistry of Sol−Gel Processing(CJ Brinker and GW Scheer)の第8頁を参照されたい。これらの材料は、コ−ゲルまたはコアゲルと呼ばれることもある。最初は、この固体は分散した、不連続固体粒子(ゾル)の形状にあってよいが、これらの個別粒子は融合して連続固体網状組織を形成する。本発明の組成物は、最初はゾルの形態にあり、時間とともにゲルに変換する。
【0020】
本発明による好ましいクラスの組成物は、
(a)アルカリ金属アルミネートおよびアルカリ金属シリケートを含むアルミノシリケート5重量%から40重量%、好ましくは5重量%から30重量%、より好ましくは10重量%から25重量%であって、アルカリ金属シリケートについてのSiO:XO(式中、Xはアルカリ金属シリケートのアルカリ金属を表す。)のモル比は3.6:1から10:1であり、アルカリ金属アルミネートは1.35:1のYO:Al(式中、Yはアルカリ金属アルミネートのアルカリ金属を表す。)のモル比を用いて表されることを特徴とするアルミノシリケート、
(b)有機液体0.1重量%から10重量%、好ましくは0.3重量%から5重量%、および
(c)水であるが、場合により1つ以上の他の成分をさらに含む残部を含む組成物からなる。
【0021】
有機液体の非存在下では、所与の乾燥温度については、乾燥がより高度になるほど(即ち、水の消失)、アルミノシリケート組成物を用いて生成される塗膜コーティングが比較的短期間で脆弱な粉状のコーティングを生じさせる傾向が高まることが見出された。しかし有機液体が存在すると、コーティングの完全性は、この強度および非粉状の性質に関して相当に大きく改良される。
【0022】
ナトリウムシリケートは一般に市販では水溶液形で入手することができ、典型的には60%までの溶解した固体含量、典型的には0.5:1から3.5:1の間で相違するSiO:NaOのモル比を備える。本発明において使用するためには、適切なSiO:XO比は、3.6:1から10:1、好ましくは3.8:1から7:1、より好ましくは3.9:1から5:1であり、Xはアルカリ金属シリケートのアルカリ金属を表す。
【0023】
上述したSiO:XO(式中、Xはアルカリ金属シリケートのアルカリ金属を表す。)のモル比の選択は、本発明の水性組成物から形成された硬化および乾燥塗膜または乾燥塗膜の耐水性の驚くべき増大をもたらす。
【0024】
好ましくは、アルカリ金属Xは、ナトリウム、カリウム、リチウムまたはこれらの混合物である。より好ましくは、アルカリ金属Xは、カリウムもしくはナトリウムまたはこれらの混合物である。入手の容易さの理由から、ナトリウムが好ましい場合がある。しかし、大気中COとの反応によって誘発されるカーボネート形成に対するより大きな抵抗性が望ましい場合は、カリウムを組み込むことが好ましい。水への溶解へのより大きな抵抗性が望ましい場合は、リチウムを組み込むことが好ましい。これらの情報を前提にすると、当業者であれば、彼らの要件に適合するようにLi、KおよびNaの量を最適化することができる。
【0025】
アルカリ金属アルミネートは、任意の適切なアルカリ金属アルミネート、好ましくはNa、KもしくはLiアルミネートまたはこれらの混合物、より好ましくはNaもしくはKアルミネートまたはこれらの混合物、最も好ましくはナトリウムアルミネートであり得る。ナトリウムアルミネートは、1:1のNaO:Alのモル比を備える固体として市販で入手できるが、さらにまた2.0:1から1:1の範囲内のNaO:Alのモル比を備える濃縮水溶液としても入手できる。適切には、本発明による組成物系および方法において使用するためのナトリウムアルミネートにおけるNaO:Alのモル比は、1.6:1から1:1、好ましくは1.4:1から1:1である。これらの比は、本発明による組成物、系および方法に対して使用される場合は、他のアルカリ金属アルミネートおよびこれらの組み合わせにもまた適用できる。しかし、本発明のためには、および本明細書においては、本発明の組成物の定義において表示したアルカリ金属アルミネートは、計算のためには1.35:1のYO:Al(式中、Yはアルカリ金属アルミネートのアルカリ金属を表す。)のモル比を備えるアルカリ金属アルミネートであると解釈すべきである。これは、本発明の組成物のアルミノシリケートにおける全アルカリ金属酸化物(XOおよびYO)、AlおよびSiOの相対量におけるあらゆる不明確さを防ぐために必要である。アルカリ金属酸化物のXOおよびYOへの分離は、単にアルミノシリケートの組成物を計算および定義する便宜性のためであり、実践においてはXおよびYは各々、アルミノシリケート中に存在する同一のアルカリ金属、またはアルカリ金属混合物を表す。計算は、以下のように行う。分析は、Al、XOおよびYOの量が得られるように行う。次に、組成物中のAlの量から始めて、Alの各モルをアルカリ金属酸化物(YO)1.35モルと対にする。残っているアルカリ金属酸化物(XO)およびSiOの比が、組成物のアルミノシリケート中のアルカリ金属シリケートを規定する。
【0026】
本明細書での液体についての任意の言及は、これに反することが明示されていない限り、25℃の大気圧では液体である、好ましくは注入可能である物質を意味する。さらに、本明細書に記載した非ニュートン液体もしくはゲルに関する全粘度は、23s−1の剪断速度および25℃で測定された粘度である。
【0027】
有機液体は、好ましくは、水と実質的に非混和性である液体である。通常、非混和性度は、25℃では有機液体が水中に約10重量%未満(好ましくは約5重量%未満、より好ましくは1重量%未満)の程度まで溶解する、または水が有機液体中に約10重量%未満(好ましくは約5重量%未満、より好ましくは1重量%未満)の程度まで溶解するような程度である。
【0028】
本発明の組成物は表面もしくは基板へ難燃性コーティングとして適用できるが、この特定の適用には限定されておらず、例えば結合剤もしくは接着剤もしくは耐水コーティングとして使用でき、本組成物がこのような他の適用において難燃性を付与するために役立つかどうかとは無関係である。
【0029】
本発明において使用するアルミノシリケートは、典型的には、ゾル−ゲル経路によって形成され、この工程は、アルカリ金属アルミネートおよびアルカリ金属シリケートを含む前駆体液体を混合する工程によって使用時点にアルミノシリケートを形成することによって現場で実行できる。従って、本発明は、本発明の第1態様によるコーティング組成物を形成するための前駆体系であって、
(i)アルカリ金属アルミネート、
(ii)アルカリ金属シリケートの水溶液、および
(iii)有機液体
を含む前駆体系を提供する。
【0030】
ゾル−ゲルは、基本的には最初に液体としての前駆体系の成分から形成されるが、その後にゲルを形成し、最終的には凝固する反応生成物である。ゲル−ゾルを形成するためには、固体アルミネートがシリケート水溶液と混合される、またはアルミネート水溶液がシリケート水溶液と混合される。
【0031】
有機液体の少なくとも一部は、成分(i)および/または成分(ii)の中に組み込まれてよい。または、有機液体は、最初は成分(i)および(ii)の両方から完全に離れていてよく、成分(i)および(ii)の混合物と同時期に、または後で混合されてよい。好ましくは、有機液体は、ゾル−ゲル系を形成するために成分を混合する前に成分(i)および/または(ii)内に組み込まれる。
【0032】
本発明は、アルカリ金属シリケート、ならびにポリヒドロキシアルコール、鉱油、流動パラフィン油、グリコールエーテル、シリコーン油およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機液体との水溶液であって、アルカリ金属シリケートについてのSiO:XO(式中、Xはアルカリ金属シリケートのアルカリ金属を表す。)のモル比は3.6:1から10:1、好ましくは3.8:1から7:1、より好ましくは3.9:1から5:1であることを特徴とする水溶液をさらに提供する。この組成物は、上記に開示した前駆体系の一部として適合する。
【0033】
本発明は、本発明による前駆体系から本発明によるコーティング組成物を形成し、このように形成されたコーティング組成物を基板に適用するための適用システムであって、成分(i)、(ii)および(iii)を混合するための手段、ならびに結果として生じる混合物を用いて基板の被覆を実行するための適用手段を含む適用システムを提供する。コーティング組成物を形成し、このように形成されたコーティング組成物を適切な基板に適用するための適用システムは、(i)第1保管手段に保管されたアルカリ金属アルミネート、好ましくはナトリウムアルミネート、(ii)第2保管手段に保管されたアルカリ金属シリケートの水溶液、および(iii)第3保管手段および/または第2保管手段に保管された有機液体、成分(i)、(ii)および(iii)の混合のための手段、ならびに結果として生じる混合物を用いた基板の被覆を実行するための適用手段を含んでいる。
【0034】
有機液体は、単独で、別個の保管手段に保管されてよい、またはこれらの各保管手段内のアルカリ金属アルミネートまたはアルカリ金属アルミネートの水溶液のいずれか、または両方と混合されてよい。
【0035】
アルカリ金属アルミネートは、水溶液の形態にあってよい。適切な保管手段は、成分の混合のための手段と流体連絡しているタンク、コンテナまたは容器である。混合のための手段への輸送、または手段からの成分の輸送は、混合手段への各成分の用量を計量するためのポンプおよび弁の配置によって実行することができる。
【0036】
本発明は、コーティング組成物を製造する方法であって、以下の成分
(i)アルカリ金属アルミネート、
(ii)アルカリ金属シリケートの水溶液、および
(iii)有機液体
の混合を含む方法を提供する。
【0037】
以下の本発明の好ましい特徴は、本発明の上述したすべての態様へ適切に適用することができる。
【0038】
本発明による組成物から形成されるコーティングは、従来型シリケート系と比較して、優れた物理的完全性および長期安定性を示す。何らかの理論によって拘束しようとしなくても、この改善は、溶液全体に広がる結合された分子の網状構造の形態で存在するアルミノシリケートによって、および前記有機液体の存在によって生じると考えられる。
【0039】
典型的には、表面もしくは基板へ適用する前の本発明の第1態様の組成物は、アルミノシリケートを少なくとも5重量%、および前記有機液体を少なくとも0.1重量%含んでいる。
【0040】
明確にする目的で、以下で詳述する成分についての好ましい数値は、本発明のすべての態様に適用される。しかし、これらの数値は、本発明の組成物に関して表示されている。例えば前駆体系もしくは適用系もしくは前駆体組成物に適用する場合は、好ましい数値は、結果として生じるゾル−ゲル組成物において達成される数値に適用される。
【0041】
本発明の組成物中の水の量は、組成物全体の好ましくは60重量%から95重量%、より好ましくは70重量%から95重量%、特に好ましくは75重量%から90重量%である。これは、組成物を乾燥または硬化させる前の数値である。低含水量では、組成物の粘度は、容易な加工処理を許容するには高くなり過ぎる、および表面上へ組成物を均一に被覆または噴霧することを許容するには高くなり過ぎる場合がある。
【0042】
アルミノシリケートは、典型的には非晶質であり、これは材料のx線粉末回折スペクトルにおける顕著なピークの非存在によって評価できる。本組成物中のSi:Alのモル比は、典型的には3:1から30:1、好ましくは4:1から15:1、およびより好ましくは5:1から10:1である。この状況では、Si:Alのモル比についての言及は、本組成物を調製するために使用されたシリケート中のシリコーンの量(モル数)およびアルミネート中のアルミニウムの量(モル数)に基づいている。アルミノシリケートは、通常は、ゾル−ゲル経路によって、好ましくは現場で使用時点に前駆体成分の混合物から形成される。
【0043】
本発明による組成物は、好ましくは、保管時の水の吸収を阻止するため、および/または組成物の塗膜形成性、詳細には塗膜完全性の維持の助けとなるように金属もしくは金属酸化物をさらに含んでいる。金属もしくは酸化物は、通常は微粒子形にあり、水に難溶性である。適切には、金属もしくは金属酸化物の容積中央粒径は、50μm以下である。好ましくは、200μmを超えるのは金属もしくは金属酸化物粒子の1容積%未満である。この目的には、典型的には両性もしくは酸性酸化物が使用される。
【0044】
本明細書で使用されるように、用語「酸性酸化物」は、アルカリもしくは塩基と反応して塩と水を形成する酸化物を意味する。
【0045】
用語「両性酸化物」は、これと反応する反応物質および/または反応条件に依存して、酸性もしくは塩基性のいずれかの性質を示すことのできる酸化物を意味する。
【0046】
金属酸化物は、例えば第III族の元素の両性酸化物、好ましくは酸化ホウ素および酸化ガリウム、または酸化亜鉛およびこれらの混合物から選択されてよい。または、金属酸化物は、例えば第IV族の元素の酸性酸化物、好ましくは酸化スズおよび酸化ゲルマニウム、または酸化ジルコニウムおよびこれらの混合物から選択されてよい。1つ以上の両性酸化物と1つ以上の酸性酸化物の混合物もまた使用されてよい。酸化物の形態にある金属を導入する代わりに、酸化物は、組成物へ金属自体を添加する結果として現場で形成することもできる。理論によって拘束しようとせずとも、亜鉛もしくは他の金属の酸化物は任意の残留シリケートと反応して、組成物を基板へ被覆する、さもなければ適用することによって形成される塗膜の可溶性を減少させると考えられる。
【0047】
好ましくは、金属酸化物もしくは金属の量は、乾燥または硬化させる工程の前の組成物全体の0.1重量%から10重量%、好ましくは0.3重量%から5重量%(例えば0.3重量%から3重量%)である。
【0048】
本発明による組成物は、好ましくは乾燥または硬化させる工程の前に有機液体を0.1重量%から10重量%、好ましくは0.3重量%から5重量%(例えば0.3重量%から4重量%)を含んでいる。
【0049】
適切には、有機液体は、110℃より高い沸点(大気圧下)を有する。好ましくは、有機液体は、少なくとも約120℃、典型的には少なくとも約130℃および典型的には約500℃までの沸点(大気圧下)を有する。好ましくは沸点は500℃より高く、好ましくは300℃未満である。
【0050】
有機液体は、望ましくはアルカリ条件下で安定性である液体であり、これはこの液体が重大な化学的分解を伴わずに(即ち30日間にわたる保管中に25℃で分解による液体の損失が1重量%未満である。)、9以上のpH、好ましくは12以上のpHの水性組成物中での保管に抵抗できること、ならびに酸化、熱および光線に関しても安定性であることを意味する。
【0051】
有機液体は、23sec−1の剪断速度、25℃の温度で測定して、典型的には5,000mPa.s未満、好ましくは2,000mPa.s未満(例えば1,000mPa.s未満)の粘度を有する有機液体である。
【0052】
有機液体は、ポリヒドロキシアルコール、鉱油、流動パラフィン油、グリコールエーテル、シリコーン油およびこれらの混合物から選択される1つ以上の実質的に水と非混和性の有機溶媒を含んでいてよい。これらのうち、シリコーン油が特に好ましい。有機液体がシリコーン油であれば好ましい。
【0053】
このため本発明による組成物および前駆体系中で使用するために適切なシリコーン油は、典型的には一般式(I)、
【0054】
【化1】

(式中、nはポリマー内の繰り返し単位の数であり、2から、例えば10から1,000,000まで、より好ましくは30、例えば50から500,000までの範囲に及んでよく、Rは、水素もしくはメチル基から選択されてよく、およびRは、水素もしくはSiR(式中、Rは水素、ヒドロキシルもしくはメチルのいずれかであってよい。)から選択されてよく、RおよびRは独立して、C−C12直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和アルキル、アルケニル、もしくはフェニル成分、または上記の式(I)による単位または置換アルキルもしくは置換フェニル部分から選択されてよく、この置換基はハロゲン、アミノ基、スルフェート基、スルホネート基、カルボキシ基、ヒドロキシ基もしくはニトロ基であってよい。)を有するオルガノシロキサンである。好ましくは、RおよびRは、メチル基である。好ましくは、本発明において使用するためのシリコーン油には、ハロゲン置換基は含まれていない。
【0055】
1つ以上の任意の他の成分は、有益には、本発明のいずれかの態様による組成物中に、例えばいずれかもしくは各クラスについて本組成物の0.001重量%から5重量%、例えば0.01重量%から2重量%の量で組み込むことができ、例えば以下のクラス、
(i)例えばシリケートおよび/またはアルミネート溶液と適合性であることが公知である、例えばカプリロアムホプロピオネートアルカリ(例えばCrodateric CyNa50)などの好ましくは陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、両性および両性イオン性界面活性剤ならびにこれらの混合物から選択される1つ以上の界面活性剤、
(ii)例えばトリ−フェニルホスフェートおよびニトリロトリック(メチレン)三リン酸などの1つ以上のホスホネートおよび/またはホスホン酸、
(iii)例えばジヒドロゲンアルミニウムホスフェートなどの1つ以上の緩徐プロトン放出塩、
(iv)例えばEDTAまたは例えばDequestの名称を付けて販売されているホスホネートタイプなどの、1つ以上の金属イオン封鎖剤、および
(v)例えばメチレンジ−イソシアネートなどの1つ以上のイソシアネート
のいずれかから選択されてよい。
【0056】
本発明による組成物(場合により使用時点に前駆体系から調製されてよい。)は、例えばスプレーガン(場合により加圧空気もしくはガス)、ローラーシステムもしくはブラシシステムによって基板に適用することができる。または処理される材料が、適切な容器中にコーティング組成物が含有されている間にコーティング組成物中への材料の浸漬により被覆もしくは含浸させられてよい。
【0057】
難燃剤として使用できる本発明による組成物は、任意の適切な易燃性基板へ適用されてよいが、特別には膨張もしくは発泡ポリマーを含む基板に適合する。最も好ましくは、このポリマーは、室温で有機液体中に実質的に不溶性のポリマーであり、即ち液体成分はこの要件を念頭に置いて選択される。
【0058】
硬化した組成物の意図される機能に依存して、組成物は、その代りに木材、非発泡ポリマー、金属、ガラス、セラミック、コンクリート、例えば軽量コンクリートブロックなどの複合建築材料、タイルもしくはレンガ、紙もしくは陶器、またはその他のガラス製品から選択される1つ以上の物質を含む基板へ適用されてよい。
【0059】
本発明の組成物が難燃系を調製するために使用される場合は、結果として生じる系がハロゲン含有化合物を実質的に含んでいない場合、即ちこのような化合物を1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満しか含有していない場合が好ましい。
【0060】
好ましくは、生じた硬化および乾燥させた組成物塗膜(即ち、使用可能な状態の最終塗膜もしくはコーティング)の含水量は、40重量%未満、より好ましくは30重量%未満、さらにより好ましくは25重量%未満、および一層より好ましくは20重量%未満である。さらに一層より好ましくは、乾燥した組成物の含水量は17重量%未満である。
【0061】
本発明の組成物から結果として生じる塗膜/コーティングの耐水性は、組成物を50から120℃、好ましくは60から110℃、より好ましくは70から100℃の温度の環境で保持する工程、即ち組成物を硬化させる工程によって改良することができる。適切には、組成物は、組成物の温度が環境温度に到達することを保証するために、60分間から24時間、好ましくは90分間から18時間、より好ましくは2時間から14時間にわたりこの環境で保持される。好ましくは、組成物は、硬化中には20重量%から50重量%の含水量を有する。この含水量は、硬化中には、好ましくは硬化させる工程を高湿度(例えば相対湿度100%)の大気中で実施することによって、または水分消失を最小限に抑えるために密封環境内で加熱する手段によって維持される。硬化後には、組成物は、溶解に対する耐性をさらに改良するため、好ましくは17重量%以下の含水量へ乾燥させられてよい。
【0062】
硬化中の20から50%の好ましい含水量を達成するためには、特に組成物が加工処理および被覆のために好ましい70重量%から90重量%の初期含水量を有する場合には、硬化に先立って、しかし被覆の後に、本発明の組成物を乾燥させることが好ましいことがある。
【0063】
代わりに、硬化および乾燥させる工程は、水分が徐々に失われる環境において組成物を加熱する工程によって結合されてもよい。
【0064】
さらに、例えば疎水性もしくは潤滑性などの塗膜の特性は、塗膜へ例えば微粉化ポリエチレンワックスなどの低融点ワックス(酸化されている、もしくは酸化されていない、およびこの低分子量のためにワックス様の物理的性質を有する低分子量ポリエチレンポリマー)またはグリコールステアレートなどのステアレート(例えばグリコールトリステアレート)もしくは金属ステアレート(例えばZn、Ca、Na、Mgステアレート)または1つ以上のワックスおよび1つ以上のステアレートの組み合わせを適用する工程によって強化することができる。ワックス、ステアレートまたはこれらの混合物は、好ましくは60℃から150℃、より好ましくは80℃から135℃、および最も好ましくは90℃から130℃の融点を有していなければならない。例えば120から130℃の融点を備えるステアリン酸亜鉛は、ポリマー材料に適用されるとコーティング塗膜の加工処理をさらに容易にするための潤滑剤として機能するために塗膜上に適用することができる。
【0065】
好ましいコーティングは、以下で規定する耐水性/溶解度法によって測定されるように、約17%の含水量へ80℃の通風式オーブン内で塗膜もしくはコーティングをオーブン乾燥させ、次に7日間にわたり約22℃の温度で水中に浸漬させた後に、25%未満、典型的には20%未満、好ましくは15%未満、およびより好ましくは10%未満の長期溶解度を有する。
【0066】
本発明のまた別の態様は、基板へ被覆する、含浸させる、さもなければ適用する方法であって、前記基板へ本発明による組成物を被覆する、含浸させる、または適用する工程を含む方法を提供する。
【0067】
以下では、本発明を下記の非限定的な実施例によってより詳細に説明する。
【実施例】
【0068】
耐水性/溶解度法
耐水性/溶解度を試験するために、以下の方法を採用した。
【0069】
アルミノシリケート組成物は、以下の実施例で詳述するように発泡ポリマー上に適用した。被覆された発泡ポリマー5.5gをSterelin(商標)瓶の中に入れ、脱塩水100gを加えた。被覆された発泡ポリマーを水中に完全に沈め(これらを沈めたまま保持し、浮遊するのを防止するために適所に保持した。)、周囲温度(22℃)で放置した。この溶液の内容物を設定期間(滴定を用いる。)にわたり保管した後に分析し、コーティングの溶解度のパーセンテージを以下の式、
溶液中の溶解した内容物×100
5.5
を用いて決定した。
【0070】
含水量の分析
含水量は、焼成時の消失によって測定する。これは、800℃の温度のオーブン中で微粉末化したサンプルを少なくとも1時間にわたり加熱した後の重量減少によって決定する。サンプル中の有機液体の存在に起因して、重量の損失は、有機液体の焼成に起因する重量損失を考慮に入れるように補正しなければならない。補正係数は、有機液体のサンプルを焼成し、この重量損失および残留している灰の量を測定することによって導き出される。組成物の有機物含量は公知であるので、組成物の焼成時の水分損失量は容易に導き出すことができる。
【0071】
組成物が膨張ポリスチレンビーズ上に被覆されている場合は、ビーズは、水分測定において膨張ポリスチレンビーズからの干渉が生じないように、焼成前に最初にコーティング組成物から(剥離によって)取り除かれる。
【0072】
オーブンおよび流動層を用いる単純な実験機器を使用すると、乾燥および硬化した塗膜についての最終的な所望の含水量に達するために必要とされる所要の乾燥時間および温度を決定することができる。
【0073】
(実施例1)(比較例)
バッチプロセス(Al:Siモル比=1:10)−硬化させなかった
以下の原料を、約15分間にわたりプロペラ型スターラーを用いて600から700RPMで混合した。
【0074】
ナトリウムシリケート含量が35%のナトリウムシリケート溶液350g(SiO:NaO=3.4)および350mPa.sの粘度のシリコーン油(ポリジメチルシロキサン)3.5g。
【0075】
ナトリウムアルミネート溶液は、10分間にわたり600RPMで混合する工程によって調製した。脱塩水153gを含む濃ナトリウムアルミネート溶液(46.7%ナトリウムアルミネート)31.7g。この実施例およびこれ以後の全実施例について、ナトリウムアルミネート溶液についてのNaO:Alの比は1.35:1であった。
【0076】
ultra−turraxミキサーヘッド(ローター/ステーター)を用いた16,000RPMの混合速度で、希ナトリウムアルミネート溶液を2分間にわたり容器中の希ナトリウムシリケート溶液中へ計量ポンプによって添加し、引き続いて1分間にわたり均質化を実施した。この混合物(ここでは、ナトリウムアルミノシリケートゾル)は、27重量%の総ナトリウムアルミノシリケート含量を有する。次にこの混合物を、50℃の流動層内のビーズ上に噴霧することによって膨張ポリスチレンビーズ上に被覆した。次に被覆されたビーズは12.5重量%の含水量へ流動層内で乾燥させた。次にビーズの温度を周囲温度(22℃)へ戻し、3または8日間にわたり水中に浸漬させて保管し、その後上述した方法によって溶解度測定を実施した。
【0077】
【表1】

【0078】
(実施例2)
バッチプロセス(Al:Siモル比=1:10)−硬化させた
組成物は、SiO:NaOのモル比がシリケート溶液に基づいて4.5:1となるように、シリケート(34.5重量%のシリカ含量を備える。)を加える直前にアルミネートへ加えられた水性SiOゲル(Ineos Silicas Limitedから入手できるLucilite(商標)PC5)83.7gを備える以外は、実施例1と同様であった。1:10の全Al:Siモル比を維持するために、さらにナトリウムアルミネート10.4gもまた使用した。
【0079】
この混合物を50℃の流動層内でビーズ上に噴霧することによって膨張ポリスチレンビーズ上に被覆し、引き続いて流動層内で35重量%の含水量へ乾燥させた。次に被覆されたビーズを、水分損失を防ぐために密閉された85℃のオーブン内で4時間にわたり硬化させた。硬化させた後、被覆されたビーズを85℃の通風式オーブン内で12重量%の含水量へ乾燥させた。被覆されたビーズを7および18日間にわたり周囲温度で水中へ浸漬させて保管し、その後に上述した方法を用いて溶解度測定を実施した。
【0080】
【表2】

【0081】
(実施例3)
バッチプロセス(Al:Siモル比=1:10)−硬化させなかった
この実施例は、4.50のSiO:NaOのモル比およびシリケート含量27重量%を有するナトリウムシリケートを用いる以外は実施例1と同様である。
【0082】
以下の原料を、約15分間にわたりプロペラ型スターラーを用いて600から700RPMで混合した。
【0083】
シリケート溶液350gおよび350mPa.sの粘度を備えるシリコーン油(ポリジメチルシロキサン)3.5g。希ナトリウムアルミネート溶液は、10分間にわたり600RPMで混合する工程によって調製した。脱塩水78gとともに45.6重量%の濃度のアルミネートを備えるナトリウムアルミネート溶液27.2g。
【0084】
次に混合装置をultra−turrax分散エレメント(ローター/ステーター原理)と取り替えた。16,000RPMの混合速度で、希ナトリウムアルミネート溶液を希ナトリウムシリケート溶液内へ計量ポンプによって2分間かけて加えた。この混合液は、添加の完了後にこの混合速度でさらに1分間にわたり攪拌した。この混合物(現在では、ナトリウムアルミノシリケートゾル)は、25%の総ナトリウムアルミノシリケート含量を有した。次に、この混合物は、50℃の流動層内で噴霧することによって膨張ポリスチレンビーズ上に被覆し、引き続いて流動層内で12重量%の含水量へ乾燥させた。次に、ビーズを周囲温度(22℃)へ戻した。溶解度は、8および16日間にわたり浸漬保管した後に上述した方法によって測定した。
【0085】
【表3】

【0086】
(実施例4)
バッチプロセス(Al:Siモル比=1:10)−硬化させ、ZnOを加えた。
【0087】
これは、組成物に酸化亜鉛を加える以外は実施例3と同様である。乾燥/硬化させる工程の前の最終ナトリウムアルミノシリケート組成物の酸化亜鉛含量は、0.48%であった。酸化亜鉛は、アルミネート溶液と混合する前にシリケート溶液に加えた。
【0088】
この混合物は、50℃の流動層内でビーズ上に噴霧することによって膨張ポリスチレンビーズ上に被覆し、引き続いて同一層内で含水量を35重量%へ乾燥させた。次に被覆されたビーズは、水分損失を防ぐために密封された85℃のオーブン内で4時間にわたり硬化させた。硬化させた後、被覆されたビーズを85℃の通風式オーブン内で12重量%の含水量へ乾燥させた。次に、ビーズを周囲温度(22℃)へ戻した。8および16日間にわたり浸漬させた後の溶解度は、上述した方法を用いて測定した。
【0089】
【表4】

【0090】
(実施例5)
インライン(連続)プロセス(Al:Siモル比=1:10)−硬化させなかった
この実施例における組成物は、実施例3の組成物と正確に同一であったが、本組成物は以下の、実施例3と同一調製物を達成するために適切な速度で高剪断インラインミキサー内への2つの別個の供給流としてのi)シリコーン油を含有するナトリウムシリケート溶液、およびii)ナトリウムアルミネート溶液の同時ポンピングによって調製した。実施例3との唯一の相違は、この混合物が25%ではなく16%の総アルミノシリケートナトリウム含量を有している点であった。これは、シリケートおよびアルミネート溶液と同等量の必要な量の水を添加することによって達成した。透明なアルミノシリケートゾルを形成し、このゾルからのサンプルは、実施例1と同一方法で処理し、特徴付けた。
【0091】
この混合物は、50℃の流動層内に噴霧することによって膨張ポリスチレンビーズ上に被覆し、引き続いて同一流動層内で12重量%の水量へ乾燥させた。別個の硬化工程は実施しなかった。次にビーズを周囲温度(22℃)へ戻し、7、14および20日間にわたる浸漬後に、上述した方法を用いて溶解度を測定した。
【0092】
【表5】

【0093】
実施例1は比較例であり、実施例2から5は、本発明による実施例である。実施例2から5の全部は、保管時に実施例1より大きな耐分解性を生じさせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性複合材を製造する方法であって、以下の、
i)発泡ポリマーのビーズを提供する工程、
ii)工程i)のビーズ上にコーティングを適用する工程、および
iii)このように被覆されたビーズを前記複合材へ成形する工程
を含む方法。
【請求項2】
工程iii)は、プレス機で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程iii)は、キャスティング法として実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程ii)は、流動層内で実施され、コーティングはビーズ上に噴霧され、および空気流はビーズ層を通して流される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程ii)は、攪拌層内で実施され、コーティングはビーズ上に噴霧される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程ii)は、ミキサー内、例えばリボンブレンダー内で実施され、コーティングはビーズ上に噴霧される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程iii)は、工程iv)、v)およびvi)をさらに含み、工程iv)は被覆されたビーズをプレス機へ移し、工程v)は蒸気を前記プレス内に存在する被覆されたビーズへ提供し、および工程vi)はプレス機から複合材を放出する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
発泡ポリマーは、PUR、PET、EPP、EPE、膨張ポリビニルアリーレンまたはこれらの組み合わせから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程ii)は、ローラー手段、ブラシ手段、または被覆もしくは含浸させられる生成物をその中に浸漬させることのできるコーティングを含有するための容器を含む適用手段によって実施される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程ii)で適用されるコーティングは、
(a)アルカリ金属アルミネートおよびアルカリ金属シリケートを含むアルミノシリケート5重量%から40重量%、
(b)有機液体0.1重量%から10重量%(有機液体は110℃より高い沸点を有する。)を含み、
アルカリ金属シリケートについてのSiO:XO(式中、Xはアルカリ金属シリケートのアルカリ金属を表す。)のモル比は3.6:1から10:1であり、アルカリ金属アルミネートは1.35:1のYO:Al(式中、Yはアルカリ金属アルミネートのアルカリ金属を表す。)のモル比を用いて表されることを特徴とする水性ゲル形成組成物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
アルミノシリケートを5重量%から30重量%含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
有機液体は、少なくとも120℃の沸点を有する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
有機液体は、500℃未満の沸点を有する、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
有機液体は、実質的に水に非混和性である、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
有機液体は、アルカリ性条件下では安定性である、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
有機液体は、温度25℃では5,000mPa.s未満の粘度を有する、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
有機液体は、鉱油、流動パラフィン油、シリコーン油およびこれらの混合物から選択される液体を含む、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
有機液体は、ポリヒドロキシアルコール、グリコールエーテルおよびこれらの混合物から選択される液体を含む、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
有機液体は、シリコーン油である、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの金属または金属酸化物をさらに含む、請求項10から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
金属酸化物は、両性酸化物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
両性酸化物は、第III族の元素の両性酸化物、好ましくは酸化ホウ素および酸化ガリウム、または酸化亜鉛およびこれらの混合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
金属酸化物は、酸性酸化物を含む、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
酸性酸化物は、第IV族の元素の酸性酸化物、好ましくは酸化スズおよび酸化ゲルマニウム、または酸化ジルコニウムおよびこれらの混合物から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
金属または金属酸化物を10重量%まで含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
アルミノシリケートは、3:1から30:1、より好ましくは4:1から15:1、より好ましくは5:1から10:1のSi:Alのモル比を有する、請求項10から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
アルカリ金属XおよびYは、ナトリウム、カリウム、リチウムまたはこれらの混合物、好ましくはナトリウムもしくはカリウムまたはこれらの混合物、より好ましくはナトリウムである、請求項10から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
アルカリ金属XおよびYは、ナトリウムである、請求項10から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
アルカリ金属シリケートの水溶液、ならびにポリヒドロキシアルコール、鉱油、流動パラフィン油、グリコールエーテル、シリコーン油およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機液体とを含む請求項10から28のいずれか一項に記載の組成物の調製において使用するための前駆体組成物を調製するための方法であって、アルカリ金属シリケートについてのSiO:XO(式中、Xはアルカリ金属を表し、およびXは好ましくはナトリウム、カリウム、リチウムまたはこれらの混合物、より好ましくはナトリウムもしくはカリウムまたはこれらの混合物、より好ましくはナトリウムである。)のモル比は3.6:1から10:1であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項10から28のいずれか一項に記載のコーティング組成物を形成するための前駆体系を調製するための方法であって、
(i)アルカリ金属アルミネート、
(ii)アルカリ金属シリケートの水溶液、および
(iii)有機液体
を含む方法。
【請求項31】
工程i)で適用される発泡ポリマーは、5から500kg/mの密度を有する、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
工程i)で適用されたコーティングを含む発泡ポリマーは、乾燥させたコーティングに基づいて10から1,000kg/mの密度を有する、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
難燃性を備えるコーティングを有する発泡ポリマーの複合材であって、コーティングは請求項1から30のいずれか一項に記載の方法によって製造されることを特徴とする複合材。
【請求項34】
乾燥または硬化および乾燥させた組成物の含水量は、40重量%未満である、請求項33に記載の複合材。
【請求項35】
請求項10から32のいずれか一項に記載の方法によって製造されたアルミノシリケートの塗膜であって、アルミノシリケート塗膜の長期水溶性は25%未満、より好ましくは20%である塗膜。
【請求項36】
水性ゲル形成組成物は、塗膜完全性を強化する有機液体をさらに含む、請求項33に記載の複合材。
【請求項37】
アルミノシリケート組成物は、乾燥させたコーティングに基づいて、45重量%から90重量%である、請求項33から36に記載の複合材。
【請求項38】
アルミノシリケート組成物は、乾燥させたコーティングに基づいて、50重量%から85重量%である、請求項37に記載の複合材。
【請求項39】
乾燥させたコーティングは、35重量%未満、好ましくは20重量%未満、およびより好ましくは16重量%未満の含水量を有する、請求項34に記載の複合材。
【請求項40】
コーティングは、乾燥したコーティングの16重量%まで、好ましくは8重量%までの量で少なくとも1つの金属もしくは金属酸化物をさらに含む、請求項33から39のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項41】
有機液体は、乾燥させたコーティングの16重量%までを含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項42】
建設材料としての、請求項33から41のいずれか一項に記載の複合材の使用。
【請求項43】
建造物における、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
断熱材としての、請求項33から41のいずれか一項に記載の複合材の使用。
【請求項45】
建造物における、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
建設材料は、パネル、ドア、シート、天井板およびタイルの群から選択される、請求項42から43に記載の使用。
【請求項47】
梱包用の構成材料としての、請求項33から41のいずれか一項に記載の複合材の使用。

【公表番号】特表2010−516834(P2010−516834A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546333(P2009−546333)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/NL2008/000025
【国際公開番号】WO2008/091144
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(508018484)
【Fターム(参考)】