説明

難燃特性を有するエラストマー編布

【課題】難燃特性を有するエラストマー編布を提供する。
【解決手段】エラストマー糸および非エラストマー糸の組合せであって、たて編布はエラストマー糸B3、B4および非エラストマー糸であるポリエステル糸B1、B2の編パターンを示す。このポリエステル糸は難燃剤を含有し、良好な難燃特性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃特性を有するエラストマー編布に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー編布は、エラストマー特性を有する編布(メリヤス生地)である。このエラストマー特性は、編構造および成分(例えば、エラストマー糸の使用)の両方に起因することができる。エラストマー編物は広範囲の用途に使用することができる。例えば、エラストマー編物を座席用途に使用することができる。しかし、座席用途のための生地は、ある種の基準(例えば、燃焼に対する耐性)を有する。特に、自動車用の座席用途は、厳格な難燃性の要件を有する。従って、難燃特性を有するエラストマー編布が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、難燃特性を有するエラストマー編布を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般的には、本発明は、エラストマー糸および非エラストマー糸の組合せであって、この非エラストマー性のポリマー糸が難燃剤を含む該組合せを有する編布からなる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、本発明の1つの態様のための、4本バーのラッシェル編機における編パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明において使用するエラストマー糸とは、テキスチャー加工されていない糸であって、室温においてその元の長さから少なくとも75%まで伸ばすことができ、引張力を除去した後にその元の長さの10%以内まで直ちにかつ強制的に戻る糸を意味する。糸がエラストマー性であるか否かを決定するために、「エラストマー糸の永久歪のためのASTM標準試験方法(D3106-95a)」(ここに参照することにより、その全体が本明細書の一部を構成するものとする)を使用することができる(ただし、試料を、全ての伸張時間にわたり、試料の元の長さから75%の長さまで伸ばし、伸張後の伸びを、比較的長い弛緩時間の後に測定する)。
【0007】
エラストマー糸の例は、安定化したモノフィラメントを供するために使用されるフタレートに基づくポリエステルからなる糸であり、直鎖および環式ポリアルキレンテレフタレート、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PETG)、ならびに、1またはそれ以上の上記成分を含むこれらのランダムまたはブロックコポリマーからなる糸である。本発明において使用しうるエラストマー糸の例は、1999年11月16日にDaileyらに対して発行された「モノフィラメント」と題する米国特許No.5,985,961に記載されている(この特許は、ここに参照することにより、その全体が本明細書の一部を構成するものとする)。本発明におけるエラストマー糸は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであることができ、フィラメントあたり約80〜6000デニールのサイズを有することができる。また、本発明におけるエラストマー糸は、芯/鞘型の糸であることもできる。
【0008】
エラストマー糸を、糸の形成過程において着色することができる。例えば溶液染色により、着色物質を糸の横断面にわたって均一に分布させることができる。また、エラストマー糸を、糸の形成後または生地の形成後に、糸染め法または布染め法で染色することもできる。1つの態様において、エラストマー糸は、非エラストマー性ポリマー糸における難燃剤と同様の難燃剤を含有することもできる。さらに、エラストマー糸は紫外線(UV)抑制剤を含有することもできる。UV抑制剤の例には、ベンゾトリジアゾール誘導体、ベンゾトリアジン誘導体、ベンゾキサジノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、立体障害アミンなどが含まれる。
【0009】
本発明に係る非エラストマー性ポリマー糸には、ポリエステル糸、ナイロン糸、アクリル糸これらのブレンドなどが含まれる。非エラストマー性ポリマー糸は、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、ステープル糸、テキスチャー加工糸などであることができる。非エラストマー性ポリマー糸を、糸の形成過程において着色することができる。例えば溶液染色により、着色物質を糸の横断面にわたって均一に分布させることができる。また、非エラストマー性ポリマー糸を、糸または生地の形成後に染色することもできる。さらに、非エラストマー性ポリマー糸は、エラストマー糸に関連して記載した紫外線(UV)抑制剤と同様のUV抑制剤を含有することもできる。
【0010】
上記のように、本発明においては、非エラストマー性ポリマー糸は、非エラストマー性ポリマー糸の材料中に導入された難燃剤を含有する。本発明において使用しうる難燃剤の例には、リン化合物、ハロゲン化合物(例えば、臭素および塩素化合物)などが含まれる。難燃剤は、非エラストマー性ポリマー糸の全重量100部あたり、約1〜30重量部の割合で添加することができる。
【0011】
エラストマー糸および非エラストマー糸を、たて編物材料中に一体化する。たて編物は、トリコットまたはラッシェル編物であってよい。また、エラストマー生地をヒートセットして安定性を付与し、生地のカールを軽減することができる。糸のポリマーを整列させるに十分な温度まで編布を加熱し、次いで結晶化させることによって、エラストマー生地をヒートセットする。多くのポリマー糸において、ヒートセット温度は、220〜400°Fであろう。
【0012】
本発明のエラストマー編布は、良好な難燃特性を与え、DOT571.302標準規格No.302;インテリア材料の燃焼性(10-1-96版)(ここに参照することにより、その全体が本明細書の一部を構成するものとする)の要件を満たすことができる。本発明のエラストマー編布は、この標準規格に従って試験したときに、4インチ/分またはそれ未満の燃焼速度を示す。本発明の難燃特性は、天然にエラストマー糸が発火前に炎から引き下がる傾向を持ち、非エラストマー性ポリマー糸が、その中に導入された難燃剤のゆえに、発火前に炎から引き下がる機会を付与されたために存在するものと考えられる。
【0013】
1つの態様において、エラストマー編物は、エラストマー糸を、ポリエステル非エラストマー性ポリマー糸と組合せてラッシェル編物中に含んでおり、その重量/平方面積は約14〜16オンス/ヤードである。この生地は、図1に示すようなラッシェル編4本バー編機において編まれる。ここで、第1バー(B1)および第2バー(B2)は、非エラストマー性ポリマー糸であり、第3バー(B3)および第4バー(B4)はエラストマー糸である。このエラストマー糸は、エラストマー性コポリエステルポリマー材料の800デニールのモノフィラメント糸[例えば、Teijin(Spartanburg, SC)からのELAS-TER(登録商標)糸]である。非エラストマー性ポリマー糸は、Omara, Inc.からの難燃剤を含む2/150/34溶液染色テキスチャー加工ポリエステル糸である。エラストマー編布を380°Fでヒートセットした。このエラストマー編布は、DOT571.302標準規格No.302;インテリア材料の燃焼性に従って測定したときに、約0インチ/分の燃焼速度を示した。また、この生地は、長さ2インチを移動する前に、および60秒未満で自己消炎した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
たて編材料中に一体化したエラストマー糸および非エラストマー性ポリマー糸を有する編布を含んでなるデバイスであって、非エラストマー性ポリマー糸が、その中に導入された難燃剤を含むデバイス。
【請求項2】
非エラストマー性ポリマー糸がポリエステルを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
編布がラッシェル編布である請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
編布がトリコット編布である請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
エラストマー糸が難燃剤を含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
編布がヒートセットされている請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
非エラストマー性ポリマー糸が、テキスチャー加工糸である請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
エラストマー糸がUV抑制剤を含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
非エラストマー性ポリマー糸がUV抑制剤を含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
非エラストマー性ポリマー糸が、ステープル糸を含んでなる請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
非エラストマー性ポリマー糸が、マルチフィラメント糸を含んでなる請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
非エラストマー性ポリマー糸が、モノフィラメント糸を含んでなる請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
非エラストマー性ポリマー糸が、溶液染色した糸を含んでなる請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
エラストマー糸が、溶液糸を含んでなる請求項1に記載のデバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2011−58158(P2011−58158A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−181248(P2010−181248)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願2003−551353(P2003−551353)の分割
【原出願日】平成14年11月20日(2002.11.20)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】