説明

電力ケーブル線路

【課題】 直流送配電線路において、線路の運転に利用される各種の電力機器に簡単に電力を供給することができる電力ケーブル線路を提供する。
【解決手段】 直流送配電を行う電力ケーブル(1g,1r,1p,1m,1n)と、このケーブルに交流成分を重畳する交流重畳部2と、重畳された交流成分により誘導される電力を同ケーブルから取り出す分岐電源部3とを具える。交流重畳部2により交流成分を電力ケーブルに重畳し、電力ケーブルに直流電力と共に交流電力を送電する。そして、ケーブル途中に設けた分岐電源部3により、重畳された交流成分を取り出し、各種の電力機器に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流送電を行う電力ケーブル線路に関するものである。特に、線路に具えられて運転に利用される種々の電力機器に供給する分岐電力を引き出すことが可能な電力ケーブル線路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給には、交流送電だけでなく、直流送電も行われている。直流送電では、交流送電で生じる問題、例えば、誘電体損、表皮効果による導体損失といった交流損失や、短絡などの事故時に流れる大電流などといった問題がなく、大容量の送電が可能である。直流送電には、単極送電(モノポール送電)、双極送電(バイポール送電)の二つの方式がある。
【0003】
単極送電では、図11(A)に示すように往路線路となる電力ケーブル100gと、帰路線路となる電力ケーブル100rとが直交変換器102,103を介してリード104,105により接続されて閉回路を構成する。これら変換器102,103には、交流電源101や送電電力を利用する負荷といった交流系統が接続される。双極送電では、図11(B)に示すように正極線路となる電力ケーブル100pと、負極線路となる電力ケーブル100mと、中性線となる電力ケーブル100nとを並列に具え、これらのケーブル100p,100m,100pが直交変換器102p,102m,103p,103mを介して、リード104p,104m,104n,105p,105m,105nにより接続されて閉回路を構成する。これら変換器102p,102m,103p,103mには、交流電源101や負荷といった交流系統が接続される。
【0004】
このような直流送電に利用される電力ケーブルは、ソリッドケーブルやOFケーブルなどの油浸紙ケーブルが一般的である。また、上記常電導ケーブルの他、直流送電用の超電導ケーブルが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
一方、電力ケーブル線路を運転するには、各種センサー、監視装置などの電力機器が利用される。また、超電導ケーブルでは、これらの他に、補助冷凍機、補助ポンプ、補助真空ポンプなどの機器も利用される。
【0006】
【特許文献1】特開2003-249130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記電力機器を駆動する電源として、安全かつ容易に提供できることから、電力ケーブルに送電される電力と独立する系統を導入したり、バッテリや発電機などを洞道やマンホールなどの各所に別途配して、これら独立電源が利用される。しかし、事故などにより上記独立した電源からの電力が喪失した場合、監視不能などの状態になれば、安定して運転を行うことができないという問題がある。特に、超電導ケーブル線路の場合、超電導状態の維持に利用される冷媒の冷却に必要な機器の電源を失うと、送電停止といった事態を招く恐れがある。これらの事態を回避するべく、別の対策が求められる。
【0008】
従って、本発明の目的は、特に直流送電において簡単に分岐電力を引き出すことが可能な電力ケーブル線路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、直流送電を行うケーブル線路において、分岐電力用の交流成分をケーブルに重畳し、直流電力と同時に交流成分をも送電することで、上記目的を達成する。即ち、本発明電力ケーブル線路は、直流送配電を行う電力ケーブルと、前記電力ケーブルに交流成分を重畳する交流重畳部と、重畳された交流成分により誘導される電力を前記ケーブルから取り出す分岐電源部とを具えることを特徴する。
【0010】
交流送電線路では、電力ケーブルの送電電力を利用して、上記電力機器を駆動することが可能である。具体的には、誘導結合を利用することで、分岐電力を取り出すことが挙げられる。しかし、直流送電では、誘導電流が生じ得ないため、この方法を利用することができない。そこで、本発明は、直流送電においても、交流送電と同様に誘導結合により分岐電力を取り出すべく、分岐電力に必要な交流成分を直流電力と共に送電する。そして、分岐電源部にて交流成分から誘導される電力を取り出して、線路の運転に利用される種々の電力機器の電源として利用する。この構成により、本発明線路は、別途系統を導入したり、バッテリや発電機などの独立した電源を各所に設ける必要がなく、独立電源からの電力喪失による不具合を回避することができ、安定して直流送配電を行うことができる。
【0011】
本発明線路に具える電力ケーブルとしては、常電導ケーブル、超電導ケーブルのいずれも利用できる。常電導ケーブルとしては、油浸紙ソリッドケーブル、GFケーブル、OFケーブルといった油浸紙ケーブルが挙げられる。公知の常電導ケーブルを利用してもよい。ソリッドケーブルは、構造が簡単で長距離に適しており、給油設備が不要である点で有利である。OFケーブルは、ソリッドケーブルにみられる脱油現象がなく、電気特性に特に優れる点で有利である。GFケーブルは、OFケーブルのような過渡油圧問題がない点で有利である。これらの常電導ケーブルの代表的な構成としては、導体と、導体の外周に配置される電気絶縁層を有するケーブルコアを具え、このケーブルコアの外周に金属シースなどが配置される。このようなケーブルコアを一つ具える単心ケーブルを利用してもよいし、コアを複数具える多心ケーブルを利用してもよい。
【0012】
上記常電導ケーブルでもよいが、超電導ケーブルは、常電導ケーブルと比較して低抵抗であり、送電電力がより大きく取れるため、より好ましい。超電導ケーブルは、代表的には断熱管内に単心又は多心のケーブルコアが収納され、管内に充填される液体窒素などの冷媒にて冷却される構造を有するものが挙げられる。また、超電導ケーブルは、低温絶縁型のものと、常温絶縁型のものがあり、例えば、低温絶縁型の場合、上記ケーブルコアは、中心から順にフォーマ、第一超電導層、電気絶縁層、第二超電導層を有する構成が挙げられる。この第一及び第二超電導層を具えるコアの場合、例えば、第一超電導層を往路電流を流す層として利用し、第二超電導層を帰路電流を流す層として利用するとよい。第二超電導層を有しないケーブルコアとしてもよい。即ち、このコアは、超電導層を一層のみ具えるものである。この第二超電導層を有していないケーブルコアでは、対地電位としての接地用シールド層を具えておく。第二超電導層を有していないコアの場合、複数のコアを利用し、例えば、あるコアの超電導層を往路電流を流す層として利用し、別のコアの超電導層を帰路電流を流す層として利用するとよい。常温絶縁型の場合、上記ケーブルコアは、中心から順にフォーマ、第一超電導層、断熱管、電気絶縁層、シールド層を有する構成が挙げられる。このようなコアの場合、上記第二超電導層を有していないコアと同様に複数のコアを利用し、例えば、あるコアの超電導層を往路電流を流す層として利用し、別のコアの超電導層を帰路電流を流す層として利用するとよい。断熱管は、一般に内管と外管との間に真空層を有する二重管構造のものが利用される。超電導ケーブルも常電導ケーブルと同様に、上述のケーブルコアを一つ具える単心ケーブルを利用してもよいし、コアを複数具える多心ケーブルを利用してもよい。
【0013】
本発明線路は、単極送電、双極送電のいずれでもよく、単極送電の場合、往路線路及び帰路線路を構築し、双極送電の場合、正極線路、負極線路、中性線を構築する。超電導ケーブルを利用して本発明線路を構築する場合、単心ケーブルを利用してもよいし、多心ケーブルを利用してもよい。表1に超電導ケーブルを利用した場合の具体的な線路例を示す。超電導ケーブルを利用して、単極送電、双極送電を行う場合、表1に示すように電気絶縁層を介して同軸状に第一超電導層、第二超電導層を有するケーブルコアを具えるケーブルを利用すると、最小限のコア数で線路を構築することができる。例えば、単極送電では、表1に示す一心のケーブルコアを具える単心ケーブルを利用するとよい。或いは、表1に示すコアを複数具える多心ケーブルとして、コアごとに線路を構築し、一条のケーブルで複数線路を構築してもよいし、一つのコアで線路を構築し、残りのコアを予備線として利用してもよい。また、双極送電では、表1に示すケーブルコアを一心ずつ具える単心ケーブルを二条利用してもよいが、表1に示すように二心のコアを具える多心ケーブルを利用すると、ケーブル条数をより少なくすることができる。三心のコアを具える三心ケーブルを利用して、一心を予備線としてもよい。
【0014】
【表1】

【0015】
第二超電導層を有していないケーブルコアを利用して単極送電線路を構築する場合、二つのコアを利用し、一方のコアの第一超電導層を往路線路とし、他方のコアの第一超電導層を帰路線路とするとよい。このとき、二つのコアをそれぞれ別の断熱管に収納した単心ケーブルとしてもよいし、二つのコアを同一の断熱管に収納した多心ケーブルとしてもよい。また、第二超電導層を有していないケーブルコアを利用して双極送電線路を構築する場合、三つのコアを利用し、一つのコアの第一超電導層を正極線路とし、他のコアの第一超電導層を負極線路とし、残りのコアの第一超電導層を中性線とするとよい。このとき、三つのコアをそれぞれ別の断熱管に収納した単心ケーブルとしてもよいし、三つのコアを同一の断熱管に収納した多心ケーブルとしてもよい。なお、第二超電導層を有していないコアは、対地電位としての接地用シールド層を具えておく。
【0016】
上記各線路において交流の重畳は、第二超電導層を有するケーブルコアを用いている場合、第一超電導層、第二超電導層のいずれに行ってもよい。第二超電導層を有していないケーブルコアを用いている場合、第一超電導層に交流を重畳する。
【0017】
常電導ケーブルを利用する場合、通常、第二超電導層に該当する導電層を有していない。そこで、第二超電導層に該当する層を設ける、具体的には電気絶縁層の外周に銅などの導電性材料にて導体と同軸状に電極層を設けてもよいし、第二導電層を有していない超電導ケーブルの場合と同様に、帰路電流を流す導体を有するケーブル(コア)と、往路電流を流す導体を有するケーブル(コア)とに分けて具えてもよい。前者の場合、交流の重畳は、導体、電極層のいずれに行ってもよい。後者の場合、交流の重畳は導体に行う。
【0018】
単極送電のより具体的な線路構成は、往路となる電力ケーブル(又はケーブルコア、以下この段落において同様)と帰路となる電力ケーブルとを交流/直流変換器、直流/交流変換器を介してリードで接続して閉回路とする。往路となるケーブルの一端側には、交流電源を接続し、同他端側には、負荷を接続し、帰路となるケーブルの一端側を接地する。この構成により、負荷は、交流電源から直流で送電された電力を利用することができる。双極送電のより具体的な線路構成は、正極線路となる電力ケーブル、負極線路となる電力ケーブル、中性線となる電力ケーブルとが並列となるように交流/直流変換器、直流/交流変換器を介してリードで接続して閉回路とする。正極線路となるケーブルの一端側には、交流電源を接続し、同他端側には、負荷を接続する。また、負極線路となるケーブルの一端側には、交流電源を接続し、同他端側には、負荷を接続する。中性線となるケーブルの一端側は接地しておく。この構成により、負荷は、交流電源から直流で送電された電力を利用することができる。
【0019】
そして、本発明では、上記線路に交流成分を重畳する交流重畳部と、この交流成分により誘導される電力を取り出す分岐電源部とを具える。交流重畳部の配置箇所としては、例えば、直流電流が線路に印加される箇所、具体的には、交流電源が接続される交流/直流変換器の近傍が挙げられる。また、重畳する交流電力は、電力機器を駆動するのに必要な所望の電力量とし、直流送電を損なわないように過剰な重畳を行わない。即ち、重畳する交流電力は、負荷に送電する直流電流に対して十分小さいものとする。交流の重畳は、超電導ケーブルの場合、第一超電導層、第二超電導層、常電導ケーブルの場合、導体、電気絶縁層の外周に設けた電極部に行うことが挙げられる。交流重畳部の具体的な構成としては、例えば、交流電源に接続されて、交流成分を所望の大きさに変化可能な変圧部(トランス部)を具える構成が挙げられる。この構成では、変圧部により、所望の電力に調整することができる。その他、交流重畳部として、誘導結合により交流成分を重畳する構成を具えるものが挙げられる。具体的には、電力ケーブルに具えるケーブルコア(或いはコア同士を接続するリード)の外周に配置される磁性体と、交流電源に接続されて交流電流が流されると共に、この磁性体に巻き付けられる巻線とを具える構成が利用できる。この構成では、交流電源からの電流が巻線に流れることで磁性体に磁界が印加され、磁界と磁性体の透磁率とに応じてケーブルコア(或いはリードを介してコア)に電流が流れるものであり、上記変圧部を具える構成よりも、大電流の直流送電を行う場合に有利である。磁性体は、特に、高い透磁率を有する強磁性体からなるもの、例えば、フェライトコアが好ましい。また、磁性体は、ケーブルコアやリードの外周に配置し易いように、複数の分割片を組み合わせて環状に構成されるものが適する。巻線は、導電性を有する材料にて形成する。公知の誘導結合器を利用してもよい。
【0020】
分岐電源部としては、誘導結合を利用した構成とすると、分岐電力を簡単に取り出すことができて好ましい。具体的には、後述する分離箇所や第二超電導層において帰路電流が流れない部分などの外周に配置させる磁性体と、この磁性体の外周に巻き付けられると共に各種電力機器に接続されて、交流電流が流れる巻線とを具える構成が挙げられる。この構成は、電力ケーブルに重畳された交流成分により磁性体に磁界が印加され、この磁界と磁性体の透磁率とに応じて巻線に交流電流が流れて、各種電力機器への電力供給を可能にする。磁性体は、特に、高い透磁率を有する強磁性体からなるもの、例えば、フェライトコアが好ましい。また、磁性体は、電力ケーブルの外周に配置し易いように、複数の分割片を組み合わせて環状に構成されるものが適する。巻線は、導電性を有する材料にて形成する。
【0021】
直流用電力ケーブルとして往路電流が流れる層(以下、往路層と呼ぶ)と同軸状に帰路電流が流れる層(以下、帰路層と呼ぶ)を具えるケーブルを利用する場合、帰路層には、往路電流と逆向きの電流が流れることから、この帰路電流により生じる磁場にて、往路電流により生じる磁場を打ち消し合い、ケーブル外部への漏れ磁場をほぼゼロにしている。例えば、第一超電導層と第二超電導層とを同軸状に具える超電導ケーブルにおいて、第一超電導層を往路層、第二超電導層を帰路層として利用する場合、第二超電導層は、シールドとして機能する。そのため、帰路層を具える部分では、誘導結合により電力を取り出すことができない。従って、往路層と帰路層とを同軸状に具えるケーブルにおいて上記分岐電源部は、往路層と帰路層とが同軸状になっていない分離箇所に設けることが好適である。分離箇所が設けられる部分としては、ケーブル同士を接続する中間接続部や、ケーブルと外部機器とを接続する終端接続部が挙げられる。電力ケーブル線路のうち上記接続部では、通常、ケーブルを構成するシールド層(帰路層)、電気絶縁層などの各層が段剥ぎされて接続処理されるため、往路層の外側が帰路層により覆われていない箇所、つまり往路層と帰路層とが非同軸状に配された分離箇所が形成される。この分離箇所では、往路層に流れる電流による磁場と帰路層に流れる電流による磁場とが相殺し合うことがないため、これら磁場のいずれかの磁場を利用して誘導結合により電力を接続部から分岐して取り出すことができる。
【0022】
第一超電導層と第二超電導層とを同軸状に具えるケーブルコアを二心用い、各コアの第一超電導層を正負極線路とし、両コアの第二超電導層を中性線として双極送電を行う場合、両コアの第二超電導層には、見かけ上直流電流が流れない。従って、第一超電導層と第二超電導層とが同軸状に配置された箇所であっても、分岐電源部を設けることができることもある。
【0023】
第二超電導層を有していない超電導ケーブルを利用する場合、このケーブルの任意の箇所に分岐電源部を設けるとよい。
【0024】
また、常電導ケーブルにおいて、帰路層となる電極層を有するケーブルを利用する場合、上記と同様に中間接続部や終端接続部において分岐電源部を設けるとよい。導体と電極層とを同軸状に具えるケーブルコアを二心用い、各コアの導体を正負極線路とし、両コアの電極層を中性線として双極送電を行う場合、上記と同様に導体と電極層とが同軸状に配置された箇所であっても、分岐電源部を設けることができることもある。帰路層となる電極層を有しない常電導ケーブルを利用する場合、このケーブルの任意の箇所に分岐電源部を設けるとよい。
【0025】
特に、超電導ケーブルの中間接続部の代表的な構成としては、以下の構成が挙げられる。ここでは、第二超電導層を具える超電導ケーブルを例に説明する。接続する二つのケーブルに具えるコア同士をそれぞれ突き合わせ、各コアにおける第二超電導層を部分的に剥ぎ取って電気絶縁層及び第一超電導層を露出させ、露出した第一超電導層同士を接続して、この接続箇所の周囲に絶縁被覆部を形成する。ケーブルコアにおいて電気絶縁層上に設けられていた第二超電導層は、突き合わせたコア同士或いは隣接するコア同士で接続する。この絶縁被覆部及び第二超電導層接続部を冷媒槽で取り囲んで冷媒中に浸漬する。そして、冷媒槽の周囲を真空槽で覆って、冷媒槽と真空槽との間を真空に形成して中間接続部を形成する。
【0026】
超電導ケーブルの終端接続部の代表的な構成としては、以下の構成が挙げられる。冷媒槽を真空槽で覆った終端接続箱を有し、水平方向に沿った超電導ケーブルの端部側を冷媒槽内に導入し、垂直方向に沿ったリード棒の一端を冷媒槽内に導入すると共に他端を真空槽外に引き出して、リード棒の一端と超電導ケーブルの端部側とを冷媒槽内で直接又は間接に接続した構成である。リード棒は、例えば、銅やアルミニウムなどからなる導体部と、導体部の外側を覆うFRPなどの絶縁ブッシングとから構成したものが利用できる。
【0027】
上記超電導ケーブルの中間接続部や終端接続部は、多心ケーブルの場合、コアごとに冷媒槽や真空槽を分岐してもよい。例えば、三心のコアを有する超電導ケーブルの場合、冷媒槽だけを分岐して真空槽は三心を一括収納する構成とすることが考えられる。即ち、接続部には、複数のコアが収容され、冷媒槽に、コアごとに分岐して分離箇所を収納する冷媒分岐部を設け、真空槽は、全冷媒分岐部を一括して覆うように構成する。このとき、分岐電源部は、冷媒分岐部の分離箇所に形成する。
【0028】
その他、多心超電導ケーブルの場合、冷媒槽と真空槽との両方を分岐してもよい。即ち、接続部には複数のコアが収容され、冷媒槽に、コアごとに分岐して分離箇所を収納する冷媒分岐部を設け、真空槽に、各冷媒分岐部を覆う真空分岐部を設ける構成とする。このとき、分岐電源部は、真空分岐部の分離箇所に形成する。
【0029】
一方、第二超電導層を有する単心超電導ケーブルを複数並列させた線路の場合、各単心ケーブルのそれぞれに形成された個別の接続部を並列させ、この並列した個別の接続部同士を連結した接続部から分岐電力の引き出しを行うことが好適である。即ち、接続部は、複数の単心超電導ケーブルの各々に形成された個別接続部と、隣接する個別接続部同士の間で、各ケーブルの第二超電導層を互いに短絡させる短絡部とを有する。この短絡部は、第一超電導層と第二超電導層とが同軸状に配置されない分離箇所となる。このとき、分岐電源部は、この短絡部に設けることができる。
【0030】
上記のように超電導ケーブルを電力ケーブルとして利用する場合、分岐電源部は、冷媒槽内、冷媒槽の外側で真空槽の内側、真空槽の外側の少なくとも一箇所に設ければよい。このとき、通常、第二超電導層を具える超電導ケーブルのコアにおいて第二超電導層を剥離した箇所は電気絶縁層が存在して径が大きいが、コアから分離されて第二超電導層のみからなる箇所は、径が小さくなる。従って、この第二超電導層のみからなる箇所に分岐電源部を設けることが好ましい。以上から第二超電導層を具える超電導ケーブルを利用した線路の場合、分岐電源部を設ける分離箇所の具体例をまとめると、接続部において次の箇所が挙げられる。
(1)コアのうち第一超電導層が第二超電導層で覆われていない箇所
(2)複数のコアを有する場合、各コアの第一超電導層を接続した接続箇所の近傍で、第一超電導層が接続された状態で異なるコア(例えば、正極のコアと負極のコア)の第二超電導層同士を短絡した短絡部
(3)一対のコアを突き合わせて第一超電導層を接続し、この接続箇所に並列して両コアの第二超電導層同士を接続した接続箇所
【0031】
このような分岐電源部は、単極送電線路の場合、往路線路のみに設けてもよし、帰路線路のみに設けてもよいし、往路線路及び帰路線路の双方に設けてもよい。双極送電線路の場合、正極線路、負極線路、中性線の少なくとも一つの線路に設けるとよく、例えば、正極線路のみに設けてもよいし、正極線路と負極線路とに設けてもよいし、正極線路、負極線路及び中性線の全ての線路に設けてもよい。
【0032】
上記分岐電源部を設けることで、ケーブルに重畳された交流の磁界により誘導電流が生成され、この電流は、分岐電源部に取り付けた別途リード線を介して接続部の外部に引き出すことができる。このリード線は、分岐電源部が冷媒槽内に配されている場合、冷媒槽と真空槽とを通って、分岐電源部が冷媒槽の外側で真空槽の内側に配されている場合、真空槽を通って、それぞれ接続部の外部に引き出される。このとき、冷媒槽又は真空槽におけるリード線の貫通箇所は、ハーメチックシールなどでシールすることが好ましい。
【0033】
上記分岐電源部は、電力ケーブルの運転に利用される各種電力機器にリード線を介して接続し、分岐電源部にて取り出した電力を電力機器に供給する。電力機器としては、各種センサー、監視装置の他、超電導ケーブルの場合、補助冷凍機、補助ポンプ、補助真空ポンプなどが挙げられる。
【0034】
上記分岐電源部により交流成分を抽出することで、重畳した交流成分が負荷にそのまま伝送されることはほとんどないが、フィルタを設けて同交流成分が負荷に流れることを確実に低減させる構成としてもよい。このようなフィルタは、送電される直流電力を利用する負荷の近傍に配置する。このような配置箇所として、例えば、直流電流を変換した交流電流が線路に印加される箇所の近傍、具体的には、直流/交流変換器により交流に変換された後の負荷側が挙げられる。直流/交流変換器にフィルタを内蔵させてもよい。このフィルタは、重畳した交流成分を減衰し、直流電流を通過させる構成のものを利用するとよい。
【発明の効果】
【0035】
上記構成を具える本発明電力ケーブル線路は、直流送電を行いながら交流成分を重畳することで、線路の運転に利用される各種電力機器に電力供給を簡単に行うことができるという優れた効果を奏し得る。特に、電力ケーブルとして超電導ケーブルを利用する場合、常電導ケーブルに比べて大容量の直流送電を行うことができて好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を説明する。まずは、本発明線路の全体構成について述べる。
【0037】
(線路の全体構成)
図1は、本発明電力ケーブル線路の概略構成図であり、(A)は、単極送電線路、(B)は、双極送電線路を示す。以下、図において同一符号は、同一物を示す。本発明線路は、直流送配電を行う電力ケーブル(1g,1r,1p,1m,1n)と、このケーブルに交流成分を重畳する交流重畳部2と、重畳された交流成分により誘導される電力を同ケーブルから取り出す分岐電源部3とを具える。以下、単極送電線路、双極送電線路に分けて説明する。
【0038】
<単極送電線路>
本発明において単極送電線路は、図1(A)に示すように往路線路となる電力ケーブル1gと、帰路線路となる電力ケーブル1rとを具え、両ケーブル1g,1rは、交流/直流変換器11、直流/交流変換器12を介してリード13,14により接続され閉回路を構成する。往路となるケーブル1gの一端側には、交流電源10aが接続され、同他端側には、負荷が接続される。交流/直流変換器11は、交流電源10aの交流を直流に変換し、直流/交流変換器12は、送電された直流を交流に変換する。また、帰路となるケーブル1rの一端を接地している。この構成により、交流電源10aから交流/直流変換器11を介して往路に送電された直流電力は、直流/交流変換器12を介して負荷に供給される。本発明線路は、このような単極送電線路において、電力ケーブル1g,1rに交流成分を重畳するべく、交流重畳部2を具える。本例では、リード13において交流/直流変換器11の近傍に交流重畳部2を配置している。図1に示す例では、リード13において交流/直流変換器11の帰路線路側に交流重畳部2を配置したが、リード13の交流/直流変換器11の往路線路側の他、負荷側(リード14上)、具体的には、図1の破線四角A部分に配置してもよい。
【0039】
交流重畳部2は、交流電源10bに接続されて、所望の大きさの交流成分を電力ケーブル1g,1rに重畳するものである。詳しい構成は後述する。そして、本発明線路は、ケーブル1g,1rに重畳された交流成分を引き出すべく、ケーブル1g,1rに分岐電源部3を具える。本例で用いた分岐電源部3は、誘導結合により交流成分を取り出す構成である。詳しい構成は後述する。
【0040】
上記構成により、本発明線路は、直流送配電を行うものでありながら、電力ケーブルに重畳させた交流成分を簡単に取り出すことができる。従って、線路の運転に利用される種々の電力機器に取り出した電力を供給することができ、別途独立した電源を設ける必要がない。なお、取り出した電力の電力機器への供給は、分岐電源部と電力機器とをリード線などで接続することで行う。
【0041】
本例では、分岐電源部を往路線路及び帰路線路の双方に設けたが、いずれか一方にしてもよい。また、往路線路にのみ分岐電源部を設ける場合、重畳した交流成分が負荷に伝送されることをより確実に低減するべく、交流成分を減衰させ、直流成分のみを通過させるフィルタを配置してもよい。このようなフィルタは、直流/交流変換器12により交流に変換された後の負荷側、具体的には図1(A)において破線円B部分に配置してもよいし、直流/交流変換器12に内蔵させてもよい。
【0042】
なお、利用する電力ケーブルは、第二超電導層(又は電極層)を具える単心ケーブルを一条利用してもよいし、第二超電導層(又は電極層)を具えるケーブルコアを二心以上撚り合わせた複数心ケーブルを利用してもよい。複数心ケーブルを利用する場合、送電に使用しないコアは、予備線とするとよい。また、送電に使用するコアは、一つのコアに具える第一超電導層、第二超電導層を利用して線路を構築する。或いは、第二超電導層(又は電極層)を具えていない単心ケーブルを二条利用してもよいし、第二超電導層(又は電極層)を具えていないケーブルコアを二心以上撚り合わせた複数心ケーブルを利用してもよい。複数心ケーブルを利用する場合、往路線路用のコア数と、帰路線路用のコア数とを同数具えておく。また、複数心ケーブルを利用する場合、送電に使用しないコアは、予備線とするとよい。送電に使用するコアは、あるコアの第一超電導層と、別のコアの第一超電導層とを利用して線路を構築する。なお、第二超電導層(又は電極層)を具えていないケーブル(コア)の場合、電圧印加のため、対地電位としての接地用シールド層を具えておく。
【0043】
<双極送電線路>
本発明において双極送電線路は、図1(B)に示すように正極線路となる電力ケーブル1pと、負極線路となる電力ケーブル1mと、中性線となる電力ケーブル1nとを並列に具え、ケーブル1p,1nを第一交流/直流変換器11p、第一直流/交流変換器12pを介してリード13p,13n,14p,14nにて接続し、ケーブル1m,1nを第二交流/直流変換器11m、第二直流/交流変換器12mを介してリード13m,13n,14m,14nにて接続して閉回路を構成する。正極線路となるケーブル1pの一端側には、交流電源10aが接続され、同他端側には、負荷が接続される。第一交流/直流変換器11p、第二交流/直流変換器11mは、交流電源10aの交流を直流に変換し、第一直流/交流変換器12p、第二直流/交流変換器12mは、送電された直流を交流に変換する。また、中性線となるケーブル1nの片端(この例では負荷側)を接地している。この構成により、交流電源10aから交流/直流変換器11p,11mを介してケーブル1p,1mに送電された直流電力は、直流/交流変換器12p,12mを介して負荷に供給される。本発明線路は、このような双極送電線路において、電力ケーブル1p,1nに交流成分を重畳するべく、交流重畳部2を具える。本例では、リード13pにおいて第一交流/直流変換器11pの近傍に交流重畳部2を配置している。図1に示す例では、リード13pにおいて第一交流/直流変換器11pの中性線側に交流重畳部2を配置したが、第一交流/直流変換器11pの正極線路側、第二交流/直流変換器11mの中性線側、第二交流/直流変換器11mの負極線路側、ケーブル1nの交流電源10a側の他、負荷側(リード14p,14n,14m上)、具体的には、図1の破線四角A部分に配置してもよい。
【0044】
交流重畳部2は、交流電源10bに接続されて、適切な大きさの交流成分を電力ケーブル1p,1nに重畳するものである。交流重畳部2の詳しい構成は後述する。そして、本発明線路は、ケーブル1p,1nに重畳された交流成分を引き出すべく、ケーブル1p,1nに分岐電源部3を具える。本例で用いた分岐電源部3は、誘導結合により交流成分を取り出す構成であり、詳しい構成は後述する。
【0045】
上記構成により、本発明線路は、単極送電線路と同様に、直流送配電を行うものでありながら、交流成分を簡単に取り出すことができる。従って、線路の運転に利用される種々の電力機器に取り出した電力を供給することができる。なお、取り出した電力の電力機器への供給は、分岐電源部と電力機器とをリード線などで接続することで行う。
【0046】
本例では、分岐電源部を正極線路と中性線とに設けたが、正極線路、負極線路、中性線の少なくとも一つに設ければよく、例えば、正極線路のみに設けてもよいし、正極線路と負極線路の双方に設けてもよいし、三線路全てに設けてもよい。負極線路に分岐電源部を設ける場合、リード13mに交流重畳部を配置する。中性線にのみ分岐電源部を設ける場合、交流重畳部は、リード13p,13m,13nのいずれに設けてもよい。また、正極線路のみ、或いは負極線路のみに分岐電源部を設ける場合、重畳した交流成分が負荷に伝送されることをより確実に低減するべく、交流成分を減衰させ、直流成分のみを通過させるフィルタを配置してもよい。このようなフィルタは、第一直流/交流変換器12pにより交流に変換された後の負荷側、第二直流/交流変換器12mにより交流に変換された後の負荷側、具体的には図1(B)において破線円B部分に配置してもよいし、第二直流/交流変換器12p,12mに内蔵させてもよい。更に、本例では、中性線の接地を片端側のみとしたが、両端側を接地してもよい。
【0047】
なお、利用する電力ケーブルは、第二超電導層(又は電極層)を具える単心ケーブルを二条利用してもよいし、第二超電導層(又は電極層)を具えるケーブルコアを二心撚り合わせた二心ケーブルを利用してもよい。また、三心以上具えた複数心ケーブルを利用して、送電に使用しないコアを予備線として具えていてもよい。送電に使用するコアは、二つのコアに具える第一超電導層、第二超電導層を利用して線路を構築する。或いは、第二超電導層(又は電極層)を具えていない単心ケーブルを三条利用してもよいし、第二超電導層(又は電極層)を具えていないケーブルコアを三心撚り合わせた多心ケーブルを利用してもよい。三条以上の単心ケーブル、又は三心以上の多心ケーブルを利用する場合、送電に使用しないコアは、予備線とするとよい。送電に使用するコアは、あるコアの第一超電導層と、別のコアの第一超電導層と、他のコアの第一超電導層を利用して線路を構築する。なお、第二超電導層(又は電極層)を具えていないケーブル(コア)の場合、電圧印加のため、対地電位としての接地用シールド層を具えておく。
【0048】
(交流重畳部)
図2は、本発明線路に具える交流重畳部の概略構成図であり、(A)は、変圧部を具える構成、(B)は、誘導結合部を具える構成である。図2(A)に示す交流重畳部2Aは、交流電源10bに接続されて、交流電力を変圧する変圧部を具えるものである。変圧部により、交流電源10bからの電力を適切な大きさに変化させて交流成分をリード13に重畳する。この構成により、電力ケーブル(図1参照)には、リード13を介して交流成分が流されると共に、交流/直流変換器11により直流成分が流される。
【0049】
図2(B)に示す交流重畳部2Bは、リード13の外周に配置される強磁性体2aと、強磁性体2aの外周に螺旋状に巻き付けられると共に、交流電源10bに接続されて交流電力が流れる巻線2bとを具えるものである。本例では、強磁性体2aとして、フェライトコアからなるもので、リード13の外周に配置し易いように一対の半円弧状片を組み合わせて円環状となるものを利用した。巻線2bは、導電性材料からなるものを用いた。この交流重畳部2Bは、交流電源10から交流電流が巻線2bに流れることで、強磁性体2aに磁界が印加され、磁界と強磁性体2aの透磁率とに応じてリード13に交流電流が流れる。この構成により、電力ケーブル(図1参照)には、リード13を介して交流成分が流されると共に、交流/直流変換器11により直流成分が流される。この誘導結合による交流重畳部は、特に、大容量の直流送電が可能な超電導ケーブルを線路に利用する場合に好ましい。なお、交流重畳部にて重畳する電力は、直流送配電を損なわないように、送電する直流電力以下とする。
【0050】
(分岐電源部)
本発明線路に利用する電力ケーブルは、常電導ケーブル、超電導ケーブルのいずれにも利用できる。ここでは、特に、超電導ケーブルを利用した場合の分岐電源部の構成、及分岐電源部の配置状態を説明する。
<超電導ケーブル>
まず、分岐電源部の説明に先だって、線路に用いる超電導ケーブルの構成を説明する。図3は、三心一括型の超電導ケーブルの断面図である。このケーブル100は、低温絶縁型のケーブルであって、三心のケーブルコア110を断熱管120内に収納した構成である。各コア110は、中心から順に、フォーマ15、第一超電導層20、電気絶縁層30、第二超電導層40、保護層50を有している。これらの各層のうち、第一超電導層20と第二超電導層40に超電導線材が用いられる。このような超電導ケーブルにおいて一つのコアの第一超電導層が正極線路、他のコアの第一超電導層が負極線路、これら二つのコアの第二超電導層が中性線とすることで双極送電を行うことができる。なお、残りのコアは、予備線に利用するとよい。また、各コアの第一超電導層を往路線路、同じコアの第二超電導層を帰路線路とすることで単極送電を行うことができる。
【0051】
《フォーマ》
フォーマ15には、金属線を撚り合わせた中実のものや、金属パイプを用いた中空のものが利用できる。中実のフォーマの一例としては、複数の銅素線を撚り合わせたものが挙げられる。中空のフォーマを用いた場合、その内部を冷媒の流路として利用することができる。
【0052】
《第一超電導層》
第一超電導層20には、複数本の酸化物高温超電導フィラメントを銀シースで被覆したテープ線材が好適である。ここではBi2223系テープ線材を用いた。このテープ線材をフォーマの上に多層に巻回して第一超電導層20を形成する。
【0053】
《電気絶縁層》
第一超電導層20上には、電気絶縁層30が形成される。この電気絶縁層30は、例えば、クラフト紙とポリプロピレンなどの樹脂フィルムとを重ね合わせたもの(住友電気工業株式会社製PPLP:登録商標)などを用い、第一超電導層20の外周に巻回して構成することができる。
【0054】
《第二超電導層》
本例で利用する超電導ケーブルには、電気絶縁層30の外側に第一超電導層20と同軸状に第二超電導層40を設ける。第二超電導層40は、電気絶縁層30の外側に設けた第一超電導層20に用いたものと同様の超電導線材を巻回して形成される。この第二超電導層40は、単極送電の場合、帰路線路として利用し、双極送電の場合、中性線として利用する。
【0055】
《保護層》
第二超電導層40の上には、更に保護層50が形成されている。この保護層50は、第二超電導層40よりも内側の構造を機械的に保護するもので、第二超電導層40上にクラフト紙や布テープを巻きつけることで形成される。
【0056】
《断熱管》
断熱管120は、ステンレス製のコルゲート内管121と同コルゲート外管122とを有する二重管構造である。通常、コルゲート内管121とコルゲート外管122との間は空間が形成され、その空間は真空引きされる。真空引きされる空間内には、スーパーインシュレーション(商品名)が配置され、輻射熱の反射が行なわれる。コルゲート内管121内において、内管121の内周面とケーブルコア110の外周面とで囲まれる空間123に液体窒素などの冷媒が充填され、この冷媒により、第一超電導層20や第二超電導層40を冷却して超電導状態を維持する。また、液体窒素を冷媒とする場合、電気絶縁も兼ねる。そして、コルゲート外管122の上には、ポリ塩化ビニルなどによる防食層124が形成されている。
【0057】
上記の超電導ケーブルの中間接続部において、線路の運転に利用される各種の電力機器の電源として分岐電力を引き出す分岐電源部を具える構成を図4に基づいて説明する。
[分岐電源部 例1]
図4は、超電導ケーブルの中間接続部の概略構成を示す模式図である。この図では説明の便宜上、2本のコアしか示していないが、実際には3本のコアが存在する。図4のケーブルコア110において太実線は各コアの第一超電導層、破線は第二超電導層を示している。また、太実線と破線を並列して示している箇所があるが、この箇所は、実際には第一超電導層の外側に電気絶縁層を介して第二超電導層が同軸状に配されている箇所である。これらの点は、後述する図5以降の各図に示す接続部でも同様とする。
【0058】
図4に示す中間接続部200は、一対の超電導ケーブルの端部を突き合わせ、各ケーブルを構成する3本のコア110をそれぞれ突き合わせて接続した構成である。この接続部200を構成するには、各コア110の端部同士を突き合わせた状態に配置し、第一超電導層20、電気絶縁層、第二超電導層40の端部が各々露出するように段剥ぎしておく。そして、突き合わされた各コア110の第一超電導層20同士を接続して導体接続部を形成する。突き合わせるコア110は、各超電導ケーブルに具える3本のコアのうち、同じ線路を構築するもの同士とする。例えば、一方の超電導ケーブルにおいて正極線路として利用されるコアと、他方の超電導ケーブルにおいて正極線路として利用されるコアとを突き合わせる。この導体接続部の外側には、絶縁紙を巻き付けるなどして絶縁被覆部31を形成する。
【0059】
第二超電導層40の端部には、異なる線路を構築するコアの第二超電導層40同士が短絡部41で短絡されている。つまり、絶縁被覆部31を挟んで右側と左側のそれぞれで、異なる線路のコアの第二超電導層40同士が短絡部41により接続されて閉回路が形成される。この短絡部41は、可とう性に優れる編組材を用いると、第二超電導層40同士を接続し易くて接続作業性に優れる。
【0060】
これら各コア110の端部、絶縁被覆部31、短絡部41は、冷媒槽210に収納されている。冷媒槽210内には、液体窒素などの冷媒が流通され、接続部に用いられている超電導線材を極低温に冷却し、超電導状態に維持する。この冷媒槽210の外側には、真空槽220が配置されて断熱される。
【0061】
このような中間接続部200において、絶縁被覆部31と超電導層40の端部との間には、電気絶縁層が露出して第二超電導層40に覆われていない箇所が存在する。これらの箇所を分離箇所として、分離箇所の外周に分岐電源部3を設ける。この場合、交流重畳部は、第一超電導層20に交流成分を重畳させるようにする。
【0062】
本例において分岐電源部3には、誘導結合により交流電力を取り出すものを利用した。具体的には、分離箇所の外周に配置される強磁性体と、この強磁性体の外周に螺旋状に巻き付けられる巻線(図示せず)とを具える構成である。図4では円環状の強磁性体を外周側から径方向に沿って見た状態で示している。本例では、強磁性体として、フェライトコアからなるもので、分岐箇所の外周に配置し易いように一対の半円弧状片を組み合わせて円環状となるものを利用した。巻線は、導電性材料からなるものを用いた。また、本例では、分岐電源部3が冷媒中に浸漬された状態に配置されている。そして、分離箇所の第一超電導層20を流れる交流電流による磁界を利用して分岐電源部3の巻線に誘導電流を生じさせ、その誘導電流を図示しないリード線を介して引き出す。リード線は冷媒槽210、真空槽220を通って接続部の外部に引き出される。このとき、冷媒槽210、真空槽220の各通過箇所はハーメチックシールによりシールしている。
【0063】
上記リード線の端部は、超電導ケーブルの運転に必要な各種の電力機器、例えば、センサーや監視装置、その他、補助冷凍機、補助ポンプなどの機器に接続する。この構成により、これらの電力機器は、分岐電源部により引き出した交流電力を利用して駆動することができる。
【0064】
なお、図4では、第二超電導層40が除去されて電気絶縁層が露出した箇所を分離箇所とし、この分離箇所に分岐電源部3を配置したが、その他の分離箇所として、例えば、第二超電導層40の短絡部41自体も利用できる。この短絡部41は、第二超電導層40が第一超電導層20から分離されて非同軸状に配された箇所であるため、両層20,40を流れる電流による磁界が相殺し合うことがなく、分岐電源部3による電力の引き出しが可能である。この場合、交流重畳部は、第二超電導層40(帰路導体又は中性線)に交流成分を重畳させるようにする。また、図4では分離箇所として利用できる複数の箇所に分岐電源部を配置しているが、これらのいずれか一箇所を選択して分岐電源部を設けてもよい。このことは、図5以降についても同様である。
【0065】
また、この例では、第二超電導層を有する超電導ケーブルについて述べたが、第二超電導層を有していない超電導ケーブル(但し、接地電位としての接地用シールド層を有する)を利用してもよい。例えば、双極送電では、一つのコアの第一超電導層を正極線路、他のコアの第一超電導層を負極線路、別のコアの第一超電導層を中性線とし、これらのうち、少なくとも一つのコアの第一超電導層に交流成分を重畳させてもよい。このとき、コアの任意の箇所に分岐電源部を設けることができる。同様に、単極送電では、一つのコアの第一超電導層を往路線路、他のコアの第一超電導層を帰路線路、別のコアを予備線とし、往路、帰路として利用するコアの少なくとも一方のコアの第一超電導層に交流成分を重畳させてもよい。このことは、図5以降についても同様である。
【0066】
[分岐電源部 例2]
上記例1では、異なる線路を構築するコアの第二超電導層同士を接続した短絡部41を有する構成を示した。更に、図5に示すようにこれら短絡部41を接続し、この短絡接続部41aに分岐電源部3を配置してもよい。この短絡接続部41aは、短絡部41と同様に第一超電導層20から分離されて非同軸状に配置されるため、この接続部41aに分岐電源部3を配置することで、接続部41aを流れる交流電流の磁界から誘導により電力を分岐して取り出すことができる。このような短絡接続部41aは、図6以降に示す実施例についても設けることができる。
【0067】
[分岐電源部 例3]
上記例1では、異なる線路を構築するコアの第二超電導層同士を接続した短絡部を有する構成を示した。この例では、同短絡部を有さず、同じ線路を構築するコアの第二超電導層同士を第一超電導層と並列に接続した中間接続部において、分岐電源部を具える場合を図6に基づいて説明する。
【0068】
図6に示す接続部も、一対の超電導ケーブルの端部において各層を断剥ぎして、導体接続部、絶縁被覆部31を形成し、これら各コア110の接続箇所を一括して冷媒槽210及び真空槽220で覆っている点は例1と同様である。例1と本例との相違点は、異なる線路を構築するコア110の第二超電導層40同士を短絡するのではなく、同じ線路を構築するコア110の第二超電導層40同士を連結部42にて接続し、この連結部42に分岐電源部3を設けたことにある。なお、分岐電源部3の構成は例1と同様であり、この分岐電源部3が冷媒に浸漬されている点も例1と同様である。
【0069】
本例に示す連結部42は、第一超電導層20と同軸状に第二超電導層40が配されていないため、この連結部42に分岐電源部3を配置することで、連結部42を流れる交流電流の磁界から誘導により電力を分岐して取り出すことができる。
【0070】
[分岐電源部 例4]
次に、コアごとに分岐した冷媒槽と、これら冷媒槽の分岐箇所を一括して覆う真空槽とを有する中間接続部において、分岐電源部を具える場合を図7に基づいて説明する。
【0071】
例1〜例3に示す超電導ケーブルの中間接続部では、コア110ごとに分岐して接続構造が形成され、三つの接続箇所が同一の冷媒槽に収納されていた。これに対し、本例に示す中間接続部は、冷媒槽210自体もコア110ごとに分岐している点で相違している。即ち、各コア110の端部には、例1と同様に導体接続部と絶縁被覆部31が形成され、異なる線路を構築するコア間で第二超電導層40が短絡部41により短絡されている。また、短絡部41と絶縁被覆部31との間には、第一超電導層20と第二超電導層40とが非同軸状に配された分離箇所が形成されている。一方、冷媒槽210は、コアごとに分岐されて冷媒分岐部211が形成され、各冷媒分岐部211に上記絶縁被覆部31及び分離箇所がそれぞれ収納されている。この冷媒分岐部211は、そのほぼ中間で左右に2分割可能な部材を用いて形成している。そして、本例では、例1と同様に上記冷媒槽210を一つの真空槽220に収納している。即ち、真空槽220は、分岐されておらず、冷媒槽210の冷媒分岐部211を一括して収納可能な円筒状の容器が利用されている。
【0072】
図7に示す接続部において分岐電源部3は、上記分離箇所の外周に設ける。分岐電源部3の構成は、上記例1と同様である。この分岐電源部3は、冷媒分岐部211の内部における分離箇所に設けてもよいし、冷媒分岐部211の外側で真空槽220の内側の分離箇所に設けてもよい。後者の場合、分岐電源部3に接続したリード線は、冷媒槽210を貫通する必要はなく、真空槽220を貫通するだけでよい。また、分岐電源部3は、短絡部41の外周や、例3のように短絡部を設けず連結部を設けて、この連結部の外周に配置してもよい。このような分離箇所に分岐電源部3を設けることで、接続部から分岐電力を取り出すことができる。
【0073】
[分岐電源部 例5]
次に、冷媒槽だけでなく、真空槽もコアごとに分岐した中間接続部において、分岐電源部を具える場合を図8に基づいて説明する。
【0074】
上記例4では、冷媒槽210に冷媒分岐部211を形成し、真空槽220が分岐されていないものを用いたが、本例では、真空槽220もコア110ごとに分岐した構成としている。つまり、冷媒槽210の冷媒分岐部211を個別に覆うことができるように、真空槽220は、冷媒分岐部211ごとに分岐させた真空分岐部221が形成されている。この真空分岐部221は、冷媒分岐部211と同様に、そのほぼ中間で左右に2分割可能な部材を用いて形成している。なお、真空槽220もコア110ごとに分岐されている点を除いて、中間接続部の構成は上記例3と同様であり、各冷媒分岐部211内に絶縁被覆部31及び分離箇所がそれぞれ収納されている。
【0075】
図8に示す中間接続部の場合、冷媒分岐部211内の分離箇所や、冷媒分岐部211の外側で真空分岐部221の内側の分離箇所の他、真空分岐部221の外側の分離箇所に分岐電源部3を設けることが考えられる。真空分岐部211の外側の分離箇所に分岐電源部3を具える場合、分岐電源部3に接続したリード線は、冷媒槽210や真空槽220を貫通する必要がない。また、分岐電源部3は、短絡部41の外周や、例3のように短絡部を設けず連結部を設けて、この連結部の外周に配置してもよい。このような分離箇所に分岐電源部3を設けることで、例1〜3と同様に接続部から分岐電力を取り出すことができる。
【0076】
[分岐電源部 例6]
上記例1〜5では、多心超電導ケーブルの中間接続部において、分岐電源部を具えて、分岐電力を取り出す構成について説明した。この例では、単心超電導ケーブルの中間接続部から分岐電力を引き出す構成を図9に基づいて説明する。単心超電導ケーブルは、上記3心超電導ケーブルにおけるコアが1心となった構成である。このような単心超電導ケーブルを一条具える(第二超電導層を有していない場合二条)ことで、単極送電線路を構築することができる。また、このような単心超電導ケーブルを二条具える(第二超電導層を有していない場合三条)ことで、双極送電線路を構築することができる。本例では、第二超電導層を有している単心超電導ケーブルを一条用いて単極送電線路を構築した場合を説明する。即ち、各単心超電導ケーブルにおいて第一超電導層が往路線路に利用され、第二超電導層が帰路導体に利用される。
【0077】
本例では、単心超電導ケーブル300が二つ並列され、各ケーブル300には、個別接続部250が形成されている。これら個別接続部250は、超電導ケーブル300の端部において例1と同様に導体接続部を形成し、その上に絶縁被覆部31を設けて構成される。また、各個別接続部250は、それぞれ冷媒槽210に収納されて液体窒素などの冷媒に浸漬される。冷媒槽210の外側は、真空槽220で覆って断熱されている。
【0078】
本例では、隣接する個別接続部250同士の間に、各超電導ケーブル300の第二超電導層40を互いに短絡させる短絡部41を形成する。本例では、絶縁被覆部31の右側と左側のそれぞれに短絡部41を形成しており、絶縁被覆部31の右側に位置する個別接続部250の第二超電導層40同士が短絡部41で接続された閉回路を形成し、同様に絶縁被覆部31の左側に位置する個別接続部250の第二超電導層40同士が短絡部41接続された閉回路を形成する。これら短絡部41は、隣接する冷媒槽210同士及び隣接する真空槽220同士を連結する冷媒連結部212及び真空連結部222で覆われ、液体窒素などの冷媒内に浸漬されている。
【0079】
この短絡部41を分離箇所とし、短絡部41の外周に分岐電源部3を設ける。より具体的には、短絡部41における冷媒槽210の内側、短絡部41における冷媒連結部212の外側で真空連結部222の内側、短絡部41における真空連結部222の外側が挙げられる。その他の分離箇所としては、冷媒連結部212以外の冷媒槽210内であって絶縁被覆部31と短絡部41との間、真空連結部222以外の真空槽220の外側であって絶縁被覆部31と短絡部41との間、短絡接続部41aを設けた場合は短絡接続部41aなどが挙げられる。この例に示すように、単心超電導ケーブル300の接続部からも、分岐電力を取り出すことができる。
【0080】
[分岐電源部 例7]
上記例1〜6では、超電導ケーブルにおいて分岐電力を取り出す構成について説明したが、この例では、常電導ケーブルの中間接続部から分岐電力を引き出す構成を図10に基づいて説明する。常電導ケーブル60は、中心から順に導体、電気絶縁層、電極層を同軸状に有するケーブルコアの外周にシース61を具える構成である。このようなケーブル60同士を接続する中間接続構造は、各コア61端部において電極層、電気絶縁層を断剥ぎして導体を露出させ、接続スリーブなどの接続部材を用いて導体同士を接続し、この導体接続部分及び断剥ぎした各層の端部を覆うように補強絶縁層を設け、その外周に接続ケース62を配置する。接続ケース62は、長手方向に分割可能な分割片を組み合わせたものであり、分割片の接合部64が絶縁材から構成される。そして、各ケーブル60のシース61は、接続ケース62に電気的に接続させている。そこで、図10(A)に示すように接続ケース62の各分割片を接続線63で結合し、この接続線63に分岐電源部3を配置する。接続線63は、導体に対して非同軸状に配された分離箇所であり、分岐電源部3による電力の引き出しが可能である。或いは、図10(B)に示すように接合部64の外周に分岐電源部3を配置してもよい。接合部64は、導体の外周に電極層61及び電極層61と電気的に接続される接続ケース62が存在しないため、分岐電源部3による電力の引き出しが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明電力ケーブル線路は、電力供給に利用することができ、直流送電線路でありながら、線路を運転するための電力機器の駆動に、別途重畳させた交流成分を取り出して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明電力ケーブル線路の概略構成図であり、(A)は、単極送電線路、(B)は、双極送電線路を示す。
【図2】本発明線路に具える交流重畳部の概略構成図であり、(A)は、変圧部を具える構成、(B)は、誘導結合部を具える構成である。
【図3】三心一括型の超電導ケーブルの断面図である。
【図4】三心超電導ケーブルの中間接続部において、分岐電源部を具える概略構成の模式図であり、三心のコアを同一の冷媒槽及び真空槽に収納し、異なる線路を構築するコアの第二超電導層同士を接続した短絡部を有する構成を示す。
【図5】図4に示す三心超電導ケーブルの中間接続部において、短絡部を接続する短絡接続部を有する構成を示す。
【図6】三心超電導ケーブルの中間接続部において、分岐電源部を具える概略構成の模式図であり、三心のコアを同一の冷媒槽及び真空槽に収納し、同じ線路を構築するコアの第二超電導層同士を接続した連結部を有する構成を示す。
【図7】三心超電導ケーブルの中間接続部において、分岐電源部を具える概略構成の模式図であり、コアごとに冷媒槽を分岐し、冷媒槽の分岐箇所を一括して覆う真空槽を具える構成を示す。
【図8】三心超電導ケーブルの中間接続部において、分岐電源部を具える概略構成の模式図であり、コアごとに冷媒槽及び真空槽を分岐して具える構成を示す。
【図9】単心超電導ケーブルの中間接続部において、分岐電源部を具える概略構成の模式図である。
【図10】常電導ケーブルの中間接続部において、分岐電源部を具える概略構成の模式図であり、(A)は、接続線の外周に分岐電源部を具える例、(B)は、接続ケースの接合部の外周に分岐電源部を具える例を示す。
【図11】(A)は、単極送電線路の概略構成図、(B)は、双極送電線路の概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1g,1r,1p,1m,1n 電力ケーブル 2,2A,2B 交流重畳部 2a 強磁性体
2b 巻線 3 分岐電源部
10a,10b 交流電源 11 交流/直流変換器 11p 第一交流/直流変換器
11m 第二交流/直流変換器 12 直流/交流変換器
12p 第一直流/交流変換器 12m 第二直流/交流変換器
13,13p,13m,13n,14,14p,14m,14n リード
15 フォーマ 20 第一超電導層 30 電気絶縁層 40 第二超電導層
50 保護層
31 絶縁被覆部 41 短絡部 41a 短絡接続部 42 連結部
60 常電導ケーブル 61 シース 62 接続ケース 63 接続線 64 接合部
100 超電導ケーブル 110 ケーブルコア 120 断熱管
121 コルゲート内管 122 コルゲート外管 123 空間 124 防食層
200 中間接続部 210 冷媒槽 211 冷媒分岐部 212 冷媒連結部
220 真空槽 221 真空分岐部 222 真空連結部
250 個別接続部
300 単心超電導ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流送配電を行う電力ケーブルと、
前記電力ケーブルに交流成分を重畳する交流重畳部と、
重畳された交流成分により誘導される電力を前記ケーブルから取り出す分岐電源部とを具えることを特徴とする電力ケーブル線路。
【請求項2】
電力ケーブルは、超電導ケーブルであることを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル線路。
【請求項3】
超電導ケーブルは、第一超電導層と、第一超電導層の外周に設けられる電気絶縁層を介して第二超電導層とを同軸状に有しており、
分岐電源部は、ケーブルの接続部において、第一超電導層と第二超電導層とが同軸状になっていない分離箇所に設けられることを特徴とする請求項2に記載の電力ケーブル線路。
【請求項4】
線路で送電される電力を利用する負荷の近傍に配置され、重畳された交流成分が負荷に流れることを低減するフィルタを具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力ケーブル線路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−156310(P2006−156310A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349164(P2004−349164)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】