説明

電力測定ユニット

【課題】小型化を可能とする電力測定ユニットを提供する。
【解決手段】電力測定ユニット100は、複数のコンセント部11a〜11dと、コンセント部11a〜11dの各々に取り付けられた複数の電流センサ12a〜12dと、各電流センサ12a〜12dで検出された値に基づいて、各コンセント部11a〜11dの電力測定を行う測定部14とを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、電力測定ユニットに関し、特に電流値を検出する電流センサを備えた電力測定ユニットに関する。
【0002】
従来、例えばコンセントに接続された機器の消費電力を測定し、機器の消費電力を監視する装置、すなわち電力測定ユニットが知られている。例えば、特許文献1では、コンセント部と、このコンセント部に接続された電気器具の消費電力を測定する電力測定回路とを備えた電力測定装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、コンセント口を有する器体と、このコンセント口に接続された負荷機器への供給電流に基づいて使用電力等を検出して表示するハウジングとを備えた電力量計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−184616号公報
【特許文献2】特開2001−66330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示されたように、コンセントに接続された機器の電力量等を監視する電力測定ユニットは従来から存在したものの、通常使用されるコイル式の電流センサのサイズが大きく、その小型化を実現できていない。
【0006】
そこで本発明は、小型化を可能とする電力測定ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための電力測定ユニットは、機器と接続可能に構成された複数のコンセント部と、上記複数のコンセント部のうち、所定数のコンセント部の各々に取り付けられた複数の電流センサと、上記各電流センサで検出された値に基づいて、上記各コンセント部の電力の使用状態を演算する測定部と、を含む。
【0008】
上記電流センサの出力値は、上記コンセント部に流れる電流に比例した電流出力をするものである。上記電流センサの出力値は、デジタル値であるようにしてもよいし、無線で前記測定部に送信されるように構成してもよい。
【0009】
上記電流センサとしては、磁気センサを用いた電流センサなどがある。上記電流センサにおいて、直流電流および交流電流の計測が可能であるようにしてもよい。この場合、直流成分のオフセット電圧の検出が可能になる等、より好適な電力測定ユニットを構成することとなる。また、シャント抵抗で発生する電力ロスもなく、発熱も起きないこととなるのでより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電力測定ユニットの小型化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態における電力測定電力測定ユニットの構成例を示す図である。
【図2】第1実施形態における電力測定ユニットの外観の一例を示す図である。
【図3】電力測定ユニットの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の電力測定ユニットの一実施形態を、図面を参照して説明する。実施形態に係る電力測定ユニット100は、例えば電源タップ等のように、複数のコンセント部に取り付けられた電流センサの電流値から、各コンセント部の電力測定を行うための電力測定ユニットである。ただし、電力測定ユニットを例えば分電盤に適用して同様の機能を有するように構成することも考えられる。
【0013】
[電力測定ユニットの構成]
図1は、第1実施形態における電力測定ユニット100の構成例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、この電力測定ユニット100は、複数のコンセント部11a,11b,11c,11dと、各コンセント部11a〜11dと電源プラグ13との間に接続された複数の電流センサ12a,12b,12c,12dと、電流センサ12a〜12dの出力値を入力する測定部14とを備える。
【0015】
なお、図1では、電流センサ12a〜12dは、それぞれ、コンセント部11a〜11dに対応して設けられている場合について示しているが、所定数(例えば、コンセント部の総数の一部)のコンセント部のみに対応して電流センサを設けるようにしてもよい。
【0016】
図1において、電源プラグ13は、例えば交流100Vの電路への差し込みが可能に構成されている。電源プラグ13が電路に差し込まれると、電路から電源が供給される。
【0017】
各コンセント部11a〜11dは、機器が接続可能に構成されている。図1の例では、コンセント部の形状は、例えば2極プラグとしているが、接地線付きの3極プラグ等とすることもできる。機器としては、例えば、照明器具、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などがある。
【0018】
各電流センサ12a〜12dは、コンセント部11a〜11dの各負荷電流値が検出可能となっている。各電流センサ12a〜12dとしては、例えば、シャント抵抗やコイル式の電流センサ、磁気センサを用いた電流センサなど、さまざま種類の電流センサを適用することが可能であるが、例えば、直流と交流のいずれも検知可能で、かつ、発熱や電力の損失の少ない磁気センサを用いた電流センサを適用するのが好ましい。その中でも、磁性体コアを有さない磁気センサを用いた電流センサを用いると、電力測定ユニット100の小型化を実現し易くなるので好ましい。
【0019】
また、電流センサ12a〜12dは、測定部14と接続され、測定部14は、電流センサ12a〜12dから、それぞれのコンセントに接続された機器に流れる負荷電流に応じた値を入力するようになっている。これにより、測定部と電流センサの数は同じではなく、測定部の数(図1では、例えば、測定部14の1つ)は、電流センサの数(図1では、例えば、電流センサ12a〜12dの4つ)より少なくすることができる。測定部の数と電流センサの数の比は、1:4とした上記の例に限定されない。測定部の数と電流センサの数の比において、測定部の数の比を1としたときに、電流センサの数の比を2以上としてもよい。この場合において、例えば電流センサの数の比を4以上とすれば、周辺回路の規模やプリント基板の面積を大幅に削減できるという効果がある。電流センサ12a〜12dの出力値は、アナログ値でも、デジタル値でもよい。
【0020】
[測定部の構成]
測定部14は、各電流センサ12a〜12dで検出された値に基づいて、コンセント部11a〜11dに接続された各機器の電力測定を行う。電力測定としては、瞬時電力や積算の電力使用量、電気料金、負荷電流値などがある。
【0021】
測定部14は、例えばLSI(Large Scale Integration)で構成されており、AC/DC回路、メモリおよびプロセッサなどを備える。
【0022】
メモリは、例えば電流センサの温度特性データを保持しており、プロセッサは、その温度特性データに基づいて、電流センサの出力値を補正するようにしてもよい。この場合、電流センサの出力値が補正されることになるので、測定部14では、より正確な電力の使用状態が得られ、好ましい結果を得る。
【0023】
本実施形態では、1つの測定部14が複数の電流センサ12a〜12dからの信号をモニタ(監視)するように構成する場合について説明するが、この構成を採用し、さらに測定部14に高精度の補正回路を設けるようにしてもよい。
【0024】
1つの測定部14が複数の電流センサ12a〜12dからの信号を読みとるには、例えばマルチプレクサなどを利用し、シリアル通信で当該信号のやり取りを行うようにしてもよいし、アナログ信号を複数並列処理してもよい。
【0025】
なお、図1では、1つの測定部14が複数の電流センサ12a〜12dからの信号をモニタ(監視)する場合について説明したが、例えば複数の測定部が、複数の電流センサからの信号をモニタするように構成してもよい。この場合、測定部の数と、電流センサの数との比は、1:m(m=2以上)とするようにする。
【0026】
本実施形態では、測定部14は、例えば、電流センサ12a〜12dに電源を供給するようになっている。なお、電流センサ12a〜12dへの電源供給は、図1に示した構成に限られず、電源回路を設けておき、その電源回路から行う構成を適用することもできる。
【0027】
図2は、電力測定ユニット100の適用態様を示す図である。図2に示すように、上述した電力測定ユニット100は、4口の電源タップとして適用することができる。
【0028】
[電流センサの構成]
次に、本実施形態の電流センサ12a〜12dの構成について説明する。本実施形態では、電流センサ12a〜12dは、磁気センサを用いており、磁性体コアを有さない小型のものが最適である。それ以外の小型の電流センサを適用することも可能である。ただし、磁気センサを用いた電流センサ12a〜12dは、電力損失や発熱を生じない電流センサであり、電力測定ユニット100のサイズを最小とすることができるので好適である。
【0029】
また、電流センサの出力をノイズの重畳しにくい、電流出力タイプのものにすることができる。この構成をとることで、より高精度な電力演算が可能になる。
【0030】
あるいは、電流センサの出力をデジタル出力にすることができる。このようにすると、アナログ出力の電流センサと比較して、ノイズが重畳しにくくなるので、より高精度な電力演算が可能となる。
【0031】
あるいは、電流センサの出力を無線で出力することも可能である。測定部との配線を減らすことができ、電力測定ユニット100の小型化、簡素化が可能になる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の電力測定ユニット100によれば、測定部14は、電流センサ12a〜12dと接続され、各電流センサの出力値に基づいて各コンセント部11a〜11dに接続される機器の電力測定を行うことができる。しかもこの場合、測定部14の数と電流センサ12a〜12dの数との比を1:多(図1の例では、例えば、4)にすることができるため、電力測定ユニット100の小型化を実現できる。
【0033】
なお、電力測定ユニット100の適用例は、本実施形態で例示したものに限られない。例えば図5に示す電力測定ユニット100Aは、壁などに埋め込まれる形態のものであり、例えば3口のコンセント部21a,21b,21cを有する。コンセント部21a〜21cは、配管300内の電源ケーブルで接続される。あるいは、電力測定ユニット100は、分岐ブレーカの二次側の消費電力を測定する分電盤として適用するようにしてもよい。
【0034】
以上、実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はそれらに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更や、他の用途への適用なども含まれる。
【0035】
例えば、電流センサ200は、直流電流および交流電流の計測が可能な構成を例にとって説明したが、例えば、直流電流のみ、または、交流電流のみの計測が可能な構成としてもよい。あるいは、電流センサ200は、ホールセンサ以外の磁気センサを用いて構成するようにしてもよい。
【0036】
電力測定ユニット100,100Aのコンセント部の数は、変更することが可能である。
【0037】
測定部14は1つの場合で説明したが、複数の測定部を備える構成としてもよい。この場合、測定部の数とコンセント部の数との比は、1:m(m=2以上)とするようにするのが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
11a〜11d,21a〜21c コンセント部
12a〜12d,200,300 電流センサ
14 測定部
100 電力測定ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器と接続可能に構成された複数のコンセント部と、
前記複数のコンセント部のうち、所定数のコンセント部の各々に取り付けられた複数の電流センサと、
前記各電流センサの出力値に基づいて、前記各コンセント部の電力測定を行う測定部と、
を含むことを特徴とする電力測定ユニット。
【請求項2】
前記電流センサの出力値は、前記コンセント部に流れる電流に比例した電流出力タイプのものであることを特徴とする請求項1に記載の電力測定ユニット。
【請求項3】
前記電流センサの出力値は、デジタル値であることを特徴とする請求項1または2に記載の電力測定ユニット。
【請求項4】
前記電流センサの出力値は、無線で前記測定部に送信されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電力測定ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−96729(P2013−96729A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237105(P2011−237105)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)