説明

電力管理システム、制御装置、管理サーバ、電力管理方法、および、プログラム

【課題】再生可能エネルギーを用いて発電した電力を、電力管理者が安定して確保し、そして、安定して需要者に供給することを課題とする。
【解決手段】電力を蓄電する複数の蓄電装置(3A、3B)と、複数の蓄電装置(3A、3B)のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置2と、複数の制御装置2のそれぞれとネットワークを介して接続し、複数の制御装置2を制御する管理サーバ1と、を有する電力管理システムであって、管理サーバ1は、ユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の使用権を買い取ると、その蓄電装置(3A、3B)に接続している制御装置2を制御し、その蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の放電を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム、制御装置、管理サーバ、電力管理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として、太陽光や風力等の再生可能エネルギーの活用が注目されている。日本においてもFIT制度の導入などが始まっており、各家庭における太陽光パネルや燃料電池の普及が今後さらに進むと見込まれる。
【0003】
また、電気自動車(以下、「EV」という)の普及も今後進むと予想され、一般需要者が自宅外で電気を購入する場面が増えると見込まれる。
【0004】
さらに、エネルギー供給構造高度化法などの影響で、電力会社は今後再生可能エネルギーの導入量を増やしていくと見込まれる。
【0005】
ここで、特許文献1には、各家庭で自家発電された電力を「売る」または「自家消費する」のいずれが自己(家庭)にとって有利であるかの判断や予測を行う発電システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−16989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
再生可能エネルギーを用いた発電は、発電源が地理的に分散している。また、発電量が天候等に影響されやすく不安定である。このため、電力管理者(電力会社など)が再生可能エネルギーを用いて発電した電力を安定的に活用することは容易でない。
【0008】
そこで、電力管理者(電力会社など)が再生可能エネルギーを用いて発電した電力を安定的に活用するためには、個人が再生可能エネルギーを用いて自家発電した電力を、安定的に買い取る仕組みが必要である。
【0009】
しかし、単に自家発電した電力を売り買いする仕組みが存在するだけでは、電力管理者は十分な量の電力を個人から買い取ることができず、結果、量的にも地理的にも不安定な状態を解消できない恐れがある。
【0010】
このような背景に鑑み、本発明では、再生可能エネルギーを用いて発電した電力を、電力管理者が安定して確保し、そして、安定して需要者に供給することができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、電力を蓄電する複数の蓄電装置と、複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続し、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、を有する電力管理システムであって、前記制御装置は、接続した前記蓄電装置の放電を制御する制御装置側放電制御手段を有し、前記管理サーバは、ユーザ識別情報と、前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報と、を関連付けた情報であるユーザ管理情報を保持するユーザ管理情報保持手段と、複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を、前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持する接続状態管理情報保持手段と、前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付手段と、前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定手段と、前記電力買取決定手段が買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御するサーバ側放電制御手段と、を有する電力管理システムが提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記制御装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記管理サーバが提供される。
【0014】
また、本発明によれば、電力を蓄電する複数の蓄電装置と、複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続し、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、を有する電力管理システムの前記制御装置に実行させるためのプログラムであって、前記管理サーバによる制御に従い、接続した前記蓄電装置の放電を制御する機能をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0015】
また、本発明によれば、電力を蓄電する複数の蓄電装置と、複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、ユーザ識別情報と前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報とを関連付けた情報であるユーザ管理情報、および、複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持し、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続して、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、を有する電力管理システムの前記管理サーバに実行させるためのプログラムであって、前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付ステップと、前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定ステップと、前記電力買取決定ステップで買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御する放電制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0016】
また、本発明によれば、電力を蓄電する複数の蓄電装置と、複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、ユーザ識別情報と前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報とを関連付けた情報であるユーザ管理情報、および、複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持し、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続して、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、を有する電力管理システムの電力管理方法であって、前記管理サーバが、前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付工程と、前記管理サーバが、前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定工程と、前記管理サーバが、前記電力買取決定工程で買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御するサーバ側放電制御工程と、前記制御装置が、前記サーバ側放電制御工程での制御に従い、接続した前記蓄電装置の放電を制御する制御装置側放電制御工程と、を有する電力管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、再生可能エネルギーを用いて発電した電力を、電力管理者が安定して確保し、そして、安定して需要者に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の電力管理システムの概要を説明するための概念図である。
【図2】本実施形態の制御装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の管理サーバの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図4】本実施形態の管理サーバが保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態の管理サーバが保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図6】本実施形態の管理サーバの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の制御装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【図8】本実施形態の管理サーバの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図9】本実施形態の管理サーバが保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図10】本実施形態の管理サーバの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図11】本実施形態の管理サーバが保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図12】本実施形態の管理サーバの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態の管理サーバの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図14】本実施形態の管理サーバが保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図15】本実施形態の管理サーバの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】本実施形態の管理サーバの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図17】本実施形態の管理サーバが保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図18】本実施形態の制御装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【図19】本実施形態の制御装置が保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図20】本実施形態の制御装置が保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図21】本実施形態の制御装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【図22】本実施形態の制御装置が保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【図23】本実施形態の換算装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【図24】本実施形態の管理サーバの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図25】本実施形態の管理サーバが保持する情報の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。すべての図面および明細書中の説明において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0020】
なお、各実施形態の装置を構成する各部は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム(あらかじめ装置を出荷する段階からメモリ内に格納されているプログラムのほか、CD等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムも含む)、そのプログラムを記憶するハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
また、各実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各実施形態の装置は1つの装置により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。
【0022】
<実施形態1>
まず、図1を用いて、本実施形態の電力管理システムの概要の一例について説明する。
【0023】
図1の電力管理システムでは、管理サーバ1と、様々な場所に設置されている複数の制御装置2と、が通信ネットワークを介して接続している。そして、ユーザの自宅に設置されている制御装置2には、EV3Aおよび蓄電池3Bが接続している。また、電力販売者の領域に設置されている制御装置2には、EV3Aが接続している。なお、駐車場に設置されている制御装置2には、EV3Aおよび蓄電池3Bは接続していない。
【0024】
本実施形態では、ユーザは、自己が管理する蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)を制御装置2に接続し、例えば制御装置2に対して所定の入力操作を行うことで、蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)に蓄電されている電力を使用する権利(以下、「電力使用権」という)を電力管理者に譲渡することができる。なお、ユーザは、自宅に設置されている制御装置2の他、例えば、駐車場に設置されている制御装置2や、電力販売者の領域に設置されている制御装置2などに蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)を接続し、電力使用権を電力管理者に譲渡することもできる。
【0025】
電力管理者が管理する管理サーバ1は、例えば制御装置2を介して、所定の蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)に蓄電されている電力の電力使用権を譲渡する入力を受付けると、その蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)が接続している制御装置2を介して、その蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)からの電力の放電を制御する。すなわち、電力管理者は、その蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)に蓄電されている電力を任意に放電することが可能となる。
【0026】
このような構成によれば、電力管理者は、ユーザから蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)に蓄電されている電力の電力使用権を買い取り、そして、任意のタイミングで、買い取った電力を放電することが可能となる。
【0027】
以下、本実施形態の電力管理システムを構成する各装置の構成について説明する。
【0028】
<制御装置2>
図2に、制御装置2の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、制御装置2は、制御装置側放電制御部31と、管理サーバI/F32と、蓄電装置I/F33と、ユーザI/F34と、を有する。なお、さらに接続状態送信部45および/または電力譲渡申込部46を有してもよい。以下、各部の構成について説明する。
【0029】
管理サーバI/F32は、管理サーバ1と情報をやり取りするためのインタフェースである。蓄電装置I/F33は、蓄電装置(3A、3B)と情報をやり取りするためのインタフェースである。ユーザI/F34は、ユーザと情報をやり取りするためのインタフェースである。
【0030】
接続状態送信部45は、制御装置2がいずれかの蓄電装置(3A、3B)と接続すると、例えばそれをトリガに、その蓄電装置(3A、3B)を識別する情報をその蓄電装置(3A、3B)から取得する。そして、接続状態送信部45は、所得した蓄電装置(3A、3B)を識別する情報を管理サーバ1に送信するとともに、その蓄電装置(3A、3B)との接続が解消されると、その旨を示す情報を管理サーバ1に送信する。ここでの「制御装置2と蓄電装置(3A、3B)とが接続」とは、これらの装置が有線または無線で通信可能な状態になっていることを意味する。また、ここでの蓄電装置(3A、3B)は、EVや軽量型蓄電池などのように、通常の使用態様の中で移動(「持ち運び」を含む)することを前提に設計されている蓄電装置であってもよいし、または、各家庭に据え置かれる蓄電池など、通常の使用態様の中で移動することを前提にしていない設計となっている蓄電装置であってもよい。なお、図1に示したEV3Aおよび蓄電池3Bはあくまで一例であり、その他の構成の蓄電装置であっても構わない。このような蓄電装置(3A、3B)には、再生可能エネルギーを利用して発電された電力(以下、「グリーン電力」という)が蓄電されていてもよい。例えば、太陽光発電装置または燃料電池から受取った電力が蓄電されていてもよい。このグリーン電力は、ユーザが自家発電した電力であってもよい。なお、蓄電装置(3A、3B)には、グリーン電力以外の電力が蓄電されていてもよい。しかし、本実施形態は、グリーン電力を活用する手段を提供することを目的としているため、以下では、蓄電装置(3A、3B)にはグリーン電力が蓄電されていることとして説明する。当該前提は、以下のすべての実施形態において同様である。
【0031】
ここで、接続状態送信部45が、管理サーバ1に、接続した蓄電装置(3A、3B)を識別する情報を送信するタイミングは特段制限されず、様々な態様とすることができる。例えば、接続状態送信部45は、接続した蓄電装置(3A、3B)を識別する情報を取得すると、それをトリガに、管理サーバ1に、接続した蓄電装置(3A、3B)を識別する情報を送信してもよい。または、接続状態送信部45は、管理サーバ1から接続状態の問い合わせを受けたのをトリガに、接続状態を示す情報として、接続している蓄電装置(3A、3B)を識別する情報を送信してもよい。かかる場合、いずれの蓄電装置(3A、3B)とも接続していない時は、接続状態送信部45は、その旨を示す情報を管理サーバ1に送信することとなる。なお、管理サーバ1が接続状態送信部45に接続状態を問い合わせるタイミングとしては、例えば、所定の地域で電力を放電するためにその地域に設置されている制御装置2の接続状態を確認する際や、ユーザから電力譲渡の申し込みがあった時にそのユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)がいずれかの制御装置2に接続しているか確認する際など、が考えられる。
【0032】
また、接続状態送信部45が、蓄電装置(3A、3B)との接続が解消された旨を示す情報を管理サーバ1に送信するタイミングについても特段制限されないが、接続が解消されたのをトリガに送信するのが望ましい。なお、接続状態送信部45が、管理サーバ1から接続状態の問い合わせを受けたのをトリガに接続状態を示す情報を送信するように構成している場合であって、接続状態を管理サーバ1に送信していない場合には、接続が解消された旨を示す情報を送信する必要はない。
【0033】
制御装置側放電制御部31は、接続している蓄電装置(3A、3B)に蓄電装置I/F33を介して制御信号を送信し、蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の放電を制御する。すなわち、制御装置側放電制御部31は、接続している蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力を、任意のタイミングで任意の量だけ放電する。なお、制御装置側放電制御部31によるこのような放電制御は、以下で説明する管理サーバ1のサーバ側放電制御部14の制御に従い行われる。制御装置側放電制御部31による電力放電の制御は、従来技術に準じて実現できるので、ここでの説明は省略する。
【0034】
電力譲渡申込部46は、ユーザから、ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理している蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受け付ける。ここでのユーザ識別情報は、例えば、任意のタイミングでユーザからユーザ登録(電力使用権を譲渡するサービスを受けるためのユーザ登録)の申し込みを受付け、その際に発行したユーザ識別情報とすることができる。そして、電力譲渡申込部46は、受付けたユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを、管理サーバI/F32を介して、以下で説明する管理サーバ1に送信する。この時、電力譲渡申込部46は、電力使用権を譲渡する電力が蓄電されている蓄電装置(3A、3B)を識別する情報をも併せてユーザから受付け、ユーザ識別情報等と併せて管理サーバ1に送信してもよい。なお、電力譲渡申込部46は、制御装置2に蓄電装置(3A、3B)が接続しているか否かに関係なく、ユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを受付けることができる。ここでの電力譲渡は、管理サーバ1を管理している電力管理者に対する譲渡を意味する。
【0035】
<管理サーバ1>
図3に、管理サーバ1の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、管理サーバ1は、ユーザ管理情報保持部10と、接続状態管理情報保持部11と、電力譲渡受付部12と、電力買取決定部13と、サーバ側放電制御部14と、制御装置I/F15と、を有する。なお、さらに接続状態管理情報更新部29を有してもよい。以下、各部の構成について説明する。
【0036】
ユーザ管理情報保持部10は、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)を識別する情報と、を関連付けた情報であるユーザ管理情報を保持する。ユーザ管理情報保持部10にこのような情報を登録する手段は特段制限されず、例えば、任意のタイミングでユーザからユーザ登録(電力使用権を譲渡するサービスを受けるためのユーザ登録)の申し込みを受付け、その際にユーザ識別情報を発行してもよい。そして、ユーザ登録の際に併せてユーザが管理している蓄電装置(3A、3B)を識別する情報の入力を受付け、この受付けた情報および発行したユーザ識別情報を利用してユーザ管理情報の登録がなされてもよい。
【0037】
ここで、図4に、ユーザ管理情報保持部10が保持するユーザ管理情報の一例を模式的に示す。図示する例によれば、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)は、「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、「a0002」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、および、「a0003」のユーザ識別情報で特定されるユーザに共有管理されていることが分かる。また、「EV1」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)は、「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザに管理されていることが分かる。また、「EV2」および「据置型2」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A、蓄電池3B)は、「b0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザに管理されていることが分かる。このように、蓄電装置(3A、3B)は、1人のユーザに管理されていてもよいし、複数のユーザに共有管理されていてもよい。
【0038】
接続状態管理情報保持部11は、複数の制御装置2各々に接続している蓄電装置(3A、3B)を識別する情報を、制御装置2各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持する。
【0039】
ここで、図5に、接続状態管理情報保持部11が保持する接続状態管理情報の一例を模式的に示す。図示する例によれば、「000001」の識別情報で特定される制御装置2は、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)、および、「EV1」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)と接続していることが分かる。また、「000002」の識別情報で特定される制御装置2は、「EV2」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)と接続し、「000004」の識別情報で特定される制御装置2は、「据置型2」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)と接続していることが分かる。そして、「000003」の識別情報で特定される制御装置2は、いずれの蓄電装置(3A、3B)とも接続していないことが分かる。このように、制御装置2は、1つ以上の蓄電装置(3A、3B)と接続することができ、また、いずれの蓄電装置(3A、3B)とも接続していない時間帯が存在してもよい。なお、図5に示すその他の情報は、以下で適宜説明する。
【0040】
接続状態管理情報更新部29は、制御装置2の接続状態送信部45が送信した情報を受信すると、受信した情報を基に、接続状態管理情報保持部11が保持する接続状態管理情報(図5参照)を更新する。
【0041】
電力譲渡受付部12は、ユーザから、ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける。電力譲渡受付部12がユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを受付ける手段は特段制限されず、例えば、制御装置2の電力譲渡申込部46がユーザから受付けたユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを、制御装置I/F15を介して取得することで実現してもよい。または、PC、携帯機器などの通信機器を利用し、例えば所定のWebページからユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを受け付けるようにしてもよい。なお、電力譲渡受付部12は、ユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みに加えて、さらに、電力使用権を譲渡する電力が蓄電されている蓄電装置(3A、3B)を特定する情報を受付けてもよい。この情報は、ユーザが複数の蓄電装置(3A、3B)を管理している場合などに、1つの蓄電装置(3A、3B)を特定するために利用することができる。
【0042】
電力買取決定部13は、電力譲渡の申し込みに応じて、ユーザから電力使用権を買い取ることを決定する。電力買取決定部13の処理は、以下のようなものであってもよい。
【0043】
例えば、電力買取決定部13は、電力譲渡受付部12が受付けたユーザ識別情報をキーとしてユーザ管理情報(図4参照)を検索することで、そのユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)を特定し、そして、その特定した蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の電力使用権を買い取ることを決定してもよい。その他の例としては、例えば、電力買取決定部13は、電力譲渡受付部12が受付けたユーザ識別情報をキーとしてユーザ管理情報(図4参照)を検索することでそのユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)を特定し、その後、特定した蓄電装置(3A、3B)の識別情報をキーとして接続状態管理情報(図5参照)を検索し、その蓄電装置(3A、3B)がいずれかの制御装置2に接続しているか確認する。そして、その蓄電装置(3A、3B)がいずれかの制御装置2に接続している場合には、その蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の電力使用権を買い取ることを決定してもよい。一方、その蓄電装置(3A、3B)がどの制御装置2とも接続していない場合には、電力買取決定部13は、電力譲渡の申し込みに応じず電力使用権を買い取らないと決定してもよい。その他、電力譲渡受付部12がユーザから、譲渡する電力が蓄電されている蓄電装置(3A、3B)を特定する情報を受付けた場合には、電力買取決定部13は、その蓄電装置(3A、3B)がいずれかの制御装置2に接続しているか否かを判断し、接続されている場合にはその蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の電力使用権を買い取ることを決定してもよい。
【0044】
サーバ側放電制御部14は、電力買取決定部13が電力使用権の買い取りを決定すると、電力譲渡の申し込みを行ったユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に接続している制御装置2に制御信号を送信し、その蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の放電を制御する。すなわち、管理サーバを管理する電力管理者は、その蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力を自由に放電することが可能となる。なお、放電を制御した蓄電装置(3A、3B)から電力を放電するタイミングは、電力管理者が任意に決定することができる。例えば、EV3Aなど移動型の蓄電装置に蓄電されている電力の電力使用権を買い取った場合には、電力使用権を買い取ったタイミングで放電してもよい。また、蓄電池3Bなどの据置型の蓄電装置(常時、制御装置2に接続されている蓄電装置)に蓄電されている電力の電力使用権を買い取った場合には、電力使用権を買い取った時点から所定時間経過後の任意のタイミングで放電してもよい。このようなタイミングでの放電は、管理サーバ1を管理する電力管理者からの指示入力に応じて行われてもよいし、または、所定のプログラムの処理に従い行われてもよい。
【0045】
次に、本実施形態の管理サーバ1の処理の流れの一例を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
まず、管理サーバ1は、ユーザから電力譲渡の申し込みを受付けると(ステップS1:電力譲渡受付部12)、電力使用権を買い取ることを決定する(ステップS2:電力買取決定部13)。
【0047】
次いで、管理サーバ1は、電力使用権を買い取ることを決定した電力が蓄電されている蓄電装置(3A、3B)に接続している制御装置2を制御することで、その蓄電装置(3A、3B)からの電力の放電を制御する(ステップS3:サーバ側放電制御部14)。
【0048】
その後、管理サーバ1は、任意のタイミングで、ステップS3で放電を制御した蓄電装置(3A、3B)から電力を放電する(ステップS4:サーバ側放電制御部14)。
【0049】
このような本実施形態の電力管理システムによれば、電力管理者は、ユーザから蓄電装置(3A、3B)に蓄電されているグリーン電力の電力使用権を買い取り、そして、任意のタイミングで、買い取った電力を系統に流して、活用することが可能となる。
【0050】
結果、電力管理者は、活用するグリーン電力の量を増やすことができるほか、様々な地域のユーザからグリーン電力を買い取ることで、地理的要因に起因するグリーン電力運営の不安定をも解消することができ、系統の安定化と、再生可能エネルギーの導入量増加を同時に実現できる。
【0051】
なお、上記説明によれば、以下に示すプログラムの発明、および、電力管理方法の発明の説明もなされている。
【0052】
電力を蓄電する複数の蓄電装置と、複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続し、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、を有する電力管理システムの前記制御装置に実行させるためのプログラムであって、前記管理サーバによる制御に従い、接続した前記蓄電装置の放電を制御する機能をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0053】
電力を蓄電する複数の蓄電装置と、複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、ユーザ識別情報と前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報とを関連付けた情報であるユーザ管理情報、および、複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持し、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続して、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、を有する電力管理システムの前記管理サーバに実行させるためのプログラムであって、前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付ステップと、前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定ステップと、前記電力買取決定ステップで買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御する放電制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0054】
電力を蓄電する複数の蓄電装置と、複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、ユーザ識別情報と前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報とを関連付けた情報であるユーザ管理情報、および、複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持し、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続して、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、を有する電力管理システムの電力管理方法であって、前記管理サーバが、前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付工程と、前記管理サーバが、前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定工程と、前記管理サーバが、前記電力買取決定工程で買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御するサーバ側放電制御工程と、前記制御装置が、前記サーバ側放電制御工程での制御に従い、接続した前記蓄電装置の放電を制御する制御装置側放電制御工程と、を有する電力管理方法。
【0055】
<実施形態2>
本実施形態の電力管理システムは、実施形態1を基本とし、以下の点で相違する。まず、本実施形態の概要の一例について説明する。
【0056】
本実施形態の管理サーバ1は、ユーザから、数量を指定して電力譲渡の申し込みを受付ける。そして、その数量分の電力使用権を買い取ると、ユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の、電力使用権を買い取った分の電力のみの放電を制御する。すなわち、それ以外の電力については、ユーザが自由に放電することができる。
【0057】
例えば、電力管理者が、ユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている30kw分の電力の内、10kw分の電力使用権を買い取った場合を考える。かかる場合、電力管理者は、その蓄電装置(3A、3B)から10kw分の電力を任意のタイミングで放電することが可能となる。一方、電力使用権を譲渡したユーザは、蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の、電力使用権を譲渡した分を差し引いた後に残る電力を自由に放電できる。なお、ここでの「電力使用権を譲渡した分」は、当初10kwであるが、電力管理者による放電に連動して減少していく概念である。
【0058】
以下、本実施形態の電力管理システムを構成する各装置の構成について説明する。
【0059】
<制御装置2>
本実施形態の制御装置2は、実施形態1の制御装置2を基本とする。図7に、本実施形態の制御装置2の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、制御装置2は、制御装置側放電制御部31と、管理サーバI/F32と、蓄電装置I/F33と、ユーザI/F34と、蓄電量取得部35と、蓄電量送信部36と、を有する。なお、さらに接続状態送信部45および/または電力譲渡申込部46を有してもよい。以下、各部の構成について説明する。管理サーバI/F32、蓄電装置I/F33、ユーザI/F34、および、接続状態送信部45については実施形態1における説明と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
蓄電量取得部35は、接続した蓄電装置(3A、3B)の蓄電量を示す情報をその蓄電装置から取得する。蓄電量取得部35が蓄電量を示す情報を取得する手段は特段制限されず、例えば、蓄電装置(3A、3B)に備え付けられている蓄電量を示すメータの情報を、接続した蓄電装置(3A、3B)から取得することで実現してもよい。
【0061】
なお、蓄電量取得部35が蓄電量を取得するタイミングは特段制限されないが、例えば、制御装置2が蓄電装置(3A、3B)と接続したタイミングで、蓄電量を示す情報を取得してもよい。そして、その後、蓄電量取得部35は、制御装置2が蓄電装置(3A、3B)と接続している間は、常時または間欠的に蓄電量を示す情報を取得し続けてもよい。例えば、蓄電量取得部35は、一定時間おき(例:0.1秒おき、1秒おき、1分おき、5分おきなど)に蓄電装置(3A、3B)から蓄電量を示す情報を取得し続けてもよい。
【0062】
蓄電量送信部36は、蓄電量取得部35が取得した、接続している蓄電装置(3A、3B)の蓄電量を示す情報(以下、「蓄電量情報」という)を、接続している蓄電装置(3A、3B)を識別する情報と関連付けて、管理サーバ1に送信する。
【0063】
なお、蓄電量送信部36は、蓄電量取得部35が取得したすべての蓄電量情報をリアルタイムで管理サーバ1に送信してもよいし、または、蓄電量の変動量が所定の値より大きい間はすべての蓄電量情報をリアルタイムで送信し、蓄電量の変動量が所定の値より小さい間は比較的長い一定時間おき(例:5分おき、10分おきなど)の蓄電量情報をリアルタイムで管理サーバ1に送信してもよい。蓄電量の変動量は、蓄電量取得部35が取得した情報を基に算出することができる。その他、蓄電量送信部36は、管理サーバ1から蓄電量情報の問い合わせを受けたのをトリガに、その時点で最新の蓄電量情報を管理サーバ1に送信してもよい。管理サーバ1が蓄電量情報を問い合わせるタイミングとしては、例えば、所定の地域で電力を放電する際や、ユーザから電力譲渡の申し込みがあった際などが考えられる。
【0064】
電力譲渡申込部46は、実施形態1の構成を基本とし、ユーザからユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを受付ける際、併せて、電力使用権を譲渡する電力量を示す情報を受付ける。そして、電力譲渡申込部46は、受付けたユーザ識別情報等と併せて、譲渡する電力量を示す情報をも管理サーバ1に送信する。
【0065】
制御装置側放電制御部31は、接続している蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の所定量の電力の放電を制御する。すなわち、管理サーバ1を管理する電力管理者は、その蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)に蓄電されている電力の中の所定量の電力を自由に放電することが可能となる。制御装置側放電制御部31による所定量の電力の放電は、例えば、蓄電装置(3A、3B)に備え付けられている蓄電量を示すメータの情報や、蓄電量取得部35が取得した蓄電量情報を利用して実現することができる。
【0066】
ここで、制御装置側放電制御部31は、放電制御の1つの形態として、最低限所定量の電力が蓄電装置(3A、3B)に蓄電され続けるよう、接続している蓄電装置(3A、3B)を制御してもよい。ここでの所定量は、電力管理者が電力使用権を買い取った量が該当する。また、ここでの「電力使用権を買い取った量」(以下、「買取量」という)は、管理サーバ1(サーバ側放電制御部14)からの制御によりその蓄電装置(3A、3B)から電力を放電すると、減少していく概念である。このような構成を実現する手段は特段制限されず、例えば、制御装置側放電制御部31は、常時、接続している蓄電装置(3A、3B)の蓄電量から買取量を差し引いた値を監視し、この値が所定値以上の場合は、ユーザおよび電力管理者の両方が自由に放電できるようにし、この値が所定値より小さい場合は、ユーザはその蓄電装置(3A、3B)から放電できず、電力管理者のみがその蓄電装置(3A、3B)から放電できるように制御することで実現してもよい。なお、制御装置側放電制御部31が買取量を取得する手段は特段制限されず、以下で説明する管理サーバ1の放電可能電力量情報保持部18が保持している情報を取得することで実現してもよい。または、以下の実施形態で説明するように制御装置2内で買取量を管理している場合には(譲渡電力量管理部38)、その情報を取得することで実現してもよい。
<管理サーバ1>
【0067】
本実施形態の管理サーバ1は、実施形態1の管理サーバ1を基本とする。図8に、本実施形態の管理サーバ1の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、管理サーバ1は、ユーザ管理情報保持部10と、接続状態管理情報保持部11と、電力譲渡受付部12と、電力買取決定部13と、サーバ側放電制御部14と、制御装置I/F15と、蓄電量受信部16と、譲渡量受付部17と、を有する。なお、さらに放電可能電力量情報保持部18および放電可能電力量情報更新部19を有してもよいし、これらに加えてまたは代えて、接続状態管理情報更新部29を有してもよい。以下、各部の構成について説明する。なお、ユーザ管理情報保持部10、接続状態管理情報保持部11、電力譲渡受付部12、制御装置I/F15、および、接続状態管理情報更新部29については実施形態1における説明と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
蓄電量受信部16は、制御装置2の蓄電量送信部36が送信してきた蓄電量情報を受信する。
【0069】
譲渡量受付部17は、ユーザから電力譲渡の申し込みと併せて、譲渡する電力量を受付ける。譲渡する電力量を受付ける手段は特段制限されず、実施形態1で説明した電力譲渡受付部12がユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを受付ける手段に準じて実現することができる。
【0070】
電力買取決定部13は、実施形態1の構成を基本とし、電力譲渡受付部12が受付けたユーザ識別情報をキーとしてユーザ管理情報(図4参照)および接続状態管理情報(図5参照)を検索し、そのユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)であって、いずれかの制御装置2と接続している1つ以上の蓄電装置(3A、3B)を特定した後、特定した1つ以上の蓄電装置(3A、3B)の蓄電量を考慮して、電力使用権を買い取ることを決定する。なお、図5に示すように、いずれかの制御装置2に接続している蓄電装置(3A、3B)には、蓄電量受信部16が受信した蓄電情報を基に、蓄電量を関連付けることができる。
【0071】
例えば、電力買取決定部13は、図5に示すような情報を利用し、譲渡の申し込みがあった電力量、および、そのユーザが管理している蓄電装置(3A、3B)であって、その時点でいずれかの制御装置2と接続している蓄電装置(3A、3B)の蓄電量の範囲内で、電力使用権を買い取ることを決定してもよい。なお、ユーザが複数の蓄電装置(3A、3B)を管理している場合には、電力買取決定部13は、譲渡の申し込みがあった電力量、および、そのユーザが管理している蓄電装置(3A、3B)であって、その時点でいずれかの制御装置2と接続している複数の蓄電装置(3A、3B)の総蓄電量の範囲内で、電力使用権を買い取ることを決定してもよい。
【0072】
放電可能電力量情報保持部18は、電力使用権の買い取りによりサーバ側放電制御部14が放電制御可能となっている電力量を示す情報である放電可能電力量情報を保持する。
【0073】
ここで、図9に、放電可能電力量情報保持部18が保持する放電可能電力量情報の一例を模式的に示す。図9に示す例では、サーバ側放電制御部14は、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)に蓄電されている電力の中の3kw分の放電を制御できることが分かる。また、この3kw分の電力は、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)を管理するユーザ識別情報「a0002」のユーザからの申し込みに応じて買い取った分(1kw)と、ユーザ識別情報「a0003」のユーザから申し込みに応じて買い取った分(2kw)の合計値であることが分かる。また、サーバ側放電制御部14は、「据置型2」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)に蓄電されている電力の中の2kw分の放電を制御できることが分かる。しかし、サーバ側放電制御部14は、「EV1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)および「EV2」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)に蓄電されている電力の放電を制御することはできないことが分かる。
【0074】
放電可能電力量情報更新部19は、サーバ側放電制御部14による電力の放電を示す放電情報を取得するとともに、放電情報および電力買取決定部13による決定内容を基に、放電可能電力量情報(図9参照)を更新する。「放電情報」には、電力を放電した蓄電装置(3A、3B)を識別する情報および放電した量を示す情報が含まれる。また、電力買取決定部13による「決定内容」には、電力使用権を買い取った電力が蓄電されている蓄電装置(3A、3B)を識別する情報および電力使用権を買い取った電力量を示す情報が含まれる。電力買取決定部13による決定内容には、さらに、電力使用権を譲渡したユーザのユーザ識別情報が含まれてもよい。
【0075】
サーバ側放電制御部14は、実施形態1の構成を基本とし、放電可能電力量情報(図9参照)に基づいて、蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の放電を制御する。すなわち、放電可能電力量情報(図9参照)に基づいて電力を放電する蓄電装置(3A、3B)および放電量を決定し、決定内容に従い電力を放電する。なお、サーバ側放電制御部14は、EV3Aから電力を放電する際は、最低限所定量の電力がEV3Aに残るように放電量を決定してもよい。EV3Aが電力不足により移動できない状態になるのを回避するためである。
【0076】
本実施形態の管理サーバ1の処理の流れは、実施形態1の管理サーバ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
このような本実施形態の電力管理システムによれば、電力管理者は、前もってユーザから蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)に蓄電されているグリーン電力の電力使用権を買い取り確保することで放電可能な電力量を把握することができ、そして、所定の電力使用計画などに基づき任意のタイミングで、買い取った電力を放電することが可能となる。
【0078】
すなわち、電力管理者は、系統に流れるグリーン電力の量を計画的に制御することが可能となり、結果、系統の安定化と、再生可能エネルギーの導入量増加が実現できる。
【0079】
また、ユーザは、自家発電したグリーン電力の内、自己が使用する電力を除いた電力を電力管理者に譲渡することができるので、自己消費および譲渡を適切に両立させることができ、結果、自家発電したグリーン電力を有効的に活用することが可能となる。
【0080】
<実施形態3>
本実施形態の電力管理システムは、実施形態1または2を基本とし、以下の点で相違する。まず、本実施形態の概要の一例について説明する。
【0081】
本実施形態の管理サーバ1は、ユーザから、蓄電装置(3A、3B)に蓄積されている電力の中の所定量を差し引いた後に残る余剰電力の電力使用権を電力管理者が任意に買い取ることができる条件での譲渡、および、前記所定量の申し込みを受付ける。かかる場合、電力管理者は、ユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄積されている余剰電力の電力使用権を、任意のタイミングで、自由に買い取ることが可能となる。また、ユーザは、蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている自己が設定した所定量分の電力を自由に使用することができる。
【0082】
以下、本実施形態の電力管理システムを構成する各装置の構成について説明する。
【0083】
<制御装置2>
本実施形態の制御装置2は、実施形態1または2の制御装置2を基本とする。なお、本実施形態の制御装置2の機能ブロック図の一例は、実施形態2の制御装置2の機能ブロック図(図7参照)と同様となる。図7に示すように、本実施形態の制御装置2は、制御装置側放電制御部31と、管理サーバI/F32と、蓄電装置I/F33と、ユーザI/F34と、蓄電量取得部35と、蓄電量送信部36と、を有する。なお、さらに接続状態送信部45および/または電力譲渡申込部46を有してもよい。以下、各部の構成について説明する。なお、制御装置側放電制御部31、管理サーバI/F32、蓄電装置I/F33、ユーザI/F34、蓄電量取得部35、蓄電量送信部36、および、接続状態送信部45については実施形態1または2における説明と同様であるので、説明を省略する。
【0084】
電力譲渡申込部46は、実施形態1または2の構成を基本とし、ユーザから、電力譲渡の申し込みと併せて、申し込みを行ったユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄積されている電力の中の所定量を差し引いた後に残る余剰電力の電力使用権を電力管理者が任意に買い取ることができる条件での譲渡(以下、「条件譲渡」という)、および、所定量の申し込みを受付ける。所定量はユーザが任意に定めることができる量であり、例えば、ユーザが自らEVやその他の電化製品を駆動するために使用する予定の電力量であってもよい。なお、電力譲渡申込部46は、受付けたユーザ識別情報等と併せて、条件譲渡の申し込みを受けた旨を示す情報および上述の所定量を示す情報を管理サーバ1に送信する。
【0085】
<管理サーバ1>
本実施形態の管理サーバ1は、実施形態1または2の管理サーバ1を基本とする。図10に、管理サーバ1の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、管理サーバ1は、ユーザ管理情報保持部10と、接続状態管理情報保持部11と、電力譲渡受付部12と、電力買取決定部13と、サーバ側放電制御部14と、制御装置I/F15と、蓄電量受信部16と、条件譲渡受付部20と、条件情報保持部21と、を有する。なお、さらに、接続状態管理情報更新部29を有してもよい。また、接続状態管理情報更新部29に加えてまたは代えて、図示していないが譲渡量受付部17を有してもよし、これに加えてまたは代えて、放電可能電力量情報保持部18および放電可能電力量情報更新部19を有してもよい。以下、各部の構成について説明する。なお、ユーザ管理情報保持部10、接続状態管理情報保持部11、電力譲渡受付部12、制御装置I/F15、蓄電量受信部16、譲渡量受付部17、放電可能電力量情報保持部18、放電可能電力量情報更新部19、および、接続状態管理情報更新部29については実施形態1または2における説明と同様であるので、説明を省略する。
【0086】
条件譲渡受付部20は、ユーザから、電力譲渡の申し込みと併せて、申し込みを行ったユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄積されている電力の中の所定量を差し引いた後に残る余剰電力の電力使用権を電力管理者が任意に買い取ることができる条件での譲渡(以下、「条件譲渡」という)、および、所定量の申し込みを受付ける。条件譲渡受付部20が、条件譲渡の申し込みおよび上記所定量の申し込みを受付ける手段は特段制限されず、実施形態1で説明した電力譲渡受付部12がユーザ識別情報および電力譲渡の申し込みを受付ける手段に準じて実現することができる。
【0087】
条件情報保持部21は、ユーザ識別情報と、条件譲渡受付部20が受付けた条件譲渡および上記所定量の内容を示す条件情報と、を関連付けて保持する。
【0088】
ここで、図11に、条件情報保持部21が保持する条件情報の一例を模式的に示す。図11に示す例では、電力管理者は、ユーザ識別情報「a0001」のユーザから2つの条件譲渡の申し込みを受付けていることが分かる。また、電力管理者は、ユーザ識別情報「a0001」のユーザが管理する「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)に蓄電されている電力の中の、10kwを差し引いた後に残る余剰電力の電力使用権を任意に買い取れることが分かる。なお、条件情報には上記所定量以外の条件が付されてもよい。例えば図11に示す例のように、ユーザ識別情報「a0001」のユーザが管理する「EV1」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)が「000002」の識別情報で特定される制御装置2に接続している場合に限り、その蓄電措置(EV1)に蓄電されている電力の中の、5kwを差し引いた後に残る余剰電力の電力使用権を任意に電力管理者が購入できるような条件であってもよい。なお、これはあくまで一例であり、条件情報にはその他の条件が付されてもよい。
【0089】
電力買取決定部13は、実施形態1または2の構成を基本とし、条件情報(図11参照)、接続状態管理情報(図5参照)、および、蓄電装置(3A、3B)の蓄電量を示す蓄電量情報を利用して、条件情報に基づいた電力使用権の買い取りが可能な蓄電装置(3A、3B)を特定した後、特定した蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の電力使用権を買い取ることを決定する。
【0090】
例えば、電力買取決定部13は、まず、条件情報(図11参照)を利用して、条件情報に基づいた電力使用権の買い取りが可能な蓄電装置(3A、3B)を特定する。その後、電力買取決定部13は、接続状態管理情報(図5参照)を利用し、特定した蓄電装置(3A、3B)の中の、その時点でいずれかの制御装置2と接続している蓄電装置(3A、3B)を抽出する。次いで、電力買取決定部13は、抽出した蓄電装置(3A、3B)各々の蓄電量と、条件情報を利用して、その時点で電力使用権を買い取ることが可能な余剰電力を有している蓄電装置(3A、3B)を特定し、特定した蓄電装置(3A、3B)から所定量の電力使用権を買い取ることを決定する。上記処理の流れはあくまで一例であり、電力買取決定部13はその他の処理の流れにより、電力使用権を買い取ることを決定してもよい。なお、条件情報に上記所定量以外のその他の条件が付されている場合においても、上記処理例に準じて、電力買取決定部13は、電力使用権を買い取ることを決定することができる。
【0091】
サーバ側放電制御部14は、実施形態1または2の構成を基本とし、電力買取決定部13が条件情報に基づいて電力使用権を買い取った電力量の範囲内で、蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の放電を制御する。
【0092】
次に、本実施形態の管理サーバ1の処理の流れの一例を、図12のフローチャートを用いて説明する。
【0093】
まず、管理サーバ1は、条件情報に基づいた電力使用権の買い取りを行う際、条件情報(図11参照)を利用し、条件情報に基づいた電力使用権の買い取りが可能な蓄電装置(3A、3B)を特定する(ステップS1:電力買取決定部13)。
【0094】
その後、管理サーバ1は、接続状態管理情報(図5参照)を利用し、ステップS1で特定した蓄電装置(3A、3B)の中の、その時点でいずれかの制御装置2と接続している蓄電装置(3A、3B)を抽出する(ステップS2:電力買取決定部13)。
【0095】
次いで、管理サーバ1は、ステップS2で抽出した蓄電装置(3A、3B)各々の蓄電量と、条件情報を利用して、その時点で電力使用権を買い取ることが可能な余剰電力を有している蓄電装置(3A、3B)を特定する(ステップS3:電力買取決定部13)。
【0096】
その後、管理サーバ1は、ステップS3で特定した蓄電装置(3A、3B)の中のいずれかの蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の所定量の電力使用権を買い取ることを決定する(ステップS4:電力買取決定部13)。
【0097】
次いで、管理サーバ1は、電力使用権を買い取ることを決定した蓄電装置(3A、3B)に接続している制御装置2を制御することで、その蓄電装置(3A、3B)からの電力の放電を制御する(ステップS5:サーバ側放電制御部14)。
【0098】
その後、管理サーバ1は、任意のタイミングで、ステップS5で放電を制御した蓄電装置(3A、3B)から電力を放電する(ステップS6:サーバ側放電制御部14)。
【0099】
このような本実施形態の電力管理システムによれば、電力管理者は、ユーザから蓄電装置(EV3A、蓄電池3Bなど)に蓄電されているグリーン電力の中の余剰電力の電力使用権を任意のタイミングで任意の量だけ買い取り、任意のタイミングで買い取った電力を放電することが可能となる。
【0100】
すなわち、電力管理者は、電力使用権を買い取ってはいないが、潜在的に買い取ったものとして扱うことができる補助的なグリーン電力の確保を実現することができ、結果、系統の安定化と、再生可能エネルギーの導入量増加が実現できる。
【0101】
また、ユーザは、上述したような条件での譲渡を申し込めば、それ以降は、自家発電したグリーン電力の内、自己が使用する電力を除いた余剰電力を、面倒な手続きなしに電力管理者に譲渡することができる。すなわち、ユーザは、余剰電力が発生する都度、その余剰電力を電力管理者に譲渡する申し込みを行う必要がない。このため、その都度の余剰電力の申し込みが面倒などの理由により譲渡の申し込みを行わず、そのままユーザが管理する蓄電装置に余剰電力が長い間蓄電された状態となってしまうという不都合を回避することができ、結果、グリーン電力を効率的に活用することが可能となる。
【0102】
<実施形態4>
本実施形態の電力管理システムは、実施形態1乃至3のいずれか1つを基本とし、以下の点で相違する。まず、本実施形態の概要の一例について説明する。
【0103】
本実施形態の管理サーバ1は、制御装置2の位置情報を保持する。そして、いずれかの蓄電装置(3A、3B)から電力を放電する際、電力を供給する地域に設置されている制御装置2、または、その近隣に設置されている制御装置2に接続している蓄電装置(3A、3B)から、電力を放電する。
【0104】
このような構成によれば、電力の輸送距離を最小限に抑えることができ、結果、電力輸送による電力損失を抑制することができる。
【0105】
以下、本実施形態の電力管理システムを構成する各装置の構成について説明する。
【0106】
<制御装置2>
本実施形態の制御装置2は、実施形態1乃至3のいずれか1つと同様の構成とすることができる。よって、ここでの説明は省略する。
【0107】
<管理サーバ1>
本実施形態の管理サーバ1は、実施形態1乃至3のいずれか1つを基本とし、さらに位置情報保持部30を有する。図13に、管理サーバ1の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、管理サーバ1は、ユーザ管理情報保持部10と、接続状態管理情報保持部11と、電力譲渡受付部12と、電力買取決定部13と、サーバ側放電制御部14と、制御装置I/F15と、蓄電量受信部16と、譲渡量受付部17と、放電可能電力量情報保持部18と、放電可能電力量情報更新部19と、条件譲渡受付部20と、条件情報保持部21と、接続状態管理情報更新部29と、位置情報保持部30と、を有する構成とすることができる。以下、各部の構成について説明する。なお、位置情報保持部30、および、サーバ側放電制御部14以外のすべての部については、実施形態1乃至3のいずれか1つにおける説明と同様であるので、説明を省略する。
【0108】
位置情報保持部30は、制御装置2が設置された位置を示す情報(以下、「位置情報」という)を保持する。ここで、図14に、位置情報の一例を模式的に示す。図14に示す例によれば、「000001」の識別情報で特定される制御装置2は「α地域」に設置され、「000002」の識別情報で特定される制御装置2および「000003」の識別情報で特定される制御装置2は「β地域」に設置され、「000003」の識別情報で特定される制御装置2は「γ地域」に設置されていることが分かる。なお、位置情報は、この例のように一定の範囲を占める地域を示す情報であってもよいし、その他、各制御装置2が設置された位置を緯度・経度で特定した情報であってもよい。一定の範囲を占める地域を示す情報は、例えば、住所の都道府県名、市名、区名、町名または村名であってもよいし、または郵便番号であってもよい。これはあくまで一例であり、一定の範囲を有する地域を示す情報はその他の情報であってもよい。
【0109】
サーバ側放電制御部14は、制御装置2が設置された位置を考慮して、電力を放電する蓄電装置(3A、3B)を決定する。すなわち、サーバ側放電制御部14は、位置情報(図14参照)を利用し、電力を放電する蓄電装置(3A、3B)を決定する。例えば、サーバ側放電制御部14は、以下のような処理を行ってもよい。
【0110】
まず、サーバ側放電制御部14は、電力を供給する地域を示す情報を取得する。この情報を取得する手段は特段制限されないが、例えば、電力管理者が入力した情報を取得することで実現してもよいし、または、電力を需要者に供給するために動作しているプログラムに基づいて決定された電力を供給する地域を示す情報を取得することで実現してもよい。例えば、サーバ側放電制御部14は、電力を供給する地域を示す情報として、「α地域」を取得したとする。
【0111】
その後、サーバ側放電制御部14は、位置情報(図14参照)を検索し、電力を供給する地域に設置されている制御装置2を特定する。例えば、サーバ側放電制御部14は、「α地域」に設置されている制御装置2を検索し、「000001」の識別情報で特定される制御装置2などを特定する。
【0112】
次いで、サーバ側放電制御部14は、接続状態管理情報(図5参照)を検索し、特定した制御装置2に接続している蓄電装置(3A、3B)を抽出する。例えば、サーバ側放電制御部14は、「000001」の識別情報で特定される制御装置2に接続している「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)および「EV1」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)などを抽出する。
【0113】
その後、サーバ側放電制御部14は、例えば、放電可能電力量情報(図9参照)を検索し、抽出した蓄電装置(3A、3B)の中の、電力使用権を買い取った放電可能な電力を蓄電している蓄電装置(3A、3B)を特定する。例えば、サーバ側放電制御部14は、3kw分の放電可能な電力を蓄電している「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)などを特定する。そして、サーバ側放電制御部14は、特定した蓄電装置(蓄電池3B)から、所定量の電力を放電する。その後、放電可能電力量情報(図9参照)は、放電可能電力量情報更新部19により更新される。
【0114】
その他、サーバ側放電制御部14は、接続状態管理情報(図5参照)を検索し、特定した制御装置2に接続している蓄電装置(3A、3B)を抽出した後、その中から、条件情報(図11参照)に基づいて電力使用権を買い取ることが可能な蓄電装置(3A、3B)を特定し、特定した蓄電装置(3A、3B)から所定量の電力を放電してもよい。
【0115】
次に、本実施形態の管理サーバ1の処理の流れの一例を、図15のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の処理は、サーバ側放電制御部14により実現される。
【0116】
まず、管理サーバ1は、電力を供給する地域を特定する(ステップS1)。その後、管理サーバ1は、位置情報(図14参照)を検索し、ステップS1で特定した地域に設置されている制御装置2を特定する(ステップS2)。
【0117】
次いで、管理サーバ1は、接続状態管理情報(図5参照)を検索し、ステップS2で特定した制御装置2に接続している蓄電装置(3A、3B)を抽出する(ステップS3)。
【0118】
その後、管理サーバ1は、放電可能電力量情報(図9参照)を検索し、および/または、条件情報(図11参照)を利用して、ステップS3で抽出した蓄電装置(3A、3B)の中から、電力を放電する蓄電装置(3A、3B)を決定する(ステップS4)。
【0119】
そして、管理サーバ1は、ステップS4で決定した蓄電装置(3A、3B)に接続している制御装置2を制御し、電力を放電する(ステップS5)。
【0120】
このような本実施形態の電力管理システムによれば、電力管理者は、ユーザから電力使用権を買い取ったグリーン電力を、輸送距離を最小限に抑えて他の需要者に供給することができる。このため、電力輸送による電力損失を抑制することができる。
【0121】
すなわち、電力管理者は、ユーザから電力使用権を買い取ったグリーン電力を、無駄なく効率的に活用することができる。
【0122】
<実施形態5>
本実施形態の電力管理システムは、実施形態1乃至4のいずれか1つを基本とし、以下の点で相違する。まず、本実施形態の概要の一例について説明する。
【0123】
本実施形態の制御装置2は、いずれか1以上のユーザが行った電力使用権の譲渡に関する情報を管理することができる。例えば、図1に示す例の場合、ユーザの自宅に設置されている制御装置2は、そのユーザが行った電力使用権の譲渡に関する情報を管理することができる。
【0124】
このような構成によれば、ユーザは、自己が行った電力使用権の譲渡に関する情報を容易に把握することができ、結果、自己が管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力を、適切に管理(自己消費・譲渡)することが可能となる。
【0125】
以下、本実施形態の電力管理システムを構成する各装置の構成について説明する。
【0126】
<管理サーバ1>
本実施形態の管理サーバ1は、実施形態1乃至4のいずれか1つを基本とし、さらに、サーバ側管理ユーザ情報保持部23および決定内容送信部24を有する。なお、さらに、放電情報送信部25を有してもよい。図16に、本実施形態における管理サーバ1の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、管理サーバ1は、ユーザ管理情報保持部10と、接続状態管理情報保持部11と、電力譲渡受付部12と、電力買取決定部13と、サーバ側放電制御部14と、制御装置I/F15と、蓄電量受信部16と、譲渡量受付部17と、放電可能電力量情報保持部18と、放電可能電力量情報更新部19と、条件譲渡受付部20と、条件情報保持部21と、サーバ側管理ユーザ情報保持部23と、決定内容送信部24と、放電情報送信部25と、接続状態管理情報更新部29と、位置情報保持部30と、を有する構成とすることができる。以下、各部の構成について説明する。なお、サーバ側管理ユーザ情報保持部23、決定内容送信部24、および、放電情報送信部25以外のすべての部については、実施形態1乃至4のいずれか1つにおける説明と同様であるので、説明を省略する。
【0127】
サーバ側管理ユーザ情報保持部23は、制御装置2を識別する情報と、その制御装置2が電力使用権の譲渡に関する情報を管理すべきユーザのユーザ識別情報と、を関連付けて保持する。「電力使用権の譲渡に関する情報」とは、ユーザが電力使用権を譲渡した量を示す情報や、ユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の管理サーバ1により放電を制御されている電力量を示す情報や、ユーザが電力使用権を譲渡することで得た債権を示す情報などが考えられる。なお、ユーザが電力使用権を譲渡することで得た債権を示す情報については、以下の実施形態で説明する。
【0128】
ここで、図17に、サーバ側管理ユーザ情報保持部23が保持する情報の一例を模式的に示す。図17に示す例では、「000001」の識別情報で特定される制御装置2は、「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、「a0002」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、および、「a0003」のユーザ識別情報で特定されるユーザの電力使用権の譲渡に関する情報を管理していることが分かる。このように制御装置2は、複数のユーザの電力使用権の譲渡に関する情報を管理してもよいし、または、1人のユーザのみの電力使用権の譲渡に関する情報を管理してもよい。その他、制御装置2は、ユーザの電力使用権の譲渡に関する情報を全く管理していなくてもよい。
【0129】
なお、図17に示すような情報が作成される手段は特段制限されないが、以下のようなものであってもよい。例えば、制御装置2は、ユーザから所定の入力(ユーザ識別情報、および、電力使用権の譲渡に関する情報を管理する指示入力)を受付けたのをトリガに、電力使用権の譲渡に関する情報の管理を開始する。そして、制御装置2は、電力使用権の譲渡に関する情報の管理を開始すると、管理サーバ1にその旨及び管理するユーザのユーザ識別情報を送信する。そして、管理サーバ1は、受信した情報に基づき、サーバ側管理ユーザ情報保持部23が保持する情報(図17参照)を作成してもよい。なお、制御装置2が所定のユーザの電力使用権の譲渡に関する情報の管理を開始する手段は上記例に限定されず、その他の手段であってもよい。
【0130】
決定内容送信部24は、電力買取決定部13が電力使用権を買い取ることを決定すると、その決定内容を、その電力使用権を譲渡したユーザに関連付けられている制御装置2に送信する。「電力使用権を譲渡したユーザに関連付けられている制御装置2」とは、サーバ側管理ユーザ情報保持部23が保持する情報(図17参照)において、電力使用権を譲渡したユーザに関連付けられている制御装置2のことである。すなわち、電力使用権を譲渡したユーザの電力使用権の譲渡に関する情報を管理している制御装置2のことである。なお、ここでの「決定内容」には、電力使用権を譲渡したユーザのユーザ識別情報、電力使用権を譲渡した電力量、および、譲渡した電力が蓄電されている蓄電装置(3A、3B)を識別する情報が含まれる。
【0131】
放電情報送信部25は、サーバ側放電制御部14による電力の放電を示す放電情報を、電力を放電した蓄電装置(3A、3B)を管理するユーザが関連付けられている制御装置2に送信する。「電力を放電した蓄電装置(3A、3B)を管理するユーザが関連付けられている制御装置2」とは、サーバ側管理ユーザ情報保持部23が保持する情報(図17参照)において、電力を放電した蓄電装置(3A、3B)を管理するユーザが関連付けられている制御装置2のことである。なお、ここでの「放電情報」には、電力を放電した蓄電装置(3A、3B)を識別する情報、および、放電した量を示す情報が含まれる。
【0132】
<制御装置2>
本実施形態の制御装置2は、実施形態1乃至4のいずれか1つを基本とし、さらに、制御装置側管理ユーザ情報保持部37、譲渡電力量管理部38、決定内容受信部39、電力量更新部40、および、管理蓄電装置情報保持部47を有する。なお、さらに、放電情報受信部41を有してもよい。図18に、制御装置2の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、制御装置2は、制御装置側放電制御部31と、管理サーバI/F32と、蓄電装置I/F33と、ユーザI/F34と、蓄電量取得部35と、蓄電量送信部36と、制御装置側管理ユーザ情報保持部37と、譲渡電力量管理部38と、決定内容受信部39と、電力量更新部40と、放電情報受信部41と、接続状態送信部45と、電力譲渡申込部46と、管理蓄電装置情報保持部47と、を有する構成とすることができる。以下、各部の構成について説明する。なお、制御装置側管理ユーザ情報保持部37、譲渡電力量管理部38、決定内容受信部39、電力量更新部40、放電情報受信部41、および、管理蓄電装置情報保持部47以外のすべての部については、実施形態1乃至4のいずれか1つにおける説明と同様であるので、説明を省略する。
【0133】
制御装置側管理ユーザ情報保持部37は、電力使用権の譲渡に関する情報を管理すべきユーザのユーザ識別情報を保持する。「電力使用権の譲渡に関する情報」は、上記説明の通りであるのでここでの説明は省略する。例えば、制御装置2は、ユーザから所定の入力(ユーザ識別情報、および、電力使用権の譲渡に関する情報を管理する指示入力)を受付けると、制御装置側管理ユーザ情報保持部37に入力を受付けたユーザ識別情報を保持させるとともに、そのユーザ識別情報で特定されるユーザの電力使用権の譲渡に関する情報の管理を開始するよう構成してもよい。
【0134】
管理蓄電装置情報保持部47は、制御装置側管理ユーザ情報保持部37が保持するユーザ識別情報に関連付けて、ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する蓄電装置(3A、3B)を識別する情報を保持する。
【0135】
ここで、図19に、管理蓄電装置情報保持部47が保持する情報の一例を模式的に示す。図19に示す例では、この制御装置2は「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、「a0002」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、および、「a0003」のユーザ識別情報で特定されるユーザの電力使用権の譲渡に関する情報を管理していることが分かる。そして、「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザは「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)、および、「EV1」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)を管理しており、「a0002」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、および、「a0003」のユーザ識別情報で特定されるユーザは、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)を管理していることが分かる。すなわち、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)は、「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、「a0002」のユーザ識別情報で特定されるユーザ、および、「a0003」のユーザ識別情報で特定されるユーザに共有管理されていることが分かる。
【0136】
譲渡電力量管理部38は、管理蓄電装置情報保持部47が保持する蓄電装置(3A、3B)を識別する情報と関連付けて、その蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の電力使用権を譲渡している電力量を管理する。なお、電力使用権を譲渡している電力量は、管理サーバ1(サーバ側放電制御部14)の制御により蓄電装置(3A、3B)から電力を放電すると減少していく概念である。
【0137】
ここで、譲渡電力量管理部38は、例えば図20に示すような情報を用いて、上記管理を実現してもよい。図20に示す例では、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)に蓄電されている電力の中の3kw分の放電が制御されていることが分かる。また、この3kw分の電力は、「据置型1」の識別情報で特定される蓄電装置(蓄電池3B)を管理するユーザ識別情報「a0002」のユーザが譲渡した分(1kw)と、ユーザ識別情報「a0003」のユーザが譲渡した分(2kw)の合計値であることが分かる。そして、「EV1」の識別情報で特定される蓄電装置(EV3A)に蓄電されている電力は全く放電を制御されていないことが分かる。
【0138】
なお、譲渡電力量管理部38は、ユーザからの指示入力に従い、図20に示すような情報を、出力してもよい。出力手段は特段制限されず、ディスプレイ、スピーカ、印刷装置などのあらゆる出力装置を利用して実現することができる。
【0139】
決定内容受信部39は、管理サーバ1の決定内容送信部24から送信されてきた、電力買取決定部13による決定内容を受信する。「決定内容」は、上述の通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0140】
放電情報受信部41は、管理サーバ1の放電情報送信部25から送信されてきた、放電情報を受信する。「放電情報」は、上述の通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0141】
電力量更新部40は、決定内容受信部39が受信した決定内容を基に、譲渡電力量管理部38が管理する電力量を更新する。また、電力量更新部40は、放電情報受信部41が受信した放電情報を基に、譲渡電力量管理部38が管理する電力量を更新してもよい。例えば、電力量更新部40は、決定内容および放電情報に基づいて、譲渡電力量管理部38が電力管理に利用している図20に示すような情報を更新する。
【0142】
本実施形態によれば、ユーザは、自己が行った電力使用権の譲渡に関する情報を容易に把握することができる。すなわち、ユーザは、自己が管理している蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の、どれだけ分の電力を自由に放電できるかを容易に把握することができる。その結果、自己が管理している蓄電装置(3A、3B)に蓄電されている電力の中の余剰電力を容易に把握することができ、その余剰電力を電力管理者に譲渡したり自己消費したりすることで効率的に活用することが可能となる。
【0143】
<実施形態6>
本実施形態の電力管理システムは、実施形態5を基本とし、以下の点で相違する。まず、本実施形態の概要の一例について説明する。
【0144】
本実施形態の制御装置2は、ユーザが電力使用権を譲渡した電力量に相当する対価を電力管理者に対して請求する債権を示す情報を保持する。そして、ユーザは、この債権をあらゆる場面で活用することができる。
【0145】
例えば、ユーザは、この債権を利用して、電力管理者に対して金銭を請求することができてもよい。また、ユーザは、図1に示すような電力販売者から電力を購入した場合、この債権を利用して、その代金を支払うことができてもよい。かかる場合、電力販売者は、ユーザから取得した債権を利用して、電力管理者に金銭を請求することとなる。その他、ユーザは、この債権を買い物や旅行などに利用できる所定のポイントに換算できてもよい。
【0146】
このような構成によれば、ユーザは、グリーン電力を利用して日々の生活の利便性を向上させることができる。その結果、当該システムを利用するユーザが増加することが期待され、電力管理者は、多くの電力使用権を購入し、安定的にグリーン電力の運用を行うことが可能となる。
【0147】
以下、本実施形態の電力管理システムを構成する各装置の構成について説明する。
【0148】
<管理サーバ1>
本実施形態の管理サーバ1は、実施形態1乃至5のいずれか1つと同様の構成とすることができる。よって、ここでの説明は省略する。
【0149】
<制御装置2>
本実施形態の制御装置2は、実施形態5の制御装置を基本とし、さらに、債権情報保持部42、制御装置側債権利用情報取得部43、および、債権情報更新部44を有する。図21に、制御装置2の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、制御装置2は、制御装置側放電制御部31と、管理サーバI/F32と、蓄電装置I/F33と、ユーザI/F34と、蓄電量取得部35と、蓄電量送信部36と、制御装置側管理ユーザ情報保持部37と、譲渡電力量管理部38と、決定内容受信部39と、電力量更新部40と、放電情報受信部41と、債権情報保持部42と、制御装置側債権利用情報取得部43と、債権情報更新部44と、接続状態送信部45と、電力譲渡申込部46と、管理蓄電装置情報保持部47と、を有する構成とすることができる。以下、各部の構成について説明する。なお、債権情報保持部42、制御装置側債権利用情報取得部43、および、債権情報更新部44以外のすべての部については、実施形態1乃至5のいずれか1つにおける説明と同様であるので、説明を省略する。
【0150】
債権情報保持部42は、制御装置側管理ユーザ情報保持部37が保持するユーザ識別情報と関連付けて、電力使用権を譲渡することでユーザが取得した債権を示す債権情報を保持する。ここでの債権は、ユーザが電力使用権を譲渡した電力量に相当する対価を電力管理者に対して請求する債権である。債権情報には、ユーザが電力使用権を譲渡した電力量を示す情報が含まれている。
【0151】
ここで、図22に、債権情報保持部42が保持する債権情報の一例を模式的に示す。図22に示す例では、「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザは、数量を指定して電力使用権を譲渡した4kw分の債権(実施形態2参照)、および、条件譲渡により取得した7kw分の債権(実施形態3参照)を保持していることが分かる。また、「a0002」のユーザ識別情報で特定されるユーザは、数量を指定して電力使用権を譲渡した1kw分の債権(実施形態2参照)を保持し、「a0003」のユーザ識別情報で特定されるユーザは、数量を指定して電力使用権を譲渡した2kw分の債権(実施形態2参照)を保持していることが分かる。
【0152】
制御装置側債権利用情報取得部43は、債権をユーザが利用した内容を示す債権利用情報を取得する。
【0153】
ここで、ユーザによる債権の利用はあらゆる態様が考えられるが、以下のようなものであってもよい。例えば、ユーザは、債権を利用し、電力管理者から電力使用権を譲渡した電力量に相当する金銭を受領できてもよい。その他、ユーザは、債権を利用し、電力管理者から購入した電力の代金を相殺できてもよい。その他、ユーザは、図1に示すような電力販売者から電力を購入した際に、債権を譲渡することで、購入した電力の代金を支払うことができてもよい。かかる場合、電力販売者は、取得した債権を利用して、電力管理者に金銭を請求することができる。その他、ユーザは、債権を利用して、買い物や旅行に利用できるポイントを購入することができてもよい。
【0154】
ユーザによる上述のような債権の利用を実現するため、本実施形態の電力管理システムは、通信ネットワークを介して管理サーバ1および制御装置2と接続している換算装置4を有してもよい。
【0155】
図23に、換算装置4の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、換算装置4は、換算受付部48と、換算ルール保持部49と、換算部50と、換算値出力部51と、を有する。
【0156】
換算受付部48は、ユーザから、債権として保持する電力量を、他の単位に換算する申し込みを受け付ける。具体的には、換算受付部48は、ユーザ識別情報、換算する他の単位(円、所定のポイントなど)の指定、および、他の単位に換算する電力量などの入力を受付ける。換算受付部48が上記入力を受付ける手段は特段制限されず、例えば、制御装置2を介してユーザから上記入力を受付けてもよいし、または、PC、携帯機器などの通信機器を利用し、所定のWebページから上記入力を受付けてもよい。
【0157】
換算ルール保持部49は、電力量を他の単位に換算する換算ルールを保持する。例えば、換算ルール保持部49は、他の単位ごとに、電力量を他の単位に換算する換算レートを保持する。
【0158】
換算部50は、ユーザからの申し込みに応じ、換算ルール保持部49が保持する換算ルールに従い、電力量を所定の単位に換算する。なお、換算部50は、以下の実施形態で説明する管理サーバ1の債務情報保持部26が保持する債務情報を利用し、ユーザが債権を保持することを確認した後に、所定の換算を行ってもよい。
【0159】
換算値出力部51は、換算後の値を使用するための情報を出力する。例えば、換算値出力部51は、電力量を円に換算した値を、ユーザ識別情報と関連付けて、電力管理者が管理する金銭支払装置に出力してもよい。その後、金銭支払装置は、換算値出力部51から受付けた値の金銭を、ユーザ識別情報で特定されるユーザに支払う処理を行う(所定の口座への振り込みなど)。その他、例えば、換算値出力部51は、ユーザに所定の電子記録媒体(電子カード、携帯電話など)の提示を求め、提示された電子記録媒体(電子カード、携帯電話など)と通信することで、電力量を所定のポイントに換算した値をその電子カードに記録してもよい。または、換算値出力部51は、管理サーバ1と通信し、そのユーザの電力使用権の譲渡に関する情報を管理している制御装置2を特定すると、その制御装置2に対して、電力量を所定のポイントに換算した値を記録したバーコードやQRコードを出力してもよい。または、換算値出力部51は、ユーザが指定するメールアドレスに、電力量を所定のポイントに換算した値を記録したバーコードやQRコードを出力してもよい。
【0160】
本実施形態の制御装置2の制御装置側債権利用情報取得部43は、上述のような換算装置4から、債権をユーザが利用した内容を示す債権利用情報を取得してもよい。債権利用情報には、債権を利用したユーザのユーザ識別情報と、利用した電力量を示す情報が含まれる。
【0161】
債権情報更新部44は、決定内容受信部39が取得した決定内容、および、制御装置側債権利用情報取得部43が取得した債権利用情報を基に、債権情報保持部42が保持する債権情報(図22参照)を更新する。「決定内容」および「債権利用情報」は上述の通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0162】
本実施形態によれば、ユーザは、自己が所有する蓄電装置に蓄電されているグリーン電力を利用し、日々の生活の利便性を向上させることができる。
【0163】
例えば、ユーザは、図1に示すような電力販売者から購入した電力の支払いを、グリーン電力の電力使用権を譲渡したことで取得した債権を利用して行うことができる。なお、購入した電力の代金分の債権がなかった場合には、不足分はその他の手段(金銭など)で支払うことができてもよい。
【0164】
その他、ユーザは、図1に示すような電力販売者から電力を購入したタイミングで、自宅に配置している蓄電装置(蓄電池3B)に蓄電されている電力を電力管理者に譲渡することで債権を取得し、その債権で、購入した電力の支払いを行うこともできる。かかる場合、見掛け上、ユーザは、購入した電力を、自家発電した電力で相殺していることとなる。
【0165】
また、ユーザは、グリーン電力の電力使用権を譲渡したことで取得した債権をポイントに変換し、そのポイントを利用して、買い物や旅行などを行うこともできる。
【0166】
本実施形態によれば、グリーン電力の電力使用権を譲渡することによるユーザメリットを十分に実現することができるので、グリーン電力の電力使用権を譲渡するユーザの数が増加することが期待される。その結果、電力管理者は、多くの電力使用権を購入することができ、安定的にグリーン電力の運用を行うことが可能となる。
【0167】
<実施形態7>
本実施形態の電力管理システムは、実施形態1乃至6のいずれか1を基本とし、以下の点で相違する。まず、本実施形態の概要の一例について説明する。
【0168】
本実施形態の管理サーバ1は、ユーザから電力使用権を買い取った電力量に相当する対価をユーザに対して支払う債務を示す情報を保持する。このような構成によれば、電力管理者は、ユーザによる上記債務に対応する債権の使用を管理することができる。
【0169】
以下、本実施形態の電力管理システムを構成する各装置の構成について説明する。
【0170】
<制御装置2>
本実施形態の制御装置2は、実施形態1乃至6のいずれか1つと同様の構成とすることができる。よって、ここでの説明は省略する。
【0171】
<管理サーバ1>
本実施形態の管理サーバ1は、実施形態1乃至6のいずれか1つを基本とし、さらに、債務情報保持部26、サーバ側債権利用情報取得部27、および、債務情報更新部28を有する。図24に、管理サーバ1の構成の一例を示す機能ブロック図を示す。図示するように、管理サーバ1は、ユーザ管理情報保持部10と、接続状態管理情報保持部11と、電力譲渡受付部12と、電力買取決定部13と、サーバ側放電制御部14と、制御装置I/F15と、蓄電量受信部16と、譲渡量受付部17と、放電可能電力量情報保持部18と、放電可能電力量情報更新部19と、条件譲渡受付部20と、条件情報保持部21と、サーバ側管理ユーザ情報保持部23と、決定内容送信部24と、放電情報送信部25と、債務情報保持部26と、サーバ側債権利用情報取得部27と、債務情報更新部28と、接続状態管理情報更新部29と、位置情報保持部30と、を有する構成とすることができる。以下、各部の構成について説明する。なお、債務情報保持部26、サーバ側債権利用情報取得部27、および、債務情報更新部28以外のすべての部については、実施形態1乃至6のいずれか1つにおける説明と同様であるので、説明を省略する。
【0172】
債務情報保持部26は、ユーザ識別情報と関連付けて、電力使用権を買い取ったことで管理サーバ1を管理する電力管理者が負った債務を示す債務情報を保持する。ここでの債務は、ユーザから電力使用権を買い取った電力量に相当する対価をユーザに対して支払う債務である。債務情報には、ユーザから電力使用権を買い取った電力量を示す情報が含まれている。
【0173】
ここで、図25に、債務情報保持部26が保持する債務情報の一例を模式的に示す。図25に示す例では、電力管理者は、「a0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザに対して、ユーザが指定した数量分の電力使用権を買い取った4kw分の債務(実施形態2参照)、および、条件譲渡により買い取った7kw分の債務(実施形態3参照)を負っていることが分かる。また、電力管理者は、「a0002」のユーザ識別情報で特定されるユーザに対して、ユーザが指定した数量分の電力使用権を買い取った1kw分の債務(実施形態2参照)を負い、「a0003」のユーザ識別情報で特定されるユーザに対して、ユーザが指定した数量分の電力使用権を買い取った2kw分の債務(実施形態2参照)を負い、さらに、「b0001」のユーザ識別情報で特定されるユーザに対して、ユーザが指定した数量分の電力使用権を買い取った3kw分の債務(実施形態2参照)を負っていることが分かる。
【0174】
サーバ側債権利用情報取得部27は、上記債務に対応する債権を前記ユーザが利用した内容を示す債権利用情報を取得する。「債務に対応する債権」の債務および債権は、同一の譲渡行為(電力使用権の譲渡行為)に起因して生じた債権と債務のことである。なお、サーバ側債権利用情報取得部27の構成は、実施形態6で説明した制御装置側債権利用情報取得部43と同様の構成とすることができる。よって、ここでの説明は省略する。
【0175】
債務情報更新部28は、電力買取決定部13による決定内容、および、債権利用情報を基に、債務情報(図25参照)を更新する。「決定内容」および「債権利用情報」は上述の通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0176】
本実施形態によれば、グリーン電力の譲渡により債権を取得したユーザによる債権の使用を、電力管理者は管理することができる。その結果、電力管理者は債権の使用場面を安心して増やすことができ、ユーザの利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0177】
このため、グリーン電力の電力使用権を譲渡するユーザの数が増加することが期待され、結果、電力管理者は、多くの電力使用権を購入することができ、安定的にグリーン電力の運用を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0178】
1 管理サーバ
2 制御装置
3A EV(蓄電装置)
3B 蓄電池(蓄電装置)
4 換算装置
10 ユーザ管理情報保持部
11 接続状態管理情報保持部
12 電力譲渡受付部
13 電力買取決定部
14 サーバ側放電制御部
15 制御装置I/F
16 蓄電量受信部
17 譲渡量受付部
18 放電可能電力量情報保持部
19 放電可能電力量情報更新部
20 条件譲渡受付部
21 条件情報保持部
23 サーバ側管理ユーザ情報保持部
24 決定内容送信部
25 放電情報送信部
26 債務情報保持部
27 サーバ側債権利用情報取得部
28 債務情報更新部
29 接続状態管理情報更新部
30 位置情報保持部
31 制御装置側放電制御部
32 管理サーバI/F
33 蓄電装置I/F
34 ユーザI/F
35 蓄電量取得部
36 蓄電量送信部
37 制御装置側管理ユーザ情報保持部
38 譲渡電力量管理部
39 決定内容受信部
40 電力量更新部
41 放電情報受信部
42 債権情報保持部
43 制御装置側債権利用情報取得部
44 債権情報更新部
45 接続状態送信部
46 電力譲渡申込部
47 管理蓄電装置情報保持部
48 換算受付部
49 換算ルール保持部
50 換算部
51 換算値出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄電する複数の蓄電装置と、
複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、
複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続し、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、
を有する電力管理システムであって、
前記制御装置は、
接続した前記蓄電装置の放電を制御する制御装置側放電制御手段を有し、
前記管理サーバは、
ユーザ識別情報と、前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報と、を関連付けた情報であるユーザ管理情報を保持するユーザ管理情報保持手段と、
複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を、前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持する接続状態管理情報保持手段と、
前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付手段と、
前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定手段と、
前記電力買取決定手段が買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御するサーバ側放電制御手段と、
を有する電力管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力管理システムにおいて、
前記制御装置は、
接続した前記蓄電装置の蓄電量を示す情報をその蓄電装置から取得する蓄電量取得手段と、
前記蓄電装置の前記蓄電量を示す蓄電量情報を、前記管理サーバに送信する蓄電量送信手段と、をさらに有し、
前記管理サーバは、
前記蓄電量情報を受信する蓄電量受信手段と、
前記ユーザから、前記電力譲渡の申し込みと併せて、譲渡する電力量を受付ける譲渡量受付手段と、をさらに有し、
前記電力買取決定手段は、
前記電力譲渡受付手段が受付けた前記ユーザ識別情報をキーとして前記ユーザ管理情報および前記接続状態管理情報を検索し、そのユーザが管理する前記蓄電装置であって、いずれかの前記制御装置と接続している1つ以上の前記蓄電装置を特定した後、特定した1つ以上の前記蓄電装置の蓄電量を考慮して、前記電力使用権を買い取ることを決定する、
電力管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電力管理システムにおいて、
前記管理サーバは、
前記電力使用権の買い取りにより前記サーバ側放電制御手段が放電制御可能となっている電力量を示す情報である放電可能電力量情報を保持する放電可能電力量情報保持手段と、
前記サーバ側放電制御手段による電力の放電を示す放電情報を取得するとともに、前記放電情報および前記電力買取決定手段による決定内容を基に、前記放電可能電力量情報を更新する放電可能電力量情報更新手段と、をさらに有し、
前記サーバ側放電制御手段は、前記放電可能電力量情報に基づいて、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御する、電力管理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電力管理システムにおいて、
前記制御装置は、
接続した前記蓄電装置の蓄電量を示す情報をその蓄電装置から取得する蓄電量取得手段と、
前記蓄電装置の前記蓄電量を示す蓄電量情報を、前記管理サーバに送信する蓄電量送信手段と、をさらに有し、
前記管理サーバは、
前記蓄電量情報を受信する蓄電量受信手段と、
前記ユーザから、前記電力譲渡の申し込みと併せて、申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に蓄積されている電力の中の所定量を差し引いた後に残る余剰電力の前記電力使用権を任意に買い取ることができる条件での譲渡および前記所定量の申し込みを受付ける条件譲渡受付手段と、
前記ユーザ識別情報と、前記条件および前記所定量の内容を示す条件情報と、を関連付けて保持する条件情報保持手段と、をさらに有し、
前記電力買取決定手段は、
前記条件情報、前記接続状態管理情報、および、前記蓄電量情報を利用して、前記条件での前記電力使用権の買い取りが可能な前記蓄電装置を特定した後、特定した前記蓄電装置に蓄電されている電力の前記電力使用権を買い取ることを決定し、
前記サーバ側放電制御手段は、前記電力使用権を買い取った電力量の範囲内で、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御する、電力管理システム。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の電力管理システムにおいて、
前記管理サーバは、
前記制御装置を識別する情報と、その制御装置が前記電力使用権の譲渡に関する情報を管理すべき前記ユーザの前記ユーザ識別情報と、を関連付けて保持するサーバ側管理ユーザ情報保持手段と、
前記電力買取決定手段が前記電力使用権を買い取ることを決定すると、その決定内容を、その電力使用権を譲渡した前記ユーザに関連付けられている前記制御装置に送信する決定内容送信手段と、をさらに有し、
前記制御装置は、
前記電力使用権の譲渡に関する情報を管理すべき前記ユーザの前記ユーザ識別情報を保持する制御装置側管理ユーザ情報保持手段と、
前記制御装置側管理ユーザ情報保持手段が保持する前記ユーザ識別情報に関連付けて、前記ユーザ識別情報で特定される前記ユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報を保持する管理蓄電装置情報保持手段と、
前記管理蓄電装置情報保持手段が保持する前記蓄電装置を識別する情報と関連付けて、その蓄電装置に蓄電されている電力の中の前記電力使用権を譲渡している電力量を管理する譲渡電力量管理手段と、
前記決定内容送信手段から、前記電力買取決定手段による決定内容を受信する決定内容受信手段と、
前記決定内容を基に、前記譲渡電力量管理手段が管理する電力量を更新する電力量更新手段と、
を有する電力管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電力管理システムにおいて、
前記管理サーバは、
前記サーバ側放電制御手段による電力の放電を示す放電情報を、電力を放電した前記蓄電装置を管理する前記ユーザに関連付けられている前記制御装置に送信する放電情報送信手段をさらに有し、
前記制御装置は、
前記放電情報送信手段から前記放電情報を受信する放電情報受信手段を有し、
前記電力量更新手段は、前記放電情報を基に、前記譲渡電力量管理手段が管理する電力量を更新する電力管理システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の電力管理システムにおいて、
前記制御装置は、
前記制御装置側管理ユーザ情報保持手段が保持する前記ユーザ識別情報と関連付けて、前記電力使用権を譲渡することで前記ユーザが取得した債権を示す債権情報を保持する債権情報保持手段と、
前記債権を前記ユーザが利用した内容を示す債権利用情報を取得する制御装置側債権利用情報取得手段と、
前記電力買取決定手段による決定内容、および、前記債権利用情報を基に、前記債権情報を更新する債権情報更新手段と、をさらに有する電力管理システム。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか1項に記載の電力管理システムにおいて、
前記管理サーバは、
前記ユーザ識別情報と関連付けて、前記電力使用権を買い取ったことで前記管理サーバを管理する電力管理者が負った債務を示す債務情報を保持する債務情報保持手段と、
前記債務に対応する債権を前記ユーザが利用した内容を示す債権利用情報を取得するサーバ側債権利用情報取得手段と、
前記電力買取決定手段による決定内容、および、前記債権利用情報を基に、前記債務情報を更新する債務情報更新手段と、をさらに有する電力管理システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電力管理システムにおいて、
前記ユーザから、前記債権として保持する電力量を、他の単位に換算する申し込みを受け付ける換算受付手段と、
電力量を他の単位に換算する換算ルールを保持する換算ルール保持手段と、
前記ユーザからの申し込みに応じ、前記換算ルールに従い、前記電力量を所定の単位に換算する換算手段と、
換算後の値を使用するための情報を出力する換算値出力手段と、
を有する換算装置をさらに有し、
前記ユーザによる債権の使用は、
前記換算装置を利用した他の単位への変換、または、他の前記ユーザから電力を買い取ることによる相殺である電力管理システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電力管理システムにおいて、
前記制御装置は、
前記蓄電装置と接続すると、その蓄電装置を識別する情報をその蓄電装置から取得し、前記管理サーバに送信するとともに、その蓄電装置との接続が解消されると、その旨を示す情報を前記管理サーバに送信する接続状態送信手段をさらに有し、
前記管理サーバは、
前記接続状態送信手段が送信した情報を受信すると、受信した情報を基に、前記接続状態管理情報を更新する接続状態管理情報更新手段をさらに有する電力管理システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電力管理システムにおいて、
前記管理サーバは、
複数の前記制御装置が設置された位置を示す情報を保持する位置情報保持手段をさらに有し、
前記サーバ側放電制御手段は、前記制御装置が設置された位置を考慮して、電力を放電する前記蓄電装置を決定する電力管理システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の電力管理システムにおいて、
前記蓄電装置は、
据置型の蓄電装置と、移動型の蓄電装置と、を含む電力管理システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の電力管理システムにおいて、
前記蓄電装置は、太陽光発電装置または燃料電池から電力を受取り、蓄電する電力管理システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項16】
電力を蓄電する複数の蓄電装置と、
複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、
複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続し、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、
を有する電力管理システムの前記制御装置に実行させるためのプログラムであって、
前記管理サーバによる制御に従い、接続した前記蓄電装置の放電を制御する機能をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
電力を蓄電する複数の蓄電装置と、
複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、
ユーザ識別情報と前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報とを関連付けた情報であるユーザ管理情報、および、複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持し、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続して、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、
を有する電力管理システムの前記管理サーバに実行させるためのプログラムであって、
前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付ステップと、
前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定ステップと、
前記電力買取決定ステップで買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御する放電制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
電力を蓄電する複数の蓄電装置と、
複数の前記蓄電装置のいずれかと通信可能に接続する複数の制御装置と、
ユーザ識別情報と前記ユーザ識別情報で特定されるユーザが管理する前記蓄電装置を識別する情報とを関連付けた情報であるユーザ管理情報、および、複数の前記制御装置各々に接続している前記蓄電装置を識別する情報を前記制御装置各々に関連付けた情報である接続状態管理情報を保持し、複数の前記制御装置のそれぞれとネットワークを介して接続して、複数の前記制御装置を制御する管理サーバと、
を有する電力管理システムの電力管理方法であって、
前記管理サーバが、前記ユーザから、前記ユーザ識別情報、および、そのユーザが管理する前記蓄電装置に蓄電されている電力を使用する権利である電力使用権を譲渡する電力譲渡の申し込みを受付ける電力譲渡受付工程と、
前記管理サーバが、前記電力譲渡の申し込みに応じて、前記ユーザから前記電力使用権を買い取ることを決定する電力買取決定工程と、
前記管理サーバが、前記電力買取決定工程で買い取りを決定すると、前記電力譲渡の申し込みを行った前記ユーザが管理する前記蓄電装置に接続している前記制御装置を制御し、前記蓄電装置に蓄電されている電力の放電を制御するサーバ側放電制御工程と、
前記制御装置が、前記サーバ側放電制御工程での制御に従い、接続した前記蓄電装置の放電を制御する制御装置側放電制御工程と、
を有する電力管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−186721(P2011−186721A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50480(P2010−50480)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】