説明

電力駆動式走行玩具

【課題】コンデンサに充電された電力を駆動源とし、この駆動源を電力駆動式走行玩具および充電装置に着脱可能に接続できるようにする。
【解決手段】走行用車輪11を有する走行玩具本体1と、この車輪11を駆動するモータに電気的に接続する電源端子15を備えたレセプタクル13と、このレセプタクル13に着脱可能に係合して電源端子に電気的に接続する充放電用端子を有し、コンデンサとその外装部21とからなる駆動源2と、この駆動源2を受け入れ、駆動源2のコンデンサの充放電用端子に電気的に接続する充電用端子を有するレセプタクル31と内蔵された充電用電源とからなる充電装置とから構成される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、電力駆動式走行玩具および走行玩具用充電装置に関し、特に充電したコンデンサを走行玩具のレセプタクルに挿入することにより走行する電力駆動式走行玩具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より電池を動力源として走行する電力駆動式走行玩具には非常に多くの種類のものが製造販売されている。通常の一次電池を動力源として使用するときは、電池が消耗すると新しい電池と交換するが、交換のため費用がかかる上、使用済みの電池をそのまま廃棄すると公害源となるので、無公害化処理を行わなければならないという煩わしさがある。
【0003】
このため、Ni−Cd電池のような再充電可能な二次電池の使用も行われている。しかし、Ni−Cd電池のような二次電池は、再充電に長時間を要し、急場に間に合わず、玩具の場合遊びが中断されるという問題がある。
【0004】
そこで、急速充電が可能で、かつ充電容量の大きい二重層コンデンサの使用が考えられた。その一つは特開平7−308461号公報に開示されているものである。この公報に開示されているのは充電式走行玩具に関するもので、走行動力源として充電容量の大きい二重層コンデンサを使用している。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
コンデンサに限らず、一般に回路部品は故障を起こすことがあり、新しい部品と交換しなければならないことが起こる。また、技術の進歩によりさらに優れた部品が開発され、その新しい部品と交換して性能向上を図りたい場合もある。特開平7−308461号公報に開示されている玩具では、コンデンサは走行玩具本体に設置固定されているため、コンデンサの交換が難しいという問題がある。
二重層コンデンサでは、技術の進歩によりより蓄電容量の大きいコンデンサが次々と開発され、販売されているが、より蓄電容量の大きいコンデンサに交換したくても交換が難しいという問題点があった。
【0006】
本考案は、コンデンサに充電された電力を駆動源とし、故障あるいは性能向上のためのコンデンサ交換が容易な、駆動源の着脱が可能な電力駆動式走行玩具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の考案は、走行用車輪を有する走行玩具本体と、この車輪を駆動するモータと、このモータを駆動する電源を受け入れる電源端子を備えたレセプタクルと、このレセプタクルに着脱可能に係合して前記電源端子に電気的に接続し得る充放電用端子を有するコンデンサと、このコンデンサを受け入れ、このコンデンサの充放電用端子に電気的に接続し得る充電用端子を有するレセプタクルと、前記充電用端子に接続する充電用電源とからなる充電装置とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2の考案は、前記コンデンサが、人あるいは動物等の人形に外装されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の考案は、前記コンデンサの外装部に電極位置合わせ用の凸部(または凹部)が設けられ、前記走行玩具本体のレセプタクルおよび前記充電装置のレセプタクルの各々に前記凸部(または凹部)に係合する凹部(または凸部)を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の考案は、前記コンデンサの外装部の下部に中心に対して回転非対称の多角形の凸部(または凹部)が形成され、前記走行玩具本体のレセプタクルおよび前記充電装置のレセプタクルの各々に前記凸部(または凹部)に係合する凹部(または凸部)が形成され、前記コンデンサの凸部(または凹部)が前記レセプタクルのいずれかに係合したとき電極位置合わせが行われることを特徴とする。
【0011】
請求項5の考案は、前記コンデンサの外装部の底面に磁石が設けられ、前記走行玩具本体のレセプタクルおよび前記充電装置のレセプタクルの各々に前記磁石とは反対磁極の磁石が設けられ、両磁石が吸引し合ったとき電極位置合わせが行われることを特徴とする。
【0012】
【考案の実施の形態】
次に、本考案の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本考案の一実施例の斜視図、図2は本考案の一実施例の走行玩具本体と充電装置の平面図、図3は本考案の一実施例の駆動源の斜視図および底面図である。
【0013】
この実施例の走行玩具本体1は、馬車の形に作られ、走行用車輪11と、この車輪を駆動するモータ(図示されず)と、御者台12が設けられている。御者台12にはモータを駆動する電源としての駆動源2を受け入れるレセプタクル13が設けられる。レセプタクル13は、駆動源2を受け入れるように四角形の穴14が掘られ、その底面には電源端子15が設けられる。電源端子15は、モータに電気的に接続されている(図示されず)。また、穴14の内面側壁には、駆動源2の充放電用端子24の向きと位置合わせのための凸部16が内面側壁に沿って垂直に設けられる。走行玩具本体1には玩具馬17が取り付けられる。
【0014】
駆動源2は、例えば容量1μFといった容量の大きい二重層コンデンサ23が用いられ、その一端面(図では底面)に充放電用端子24が設けられ、その外装部21は御者人形に形作られている。御者人形の下方は走行玩具本体1のレセプタクル13に着脱可能に係合するように段部22が作られ、御者人形(駆動源2)がレセプタクル13に挿入されたとき、充放電用端子24がレセプタクル13の電源端子15に電気的に接続するように向きと位置合わせを行うため、駆動源2の外装部21の下方に凹部25を設ける。
【0015】
充電装置3は、内部に充電用電源(図示されず)が設けられ、外部に駆動源2を受け入れるレセプタクル31が設けられる。レセプタクル31には駆動源2の段部22を受け入れるように四角形の穴32が形成され、その底面にはコンデンサ23の充放電用端子24に接続する充電用端子33が設けられる。充電用端子33は内部の充電用電源に電気的に接続している。充電用電源には、電池、あるいは商用電源に接続する整流装置等が用いられる。また、穴32の内面側壁には、駆動源2の充放電用端子24の向きと位置合わせのための凸部34が内面側壁に沿って垂直に設けられる。
【0016】
次に、この電力駆動式走行玩具の使用方法について説明する。
【0017】
まず、駆動源2の凹部25と充電装置3の充放電用端子24をレセプタクル31の凹部32に挿入して駆動源2の充放電用端子24を充電用端子33に電気的に接続してコンデンサ23を充電する。充電時間は僅かである。
【0018】
次に、コンデンサ23が充電されると、駆動源2をレセプタクル31から取り出し、走行玩具本体1のレセプタクル13に、凸部16と凹部25とを位置合わせして挿入する。充放電用端子24が電源端子15に接触した途端に走行玩具本体1内のモータ(図示されず)が回転し始め、車輪11が廻り始め、走行玩具本体1が走行する。従って、従来の電池を走行玩具本体に挿着してスイッチのオン・オフで走行させるタイプでは味わえない、走行玩具本体に御者を乗せると動き出すという遊びのおもしろさをじつげNすることができる。
【0019】
上記実施例では、走行玩具本体1を馬車としたが、これに限定されず普通の自動車、電車、汽車、飛行機等種々の乗り物でも良い。駆動源2は、御者の形に外装させたが、猿、兎等の動物やキャラクタ人形、ロボットにしても良い。
【0020】
駆動源2とレセプタクル13,31との係合には駆動源2を凸、レセプタクル13,31を凹としたが、凹部と凸部の関係は逆でも良い。また、電極の向きと位置合わせのための凹凸(凹部25、凸部16,34)は、駆動源2を凹、レセプタクル13,31を凸としたが、凹部と凸部の関係は逆でも良い。
【0021】
駆動源2とレセプタクル13,31との係合部は、実施例では四角形の穴14,32と段部22としたが、四角形に限定されず、三角形、五角形等の対称奇数多角形でもよい。
【0022】
駆動源2の外装部21の下部に、中心に対して回転非対称の多角形の凸部(または凹部)を形成し、走行玩具本体1のレセプタクル13および充電装置3のレセプタクル31の各々に、この凸部(または凹部)に係合する凹部(または凸部)を形成すると、凸部と凹部の向きが一致したときしか凸部と凹部が嵌合しないから、自動的に電極位置合わせが行われ、電極位置合わせ用の凹部25、凸部16,34を設ける必要がなくなるという利点がある。
【0023】
また、駆動源2とレセプタクル13,31の各々に磁石を取り付け、磁石が互いに吸引し合ったとき駆動源とレセプタクルの電極が接触するようにしても良い。
【0024】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案は、駆動源を着脱可能にしたので、故障あるいは性能向上のための交換が容易になり、また駆動源にコンデンサを用いたので急速充電が可能となる。
【0025】
駆動源を人または動物の人形に外装したので、美観を呈し、子供にも親しまれ、玩具として適当である。
【0026】
駆動源と走行玩具本体または充電装置のレセプタクルとの係合には、駆動源の係合部を凸(または凹)、レセプタクルの係合部を凹(または凸)とし、電極の向きと位置合わせには駆動源の係合部に凹部(または凹部)、レセプタクルの係合部に凸部(または凸部)を設けることにより、間違えないよう気を使うことなく駆動源の電極を走行玩具本体または充電装置の電極に正しく接続することができる。
【0027】
駆動源の外装部の下部に、中心に対して回転非対称の多角形の凸部(または凹部)を形成し、走行玩具本体および充電装置3のレセプタクルの各々に、この凸部(または凹部)に係合する凹部(または凸部)を形成することにより、自動的に電極位置合わせが行われので、電極位置合わせ用の凹部と凸部を設ける必要がなくなる。
【0028】
また、駆動源とレセプタクルの各々に磁石を取り付け、磁石が互いに吸引し合ったとき駆動源とレセプタクルの電極が接触するようにすることにより、駆動源とレセプタクルの電極位置合わせを容易に行うことができる。
【0029】
コンデンサが走行玩具本体と別体となっているので、走行玩具本体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例の斜視図である。
【図2】本考案の一実施例の走行玩具本体と充電装置の平面図である。
【図3】本考案の一実施例の駆動源の斜視図および底面図である。
【符号の説明】
1 走行玩具本体
2 駆動源
3 充電装置
11 車輪
12 御者台
13 レセプタクル
14 穴
15 電源端子
16 凸部
17 玩具馬
21 外装部
22 段部
23 コンデンサ
24 充放電端子
25 凹部
31 レセプタクル
32 穴
33 充電端子

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 走行用車輪を有する走行玩具本体と、この車輪を駆動するモータと、このモータを駆動する電源を受け入れる電源端子を備えたレセプタクルと、このレセプタクルに着脱可能に係合して前記電源端子に電気的に接続し得る充放電用端子を有するコンデンサと、このコンデンサを受け入れ、このコンデンサの充放電用端子に電気的に接続し得る充電用端子を有するレセプタクルと、前記充電用端子に接続する充電用電源とからなる充電装置とを有することを特徴とする電力駆動式走行玩具。
【請求項2】 前記コンデンサが、人あるいは動物等の人形に外装されていることを特徴とする請求項1に記載の電力駆動式走行玩具。
【請求項3】 前記コンデンサの外装部に電極位置合わせ用の凸部(または凹部)が設けられ、前記走行玩具本体のレセプタクルおよび前記充電装置のレセプタクルの各々に前記凸部(または凹部)に係合する凹部(または凸部)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力駆動式走行玩具。
【請求項4】 前記コンデンサの外装部の下部に中心に対して回転非対称の多角形の凸部(または凹部)が形成され、前記走行玩具本体のレセプタクルおよび前記充電装置のレセプタクルの各々に前記凸部(または凹部)に係合する凹部(または凸部)が形成され、前記コンデンサの凸部(または凹部)が前記レセプタクルのいずれかに係合したとき電極位置合わせが行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力駆動式走行玩具。
【請求項5】 前記コンデンサの外装部の底面に磁石が設けられ、前記走行玩具本体のレセプタクルおよび前記充電装置のレセプタクルの各々に前記磁石とは反対磁極の磁石が設けられ、両磁石が吸引し合ったとき電極位置合わせが行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力駆動式走行玩具。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【登録番号】第3052957号
【登録日】平成10年(1998)7月29日
【発行日】平成10年(1998)10月13日
【考案の名称】電力駆動式走行玩具
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平10−802
【出願日】平成10年(1998)1月16日
【出願人】(596080721)有限会社遊何舎 (4)