説明

電動ステアリングロック装置

【課題】コストアップを伴うことなく簡単な構成で電動モータの過熱による熱害の発生を防ぐことができる電動ステアリングロック装置を提供すること。
【解決手段】電動ステアリングロック装置において、予め設定された電動モータへの通電を維持する通電維持時間及び通電を休止する通電休止時間に基づいて電動モータを制御して通常モードのアンロック処理を行い、運転者からのアンロック指令を受信して通常モードのアンロック処理を行ったにも拘わらずロックボルトのアンロック位置への移動を検出できない場合には、運転者からの次回のアンロック指令によって実行されるアンロック処理のモードを、通電維持時間及び通電休止時間から計算されるデューティ比が通常モード時のデューティ比よりも小さくなるように、通電維持時間が通常モード時の通電維持時間よりも短く設定されたモータ過熱保護モードに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車時にステアリングホイールの回転を電動でロックするための電動ステアリングロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には盗難防止の目的で駐車時にステアリングホイールの回転を電動でロックするための電動ステアリングロック装置を備えたものがある。この電動ステアリングロック装置は、車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロックボルトと、該ロックボルトを移動させる電動モータと、該電動モータへの通電を制御してロック/アンロック処理を行う制御手段と、該制御手段に電気的に接続されて少なくとも前記ロックボルトがアンロック位置にあることを検出可能な位置検出手段を備えている。
【0003】
斯かる電動ステアリングロック装置は、エンジン作動状態で運転者がエンジンON/OFFスイッチをOFF操作すると、これを検知した車体側の上位ECUは、エンジンを停止させ、安全が確認されたことを条件に電動ステアリングロック装置に対してロック要求を行う。電動ステアリングロック装置は、このロック要求を受けると、マイコン(マイクロコンピュータ)等の制御手段によって電動モータを駆動制御し、該電動モータによってロックボルトを移動させてこれをステアリングシャフトに係合させることによってステアリングホイールの回転をロックする。
【0004】
他方、エンジン停止状態で運転者がエンジンON/OFFスイッチをON操作すると、これを検知した上位ECUは、電動ステアリングロック装置に対してアンロック要求を行う。電動ステアリングロック装置は、このアンロック要求を受けると、制御手段によって電動モータを駆動制御し、該電動モータによってロックボルトを移動させて該ロックボルトのステアリングシャフトへの係合を解除し、ステアリングホイールをアンロックしてステアリング操作を可能とする。
【0005】
ところで、斯かる電動ステアリングロック装置においてロックとアンロックを短時間のうちに頻繁に繰り返すと、電動モータの過熱によってコイルが断線する等の熱害が発生する可能性がある。
【0006】
そこで、特許文献1には、電動モータの作動時間を要素とする関係式から算出された値が所定の休止閾値よりも大きいと判断した場合には、電動モータの作動を強制的に休止させるとともに、前記算出値が所定の無効閾値よりも大きい場合には、電動モータの作動要求があってもこれを無効化するようにした電動ステアリングロック装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−217002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電動ステアリングロック装置において電動モータの過熱によって引き起こされる熱害には、特許文献1において提示されたもの(ロックとアンロックを短時間のうちに頻繁に繰り返すことによる電動モータの過熱に起因するもの)以外に、ロックボルトがステアリングシャフトに対して強く係合されている場合(所謂噛み込み時)が考えられる。このような場合には、電動モータの駆動力ではロックボルトをステアリングシャフトから引き抜くことができず、電動モータが過負荷状態となって該電動モータに過大な電流が流れるため、電動モータが発熱する。そして、ロックボルトがステアリングシャフトから抜けるまでアンロック操作が繰り返されると電動モータが高温となり、該電動モータのコイルが断線する等の熱害が発生する可能性がある。
【0009】
上記問題を解決するためには、バイメタル等によって構成された過熱保護装置を内蔵した電動モータを使用することが考えられるが、斯かる電動モータは大型でコストが高いという問題がある。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、コストアップを伴うことなく簡単な構成で電動モータの過熱による熱害の発生を防ぐことができる電動ステアリングロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロックボルトと、
該ロックボルトを移動させる電動モータと、
該電動モータへの通電を制御してロック/アンロック処理を行う制御手段と、
該制御手段に電気的に接続されて少なくとも前記ロックボルトがアンロック位置にあることを検出可能な位置検出手段と、
を備えた電動ステアリングロック装置において、
前記制御手段は、
予め設定された前記電動モータへの通電を維持する通電維持時間及び通電を休止する通電休止時間に基づいて前記電動モータを制御して通常モードのアンロック処理を行い、
運転者からのアンロック指令を受信して前記通常モードのアンロック処理を行ったにも拘わらず前記ロックボルトのアンロック位置への移動を検出できない場合には、運転者からの次回のアンロック指令によって実行されるアンロック処理のモードを、通電維持時間及び通電休止時間から計算されるデューティ比が前記通常モード時のデューティ比よりも小さくなるように、通電維持時間が前記通常モード時の通電維持時間よりも短く設定されたモータ過熱保護モードに切り替えることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記モータ過熱保護モード時の前記通電維持時間を、所定条件下における前記ロックボルトのロック位置からアンロック位置への移動を保障するアンロック保障通電時間よりも短く設定することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記通電維持時間と前記通電休止時間から成るアンロック作動時間が前記通常モード時と前記モータ過熱保護モード時で同じになるよう前記モータ過熱保護モード時の通電休止時間を設定することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記制御手段は、運転者からのアンロック指令を受信する上位ECUと、該上位ECUからのロック/アンロック作動信号を受信すると前記電動モータへの通電を制御してロック/アンロック処理を実行するマイコンを備え、前記通電維持時間は前記マイコンによって制御されるとともに、前記通電休止時間は前記上位ECUによって制御され、
前記上位ECUは、アンロック処理を開始してから所定のアンロック作動時間内に前記アンロック指令を受信した場合には、前記アンロック作動時間が経過するまで待機し、前記アンロック作動時間経過後にアンロック処理を開始することによって前記通電休止時間を設定するよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、運転者からのアンロック指令を受信して通常モードのアンロック処理を行ったにも拘わらずロックボルトのアンロック位置への移動を検出できない場合、即ち、ロックボルトがステアリングシャフトに噛み込んでいると判断した場合には、次回のアンロック処理のモードを通常モードからモータ過熱保護モードに切り替え、電動モータのデューティ比が通常モード時のそれよりも小さくなるように電動モータへの通電時間を短くしたため、運転者によってアンロック処理が何度も繰り返し行われた場合であっても、電動モータの過熱を抑えてコイルの断線等の熱害の発生を防ぐことができる。そして、このような効果は、アンロック処理のモードを切り替えることによって得られるため、過熱保護装置を内蔵した電動モータ等の使用が不要となり、大型化やコストアップを避けることができる。
【0016】
ところで、通常モードにおける電動モータの通電維持時間は、一度のアンロック処理でロックボルトが必ずロック位置からアンロック位置まで移動するのに十分で、且つ、高い応答性が確保できる条件を満足し得る最短時間に設定されている。この通電維持時間を維持したまま、電動モータのデューティ比(=通電維持時間/アンロック作動時間)を下げるためには通電休止時間を延ばせば良いが、給電休止時間を延ばすとアンロック作動時間(=通電維持時間+通電休止時間)が長くなり、運転者への応答性が悪くなってしまう。
【0017】
本発明では、モータ過熱保護モードにおける電動モータの通電維持時間を通常モードのそれよりも短くして電動モータのデューティ比を下げるようにしたため、全体のアンロック作動時間を短縮することができ、運転者への応答性を損なうことなく、電動モータの発熱を抑制することができる。
【0018】
又、電動モータは一般的に温度上昇に伴ってトルクが下がるが、本発明では、モータ過熱保護モードにおいては通電維持時間を短くし、より温度が低くてトルクが高いときに電動モータを作動させ、この動作を複数回行うことによってロックボルトをロック位置からアンロック位置へと移動させるようにしたため、アンロック処理を効率良く行うことができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、モータ過熱保護モード時の通電維持時間をアンロック保障通電時間よりも短く設定したため、1回のアンロック処理ではロックボルトをアンロック位置まで移動させることができない場合があるが、アンロック作動時間を短くすることによって運転者に対する応答性(例えば、運転者がエンジンON/OFFスイッチを操作してからアンロック失敗等のワーニングが点灯するまでの時間)は損なわれず、運転者に違和感を与えることなく、運転者の複数回のアンロック操作によってロックボルトをアンロック位置まで確実に移動させることができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、モータ過熱保護モード時のアンロック作動時間を通常モード時のそれと同じにすることによって、運転者に対する応答時間を一定にすることができ、運転者に違和感を与えることがない。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、上位ECUは、アンロック処理を開始してから所定のアンロック作動時間内にアンロック指令を受信した場合には、アンロック作動時間が経過するまで待機し、アンロック作動時間経過後にアンロック処理を開始することによって通電休止時間を設定するよう構成したため、上位ECUによって通電休止時間及びアンロック作動時間を管理することができ、電動モータのデューティ比の制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る電動ステアリングロック装置のロック状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る電動ステアリングロック装置のアンロック状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る電動ステアリングロック装置の制御システム構成図である。
【図4】本発明に係る電動ステアリングロック装置の処理フローを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
[電動ステアリングロック装置の構成]
図1は本発明に係る電動ステアリングロック装置のロック状態を示す縦断面図、図2は同電動ステアリングロック装置のアンロック状態を示す縦断面図であり、図示の電動ステアリングロック装置1は、電動によって不図示のステアリングシャフト(ステアリングホイール)の回転をロック/アンロックするものであって、そのハウジング2は、非磁性体の金属(例えば、マグネシウム合金)で構成されたケース3と該ケース3の下面開口部を覆う金属製のリッド4によって構成されている。
【0025】
上記ケース3は矩形ボックス状に成形されており、その上部には円弧状の凹部3aが形成され、この凹部3aには不図示の円筒状のステアリングコラムが嵌め込まれ、ケース3は、これに結着される不図示の円弧状ブラケットによってステアリングコラムに固定されている。尚、図示しないが、ステアリングコラム内には前記ステアリングシャフトが挿通しており、該ステアリングシャフトの上端にはステアリングホイールが結着され、ステアリングシャフトの下端はステアリングギヤボックスに連結されている。そして、運転者がステアリングホイールを回転操作すれば、その回転はステアリングシャフトを経てステアリングギヤボックスに伝達され、操舵機構が駆動されて左右一対の前輪が転舵されて所要の操舵がなされる。
【0026】
前記ハウジング2には、ロック部材収納部2Aと基板収納部2Bが形成されており、これらのロック部材収納部2Aと基板収納部2Bとは上下方向に延びる細長い連通部2Cによって互いに連通している。
【0027】
上記ロック部材収納部2Aにはロック部材5が収納されており、このロック部材5は、下端部外周に雄ネジ部6aが刻設された略円筒状のドライバ6と、該ドライバ6内に上下動可能に収容されたプレート状のロックボルト7とで構成されている。ここで、ロックボルト7には上下方向に長い長孔7aが形成されており、ロックボルト7は長孔7aに横方向に挿通するピン8によってドライバ6に連結されている。
【0028】
そして、ロックボルト7は、ケース3に形成された矩形のロックボルト挿通孔3b内に上下動可能に嵌合しており、これとドライバ6の隔壁6b間に縮装されたスプリング9によって常時上方に付勢され、通常はロックボルト7の長孔7aの下部がピン8に係合することによって該ロックボルト7はドライバ6と共に上下動する。
【0029】
又、ドライバ6の上部外周の相対向する箇所には水平に延びる係合部としてのアーム6Aと上下方向に長い回り止め部6Bが一体に形成されており、アーム6Aは、ハウジング2(ケース3)に形成された前記連通部2Cに上下動可能に収容され、回り止め部6Bは、ケース3に形成された係合溝3cに係合してドライバ6の回転を阻止する。そして、アーム6Aの先端部には横断面矩形の磁石収納部6cが形成されており、この磁石収納部6cには四角柱状の磁石10が圧入によって収納されている。
【0030】
更に、ハウジング2内に形成された前記ロック部材収納部2Aには円筒状のギヤ部材11が回転可能に収容されており、該ギヤ部材11の下部外周はリッド4の内面(上面)に立設された前記ギヤ保持筒部4aによって回転可能に保持されている。そして、このギヤ部材11の下部外周にはウォームギヤ11aが形成され、内周には雌ネジ部11bが形成されている。
【0031】
上記ギヤ部材11の内部には前記ドライバ6の下部が挿入されており、このドライバ6の下部外周に形成された前記雄ネジ部6aは、ギヤ部材11の内周に形成された前記雌ネジ部11bが噛合している。そして、リッド4のギヤ保持筒部4aの中心部に形成された円柱状のスプリング受け4bとドライバ6の隔壁6bの間にはスプリング12が縮装されており、ロック部材5(ドライバ6とロックボルト7)はスプリング12によって常時上方に付勢されている。
【0032】
又、ハウジング2に形成された前記ロック部材収納部2Aには電動モータ13が横置き状態で収納されており、この電動モータ13の出力軸13aには小径のウォーム14が形成され、このウォーム14はギヤ部材11の外周に形成された前記ウォームギヤ11aに噛合している。ここで、ウォーム14とウォームギヤ11aは、電動モータ13の出力軸13aの回転力をロック部材5の進退力に変換する駆動機構を構成している。
【0033】
一方、ハウジング2に形成された前記基板収納部2Bには、その内面がロック部材5の作動方向と平行となるように基板15が収納されており、この基板15の内面上下のロック位置とアンロック位置に対応する位置には磁気検出センサであるホール素子16,17がそれぞれ設けられており、これらのホール素子16,17と前記磁石10によって位置検出手段が構成され、この位置検出手段によって後述のようにロック部材5(ロックボルト7)の位置(ロック/アンロック位置)が検出される。
【0034】
次に、以上のように構成された電動ステアリングロック装置1の動作(ロック/アンロック動作)について説明する。
【0035】
不図示のエンジンが停止している状態では、図1に示すように、ロック部材5のロックボルト7は上限のロック位置にあって、その上端部がケース3のロックボルト挿通孔3bから凹部3aに突出して不図示のステアリングシャフトに係合している。この状態では、ステアリングシャフトの回動がロックしており、このロック状態においては不図示のステアリングホイールを回転操作することができず、これによって車両の盗難が防がれる。
【0036】
上記状態から運転者が不図示のエンジンON/OFFスイッチをON操作すると、電動モータ13が起動され、その出力軸13aの回転がウォーム14とウォームギヤ11aによって減速されつつ方向が直角に変換されてギヤ部材11に伝達され、該ギヤ部材11が回転されるため、該ギヤ部材11の内周に刻設された雌ネジ部11bに螺合する雄ネジ部6aが形成されたドライバ6がスプリング12の付勢力に抗して下動する。このようにドライバ6が下動すると、該ドライバ6に一体に形成されたアーム6Aとピン8によってドライバ6に連結されたロックボルト7が下動する。
【0037】
上述のようにドライバ6のアーム6Aが下動してロックボルト7が図2に示すように下限のアンロック位置に達すると、磁石10の磁力がホール素子17によって検出されて電動モータ13の駆動が停止され、該ロックボルト7の上端部がケース3のロックボルト挿通孔3bの内部に退避するため、ロックボルト7のステアリングシャフトへの係合が解除される。この結果、ステアリングシャフトのロックが解除されてアンロック状態となり、運転者によるステアリングホイールの回動操作が可能となって車両の走行が可能となる。
【0038】
そして、車両が停止し、運転者がエンジンON/OFFスイッチをOFF操作してエンジンを切ると、電動モータ13が逆転起動されてその出力軸13aが逆転される。すると、電動モータ13の回転はウォーム14とウォームギヤ11aを経てギヤ部材11に伝達され、該ギヤ部材11が逆転されるためにドライバ6が上動し、該ドライバ6に一体に形成されたアーム6Aとピン8によってドライバ6に連結されたロックボルト7が上動する。
【0039】
而して、上述のようにドライバ6のアーム6Aが上動して磁石10の中心がロック位置近傍の検知範囲に達すると、磁石10の磁力がホール素子16によって検出されて電動モータ13の駆動が停止され、図1に示すようにロックボルト7の上端部がケース3の凹部3aから突出して不図示のステアリングシャフトに係合するため、ステアリングシャフトの回転がロックされるロック状態となり、駐車時における車両の盗難が防がれる。尚、ロックボルト7のステアリングシャフトの係合溝への係合が良好に行われない場合には、該ロックボルト7に形成された長孔7a内をピン8が相対移動することができる範囲でロックボルト7がスプリング9の付勢力に抗して下動するため、ロックボルト7に過大な負荷が作用することがない。
【0040】
[電動ステアリングロック装置のシステム構成]
次に、電動ステアリングロック装置1のシステム構成を図3に基づいて説明する。
【0041】
図3は本発明に係る電動ステアリングロック装置1のシステム構成図であり、電動ステアリングロック装置1側には制御手段としてECU18が設けられ、車体側には同じく制御手段である上位ECU19が搭載されている。この上位ECU19には、運転者によって操作されるエンジンON/OFFスイッチ(図示せず)が電気的に接続されており、該上位ECU19は、不図示のタイマー手段及び記憶手段を備えている。
【0042】
上記ECU18には、電源であるバッテリ(BATT)20から電動モータ13に供給される駆動電流の極性を切り替え/遮断して前記ロック部材5の移動を制御するモータ駆動制御部21と、該モータ駆動制御部21を制御して前記電動モータ13をロック/アンロック動作させるマイコン(マイクロコンピュータ)22と、前記バッテリ20から前記モータ駆動制御部21及び前記マイコン22への電源供給経路を遮断/導通する電源規制手段である第1スイッチ部23と第2スイッチ部24等が設けられている。尚、第1スイッチ部23と第2スイッチ部24は電源供給経路に直列的に設けられている。
【0043】
ここで、上記モータ駆動制御部21は、ロックリレー25とアンロックリレー26、マイコン22からの指令によってロックリレー25とアンロックリレー26をそれぞれ駆動制御するロックリレー駆動回路27とアンロックリレー駆動回路28を備えている。又、マイコン22には、前記ホール素子16,17(図1及び図2参照)によってロック部材5(ロックボルト7)のロック位置を検出する位置検出回路(LOCK)29とアンロック位置を検出する位置検出回路(UNLOCK)30が接続されるとともに、EEPROM等の記憶手段31が接続されている。尚、マイコン22にはタイマー手段32が内蔵されている。又、マイコン22と前記上位ECU19との間では通信回路33を介してロック/アンロック指令信号、故障状態等のLIN通信が行われる。
【0044】
而して、マイコン22、電動モータ13、ロックリレー25、アンロックリレー26、位置検出回路(LOCK)29、位置検出回路(UNLOCK)30及び通信回路33の電源は前記第1及び第2スイッチ部23,24の後から取られており、従って、第1及び第2スイッチ部23,24がOFFされると、マイコン22への通電が遮断されてマイコン22は非作動状態となる。尚、第2スイッチ部24からマイコン22に至る電源供給経路の途中には定電圧出力回路34とリセット回路35が設けられている。
【0045】
他方、車体側の上位ECU19と不図示のエンジンの点火装置(イグニッション)の電源は第1及び第2スイッチ部23,24の前から取られており、点火装置に電源を供給するIG電源ラインの途中には、上位ECU19によって駆動制御されるIGリレー36が設けられており、IG電源(イグニッション電源)は上位ECU19によって制御される。
【0046】
ところで、本実施の形態では、前述のようにバッテリ20からモータ駆動制御部21及びマイコン22への電源供給経路を遮断/導通する電源規制手段として第1及び第2スイッチ部23,24を設けたが、これらの第1及び第2スイッチ部23,24は上位ECU19によってON/OFF制御されるため、マイコン22の電源のON/OFFは上位ECU19によって制御される。
【0047】
従って、上位ECU19が第1及び第2スイッチ部23,24の一方側をON制御、他方側をOFF制御している場合、これらの第1及び第2スイッチ部23,24が正常であればマイコン22の電源が遮断されるが、このとき、マイコン22の電源が遮断されなければ、OFF制御されている他方側のスイッチ部23又は24が故障しているものと判断することができる。このため、専用の故障検出回路等を設けることなく、簡単な構成で第1及び第2スイッチ部23,24の故障を検出することができる。ここで、図3に示すように、前記IG電源ラインは第1スイッチ部23に接続され、上位ECU19から出力される電源供給信号は第2スイッチ部24に入力される。尚、第1スイッチ部23に入力されるIG電源は第1スイッチ部23内で反転制御され、上位ECU19によってIG電源がONされた場合には第1スイッチ部23がOFFされ、IG電源がOFFされた場合には第1スイッチ部23がONされる。これは、エンジンが始動不能であるIG電源OFFの状態では、第1スイッチ部23をONとして電動ステアリングロック装置1を作動可能とし、エンジンが始動可能であるIG電源ONの状態では、第1スイッチ部23をOFFとして電動ステアリングロック装置1を作動不能とするためである。
【0048】
而して、本発明に係る電動ステアリングロック装置1においては、ロックボルト7をロック位置からアンロック位置へと移動させるアンロック処理がなされるが、通常モードにおいては、予め設定された電動モータ13への通電を維持する通電維持時間及び通電を休止する通電休止時間に基づいて電動モータ13が制御される。
【0049】
[アンロック処理(通常モード時)]
ここで、電動ステアリングロック装置1の通常モード(ロックボルト7が引き抜ける場合)におけるアンロック処理の流れを図4(a)に示すタイミングチャートに従って以下に説明する。尚、図4において付した番号1)〜27)は、下記の処理項目ごとに付した番号1)〜27)に対応している。
【0050】
1)エンジン停止中に運転者がエンジンON/OFFスイッチをON操作すると、上位ECU19は、電源供給信号を出力して第2スイッチ部24をONし、電動ステアリングロック装置1に電源を供給する。ここで、エンジン停止中はIG電源が遮断されているために第1スイッチ部23はON状態にある。又、上位ECU19は、電動モータ13のアンロック処理時間を設定するタイマー(2.5秒)を開始する。
【0051】
2)上位ECU19は、マイコン22と暗号コードのやり取りを行い、暗号化されたアンロック作動信号(通常モード)を送信する。
【0052】
3)マイコン22は、アンロック作動信号を受信すると、電動モータ13の通電維持時間を設定するためのタイマー(1秒)を開始し、アンロックリレー駆動回路28を介してアンロックリレー26にON信号を送信して電動モータ13をアンロック作動させる。
【0053】
4)マイコン22は、ロックボルト7がロック位置からアンロック位置まで移動すると、位置検出回路(UNLOCK)30によってロックボルト7がアンロック位置まで移動したことを検出し、アンロックリレー26へのON信号をOFFとして電動モータ13への通電を遮断する。この場合、電動モータ13は、タイマー監視による通電維持時間(1秒)よりも短い時間(0.7秒)でOFFされる。尚、このときの電動モータ13の通電時間(0.7秒)は、バッテリ20の電圧及び気温等によって後述するアンロック保障通電時間(1秒)を超えない範囲で変化する。
【0054】
5)マイコン22は、上位ECU19に対してアンロック確定信号(ロックボルト7がアンロック位置まで移動したか否かの信号)を送信する。
【0055】
6)上位ECU19は、アンロック処理が成功したか否かの結果を不図示のインジケータに表示する(例えば、成功は緑点灯、失敗は赤点滅等)。
【0056】
7)上位ECU19は、電源供給信号をOFFとし、第2スイッチ部24をOFFにして電動ステアリングロック装置1への電源の供給を遮断する。
【0057】
8)上位ECU19は、「アンロック処理成功」の場合、IGリレー36をONしてIG電源をONし、エンジン始動処理を行う。
【0058】
9)上位ECU19は、「アンロック処理失敗」の場合。1)のタイマー開始から2.5秒の間に、運転者によるエンジンON/OFFスイッチの操作を検出した場合には、その2.5秒が経過するまで待機し、2.5秒経過後にマイコン22に対して1)の処理を開始して次のロック処理を行う。
【0059】
[ロック処理(通常モード時)]
次に、電動ステアリングロック装置1の通常モードでのロック処理の流れを図4(a)に基づいて以下に説明する。
【0060】
10)エンジン作動中に運転者がエンジンON/OFFスイッチをOFF操作すると、上位ECU19は、IGリレー36をOFFし、IG電源を遮断してエンジンを停止させる。
【0061】
11)IG電源の遮断に連動して第1スイッチ部23がON状態となる。上位ECU19は、電源供給信号を出力して第2スイッチ部24をONし、バッテリ20から電動ステアリングロック装置1に電源を供給する。
【0062】
12)上位ECU19は、マイコン22と暗号コードのやり取りを行い、暗号化されたロック作動信号をマイコン22に送信する。
【0063】
13)マイコン22は、上位ECU19からロック作動信号を受信すると、通電維持時間を設定するためのタイマー(1秒)を開始し、ロックリレー駆動回路27を介してロックリレー25にON信号を送信して電動モータ13を作動させる。
【0064】
14)マイコン22は、ロックボルト7がアンロック位置からロック位置まで移動すると、位置検出回路(LOCK)29によってロックボルト7がロック位置まで移動してことを検出し、ロックリレー25へのON信号をOFFして電動モータ13への通電を遮断する。
【0065】
15)マイコン22は、ロック確定信号(ロックボルト7がロック位置まで移動したか否かの信号)を上位ECU19に対して送信する。
【0066】
16)上位ECU19は、ロック処理が成功したか否かの結果を電動ステアリングロック装置1に設けられた不図示のインジケータに表示する(例えば、成功は緑点灯、失敗は赤点滅等)。
【0067】
17)上位ECU19は、電源供給信号をOFFとし、第2スイッチ部24をOFFとして電動ステアリングロック装置1への電源の供給を遮断する。
【0068】
尚、このロック処理は、アンロック処理と比べて電動モータ13への負荷は小さいため、アンロック処理のように電動モータ13の作動時間(2.5秒等)の設定はなされない。
【0069】
[アンロック処理(通常モード:ロックボルトが引き抜けない場合)]
次に、電動ステアリングロック装置1の通常モードにおいてロックボルト7が引き抜けない場合)のアンロック処理の流れを図4(b)に基づいて以下に説明する。
【0070】
このアンロック処理においては、ロックボルト7が引き抜ける場合の前記アンロック処理1)〜9)のうち、4)の処理が下記の処理18)のように変わり、他の1)〜3)及び5)〜9)の処理に変更はない。
【0071】
18)マイコン22は、ロックボルト7がステアリングシャフトに噛み込んでアンロック位置まで移動しない場合には、位置検出回路(UNLOCK)30によってロックボルト7がアンロック位置まで移動したことを検知することができないため、ロックボルト7の位置検出によっては電動モータ13への通電が遮断されることはなく、通常維持時間タイマー(1秒)が経過すると、アンロックリレー26へのON信号をOFFとして電動モータ13への通電を遮断する。
【0072】
例えば、図4(b)に示すように、通電維持時間(アンロック保障通電時間)を1秒、アンロック作動時間を2.5秒、通電休止時間を1.5秒に設定した場合の電動モータ13のデューティ比(=通電維持時間/アンロック作動時間)は1/2.5=0.4となる。ここで、アンロック保障通電時間は、気温及びバッテリ20の電圧がエンジンが掛からない程度まで低下したときに、仮に電動モータ13を作動させた場合のアンロック完了までに通電される平均時間に対して余裕を持って多少大きめの値に設定される。
【0073】
ところで、本発明に係る電動ステアリングロック装置1においては、上位ECU19が運転者からのアンロック指令を受信して通常モードのアンロック処理を行ったにも拘わらずロックボルト7のアンロック位置への移動を検出できない場合には、運転者からの次回のアンロック指令によって実行されるアンロック処理のモードを、通電維持時間及び通電休止時間から計算されるデューティ比が前記通常モード時のデューティ比よりも小さくなるように、通電維持時間が通常モード時の通電維持時間よりも短く設定されたモータ過熱保護モードに切り替えるようにしている。
【0074】
ここで、モータ過熱保護モード時の通電維持時間は、所定条件下におけるロックボルト7のロック位置からアンロック位置への移動を保障するアンロック保障通電時間よりも短く設定されている。
【0075】
又、本実施の形態では、通電維持時間と通電休止時間から成るアンロック作動時間が前記通常モード時と後述のモータ過熱保護モード時で同じになるようモータ過熱保護モード時の給電休止時間が設定される。
【0076】
更に、本実施の形態では、通電維持時間はマイコン22によって制御され、通電休止時間は上位ECU19によって制御されるが、上位ECU19は、アンロック処理を開始してから所定のアンロック作動時間内にアンロック指令を受信した場合には、アンロック作動時間が経過するまで待機し、アンロック作動時間経過後にアンロック処理を開始することによって通電休止時間を設定する。
【0077】
[アンロック処理(モータ過熱保護モード)]
次に、電動ステアリングロック装置1のモータ過熱保護モード(ロックボルト7が引き抜けない場合)でのアンロック処理の流れを図4(b)に基づいて以下に説明する。
【0078】
19)エンジン停止中に運転者がエンジンON/OFFスイッチをON操作すると、上位ECU19は、電源供給信号を出力し、第2スイッチ部24をONにしてバッテリ20から電動ステアリングロック装置1に電源を供給する。このとき、IG電源はOFFのため、第1スイッチ部23はON状態にある。又、上位ECU19は、電動モータ13のアンロック処理時間を設定するタイマー(2.5秒)を開始する。
【0079】
20)上位ECU19は、直前のアンロック処理において「アンロック処理失敗」が2回連続して発生した場合には、マイコン22と暗号コードのやり取りを行い、暗号化されたアンロック作動信号(モータ過熱保護モード)を送信する。
【0080】
21)マイコン22は、上位ECU19からアンロック作動信号を受信すると、通電維持時間を設定するためのタイマー(0.5秒)を開始し、アンロックリレー駆動回路28を介してアンロックリレー26にON信号を送信して電動モータ13をアンロック作動させる。
【0081】
22)マイコン22は、位置検出回路(UNLOCK)30によってロックボルト7がアンロック位置まで移動したことを検出することができない場合には、通電維持時間タイマー(0.5秒)が経過すると、アンロックリレー26へのON信号をOFFとして電動モータ13への通電を遮断する。
【0082】
23)マイコン22は、アンロック確定信号(ロックボルト7がアンロック位置まで移動したか否かの信号)を上位ECU19に対して送信する。
【0083】
24)上位ECU19は、アンロック処理が成功したか否かを不図示のインジケータに表示する(例えば、成功は緑点灯、失敗は赤点滅等)。
【0084】
25)上位ECU19は、電源供給信号をOFFとし、第2スイッチ部24をOFFとして電動ステアリングロック装置1の電源を遮断する。
【0085】
26)上位ECU19は、「アンロック処理成功」の場合には、IGリレー36をONとし、IG電源をONしてエンジン始動処理を行う。
【0086】
27)上位ECU19は、「アンロック処理失敗」の場合、19)のタイマー開始から2.5秒の間に、運転者によるエンジンON/OFFスイッチの操作を検出した場合には、その2.5秒が経過するまで待機し、2.5秒経過後にマイコン22に対して19)の処理を開始してアンロック処理を行う。
【0087】
尚、このモータ過熱保護モードにおいては、通電維持時間を0.5秒、アンロック作動時間を2.5秒、通電休止時間を2.0秒に設定したため、電動モータ13のデューティ比は0.5/2.5=0.2となって、通常モード時のデューティ比0.4よりも小さく設定される。
【0088】
以上のように、本実施の形態に係る電動ステアリングロック装置1においては、運転者からのアンロック指令を受信して通常モードのアンロック処理を行ったにも拘わらずロックボルト7のアンロック位置への移動を検出できない場合、即ち、ロックボルト7がステアリングシャフトに噛み込んでいると判断した場合には、次回のアンロック処理のモードを通常モードからモータ過熱保護モードに切り替え、電動モータ13のデューティ比が通常モード時のそれよりも小さくなるように電動モータ13への通電時間を短くしたため、運転者によってアンロック処理が何度も繰り返し行われた場合であっても、電動モータ13の過熱を抑えてコイルの断線等の熱害の発生を防ぐことができる。そして、このような効果は、アンロック処理のモードを切り替えることによって得られるため、過熱保護装置を内蔵した電動モータ等の使用が不要となり、大型化やコストアップを避けることができる。
【0089】
又、本実施の形態では、モータ過熱保護モードにおける電動モータ13の通電維持時間を通常モードのそれよりも短くして電動モータ13のデューティ比を下げるようにしたため、全体のアンロック作動時間を短縮することができ、運転者への応答性を損なうことなく、電動モータ13の発熱を抑制することができる。
【0090】
ところで、電動モータ13は一般的に温度上昇に伴ってトルクが下がるが、本実施の形態では、モータ過熱保護モードにおいては通電維持時間を短くし、より温度が低くてトルクが高いときに電動モータ13を作動させ、この動作を複数回行うことによってロックボルト7をロック位置からアンロック位置へと移動させるようにしたため、アンロック処理を効率良く行うことができる。
【0091】
又、本実施の形態に係る電動ステアリングロック装置1においては、モータ過熱保護モード時の通電維持時間をアンロック保障通電時間よりも短く設定したため、1回のアンロック処理ではロックボルト7をアンロック位置まで移動させることができない場合があるが、アンロック作動時間を短くすることによって運転者に対する応答性(例えば、運転者がエンジンON/OFFスイッチを操作してからアンロック失敗等のワーニングが点灯するまでに時間)は損なわれず、運転者に違和感を与えることなく、運転者の複数回のアンロック操作によってロックボルト7をアンロック位置まで確実に移動させることができる。
【0092】
更に、本実施の形態では、モータ過熱保護モード時のアンロック作動時間を通常モード時のそれと同じにするようにしたため、運転者に対する応答時間を一定にすることができ、運転者に違和感を与えることがない。
【0093】
尚、本実施の形態においては、通電維持時間(通常モード)を0.1秒、通電維持時間(モータ過熱保護モード)を0.5秒、アンロック作動時間を2.5秒、アンロック保証通電時間を1.0秒として設定しているが、これはあくまで一例を示したもので、この数値に限定されるものではなく、例えば、通電維持時間(モータ過熱保護モード)及びアンロック作動時間は、通電維持時間(モータ過熱保護モード)とアンロック作動時間とから計算される電動モータ13のデューティ比が、アンロック処理を繰り返し行った場合でも、電動モータ13の温度が所定の値を超えないように予め試験等で算出した上限のデューティ比を超えない範囲において任意に設定が可能である。
【0094】
又,本実施の形態において、上位ECU19は、アンロック作動時間を設定するタイマーを、マイコン22への電源供給と同時にカウントを開始するように構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、マイコン22へのアンロック作動信号の送信を「アンロック処理の開始」として、マイコン22へのアンロック作動信号の送信と同時にアンロック作動時間を設定するタイマーのカウントを開始するようにしても良い。この場合、上位ECU19は、タイマー開始からアンロック作動時間(2.5秒)の間に、運転者によるエンジンON/OFFスイッチの操作を検出した場合には、そのアンロック作動時間(2,5秒)が経過するまで待機し、アンロック作動時間(2.5秒)が経過した後にマイコン22に対してアンロック作動信号を返信するように構成すれば良い。
【0095】
更に、本実施の形態においては、直前のアンロック処理において「アンロック処理失敗」が2回連続して発生した場合には、次回のアンロック処理をモータ過熱保護モードに移行するように構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、直前の1回の「アンロック処理失敗」によりモータ過熱保護モードに移行するように攻勢しても良く、或いは直前の連続する3回以上の「アンロック処理失敗」によりモータ過熱保護モードに移行するように構成しても良い。又、「アンロック処理失敗」が連続する場合に限らず、所定時間内に所定回数の「アンロック処理失敗」が発生した場合に、モータ過熱保護モードに移行するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0096】
1 電動ステアリングロック装置
2 ハウジング
2A ハウジングのロック部材収納部
2B ハウジングの基板収納部
2C ハウジングの連通部
3 ケース
3a ケースの凹部
3b ケースのロックボルト挿通孔
3c ケースの係合溝
4 リッド
4a リッドのギヤ保持筒部
4b リッドのスプリング受け
5 ロック部材
6 ドライバ
6A ドライバのアーム
6B ドライバの回り止め部
6a ドライバの雄ネジ部
6b ドライバの隔壁
6c ドライバの磁石収納部
7 ロックボルト
7a ロックボルトの長孔
8 ピン
9 スプリング
10 磁石
11 ギヤ部材
11a ギヤ部材のウォームギヤ
11b ギヤ部材の雌ネジ部
12 スプリング
13 電動モータ
13a 電動モータの出力軸
14 ウォーム
15 基板
16,17 ホール素子
18 ECU
19 上位ECU
20 バッテリ
21 モータ駆動制御部
22 マイコン
23 第1スイッチ部
24 第2スイッチ部
25 ロックリレー
26 アンロックリレー
27 ロックリレー駆動回路
28 アンロックリレー駆動回路
29 位置検出回路(LOCK)
30 位置検出回路(UNLOCK)
31 記憶手段
32 タイマー手段
33 通信回路
34 定電圧回路
35 リセット回路
36 IGリレー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロックボルトと、
該ロックボルトを移動させる電動モータと、
該電動モータへの通電を制御してロック/アンロック処理を行う制御手段と、
該制御手段に電気的に接続されて少なくとも前記ロックボルトがアンロック位置にあることを検出可能な位置検出手段と、
を備えた電動ステアリングロック装置において、
前記制御手段は、
予め設定された前記電動モータへの通電を維持する通電維持時間及び通電を休止する通電休止時間に基づいて前記電動モータを制御して通常モードのアンロック処理を行い、
運転者からのアンロック指令を受信して前記通常モードのアンロック処理を行ったにも拘わらず前記ロックボルトのアンロック位置への移動を検出できない場合には、運転者からの次回のアンロック指令によって実行されるアンロック処理のモードを、通電維持時間及び通電休止時間から計算されるデューティ比が前記通常モード時のデューティ比よりも小さくなるように、通電維持時間が前記通常モード時の通電維持時間よりも短く設定されたモータ過熱保護モードに切り替えることを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【請求項2】
前記モータ過熱保護モード時の前記通電維持時間を、所定条件下における前記ロックボルトのロック位置からアンロック位置への移動を保障するアンロック保障通電時間よりも短く設定することを特徴とする請求項1記載の電動ステアリングロック装置。
【請求項3】
前記通電維持時間と前記通電休止時間から成るアンロック作動時間が前記通常モード時と前記モータ過熱保護モード時で同じになるよう前記モータ過熱保護モード時の通電休止時間を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の電動ステアリングロック装置。
【請求項4】
前記制御手段は、運転者からのアンロック指令を受信する上位ECUと、該上位ECUからのロック/アンロック作動信号を受信すると前記電動モータへの通電を制御してロック/アンロック処理を実行するマイコンを備え、前記通電維持時間は前記マイコンによって制御されるとともに、前記通電休止時間は前記上位ECUによって制御され、
前記上位ECUは、アンロック処理を開始してから所定のアンロック作動時間内に前記アンロック指令を受信した場合には、前記アンロック作動時間が経過するまで待機し、前記アンロック作動時間経過後にアンロック処理を開始することによって前記通電休止時間を設定するよう構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電動ステアリングロック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−22972(P2013−22972A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156218(P2011−156218)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)