電動リヤサンシェード
【課題】サンシェードの格納状態において、リヤパッケージトレイトリムの開口が露出しないようにして、見栄えを向上させることを目的とする。
【解決手段】リヤパッケージトレイトリム22の下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリム22に形成された開口24を通じて、電気駆動により出し入れされ、上端16Uより下端16Lが幅広に形成されたリヤウィンドウ14用のサンシェード16と、該サンシェード16の上端16Uに設けられ、該サンシェード16の格納時に開口24を覆うフレーム18と、該フレーム18の両端部18Aに設けられ、サンシェード16の格納時に、開口24のうちフレーム18で覆われない範囲を覆うカバー20と、を有している。サンシェード16の格納時には、サンシェード16のフレーム18とカバー20とにより、リヤパッケージトレイトリム22の開口24がすべて覆われる。
【解決手段】リヤパッケージトレイトリム22の下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリム22に形成された開口24を通じて、電気駆動により出し入れされ、上端16Uより下端16Lが幅広に形成されたリヤウィンドウ14用のサンシェード16と、該サンシェード16の上端16Uに設けられ、該サンシェード16の格納時に開口24を覆うフレーム18と、該フレーム18の両端部18Aに設けられ、サンシェード16の格納時に、開口24のうちフレーム18で覆われない範囲を覆うカバー20と、を有している。サンシェード16の格納時には、サンシェード16のフレーム18とカバー20とにより、リヤパッケージトレイトリム22の開口24がすべて覆われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動リヤサンシェードに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のリヤウィンドウの下端側におけるリヤパッケージトレイとアッパーバックパネルとの間の収容凹部に、遮蔽状態で設置される電動サンシェードが開示されている(特許文献1参照)。またリヤパーセルトリムからサンシェードを引き出すアクセス開口を、該サンシェードの引出端部に装着されたレールの蓋体で覆う構造が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−62442号公報
【特許文献2】特開2005−335484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例のように、電動リヤサンシェードでは、リヤパッケージトレイトリムに設けられたスリット状の開口を通じて、サンシェードが車両上方に引き出されることで使用状態となり、車両下方に引き込まれることで格納状態となる。格納状態では、リヤパッケージトレイトリムの開口は、サンシェードの上端のフレームにより覆われる。
【0005】
しかしながら、リヤウィンドウの下端側が上端側よりも幅広に形成されている場合、該リヤウィンドウをサンシェードで覆う面積を広くしようとすると、該サンシェードも、下端側が上端側より幅広の形状となる。リヤパッケージトレイトリムの開口の長さは、サンシェードにおける幅広の下端も通過できるように設定される。従って、サンシェードの上端のフレームの長さが、リヤパッケージトレイトリムの開口の長さよりも短くなるため、サンシェードを格納したときに、上端のフレームでリヤパッケージトレイトリムの開口をすべて覆うことができず、該開口の左右端部が露出してしまう。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、サンシェードの格納状態において、リヤパッケージトレイトリムの開口が露出しないようにして、見栄えを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、リヤパッケージトレイトリムの下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリムに形成された開口を通じて、電気駆動により出し入れされ、上端より下端が幅広に形成されたリヤウィンドウ用のサンシェードと、該サンシェードの前記上端に設けられ、該サンシェードの格納時に前記開口を覆うフレームと、該フレームの両端部に設けられ、前記サンシェードの格納時に、前記開口のうち前記フレームで覆われない範囲を覆うカバーと、を有している。
【0008】
請求項1に記載の電動リヤサンシェードでは、サンシェードの格納状態において、該サンシェードの上端のフレームと、該フレームの両端部のカバーとにより、リヤパッケージトレイトリムの開口がすべて覆われる。このため、該開口の両端がスリット状に露出することがなく、見栄えが良好である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電動リヤサンシェードにおいて、前記カバーは、前記フレームに対して回動可能に設けられると共に、前記サンシェードの側端に沿う方向に回転付勢されており、前記リヤパッケージトレイトリムには、前記サンシェードを格納する際に、前記カバーが前記付勢力に抗して車両外側に回転変位するように案内する案内部が設けられている。
【0010】
請求項2に記載の電動リヤサンシェードでは、フレームの両端部のカバーは、サンシェードの使用時に、回転付勢により、該サンシェードの側端に沿う方向に回転して、折り畳まれた状態となる。これにより、サンシェードの使用時において、フレームの両端部からのカバーの張出しが抑制されるので、見栄えが良好となる。
【0011】
またフレームの両端部のカバーは、サンシェードを格納する際に、リヤパッケージトレイトリムに設けられた案内部により案内されて、該カバーに対する付勢力に抗して車両外側に回転変位する。これにより、カバーがフレームの両端部から車両外側に張り出すことで、リヤパッケージトレイトリムの開口のうち、該フレームで覆われない範囲が覆われる。
【0012】
このように、請求項2に記載の電動リヤサンシェードでは、サンシェードの格納時だけでなく、使用時の見栄えも向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電動リヤサンシェードにおいて、前記フレーム又は前記カバーの少なくとも一方には、前記サンシェードの使用時に該カバーが該サンシェードの前記側端に沿う状態となるように、該カバーの角度位置を規制するストッパが設けられている。
【0014】
請求項3に記載の電動リヤサンシェードでは、フレームの両端部のカバーが、サンシェードの使用時に、回転付勢により、該サンシェードの側端に沿う方向に回転するが、該カバーの角度位置は、フレーム又はカバーの少なくとも一方に設けられたストッパにより、該カバーがサンシェードの側端に沿う状態となるように規制される。これにより、カバーは、サンシェードの側端に沿った所定の角度位置で安定的に折り畳まれた状態となる。このため、サンシェードの使用時におけるカバーの存在が目立たず、見栄えが良好となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の電動リヤサンシェードによれば、サンシェードの格納状態において、リヤパッケージトレイトリムの開口が露出しないようにして、見栄えを向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【0016】
請求項2に記載の電動リヤサンシェードによれば、サンシェードの格納時だけでなく、使用時の見栄えも向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【0017】
請求項3に記載の電動リヤサンシェードによれば、サンシェードの使用時におけるカバーの存在が目立たず、見栄えが良好となる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電動リヤサンシェードにおいて、サンシェードの使用状態を示す斜視図である。
【図2】電動リヤサンシェードにおいて、サンシェードの使用状態を示す正面図である。
【図3】(A)サンシェードの使用状態におけるフレーム及びカバーを示す、図2における3A矢視拡大図である。(B)カバー、サンシェード及び上部アームを示す、図2における3B−3B矢視拡大断面図である。
【図4】サンシェードの使用状態におけるカバー付近の構造を示す拡大断面図である。
【図5】ストッパの変形例を示す、図5に相当する拡大断面図である。
【図6】(A)サンシェードを格納して行く際に、カバーが案内部により案内されて車両外側に回転変位する状態を示す拡大正面図である。(B)サンシェードが格納状態となり、カバーの側壁部がフレームの上面及びリヤパッケージトレイトリムの表面と面一となった状態を示す拡大正面図である。
【図7】電動リヤサンシェードにおいて、サンシェードの格納状態を示す斜視図である。
【図8】(A)サンシェードの使用状態におけるカバー付近及びリヤパッケージトレイトリムの開口を示す拡大平面図である。(B)サンシェードの格納状態におけるカバー付近を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施の形態に係る電動リヤサンシェード10は、車両12のリヤウィンドウ14を通じて車内に入る外光を遮る等の目的で使用される遮光装置であり、サンシェード16と、フレーム18と、カバー20とを有している。
【0020】
図1,図2において、サンシェード16は、リヤウィンドウ14用の例えば幕状体であり、リヤパッケージトレイトリム22の下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリム22に形成された開口24を通じて、電気駆動により出し入れされるように構成されている。このサンシェード16は、可視光の透過率が例えば30%程度の布幕であり、略台形のリヤウィンドウ14に対応して、正面視で例えば台形に形成されている。これに伴い、サンシェード16の下端16Lは、上端16Uより幅広となっている。サンシェード16の側端16Bは、上端16Uと下端16Lの端部同士を結ぶように、例えば直線状に形成されている。なお、サンシェード16の側端16Bの形状は、直線状には限られず、一部又全部が曲線状であってもよい。
【0021】
フレーム18は、サンシェード16の上端16Uに設けられており、該上端16Uを保持する部材である。このフレーム18は、サンシェード16の格納時に、リヤパッケージトレイトリム22の開口24の例えば大部分を覆うようになっている。開口24のうちフレーム18で覆われない範囲は、後述するカバー20により覆われるようになっている。
【0022】
図1,図2に示されるように、フレーム18の両端部18Aの車両下側には、一対のアーム26が連結されている。各々のアーム26は中折れ構造となっており、上部アーム26Aと下部アーム26Bとが、例えばピン30により、互いに相対回転可能に連結されている。図4に示されるように、上部アーム26Aの上端26Uは、フレーム18の両端部18Aの車両下側に、例えばピン28により枢支されている。これにより、上部アーム26Aは、フレーム18に対して回動自在となっている。
【0023】
下部アーム26Bの下端は、リヤパッケージトレイトリム22の下方の図示しない部位に枢支されている。アーム26は、サンシェード16の使用時に、例えば直線状に伸長し、またサンシェード16の格納時に、左右の下部アーム26Bが夫々車幅方向内側に倒れることで、ピン30を中心として、夫々車幅方向中央側に凸に中折れして、リヤパッケージトレイトリム22の下方に、開口24を通じて全体的に格納される。このようにアーム26を駆動するため、リヤパッケージトレイトリム22の下方には、下部アーム26Bを揺動させる駆動装置(図示せず)が設けられている。この駆動装置は、下部アーム26Bを、サンシェード16の使用時に起き上がらせ、またサンシェード16の格納時に倒すように制御される。
【0024】
なお、アーム26は、中折れ構造のものに限られず、例えば、上端26Uがフレーム18に対して、該フレーム18の長手方向に摺動可能に連結される構造であってもよい。この構造の場合、アーム26の揺動に伴い、上端26Uがフレーム18の長手方向に摺動することで、該フレーム18が上下動する。
【0025】
またリヤパッケージトレイトリム22の下方には、サンシェード16を巻取り可能なローラ(図示せず)が設けられている。このローラは、例えばコイルばね(トーションスプリング)により、サンシェード16の巻取り方向に付勢されており、サンシェード16を引き出す際及び格納する際に、サンシェード16に適度な張力を付与するようになっている。サンシェード16に張力を付与することで、該サンシェード16のばたつきを抑制することができる。
【0026】
リヤパッケージトレイトリム22の開口24は、例えば車幅方向に沿って直線状に形成されている。フレーム18も、該開口24に対応して、直線状に形成されている。開口24の幅は、サンシェード16及びアーム26が通過できるように設定されている。また開口24の長さは、サンシェード16の下端16Lが通過できるように、上端16Uを保持するフレーム18の長さよりも長く設定されている。
【0027】
次に、図1から図4において、カバー20は、フレーム18の両端部18Aに設けられ、サンシェード16の格納時に、開口24のうちフレーム18で覆われない範囲を覆う部材である。このカバー20は、サンシェード16の使用状態において、図4に示されるように、サンシェード16の側端16Bに沿って折り畳まれた状態となる。またカバー20は、例えば合成樹脂により構成され、例えば前後一対の縦壁部20Aと、該一対の縦壁部20Aを車両前後方向に連結する側壁部20Bとにより断面略U字状に形成されている。図4に示されるように、サンシェード16の使用状態(カバー20の折畳み状態)において、側壁部20Bは、一対の縦壁部20Aの車幅方向外側の端縁に位置している。
【0028】
また図6(B)に示されるように、サンシェード16の格納状態において、側壁部20Bは、一対の縦壁部20Aの車両上側の端縁に位置し、例えばフレーム18の上面18Bと面一となるように設定されている。前後一対の縦壁部20Aの離間距離は、フレーム18の両端部18Aの前後幅よりも若干大きく設定されており、該両端部18Aは一対の縦壁部20Aの間に位置している。カバー20は、一対の縦壁部20A及び両端部18Aを貫くピン32により、フレーム18に対して回動可能に設けられている。
【0029】
更にカバー20は、サンシェード16の側端16Bに沿う方向(矢印A方向)に、例えばねじりコイルばね34により回転付勢されている。このねじりコイルばね34は、ピン32の同軸上に設けられている。ねじりコイルばね34の一端34Aはフレーム18に固定され、他端34Bはカバー20に固定されている。
【0030】
カバー20の縦壁部20Aのうち、図4に示されるサンシェード16の使用状態(カバー20の折畳み状態)において車両下側に位置する端部には、湾曲部20Cが形成されている。この湾曲部20Cは、縦壁部20Aにおいて、側壁部20B側の端縁20Eから、該側壁部20Bと反対側の端縁20Dにわたって例えば円弧状に形成されている。湾曲部20Cの曲率中心(図示せず)は、側壁部20B側に位置している。端縁20Dと湾曲部20Cとの境界において、該端縁20Dは、該湾曲部20Cに対する接線をなしている。
【0031】
図6(A)に示されるように、リヤパッケージトレイトリム22には、サンシェード16を格納する際に、カバー20がねじりコイルばね34の付勢力に抗して車両外側に回転変位するように案内する案内部36が設けられている。この案内部36は、湾曲部20Cの形状に対応した凹面状に形成され、サンシェード16を格納して行く際にカバー20の湾曲部20Cが最初に当接する部位が、車幅方向外側に向かって斜め下方に向かう斜面36Aとなっている。該斜面36Aの外側に連なる斜面36Bは、車幅方向外側に向かって斜め上方に向かっている。更に斜面36Bの車幅方向外側に連なる斜面36Cは、図6(B)に示されるように、サンシェード16の格納状態において、カバー20の側壁部20Bがフレーム18の長手方向に沿うように(上面18Bと面一となるように)形成されている。斜面36C及び湾曲部20Cの輪郭は、一致していてもよい。
【0032】
次に図3(A),図4に示されるように、フレーム18又はカバー20の少なくとも一方には、サンシェード16の使用時に該カバー20が該サンシェード16の側端16Bに沿う状態となるように、該カバー20の角度位置を規制するストッパ38が設けられている。本実施形態では、該ストッパ38は、フレーム18の両端部18Aの端面に、局部的な突起として設けられている。
【0033】
なお、該ストッパ38の形状は、これに限られるものではない。例えば図5に示されるように、フレーム18の両端部18Aの端面を、車両下側に向かうに従って車幅方向外側に張り出す傾斜面として、その最大張出し位置をストッパ38として用いてもよい。またカバー20側にストッパを設けてもよく、フレーム18とカバー20の双方にストッパを設けてもよい(何れも図示せず)。またカバー20がアーム26の上部アーム26Aに当接することで、該カバー20の角度位置が規制されるようにしてもよい。この場合、アーム26がストッパを兼ねることとなり、フレーム18やカバー20にストッパを設ける場合と比較して、コストの低減が可能である。
【0034】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。まず電動リヤサンシェード10におけるサンシェード16の使用時の作用について説明する。図1,図2において、サンシェード16を使用する際には、図示しない駆動装置が一対のアーム26の下部アーム26Bを夫々矢印U方向(図2)に揺動させる。これにより、上部アーム26Aと下部アーム26Bとがピン30を中心として相対回転して、該アーム26が伸長することで、フレーム18が上昇すると共に、該フレーム18に保持されているサンシェード16がリヤパッケージトレイトリム22の開口24を通じて引き出され、リヤウィンドウ14に沿って展開する。このとき、サンシェード16は、ローラ(図示せず)から適度な張力を保持しつつ繰り出される。このようにして引き出されたサンシェード16により、リヤウィンドウ14を通じて車内に入る外光を適度に遮ることができる。
【0035】
図4に示されるように、フレーム18の両端部のカバー20は、ねじりコイルばね34により矢印A方向に回転付勢されているので、サンシェード16の使用時には、該サンシェード16の側端16Bに沿う方向(矢印A方向)に回転して、折り畳まれた状態となる。このときの該カバー20の角度位置は、フレーム18又はカバー20の少なくとも一方、本実施形態ではフレーム18の両端部18Aの端面に設けられたストッパ38により、該カバー20がサンシェード16の側端16Bに沿う状態となるように規制される。図5に示される例でも同様である。
【0036】
これにより、カバー20は、サンシェード16の側端16Bに沿った所定の角度位置で安定的に折り畳まれ、該カバー20の縦壁部20Aにより、サンシェード16の側端16B及び上部アーム26Aの一部が覆われた状態となる。このため、サンシェード16の使用時において、フレーム18の両端部18Aからのカバー20の張出しが抑制されるので、カバー20の存在が目立たず、見栄えが良好となる。更に、乗員(図示せず)からの後方視界も良好となる。
【0037】
なお、伸長状態のアーム26がサンシェード16の側端16Bに沿う構成の場合には、折畳み状態のカバー20は、該アーム26にも沿った状態となる。カバー20の長手方向とアーム26の長手方向とが平行に揃うことで、カバー20がより目立たなくなり、更に見栄えが良好となる。また見栄えの観点から、正面視でのカバー20の側壁部20Bとアーム26との段差は、できるだけ小さくすることが望ましい。
【0038】
次に電動リヤサンシェード10におけるサンシェード16の格納時の作用について説明する。図1,図2に示される使用状態のサンシェード16を格納する際には、図示しない駆動装置が一対のアーム26の下部アーム26Bを夫々矢印D方向(図2)に揺動させる。これにより、該アーム26がピン30を中心として中折れして折り畳まれることで、フレーム18が下降する。このとき、フレーム18に保持されているサンシェード16が、ローラ(図示せず)により適度な張力を付与されながら、リヤパッケージトレイトリム22の開口24を通じて、リヤパッケージトレイトリム22の下方に巻き取られて行く。
【0039】
続いて、図6(A)に示されるように、フレーム18がリヤパッケージトレイトリム22の開口24に接近して行くと、カバー20の湾曲部20Cが、該リヤパッケージトレイトリム22に設けられた案内部36の斜面36Aに当接する。この斜面36Aは、車幅方向外側に向かって斜め下方に向かう形状となっているので、カバー20は、フレーム18の更なる下降に伴い、湾曲部20Cが該斜面36Aの上を摺動して行くことで、ねじりコイルばね34(図4,図5)の付勢力に抗して、ピン32を中心として車両外側(車幅方向外側)に回転変位して行く。
【0040】
カバー20の湾曲部20Cは、斜面36Aに続いて斜面36B,36Cの上を摺動しながら、更に車両外側に回転変位し、車幅方向外側に張り出して行く。そして、図6(B)に示されるように、フレーム18が完全に下降し、サンシェード16が格納されると、カバー20の側壁部20Bが、フレーム18の長手方向に沿うと共に、例えばリヤパッケージトレイトリム22の表面及びフレーム18の上面18Bと面一となる。
【0041】
図2に示されるように、サンシェード16は略台形に形成されており、上端16Uが下端16Lよりも短いので、該上端16Uに設けられているフレーム18によりリヤパッケージトレイトリム22の開口24をすべて覆うことはできないが(図8(A)参照)、それでも開口24の大部分は、フレーム18により覆われた状態となる。そして、図7,図8(B)に示されるように、該開口24のうちフレーム18で覆われない範囲は、該フレーム18の両端部18Aから車両外側に張り出したカバー20により覆われる。
【0042】
このように、本実施形態では、サンシェード16の格納状態において、フレーム18と、該フレーム18の両端部18Aのカバー20とにより、リヤパッケージトレイトリム22の開口24がすべて覆われる。このため、該開口24の両端がスリット状に露出することがなく、見栄えが良好である。カバー20は、サンシェード16の使用時に、該サンシェード16の側端16Bに沿うように折り畳まれるので、該サンシェード16の格納時だけでなく、使用時の見栄えも向上させることができる。
【0043】
なお、図6(A),(B)に示されるように、本実施形態では、サンシェード16を格納して行く際に、カバー20における縦壁部20Aの湾曲部20Cが案内部36に接触し、端縁20Dは該案内部36に接触しない構成となっているが、湾曲部20Cから端縁20Dにかけて該案内部36に接触する構成としてもよい。図4,図5に示されるように、カバー20における縦壁部20Aの端縁20Dと湾曲部20Cとの境界において、該端縁20Dは、該湾曲部20Cに対する接線をなしているので、湾曲部20Cから端縁20Dにかけて案内部36に接触する構成であっても、カバー20は該案内部36に沿って円滑に回転変位することができる。従って、サンシェード16の上げ下げの際、カバー20が案内部36により案内されるときに、異音等が生じ難い。
【0044】
また案内部36を設けない構成としてもよい。カバー20が台形のサンシェード16の側端16Bに沿っていれば、該カバー20は車両上下方向よりも車両外側に張り出しており、かつ縦壁部20Aの湾曲部20Cがリヤパッケージトレイトリム22の表面上を摺動することで、サンシェード16の格納に伴い、該カバー20を車両外側に回転変位させることができるからである。
【符号の説明】
【0045】
10 電動リヤサンシェード
14 リヤウィンドウ
16 サンシェード
16B 側端
16L 下端
16U 上端
18 フレーム
18A 両端部
20 カバー
22 リヤパッケージトレイトリム
24 開口
36 案内部
38 ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動リヤサンシェードに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のリヤウィンドウの下端側におけるリヤパッケージトレイとアッパーバックパネルとの間の収容凹部に、遮蔽状態で設置される電動サンシェードが開示されている(特許文献1参照)。またリヤパーセルトリムからサンシェードを引き出すアクセス開口を、該サンシェードの引出端部に装着されたレールの蓋体で覆う構造が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−62442号公報
【特許文献2】特開2005−335484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例のように、電動リヤサンシェードでは、リヤパッケージトレイトリムに設けられたスリット状の開口を通じて、サンシェードが車両上方に引き出されることで使用状態となり、車両下方に引き込まれることで格納状態となる。格納状態では、リヤパッケージトレイトリムの開口は、サンシェードの上端のフレームにより覆われる。
【0005】
しかしながら、リヤウィンドウの下端側が上端側よりも幅広に形成されている場合、該リヤウィンドウをサンシェードで覆う面積を広くしようとすると、該サンシェードも、下端側が上端側より幅広の形状となる。リヤパッケージトレイトリムの開口の長さは、サンシェードにおける幅広の下端も通過できるように設定される。従って、サンシェードの上端のフレームの長さが、リヤパッケージトレイトリムの開口の長さよりも短くなるため、サンシェードを格納したときに、上端のフレームでリヤパッケージトレイトリムの開口をすべて覆うことができず、該開口の左右端部が露出してしまう。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、サンシェードの格納状態において、リヤパッケージトレイトリムの開口が露出しないようにして、見栄えを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、リヤパッケージトレイトリムの下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリムに形成された開口を通じて、電気駆動により出し入れされ、上端より下端が幅広に形成されたリヤウィンドウ用のサンシェードと、該サンシェードの前記上端に設けられ、該サンシェードの格納時に前記開口を覆うフレームと、該フレームの両端部に設けられ、前記サンシェードの格納時に、前記開口のうち前記フレームで覆われない範囲を覆うカバーと、を有している。
【0008】
請求項1に記載の電動リヤサンシェードでは、サンシェードの格納状態において、該サンシェードの上端のフレームと、該フレームの両端部のカバーとにより、リヤパッケージトレイトリムの開口がすべて覆われる。このため、該開口の両端がスリット状に露出することがなく、見栄えが良好である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電動リヤサンシェードにおいて、前記カバーは、前記フレームに対して回動可能に設けられると共に、前記サンシェードの側端に沿う方向に回転付勢されており、前記リヤパッケージトレイトリムには、前記サンシェードを格納する際に、前記カバーが前記付勢力に抗して車両外側に回転変位するように案内する案内部が設けられている。
【0010】
請求項2に記載の電動リヤサンシェードでは、フレームの両端部のカバーは、サンシェードの使用時に、回転付勢により、該サンシェードの側端に沿う方向に回転して、折り畳まれた状態となる。これにより、サンシェードの使用時において、フレームの両端部からのカバーの張出しが抑制されるので、見栄えが良好となる。
【0011】
またフレームの両端部のカバーは、サンシェードを格納する際に、リヤパッケージトレイトリムに設けられた案内部により案内されて、該カバーに対する付勢力に抗して車両外側に回転変位する。これにより、カバーがフレームの両端部から車両外側に張り出すことで、リヤパッケージトレイトリムの開口のうち、該フレームで覆われない範囲が覆われる。
【0012】
このように、請求項2に記載の電動リヤサンシェードでは、サンシェードの格納時だけでなく、使用時の見栄えも向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電動リヤサンシェードにおいて、前記フレーム又は前記カバーの少なくとも一方には、前記サンシェードの使用時に該カバーが該サンシェードの前記側端に沿う状態となるように、該カバーの角度位置を規制するストッパが設けられている。
【0014】
請求項3に記載の電動リヤサンシェードでは、フレームの両端部のカバーが、サンシェードの使用時に、回転付勢により、該サンシェードの側端に沿う方向に回転するが、該カバーの角度位置は、フレーム又はカバーの少なくとも一方に設けられたストッパにより、該カバーがサンシェードの側端に沿う状態となるように規制される。これにより、カバーは、サンシェードの側端に沿った所定の角度位置で安定的に折り畳まれた状態となる。このため、サンシェードの使用時におけるカバーの存在が目立たず、見栄えが良好となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の電動リヤサンシェードによれば、サンシェードの格納状態において、リヤパッケージトレイトリムの開口が露出しないようにして、見栄えを向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【0016】
請求項2に記載の電動リヤサンシェードによれば、サンシェードの格納時だけでなく、使用時の見栄えも向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【0017】
請求項3に記載の電動リヤサンシェードによれば、サンシェードの使用時におけるカバーの存在が目立たず、見栄えが良好となる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電動リヤサンシェードにおいて、サンシェードの使用状態を示す斜視図である。
【図2】電動リヤサンシェードにおいて、サンシェードの使用状態を示す正面図である。
【図3】(A)サンシェードの使用状態におけるフレーム及びカバーを示す、図2における3A矢視拡大図である。(B)カバー、サンシェード及び上部アームを示す、図2における3B−3B矢視拡大断面図である。
【図4】サンシェードの使用状態におけるカバー付近の構造を示す拡大断面図である。
【図5】ストッパの変形例を示す、図5に相当する拡大断面図である。
【図6】(A)サンシェードを格納して行く際に、カバーが案内部により案内されて車両外側に回転変位する状態を示す拡大正面図である。(B)サンシェードが格納状態となり、カバーの側壁部がフレームの上面及びリヤパッケージトレイトリムの表面と面一となった状態を示す拡大正面図である。
【図7】電動リヤサンシェードにおいて、サンシェードの格納状態を示す斜視図である。
【図8】(A)サンシェードの使用状態におけるカバー付近及びリヤパッケージトレイトリムの開口を示す拡大平面図である。(B)サンシェードの格納状態におけるカバー付近を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施の形態に係る電動リヤサンシェード10は、車両12のリヤウィンドウ14を通じて車内に入る外光を遮る等の目的で使用される遮光装置であり、サンシェード16と、フレーム18と、カバー20とを有している。
【0020】
図1,図2において、サンシェード16は、リヤウィンドウ14用の例えば幕状体であり、リヤパッケージトレイトリム22の下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリム22に形成された開口24を通じて、電気駆動により出し入れされるように構成されている。このサンシェード16は、可視光の透過率が例えば30%程度の布幕であり、略台形のリヤウィンドウ14に対応して、正面視で例えば台形に形成されている。これに伴い、サンシェード16の下端16Lは、上端16Uより幅広となっている。サンシェード16の側端16Bは、上端16Uと下端16Lの端部同士を結ぶように、例えば直線状に形成されている。なお、サンシェード16の側端16Bの形状は、直線状には限られず、一部又全部が曲線状であってもよい。
【0021】
フレーム18は、サンシェード16の上端16Uに設けられており、該上端16Uを保持する部材である。このフレーム18は、サンシェード16の格納時に、リヤパッケージトレイトリム22の開口24の例えば大部分を覆うようになっている。開口24のうちフレーム18で覆われない範囲は、後述するカバー20により覆われるようになっている。
【0022】
図1,図2に示されるように、フレーム18の両端部18Aの車両下側には、一対のアーム26が連結されている。各々のアーム26は中折れ構造となっており、上部アーム26Aと下部アーム26Bとが、例えばピン30により、互いに相対回転可能に連結されている。図4に示されるように、上部アーム26Aの上端26Uは、フレーム18の両端部18Aの車両下側に、例えばピン28により枢支されている。これにより、上部アーム26Aは、フレーム18に対して回動自在となっている。
【0023】
下部アーム26Bの下端は、リヤパッケージトレイトリム22の下方の図示しない部位に枢支されている。アーム26は、サンシェード16の使用時に、例えば直線状に伸長し、またサンシェード16の格納時に、左右の下部アーム26Bが夫々車幅方向内側に倒れることで、ピン30を中心として、夫々車幅方向中央側に凸に中折れして、リヤパッケージトレイトリム22の下方に、開口24を通じて全体的に格納される。このようにアーム26を駆動するため、リヤパッケージトレイトリム22の下方には、下部アーム26Bを揺動させる駆動装置(図示せず)が設けられている。この駆動装置は、下部アーム26Bを、サンシェード16の使用時に起き上がらせ、またサンシェード16の格納時に倒すように制御される。
【0024】
なお、アーム26は、中折れ構造のものに限られず、例えば、上端26Uがフレーム18に対して、該フレーム18の長手方向に摺動可能に連結される構造であってもよい。この構造の場合、アーム26の揺動に伴い、上端26Uがフレーム18の長手方向に摺動することで、該フレーム18が上下動する。
【0025】
またリヤパッケージトレイトリム22の下方には、サンシェード16を巻取り可能なローラ(図示せず)が設けられている。このローラは、例えばコイルばね(トーションスプリング)により、サンシェード16の巻取り方向に付勢されており、サンシェード16を引き出す際及び格納する際に、サンシェード16に適度な張力を付与するようになっている。サンシェード16に張力を付与することで、該サンシェード16のばたつきを抑制することができる。
【0026】
リヤパッケージトレイトリム22の開口24は、例えば車幅方向に沿って直線状に形成されている。フレーム18も、該開口24に対応して、直線状に形成されている。開口24の幅は、サンシェード16及びアーム26が通過できるように設定されている。また開口24の長さは、サンシェード16の下端16Lが通過できるように、上端16Uを保持するフレーム18の長さよりも長く設定されている。
【0027】
次に、図1から図4において、カバー20は、フレーム18の両端部18Aに設けられ、サンシェード16の格納時に、開口24のうちフレーム18で覆われない範囲を覆う部材である。このカバー20は、サンシェード16の使用状態において、図4に示されるように、サンシェード16の側端16Bに沿って折り畳まれた状態となる。またカバー20は、例えば合成樹脂により構成され、例えば前後一対の縦壁部20Aと、該一対の縦壁部20Aを車両前後方向に連結する側壁部20Bとにより断面略U字状に形成されている。図4に示されるように、サンシェード16の使用状態(カバー20の折畳み状態)において、側壁部20Bは、一対の縦壁部20Aの車幅方向外側の端縁に位置している。
【0028】
また図6(B)に示されるように、サンシェード16の格納状態において、側壁部20Bは、一対の縦壁部20Aの車両上側の端縁に位置し、例えばフレーム18の上面18Bと面一となるように設定されている。前後一対の縦壁部20Aの離間距離は、フレーム18の両端部18Aの前後幅よりも若干大きく設定されており、該両端部18Aは一対の縦壁部20Aの間に位置している。カバー20は、一対の縦壁部20A及び両端部18Aを貫くピン32により、フレーム18に対して回動可能に設けられている。
【0029】
更にカバー20は、サンシェード16の側端16Bに沿う方向(矢印A方向)に、例えばねじりコイルばね34により回転付勢されている。このねじりコイルばね34は、ピン32の同軸上に設けられている。ねじりコイルばね34の一端34Aはフレーム18に固定され、他端34Bはカバー20に固定されている。
【0030】
カバー20の縦壁部20Aのうち、図4に示されるサンシェード16の使用状態(カバー20の折畳み状態)において車両下側に位置する端部には、湾曲部20Cが形成されている。この湾曲部20Cは、縦壁部20Aにおいて、側壁部20B側の端縁20Eから、該側壁部20Bと反対側の端縁20Dにわたって例えば円弧状に形成されている。湾曲部20Cの曲率中心(図示せず)は、側壁部20B側に位置している。端縁20Dと湾曲部20Cとの境界において、該端縁20Dは、該湾曲部20Cに対する接線をなしている。
【0031】
図6(A)に示されるように、リヤパッケージトレイトリム22には、サンシェード16を格納する際に、カバー20がねじりコイルばね34の付勢力に抗して車両外側に回転変位するように案内する案内部36が設けられている。この案内部36は、湾曲部20Cの形状に対応した凹面状に形成され、サンシェード16を格納して行く際にカバー20の湾曲部20Cが最初に当接する部位が、車幅方向外側に向かって斜め下方に向かう斜面36Aとなっている。該斜面36Aの外側に連なる斜面36Bは、車幅方向外側に向かって斜め上方に向かっている。更に斜面36Bの車幅方向外側に連なる斜面36Cは、図6(B)に示されるように、サンシェード16の格納状態において、カバー20の側壁部20Bがフレーム18の長手方向に沿うように(上面18Bと面一となるように)形成されている。斜面36C及び湾曲部20Cの輪郭は、一致していてもよい。
【0032】
次に図3(A),図4に示されるように、フレーム18又はカバー20の少なくとも一方には、サンシェード16の使用時に該カバー20が該サンシェード16の側端16Bに沿う状態となるように、該カバー20の角度位置を規制するストッパ38が設けられている。本実施形態では、該ストッパ38は、フレーム18の両端部18Aの端面に、局部的な突起として設けられている。
【0033】
なお、該ストッパ38の形状は、これに限られるものではない。例えば図5に示されるように、フレーム18の両端部18Aの端面を、車両下側に向かうに従って車幅方向外側に張り出す傾斜面として、その最大張出し位置をストッパ38として用いてもよい。またカバー20側にストッパを設けてもよく、フレーム18とカバー20の双方にストッパを設けてもよい(何れも図示せず)。またカバー20がアーム26の上部アーム26Aに当接することで、該カバー20の角度位置が規制されるようにしてもよい。この場合、アーム26がストッパを兼ねることとなり、フレーム18やカバー20にストッパを設ける場合と比較して、コストの低減が可能である。
【0034】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。まず電動リヤサンシェード10におけるサンシェード16の使用時の作用について説明する。図1,図2において、サンシェード16を使用する際には、図示しない駆動装置が一対のアーム26の下部アーム26Bを夫々矢印U方向(図2)に揺動させる。これにより、上部アーム26Aと下部アーム26Bとがピン30を中心として相対回転して、該アーム26が伸長することで、フレーム18が上昇すると共に、該フレーム18に保持されているサンシェード16がリヤパッケージトレイトリム22の開口24を通じて引き出され、リヤウィンドウ14に沿って展開する。このとき、サンシェード16は、ローラ(図示せず)から適度な張力を保持しつつ繰り出される。このようにして引き出されたサンシェード16により、リヤウィンドウ14を通じて車内に入る外光を適度に遮ることができる。
【0035】
図4に示されるように、フレーム18の両端部のカバー20は、ねじりコイルばね34により矢印A方向に回転付勢されているので、サンシェード16の使用時には、該サンシェード16の側端16Bに沿う方向(矢印A方向)に回転して、折り畳まれた状態となる。このときの該カバー20の角度位置は、フレーム18又はカバー20の少なくとも一方、本実施形態ではフレーム18の両端部18Aの端面に設けられたストッパ38により、該カバー20がサンシェード16の側端16Bに沿う状態となるように規制される。図5に示される例でも同様である。
【0036】
これにより、カバー20は、サンシェード16の側端16Bに沿った所定の角度位置で安定的に折り畳まれ、該カバー20の縦壁部20Aにより、サンシェード16の側端16B及び上部アーム26Aの一部が覆われた状態となる。このため、サンシェード16の使用時において、フレーム18の両端部18Aからのカバー20の張出しが抑制されるので、カバー20の存在が目立たず、見栄えが良好となる。更に、乗員(図示せず)からの後方視界も良好となる。
【0037】
なお、伸長状態のアーム26がサンシェード16の側端16Bに沿う構成の場合には、折畳み状態のカバー20は、該アーム26にも沿った状態となる。カバー20の長手方向とアーム26の長手方向とが平行に揃うことで、カバー20がより目立たなくなり、更に見栄えが良好となる。また見栄えの観点から、正面視でのカバー20の側壁部20Bとアーム26との段差は、できるだけ小さくすることが望ましい。
【0038】
次に電動リヤサンシェード10におけるサンシェード16の格納時の作用について説明する。図1,図2に示される使用状態のサンシェード16を格納する際には、図示しない駆動装置が一対のアーム26の下部アーム26Bを夫々矢印D方向(図2)に揺動させる。これにより、該アーム26がピン30を中心として中折れして折り畳まれることで、フレーム18が下降する。このとき、フレーム18に保持されているサンシェード16が、ローラ(図示せず)により適度な張力を付与されながら、リヤパッケージトレイトリム22の開口24を通じて、リヤパッケージトレイトリム22の下方に巻き取られて行く。
【0039】
続いて、図6(A)に示されるように、フレーム18がリヤパッケージトレイトリム22の開口24に接近して行くと、カバー20の湾曲部20Cが、該リヤパッケージトレイトリム22に設けられた案内部36の斜面36Aに当接する。この斜面36Aは、車幅方向外側に向かって斜め下方に向かう形状となっているので、カバー20は、フレーム18の更なる下降に伴い、湾曲部20Cが該斜面36Aの上を摺動して行くことで、ねじりコイルばね34(図4,図5)の付勢力に抗して、ピン32を中心として車両外側(車幅方向外側)に回転変位して行く。
【0040】
カバー20の湾曲部20Cは、斜面36Aに続いて斜面36B,36Cの上を摺動しながら、更に車両外側に回転変位し、車幅方向外側に張り出して行く。そして、図6(B)に示されるように、フレーム18が完全に下降し、サンシェード16が格納されると、カバー20の側壁部20Bが、フレーム18の長手方向に沿うと共に、例えばリヤパッケージトレイトリム22の表面及びフレーム18の上面18Bと面一となる。
【0041】
図2に示されるように、サンシェード16は略台形に形成されており、上端16Uが下端16Lよりも短いので、該上端16Uに設けられているフレーム18によりリヤパッケージトレイトリム22の開口24をすべて覆うことはできないが(図8(A)参照)、それでも開口24の大部分は、フレーム18により覆われた状態となる。そして、図7,図8(B)に示されるように、該開口24のうちフレーム18で覆われない範囲は、該フレーム18の両端部18Aから車両外側に張り出したカバー20により覆われる。
【0042】
このように、本実施形態では、サンシェード16の格納状態において、フレーム18と、該フレーム18の両端部18Aのカバー20とにより、リヤパッケージトレイトリム22の開口24がすべて覆われる。このため、該開口24の両端がスリット状に露出することがなく、見栄えが良好である。カバー20は、サンシェード16の使用時に、該サンシェード16の側端16Bに沿うように折り畳まれるので、該サンシェード16の格納時だけでなく、使用時の見栄えも向上させることができる。
【0043】
なお、図6(A),(B)に示されるように、本実施形態では、サンシェード16を格納して行く際に、カバー20における縦壁部20Aの湾曲部20Cが案内部36に接触し、端縁20Dは該案内部36に接触しない構成となっているが、湾曲部20Cから端縁20Dにかけて該案内部36に接触する構成としてもよい。図4,図5に示されるように、カバー20における縦壁部20Aの端縁20Dと湾曲部20Cとの境界において、該端縁20Dは、該湾曲部20Cに対する接線をなしているので、湾曲部20Cから端縁20Dにかけて案内部36に接触する構成であっても、カバー20は該案内部36に沿って円滑に回転変位することができる。従って、サンシェード16の上げ下げの際、カバー20が案内部36により案内されるときに、異音等が生じ難い。
【0044】
また案内部36を設けない構成としてもよい。カバー20が台形のサンシェード16の側端16Bに沿っていれば、該カバー20は車両上下方向よりも車両外側に張り出しており、かつ縦壁部20Aの湾曲部20Cがリヤパッケージトレイトリム22の表面上を摺動することで、サンシェード16の格納に伴い、該カバー20を車両外側に回転変位させることができるからである。
【符号の説明】
【0045】
10 電動リヤサンシェード
14 リヤウィンドウ
16 サンシェード
16B 側端
16L 下端
16U 上端
18 フレーム
18A 両端部
20 カバー
22 リヤパッケージトレイトリム
24 開口
36 案内部
38 ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤパッケージトレイトリムの下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリムに形成された開口を通じて、電気駆動により出し入れされ、上端より下端が幅広に形成されたリヤウィンドウ用のサンシェードと、
該サンシェードの前記上端に設けられ、該サンシェードの格納時に前記開口を覆うフレームと、
該フレームの両端部に設けられ、前記サンシェードの格納時に、前記開口のうち前記フレームで覆われない範囲を覆うカバーと、
を有する電動リヤサンシェード。
【請求項2】
前記カバーは、前記フレームに対して回動可能に設けられると共に、前記サンシェードの側端に沿う方向に回転付勢されており、
前記リヤパッケージトレイトリムには、前記サンシェードを格納する際に、前記カバーが前記付勢力に抗して車両外側に回転変位するように案内する案内部が設けられている請求項1に記載の電動リヤサンシェード。
【請求項3】
前記フレーム又は前記カバーの少なくとも一方には、前記サンシェードの使用時に該カバーが該サンシェードの前記側端に沿う状態となるように、該カバーの角度位置を規制するストッパが設けられている請求項2に記載の電動リヤサンシェード。
【請求項1】
リヤパッケージトレイトリムの下方に設けられ、該リヤパッケージトレイトリムに形成された開口を通じて、電気駆動により出し入れされ、上端より下端が幅広に形成されたリヤウィンドウ用のサンシェードと、
該サンシェードの前記上端に設けられ、該サンシェードの格納時に前記開口を覆うフレームと、
該フレームの両端部に設けられ、前記サンシェードの格納時に、前記開口のうち前記フレームで覆われない範囲を覆うカバーと、
を有する電動リヤサンシェード。
【請求項2】
前記カバーは、前記フレームに対して回動可能に設けられると共に、前記サンシェードの側端に沿う方向に回転付勢されており、
前記リヤパッケージトレイトリムには、前記サンシェードを格納する際に、前記カバーが前記付勢力に抗して車両外側に回転変位するように案内する案内部が設けられている請求項1に記載の電動リヤサンシェード。
【請求項3】
前記フレーム又は前記カバーの少なくとも一方には、前記サンシェードの使用時に該カバーが該サンシェードの前記側端に沿う状態となるように、該カバーの角度位置を規制するストッパが設けられている請求項2に記載の電動リヤサンシェード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−245878(P2011−245878A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117525(P2010−117525)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
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