説明

電動器具

【課題】 ユーザに、容易にマッサージ効果やリラクゼーション効果を与えることのできるマッサージ器具を提供する。
【解決手段】 伸縮性ないし柔軟性を有する袋体15と、この袋体15に収納された複数の可動体16とを設ける。動力源12と、この動力源12の回転により回転して可動体16を撹拌する撹拌部材13とを設ける。動力源12が回転するとき、撹拌部材13が回転して可動体16を撹拌し、この撹拌により袋体15の表面の凹凸をランダムに変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電動器具に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、何かとストレスがたまりやすく、それゆえ心身ともに疲れやすくなっている。マッサージ器具やリラクゼーショングッズなどが多く店で販売され、売れているのも、心身の疲れを癒したいというユーザの強い意思によるものと考えられる。例えば、大型電器量販店に行くと、肩や背中あるいは足の裏のマッサージ機などが必ずといっていいほど展示されている。
【0003】
また、掌(手のひら)のマッサージ製品あるいはリラクゼーショングッズとして、全体が球状に構成され、ユーザが握りしめたり、掌の上を転がしたりすることにより、マッサージ効果やリラクゼーション効果が得られるようにしたものもある。このマッサージ器具は、球状体の材質に工夫を加えて適度な弾力性を持たせたり、形状を握りやすくしたり、あるいは掌の上で転がしやすくしたり、1個だけでなく2個を一緒に使用できるようにしたりなどの工夫がされている。
【0004】
なお、先行技術文献として例えば以下のものがある。
【特許文献1】特開2000−185082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、球状体により構成された掌のマッサージ器具は、握るにしろ掌の上を転がすにしろ、ユーザの意思が必要であり、このため、かえってユーザが疲れたり、不快な気持ちになったりすることがある。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明においては、
モータと、
このモータの回転により回転あるいは振動が与えられる部材と
を有し、
上記部材による上記回転あるいは振動を人体に与える
ようにした電動器具
とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、器具の上に掌を乗せたり、逆に掌の上に器具を乗せたり、あるいは軽く握るだけで、マッサージ効果やリラクゼーション効果を得ることができる。そして、このとき、ユーザは、単に器具の上に掌を乗せたり、逆に掌の上にマッサージ器具を乗せたり、あるいは軽く握るだけでよいので、疲れたり、不快な気持ちになったりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1において、符号10はこの発明をマッサージ器具に適用した場合の一例を示し、図1においては、その垂直方向を断面として内部を示す。なお、マッサージ器具10は、基本的には、上下(および前後・左右)の向きが規定されないが、以下においては、図1の状態を正立状態とする。
【0010】
そして、このマッサージ器具10は、例えば、全体がほぼ球状に構成されているとともに、その直径が6〜8cm程度とされ、すなわち、マッサージ器具10の上に掌を乗せる、掌で覆う、あるいは手で握るなどの扱いができる大きさとされている。また、マッサージ器具10はその下部に台座11を有するとともに、この台座11の上部に直流モータ12が設けられている。
【0011】
この直流モータ12は、通常の直流モータの回転をギアにより低速化すると同時に高トルク化したもので、その回転数は例えば60〜120rpmとされている。そして、この直流モータ12の回転軸は上方向に向けられるとともに、プロペラ状の撹拌部材13が設けられている。また、台座11の内部には、直流モータ12の電源となる電池14が設けられている。したがって、台座11は、電池ボックスを兼ねていることになる。
【0012】
そして、これら台座11〜撹拌部材13を包み込むように、伸縮性ないし柔軟性を有する袋体15がかぶせられるとともに、この袋体15の内部には、複数の可動体、例えば10個の球体16が収納されている。この場合、袋体15は例えばTPR(ThermoPlastic Rubber;熱可塑性ゴム、熱可塑性エラストマ)により形成され、例えば内部に何もない状態で空気などにより膨らませたときには、球状になるものであり、この袋体15の開口が台座11の底部に例えば接着により固定されている。また、球体16は例えば直径が2cm程度の大きさで適度の硬度を有するものであり、例えばTPRにより形成されている。
【0013】
そして、上記のように、袋体15の内部には、台座11〜撹拌部材13、球体16が収納され、したがって、袋体15は全体としてほぼ球状となるとともに、その表面は球体16により凹凸が形成される。なお、球体16の数を選択することにより、袋体15の直径が、掌にしっくりくる大きさ、例えば上記のように6〜8cm程度とされる。
【0014】
このような構成によれば、直流モータ12が通電されると、撹拌部材13が回転し、その回転につれて球体16が撹拌される。そして、球体16が撹拌されると、球体16の位置が変化するので、袋体15の表面の凹凸が球体16の撹拌につれてランダムに変化する。したがって、例えば、袋体15の上に掌を乗せていれば、すなわち、マッサージ器具10の上に掌を乗せたり、軽く握っていれば、掌がマッサージされることになる。
【0015】
こうして、このマッサージ器具10によれば、マッサージ器具10の上に掌を乗せたり、軽く握るだけで、掌をマッサージしたり、掌のツボを刺激したりすることができ、したがって、マッサージ効果やリラクゼーション効果を得ることができる。そして、このとき、ユーザは、単にマッサージ器具10の上に掌を乗せたり、軽く握るだけでよいので、疲れたり、不快な気持ちになったりすることがない。
【0016】
また、例えば図2に示すように、マッサージ器具10を上下逆にして掌(破線図示)に乗せたり、その状態で握ってもよく、この場合にも、撹拌部材13の回転により球体16が撹拌されて袋体15の表面の凹凸がランダムに変化するので、掌がマッサージされることになり、やはりマッサージ効果やリラクゼーション効果を得ることができる。しかも、図2に示す例においては、球体16として、直径の異なる球体を混合させた場合でもあり、したがって、袋体15の表面の凹凸やこの凹凸による刺激をよりランダムにすることができる。
【0017】
図3は、この発明の他の例を示し、この例においては、台座11が円柱状に形成されるとともに、上面の中央の凹部に直流モータ12が設けられる。また、円盤13Aの上面に凸部13Bが一体に形成されて撹拌部材13が構成される。この場合、円盤13Aに対する凸部13Bの位置、大きさ、高さなどはランダムとすることができる。なお、この例においては、円盤13Aの下面が、台座11および直流モータ12に近接している場合である。
【0018】
したがって、この例においては、球体16により袋体15の表面に凹凸が形成されるとともに、撹拌部材13が回転すると、その撹拌部材13により球体16が撹拌されるので、袋体15の表面の凹凸がランダムに変化して掌がマッサージされることになり、マッサージ効果やリラクゼーション効果を得ることができる。
【0019】
図4に示す例においては、撹拌部材13が回転するとき、台座11〜電池14が、袋体15の内部を球体16に抗しつつ自由に移動できるようにした場合である。したがって、この場合には、マッサージ器具10に掌を乗せるためにマッサージ器具10を置くとき、あるいはマッサージ器具10を掌に乗せるとき、マッサージ器具10の向きを考慮する必要がない。このため、例えば歩きながら使用することができる。
【0020】
図5に示す例においては、図3に示す例において、球体16を省略した場合である。しかし、この例においても、撹拌部材13が回転すると、この回転につれて凸部13Bが回転的に移動するので、袋体15の上に掌を乗せていれば、あるいは逆に掌の上にマッサージ器具10を逆さまに乗せていれば、凸部13Bが掌にあたってマッサージすることなる。
【0021】
図6に示す例においては、台座11が円盤状ないし円柱状に形成されるとともに、その上面中央に軸11Aが一体に形成され、この軸11Aの端部に、台座11と等しい直径で半球状のカバー11Bが設けられている。このとき、カバー11Bと、台座11との間において、軸11Aを中心として撹拌部材13が回転自在に配置される。
【0022】
この撹拌部材13は、台座11およびカバー11Bと等しい直径、ないしやや小さい直径の円盤13Aの周面に、複数の撹拌部材13Bが一体に形成されて構成されている。この場合、凸部13Bの位置および大きさはランダムとされるとともに、凸部13Bの先端が、台座11およびカバー11Bの周面から突出するようにされている。また、台座11の内部に電池14および直流モータ12が設けられとともに、この直流モータ12の回転がギア17を通じて円盤13Aに伝達される。
【0023】
したがって、直流モータ12が回転すると、ギア17を通じて円盤13Aが回転し、この回転につれて凸部13Bが回転的に移動するので、カバー11Bの上に掌を乗せていれば、あるいは逆に掌の上にマッサージ器具10を逆さまに乗せていれば、凸部13Bが掌にあたってマッサージをすることなる。
【0024】
図7は、この発明のさらに他の例について、その水平方向を断面としてマッサージ器具10の内部を示す。そして、この例においては、球体16は硬度のある中空の殻状の容器とされるとともに、その内部に振動モータ18が設けられる。この場合、振動モータ18は、通常の直流モータの回転軸に偏心した重りをつけたものでよい。また、台座11(電池14)から振動モータ18に電源を供給するケーブル19は、球体16が振動により移動しても互いにからまない程度の長さとされる。なお、このとき、振動モータ18によってその振動のパラメータ(振動の速度、位相、大きさなど)が異なるものとすることができる。
【0025】
したがって、この例においては、振動モータ18の振動により球体16が振動するとともに、移動するので、すなわち、振動モータ18が撹拌部材13と等価な働きをするので、上述のように、マッサージ器具10の上に掌を乗せたり、軽く握ったりすれば、あるいはマッサージ器具10を掌に乗せたり、その状態で握ったりすれば、袋体15の表面の凹凸がランダムに変化するとともに、振動するので、掌がマッサージされることになる。
【0026】
こうして、上述したそれぞれのマッサージ器具10によれば、マッサージ器具10の上に掌を乗せたり、逆に掌の上にマッサージ器具10を乗せたり、あるいは軽く握るだけで、掌をマッサージをすることができ、マッサージ効果やリラクゼーション効果を得ることができる。そして、このとき、ユーザは、単にマッサージ器具10の上に掌を乗せたり、逆に掌の上にマッサージ器具10を乗せたり、あるいは軽く握るだけでよいので、疲れたり、不快な気持ちになったりすることがない。
【0027】
なお、図1〜図4の例において、球体16は非球状の可動体とすることもでき、例えばラグビーのボール状、ひょうたん状、西洋梨状、多面体などとすることもでき、あるいはこれらを混合して使用することもできる。さらに、図7の例において、カバー11Bの代わりに、図5の例と同様に、台座11まで袋体15をかぶせることもできる。また、直流モータ12の回転速度、すなわち、撹拌部材13の回転速度を外部からの楽音信号などに合わせて変化させることもできる。
【0028】
さらに、電池14を充電式電池とした場合には、携帯電話機やコードレス電話機の子機の場合のように、マッサージ器具10を充電台(図示せず)に乗せたとき、台座11と充電台とが接点を通じて接続されることにより、あるいは電磁誘導により、給電され、電池14が充電されるようにすることができる。
【0029】
また、例えば、台座11に発電機構を設け、これを回したり握ったりすると、電池14が充電されるようにすることもできる。さらに、電池14の代わりに、ぜんまいや弾み車などを撹拌部材13の動力源とすることもできる。また、図1〜図6における直流モータ12および撹拌部材13、図7における振動モータ18をリニアアクチュエータとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一形態を示す断面図である。
【図2】この発明の他の形態を示す断面図である。
【図3】この発明の他の形態を示す断面図である。
【図4】この発明の他の形態を示す断面図である。
【図5】この発明の他の形態を示す断面図である。
【図6】この発明の他の形態を示す断面図である。
【図7】この発明の他の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10…マッサージ器具、11…台座、12…直流モータ、13…撹拌部材、14…電池、15…袋体、16…球体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
このモータの回転により回転あるいは振動が与えられる部材と
を有し、
上記部材による上記回転あるいは振動を人体に与える
ようにした電動器具。
【請求項2】
伸縮性ないし柔軟性を有する袋体と、
この袋体に収納された複数の可動体と、
動力源と、
この動力源の回転により回転して上記可動体を撹拌する撹拌部材と
を有し、
上記動力源により上記撹拌部材が回転して上記可動体が撹拌され、
この撹拌により上記袋体の表面の凹凸がランダムに変化する
ようにした電動器具。
【請求項3】
請求項2に記載の電動器具において、
上記可動体は、所定の硬度および大きさを有する球体であり、
上記動力源は直流モータである
ことを特徴とする電動器具。
【請求項4】
請求項2に記載の電動器具において、
上記可動体は、所定の硬度、大きさおよび形状を有する非球体であり、
上記動力源は直流モータである
ことを特徴とする電動器具。
【請求項5】
請求項3あるいは請求項4に記載の電動器具において、
上記撹拌部材はプロペラ状である
ことを特徴とする電動器具。
【請求項6】
請求項3あるいは請求項4に記載の電動器具において、
上記撹拌部材は、
円盤と、
この円盤の上記可動体と接する面に形成された凸部と
から構成されたことを特徴とする電動器具。
【請求項7】
請求項1に記載の電動器具において、
上記部材は、
上記モータにより回転駆動される円盤と、
この円盤の一方の面あるいは周面に形成された凸部と
から構成されたことを特徴とする電動器具。
【請求項8】
請求項7に記載の電動器具において、
上記円盤および上記凸部を覆う伸縮性ないし柔軟性を有する袋体を
有することを特徴とする電動器具。
【請求項9】
請求項1に記載の電動器具において、
上記モータは振動モータとされ、
この振動モータが殻状の容器に収納されて振動が与えられる部材が構成され、
この部材の複数個が伸縮性ないし柔軟性を有する袋体に収納された
ことを特徴とする電動器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−165571(P2009−165571A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5301(P2008−5301)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】