説明

電動工具

【課題】 組み立て時の作業性を改善し小型化が可能な電動工具の提供。
【解決手段】 本発明の電動工具は、モータと、ハウジングと、出力部と、制御基板とを備える。ハウジングは、モータを収容するモータハウジングと、一端が前記モータハウジングに接続し他端に着脱可能な電池パックを備えるハンドルハウジングと、から構成される。出力部は、モータハウジングに一部が収容されて、前記モータにより駆動される。制御基板は、前記モータを制御し、モータハウジングに収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具に関し、特にドライバドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動工具たるドライバドリルは、ハウジングと、ハウジングに収容されるモータと、モータにより駆動される動力伝達機構と、モータを駆動するためのスイッチング素子を備える回路基板と、スイッチング素子への通電を制御する制御基板と、を備えている(例えば特許文献1参照)。回路基板は、モータに対して動力伝達機構とは反対側に位置するようにハウジング内に収容されている。
【0003】
ハウジングは、モータを収容するモータハウジングと、作業者が把持するハンドルハウジングとから主に構成されており、制御基板は、ハンドルハウジング内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4487836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のドライバドリルでは、回路基板がモータに対して動力伝達機構とは反対側に位置するようにハウジング内に収容されていたため、モータを収容するモータハウジングの長手方向の長さが長くなることによりドライバドリルのサイズが大型化してしまう問題があった。
【0006】
さらに、制御基板がモータから離れた位置に配置されていることにより、制御基板とモータとを繋ぐ配線がハウジング内で煩雑化し、組み立て時の作業性が悪かった。
【0007】
そこで本発明は、組み立て時の作業性を改善し小型化が可能な電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、モータと、前記モータを収容するモータハウジングと、一端が前記モータハウジングに接続し他端に着脱可能な電池パックを備えるハンドルハウジングと、を有するハウジングと、前記モータハウジングに一部が収容されて、前記モータにより駆動される出力部と、前記モータハウジングに収容され前記モータを制御する制御基板と、を有する電動工具を提供している。
【0009】
このような構成によると、制御基板がモータハウジングに収容されていることにより、制御基板がモータの近くに位置することとなる。これにより、内部の配線を簡素化することが可能になるとともに、組み立て時の作業効率を改善することができる。従来は、ハンドルハウジングに制御基板を配置していたが、制御基板をモータハウジング側に移動したことにより、ハンドルハウジングに空きスペースが生まれたため、サイズの大きな差込型電池パックを装着することが可能となる。
【0010】
また、前記制御基板は、前記モータを制御するためのマイクロコンピュータを備えていることが好ましい。
【0011】
また、前記モータへの通電を制御するスイッチング素子を備えた回路基板をさらに有することが好ましい。
【0012】
また、前記モータハウジングに収容され前記モータからの動力を前記出力部に伝達する動力伝達部をさらに有し、前記回路基板は前記モータと前記動力伝達部との間に配置され、前記スイッチング素子は前記動力伝達部の外周に配置されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、スイッチング素子が動力伝達部の周囲に配置され回路基板がモータと動力伝達部との間に配置されていることにより、スイッチング素子が動力伝達部とオーバーラップすることになる。これにより、モータハウジングの長手方向の長さを短くすることが可能となり、電動工具の小型化を実現できる。
【0014】
また、前記動力伝達部を収容して前記モータハウジングに収容される金属製のギヤケースをさらに有し、前記スイッチング素子は前記ギヤケースと接触していることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、スイッチング素子が金属製のギヤケースと接触していることにより、スイッチング素子の冷却効率を向上させることができる。
【0016】
また、前記モータは冷却ファンを備え、前記モータハウジングには通気孔が形成され、前記制御基板は前記通気孔の近傍に配置されていることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、制御基板の近傍に通気孔が形成されていることにより、制御基板の冷却効率を向上させることができる。
【0018】
本発明の別の観点では、ブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、一端が前記モータハウジングに接続し他端に着脱可能な電池パックを備えるハンドルハウジングと、を有するハウジングと、前記モータハウジングに収容されて、前記モータにより駆動される動力伝達部と、前記モータハウジングに一部が収容されて、前記動力伝達部により駆動される出力部と、前記動力伝達部の周囲に配置され前記ブラシレスモータへの通電を制御するスイッチング素子を備え、前記モータと前記動力伝達部との間に配置された回路基板と、を有する電動工具を提供している。
【0019】
このような構成によると、スイッチング素子が動力伝達部の周囲に配置され回路基板がモータと動力伝達部との間に配置されていることにより、スイッチング素子が動力伝達部とオーバーラップすることになる。これにより、モータハウジングの長手方向の長さを短くすることが可能となり、電動工具の小型化を実現できる。
【0020】
また、前記動力伝達部を収容して前記モータハウジングに収容される金属製のギヤケースをさらに有し、前記スイッチング素子は前記ギヤケースと接触していることが好ましい。
【0021】
また、前記ブラシレスモータは冷却ファンを備え、前記モータハウジングには通気孔が形成され、前記制御基板は前記通気孔の近傍に配置されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、制御基板の近傍に通気孔が形成されていることにより、制御基板の冷却効率を向上させることができる。
【0023】
前記ブラシレスモータは冷却ファンを備え、前記ハウジングには通気孔が形成され、前記スイッチング素子は前記通気孔の近傍に配置されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によると、スイッチング素子の近傍に通気孔が形成されていることにより、スイッチング素子の冷却効率を向上させることができる。
【0025】
本発明の別の観点では、前後方向に延びるモータハウジングと、前記モータハウジングから下方に延びるハンドルハウジングと、から構成されるハウジングと、前記ハンドルハウジングの下部に固定される電池パックと、前記モータハウジングに収容されるモータと、前記モータからの動力によって駆動され、前記モータハウジングの前部から突出する出力部と、前記モータハウジングに配置され前記モータを制御する制御基板と、を有する電動工具を提供している。
【0026】
本発明の別の観点では、前後方向に延びるモータハウジングと、前記モータハウジングから下方に延びるハンドルハウジングと、から構成されるハウジングと、前記ハンドルハウジングの下部に固定される電池パックと、前記モータハウジングに収容されるモータと、前記モータハウジングに収容され、前記モータからの動力により駆動される動力伝達部と、前記モータハウジングの前部から突出し、前記動力伝達部により駆動される出力軸と、前記動力伝達部の外周に配置され前記モータに通電するためのスイッチング素子と、を有する電動工具を提供している。
【0027】
本発明の別の観点では、前後方向に延びるモータハウジングと、前記モータハウジングから下方に延びるハンドルハウジングと、から構成されるハウジングと、前記ハンドルハウジングの下部に固定される電池パックと、前記モータハウジングに収容されるブラシレスモータと、前記モータからの動力によって駆動され、前記モータハウジングの前部から突出する出力部と、前面に突出するスイッチング素子を備え、前記ブラシレスモータの前部に配置された回路基板と、を有する電動工具を提供している。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、組み立て時の作業性を改善し小型化が可能な電動工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるドライバドリルの断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態によるドラバイドリルの外観図
【図3】本発明の第1の実施の形態によるドラバイドリルの図1のIII−IIIに沿った断面図
【図4】本発明の第1の実施の形態によるドラバイドリルのギヤケースと回路基板と制御基板との位置関係を示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態によるドラバイドリルのギヤケース付近の風の流れを説明するための図
【図6】本発明の第2の実施の形態によるドラバイドリルの断面図
【図7】本発明の第3の実施の形態によるドラバイドリルの断面図
【図8】本発明の第3の実施の形態によるドラバイドリルのスイッチング素子とギヤケースとの位置関係を示す図
【図9】本発明の第4の実施の形態によるドラバイドリルの断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の実施の形態による電動工具について図1から図5に基づき説明する。電動工具の一例であるドライバドリル1は、ハウジング2と、ブラシレスモータ3と、動力伝達部4と、出力部5と、制御部6と、バッテリー7とから構成されている。
【0031】
図1に示すように、ハウジング2は、ブラシレスモータ3と動力伝達部4とを収容するモータハウジング21と、モータハウジング21から延出しているハンドルハウジング22と、バッテリー7の一部を収容するバッテリーハウジング23とから構成されている。モータハウジング21からハンドルハウジング22が延出する方向を下方と定義し、逆を上方と定義する。ブラシレスモータ3に対する出力部5の位置を前方と定義し、逆を後方と定義する。また、上下方向と前後方向に直交する方向を左右方向と定義する。
【0032】
図2に示すように、モータハウジング21には外気を取込む複数の取込口21aと、外気を排出する複数の排気口21bとが形成されている。取込口21aの近傍には、ブラシレスモータ3の回転方向を切替える回転方向切替スイッチ24が設けられている。図1に示すように、モータハウジング21の上部には、出力部5に取付けられる図示せぬビットの周辺を照射可能なライト26が設けられている。モータハウジング21の前方には、トルク調整部27がモータハウジング21に対して回転可能に設けられている。
【0033】
ハンドルハウジング22が延出する基部には、ブラシレスモータ3への電源供給の入切を行うトリガ25が設けられている。トリガ25は、ハンドルハウジング22内に設けられているトリガスイッチ25Aに接続している。ハンドルハウジング22は、バッテリー7の一部を収容している。
【0034】
バッテリーハウジング23には、ハンドルハウジング22が接続され、バッテリー7が着脱可能に取付けられている。バッテリーハウジング23には、ドライバドリル1の動作状態を示すパイロットランプ28が設けられている。
【0035】
ブラシレスモータ3は、出力軸31と、出力軸31と同軸一体回転し複数の永久磁石32を備えるロータ33と、ロータ33の周囲に設けられ複数のコイル34を備えるステータ35と、出力軸31に固定された冷却ファン36と、を有する。出力軸31は、前後方向に延び、モータハウジング21に回転可能に支承されている。冷却ファン36は、ブラシレスモータ3の後部に配置されている。ブラシレスモータ3の前方には、後述する回路基板61が設けられている。
【0036】
動力伝達部4は、遊星ギヤ機構41と、遊星ギヤ機構41を収容するギヤケース42と、から構成される。遊星ギヤ機構41は、3段の遊星ギヤ機構であり、遊星ギヤ41Aと、遊星ギヤ41Aと噛合する太陽ギヤ(サンギヤ)41Bを有するキャリア41Cと、遊星ギヤ41Aと噛合するリングギヤ41Dと、から構成される。出力軸31からの出力は、遊星ギヤ41Aに伝達されて、遊星ギヤ41Aはリングギヤ41Dと噛合しながら太陽ギヤ41Bの周囲を公転する。この公転による回転が、次の段のキャリア41Cに伝達される。このようにして減速されたブラシレスモータ3の回転が後述するスピンドル51に伝達される。
【0037】
ギヤケース42は、略円筒形状をなし、金属製である。また、ギヤケース42は、モータハウジング21に支持されるとともに、リングギヤ41Dを回転可能に支承している。詳細には、図3に示すように、ギヤケース42はモータハウジング21に設けられた複数の支持部材21Aにより支持されている。ギヤケース42の周囲には、後述するスイッチング素子61Aが配置されている。
【0038】
出力部5は、スピンドル51と、トルク調整バネ52と、ビット保持部53と、から構主に構成される。スピンドル51は、前後方向に延び、先端部に締結部材と係合可能な図示せぬビットを挿入可能である。トルク調整バネ52は、スピンドル51の周囲に配置されており、リングギヤ41Dを押圧している。トルク調整部27を回転させることにより、トルク調整バネ52のリングギヤ41Dへの押圧力を調整することができる。作業者はトルク調整部27を回転させることにより出力トルクを変更することができる。トルク調整部27及びトルク調整バネ52はいわゆるクラッチ機構として機能しており、スピンドル51にかかる負荷が所定値以上になると、スピンドル51の回転が停止するように構成されている。
【0039】
詳細には、スピンドル51に対する負荷トルクが小さいときは、トルク調整バネ52がリングギヤ41Dを押圧しており、リングギヤ41Dは回転不能な状態であるため、遊星ギヤ41Aは太陽ギヤ41Bの周囲を公転する。この公転がキャリア41Cを介してスピンドル51に伝達されて、スピンドル51が回転する。スピンドル51に対する負荷トルクが大きくなって所定値を超えると、リングギヤ41Dがトルク調整バネ52の押圧力に負けて回転を始めるとともに遊星ギヤ41Aが自転のみを行う。これによってキャリア41Cが回転しなくなり、スピンドル51の回転が停止する。このように、トルク調整部27では、トルク調整バネ52のリングギヤ41Dに対する押圧力を変更することによって出力トルクを調整している。
【0040】
ビット保持部53は、スピンドル51の先端部分に設けられ、ボールで図示せぬビットを付勢することによりビットがスピンドル51から落下することを防止している。
【0041】
制御部6は、回路基板61と、制御基板62とから構成されている。回路基板61は、ブラシレスモータへの通電を制御する6つのスイッチング素子61Aと、ロータ33の位置を検出するためのホール素子61Bと、を備えている。回路基板61は、ブラシレスモータ3と動力伝達部4(ギヤケース42)との間に上下方向に延びるように配置されている。回路基板61には、図示せぬ複数の通気孔が前後方向に貫通するように形成されており、取込口21aから取込まれた冷却風が通過する。
【0042】
スイッチング素子61Aは、略直方体であって、長手方向が前後方向と平行になるように回路基板61に対してブラシレスモータ3とは反対側(動力伝達部4(ギヤケース42)側)に設けられている。図3に示すように、6つのスイッチング素子61Aは、断面形状が略円形のギヤケース42の周囲に左右方向に直交する面Cに対して線対称に配置され、その前後方向の位置がギヤケース42とオーバーラップしている(図4)。ここでいう、「前後方向にオーバーラップ」とは、スイッチング素子61Aを含む前後方向に直交する断面上にスイッチング素子61Aとギヤケース42とが位置していることを意味する。スイッチング素子61Aからは、支持部61Cが後方に向けて延出しており、支持部61Cによって回路基板61に固定されるとともに電気的に接続されている。各スイッチング素子61Aのギヤケース42に対向する面は、ギヤケース42と接触している。これにより、ギヤケース42が冷却フィンの役割を果たし、スイッチング素子61Aの冷却効率を上げることができる。
【0043】
制御基板62は、前後方向に延びるようにモータハウジング21内に配置され、スイッチング素子61Aの通電を制御するマイクロコンピュータ62Aを備えている。制御基板62の後端部は回路基板61の上部と接続しており、前端部は図示せぬリブによってモータハウジング21に支持されている。図3に示すように、制御基板62の下面は、ギヤケース42の上部に配置された2つのスイッチング素子61Aの上面と接触している。制御基板62は、ライト26及びトリガスイッチ25Aと電気的に接続されている。
【0044】
バッテリー7は、いわゆる差込型と言われる型式であり、その一部がハンドルハウジング22内に挿入されている。バッテリー7は、バッテリーハウジング23に着脱可能に取付けられており、内部に電池セルを備えている。
【0045】
次に、ドライバドリル1の動作について説明する。作業者がトリガ25を引くと、パイロットランプ28が点灯するとともにブラシレスモータ3が回転駆動し冷却ファン36が回転する。このとき、取込口21aから取込まれた空気は(図2、矢印A)、図5の矢印Bで示すように、ギヤケース42を冷却した後にスイッチング素子61Aを冷却する。その後、回路基板61に形成された図示せぬ通気孔を通過して回路基板61を冷却し、ブラシレスモータ3を冷却して排気口21bから外部に排出される(図2、矢印A)。同時にブラシレスモータ3の駆動力が、動力伝達部4を介して出力部5に伝達され図示せぬビットにより締結部材が被加工部材に締結される。トルク調整部27で設定されたトルクに到達すると、スピンドル51の回転が停止する。作業者がトリガ25を離すことによりブラシレスモータ3が停止するとともに、パイロットランプ28が消灯する。
【0046】
このような構成によると、制御基板62がモータハウジング21に収容されていることにより、制御基板62がブラシレスモータ3の近くに位置することとなる。これにより、ドライバドリル1内の配線を簡素化することが可能になるとともに、組み立て時の作業効率を改善することができる。従来は、ハンドルハウジング22に制御基板62を配置していたが、制御基板62をモータハウジング21に移動したことにより、ハンドルハウジング22に空きスペースが生まれたため、差込型電池パックを装着することが可能となる。
【0047】
このような構成によると、スイッチング素子61Aが動力伝達部4の周囲に配置され回路基板61がブラシレスモータ3と動力伝達部4との間に配置されていることにより、スイッチング素子61Aが動力伝達部4と前後方向においてオーバーラップすることになる。これにより、モータハウジング21の前後方向の長さを短くすることが可能となり、ドライバドリル1の小型化を実現することができる。
【0048】
このような構成によると、スイッチング素子61Aが金属製のギヤケース42と接触していることにより、スイッチング素子61Aの冷却効率を向上させることができる。
【0049】
このような構成によると、制御基板62の近傍に吸入口21aが形成されていることにより、制御基板62の冷却効率を向上させることができる。
【0050】
このような構成によると、スイッチング素子61Aはギヤケース42の周囲に線対称に配置されているため、ギヤケース42に伝達される熱が均一となり、スイッチング素子61Aの放熱効果を高めることができる。
【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態のドライバドリル201について、図6に基づき説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
制御部206は、回路基板261と、制御基板262とから構成されている。回路基板261は、モータハウジング21内であって、ブラシレスモータ3の後方に配置されている。スイッチング素子61Aは、その長手方向が前後方向と平行になるように且つ回路基板261に対してブラシレスモータ3とは反対側に配置される。制御基板262は、モータハウジング21内であって、トリガスイッチ25Aの直上に配置されている。制御基板262の後端部は回路基板261の下部と接続しており、前端部は図示せぬリブによってモータハウジング21に支持されている。冷却ファン236は、ブラシレスモータ3と、動力伝達部4との間に配置されている。
【0053】
このような構成によると、制御基板262がモータハウジング21に収容されていることにより、制御基板262がブラシレスモータ3の近くに位置することとなる。これにより、ドライバドリル1内の配線を簡素化することが可能になるとともに、組み立て時の作業効率を改善することができる。
【0054】
このような構成によると、制御基板262がトリガスイッチ25Aの近傍に位置することとなるため、ドライバドリル1内の配線を更に簡素化することができる。
【0055】
次に、本発明の第3の実施の形態のドライバドリル301について図7及び8に基づき説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
制御部306は、回路基板361と、制御基板362とから構成されている。回路基板361は、ブラシレスモータ3の前方であって遊星ギヤ機構41の直下に前後方向に延びるように配置されている。回路基板361は、6つのスイッチング素子361Aを備えており、4つのスイッチング素子361Aは、長手方向が前後方向と平行になるように、且つ左右方向に直交する断面の長辺の一方がギヤケース42と接続し他方が回路基板361と接続するように回路基板361上に配置されている。図8に示すように、残りの2つのスイッチング素子361Aは、長手方向が上下方向と平行になるように、且つ左右方向に直交する断面の短辺の一方がギヤケース42と接続するように回路基板361上に配置されている。図7に示すように、回路基板361の後端部は制御基板362の下部と接続しており、前端部は図示せぬリブによってモータハウジング21に支持されている。制御基板362は、モータハウジング21内であってブラシレスモータ3と動力伝達部4との間に上下方向に延びるように配置されている。
【0057】
このような構成によると、制御基板362がモータハウジング21に収容されていることにより、制御基板362がブラシレスモータ3の近くに位置することとなる。これにより、ドライバドリル1内の配線を簡素化することが可能になるとともに、組み立て時の作業効率を改善することができる。
【0058】
このような構成によると、スイッチング素子361Aが動力伝達部4の周囲に配置され回路基板362がブラシレスモータ3と動力伝達部4との間に配置されていることにより、スイッチング素子361Aが動力伝達部4と前後方向においてオーバーラップすることになる。これにより、モータハウジング21の前後方向の長さを短くすることが可能となり、ドライバドリル1の小型化を実現することができる。
【0059】
このような構成によると、スイッチング素子361Aが金属製のギヤケース42と接触していることにより、スイッチング素子361Aの冷却効率を向上させることができる。
【0060】
このような構成によると、制御基板362がトリガスイッチ25A及びブラシレスモータ3の近傍に位置することとなるため、ドライバドリル1内の配線を更に簡素化することができる。
【0061】
次に、本発明の第4の実施の形態のドライバドリル401について図9に基づき説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
制御部406は、第1回路基板461と、第2回路基板463と、制御基板462とから構成されている。第1回路基板461と第2回路基板463とが、第1の実施の形態の回路基板61に相当する。第1回路基板461と第2回路基板463とは、互いに電気的に接続されている。第1回路基板461は、ハンドルハウジング22内であって、トリガスイッチ25Aの直下に配置されている。第1回路基板461は、ハンドルハウジング22に設けられた複数のリブに支持されていて、6つのスイッチング素子461Aを備える。各スイッチング素子461Aは、長手方向が前後方向と平行になるように、且つ上下方向に直交する断面の長辺の一方が制御基板462と接続するように第1回路基板461上に配置されている。第2回路基板463は、ホール素子463Aを備えている。
【0063】
制御基板462は、マイクロコンピュータ462Aを備えており、モータハウジング21内であってトリガスイッチ25Aの直上に配置される。制御基板462の後端部は第2回路基板463の下部に接続されており、前端部は図示せぬリブによってモータハウジング21に支持されている。
【0064】
このような構成によると、制御基板462がモータハウジング21に収容されていることにより、制御基板462がブラシレスモータ3の近くに位置することとなる。これにより、ドライバドリル1内の配線を簡素化することが可能になるとともに、組み立て時の作業効率を改善することができる。
【0065】
このような構成によると、スイッチング素子461Aを備える第1回路基板461がハンドルハウジング22内に配置され、スイッチング素子を備えない第2回路基板463がブラシレスモータ3の後方に配置されていることにより、モータハウジング21の前後方向の長さを短くすることが可能となり、ドライバドリル1の小型化を実現することができる。
【0066】
本発明によるドライバドリル1は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では、電動工具の一例としてドライバドリル1を用いたが、ブラシレスモータを搭載した電動工具であればこれに限られるものではない。
【0067】
本実施の形態では、動力伝達部4として遊星歯車機構を用いたが、これに限定されるものではなく、また、減速機構を必ずしも備えている必要はない。
【0068】
制御基板62の配置は、モータハウジング21内であれば、上述した実施の形態の位置に限定されるものではない。モータを収容するハウジングと同一ハウジング内に配置することにより、モータの近傍に位置することとなり、本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1:ドライバドリル
2:ハウジング
3:ブラシレスモータ
4:動力伝達部
5:出力部
6:制御部
7:バッテリー
21:モータハウジング
21a:吸入口
21b:排出口
22:ハンドルハウジング
23:バッテリーハウジング
25:トリガ
36:冷却ファン
61:回路基板
62:制御基板
61A:スイッチング素子
61B:ホール素子
62A:マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを収容するモータハウジングと、一端が前記モータハウジングに接続し他端に着脱可能な電池パックを備えるハンドルハウジングと、を有するハウジングと、
前記モータハウジングに一部が収容されて、前記モータにより駆動される出力部と、
前記モータハウジングに収容され前記モータを制御する制御基板と、を有する電動工具。
【請求項2】
前記制御基板は、前記モータを制御するためのマイクロコンピュータを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記モータへの通電を制御するスイッチング素子を備えた回路基板をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記モータハウジングに収容され前記モータからの動力を前記出力部に伝達する動力伝達部をさらに有し、前記回路基板は前記モータと前記動力伝達部との間に配置され、前記スイッチング素子は前記動力伝達部の外周に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記動力伝達部を収容して前記モータハウジングに収容される金属製のギヤケースをさらに有し、前記スイッチング素子は前記ギヤケースと接触していることを特徴とする請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記モータは冷却ファンを備え、前記モータハウジングには通気孔が形成され、前記制御基板は前記通気孔の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項7】
ブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、一端が前記モータハウジングに接続し他端に着脱可能な電池パックを備えるハンドルハウジングと、を有するハウジングと、
前記モータハウジングに収容されて、前記ブラシレスモータにより駆動される動力伝達部と、
前記モータハウジングに一部が収容されて、前記動力伝達部により駆動される出力部と、
前記動力伝達部の周囲に配置され前記ブラシレスモータへの通電を制御するスイッチング素子を備え、前記ブラシレスモータと前記動力伝達部との間に配置された回路基板と、を有する電動工具。
【請求項8】
前記動力伝達部を収容して前記モータハウジングに収容される金属製のギヤケースをさらに有し、前記スイッチング素子は前記ギヤケースと接触していることを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記ブラシレスモータを制御するマイクロコンピュータを備える制御基板をさらに有し、前記制御基板は前記モータハウジング内であって前記ギヤケースの周囲に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載の電動工具。
【請求項10】
前記ブラシレスモータは冷却ファンを備え、前記モータハウジングには通気孔が形成され、前記制御基板は前記通気孔の近傍に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項11】
前記ブラシレスモータは冷却ファンを備え、前記ハウジングには通気孔が形成され、前記スイッチング素子は前記通気孔の近傍に配置されていることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項12】
前後方向に延びるモータハウジングと、前記モータハウジングから下方に延びるハンドルハウジングと、から構成されるハウジングと、
前記ハンドルハウジングの下部に固定される電池パックと、
前記モータハウジングに収容されるモータと、
前記モータからの動力によって駆動され、前記モータハウジングの前部から突出する出力部と、
前記モータハウジングに配置され前記モータを制御する制御基板と、を有する電動工具。
【請求項13】
前後方向に延びるモータハウジングと、前記モータハウジングから下方に延びるハンドルハウジングと、から構成されるハウジングと、
前記ハンドルハウジングの下部に固定される電池パックと、
前記モータハウジングに収容されるモータと、
前記モータハウジングに収容され、前記モータからの動力により駆動される動力伝達部と、
前記モータハウジングの前部から突出し、前記動力伝達部により駆動される出力軸と、
前記動力伝達部の外周に配置され前記モータに通電するためのスイッチング素子と、を有する電動工具。
【請求項14】
前後方向に延びるモータハウジングと、前記モータハウジングから下方に延びるハンドルハウジングと、から構成されるハウジングと、
前記ハンドルハウジングの下部に固定される電池パックと、
前記モータハウジングに収容されるブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータからの動力によって駆動され、前記モータハウジングの前部から突出する出力部と、
前面に突出するスイッチング素子を備え、前記ブラシレスモータの前部に配置された回路基板と、を有する電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−834(P2013−834A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134066(P2011−134066)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)