説明

電動工具

【課題】
機構部を含むモータユニットを換えことができるようにし、様々な工具として使用できる電動工具を提供する。
【解決手段】
モータと動力伝達部を収容するモータハウジング31と、バッテリ3とトリガスイッチ7と正逆切替スイッチ8を収容すると共にグリップ部が形成されたグリップ部ハウジング2を独立して設け、モータユニット30とグリップユニット1を着脱可能に構成した。さらに正逆切替スイッチ8に連動して動く制御棒14を設け、正逆切替スイッチ8が正回転位置又は逆回転位置の際にモータユニット30とグリップユニット1の取り外しを禁止する安全機構を設け、正逆切替スイッチ8がロック位置の時にのみ着脱可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次バッテリを電源としてモータを駆動し、先端工具に回転力、回転打撃力、往復運動力、又は振動等を与えて所定の作業を行う電動工具に関し、特に、共通のバッテリパックを用いて様々な工具として使用できるようにした電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリパックを用いたコードレスタイプの電動工具が広く用いられている。コードレスタイプの電動工具で広く用いられるリチウムイオン電池1本の出力電圧は3.6Vのため、バッテリパックの出力電圧はその倍数となることが多い。そのため電動工具の製造メーカーは、7.2V、10.8V、14.4V、18V、25.2V、36V等のバッテリパックを準備し、さまざまな作業に適応できる電動工具のラインナップの拡充を図っている。このような電動工具の例として、特許文献1の技術がある。ここで従来技術の電動工具を図11を用いて説明する。図11は従来の電動工具(インパクトドライバ)の全体構成を示す縦断面図である。電動工具101は、充電可能なバッテリパック103を電源とし、モータ104を駆動源として動力伝達機構(遊星歯車を用いた減速機構120、ハンマ132とアンビル133を備えた打撃機構130)を駆動し、出力軸134と一体に構成されるアンビル133に回転力と打撃力を与えることによってドライバビット等の図示しない先端工具に回転打撃力を与える。
【0003】
上記モータ104は、ブラシ付きの直流モータであって、側面視T字状を成すハウジング102の筒状の胴体部102a内に収容される。又、ハウジング102の胴体部102aから略直角に一体に延びるグリップ部102b内の上部にはトリガスイッチ106が設けられ、トリガスイッチ106には図示しないバネによって付勢されてグリップ部102bから突出するトリガ操作部107が設けられる。又、グリップ部102b内の下部には、保護回路基板105が収容される。グリップ部102bの下部にはバッテリパック103が装着される。
【0004】
打撃機構130は、スピンドル131及びハンマ132を備え、トリガスイッチ106のトリガ操作部107が引かれてモータ104が起動されると、モータ104の回転は遊星歯車を用いた減速機構120によって減速されてスピンドル131に伝達され、スピンドル131が所定の速度で回転駆動される。ここで、スピンドル131とハンマ132とはカム機構によって連結され、このカム機構は、スピンドル131の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝とハンマ132の内周面に形成されたハンマカム溝、これらのカム溝に係合するボールによって構成される。ハンマ132は、スプリングによって常に前方に付勢されており、静止時にはボールとカム溝との係合によってアンビル(出力軸134)の端面とは隙間を隔てた位置にある。そして、ハンマ132とアンビルの相対向する回転平面上の2箇所には図示しない凸部がそれぞれ対称的に形成されている。スピンドル131が回転駆動されると、その回転は前記カム機構を介してハンマ132に伝達され、ハンマ132が半回転しないうちにハンマ132の凸部がアンビルの凸部に係合してアンビルを回転させるが、そのときの係合反力によってスピンドル131とハンマ132との間に相対回転が生ずると、ハンマ132はカム機構のスピンドルカム溝に沿ってスプリングを圧縮しながらモータ104側へと後退を始める。
【0005】
そして、ハンマ132の後退動によってハンマ132の凸部がアンビルの凸部を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ132は、スピンドル131の回転力に加え、スプリングに蓄積されていた弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリングの付勢力によって前方へ移動し、その凸部がアンビルの凸部に再び係合して出力軸134は一体に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビルに加えられるため、出力軸134に装着された図示しない先端工具を介してネジに回転打撃力が伝達される。以後、トリガ操作部107が離されるまで同様の動作が繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−174670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のバッテリパック103(図11の斜線部)は、電動工具101の本体とは着脱可能の別体の部品であり、内部に収容される電池セルを保護するためのバッテリパック用のハウジング(外郭部)103aが必要となり、ハウジング102もバッテリパック103との合わせ部の外郭部102cを必要とし、構造が複雑となりやすい。さらに、バッテリパック103を電動工具101のグリップ部102bの近傍に装着する場合には、グリップ部102bの内部にまでバッテリパック103の一部又は全部が収容されるように配置するために、グリップ部102bの最細部の径Dが太くなってしまうという問題があった。
【0008】
このため着脱可能なバッテリパック103形式としないで、グリップ部102b内にバッテリを内蔵する構成することも考えられる。この構成であればグリップ部102bの最細部の径Dをさらに細くすることができる。しかしながら、そのような構成の場合、バッテリの充電をどのように行うかが課題となる。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、バッテリとトリガスイッチを含むグリップユニットと、機構部を含むモータユニットを分割かつ取り替え可能とし、様々な使い工具として使用できると共にグリップ部を細く形成可能にした電動工具を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、モータユニットのグリップユニットへの装着又は取り外し時に、意に反してモータが回転しないように構成して、安全に使用できる電動工具を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、モータユニットに電圧の異なるグリップユニットを誤装着することを効果的に防止できる電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
【0013】
本発明の一つの特徴によれば電動工具は、モータと、モータの駆動力を伝達して先端工具を駆動させる動力伝達部と、モータと動力伝達部を収容するモータハウジングと、モータに電力を供給するバッテリと、バッテリからモータへの電力供給を調整するスイッチと、スイッチの動作を無効にするオフスイッチと、バッテリ、スイッチ、オフスイッチを収容すると共にグリップ部が形成されたグリップ部ハウジングを有する。電動工具はモータハウジングとグリップ部ハウジングは着脱可能に形成され、オフスイッチがスイッチの動作可能にしている場合にモータハウジングとグリップ部ハウジングの取り外しを禁止する安全機構を有する。オフスイッチはモータへの電力供給を調整するスイッチの動作を機械的に不能にするロック機能を有し、例えばモータの回転方向を設定する正逆切替スイッチである。グリップ部ハウジングの上部には取付基台が設けられ、モータハウジングの下部には取付基台に固定される取付部が形成される。取付部には複数のターミナルが設けられ、取付基台には複数のコネクタが設けられ、取付部を取付基台に取り付けた際にターミナルはコネクタと接続される。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、安全機構は、取付基台から延びるように設けられオフスイッチと連動して移動する制御棒と、取付部に設けられ制御棒を収容するラッチ溝により構成され、取付部を取付基台に取り付けた際に制御棒がラッチ溝に収容され、オフスイッチによりスイッチの動作を無効にしないと制御棒がラッチ溝の縁部に接触することによって取付部を取り外し方向に移動できないようにラッチ溝を構成した。オフスイッチは、例えばモータを正方向に回転させる正回転位置、逆方向に回転させる逆回転位置、及び、モータを回転させないロック位置の3つの設定位置を有する。ラッチ溝は底面から見たときに略H形の外縁を有する凹部であって、凹部の外縁の一部に、オフスイッチが正回転又は逆回転位置のまま取付部を移動させたときに制御棒の取り外し方向への移動を阻止するストッパ部を設けた。オフスイッチが正回転又は逆回転位置の状態で取付部を取付基台に装着する際には、取付部を取付基台に対して相対移動させることにより制御棒を移動させてオフスイッチをロック位置に設定する案内部をラッチ溝に設けた。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、取付基台には取付部を保持するための掛止部が設けられ、取付部に掛止部と嵌合するキー溝が形成され、取付部を取付基台に取り付けた際に掛止部がキー溝と嵌合する。掛止部はバッテリの定格電圧に対応させて形状や大きさが決定され、キー溝はモータの定格電圧に対応させて形状や大きさが決定され、モータの定格以上のバッテリ電圧を有するグリップ部ハウジングが、モータを有するモータハウジングに装着できないように構成した。バッテリは14500サイズのリチウムイオン電池であり、バッテリの充電は、モータハウジングを取り外して取付基台のコネクタに外部充電器を接続することによって行う
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、モータハウジングとグリップ部ハウジングが着脱可能に形成したので、グリップ部を電池パックとして利用することができ、機構部を含むモータハウジングを交換することで様々な工具として 使用でき、安価にモータハウジング部を供給できる。また、オフスイッチがスイッチの動作を無効にしていない場合にモータハウジングとグリップ部の取り外しを禁止する安全機構を設けたので、モータが停止している状態でのみ取り外し可能となり、作業中の不意な分離を防止できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、オフスイッチは前記スイッチの動作を機械的に不能にするので、オフスイッチの簡単な操作でモータハウジングとグリップ部ハウジングが着脱時におけるモータの回転を容易に阻止することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、オフスイッチは正逆切替スイッチであるので、モータの回転を阻止するモードを、モータの回転方向を設定するモードの2つの切替動作を一つのスイッチで実現できる。また専用のオフスイッチを別途設ける必要がなく、既存の正逆切替スイッチを利用することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、取付部には複数のターミナルが設けられ、取付基台には複数のコネクタが設けられ、取付部を取付基台に取り付けた際にターミナルはコネクタと接続されるので、モータハウジングをグリップ部ハウジングに取り付けるだけでバッテリの接続動作が完了できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、安全機構は取付基台から延びるように設けられオフスイッチと連動して移動する制御棒と、取付部に設けられ制御棒を収容するラッチ溝により構成されるので、オフスイッチをラッチ部を動作させる操作レバーとして用いることができ、新たなラッチ部の操作レバーを設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、モータの回転方向の切替設定と、モータの回転阻止の2つの機能を一つのスイッチ機構で実現できる。
【0022】
請求項7の発明によれば、安全機構は略H形の外縁を有する凹部のラッチ溝外縁の一部に、オフスイッチが正回転又は逆回転位置のまま移動できないようにしたストッパ部であるので、ハウジング形状の簡単な変更だけで安全機構を実現できる。
【0023】
請求項8の発明によれば、オフスイッチが正回転又は逆回転位置の状態で装着しても、装着完了時には案内部によってオフスイッチがロック位置に自動的に戻るので、装着直後にいきなりモータが動作してしまう誤動作を防止できる。
【0024】
請求項9の発明によれば、取付基台に形成された掛止部と、取付部に形成されたキー溝が、取付部を取付基台に取り付けた際に嵌合するので、モータハウジングとグリップ部ハウジングを確実に固定することができる。
【0025】
請求項10の発明によれば、掛止部及びキー溝はバッテリやモータの定格電圧に対応させて形状や大きさを変更し、これらが電圧識別機能を有するので、モータの定格以上のバッテリ電圧を有するグリップ部ハウジングを、モータハウジングに誤装着することを防止できる。その結果、定格電圧以上のバッテリが装着されることがないためモータの破損を抑制できる。
【0026】
請求項11の発明によれば、グリップ部ハウジングに内蔵されるバッテリの充電はモータハウジングを取り外して取付基台のコネクタに外部充電器を接続することによって行うので、バッテリ部分だけを取り外すための構成(バッテリパックハウジング等)を設ける必要がなく、小型で軽量のグリップ部ハウジングを実現できる。さらに、バッテリとして14500サイズのリチウムイオン電池を用いれば更なる小型化を実現できる。
【0027】
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係る電動工具の全体構成を示す図であり、モータユニット30は側面図、グリップユニット1は断面図で示す。
【図2】図1のモータユニット30の底面図と、グリップユニット1の取付基台10付近の部分断面図である。
【図3】図1のグリップユニット1の上面図であって取付基台10の形状を示す図である。
【図4】掛止部13とキー溝43のサイズとバッテリ電圧との関係を示す断面図である(図3のC−C部の断面)。
【図5】図2のラッチ溝の形状を示す図である。
【図6】図1のA−A部の断面図である。
【図7】本発明の実施例に係る電動工具の回路構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係るモータユニット50を示す側面図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係るモータユニット70を示す側面図である。
【図10】本発明の第4の実施例におけるグリップユニット91の部分断面図である。
【図11】従来の電動工具(インパクトドライバ)の全体構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0029】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書の説明において上下左右、及び前後の方向は、図中に示した方向として説明する。図1は本発明の実施例に係る電動工具の全体構成を示す図であり、モータユニット30は側面図、グリップユニット1は断面図で示す。
【0030】
本実施例では、電動工具のグリップ部(作業者が把持する部分、ハンドル部ともいう)の上側において、工具全体を上下に分割可能に構成したもので、電動工具はモータユニット30とグリップユニット1から構成される。図1ではモータユニット30とグリップユニット1が装着されていない状態を示しているが、図示の状態から矢印に示すようにモータユニット30を下方に移動して後方にスライドさせることにより、モータユニット30をグリップユニット1に装着することができる。グリップユニット1のハウジング2の内側にはバッテリ3が収容される。本実施例では図11で示したような着脱可能なバッテリパック103をグリップ部に設けるのではなく、バッテリを内蔵式とした。しかしながら別の見方をすれば、グリップユニット1の全体がバッテリパックとして機能するもので、バッテリパック内にトリガスイッチ6とトリガ操作部7を収容した形態ととらえることもできる。
【0031】
グリップユニット1は、図11で示した電動工具101の胴体部102aの下側部分とほぼ同じ形状である。しかしながら、着脱可能なバッテリパックの形態を採用していないため、バッテリパック103のハウジング103a(図11参照)を無くすことができ、グリップ部のハウジング2内に直接バッテリ3を搭載できる。そのため、バッテリパックのハウジングとバッテリパックを収容するグリップ部の内壁部分(図11の外郭部102c)を設ける必要がない。バッテリ3は、例えば18650サイズ、又は、14500サイズのリチウムイオン電池であって、定格出力電圧3.6Vのセルを上下方向(垂直配置)に1本、前後方向(水平配置)に2本並べて、図のように側面視で略L字状に配置される。水平に配置されたバッテリ3の上側空間には、保護回路基板5が配置される。バッテリ3から保護回路基板5へ、保護回路基板5からトリガスイッチ6へはリード線9によって接続される。保護回路基板5には、電力を供給するバッテリ3の放電状況の監視、異常温度の監視、過放電防止のための電力供給の遮断、その他のバッテリの保護制御を行うための電子回路、モータ制御を行うための電子回路が搭載される。
【0032】
バッテリ3から供給される電力によって回転するモータ(図示せず)と、モータの回転力を先端工具に伝達する動力伝達機構は、モータユニット30側に収容される。モータユニット30は円筒形のハウジング(モータハウジング)31を有し、ハウジング31の下側であって、グリップユニット1と当接する部分には、平面状に形成された取付部32が形成される。ハウジング31は、例えばプラスチック等の合成樹脂の一体成型により製造でき、左右に2分割可能に構成すると良い。取付部32の下側には、モータユニット30をグリップユニット1に装着した際にバッテリ3の電力をモータに伝達するための複数のターミナル42が設けられる。
【0033】
グリップユニット1の上端付近であってバッテリ3よりも上方にはトリガスイッチ6が設けられる。トリガスイッチ6のトリガ操作部7がバネ力によって付勢された状態でハウジング2から前方に突出する。トリガスイッチ6は可変抵抗スイッチであり、作業者がトリガ操作部7を後方に押し込むことにより、トリガ押込量(操作量)に比例した量の電力がコネクタ12を介してモータユニット30側に伝達される。コネクタ12は、本実施例では5つ設けられ、それらは取付基台10と平行に配置されるコネクタ基板16に固定される。
【0034】
トリガ操作部7の上側には、トリガ操作部7の動作を無効とすることによってモータユニット30側に含まれるモータ(図示せず)の回転を阻止するための正逆切替スイッチ8が設けられる。正逆切替スイッチ8は、トリガ操作部7の動作を可能とすると共に、モータの回転方向を正回転方向又は逆回転方向に変更する。作業者は正逆切替スイッチ8を正回転位置(ねじを締める方向)と逆回転位置(ねじを緩める方向)に設定することによって、モータの回転方向を正回転方向又は逆回転方向に指定することができる。正逆切替スイッチ8の移動方向は左右方向であり、左右2箇所の位置間には、トリガ操作部7を引けないように固定するロック位置(ニュートラル又は中立位置)が設けられる。正逆切替スイッチ8の操作レバーには上下方向に延びるように制御棒14が固定され、制御棒14は正逆切替スイッチ8の操作レバーの左右移動に連動して移動する。
【0035】
グリップユニット1の中央付近には、モータユニット30とグリップユニット1が安定して保持されるように掛止部13が設けられ、モータユニット30側には掛止部13と係合するキー溝43が設けられる。キー溝43は電圧識別機能を果たすものであって、キー溝43はモータの定格電圧に対応させて形状や大きさが決定される。モータユニット30とグリップユニット1の接続は、取付部32に配置したキー溝43に合わせ、モータユニット30をグリップユニット1に対して前方より後方へスライドさせることで接続する。この際、モータユニット30から下方に延びるターミナル42がコネクタ12と接続された状態となる。
【0036】
モータユニット30は、ハウジング31内にモータ(図示せず)を収納し、モータの駆動力を伝達する図示しない動力伝達部により、出力軸34に回転力を与える。モータ104は、本実施例ではブラシ機構を含む直流モータを用いるとよい。この場合、ブラシ機構に供給される直流電圧を調整することによりモータの回転速度をグリップユニット側から容易に調整することができる。
【0037】
出力軸34の先端側には、図示しない先端工具を着脱可能に保持するためのスリーブ35が設けられる。スリーブ35をハウジング31に対して前方に移動させた状態で出力軸に設けられた取付穴(図示せず)に先端工具を装着又は取り外すことができる。先端工具は、前方に移動させたスリーブ35を離すことにより固定される。図示しない動力伝達部は、モータの回転数を減速するための遊星歯車方式等の公知の減速機構部と、減速機構部の出力伝達の遮断を行うクラッチ機構部を含んで構成される。クラッチ機構部には、モード切替およびトルク調整のためのダイヤル(クラッチダイヤル)33が接続され、ダイヤル33によって作業者がドライバモードまたはドリルモードを設定できるように構成される。
【0038】
ダイヤル33がドライバモードを選択している場合、トルク調整用のダイヤル33を複数段階の所定の回転角度に回転させることによって、減速機構部の出力軸から出力軸34に伝達される回転トルクを負荷に対応する所望の締付けトルクに調整することができる。このダイヤル33は、例えば22段階のトルク設定が可能である。ダイヤル33をドリルモードに設定する場合は、ダイヤル33を最大限の回転角度に回転させてクラッチ機構が動作しないようにする。
【0039】
図2は図1のモータユニット30の底面図と、グリップユニット1の取付基台10付近の部分断面図(縦断面図)であって、ターミナル42とコネクタ12、キー溝43と掛止部13、ラッチ溝44と制御棒14の接続関係を示している。ラッチ溝44と制御棒14がラッチ部45を構成し、モータユニット30とグリップユニット1を稼働状態又は稼働準備状態で取り外すことができないようにする安全機構としての機能を果たす。モータユニット30のハウジング31の下部には前後方向に細長い長方形の取付部32が形成される。取付部32は、中心線から左右に分割して構成されるハウジング31の分割面に垂直方向に配置され、グリップユニット1の取付基台10に密接して固定される。本実施例の取付部32と取付基台10は互いに平面状であって、掛止部13とキー溝43にて保持するような構成であるが、剛性を高めるために取付部32と取付基台10に、前後方向に延びる溝部と溝部に掛止されるレール部を設けて取付剛性を高めるように構成しても良い。
【0040】
取付部32の後方には3つのターミナル42a〜42cが取付部32から突出するように設けられる。ターミナル42aはプラス端子であり、ターミナル42bはLD端子(異常信号端子)であって、保護回路基板5に搭載された保護手段(IC)からの過放電、過電流信号を受信する端子である。ターミナル42cはバッテリ3に接続されるマイナス端子である。尚、取付基台10側(グリップユニット1側)にはT端子(温度信号端子)たるコネクタ12d(後述)と充電時に電池の温度信号を充電器側に出力するLS端子たるコネクタ12e(後述)が設けられるが、これらはモータユニット30を稼働させる際には利用しないので、コネクタ12d、12eに対応するターミナルは設けられない。但し、ダミーターミナルとして設けるようにしても良い。
【0041】
取付部32の中央付近にはキー溝43が形成される。キー溝43は鍵状または固定爪として取付基台10から上部に突出する突起であって、掛止部13をキー溝43中に押し込んで、モータユニット30を前後方向にグリップユニット1と相対移動させることによって掛止部13の突起部分をキー溝43に接する取付部32の内壁面と当接させることができる。この当接によってモータユニット30がグリップユニット1に固定される。キー溝43の左右方向の幅Wや、左右方向の位置は、モータの定格電圧に対応して決定される。キー溝43の前側には下から見て(図2のように見て)略H型のラッチ溝44が形成される。
【0042】
図3は、図1のグリップユニット1の上面図であって取付基台10の形状を示す図である。取付基台10はグリップユニット1のハウジング2の上壁面であって、左右に2分割して構成されるハウジング2の、右側ハウジング2−1と左側ハウジング2−2の接合面を跨ぐように形成される長方形の平面である。取付基台10の後方側には、開口部11aと11bが設けられ、開口部11aの内側部分にはコネクタ12a〜12cが設けられる。コネクタ12aはバッテリ3に接続されるプラス端子であり、コネクタ12cはバッテリ3に接続されるマイナス端子である。コネクタ12bはLD端子(異常信号端子)であり、保護回路基板5に搭載された保護手段(IC)からの過放電、過電流信号を出力する端子である。開口部11bの内側部分にはコネクタ12d、12eが設けられる。コネクタ12dはT端子(温度信号端子)であり、充電時に電池の温度信号を充電器側に出力する端子である。コネクタ12eはLS端子(識別端子)であり、グリップユニット1を図示しない充電器に接続した際に、充電器からグリップユニット1内の収容されるバッテリ3の種類(電圧等)を識別する端子である。尚、コネクタ12d及び12eは、充電時のみに利用されるが、放電時、つまりモータユニット30と接続される際には利用しない。尚、設けるコネクタの数や種類はこれだけに限られずに、必要に応じてさらに設けるようにしても良い。例えば、モータユニット30側のLEDを点灯させるためのプラス端子とマイナス端子用のコネクタをさらに設けても良い。
【0043】
取付基台10の中央付近には掛止部13が形成される。掛止部13の幅Wや、その取付位置はバッテリ3の定格電圧に応じて決定される。掛止部13の前方には、ラッチ溝44に収容される制御棒14が設けられる。ラッチ溝44と制御棒14によりラッチ部45を構成する。制御棒14は正逆切替スイッチ8の操作レバーに固定されるものであって、正逆切替スイッチ8を正回転位置、逆回転位置に設定することにより取付基台10に形成された開口部15の内部を左右方向に移動する。尚、図3の制御棒14の位置は、正逆切替スイッチ8の操作レバーがロック位置(中立位置)にある状態を示す。モータユニット30とグリップユニット1の装着は、掛止部13を電圧識別のキー溝43に合わせ、モータユニット30を前方より後方へスライドさせることで接続する。
【0044】
次に図4を用いて掛止部13とキー溝43のサイズと取付位置の関係を説明する。図4は図3のC−C部の断面位置における、グリップ部のハウジング2とモータユニットのハウジング31の形状を示す図である。それぞれが左右2分割できるように構成されるため、右側ハウジングを“−1”という枝番号で、左側ハウジングを“−2”という枝番号を付けて説明する。また、バッテリ3の定格電圧、又は、モータの動作電圧に応じて36V〜3.6Vのバリエーションがあるが、それらの場合のハウジング2とハウジング31の参照番号に、a〜gの符号を付して区別して説明する。
【0045】
図1〜図3で示した掛止部13とキー溝43は、図4(5)で示すように10.8V仕様のものである。図4(5)に示すように、右側ハウジング31e−1の左端と、左側ハウジング31e―2の右端がキー溝43eを形成することになり、その幅はeである。同様にして、右側ハウジング2e−1の左端突起と左側ハウジング2e−2の右端突起が接合されて掛止部13eを形成することになる。ここで、図4(1)〜(7)を見て理解できるように、掛止部13とキー溝43の幅Wは、電圧に応じてaからgまで幅が異なるように設定される。この際、低い電圧から高い電圧になるにつれ幅が広くなると共に、その左右位置も低い電圧の掛止部13の位置を含むような位置に設定される。例えば、3.6V用の掛止部13gは、7.2V用のキー溝43fの幅f内に含まれるように配置される。同様にして、例えば18V用の掛止部13cは25.2V用のキー溝43bの範囲内に含まれるように決定される。このように配置することにより、低い電圧のバッテリ3を有するグリップユニット1を、高い動作電圧のモータユニット30に装着することができることになる。しかしながら、その逆の関係は成り立たずに、高い電圧のバッテリ3を有するグリップユニット1を、低い動作電圧のモータユニット30に装着することができないので、誤ってモータに動作電圧以上の高電圧を供給してしまうことによるモータの破損を防止できる。また、各キー溝43a〜43gはハウジング31a〜31gの接合面を挟んで形成されるので、一体成型による製造が容易である。同様に掛止部13a〜13gは、ハウジング2a〜2gの接合面を挟んで形成されるので、一体成型による製造が容易である。以上説明したように、モータユニット30とグリップユニット1に電圧を識別するキー溝43を設けることで、定格電圧の低いモータユニット30を定格電圧の高いグリップユニット1に使用することを防止できる。
【0046】
次に図5を用いてラッチ溝44の詳細形状を説明する。ラッチ溝44は、Hの2つの平行部分(中心線48a、48bに沿った部分であって、左右方向に延びる横方向溝44a、44c)が左右方向となり、平行部分をつなぐ連結部分(中心線48cに沿った部分であって、前後方向に延びる前後方向溝44b)が前後方向となるように配置された切り欠き又は溝部であって、その外周縁によって制御棒14の移動を案内または制限をする。グリップユニット1にモータユニット30を装着するときには、正逆切替スイッチ8をロック位置にするため制御棒14は位置46にあり、モータユニット30をグリップユニット1に対して後方にスライドさせることにより、制御棒14は位置46から位置47に移動する。モータユニット30を稼働させて電動工具を使った作業を行う際には、正逆切替スイッチ8を正回転方向又は逆回転方向とするため、それに連動して制御棒14は位置47a(正転方向)又は位置47b(逆転方向)に移動する。電動工具による作業が終了して、モータユニット30をグリップユニット1から取り外す際には、通常、正逆切替スイッチ8をロック位置にする。すると制御棒14は位置47の位置になる。この状態でモータユニット30をグリップユニット1に対して前方にスライドさせることにより、制御棒14は位置47から位置46に移動し、この状態でモータユニット30をグリップユニット1から取り外すことができる。しかし、作業者が正逆切替スイッチ8を正回転方向又は逆回転方向のままモータユニット30をグリップユニット1から取り外そうとすると、制御棒14は位置47a又は47bにあるため、ラッチ溝44に形成された制御棒14の外周に沿って中心線48c及び48bの交点に近づくように突出する突出部44dによって、後方向への移動が阻止される。従って、作業者はモータユニット30をグリップユニット1から取り外す際には必ず正逆切替スイッチ8をロック位置に戻す必要があるので、取り外し時にモータが回転してしまう恐れを確実に防止できる。
【0047】
本実施例においては、ラッチ溝44を略H形に形成したために装着時の便宜を図ることができる。通常、モータユニット30をグリップユニット1に装着するときには正逆切替スイッチ8がロック位置にあるはずである。しかしながら、何らかの理由で正逆切替スイッチ8を正回転方向又は逆回転方向にセットされているときにはそのまま装着できない。この場合、正逆切替スイッチ8をロック位置に戻してから再度装着操作をする必要があり、操作が煩わしい。そこで、正逆切替スイッチ8が正回転位置(制御棒14が位置46aにある状態)でも逆回転位置(制御棒14が位置46bにある状態)でも装着可能とした。制御棒14が位置46a又は位置46bにある時にモータユニット30をグリップユニット1に対して後方に移動すると、制御棒14は傾斜部44eによって自動的に制御棒14が左右方向の中央に移動させられ、装着動作が完了する際には制御棒14が位置47に落ち着く。この結果、正逆切替スイッチ8が正回転位置又は逆回転位置にセットしたままモータユニット30をグリップユニット1に装着したとしても、装着完了後にいきなりモータが回ってしまうという誤動作を確実に防止できる。
【0048】
図6は図1のA−A部の断面図である。モータユニットのハウジング(モータハウジング)31の下部には取付部32が形成され、その下方に横に3列並んでターミナル42a〜42cが設けられる。本図により、ハウジング31の円筒形状と、円筒形状から下方に突出して平面状の取付部32が形成されることが理解できよう。
【0049】
図7は本発明の実施例に係る電動工具の回路構成を示すブロック図である。グリップユニット1の内部には、3本のリチウムイオン電池セルからなるバッテリ3が内蔵され、保護回路基板5を介してトリガスイッチ6、正逆切替スイッチ8を介してコネクタ12a、12cに接続される。一方、モータユニット30には、モータ36、遊星歯車減速機構部37、クラッチ機構部38が設けられる。モータ36は、ターミナル42a、42c、コネクタ12a、12cを介して電力が供給される。また、バッテリ3とモータ36の電流経路にはFET等のスイッチング素子39が直列に配置される。保護回路基板5に搭載された保護手段(IC)によってバッテリ3が過放電またはバッテリ3(モータ36)に流れる電流が過電流であることを検出すると、保護手段(IC)から過放電または過電流信号(異常信号)が出力され、LD端子となるターミナル42b及びコネクタ12bを介してスイッチング素子39に入力される。するとスイッチング素子39はオフされて電流経路が遮断されることで、バッテリ3やモータ36を保護することができる。本実施例の構成においては、バッテリパックの外郭部を無くし、グリップユニット1のハウジング2内に直接バッテリ3を搭載することで、10.8V工具の比較時に、18650タイプの電池を使用したバッテリパックを用いる従来例(図11)の直径Dに比べて、握り部の直径D1(図1参照)で約2mm細くすることができた。また、グリップユニット1全体をバッテリパックとして機能させることで、機構部を含むモータユニット30を交換することで様々な工具として使用でき、安価にモータユニット部を供給できる。
【実施例2】
【0050】
次に図8を用いて本発明の第2の実施例に係るモータユニット50の形状を説明する。図8においてモータユニット50はハウジング51の内部に図示しないモータ、遊星歯車減速機構、打撃機構(インパクト機構)が同軸上に配置され、ハンマケース52を貫通する出力軸53に回転力と打撃力を与えることによって図示しない先端工具を回転させる。ハウジング51の下部には、取付部60が形成され、後方側からターミナル62、キー溝63、ラッチ溝64が設けられる。尚、取付部60の大きさや配置は図2で示したターミナル42、キー溝43、ラッチ溝44と同様で良い。以上のように、モータユニット50をモータユニット30と替えてグリップユニット1に装着することで、ドライバドリル(図1)とインパクトドライバ(図8)を容易に準備することができる。
【実施例3】
【0051】
次に図9を用いて本発明の第3の実施例に係るモータユニット70の形状を説明する。モータユニット70はセーバーソーであって、ハウジング71の内部には図示しないモータと、モータの回転運動をフランジの往復運動に変換する動力伝達機構が含まれる。ハウジング71の先端部には、ハウジング71の一部で左右分割ハウジングの固定用ネジの取付部72と、図示しない先端工具となるブレードの横ブレの動きを規制するブレードホルダ73が設けられる。また、ブレードホルダ73は相手材に当接させてブレードによる切断をガイドする役割も備える。ハウジング71の下部には、取付部80が形成され、後方側からターミナル82、キー溝83、ラッチ溝84が設けられる。尚、取付部80の大きさや配置は図2で示したターミナル42、キー溝43、ラッチ溝44と同様で良い。以上のように、モータユニット50をモータユニット70と替えてグリップユニット1に装着することで、ドライバドリル(図1)とセーバーソー(図9)を容易に準備することができる。ここで、モータユニットとグリップユニットが一体的に構成されたセーバーソーや丸鋸は、ドライバと異なり、モータの回転方向は常に一方向であるため、正逆切替スイッチを設けていないのが一般的である。そこで、本発明のグリップユニット1にセーバーソーの取付部80を接続した場合、制御棒が図5の位置47aに移動したときにモータを駆動可能とし、47bには移動できないようにラッチ溝84を形成すればよい。また、セーバーソー用の専用のグリップユニットを準備し、正逆切替スイッチの替わりに、単なるオフスイッチ(トリガスイッチの動作を許容するか、ロックするかを切り替えるスイッチ)を設けても良い。
【実施例4】
【0052】
次に図10を用いて本発明の第4の実施例におけるグリップユニット91の構造を説明する。グリップユニット91のハウジング92の内部には、単三電池(一次電池)と同等形状の充電式のバッテリ93を用いた。バッテリ93は、例えば14500サイズのリチウムイオン電池(二次電池)を用いることができる。14500サイズのバッテリ93を使用した場合には、グリップ部の直径D2を従来例の直径D(図11参照)に比べて約5mm細くすることができた。尚、図10から理解できるように、14500サイズのバッテリ93を使用する場合にはハウジング92の内部空間に余裕ができる。そこで、ハウジングの下端付近を略直方体の大きな形状としないで、さらに絞った形状としても良いし、グリップ部の円筒形部分(作業者が把持する部分)にバッテリ93の全体を収容するように構成しても良い。
【0053】
以上、本発明の実施例によれば、グリップユニットを共通化して、モータユニットだけを交換するだけで様々な形態の電動工具を容易に実現することができる。また、正逆切替スイッチをグリップユニットのラッチ機構に利用することで、グリップユニットからモータユニットを取り外す際に、モータが停止している状態でのみ取り外し可能となり、安全に分離することができる。さらに、モータユニットとグリップユニットに電圧を識別するキー溝を設けることで、定格電圧の低いモータユニットを誤って定格電圧の高いグリップユニットに装着して使用することを防止できる。さらに、先端工具取付け部やハンマ機構部などが一番先に寿命が来るインパクトドライバ等においては、トリガスイッチや正逆切替スイッチがバッテリと同じ方についているので、壊れやすいモータユニットの部分だけを替えることができるので、コストメリットが高いという効果がある。
【0054】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば上述の実施例ではモータユニットの例として、ドライバドリル、インパクトドライバ、セーバーソーのユニット例で説明したが、これだけに限られずにその他の公知の電動工具を構成するユニットであっても良い。また、上述の実施例ではモータユニット30側にキー溝43たる凹部、グリップユニット1側に掛止部13たる凸部を形成したが、定格電圧の高いグリップユニットが電圧仕様の低いモータユニット側に付けられないように組み合わせれば、凹部と凸部を設ける位置を反対としても良いし、その他、凹凸形状の変更や、案内レール、バックル等の公知の固定手段を用いてモータユニット30とグリップユニット1を着脱可能に固定しても良い。
【0055】
また、上述の実施例ではグリップユニット側に正逆切替スイッチ8を設け、モータユニット側にラッチ溝たる凹部、グリップユニット側に制御棒たる凸部を形成したが、正逆切替スイッチ8すなわち制御棒をモータユニット側に設けてもよい。この場合、グリップユニット側にラッチ溝を設ければよい。このようにすれば、正逆切替スイッチがあるドライバ等の電動工具と、トリガスイッチ(トリガ操作部)をオフ状態に維持するオフロックスイッチがある丸鋸等の電動工具で、グリップユニットの共通化を容易に図ることができる。正逆切替スイッチの場合には上述の実施例と同様に動作する。オフロックスイッチの場合にはロック状態にある場合のみモータユニットとグリップユニットとの接続を解除できるようにラッチ溝を形成すればよい。
【符号の説明】
【0056】
1 グリップユニット 2 ハウジング
2−1 右側ハウジング 2−2 左側ハウジング
3 バッテリ 5 保護回路基板
6 トリガスイッチ 7 トリガ操作部
8 正逆切替スイッチ 9 リード線
10 取付基台 11a、11b 開口部
12、12a、12b、12c、12d、12e コネクタ
13 掛止部 14 制御棒
15 開口部 16 コネクタ基板
30 モータユニット 31 ハウジング
32 取付部 33 ダイヤル
34 出力軸 35 スリーブ
36 モータ 37 遊星歯車減速機構部
38 クラッチ機構部 39 スイッチング素子
42、42a、42b、42c ターミナル
43 キー溝 44 ラッチ溝
44a、44c 横方向溝 44b 前後方向溝
44d 突出部(ストッパ部) 44e 傾斜部(案内部)
45 ラッチ部 50 モータユニット
51 ハウジング 52 ハンマケース
53 出力軸 60 取付部
62 ターミナル 63 キー溝
64 ラッチ溝 70 モータユニット
71 ハウジング 72 取付部
73 ブレードホルダ 80 取付部
82 ターミナル 83 キー溝
84 ラッチ溝 91 グリップユニット
92 ハウジング 93 バッテリ
101 電動工具 102 ハウジング
102a 胴体部 102b グリップ部
102c 外郭部 103 バッテリパック
104 モータ 105 保護回路基板
106 トリガスイッチ 107 トリガ操作部
120 減速機構 130 打撃機構
131 スピンドル 132 ハンマ
133 アンビル 134 出力軸
135 スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの駆動力を伝達して先端工具を駆動させる動力伝達部と、
前記モータと前記動力伝達部を収容するモータハウジングと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、
前記バッテリから前記モータへの電力供給を調整するスイッチと、
前記スイッチの動作を無効にするオフスイッチと、
前記バッテリ、前記スイッチ、前記オフスイッチを収容すると共にグリップ部が形成されたグリップ部ハウジングを有し、
前記モータハウジングと前記グリップ部ハウジングが着脱可能に形成され、
前記オフスイッチが前記スイッチを動作可能にしている場合に前記モータハウジングと前記グリップ部ハウジングの取り外しを禁止する安全機構を設けたことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記オフスイッチは、前記スイッチの動作を機械的に不能にすることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記オフスイッチは、前記モータの回転方向を設定する正逆切替スイッチであることを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記グリップ部ハウジングの上部に取付基台が設けられ、
前記モータハウジングの下部に前記取付基台に固定される取付部が形成され、
前記取付部には複数のターミナルが設けられ、
前記取付基台には複数のコネクタが設けられ、
前記取付部を前記取付基台に取り付けた際に前記ターミナルは前記コネクタと接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記安全機構は、前記取付基台から延びるように設けられ前記オフスイッチと連動して移動する制御棒と、前記取付部に設けられ前記制御棒を収容するラッチ溝により構成され、
前記取付部を前記取付基台に取り付けた際に前記制御棒が前記ラッチ溝に収容され、
前記オフスイッチにより前記スイッチの動作を無効にしないと前記制御棒が前記ラッチ溝の縁部に接触することによって前記取付部を取り外し方向に移動できないように前記ラッチ溝を構成したことを特徴とする請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記オフスイッチは、前記モータを正方向に回転させる正回転位置、逆方向に回転させる逆回転位置、及び、モータを回転させないロック位置の3つの設定位置を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項7】
前記ラッチ溝は底面から見たときに略H形の外縁を有する凹部であって、
前記凹部の外縁の一部に、前記オフスイッチが正回転又は逆回転位置のまま前記取付部を移動させたときに前記制御棒の取り外し方向への移動を阻止するストッパ部を設けたことを特徴とする請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記オフスイッチが正回転又は逆回転位置の状態で前記取付部を前記取付基台に装着する際に、前記取付部を前記取付基台に対して相対移動させることにより前記制御棒を移動させて前記オフスイッチをロック位置に設定する案内部を前記ラッチ溝に設けたことを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記取付基台には前記取付部を保持するための掛止部が設けられ、前記取付部に前記掛止部と嵌合するキー溝が形成され、前記取付部を前記取付基台に取り付けた際に前記掛止部が前記キー溝と嵌合することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項10】
前記掛止部は前記バッテリの定格電圧に対応させて形状や大きさが決定され、
前記キー溝は前記モータの定格電圧に対応させて形状や大きさが決定され、
前記モータの定格以上のバッテリ電圧を有する前記グリップ部ハウジングが、前記モータを有する前記モータハウジングに装着できないように構成したことを特徴とする請求項9に記載の電動工具。
【請求項11】
前記バッテリは14500サイズのリチウムイオン電池であり、前記バッテリの充電は、前記モータハウジングを取り外して前記取付基台のコネクタに外部充電器を接続することによって行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電動工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−86228(P2013−86228A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230677(P2011−230677)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)