説明

電動式シャープペンシル

【課題】芯3の前進は許容するが後退は阻止する芯保持手段を、通電させることにより収縮する通電駆動型形状記憶合金17によって前進させ、一定量芯3を繰り出す電動式シャープペンシルを提供する。
【解決手段】筆記先端部に芯3を適度の力で保持する芯ホルダー4を設ける。更に、チャック8の頭部8Aにボール9を設ける。このボール9を締具6のテーパー面6Cに押圧することにより、芯3の前進は許容するが後退は阻止する芯保持手段を構成する。この芯保持手段を通電駆動型形状記憶合金17の収縮により前進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電することにより通電駆動型形状記憶合金が収縮して芯を繰り出す電動式シャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通電することにより形状記憶合金が収縮して芯を繰り出すシャープペンシルが知られている。(特許文献1及び2参照)
【特許文献1】特開2005−193583号公報
【特許文献2】特開2005−254602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
頭部に締リングを外嵌したチャックを形状記憶合金の収縮により前進させて芯を繰り出すものは、チャックを前進させるための押し力が強くなるとともに、チャックから締リングを外すためには移動距離が長くなり、乾電池の電圧を大きくしなければ作動できないものであった。また、消費電力も大きくなり、頻繁に乾電池を取り替えなければならないという課題が生じるものであった。
本発明は、上記課題を解消する電動式シャープペンシルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、筆記先端部に芯を適度の力で保持する芯ホルダーを設け、かつ、チャックの頭部に設けられたボールを締具のテーパー面に押圧することにより芯の前進は許容するが後退は阻止する芯保持手段を構成するとともに、前記芯保持手段をスプリングにより長手方向後方に付勢し、通電を行うことにより通電駆動型形状記憶合金によって前記芯保持手段を前進させて芯を筆記先端より突出させ、通電を止めるとスプリングにより芯保持手段が後退して筆記状態となることを第1の要旨とする。
【0005】
また、長手方向前方に向かって広がったテーパー面を有する締具と、頭部にボールを設けたチャックと、チャックを長手方向後方に付勢するチャックスプリングとからなり、チャックスプリングによりチャックの頭部に設けられたボールが締具のテーパー面に押圧され、このチャックにより芯の前進は許容するが後退は阻止する芯保持手段を構成したことを第2の要旨とする。
【0006】
更に、締具に通電駆動型形状記憶合金を連結し、通電を行うことにより通電駆動型形状記憶合金が収縮して締具を前進させ、この締具が前進することによって芯保持手段を前進させることを第3の要旨とする。
【0007】
更にまた、締具と連動する芯タンクに通電駆動型形状記憶合金を連結し、通電を行うことにより通電駆動型形状記憶合金が収縮して芯タンクを前進させ、この芯タンクが前進することによって芯保持手段を前進させることを第4の要旨とする。
【0008】
更にまた、軸筒等に設けたスイッチを手動によってONにすることにより、通電駆動型形状記憶合金に電流を流すことを第5の要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、スプリングにより長手方向後方に付勢された芯保持手段をわずかな力でしかも短い距離を通電駆動型形状記憶合金で前進させるのみで一定量芯を繰り出すことができ、乾電池の消費が少ない効果が奏せられるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
筆記先端部に芯を適度の力で保持する芯ホルダーを設け、かつ、チャックの頭部に設けられたボールを締具のテーパー面に押圧することにより芯の前進は許容するが後退は阻止する芯保持手段を構成し、この芯保持手段をスプリングにより長手方向後方に付勢し、前記芯保持手段を通電駆動型形状記憶合金により後退させて芯を一定量繰り出すので、構成が簡単でかつ作動が滑らかになるとともに消費電力が少ない電動式シャープペンシルを実現した。
【実施例1】
【0011】
以下、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7及び図8により本発明の実施例1の電動式シャープペンシルを説明する。尚、図1の左側を前方とし右側を後方とする。先ず、図1及び図2において、口金1内に長手方向に摺動可能に芯ガイド2を内蔵し、この芯ガイド2の筒部外周に係止突起2Aを形成する。この係止突起2Aは通常口金1の先端孔1A内面に適度の力で摩擦接触している。更に、芯ガイド2内に芯3を適度の力で保持するゴム製の芯ホルダー4を取り付ける。
【0012】
また、前記口金1を連結具5に着脱可能に螺合し、口金1の係止段1Bと連結具5の前部内段5Aの間に締具6の外鍔部6Aを長手方向に適宜摺動可能に遊嵌する。また、口金1の内段1Cと締具6の前端との間にはスプリング7が20g〜30g程度の力で張架され、締具6は長手方向後方に付勢されている。
【0013】
チャック8の前部をスリ割り加工で半割し、半割りされたそれぞれの頭部8Aに凹部8Bを構成する。この凹部8Bに金属製のボール9をそれぞれ配置する。
【0014】
このチャック8を前記締具6内に挿入し、締具6の内段6Bとチャック8の外鍔8Cの間にチャックスプリング10が10g程度の力で張架されている。従って、チャック8の頭部8Aに配置されたボール9が締具6のテーパー面6Cに押圧されてチャック8が閉じられ、チャック8により保持された芯3は前進は許容されるが後退は阻止される。尚、前記締具6のテーパー面6Cは長手方向前方に向かって広がるように形成されている。更に、締具6の凹部6D内には芯タンク11の前部11Aが挿入され、芯タンク11の前部凹溝11Bに取り付けられたゴムリング12が締具6の凹部6D内面に前記チャックスプリング10より強い力で摩擦接触する。また、締具6の内鍔6Eと芯タンク11の段部11Cとの間には前記ゴムリング12の摩擦力より強い40g程度の力で芯タンクスプリング13が張架され、通常芯タンク11の前部段11Dが締具6の内鍔6Eに当接されている。前記締具6の後部にはスプリング付接点が設けられている。このスプリング付接点は、締具6の後端部6Fに固定部材14が固着され、締具6の後部外鍔6Gと固定部材14の間に可動部材15が長手方向に摺動可能に取り付けられる。
【0015】
更に、締具6の後部外鍔6Gと可動部材15の間に50g〜60g程度の力で接点スプリング16が張架され、可動部材15に設けられた接点15Aと固定部材14に設けられた接点14Aが接触している。
【0016】
前記連結具5の前部内面5Bには通電駆動型形状記憶合金17の一端が固着される。また、通電駆動型形状記憶合金17の他端はスプリング付接点の可動部材15に固定される。
【0017】
更にまた、連結具5には軸筒18が圧入、接着あるいは螺合等により取り付けられる。この軸筒18の後部内段18Aと押圧部材19の間にはリターンスプリング20が500g程度の力で張架され、押圧部材19の外鍔19Aが軸筒18の後端に取り付けられた頭冠21の内鍔21Aに当接されるとともに、押圧部材19の前端が芯タンク11の後端より適宜離間している。この押圧部材19にはカセット22が着脱可能に装着され、カセット22には単5乾電池23と消しゴム24が収納されるとともに消しゴム24を覆うノブ25が着脱可能に取り付けられている。
【0018】
前記軸筒18の凹部18Bにスイッチ26が取り付けられる。更に、軸筒18にはスライド可能なカバー27が取り付けられ、スイッチ26を保護することができる。筆記状態においては、カバー27は後方に移動し、カバー27の内方突起27Aが軸筒18の後部凹部18Cに係合している。
【0019】
また、前記軸筒18には集光性を有した着色透明樹脂製のクリップ28が取り付けられ、このクリップ28の内側にランプ29が取り付けられている。このランプ29は通電駆動型形状記憶合金17と連動しており、スイッチ26がONとなった時に点灯し、クリップ28全体から光が発光される。
【0020】
前記口金1の外面には凹溝1Dが形成され、この凹溝1Dに取り付けられたOリング30が軸筒18の前部内面18Dに適度の力で摩擦接触する。この口金1は回動させることにより前進あるいは後退をし、口金1の係止段1Bと締具6の前端の距離Lが変化し、芯出量が調整される。つまり、通常はこの距離Lを1〜2mmに設定することが好ましいが、使用者の好みにより距離Lを0.5mmに設定すれば、芯ガイド2の後退距離が0.5mmになり芯3の繰り出し量となる。
【0021】
図1及び図2の状態より筆記を行い芯3が消耗した場合には、スイッチ26を手動で押圧してONにすることにより通電駆動型形状記憶合金17が通電され熱せられる。また、ランプ29が点灯しクリップ28全体が発光される。そして、通電駆動型形状記憶合金17が熱せられて収縮すると締具6が前方に引っ張られてスプリング7が圧縮される。すると、芯タンク11に取り付けられたゴムリング12が締具6と摩擦接触しているので、締具6とともに芯タンク11が前進する。この時、チャック8に保持された芯3も芯ホルダー4内を滑って前進する。
【0022】
そして、締具6の前端が口金1の係止段1Bに当接され、締具6及び芯タンク11の前進が停止される。すると、締具6及びチャック8が前進した長さだけ芯ガイド2の先端より芯3が突出され図3の状態となる。そして、スイッチ26の押圧を止めOFFにすると、通電駆動型形状記憶合金17が冷やされて伸長し、締具6、チャック8及び芯タンク11がチャックスプリング10に付勢されて後退する。この時、チャック8は芯3の前進は許容するが後退は阻止する構造となっているので、突出した芯3は芯ホルダー4に保持されて停止している。そして、図1及び図2の状態に復帰する。
【0023】
尚、誤ってスイッチ26を押圧し続けた状態となった場合には、過度の熱が通電駆動型形状記憶合金17に加わり、強い力で収縮する。すると、芯タンク11、チャック8及び締具6が前進して締具6の前端が口金1の係止段1Bに当接されるが、更に通電駆動型形状記憶合金17が収縮すると接点スプリング16が圧縮されて可動部材15が前進させられ、接点14Aと接点15Aが離間して通電が止められ図4の状態となる。従って、必要以上に通電駆動型形状記憶合金17が熱せられる恐れはなく、通電駆動型形状記憶合金17が破損したり耐久性を損ねる恐れはない。
【0024】
そして、1本の芯3が消耗し次の芯3を繰り出す場合には、ノブ25を押圧するとリターンスプリング20を圧縮してカセット22及び押圧部材19が前進する。すると、押圧部材19が芯タンク11の後端に当接して芯タンク11を前進させる。芯タンク11が前進すると、締具6及びチャック8とともに芯3が前進する。そして、締具6の前端が口金1の係止段1Bに当接すると締具6は停止するが、ゴムリング12が締具6の凹部6D内面を滑って芯タンク11は更に前進し、芯タンク11の前端がチャック8の後端を押圧してチャック8を拡開する。そして、チャック8の前端が芯ガイド2の後端に当接すると、チャック8及び芯タンク11が停止するとともに、次の芯3がチャック8内に落下し、図5及び図6の状態となる。次に、ノブ25の押圧を中止するとリターンスプリング20により芯タンク11が後退させられるが、ゴムリング12に接続された締具6もチャック8を拡開した状態で後退されるので、チャック8内に落下した次の芯3が後退させられる心配はない。このノブ25の押圧を数回繰り返すことにより短くなった芯3を芯ガイド2の先端から排出するとともに次の芯3を芯ホルダー2内に挿入し、芯ガイド2の先端より突出させる。
【0025】
また、筆記を止めて携帯する場合には、まず、ノブ25を押圧してチャック8を拡開し、図6の状態とする。次に、ノブ25の押圧を解除するとともに芯ガイド2の先端を紙面等に押圧して芯ガイド2をチャック8とともに後退させる。すると、芯ガイド2の係止突起2Aが口金1の先端孔1Aから外れ、芯ガイド2の係止突起2Aが口金1の内段1Cに係止されるとともに芯ガイド2を口金1内に没入する。しかも、芯ガイド2によってチャック8が固定されるので芯3の繰出も阻止され、不必要な芯繰出が防止される。更に、カバー27をスライドさせて前方に移動し、スイッチ26を覆うとともにカバー27の内方突起27Aが軸筒18の前部凹部18Eに係合し図7及び図8の状態とする。
【0026】
携帯状態より筆記を行うには、ノブ25を押圧して芯タンク11及びチャック8を前進し、チャック8により芯ガイド2を押圧して芯ガイド2の係止突起2Aを口金1の内段1Cから外す。更に、チャック8により芯ガイド2を押圧して芯ガイド2を前進させ、口金1の先端より芯ガイド2を突出させて図1及び図3の状態に復帰させ筆記状態とする。
【0027】
また、芯タンク11に芯3を補充する場合には、押圧部材19からカセット22を外して補充する。また、乾電池23を取り替える場合も、芯タンク11からカセット22を外して取り替える。
【0028】
消しゴム24を使用する場合には、芯タンク11に装着されたカセット22からノブ25のみを外して消しゴム24を使用する。
【実施例2】
【0029】
図9、図10、図11、図12及び図13により本発明の実施例2の電動式シャープペンシルを説明する。尚、図9の左側を前方とし右側を後方とする。また、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図9及び図10において、口金101内に芯3を適度の力で保持するゴム製の芯ホルダー4を取り付ける。
【0030】
また、前記口金101を連結具5に着脱可能に螺合し、口金101の係止段101Bと連結具5の前部内段5Aの間に締具106の外鍔部106Aを長手方向に適宜摺動可能に遊嵌する。また、口金101の内段101Cと連結具5の前端との間にはスプリング7が20g〜30g程度の力で張架され、締具106は長手方向後方に付勢されている。
【0031】
この締具106に長手方向前方に向かって広がるテーパー面106Cを形成する。更に、締具106内にチャック8を挿入し、締具106の内段106Bとチャック8の外鍔8Cの間にチャックスプリング10が張架される。従って、チャック8の頭部8Aに配置されたボール9が締具106のテーパー面106Cに押圧されてチャック8が閉じられ、チャック8により保持された芯3は前進は許容されるが後退は阻止される。
【0032】
更に、締具106の凹部106D内には芯タンク111の前部111Aが挿入され、芯タンク111の前部凹溝111Bに取り付けられたゴムリング12が締具106の凹部106D内面にチャックスプリング10より強い力で摩擦接触する。また、締具106の内鍔106Eと芯タンク111の段部111Cとの間には前記ゴムリング12の摩擦力より強い40g程度の力で芯タンクスプリング113が張架され、通常芯タンク111の前部段111Dが締具106の内鍔106Eに当接されるとともに、芯タンク111の係止段111Eが締具106の内鍔106Eと適宜離間している。
【0033】
前記芯タンク111の後部にはスプリング付接点が設けられている。このスプリング付接点は、芯タンク111の後端部111Fに固定部材114が固着され、芯タンク111の外鍔111Gと固定部材114の間に可動部材115が長手方向に摺動可能に取り付けられる。
【0034】
更に、芯タンク111の外鍔111Gと可動部材115の間に50g〜60g程度の力で接点スプリング16が張架され、可動部材115に設けられた接点115Aと固定部材114に設けられた接点114Aが接触している。
【0035】
前記連結具5の前部内面5Bには通電駆動型形状記憶合金17の一端が固着される。また、通電駆動型形状記憶合金17の他端はスプリング付接点の可動部材115に固定される。
【0036】
図9及び図10の状態より筆記を行い芯3が消耗した場合には、スイッチ26を手動で押圧してONにすることにより通電駆動型形状記憶合金17が通電され熱せられる。また、ランプ29が点灯しクリップ28全体が発光される。そして、通電駆動型形状記憶合金17が熱せられて収縮すると芯タンク111が前方に引っ張られて芯タンクスプリング113が圧縮される。すると、芯タンク111に取り付けられたゴムリング12と摩擦接触している締具106が芯タンク111とともに前進する。この時、チャック8に保持された芯3も芯ホルダー4内を滑って前進する。
【0037】
そして、締具106の前端が口金101の係止段101Bに当接され、締具106及び芯タンク111の前進が停止される。すると、締具106及びチャック8が前進した長さだけ口金101の先端より芯3が突出され図11の状態となる。そして、スイッチ26の押圧を止めOFFにすると、通電駆動型形状記憶合金17が冷やされて伸長し、締具106、チャック8及び芯タンク111がチャックスプリング10に付勢されて後退する。この時、チャック8は芯3の前進は許容するが後退は阻止する構造となっているので、突出した芯3は芯ホルダー4に保持されて停止している。そして、図9及び図10の状態に復帰する。
【0038】
誤ってスイッチ26を押圧し続けた状態となった場合には、過度の熱が通電駆動型形状記憶合金17に加わり、強い力で収縮する。すると、芯タンク111が前方に引っ張られて芯タンク111とともにチャック8及び締具106が前進し、締具106の前端が口金101の係止段101Bに当接される。更に、通電駆動型形状記憶合金17が収縮すると接点スプリング16が圧縮されて可動部材115が前進させられ、接点114Aと接点115Aが離間して通電が止められる。従って、必要以上に通電駆動型形状記憶合金17が熱せられる恐れはなく、通電駆動型形状記憶合金17が破損したり耐久性を損ねる恐れはない。
【0039】
尚、上記実施例はいずれもチャック8が、前部をスリ割り加工によって半割したもので説明したが、本発明におけるチャックは、射出成形で形成した合成樹脂製の2つの片を互いに合わせてチャックを構成してもよいし、ダイキャストで形成した金属製の2つの片を互いに合わせてチャックを構成しても良い。
【0040】
また、上記実施例はいずれも芯タンクの凹溝にゴムリング12が取り付けられ、このゴムリング12が締具の凹部内面と摩擦接触しているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、芯タンクの前部を複数に分割して弾性片を形成し、この弾性片が締具と摩擦接触することも可能である。
【0041】
更に、通電駆動型形状記憶合金としては、Ti−Ni系またはTi−Ni−Su系の形状記憶合金が考えられ、バイオメタルBMF75、BMF100、BMF125、BMF150(トキ・コーポレーション株式会社製)が好ましい。
【0042】
更にまた、通電駆動型形状記憶合金が接触する可能性のある部材は金属又は耐熱性樹脂を用いることが好ましい。
【0043】
更にまた、上記実施例ではいずれもスイッチを軸筒に設けているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、スイッチは口金やカセットあるいはノックする部材等に設けることも可能である。また、カバーはスライドするもの以外に回動させたり反転させるものが考えられる。
【0044】
更にまた、上記実施例ではいずれも電源として乾電池を用いたが、本発明は乾電池に限定されるものではなく、充電式の電池を用いても良い。
【0045】
更にまた、上記実施例ではいずれも口金を回動させることにより芯出量を調整する機構が設けられているが、芯出量を調整する機構を設けなくても本発明の目的は十分に達成することができるものである。
【0046】
更にまた、上記実施例ではいずれもクリップの内側にランプが取り付けられているが、ランプがなくても本発明の目的は十分に達成することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
通電駆動型形状記憶合金の収縮が少なく、しかも弱い引っ張り力で芯を一定量繰り出すことができ、乾電池の消耗を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1の電動式シャープペンシルを示す断面図である。(実施例1)
【図2】図1の先端部分を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】スイッチをONにして芯保持部材を前進させた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図4】過度の熱が通電駆動型形状記憶合金に加わり、接点14Aと接点15Aが離間した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図5】ノブを押圧してチャックを拡開した状態を示す断面図である。(実施例1)
【図6】図5の先端部分を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図7】携帯するためにスイッチをカバーで覆うとともに芯ガイドを口金内に没入させた状態を示す断面図である。(実施例1)
【図8】図7の先端部分を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図9】本発明の実施例2の電動式シャープペンシルを示す断面図である。(実施例2)
【図10】図9の先端部分を示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図11】スイッチをONにし芯保持手段を前進させた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図12】ノブを押圧してチャックを拡開した状態を示す断面図である。(実施例2)
【図13】図12の先端部分を示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0049】
3 芯
4 芯ホルダー
6 締具
6C 締具6のテーパー面
7 スプリング
8 チャック
8A チャック8の頭部
9 ボール
10 チャックスプリング
11 芯タンク
17 通電駆動型形状記憶合金
26 スイッチ
106 締具
111 芯タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記先端部に芯を適度の力で保持する芯ホルダーを設け、かつ、チャックの頭部に設けられたボールを締具のテーパー面に押圧することにより芯の前進は許容するが後退は阻止する芯保持手段を構成するとともに、前記芯保持手段をスプリングにより長手方向後方に付勢し、通電を行うことにより通電駆動型形状記憶合金によって前記芯保持手段を前進させて芯を筆記先端より突出させ、通電を止めるとスプリングにより芯保持手段が後退して筆記状態となることを特徴とする電動式シャープペンシル。
【請求項2】
長手方向前方に向かって広がったテーパー面を有する締具と、頭部にボールを設けたチャックと、チャックを長手方向後方に付勢するチャックスプリングとからなり、チャックスプリングによりチャックの頭部に設けられたボールが締具のテーパー面に押圧され、このチャックにより芯の前進は許容するが後退は阻止する芯保持手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の電動式シャープペンシル。
【請求項3】
締具に通電駆動型形状記憶合金を連結し、通電を行うことにより通電駆動型形状記憶合金が収縮して締具を前進させ、この締具が前進することによって芯保持手段を前進させることを特徴とする請求項1又は2記載の電動式シャープペンシル。
【請求項4】
締具と連動する芯タンクに通電駆動型形状記憶合金を連結し、通電を行うことにより通電駆動型形状記憶合金が収縮して芯タンクを前進させ、この芯タンクが前進することによって芯保持手段を前進させることを特徴とする請求項1又は2記載の電動式シャープペンシル。
【請求項5】
軸筒等に設けたスイッチを手動によってONにすることにより、通電駆動型形状記憶合金に電流を流すことを特徴とする請求項1乃至4記載の電動式シャープペンシル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−155381(P2008−155381A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343238(P2006−343238)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000111904)パイロットプレシジョン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】