説明

電動式建設機械

【課題】 防水シートの防水性を保ちつつ、消火器からの消火剤を確実にバッテリに噴射する。
【解決手段】 バッテリ搭載台28を防水シート35によって覆い、防水シート35の外側には消火器41を設け、防水シート35の内側には噴射ノズル42を設ける。消火器41には消火用ホース43の一端部43Aを接続し、この消火用ホース43の他端側を防水シート35の開口部35Aから噴射ノズル42へと導き、消火用ホース43の他端部43Bを防水シート35の内側で噴射ノズル42に接続する。防水シート35の外側面には消火用ホース43の途中部位を支持するホース支持部材44を設ける。これにより、防水シート35に孔を設けることなく、消火器41と噴射ノズル42とを消火用ホース43によって接続することができ、防水シート35の防水性を保ちつつ、消火器41からの消火剤をバッテリ29に噴射することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源として電動モータを備えた油圧ショベル、ホイールローダ等の電動式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、掘削作業や解体作業に用いられる油圧ショベル等の建設機械は、エンジンによって油圧ポンプを駆動することにより、走行用の油圧モータ、旋回用の油圧モータ、作業装置を構成する各種の油圧シリンダ等の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油(作動油)を供給する構成となっている。
【0003】
一方、例えば倉庫等の建造物内で掘削作業や解体作業を行うときに、エンジンからの排気ガスによって作業環境が低下するのを防止するため、エンジンに代って油圧ポンプを駆動する動力源としての電動モータと、この電動モータへの給電を行うバッテリとを備えた電動式の油圧ショベルが提案されている。
【0004】
ところで、電動式の油圧ショベルでは、長時間に亘って稼働できるように多数のバッテリを搭載する必要がある。このため、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルに多数のバッテリを搭載する場合には、通常、上部旋回体のベースとなる車体フレームの後部側に、多数のバッテリを効率良く搭載できるバッテリ搭載台(バッテリテーブル)を設け、これら多数のバッテリをカウンタウエイトとしても利用する構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−44408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した電動式の油圧ショベルにおいては、搭載したバッテリに雨水や洗浄水等が付着するのを防止する必要がある。このため、バッテリを搭載したバッテリ搭載台全体を、ビニールシート等の防水シートを用いて覆うことが考えられる。従って、電動式の油圧ショベルが火災を発生した場合に、この火災を消火するために油圧ショベルに水をかけたとしても、この水は防水シートによって遮蔽されてバッテリには届かない。
【0007】
従って、電動式の油圧ショベルにおいては、防水シートによって覆われたバッテリが火災を発生した場合には、この火災を粉末状の薬品からなる消火剤によって消火する必要がある。このため、防水シートの外側に消火剤が充填された消火器を配置すると共に、防水シートの内側に噴射ノズルを配置し、消火器と噴射ノズルとの間を消火用ホースを介して接続することにより、消火器からの消火剤を、噴射ノズルを通じて防水シート内のバッテリに噴射することが考えられる。
【0008】
しかし、消火用ホースの一端側を防水シートの外側で消火器に接続すると共に、消火用ホースの他端側を防水シートの内側で噴射ノズルに接続するために、防水シート内に消火用ホースを挿通するホース挿通孔を形成した場合には、このホース挿通孔を通じて雨水等が防水シート内に侵入することにより、防水シートの防水性が損なわれてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、防水シートの防水性を保ちつつ、消火器からの消火剤を確実にバッテリに噴射することができるようにした電動式建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な車体と、該車体に搭載された電動モータと、該電動モータに電力を供給するバッテリと、前記車体の後部側に設けられ該バッテリを搭載するバッテリ搭載台とを備えてなる電動式建設機械に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記バッテリを搭載した前記バッテリ搭載台を覆う防水シートを設け、前記車体には前記防水シートの外側に位置して消火剤が充填された消火器を設け、前記車体には前記防水シートの内側に位置して前記消火器からの消火剤を前記バッテリに向けて噴射する噴射ノズルを設け、前記消火器と噴射ノズルとの間には、一端側が前記防水シートの外側で前記消火器に接続され、他端側が前記噴射ノズルへと延び前記防水シートの内側で前記噴射ノズルに接続される消火用ホースを設け、前記防水シートの外側面には、前記消火用ホースの途中部位を前記防水シートの外側面に沿って支持するホース支持部材を設けたことにある。
【0012】
請求項2の発明は、前記防水シートは、上面側が閉塞され下端側が開口した開口部となった有蓋袋状体として形成し、前記消火用ホースは、前記消火器から前記開口部までは前記防水シートの外側を通り、前記開口部から前記噴射ノズルまでは前記防水シートの内側を通る構成としたことにある。
【0013】
請求項3の発明は、前記ホース支持部材は、前記防水シートに取付けられ前記消火用ホースを取囲むことにより前記防水シートの外側面との間にホース支持空間を形成する長尺なホース包囲材と、前記ホース支持空間内に前記消火用ホースを収容した状態で該消火用ホースを前記ホース包囲材に結束する結束具とにより構成したことにある。
【0014】
請求項4の発明は、前記ホース支持部材は、前記防水シートの外側面に間隔をもって取付けられた複数個の支持片と、該各支持片に前記消火用ホースを結束する結束具とにより構成したことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、一端側が消火器に接続された消火用ホースの他端側を、防水シートの内側で噴射ノズルに接続することができる。従って、バッテリを防水シートで覆った状態で、防水シートの防水性を保ちつつ、消火器からの消火剤を確実にバッテリに噴射することができる。
【0016】
この場合、ホース支持部材により、消火用ホースの途中部位を、防水シートの外側面に沿って支持することができるので、電動式建設機械の作動時に消火用ホースがばたつくのを抑えることができる。この結果、消火用ホースが損傷するのを抑え、消火器に充填された消火剤を消火用ホースを通じて円滑に噴射ノズルに導くことにより、噴射ノズルからバッテリに向けて大量の消火剤を噴射することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、消火用ホースを、防水シートの開口部から当該防水シートの内側に導くことができ、この消火用ホースの他端側を防水シートの内側で噴射ノズルに接続することができる。従って、防水シートに消火用ホースを挿通するための孔を設けることなく、消火器と噴射ノズルとの間を消火用ホースを用いて接続することができる。この結果、防水シートの防水性を良好に保つことができ、防水シートによって覆われたバッテリの寿命を延ばすことができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、防水シートにホース包囲材を取付けることにより、防水シートの外側面とホース包囲材との間に長尺なホース支持空間を形成することができる。従って、このホース支持空間内に消火用ホースの途中部位を収容することにより、建設機械の作動時における消火用ホースのばたつきを抑えることができる。しかも、結束具を用いて消火用ホースをホース包囲材に結束することにより、消火用ホースの途中部位を防水シートの外側面に沿って固定することができ、消火用ホースのばたつきを確実に抑えることにより、当該消火用ホースを保護することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、防水シートの外側面に取付けられた各支持片に対し、結束具を用いて消火用ホースを結束するだけで、防水シートの外側面に沿って消火用ホースを容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態による電動式の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを上方からみた平面図である。
【図3】上部旋回体を外装カバー、後部カバー等を取外した状態で上方からみた平面図である。
【図4】後部フレーム、バッテリ搭載台、バッテリ、防水シート、消火器、消火用ホース等を拡大して示す正面図である。
【図5】防水シートを取外し、後部フレームの一部を破断にして噴射ノズルを表した図4と同様位置の正面図である。
【図6】後部フレーム、バッテリ搭載台、バッテリ、消火器、消火用ホース等を図5中の矢示VI−VI方向からみた左側面図である。
【図7】前部車体から後部車体を取外した状態を示す分解斜視図である。
【図8】前部フレームと後部フレームとを示す分解斜視図である。
【図9】後部フレームにバッテリ搭載台を取付けた状態を示す斜視図である。
【図10】バッテリ搭載台を分解して示す分解斜視図である。
【図11】バッテリ搭載台にバッテリを搭載した状態を示す斜視図である。
【図12】後部フレームから外装カバーを取外し、バッテリ搭載台、防水シートを表した分解斜視図である。
【図13】防水シートとホース包囲材とを示す分解斜視図である。
【図14】防水シート、消火器、消火用ホース、ホース包囲材、結束バンド等の要部を拡大して示す斜視図である。
【図15】防水シート、消火用ホース、ホース包囲材、結束バンドを図14中の矢示XV−XV方向からみた断面図である。
【図16】第2の実施の形態による支持片、防水シート、消火器、消火用ホース、結束バンド等の要部を拡大して示す斜視図である。
【図17】防水シート、消火用ホース、支持片、結束バンドを図16中の矢示XVII−XVII方向からみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電動式建設機械の実施の形態を、建設機械の代表例である油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図中、1は電動式の油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3とを備えている。上部旋回体3の前部側には、土砂の掘削作業等を行うスイング式の作業装置4が設けられ、該作業装置4は、スイングポスト4A、ブーム4B、アーム4C、バケット4D、ブームシリンダ4E、アームシリンダ4F、バケットシリンダ4G等により構成されている。
【0023】
ここで、本実施の形態による上部旋回体3は、図6に示すように、前部側に位置する前部車体5と、該前部車体5の後端側に取付けられる後述の後部車体10とにより大略構成されている。
【0024】
前部車体5は、後述する前部フレーム13を有し、該前部フレーム13の左側には、オペレータが着席する運転席6と、該運転席6を上方から覆うキャノピ6Aとが配置されている。ここで、キャノピ6Aは、運転席6を取囲んで立設された4本の支柱6A1と、該各支柱6A1の上端部に設けられた屋根6A2とにより構成され、運転席6の右後方に配置された支柱6A1には、後述の消火器41が取付けられている。
【0025】
一方、前部フレーム13の右側には、電動モータ7、油圧ポンプ8、作動油タンク9等が配設され、電動モータ7によって油圧ポンプ8を駆動することにより、作動油タンク9に貯溜された作動油が、走行用および旋回用の油圧モータ(いずれも図示せず)、作業装置4を構成する各シリンダ4E,4F,4G等の油圧機器に向けて供給される構成となっている。
【0026】
次に、10は前部車体5の後端側に取付けられる後部車体を示している。この後部車体10は、前部車体5と共に上部旋回体3を構成するものである。ここで、後部車体10は、後述する後部フレーム20を有し、該後部フレーム20には、後述するバッテリ搭載台28を用いて多数のバッテリ29が搭載されている。そして、これら各バッテリ29によって電動モータ7への給電が行われる構成となっている。
【0027】
11は上部旋回体3のベースとなる車体フレームとしての旋回フレームを示し、該旋回フレーム11は、図8に示すように、前部車体5のベースとなる後述の前部フレーム13と後部車体10のベースとなる後述の後部フレーム20とを連結ピン12等を用いて連結することにより構成されている。即ち、本実施の形態による旋回フレーム11は、別部材として形成された前部フレーム13と後部フレーム20とを一体に連結することにより構成されている。
【0028】
次に、旋回フレーム11の前部側を構成する前部フレーム13について説明する。この前部フレーム13は、前部車体5のベースとなるもので、上述した運転席6、キャノピ6A、電動モータ7、油圧ポンプ8、作動油タンク9等が搭載されるものである。
【0029】
ここで、前部フレーム13は、厚肉な鋼板等を用いて形成され前,後方向に延びた底板14と、該底板14の上面側に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板15,右縦板16と、左張出しビーム17Aを介して底板14および左縦板15の左側に配設され前,後方向に延びた左サイドフレーム17と、右張出しビーム18Aを介して底板14および右縦板16の右側に配設され前,後方向に延びた右サイドフレーム18とにより大略構成されている。
【0030】
左縦板15と右縦板16の前端側には段付き円筒状のスイングブラケット19が固定され、該スイングブラケット19によって作業装置4のスイングポスト4Aを揺動可能に支持する構成となっている。左縦板15の後端側には左,右方向に貫通するピン挿通孔15Aが設けられ、右縦板16の後端側には左,右方向に貫通するピン挿通孔16Aが設けられ、これら各ピン挿通孔15A,16Aにそれぞれ連結ピン12が挿通される構成となっている。
【0031】
次に、旋回フレーム11の後部側を構成する後部フレーム20について説明する。この後部フレーム20は、後部車体10のベースとなるもので、図8に示すように、後述するベースフレーム部21と、外周フレーム部22と、左,右の支柱23,24と、ガードパイプ26とにより大略構成されている。そして、後部フレーム20は、連結ピン12等を用いて前部フレーム13の後端側に着脱可能に取付けられ、後述のバッテリ搭載台28を支持するものである。
【0032】
21は後部フレーム20のベースとなるベースフレーム部を示し、該ベースフレーム部21は、左,右方向に延びる長方形状の前面板21Aと、該前面板21Aと前,後方向で対面する後面板21Bと、前面板21Aと後面板21Bとを挟んで左,右方向で対面する左側面板21C,右側面板21Dと、これら前面板21A、後面板21B、左側面板21C、右側面板21Dの下端側を閉塞する底板21Eとにより、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。
【0033】
左側面板21Cの上端側は、右側面板21Dとは反対方向に水平に折曲げられた左水平フランジ板21Fとなり、右側面板21Dの上端側は、左側面板21Cとは反対方向に水平に折曲げられた右水平フランジ板21Gとなっている。そして、左水平フランジ板21Fと右水平フランジ板21Gとの上面側には、後述の各弾性支持部材27が取付けられるようになっている。
【0034】
22はベースフレーム部21の後端側に設けられた外周フレーム部を示し、該外周フレーム部22は、例えば上部旋回体3の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。この外周フレーム部22は、ベースフレーム部21の後面板21B、左側面板21Cおよび右側面板21Dに溶接等の手段を用いて固着されている。
【0035】
23は後部フレーム20の後端側に設けられた左支柱で、該左支柱23は、ベースフレーム部21を構成する左側面板21Cの後側に配置されている。この左支柱23は、中空な角筒体からなり、ベースフレーム部21の後端部および外周フレーム部22等に溶接されることにより上,下方向に伸長している。
【0036】
24は左支柱23と対をなして後部フレーム20の後端側に設けられた右支柱で、該右支柱24は、ベースフレーム部21を構成する右側面板21Dの後側に配置されている。この右支柱24も中空な角筒体からなり、ベースフレーム部21の後端部および外周フレーム部22等に溶接されることにより上,下方向に伸長している。そして、左支柱23の上端側と右支柱24の上端側との間は連結梁25によって連結され、該連結梁25を介して左支柱23と右支柱24とが一体化されている。また、左支柱23と右支柱24との間には、後述の噴射ノズル42が立設されている。
【0037】
26は左,右の支柱23,24から外周フレーム部22に沿って前方へと延びるガードパイプを示し、該ガードパイプ26は、例えば中空な丸パイプ材を用いて形成されている。このガードパイプ26は、外周フレーム部22に沿って湾曲しつつ外周フレーム部22の左端側と左支柱23との間に架渡された左ガード部26Aと、外周フレーム部22に沿って湾曲しつつ外周フレーム部22の右端側と右支柱24との間に架渡された右ガード部26Bとにより構成されている。そして、ガードパイプ26は、図11に示すように、後述するバッテリ搭載台28に搭載された多数のバッテリ29を外側から取囲むことにより、これら各バッテリ29を保護するものである。
【0038】
そして、図8に示すように、前部フレーム13を構成する左縦板15の後端側と右縦板16の後端側とにより、後部フレーム20のベースフレーム部21を左,右方向から挟込み、左縦板15のピン挿通孔15Aとベースフレーム部21の左側面板21Cとに連結ピン12を挿通すると共に、右縦板16のピン挿通孔16Aとベースフレーム部21の右側面板21Dとに連結ピン12を挿通した状態で、前部フレーム13と後部フレーム20とをボルト等(図示せず)を用いて締結することにより、旋回フレーム11が形成されている。
【0039】
27は後部フレーム20を構成するベースフレーム部21の周囲に設けられた複数の弾性支持部材(マウント部材)を示している。各弾性支持部材27は、ベースフレーム部21の左水平フランジ板21F上に前,後方向に間隔をもって複数個(例えば4個)設けられると共に、右水平フランジ板21G上に前,後方向に間隔をもって複数個(例えば4個)設けられている。これら各弾性支持部材27は、ベースフレーム部21に対して後述するバッテリ搭載台28の基台30を弾性的に支持するものである。
【0040】
次に、後部フレーム20のベースフレーム部21に取付けられるバッテリ搭載台について説明する。
【0041】
28は後部フレーム20のベースフレーム部21上に各弾性支持部材27を介して弾性的に支持されたバッテリ搭載台を示し、該バッテリ搭載台28は、多数のバッテリ29を効率良く収納した状態で後部フレーム20に取付けられるものである。この場合、図9および図10に示すように、バッテリ搭載台28は、後述の基台30と、バッテリテーブル31とにより構成されている。
【0042】
ここで、バッテリ搭載台28に搭載される各バッテリ29は、左,右方向に延びる直方体状をなし、互いに電気的に接続されている。そして、各バッテリ29からの電力が電動モータ7に供給されることにより、当該電動モータ7が駆動される構成となっている。
【0043】
30はバッテリ搭載台28のベースとなる基台で、該基台30は、各弾性支持部材27を介して後部フレーム20のベースフレーム部21上に弾性的に支持されるものである。この基台30は、前面板30Aと、後面板30Bと、左側面板30Cと、右側面板30Dと、底板30Eとにより、全体として後部フレーム20のベースフレーム部21よりも一回り小さな長方形の枠状に形成されている。
【0044】
一方、左側面板30Cの上端側には左水平フランジ板30Fが設けられ、右側面板30Dの上端側には右水平フランジ板30Gが設けられている。そして、ベースフレーム部21の内側に基台30を配置し、ベースフレーム部21の左水平フランジ板21Fと基台30の左水平フランジ板30Fとの間に弾性支持部材27を設けると共に、ベースフレーム部21の右水平フランジ板21Gと基台30の右水平フランジ板30Gとの間に弾性支持部材27を設けることにより、基台30が複数の弾性支持部材27を介してベースフレーム部21に弾性的に支持されている。また、基台30の底板30E上には、複数のバッテリ29が搭載される構成となっている。
【0045】
次に、31は基台30上に取付けられたバッテリテーブルを示し、該バッテリテーブル31は、後述する下段テーブル32と、中段テーブル33と、上段テーブル34とを上,下方向に積重ねた枠状体として構成されている。そして、図11に示すように、バッテリテーブル31を構成する各段のテーブル32,33,34上に多数のバッテリ29を効率良く搭載することができる構成となっている。
【0046】
32は基台30上に取付けられた下段テーブルを示している。この下段テーブル32は、角パイプ等を用いて枠状に形成された下枠組み部材32Aと、下枠組み部材32Aの左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びた中央プレート32Bと、下枠組み部材32Aの左側に配置された左側プレート32Cと、下枠組み部材32Aの後部右側に配置された右側プレート32Dと、下枠組み部材32Aの後部側に立設された矩形の枠状をなす上枠組み部材32Eとにより大略構成されている。
【0047】
この下段テーブル32は、下枠組み部材32Aが基台30上にボルト等を用いて締結されることにより当該基台30上に固定されている。そして、下段テーブル32の中央プレート32B、左側プレート32C、右側プレート32D上には、それぞれ複数個のバッテリ29が搭載される構成となっている。
【0048】
33は下段テーブル32上に取付けられた中段テーブルを示し、該中段テーブル33も、角パイプ等を用いて枠状に形成された下枠組み部材33Aと、下枠組み部材33Aの中央部に配置された中央プレート33Bと、下枠組み部材33Aの左側に配置された左側プレート33Cと、下枠組み部材33Aの後部右側に配置された右側プレート33Dと、下枠組み部材33Aの後部側に立設された上枠組み部材33Eとにより大略構成されている。また、下枠組み部材33Aの前端側には、複数本の下向き取付脚33Fが下向きに突設され、下枠組み部材33Aの左,右方向の両端側には、上向き取付脚33Gが上向きに突設されている。
【0049】
この中段テーブル33は、下枠組み部材33Aを下段テーブル32の上枠組み部材32E上に載置した状態で、下向き取付脚33Fを下段テーブル32の下枠組み部材32Aにボルト等を用いて締結することにより、下段テーブル32上に固定されている。そして、中段テーブル33の中央プレート33B、左側プレート33C、右側プレート33D上には、それぞれ複数個のバッテリ29が搭載される構成となっている。
【0050】
34は中段テーブル33上に取付けられた上段テーブルを示し、該上段テーブル34も、角パイプ等を用いて枠状に形成された枠組み部材34Aと、枠組み部材34Aの中央部に配置された中央プレート34Bと、枠組み部材34Aの左側に配置された左側プレート34Cと、枠組み部材34Aの右側に配置された右側プレート34Dとにより大略構成されている。
【0051】
この上段テーブル34は、枠組み部材34Aを中段テーブル33の上枠組み部材33E上に載置した状態で、枠組み部材34Aの左,右方向の両端部を中段テーブル33の上向き取付脚33Gにボルト等を用いて締結することにより、中段テーブル33上に固定されている。そして、上段テーブル34の中央プレート34B、右側プレート34D上には、それぞれ複数個のバッテリ29が搭載される構成となっている。
【0052】
次に、バッテリ搭載台28に搭載された多数のバッテリ29を覆う防水シート35について説明する。
【0053】
35は多数のバッテリ29を覆う防水シートを示し、該防水シート35は、多数のバッテリ29が搭載されたバッテリ搭載台28を覆うことにより、雨水や洗浄水等が各バッテリ29に付着するのを防止するものである。ここで、防水シート35は、図12および図13に示すように、例えばビニールシート等の可撓性を有する樹脂シートを用いて、上面側が閉塞され、下端側が開口した開口部35Aとなった有蓋袋状体として形成されている。
【0054】
即ち、防水シート35は、下段テーブル32、中段テーブル33、上段テーブル34からなるバッテリテーブル31の上側を覆う上シート面36と、前側を覆う前シート面37と、左側を覆う左シート面38と、右側を覆う右シート面39と、後側を覆う後シート面40とにより構成されている。
【0055】
この場合、上シート面36は、前,後方向の前側に位置する前側上シート面36Aと、前,後方向の後側に位置し、前側上シート面36Aよりも上側に配置された後側上シート面36Bとからなっている。そして、前側上シート面36Aは中段テーブル33と対面し、後側上シート面36Bは上段テーブル34と対面するものである。
【0056】
前シート面37は、左,右方向の左側に位置し前側上シート面36Aの前端側から下方へと延びる左下側前シート面37Aと、左,右方向の左側に位置し後側上シート面36Bの前端側から前側上シート面36Aへと延びる左上側前シート面37Bと、左,右方向の右側に位置し後側上シート面36Bの前端側から下方へと延びる右側前シート面37Cとからなっている。そして、左下側前シート面37Aは、下段テーブル32および中段テーブル33の左側部位と対面し、左上側前シート面37Bは、上段テーブル34の左側部位と対面し、右側前シート面37Cは、各段のテーブル32,33,34の右側部位と対面するものである。
【0057】
左シート面38は、その全域に亘って同一平面を形成し、各段のテーブル32,33,34の左端部と対面するものである。一方、右シート面39は、前,後方向の前側に位置し、後端部が右側前シート面37Cの左端部と交わる前側右シート面39Aと、前,後方向の後側に位置し、前端部が右側前シート面37Cの右端部と交わる後側右シート面39Bとからなっている。そして、前側右シート面39Aは、下段テーブル32および中段テーブル33の右端部と対面し、後側右シート面39Bは、各段のテーブル32,33,34の右端部と対面するものである。また、前側右シート面39Aと右側前シート面37Cとが交わる角隅部39Cには、後述のホース包囲材45が固着される構成となっている。
【0058】
次に、後シート面40は、左シート面38の後端部と右シート面39の後端部との間を連結し、左,右方向の中間部に開口部(図示せず)が形成された固定後シート面40Aと、前記開口部を開,閉するように固定後シート面40Aに対して移動可能に設けられた可動後シート面40Bとにより構成されている。そして、後シート面40は、各段のテーブル32,33,34の後端部と対面するものである。
【0059】
このように、防水シート35は、バッテリ搭載台28の外形形状に対応する凹凸形状をもって形成され、防水シート35をバッテリ搭載台28に被せたときに、防水シート35とバッテリ搭載台28の外側面との間、防水シート35と各バッテリ29との間に形成される隙間を小さく抑えることができる構成となっている。
【0060】
ここで、防水シート35は、バッテリ搭載台28に搭載された各バッテリ29を、雨水や洗浄水から遮蔽するものであるため、例えば油圧ショベル1が火災を発生したときに、火災を消火するために油圧ショベルに水をかけたとしても、防水シート35によって覆われた各バッテリ29には水が届かない。
【0061】
従って、防水シート35によって覆われたバッテリ29が火災を発生した場合には、粉末状の薬品からなる消火剤をバッテリ29に噴射して消火する必要がある。このため、油圧ショベル1には、後述の消火器41、噴射ノズル42、消火用ホース43等が設けられており、以下、これらについて説明する。
【0062】
41は防水シート35の外側に設けられた消火器を示している。この消火器41は、図4ないし図6に示すように、粉末状の薬品からなる消火剤が充填されたタンク部41Aと、該タンク部41Aの上端部に設けられ把持されることにより消火剤を噴射させる操作部41Bと、該操作部41Bに設けられ消火剤を噴射する噴射ホース部41Cとからなり、噴射ホース部41Cには、後述する消火用ホース43の一端部43Aが接続される構成となっている。ここで、消火器41は、前部フレーム13に搭載されたキャノピ6Aの各支柱6A1のうち、運転席6の右後方に位置する支柱6A1に取付けられ、防水シート35の前方に配置されている。これにより、バッテリ29が火災を発生したときには、運転席6に着席したオペレータが、迅速に消火器41の操作部41Bを把持することができるようになっている。
【0063】
次に、42は防水シート35の内側に設けられた噴射ノズルを示している。この噴射ノズル42は、後述の消火用ホース43を介して消火器41に接続され、該消火器41に充填された消火剤を、防水シート35によって覆われた各バッテリ29に向けて噴射するものである。ここで、噴射ノズル42は、図4ないし図6に示すように、上,下方向に延びる1本の中空なパイプ体からなり、後部フレーム20を構成する左支柱23と右支柱24との間に配置され、連結梁25と外周フレーム部22とに固定された状態で上,下方向に延びている。
【0064】
この場合、噴射ノズル42の上端側は閉塞され、噴射ノズル42の下端側にはホース接続口42Aが設けられ、このホース接続口42Aには、後述する消火用ホース43の他端部43Bが接続される構成となっている。また、噴射ノズル42には、複数個の噴射口42Bが長さ方向に間隔をもって穿設され、これら各噴射口42Bは、噴射ノズル42内に導入された消火剤をバッテリ29に向けて噴射するものである。
【0065】
次に、43は消火器41と噴射ノズル42との間を接続する消火用ホースを示し、この消火用ホース43は、可撓性を有するゴムホース等によって構成されている。ここで、消火用ホース43の一端部43Aは、防水シート35の外側で消火器41の噴射ホース部41Cに接続されている。
【0066】
また、消火用ホース43は、後述のホース包囲材45に固定された状態で、防水シート35の前側右シート面39Aと右側前シート面37Cとが交わる角隅部39Cに沿って、防水シート35の上端側から下端側へと延びた後、防水シート35の開口部35Aを通って防水シート35内に導入され、噴射ノズル42に向けて後方へと延びている。そして、消火用ホース43の他端部43Bは、防水シート35内で噴射ノズル42のホース接続口42Aに接続されている。
【0067】
即ち、消火用ホース43は、その一端部43Aから長さ方向の途中部位までが防水シート35の外側を通り、長さ方向の途中部位から他端部43Bまでが防水シート35内を通っている。これにより、防水シート35に消火用ホース43を挿通するための孔を形成する必要がなく、防水シート35の防水性を保ちつつ、消火器41と噴射ノズル42との間を消火用ホース43を用いて接続することができる構成となっている。
【0068】
従って、運転席6に着席したオペレータが、消火器41の操作部41Bを把持することにより、消火器41に充填された消火剤は、消火用ホース43を通じて噴射ノズル42内に導入され、この噴射ノズル42に設けられた各噴射口42Bを通じてバッテリ29に噴射される構成となっている。
【0069】
次に、44は防水シート35の外側面に設けられたホース支持部材を示している。このホース支持部材44は、消火用ホース43の途中部位を防水シート35の外側面に沿って固定し、当該消火用ホース43を防水シート35の上端側から下端側へと案内するものである。ここで、ホース支持部材44は、図14および図15に示すように、後述のホース包囲材45と、結束バンド47とにより構成されている。
【0070】
45はホース包囲材を示し、該ホース包囲材45は、防水シート35の前側右シート面39Aと右側前シート面37Cとが交わる角隅部39Cの位置で、防水シート35の外側面に取付けられている。ここで、ホース包囲材45は、例えば防水シート35の素材と同様な可撓性を有する樹脂シートを用いて断面L字型に形成され、防水シート35の右側前シート面37Cと対面しつつ上,下方向に延びる長尺な前包囲面45Aと、防水シート35の前側右シート面39Aと対面しつつ上,下方向に延び、前包囲面45Aと直交する長尺な横包囲面45Bとを有している。
【0071】
そして、前包囲面45Aの左端側に設けられた接着面45A1を、防水シート35の前側右シート面39Aに接着等の手段を用いて固着すると共に、横包囲面45Bの後端側に設けられた接着面45B1を、防水シート35の右側前シート面37Cに接着等の手段を用いて固着することにより、ホース包囲材45は防水シート35の外側面に固着されている。これにより、防水シート35の角隅部39Cとホース包囲材45との間には、防水シート35の外側面に沿って上,下方向に延びるホース支持空間46が形成されている。従って、ホース支持空間46内に消火用ホース43の途中部位を収容することにより、消火用ホース43を防水シート35の上端側から下端側へと案内することができる。
【0072】
ここで、ホース包囲材45の前包囲面45Aには、ホース支持空間46に開口する複数のバンド挿通孔45Cが上,下方向に間隔をもって形成され、ホース包囲材45の横包囲面45Bにも、ホース支持空間46に開口する複数のバンド挿通孔45Dが上,下方向に間隔をもって形成され、各バンド挿通孔45Cの高さ位置と各バンド挿通孔45Dの高さ位置とは互いに一致している。なお、各バンド挿通孔45Cの内周側は環状のはとめ45Eによって補強され、各バンド挿通孔45Dの内周側は環状のはとめ45Fによって補強されている。
【0073】
47はホース包囲材45と共にホース支持部材44を構成する結束具としての結束バンドを示している。この結束バンド47は、ホース支持空間46内に収容された消火用ホース43を、ホース包囲材45に結束するものである。ここで、図14および図15に示すように、結束バンド47は、直方体のブロック状をなすクランプ部47Aと、該クランプ部47Aに一体形成された細長いバンド部47Bとからなり、クランプ部47Aには、バンド部47Bが抜止め状態に差込まれる差込口47Cが設けられている。
【0074】
そして、図15に示すように、ホース包囲材45の前包囲面45Aに設けたバンド挿通孔45Cと、横包囲面45Bに設けたバンド挿通孔45Dとに対し、結束バンド47のバンド部47Bを挿通し、このバンド部47Bとホース包囲材45との間で消火用ホース43を挟込む。この状態で、結束バンド47のバンド部47Bを、ホース支持空間46の外部でクランプ部47Aの差込口47Cに差込むことにより、消火用ホース43を結束バンド47を用いてホース包囲材45に結束することができる構成となっている。
【0075】
なお、48は運転席6を取囲んで前部フレーム13上に配設された外装カバーを示し、該外装カバー48は、前部フレーム13上に搭載された電動モータ7、油圧ポンプ8、作動油タンク9等の搭載機器を収容するものである。49は後部フレーム20上に配設された後部カバーを示し、該後部カバー49は、後部フレーム20上に取付けられたバッテリ搭載台28と、該バッテリ搭載台28に搭載された多数のバッテリ29と、これらを覆う防水シート35等を収容するものである(図12参照)。
【0076】
本実施の形態による電動式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、バッテリ搭載台28を介して後部フレーム20に搭載された多数のバッテリ29からの電力によって電動モータ7を回転させ、油圧ポンプ8を駆動する。そして、運転席6に着席したオペレータが操作レバーを操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0077】
ここで、本実施の形態による油圧ショベル1は、バッテリ搭載台28に搭載された複数のバッテリ29を防水シート35で覆うことにより、この防水シート35によって雨水、洗浄水等を遮蔽することができる。この結果、防水シート35によってバッテリ29を雨水等から保護し、その寿命を延ばすことができる。
【0078】
一方、本実施の形態による油圧ショベル1において、防水シート35によって覆われたバッテリ29から火災が発生した場合には、例えば運転席6に着席したオペレータが、キャノピ6Aの支柱6A1に取付けられた消火器41の操作部41Bを把持する。
【0079】
これにより、消火器41のタンク部41Aに充填された消火剤は、消火器41の噴射ホース部41Cから消火用ホース43を通じて噴射ノズル42内に導入され、該噴射ノズル42に形成された各噴射口42Bを通じて各バッテリ29に噴射される。この結果、防水シート35によって覆われた各バッテリ29に対し、消火器41から大量の消火剤を供給することができ、バッテリ29の火災を迅速に消火することができる。
【0080】
このように、本実施の形態による油圧ショベル1は、防水シート35の外側に設けられた消火器41と防水シート35の内側に設けられた噴射ノズル42との間を消火用ホース43を用いて接続している。この場合、本実施の形態においては、消火用ホース43の一端部43Aから途中部位までが防水シート35の外側を通り、消火用ホース43の途中部位から他端部43Bまでが防水シート35の内側を通る構成としている。
【0081】
このため、本実施の形態による油圧ショベル1は、防水シート35に消火用ホース43を挿通するための孔を設けることなく、消火器41と噴射ノズル42との間を消火用ホース43を用いて接続することができる。この結果、防水シート35の防水性を保つことができ、防水シート35によって覆われたバッテリ29の寿命を延ばすことができる。
【0082】
しかも、防水シート35の外側面にホース支持部材44を設けることにより、このホース支持部材44によって、消火用ホース43の途中部位を防水シート35の外側面に沿って支持すると共に、防水シート35の上端側から下端側へと案内することができる。これにより、油圧ショベル1の作動時に消火用ホース43がばたつくのを抑え、当該消火用ホース43の損傷を防止することができる。この結果、消火器41に充填された消火剤を、消火用ホース43を通じて円滑に噴射ノズル42に導くことにより、噴射ノズル42からバッテリ29に向けて大量の消火剤を噴射することができるので、バッテリ29の火災を迅速に消火することができる。
【0083】
次に、図16および図17は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ホース支持部材を、防水シートの外側面に取付けられた複数個の支持片と、該各支持片に消火用ホースを結束する結束具とにより構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0084】
図中、51は防水シート35の外側面に設けられたホース支持部材を示し、該ホース支持部材51は、第1の実施の形態によるホース支持部材44に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、ホース支持部材51は、後述する複数の支持片52と、複数の結束バンド47とにより構成されている。
【0085】
52は防水シート35の外側面に取付けられた複数の支持片を示している。この支持片52は、防水シート35を構成する右側前シート面37Cに、上,下方向に間隔をもって取付けられた複数(例えば4個)の前シート面側支持片52Aと、防水シート35を構成する前側右シート面39Aに、上,下方向に間隔をもって取付けられた複数(例えば4個)の右シート面側支持片52Bとにより構成されている。ここで、各前シート面側支持片52Aの高さ位置と、各右シート面側支持片52Bの高さ位置とは互いに一致している。また、各前シート面側支持片52Aにはバンド挿通孔52A1が形成され、各右シート面側支持片52Bにはバンド挿通孔52B1が形成されている。
【0086】
そして、図17に示すように、前シート面側支持片52Aのバンド挿通孔52A1と、右シート面側支持片52Bのバンド挿通孔52B1とに結束バンド47のバンド部47Bを挿通し、このバンド部47Bをクランプ部47Aの差込口47Cに差込む。これにより、前シート面側支持片52Aと右シート面側支持片52Bとに対し、結束バンド47を用いて消火用ホース43を結束することができる構成となっている。
【0087】
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如きホース支持部材51を有するもので、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、防水シート35の外側に配置された消火器41と、防水シート35の内側に配置された噴射ノズル42との間を接続する消火用ホース43の途中部位を、ホース支持部材51を用いて、防水シート35の外側面に沿って支持することができる。
【0088】
なお、上述した第1の実施の形態では、ホース支持部材44を構成する長尺なホース包囲材45と防水シート35との間にホース支持空間46を形成し、このホース支持空間46内に消火用ホース43のみを収容した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば電気機器を接続するハーネスを、消火用ホース43と一緒にホース支持空間46内に収容し、結束バンド47を用いてホース包囲材45に結束する構成としてもよい。
【0089】
また、上述した各実施の形態では、消火器41を、キャノピ6Aの支柱6A1に取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席6の背面等の他の場所に消火器41を取付ける構成としてもよい。
【0090】
さらに、上述した実施の形態では、電動式建設機械として油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
7 電動モータ
28 バッテリ搭載台
29 バッテリ
30 基台
35 防水シート
35A 開口部
41 消火器
42 噴射ノズル
43 消火用ホース
43A 一端部
43B 他端部
44,51 ホース支持部材
45 ホース包囲材
47 結束バンド(結束具)
52 支持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に搭載された電動モータと、該電動モータに電力を供給するバッテリと、前記車体の後部側に設けられ該バッテリを搭載するバッテリ搭載台とを備えてなる電動式建設機械において、
前記バッテリを搭載した前記バッテリ搭載台を覆う防水シートを設け、
前記車体には前記防水シートの外側に位置して消火剤が充填された消火器を設け、
前記車体には前記防水シートの内側に位置して前記消火器からの消火剤を前記バッテリに向けて噴射する噴射ノズルを設け、
前記消火器と噴射ノズルとの間には、一端側が前記防水シートの外側で前記消火器に接続され、他端側が前記噴射ノズルへと延び前記防水シートの内側で前記噴射ノズルに接続される消火用ホースを設け、
前記防水シートの外側面には、前記消火用ホースの途中部位を前記防水シートの外側面に沿って支持するホース支持部材を設ける構成としたことを特徴とする電動式建設機械。
【請求項2】
前記防水シートは、上面側が閉塞され下端側が開口した開口部となった有蓋袋状体として形成し、前記消火用ホースは、前記消火器から前記開口部までは前記防水シートの外側を通り、前記開口部から前記噴射ノズルまでは前記防水シートの内側を通る構成としてなる請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項3】
前記ホース支持部材は、前記防水シートに取付けられ前記消火用ホースを取囲むことにより前記防水シートの外側面との間にホース支持空間を形成する長尺なホース包囲材と、前記ホース支持空間内に前記消火用ホースを収容した状態で該消火用ホースを前記ホース包囲材に結束する結束具とにより構成してなる請求項1または2に記載の電動式建設機械。
【請求項4】
前記ホース支持部材は、前記防水シートの外側面に間隔をもって取付けられた複数個の支持片と、該各支持片に前記消火用ホースを結束する結束具とにより構成してなる請求項1または2に記載の電動式建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−34698(P2013−34698A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173871(P2011−173871)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)