説明

電動歯ブラシ用の機械的に駆動される共振駆動系

電動歯ブラシは、DCモータ14及びバッテリを含む駆動アセンブリを含む。DCモータは、自由端で支持される、回転駆動シャフト16をもつ。駆動シャフトは、偏心部分18をもつ。スプリング部材38の一端部に係合する延在部分をもつプラスチックスリーブ20が偏心部分上に取り付けられる。スプリング部材の他端部は、ブラシヘッドシャフト32に固定されたヨーク36に固定される。駆動シャフトの回転は、圧縮状態と伸長状態との間でスプリングを移動させる、プラスチックスリーブの延在部分をもたらす。DCモータの動作は、ブラシヘッドシャフトの振動動作及びここに取り付けられたブラシヘッドアセンブリ40を生成するためにスプリングを励起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、概して、電動歯ブラシに関し、より詳細には、電動歯ブラシ用の駆動系に関する。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシ用の駆動系の一の形式において、所望の振動動作において歯ブラシの部分を駆動させるスプリングアセンブリを駆動させるために正弦波信号が用いられる。しかしながら、スプリングシステムを駆動させるための磁界を生成するために必要とされる正弦波信号を生成するのに必要な固定子は、オーダーメイドであり、斯様な駆動システムのために必要とされる電子装置と組み合わせられ、斯様な歯ブラシの全体費用を大幅に増大させる。
【0003】
代わりに、簡素で全体費用を低減する電動歯ブラシ駆動系においてDCモータが用いられている。歯のクリーニングに対して一般的に最も効果的である振動ブラシヘッド動作を生成するために、必要とされる振動ブラシヘッド動作及び振幅を生成するためにクランクアーム及びリンケージがDCモータで用いられている。ブラシヘッド動作の周波数が効果的な値まで増大するが、クランク及びリンケージメカニズムで動作するモータのトルク要件が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、簡素で経済的なDCモータを用いるが、所望のブラシヘッド動作を生成するための直接的なクランク及びリンケージアセンブリの欠点をもたない、駆動系システムを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、電動歯ブラシは、バッテリ及びDCモータを含む駆動アセンブリを有し、前記DCモータは、ここから延在する回転駆動シャフトをもち、前記駆動シャフトは、支持部材において回転可能に取り付けられた自由端をもち、前記駆動シャフトは、前記自由端から近くに配置された偏心部分をもち、電動歯ブラシは、前記偏心部分から延在するスプリングアセンブリを有し、前記スプリングアセンブリは、前記偏心部分が回転するように2つの状態を交互にもたらすスプリング部材を含み、電動歯ブラシは、ブラシヘッドシャフト部材を有し、前記ブラシヘッドシャフト部材は、これに固定され、ここから離れるように延在するヨーク部材をもち、前記ヨーク部材は、前記スプリング部材に固定され、動作において、前記ブラシヘッドの振動動作は、2つの状態を交互にもたらす前記スプリング部材により、前記駆動シャフトの前記偏心部分が回転するように生成され、電動歯ブラシは、ユーザの歯をクリーニングするために前記ブラシヘッドシャフト上に取り付けられた毛をもつブラシヘッドアセンブリを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ここに開示された駆動系を備えた歯ブラシの分解図である。
【図2】歯ブラシの他の分解図である。
【図3】圧縮状態にある駆動系のスプリングアセンブリ部分を示す断面図である。
【図4】伸張状態にあるスプリングアセンブリ部分を示す断面図である。
【図5】図1〜4の歯ブラシの一部を示す側面図である。
【図6】図1〜5の実施形態の代替実施形態を示す側面図である。
【図7】図1〜6のスプリング装置に対する代替実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1及び図2によれば、電動歯ブラシは10で示されている。歯ブラシ10は、DCモータ14が配置された一般的なハンドル12を含む。示された実施形態において、DCモータは、高速(5K〜20Krpm又は約80〜320の秒当たりの回転数)で低トルク(0.2〜1.5miliNewton-meters)であるが、これらの値は変更可能である。偏心部分18を含むモータ(駆動)シャフト16がDCモータ14から延在している。示された実施形態における偏心部分は、シャフト16に沿って約8mm配置され、約18mmの長さであり、0.5mmの偏心度をもつ。プラスチックスリーブ20は偏心部分18に取り付けられる。
【0008】
モータシャフト16は、支持プレート22内の開口を介して延在し、支持プレート22により支持され、支持プレート22は、DCモータ14に隣接し、動かないように歯ブラシのハンドル12に固定されている。第2の支持プレート24において、駆動シャフト16の先端部がモータ14から離れる方向において支持プレート22から離れるように取り付けられる。スタンドオフ(standoff)部材26,28が2つの支持プレート22,24間に配置される。支持プレート22,24及びスタンドオフ部材26,28は、各スタンドオフ部材のための2つの間隔が空けられたネジを伴って、ネジ30−30により一緒に接続される。スタンドオフ部材26,28は、これら支持プレートの対向面に隣接して配置される。図3及び図4において最も明確に示されるように、一方のスタンドオフ部材は、隣接する一方の直交面に向かって配置され、他方のスタンドオフ部材は、隣接する他方の直交面に向かって配置される。しかしながら、この特定の構成は変えられてもよい。示された実施形態において、支持プレート22,24及びスタンドオフ部材26,28は、硬質プラスチックから作られる。
【0009】
プラスチックスリーブ20は、スリーブ20がモータシャフトの動作により回転するように、モータシャフトの偏心部分18に結合される。ブラシヘッドシャフト32は、支持プレート22,24間にも延在し、この中で回転可能である。ヨーク部材36は、支持プレート22,24間のブラシヘッドシャフト32に固定して取り付けられ、ブラシヘッドシャフト32に沿ったスリーブ20と一致して長手方向に配置される。スプリング部材38は、スリーブ20の自由端35とヨーク部材36の自由端37との間に固定される。スプリング部材38は、示された実施形態においては圧縮スプリングであり、これは、図3
に示された一方の位置において圧縮され、図4に示された他方の位置において解放(伸張)され、これは、モータシャフト16が回転した場合に交互に発生する。スリーブ20は、モータシャフトが回転した場合に、スプリング38の圧縮及び解放を交互に行う。スプリング38は、10〜30Newton/mm、好ましくは約18.8Newton/mmのばね定数をもつ。図1及び図2に示された実施形態において、ブラシヘッドシャフト32は、2つの部分において示され、近接部分は、2つの支持プレート22,24間に延在しこれらにより支持される一方で、ブラシヘッド38が取り外し可能に接続される遠位部分は、支持プレート24から離れるように延在する。毛42のセットは、ブラシヘッドアセンブリ40の遠位端にある。
【0010】
動作において、スプリング38は、モータシャフト16の偏心部分18とブラシヘッドシャフト32との間のリンクとして機能する。正しい周波数で動作したときには、励起されたスプリングは、ブラシヘッドシャフト32のスウィープ交互動作をもたらすように動作する。示された実施形態において、動作角度は6〜18°である一方で、周波数は150〜300Hzである。スウィープ動作は、ヨーク36上のスプリング38の動作により生成される。スプリング/ヨーク接続とブラシヘッドシャフトの軸との間の距離は、モーメントアームと呼ばれる。示された実施形態におけるモーメントアームは、好ましくは7.5mmの長さであるが、2〜15mmの間で変えることが可能である。
【0011】
示された駆動系は、動的システムの共振周波数の付近又はこの共振周波数でのスプリング部材及びブラシヘッドの共振応答を生成するために、スプリング部材38の機械的励起を用いる。回転している偏心シャフトによるプラスチックスリーブ20により生成された力がスプリング38を励起する。スプリング38の先端部では、モーメントアームに付与された力が、ブラシヘッドアセンブリ40及び毛42のスウィープ動作を生成するために、必要とされたトルクをブラシヘッドシャフトに与える。
【0012】
DCモータ14に供給された電圧、スプリング部材38の剛性及びシステム全体の慣性に依存して、スプリングの所望の共振モードが制御され得る。毛動作の振幅は、駆動シャフトの偏心部分18の偏心度、動作周波数及びモーメントアームの長さを変えることにより制御され得る。また、振幅は、ブラシヘッドシャフト及びブラシヘッドアセンブリを含む振動部品の慣性モーメントの影響を受ける。
【0013】
図1〜5の構成において、スプリング部材38は、2つの目的を果たす。即ち、(1)これは、歯垢取りに対して効果的である、(回転動作の代わりの)スウィープ交互動作に対するプラスチックスリーブ20の動作を含み、(2)これは、動的システムの全体的な共振周波数を促進する。圧縮スプリングの剛性及びシステム慣性に依存して、スウィープ動作のための振動システムの共振周波数が調節され得る。
【0014】
図6は、代替実施形態を示しており、歯ブラシモータ50が第1のギア52を駆動させ、この第1のギア52が、嵌合ギア54を駆動させ、この嵌合ギア54に偏心シャフト56が取り付けられ、この偏心シャフト56上にプラスチックスリーブ58が配置される。この駆動系装置によれば、第一に、ギア構成の速度乗算効果が低速及びそれ故に低コストのモータの使用を可能にするので、より低いコストの歯ブラシを提供することが可能となる。これは、ブラシヘッド動作の周波数を変えるために用いられてもよい。図6の実施形態は、前述された他の実施形態によれば、異なる動作周波数を必要とし得る、例えば電気シェーバのような他のパーソナルケア器具での使用に適している。
【0015】
図7は、他の同様の駆動系装置において2つのスプリング60,62を含む、図1〜6の実施形態に対する代替のスプリングの実施形態を示している。スプリングは、圧縮及び伸長を交互に行う代わりに、2つのスプリングが常に圧縮の一部の状態を保つような、前負荷を有する。この装置は、器具の削減された疲労及び削減されたノイズをもたらす。
【0016】
それ故、電動歯ブラシのための駆動系が開示され、これは、スプリングアセンブリを動作させる機械的駆動系を用い、スプリングアセンブリにおいて、駆動シャフトの偏心部分がスプリング部材を励起させるために用いられ、ブラシヘッドの所望の共振スウィープ動作をもたらす。
【0017】
本発明の好ましい実施形態は例示の目的で開示されたが、種々の変更、修正及び置換は、特許請求の範囲により規定された本発明の精神から逸脱することなく、本実施形態に組み込まれ得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歯ブラシであって、
電動歯ブラシは、バッテリ及びDCモータを含む駆動アセンブリを有し、前記DCモータは、前記DCモータから延在する回転駆動シャフトをもち、前記駆動シャフトは、支持部材において回転可能に取り付けられた自由端をもち、前記駆動シャフトは、前記自由端から近くに配置された偏心部分をもち、
電動歯ブラシは、前記偏心部分から延在するスプリングアセンブリを有し、前記スプリングアセンブリは、前記偏心部分が回転するように2つの状態を交互にもたらすスプリング部材を含み、
電動歯ブラシは、ブラシヘッドシャフト部材を有し、前記ブラシヘッドシャフト部材は、前記ブラシヘッドシャフト部材に固定され、前記ブラシヘッドシャフト部材から離れるように延在するヨーク部材をもち、前記ヨーク部材は、前記スプリング部材に固定され、動作において、前記ブラシヘッドの振動動作は、2つの状態を交互にもたらす前記スプリング部材により、前記駆動シャフトの前記偏心部分が回転するように生成され、
電動歯ブラシは、ユーザの歯をクリーニングするために前記ブラシヘッドシャフト上に取り付けられた毛をもつブラシヘッドアセンブリを有する、電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記スプリング部材は、動作において圧縮と伸長との間を交互に移動する単一のスプリングを含む、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記スプリングアセンブリは、前記偏心部分上に配置されたプラスチックスリーブ部材を含み、前記プラスチックスリーブ部材は、前記モータの前記駆動シャフトが回転したときに前記スプリング部材が前記2つの状態の間を移動するような構成をもつ、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記DCモータは、5,000〜20,000rpmの範囲内の速度及び0.2〜1.5mNmの範囲内のトルクをもつ、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記スプリングは、10〜30Newton/mmの範囲内にあるばね定数をもつ、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
2〜15mmの範囲の長さをもつ、前記ヨーク部材に接触する前記スプリングと前記ブラシヘッドシャフト軸との間のモーメントアームが存在する、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
前記スプリング部材は、2つのスプリング部材部分が常に圧縮状態にあるように接続された2つのスプリング部材部分を含む、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
前記駆動シャフトは、前記偏心部分の前にギアアセンブリを含み、前記ギアアセンブリの変化は、歯ブラシの動作周波数の変化及び/又は前記駆動シャフトの速度の変化をもたらす、請求項1に記載の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−515540(P2013−515540A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545483(P2012−545483)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055340
【国際公開番号】WO2011/077285
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】