電動歯ブラシ
【課題】偏心軸の共振周波数や振動振幅を変更できることを可能とする電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】本発明の電動歯ブラシ1は、モータ23と、一端側がモータ23の回転軸23aに固定された偏心軸100と、偏心軸100の他端側を支える軸受31を有し、かつ偏心軸100の回転に伴って発生する振動をブラシ部41に伝える振動伝達部品であるステム3と、を備えた電動歯ブラシ1において、偏心軸100は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【解決手段】本発明の電動歯ブラシ1は、モータ23と、一端側がモータ23の回転軸23aに固定された偏心軸100と、偏心軸100の他端側を支える軸受31を有し、かつ偏心軸100の回転に伴って発生する振動をブラシ部41に伝える振動伝達部品であるステム3と、を備えた電動歯ブラシ1において、偏心軸100は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータによって偏心軸を回転させることにより振動を発生させる電動歯ブラシが知られている(特許文献1参照)。かかる電動歯ブラシにおいては、偏心軸の重心の位置(重心から軸心までの距離及び偏心軸の軸方向に対する位置)は変化しないように構成されている。そのため、偏心軸の共振周波数及び振動振幅はいずれも変化しない。
【0003】
しかしながら、歯磨き時の歯磨き感や歯を磨く部位に応じた歯磨き効果などの各種理由から、偏心軸の共振周波数や振動振幅が適宜変更できることが望まれる場合がある。
【特許文献1】特開平10−192054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、偏心軸の共振周波数や振動振幅を変更できることを可能とする電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明の電動歯ブラシは、
モータと、
一端側が前記モータの回転軸に固定された偏心軸と、
該偏心軸の回転に伴って発生する振動をブラシ部に伝える振動伝達部品と、
を備えた電動歯ブラシにおいて、
前記偏心軸は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、偏心軸の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させることで、偏心軸の振動振幅を変えることができる。また、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることで、偏心軸の共振周波数を変えることができる。
【0008】
前記偏心軸は、いずれも重心が軸心からずれた位置に設けられた複数の錘を備え、これら複数の錘のうちの少なくとも一つが偏心軸本体に対して回転可能に設けられているとよい。
【0009】
これにより、回転可能な錘が回転すると、軸心に対する回転方向における各錘の重心の位置関係が変化する。従って、偏心軸全体における重心位置と軸心との間の距離を変化させることができる。
【0010】
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して一定の範囲内でのみ回転が許容されるように回転範囲が規制されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
前記偏心軸の回転方向によって、第2錘の規制される回転方向の位置が異なるとよい。
【0011】
これにより、偏心軸の回転方向によって、偏心軸の重心位置と軸心との間の距離を変化
させることができる。
【0012】
前記偏心軸は、重心が軸心からずれた位置に設けられた錘を備え、該錘は偏心軸本体に対して軸方向に移動可能に設けられているとよい。
【0013】
これにより、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。
【0014】
前記偏心軸本体にはオネジが形成されており、
前記錘には該オネジに螺合するメネジが形成されているとよい。
【0015】
これにより、偏心軸本体の回転によって錘を軸方向に移動させることができる。また、偏心軸本体の回転方向によって、錘の移動方向を変えることができる。
【0016】
前記錘は前記偏心軸本体に対して軸方向にスライド自在な状態で嵌合されているとよい。
【0017】
これにより、電動歯ブラシの姿勢に応じて、錘が重力によって移動するため、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。
【0018】
前記偏心軸は、
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して回転可能に構成されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
第1錘の端面に設けられた複数の歯と第2錘の端面に設けられた複数の歯が互いに噛み合うように、これら第1錘と第2錘が軸方向に並べて配置されて、ラチェット機構を構成するとよい。
【0019】
これにより、偏心軸本体がある方向に回転する場合には、第1錘と第2錘との相対的な位置関係は変化しない。そして、偏心軸本体が反対方向に回転すると、第2錘は第1錘に対して回転する。従って、この場合には、偏心軸の重心位置と軸心との間の距離を変化させることができる。また、第2錘が第1錘に対して回転する場合には、それぞれに設けられた歯を乗り越える分だけ第2錘の軸方向への移動も伴うので、偏心軸の重心位置を軸方向に周期的に移動させることができる。
【0020】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、
一端が前記偏心軸本体に固定され、他端が前記錘に固定されたコイルばねと、を備えるとよい。
【0021】
これにより、電動歯ブラシの姿勢に応じて、錘が重力及びコイルばねの伸び縮みによって移動するため、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。また、偏心軸本体と錘がコイルばねを介して接続されているので、立ち上がり時においては、錘は偏心軸本体の回転に遅れて回転する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅を徐々に大きくすることができる。
【0022】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、を備え、
これら偏心軸本体と錘は、これらの間に流体(回転動力を伝える流体(油やグリスなど
))を介在させた状態で軸方向に並べて配置されているとよい。
【0023】
これにより、いわゆる流体クラッチの原理によって、錘は最初のうちはゆっくりと回転し、徐々に回転速度が速くなり、最終的に偏心軸本体の回転と同じ回転速度となる。これに伴って、偏心軸の重心は、軸心の位置から徐々に軸心から離れた位置に移動する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅は徐々に大きくなる。
【0024】
また、前記振動伝達部品には、前記偏心軸の他端側を支える軸受が設けられているとよい。
【0025】
このような構成を採用することで、振動伝達部品に設けられた軸受の付近で発生する振動をブラシ部に伝えることができる。また、軸受は、偏心軸の他端側、つまりモータの回転軸から離れたブラシ部の付近に設けられるので、ブラシ部に効率良く振動を伝達させることができる。
【0026】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、偏心軸の共振周波数や振動振幅を変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施形態および実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
(実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る電動歯ブラシについて説明する。図1は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの部品展開斜視図である。図2は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの模式的断面図である。図3は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置と軸心との距離を変化させる場合のメカニズム説明図である。図4は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させる場合のメカニズム説明図である。
【0030】
<電動歯ブラシ>
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る電動歯ブラシ全体の構成等について説明する。電動歯ブラシ1は、電動歯ブラシ本体2と、偏心軸100と、振動伝達部品としてのステム3と、ブラシ部41を備えたブラシ部品4とを備えている。
【0031】
電動歯ブラシ本体2は、ケース21と、ケース21の内部に収納される電池22及びモータ23と、電源のオンオフを行うスイッチ24と、各種モードを変更するボタン群からなる操作部25とを備えている。そして、モータ23の回転軸23aに、偏心軸100の一端側が固定されている。この偏心軸100は、ケース21の先端の開口部からケース21の外部に突出するように構成されている。そして、偏心軸100には、重心が軸心からずれた位置に設けられた錘120が設けられている。また、この偏心軸100の他端側は、ステム3に設けられた軸受31によって支えられている。
【0032】
そして、ブラシ部品4が、このステム3を覆うように装着される。このブラシ部品4の本体部分はステム3に装着できるように筒状の部材によって構成されており、その先端に
ブラシ部41が設けられている。なお、このブラシ部品4は消耗部品であり、適時、新品のものに交換することができるように、ステム3に対して着脱自在に構成されている。
【0033】
<電動歯ブラシの動作説明>
以上のように構成された電動歯ブラシ1の動作について説明する。スイッチ24により電源をオンにすると、モータ23の回転軸23aが回転し、この回転軸23aに固定された偏心軸100が回転する。上記の通り、偏心軸100には、その重心が軸心からずれた位置に設けられた錘120が設けられている。そのため、仮に、偏心軸100の先端を軸受31によって支持させていない状態で偏心軸100を回転させると、偏心軸100は、偏心軸100自体が回転しながら、軸心の回りを旋回するように運動する。これにより、軸受31によって偏心軸100を支持させた状態で偏心軸100を回転させると、偏心軸100の先端付近の外壁面が軸受31の内壁面に対して短時間に多数回の衝突を繰り返すような動作を行わせることができる。
【0034】
このような動作を行わせることで、軸受31を介して、軸受31が設けられたステム3を振動させることができる。そして、このステム3を振動させることにより、その振動をステム3に固定されたブラシ部品4に伝えることができる。従って、ブラシ部品4の振動により、ブラシ部41が振動するため、ブラシ部41を歯に当てることで歯を磨くことができる。
【0035】
<偏心軸>
特に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおける偏心軸について詳細に説明する。本実施形態における偏心軸100は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されている。
【0036】
まず、図3を参照して、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させる場合について、基本的な構成及びメカニズムを説明する。この場合、偏心軸本体110に2つの錘(以下、第1錘121,第2錘122と称する)が設けられている。これら第1錘121及び第2錘122は、いずれも重心が軸心からずれた位置に設けられている(図中、G1は第1錘121の重心位置を示し、G2は第2錘122の重心位置を示している)。また、第1錘121と第2錘122は、形状が同一かつ重量が同一である。
【0037】
そして、第2錘122は、偏心軸本体110に対して回転可能に構成されている。図3(a)においては、第1錘121の重心位置G1と第2錘122の重心位置G2が、軸方向に見て一致している場合を示している。この場合、偏心軸本体110の重量を無視して考えると、偏心軸100における軸方向に見た重心位置G3は、G1とG2に一致する。このときの、偏心軸100の重心位置G3と軸心との距離をR1とする。
【0038】
図3(b)は、図3(a)に示した状態から、第2錘122を90°回転させた場合を示している。この場合、第1錘121の重心位置G1と第2錘122の重心位置G2は、軸方向に見て、軸心を中心として90°ずれた位置関係にある。そして、偏心軸本体110の重量を無視して考えると、偏心軸100における軸方向に見た重心位置G3は、G1とG2の中点の位置となる。このときの、偏心軸100の重心位置G3と軸心との距離をR2とすると、R2<R1となる。
【0039】
以上のように、第2錘122を回転させることによって、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させることができる。
【0040】
なお、上記の説明においては、便宜上、偏心軸本体110の重量を無視して考えたが、勿論、実際の偏心軸100の重心には、偏心軸本体110の重量も影響する。しかし、第2錘122を回転させることで、偏心軸100の重心と軸心との距離が変化することに変わりはないことは言うまでもない。また、説明の便宜上、モデルを簡単にするために、第1錘121と第2錘122の形状及び重量が同一の場合を例にして説明したが、これらが異なっていても、偏心軸100の重心と軸心との距離が変化することは言うまでもない。また、錘が3個以上であっても、少なくともその一つが回転すれば、偏心軸100の重心と軸心との距離が変化することは言うまでもない。
【0041】
次に、図4を参照して、偏心軸100の重心位置を、軸方向に移動させる場合について、基本的な構成及びメカニズムを説明する。この場合、偏心軸本体110に対して、錘123が軸方向に移動可能に設けられている。これにより、軸受から錘123の重心位置までの軸方向の距離(図4(a)においてはL11,図4(b)においてはL12)と、モータの回転軸への固定部分から錘123の重心位置までの軸方向の距離(図4(a)においてはL21,図4(b)においてはL22)を変更することができる。図4においては、(a)よりも(b)に示すほうが錘123の位置を軸受側に移動させた例を示している。このとき、L11>L12,L21<L22となる。
【0042】
以上のように、錘123を軸方向に移動させることによって、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることができる。
【0043】
なお、上記の説明では、錘が1個の場合を例にして説明したが、錘が2個以上であっても、少なくともその一つ以上が軸方向に移動すれば、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることができることは言うまでもない。
【0044】
また、図3を用いて示した構成と、図4を用いて示した構成を組み合わせることによって、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させると同時に、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることができることは言うまでもない。
【0045】
<本実施形態の優れた点>
以上説明したように、本実施形態に係る電動歯ブラシ1によれば、ブラシ部41を振動させるための偏心軸100が、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されている。
【0046】
従って、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させることで、偏心軸100の振動振幅を変えることができる。また、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることで、偏心軸100の共振周波数を変えることができる。
【0047】
ここで、偏心軸100の振動振幅や共振周波数を変更できることによって得られる具体的な利点やその利用方法の一例を説明する。
【0048】
電動歯ブラシを用いて歯を磨く場合、ユーザによっては、ブラシ部の振動が少ないと歯を磨いているという実感が得られなかったり、ブラシ部の振動が大きいと刺激が強すぎたりする場合がある。そこで、偏心軸100の振動振幅を変更できるようにすることで、歯磨き感を変えることができる。
【0049】
また、一般的に、偏心軸によってブラシ部を振動させる電動歯ブラシの場合には、ブラシ部を効率良く振動させるために、ブラシ部を含む各種部材に共振が発生するように、モータの回転軸の回転数を設定する。しかしながら、各種誤差により、確実に共振させるのは一般的に困難である。そこで、偏心軸100の共振周波数を変更できるようにすること
で、より確実に共振を発生させることが可能となる。
【0050】
また、共振が発生する際の周波数によって、ブラシの毛先の振動の仕方(横揺れの度合いや縦揺れの度合いなど)が異なることが確認されている。そして、ブラシの毛先の振動の仕方が異なると歯を磨いているときの歯磨き感も異なる。また、歯磨きに適するような、毛先の振動の仕方は、歯を磨く部位によってもそれぞれ異なる。そこで、偏心軸100の共振周波数を変更できるようにすることで、ブラシの毛先の振動の仕方を変えることができる。ただし、この場合には、所望の各共振周波数でそれぞれ共振させるために、モータの回転軸の回転数を複数設定できるように、または、連続的に回転数を変更できるようにする必要がある。例えば、上述した操作部25によってモードを変更して回転数をいくつか変更できるようにすれば良い。
【0051】
次に、偏心軸について、更に具体的な例(実施例)をいくつか説明する。
【0052】
(実施例1)
図5〜図7を参照して、本発明の実施例1に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図3を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図5及び図6は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。図7は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【0053】
本実施例に係る偏心軸は、偏心軸本体111の一端に、上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部111aが設けられている。そして、偏心軸本体111の他端に第1錘124が固定されている。この第1錘124は、錘本体部124aの先端に、切欠部124bを備えた略円板部124cが設けられた構成である。そして、この第1錘124の先端側に、第2錘125が軸方向に並べて設けられている。この第2錘125においては、錘本体部125aの先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部125bが備えられている。また、錘本体部125aの反対側の端部には、係止突起125cを有する円板部125dが備えられている。
【0054】
ここで、第2錘125と偏心軸本体111とは固定されていない。ただし、電動歯ブラシ1の内部においては、第2錘125と偏心軸本体111は、中心軸がずれないように構成されている。これを実現するための具体的な構成としては、第2錘125の端面の軸心上に凸部(又は凹部)を形成し、偏心軸本体111の端面(第1錘124の端面)の軸心上に凹部(又は凸部)を設けて、これらが嵌まり合うように、第2錘125と偏心軸本体111とを軸方向に並べて配置させれば良い。または、上述したステム3の内壁面を、これら第1錘124の錘本体部124a及び第2錘125の錘本体部125aの軸受として機能させるようにしても良い。
【0055】
以上の構成により、第2錘125は、偏心軸本体111に対して係止突起125cが略円板部124cによって妨げられない範囲内でのみ回転することができる。
【0056】
従って、偏心軸本体111を図5中矢印方向に回転させた場合には、第2錘125は、係止突起125cが略円板部124cにおける切欠部124bの図中左端に当ることで偏心軸本体111に対する回転が規制された状態で、偏心軸本体111と一緒に回転する。このときの第1錘124の重心位置と第2錘125の重心位置の位置関係は、上述した図3(b)に示したモデルに相当する。
【0057】
また、偏心軸本体111を図6中矢印方向に回転させた場合には、第2錘125は、係止突起125cが略円板部124cにおける切欠部124bの図中右端に当ることで偏心
軸本体111に対する回転が規制された状態で、偏心軸本体111と一緒に回転する。このときの第1錘124の重心位置と第2錘125の重心位置の位置関係は、上述した図3(a)に示したモデルに相当する。
【0058】
以上のように、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、モータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることによって、偏心軸の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させるができる。これにより、偏心軸の振動振幅を変えることができる。また、この実施例を採用する場合には、上述した操作部25によってモードを変更してモータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることができるようにすれば良い。
【0059】
図7は本実施例を採用した場合の振動数と振動振幅との関係を示したものである。図7中のグラフP1は、図5に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応しており、グラフP2は図6に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応している。
【0060】
(実施例2)
図8及び図9を参照して、本発明の実施例2に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図4を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図8は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。図9は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【0061】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体112は、その一端に、上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部112aが設けられており、他端に上述したステム3の軸受31に支えられる軸部112bが設けられている。そして、本実施例に係る偏心軸本体112には、所定の範囲にオネジ112cが形成されている。このオネジ112cが形成されている領域の下端には第1位置規制部112dが設けられ、上端には円板状の第2位置規制部112eが設けられている。また、本実施例に係る錘126には、その内周面に、上記のオネジ112cに螺合するメネジが形成された貫通孔126aが設けられている。
【0062】
以上の構成により、偏心軸本体112を図8(a)中矢印方向に回転させた場合には、錘126は、偏心軸本体112に対して回転することなく、または偏心軸本体112よりも遅い速度で連れ回りにより回転しながら、下方へと移動する。そして、錘126が第1位置規制部112dまで移動した状態では、錘126は偏心軸本体112と一緒に回転する。また、偏心軸本体112を図8(b)中矢印方向に回転させた場合には、錘126は、偏心軸本体112に対して回転することなく、または偏心軸本体112よりも遅い速度で連れ回りにより回転しながら、上方へと移動する。そして、錘126が第2位置規制部112eまで移動した状態では、錘126は偏心軸本体112と一緒に回転する。なお、図8(a)は上述した図4(a)のモデルに相当し、図8(b)は上述した図4(b)のモデルに相当する。また、本実施例では、偏心軸本体112を回転させた場合に、錘126がより確実に軸方向に移動するように、貫通孔126aに形成されたメネジとオネジ112cとの間に十分クリアランスを設けるのが望ましい。
【0063】
以上のように、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、モータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることによって、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。これにより、偏心軸の共振周波数を変えることができる。また、この実施例を採用する場合には、上述した操作部25によってモードを変更してモータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることができるようにすれば良い。
【0064】
図9は本実施例を採用した場合の振動数と振動振幅との関係を示したものである。図9中のグラフP3は、図8(a)に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応しており、グ
ラフP4は図8(b)に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応している。また、図9中のグラフP5は、錘126が、偏心軸本体112におけるオネジ112cが形成されている領域の中央付近に位置する場合に対応している。
【0065】
(実施例3)
図10を参照して、本発明の実施例3に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図4を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図10は本発明の実施例3に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0066】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体113は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部113aが設けられており、他端に挿通孔113bが設けられている。そして、本実施例に係る偏心軸における錘127は、その一端に、挿通孔113bに挿入される軸部127bが設けられ、他端に上述したステム3の軸受31に支えられる軸部127aが設けられている。なお、本実施例では、錘127の軸部127bが、偏心軸本体113の挿通孔113bに対して、殆ど挿抜力を必要とすることなく挿抜できるように構成されている。また、偏心軸本体113と一緒に錘127も回転するように、軸部127b及び挿通孔113bの軸に垂直な断面形状はいずれも非円形となっている(ただし、部分的に円形の部分が含まれていても良い)。
【0067】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、錘127が下側を向くように偏心軸を傾けると、錘127は重力によって偏心軸本体113から離れる方向に移動し、錘127が上側を向くように偏心軸を傾けると、錘127は重力によって偏心軸本体113に近づく方向に移動する。従って、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、電動歯ブラシの姿勢によって、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができ、偏心軸の共振周波数を変えることができる。なお、図10(a)は上述した図4(b)のモデルに相当し、図10(b)は上述した図4(a)のモデルに相当する。
【0068】
(実施例4)
図11を参照して、本発明の実施例4に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図4を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図11は本発明の実施例4に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0069】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体114は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部114aが設けられており、他端に突出部114bを備えた第1錘114cが固定されている。そして、本実施例では、この偏心軸本体114の先端側に第2錘128が軸方向に並べて設けられている。この第2錘128は、その一端に突出部114bが挿入されるスリット部128bが設けられ、他端に上述したステム3の軸受31に支えられる軸部128aが設けられている。なお、本実施例では、偏心軸本体114の突出部114bが、第2錘128のスリット部128bに対して、殆ど挿抜力を必要とすることなく挿抜できるように構成されている。
【0070】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、第2錘128が下側を向くように偏心軸を傾けると、第2錘128は重力によって偏心軸本体114から離れる方向に移動し、第2錘128が上側を向くように偏心軸を傾けると、第2錘128は重力によって偏心軸本体114に近づく方向に移動する。従って、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、電動歯ブラシの姿勢によって、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができ、偏心軸の共振周波数を変えることができる。なお、図11(a)は上述した図4(b)のモデルに相当し、図11(b)は上述した図4(a)のモデルに相当する。
【0071】
(実施例5)
図12を参照して、本発明の実施例5に係る電動歯ブラシについて説明する。図12は本発明の実施例5に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0072】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体115は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部115aが設けられており、他端に第1錘115bが固定されている。この第1錘115bの端面には、複数の歯115cが設けられている。
【0073】
そして、本実施例では、この偏心軸本体115の先端側に第2錘129が軸方向に並べて設けられている。この第2錘129は、錘本体部129bの先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部129aが備えられている。そして、錘本体部129bの反対側の端面に、第1錘115bに設けられた複数の歯115cに噛み合う複数の歯129cが設けられており、ラチェット機構を構成している。
【0074】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、偏心軸本体115が図12(a)に示す矢印方向に回転する場合には、第2錘129は偏心軸本体115に対して回転することなく、偏心軸本体115と一緒に回転する。
【0075】
そして、偏心軸本体115が反対方向(図12(b)に示す矢印方向)に回転すると、第2錘129は偏心軸本体115に固定された第1錘115bに対して回転する。従って、この場合には、偏心軸の重心位置と軸心との間の距離を変化させることができる。また、第2錘129が第1錘115bに対して回転する場合には、それぞれに設けられた歯115c,129cを乗り越える分だけ第2錘129の軸方向への移動も伴うので、偏心軸
の重心位置を軸方向に周期的に移動させることができる。
【0076】
(実施例6)
図13を参照して、本発明の実施例6に係る電動歯ブラシについて説明する。図13は本発明の実施例6に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0077】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体116は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部116aが設けられている。そして、この偏心軸本体116の先端側に錘130が軸方向に並べて設けられている。この錘130の先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部130aが備えられている。また、本実施例においては、この偏心軸本体116と錘130との間に、コイルばね140が備えられている。このコイルばね140は、その一端が偏心軸本体116に固定され、他端が錘130に固定されている。
【0078】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、電動歯ブラシの姿勢に応じて、錘130が重力及びコイルばね140の伸び縮みによって移動するため、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。また、偏心軸本体116と錘130がコイルばね140を介して接続されているので、立ち上がり時においては、錘130は最初のうちはゆっくりと回転し、徐々に回転速度が速くなり、最終的に偏心軸本体116の回転と同じ回転速度となる。図13(a)は立ち上がり直後の様子を示し、図13(b)は十分に時間が経過して、錘130と偏心軸本体116の回転速度が同じになったときの様子を示している。なお、図中、矢印の本数によって回転速度の差異(矢印の数が多いほど、回転速度が速い)を示している。
【0079】
このように、本実施例の場合、偏心軸の重心に関しては、立ち上がり直後は、錘130の重量による影響を殆ど受けず、錘130の回転速度が速くなるにつれて、錘130の重量による影響も徐々に大きくなっていく。そのため、偏心軸の重心は、軸心の位置から徐々に軸心から離れた位置に移動する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅
は徐々に大きくなる。これにより、歯を磨く場合に、電源を入れた直後からブラシ部41が急激に振動することを抑制でき、刺激感を抑制できる。
【0080】
(実施例7)
図14及び図15を参照して、本発明の実施例7に係る電動歯ブラシについて説明する。図14は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。図15は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅との関係を示すグラフである。
【0081】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体117は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部117aが設けられている。そして、この偏心軸本体117の先端側に錘131が軸方向に並べて設けられている。この錘131の先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部131aが備えられている。また、本実施例においては、この偏心軸本体117と錘131との間の隙間Sに流体(例えば、油やグリス)が介在されている。
【0082】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、偏心軸本体117が回転すると、いわゆる流体クラッチの原理によって、錘131は最初のうちはゆっくりと回転し、徐々に回転速度が速くなり、最終的に偏心軸本体117の回転と同じ回転速度となる。図14(a)は立ち上がり直後の様子を示し、図14(b)は立ち上がりから少し時間が経過した時の様子を示し、図14(c)は十分に時間が経過して、錘131と偏心軸本体117の回転速度が同じになったときの様子を示している。なお、図中、矢印の本数によって回転速度の差異(矢印の数が多いほど、回転速度が速い)を示している。
【0083】
このように、本実施例の場合、偏心軸の重心に関しては、立ち上がり直後は、錘131の重量による影響を殆ど受けず、錘131の回転速度が速くなるにつれて、錘131の重量による影響も徐々に大きくなっていく。そのため、偏心軸の重心は、軸心の位置から徐々に軸心から離れた位置に移動する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅は徐々に大きくなる。これにより、歯を磨く場合に、電源を入れた直後からブラシ部41が急激に振動することを抑制でき、刺激感を抑制できる。なお、図15において、グラフP6は本実施例に係る偏心軸における立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅を示している。また、図中のグラフP7は錘が偏心軸に固定されている場合(比較例)における立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅を示している。
【0084】
ここで、本実施例においては、錘131と偏心軸本体117とは固定されていない。ただし、電動歯ブラシ1の内部において、錘131と偏心軸本体117は、中心軸がずれないようにする必要がある。これを実現するための構成を2例ほど説明する。なお、以下に説明する構成については、上述した実施例1における第2錘125と偏心軸本体111との関係にも適用できる。
【0085】
<<凹凸嵌合を利用する場合>>
図16及び図17を参照して、凹凸嵌合を利用することによって、錘131と偏心軸本体117との中心軸がずれないようにするための構成を説明する。偏心軸本体117は、一端に上述した穴部117aが設けられた胴体117Xと、この胴体117Xの先端に固定される摩耗特性に優れた金属製部品117Yとから構成されている。なお、胴体117Xは樹脂やエラストマーから構成される。そして、金属製部品117Yの先端には、凹部117Yaが形成されている。一方、錘131における軸部131aとは反対側の端部には、金属製部品117Yの凹部117Yaに嵌合する凸部131bが設けられている。
【0086】
以上の構成により、錘131と偏心軸本体117とを固定することなく、これらの中心
軸をずれないようにすることができる。
【0087】
<<ステムの内壁面を軸受として機能させる場合>>
図18及び図19を参照して、ステム3の内壁面32を軸受として機能させることによって、錘131と偏心軸本体117との中心軸がずれないようにするための構成を説明する。偏心軸本体117は、一端に上述した穴部117aが設けられた胴体117Xと、この胴体117Xの先端に固定される摩耗特性に優れた金属製部品117Yとから構成されている。なお、胴体117Xは樹脂やエラストマーから構成される。なお、金属製部品117Yの先端は平面によって構成されている。また、錘131における軸部131aとは反対側の端部も平面によって構成されている。
【0088】
そして、本例の場合には、ステム3の内壁面32と金属製部品117Yの外周面との間、及びステム3の内壁面32と錘131の外周面との間のクリアランスSをできる限り小さくなるように設定している。これにより、ステム3の内壁面32が、金属製部品117Y及び錘131の軸受として機能する。
【0089】
以上の構成により、錘131と偏心軸本体117とを固定することなく、これらの中心軸をずれないようにすることができる。
【0090】
(その他)
上記の実施形態及び実施例においては、偏心軸のうちモータ23の回転軸23aに固定されている側とは反対側の端部が、ステム3に設けられた軸受31によって支えられる場合を例にして説明した。このような構成を採用した場合には、上記実施形態の中で説明した通り、軸受31を介して、ステム3が振動し、その振動がブラシ部品4に伝達される。そして、軸受31は、ブラシ部41の付近に位置するので、ブラシ部41に効率良く振動を伝達させることが可能となる。
【0091】
ただし、偏心軸を採用した電動歯ブラシとしては、モータの回転軸の付近に偏心用の錘を配置して、偏心軸のうちモータの回転軸に固定されている側とは反対側の端部を軸受によって支持させないタイプ(偏心軸の先端を自由端とするタイプ)のものもある。本発明は、このようなタイプの電動歯ブラシにも適用可能である。すなわち、上述した各種偏心軸をこのようなタイプの電動歯ブラシに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの部品展開斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置と軸心との距離を変化させる場合のメカニズム説明図である。
【図4】図4は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させる場合のメカニズム説明図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【図8】図8は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【図10】図10は本発明の実施例3に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施例4に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図12】図12は本発明の実施例5に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図13】図13は本発明の実施例6に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図14】図14は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図15】図15は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅との関係を示すグラフである。
【図16】図16は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの部品展開図である。
【図17】図17は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの模式的断面図である。
【図18】図18は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの部品展開図である。
【図19】図19は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの模式的断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 電動歯ブラシ
2 電動歯ブラシ本体
21 ケース
22 電池
23 モータ
23a 回転軸
24 スイッチ
25 操作部
3 ステム
31 軸受
32 内壁面
4 ブラシ部品
41 ブラシ部
100 偏心軸
110 偏心軸本体
111,112,113,114,115,116,117 偏心軸本体
111a,112a,113a,114a,115a,116a,117a 穴部
112b 軸部
112c オネジ
112d 第1位置規制部
112e 第2位置規制部
113b 挿通孔
114b 突出部
114c 第1錘
115b 第1錘
115c 歯
117X 胴体
117Y 金属製部品
117Ya 凹部
120 錘
121 第1錘
122 第2錘
123 錘
124 第1錘
124a 錘本体部
124b 切欠部
124c 略円板部
125 第2錘
125a 錘本体部
125b 軸部
125c 係止突起
125d 円板部
126 錘
126a 貫通孔
127 錘
127a 軸部
127b 軸部
128 第2錘
128a 軸部
128b スリット部
129 第2錘
129a 軸部
129b 錘本体部
129c 歯
130 錘
130a 軸部
131 錘
131a 軸部
131b 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータによって偏心軸を回転させることにより振動を発生させる電動歯ブラシが知られている(特許文献1参照)。かかる電動歯ブラシにおいては、偏心軸の重心の位置(重心から軸心までの距離及び偏心軸の軸方向に対する位置)は変化しないように構成されている。そのため、偏心軸の共振周波数及び振動振幅はいずれも変化しない。
【0003】
しかしながら、歯磨き時の歯磨き感や歯を磨く部位に応じた歯磨き効果などの各種理由から、偏心軸の共振周波数や振動振幅が適宜変更できることが望まれる場合がある。
【特許文献1】特開平10−192054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、偏心軸の共振周波数や振動振幅を変更できることを可能とする電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明の電動歯ブラシは、
モータと、
一端側が前記モータの回転軸に固定された偏心軸と、
該偏心軸の回転に伴って発生する振動をブラシ部に伝える振動伝達部品と、
を備えた電動歯ブラシにおいて、
前記偏心軸は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、偏心軸の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させることで、偏心軸の振動振幅を変えることができる。また、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることで、偏心軸の共振周波数を変えることができる。
【0008】
前記偏心軸は、いずれも重心が軸心からずれた位置に設けられた複数の錘を備え、これら複数の錘のうちの少なくとも一つが偏心軸本体に対して回転可能に設けられているとよい。
【0009】
これにより、回転可能な錘が回転すると、軸心に対する回転方向における各錘の重心の位置関係が変化する。従って、偏心軸全体における重心位置と軸心との間の距離を変化させることができる。
【0010】
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して一定の範囲内でのみ回転が許容されるように回転範囲が規制されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
前記偏心軸の回転方向によって、第2錘の規制される回転方向の位置が異なるとよい。
【0011】
これにより、偏心軸の回転方向によって、偏心軸の重心位置と軸心との間の距離を変化
させることができる。
【0012】
前記偏心軸は、重心が軸心からずれた位置に設けられた錘を備え、該錘は偏心軸本体に対して軸方向に移動可能に設けられているとよい。
【0013】
これにより、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。
【0014】
前記偏心軸本体にはオネジが形成されており、
前記錘には該オネジに螺合するメネジが形成されているとよい。
【0015】
これにより、偏心軸本体の回転によって錘を軸方向に移動させることができる。また、偏心軸本体の回転方向によって、錘の移動方向を変えることができる。
【0016】
前記錘は前記偏心軸本体に対して軸方向にスライド自在な状態で嵌合されているとよい。
【0017】
これにより、電動歯ブラシの姿勢に応じて、錘が重力によって移動するため、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。
【0018】
前記偏心軸は、
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して回転可能に構成されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
第1錘の端面に設けられた複数の歯と第2錘の端面に設けられた複数の歯が互いに噛み合うように、これら第1錘と第2錘が軸方向に並べて配置されて、ラチェット機構を構成するとよい。
【0019】
これにより、偏心軸本体がある方向に回転する場合には、第1錘と第2錘との相対的な位置関係は変化しない。そして、偏心軸本体が反対方向に回転すると、第2錘は第1錘に対して回転する。従って、この場合には、偏心軸の重心位置と軸心との間の距離を変化させることができる。また、第2錘が第1錘に対して回転する場合には、それぞれに設けられた歯を乗り越える分だけ第2錘の軸方向への移動も伴うので、偏心軸の重心位置を軸方向に周期的に移動させることができる。
【0020】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、
一端が前記偏心軸本体に固定され、他端が前記錘に固定されたコイルばねと、を備えるとよい。
【0021】
これにより、電動歯ブラシの姿勢に応じて、錘が重力及びコイルばねの伸び縮みによって移動するため、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。また、偏心軸本体と錘がコイルばねを介して接続されているので、立ち上がり時においては、錘は偏心軸本体の回転に遅れて回転する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅を徐々に大きくすることができる。
【0022】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、を備え、
これら偏心軸本体と錘は、これらの間に流体(回転動力を伝える流体(油やグリスなど
))を介在させた状態で軸方向に並べて配置されているとよい。
【0023】
これにより、いわゆる流体クラッチの原理によって、錘は最初のうちはゆっくりと回転し、徐々に回転速度が速くなり、最終的に偏心軸本体の回転と同じ回転速度となる。これに伴って、偏心軸の重心は、軸心の位置から徐々に軸心から離れた位置に移動する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅は徐々に大きくなる。
【0024】
また、前記振動伝達部品には、前記偏心軸の他端側を支える軸受が設けられているとよい。
【0025】
このような構成を採用することで、振動伝達部品に設けられた軸受の付近で発生する振動をブラシ部に伝えることができる。また、軸受は、偏心軸の他端側、つまりモータの回転軸から離れたブラシ部の付近に設けられるので、ブラシ部に効率良く振動を伝達させることができる。
【0026】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、偏心軸の共振周波数や振動振幅を変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施形態および実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
(実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る電動歯ブラシについて説明する。図1は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの部品展開斜視図である。図2は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの模式的断面図である。図3は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置と軸心との距離を変化させる場合のメカニズム説明図である。図4は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させる場合のメカニズム説明図である。
【0030】
<電動歯ブラシ>
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る電動歯ブラシ全体の構成等について説明する。電動歯ブラシ1は、電動歯ブラシ本体2と、偏心軸100と、振動伝達部品としてのステム3と、ブラシ部41を備えたブラシ部品4とを備えている。
【0031】
電動歯ブラシ本体2は、ケース21と、ケース21の内部に収納される電池22及びモータ23と、電源のオンオフを行うスイッチ24と、各種モードを変更するボタン群からなる操作部25とを備えている。そして、モータ23の回転軸23aに、偏心軸100の一端側が固定されている。この偏心軸100は、ケース21の先端の開口部からケース21の外部に突出するように構成されている。そして、偏心軸100には、重心が軸心からずれた位置に設けられた錘120が設けられている。また、この偏心軸100の他端側は、ステム3に設けられた軸受31によって支えられている。
【0032】
そして、ブラシ部品4が、このステム3を覆うように装着される。このブラシ部品4の本体部分はステム3に装着できるように筒状の部材によって構成されており、その先端に
ブラシ部41が設けられている。なお、このブラシ部品4は消耗部品であり、適時、新品のものに交換することができるように、ステム3に対して着脱自在に構成されている。
【0033】
<電動歯ブラシの動作説明>
以上のように構成された電動歯ブラシ1の動作について説明する。スイッチ24により電源をオンにすると、モータ23の回転軸23aが回転し、この回転軸23aに固定された偏心軸100が回転する。上記の通り、偏心軸100には、その重心が軸心からずれた位置に設けられた錘120が設けられている。そのため、仮に、偏心軸100の先端を軸受31によって支持させていない状態で偏心軸100を回転させると、偏心軸100は、偏心軸100自体が回転しながら、軸心の回りを旋回するように運動する。これにより、軸受31によって偏心軸100を支持させた状態で偏心軸100を回転させると、偏心軸100の先端付近の外壁面が軸受31の内壁面に対して短時間に多数回の衝突を繰り返すような動作を行わせることができる。
【0034】
このような動作を行わせることで、軸受31を介して、軸受31が設けられたステム3を振動させることができる。そして、このステム3を振動させることにより、その振動をステム3に固定されたブラシ部品4に伝えることができる。従って、ブラシ部品4の振動により、ブラシ部41が振動するため、ブラシ部41を歯に当てることで歯を磨くことができる。
【0035】
<偏心軸>
特に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおける偏心軸について詳細に説明する。本実施形態における偏心軸100は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されている。
【0036】
まず、図3を参照して、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させる場合について、基本的な構成及びメカニズムを説明する。この場合、偏心軸本体110に2つの錘(以下、第1錘121,第2錘122と称する)が設けられている。これら第1錘121及び第2錘122は、いずれも重心が軸心からずれた位置に設けられている(図中、G1は第1錘121の重心位置を示し、G2は第2錘122の重心位置を示している)。また、第1錘121と第2錘122は、形状が同一かつ重量が同一である。
【0037】
そして、第2錘122は、偏心軸本体110に対して回転可能に構成されている。図3(a)においては、第1錘121の重心位置G1と第2錘122の重心位置G2が、軸方向に見て一致している場合を示している。この場合、偏心軸本体110の重量を無視して考えると、偏心軸100における軸方向に見た重心位置G3は、G1とG2に一致する。このときの、偏心軸100の重心位置G3と軸心との距離をR1とする。
【0038】
図3(b)は、図3(a)に示した状態から、第2錘122を90°回転させた場合を示している。この場合、第1錘121の重心位置G1と第2錘122の重心位置G2は、軸方向に見て、軸心を中心として90°ずれた位置関係にある。そして、偏心軸本体110の重量を無視して考えると、偏心軸100における軸方向に見た重心位置G3は、G1とG2の中点の位置となる。このときの、偏心軸100の重心位置G3と軸心との距離をR2とすると、R2<R1となる。
【0039】
以上のように、第2錘122を回転させることによって、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させることができる。
【0040】
なお、上記の説明においては、便宜上、偏心軸本体110の重量を無視して考えたが、勿論、実際の偏心軸100の重心には、偏心軸本体110の重量も影響する。しかし、第2錘122を回転させることで、偏心軸100の重心と軸心との距離が変化することに変わりはないことは言うまでもない。また、説明の便宜上、モデルを簡単にするために、第1錘121と第2錘122の形状及び重量が同一の場合を例にして説明したが、これらが異なっていても、偏心軸100の重心と軸心との距離が変化することは言うまでもない。また、錘が3個以上であっても、少なくともその一つが回転すれば、偏心軸100の重心と軸心との距離が変化することは言うまでもない。
【0041】
次に、図4を参照して、偏心軸100の重心位置を、軸方向に移動させる場合について、基本的な構成及びメカニズムを説明する。この場合、偏心軸本体110に対して、錘123が軸方向に移動可能に設けられている。これにより、軸受から錘123の重心位置までの軸方向の距離(図4(a)においてはL11,図4(b)においてはL12)と、モータの回転軸への固定部分から錘123の重心位置までの軸方向の距離(図4(a)においてはL21,図4(b)においてはL22)を変更することができる。図4においては、(a)よりも(b)に示すほうが錘123の位置を軸受側に移動させた例を示している。このとき、L11>L12,L21<L22となる。
【0042】
以上のように、錘123を軸方向に移動させることによって、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることができる。
【0043】
なお、上記の説明では、錘が1個の場合を例にして説明したが、錘が2個以上であっても、少なくともその一つ以上が軸方向に移動すれば、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることができることは言うまでもない。
【0044】
また、図3を用いて示した構成と、図4を用いて示した構成を組み合わせることによって、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させると同時に、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることができることは言うまでもない。
【0045】
<本実施形態の優れた点>
以上説明したように、本実施形態に係る電動歯ブラシ1によれば、ブラシ部41を振動させるための偏心軸100が、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されている。
【0046】
従って、偏心軸100の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させることで、偏心軸100の振動振幅を変えることができる。また、偏心軸100の重心位置を軸方向に移動させることで、偏心軸100の共振周波数を変えることができる。
【0047】
ここで、偏心軸100の振動振幅や共振周波数を変更できることによって得られる具体的な利点やその利用方法の一例を説明する。
【0048】
電動歯ブラシを用いて歯を磨く場合、ユーザによっては、ブラシ部の振動が少ないと歯を磨いているという実感が得られなかったり、ブラシ部の振動が大きいと刺激が強すぎたりする場合がある。そこで、偏心軸100の振動振幅を変更できるようにすることで、歯磨き感を変えることができる。
【0049】
また、一般的に、偏心軸によってブラシ部を振動させる電動歯ブラシの場合には、ブラシ部を効率良く振動させるために、ブラシ部を含む各種部材に共振が発生するように、モータの回転軸の回転数を設定する。しかしながら、各種誤差により、確実に共振させるのは一般的に困難である。そこで、偏心軸100の共振周波数を変更できるようにすること
で、より確実に共振を発生させることが可能となる。
【0050】
また、共振が発生する際の周波数によって、ブラシの毛先の振動の仕方(横揺れの度合いや縦揺れの度合いなど)が異なることが確認されている。そして、ブラシの毛先の振動の仕方が異なると歯を磨いているときの歯磨き感も異なる。また、歯磨きに適するような、毛先の振動の仕方は、歯を磨く部位によってもそれぞれ異なる。そこで、偏心軸100の共振周波数を変更できるようにすることで、ブラシの毛先の振動の仕方を変えることができる。ただし、この場合には、所望の各共振周波数でそれぞれ共振させるために、モータの回転軸の回転数を複数設定できるように、または、連続的に回転数を変更できるようにする必要がある。例えば、上述した操作部25によってモードを変更して回転数をいくつか変更できるようにすれば良い。
【0051】
次に、偏心軸について、更に具体的な例(実施例)をいくつか説明する。
【0052】
(実施例1)
図5〜図7を参照して、本発明の実施例1に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図3を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図5及び図6は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。図7は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【0053】
本実施例に係る偏心軸は、偏心軸本体111の一端に、上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部111aが設けられている。そして、偏心軸本体111の他端に第1錘124が固定されている。この第1錘124は、錘本体部124aの先端に、切欠部124bを備えた略円板部124cが設けられた構成である。そして、この第1錘124の先端側に、第2錘125が軸方向に並べて設けられている。この第2錘125においては、錘本体部125aの先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部125bが備えられている。また、錘本体部125aの反対側の端部には、係止突起125cを有する円板部125dが備えられている。
【0054】
ここで、第2錘125と偏心軸本体111とは固定されていない。ただし、電動歯ブラシ1の内部においては、第2錘125と偏心軸本体111は、中心軸がずれないように構成されている。これを実現するための具体的な構成としては、第2錘125の端面の軸心上に凸部(又は凹部)を形成し、偏心軸本体111の端面(第1錘124の端面)の軸心上に凹部(又は凸部)を設けて、これらが嵌まり合うように、第2錘125と偏心軸本体111とを軸方向に並べて配置させれば良い。または、上述したステム3の内壁面を、これら第1錘124の錘本体部124a及び第2錘125の錘本体部125aの軸受として機能させるようにしても良い。
【0055】
以上の構成により、第2錘125は、偏心軸本体111に対して係止突起125cが略円板部124cによって妨げられない範囲内でのみ回転することができる。
【0056】
従って、偏心軸本体111を図5中矢印方向に回転させた場合には、第2錘125は、係止突起125cが略円板部124cにおける切欠部124bの図中左端に当ることで偏心軸本体111に対する回転が規制された状態で、偏心軸本体111と一緒に回転する。このときの第1錘124の重心位置と第2錘125の重心位置の位置関係は、上述した図3(b)に示したモデルに相当する。
【0057】
また、偏心軸本体111を図6中矢印方向に回転させた場合には、第2錘125は、係止突起125cが略円板部124cにおける切欠部124bの図中右端に当ることで偏心
軸本体111に対する回転が規制された状態で、偏心軸本体111と一緒に回転する。このときの第1錘124の重心位置と第2錘125の重心位置の位置関係は、上述した図3(a)に示したモデルに相当する。
【0058】
以上のように、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、モータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることによって、偏心軸の重心位置を、軸心までの距離を変化させる方向に移動させるができる。これにより、偏心軸の振動振幅を変えることができる。また、この実施例を採用する場合には、上述した操作部25によってモードを変更してモータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることができるようにすれば良い。
【0059】
図7は本実施例を採用した場合の振動数と振動振幅との関係を示したものである。図7中のグラフP1は、図5に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応しており、グラフP2は図6に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応している。
【0060】
(実施例2)
図8及び図9を参照して、本発明の実施例2に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図4を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図8は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。図9は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【0061】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体112は、その一端に、上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部112aが設けられており、他端に上述したステム3の軸受31に支えられる軸部112bが設けられている。そして、本実施例に係る偏心軸本体112には、所定の範囲にオネジ112cが形成されている。このオネジ112cが形成されている領域の下端には第1位置規制部112dが設けられ、上端には円板状の第2位置規制部112eが設けられている。また、本実施例に係る錘126には、その内周面に、上記のオネジ112cに螺合するメネジが形成された貫通孔126aが設けられている。
【0062】
以上の構成により、偏心軸本体112を図8(a)中矢印方向に回転させた場合には、錘126は、偏心軸本体112に対して回転することなく、または偏心軸本体112よりも遅い速度で連れ回りにより回転しながら、下方へと移動する。そして、錘126が第1位置規制部112dまで移動した状態では、錘126は偏心軸本体112と一緒に回転する。また、偏心軸本体112を図8(b)中矢印方向に回転させた場合には、錘126は、偏心軸本体112に対して回転することなく、または偏心軸本体112よりも遅い速度で連れ回りにより回転しながら、上方へと移動する。そして、錘126が第2位置規制部112eまで移動した状態では、錘126は偏心軸本体112と一緒に回転する。なお、図8(a)は上述した図4(a)のモデルに相当し、図8(b)は上述した図4(b)のモデルに相当する。また、本実施例では、偏心軸本体112を回転させた場合に、錘126がより確実に軸方向に移動するように、貫通孔126aに形成されたメネジとオネジ112cとの間に十分クリアランスを設けるのが望ましい。
【0063】
以上のように、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、モータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることによって、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。これにより、偏心軸の共振周波数を変えることができる。また、この実施例を採用する場合には、上述した操作部25によってモードを変更してモータ23の回転軸23aの回転方向を切り換えることができるようにすれば良い。
【0064】
図9は本実施例を採用した場合の振動数と振動振幅との関係を示したものである。図9中のグラフP3は、図8(a)に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応しており、グ
ラフP4は図8(b)に示した状態で偏心軸が回転する場合に対応している。また、図9中のグラフP5は、錘126が、偏心軸本体112におけるオネジ112cが形成されている領域の中央付近に位置する場合に対応している。
【0065】
(実施例3)
図10を参照して、本発明の実施例3に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図4を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図10は本発明の実施例3に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0066】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体113は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部113aが設けられており、他端に挿通孔113bが設けられている。そして、本実施例に係る偏心軸における錘127は、その一端に、挿通孔113bに挿入される軸部127bが設けられ、他端に上述したステム3の軸受31に支えられる軸部127aが設けられている。なお、本実施例では、錘127の軸部127bが、偏心軸本体113の挿通孔113bに対して、殆ど挿抜力を必要とすることなく挿抜できるように構成されている。また、偏心軸本体113と一緒に錘127も回転するように、軸部127b及び挿通孔113bの軸に垂直な断面形状はいずれも非円形となっている(ただし、部分的に円形の部分が含まれていても良い)。
【0067】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、錘127が下側を向くように偏心軸を傾けると、錘127は重力によって偏心軸本体113から離れる方向に移動し、錘127が上側を向くように偏心軸を傾けると、錘127は重力によって偏心軸本体113に近づく方向に移動する。従って、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、電動歯ブラシの姿勢によって、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができ、偏心軸の共振周波数を変えることができる。なお、図10(a)は上述した図4(b)のモデルに相当し、図10(b)は上述した図4(a)のモデルに相当する。
【0068】
(実施例4)
図11を参照して、本発明の実施例4に係る電動歯ブラシについて説明する。本実施例に係る偏心軸は、上記の図4を用いて説明した実施形態のより具体的な一例である。図11は本発明の実施例4に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0069】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体114は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部114aが設けられており、他端に突出部114bを備えた第1錘114cが固定されている。そして、本実施例では、この偏心軸本体114の先端側に第2錘128が軸方向に並べて設けられている。この第2錘128は、その一端に突出部114bが挿入されるスリット部128bが設けられ、他端に上述したステム3の軸受31に支えられる軸部128aが設けられている。なお、本実施例では、偏心軸本体114の突出部114bが、第2錘128のスリット部128bに対して、殆ど挿抜力を必要とすることなく挿抜できるように構成されている。
【0070】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、第2錘128が下側を向くように偏心軸を傾けると、第2錘128は重力によって偏心軸本体114から離れる方向に移動し、第2錘128が上側を向くように偏心軸を傾けると、第2錘128は重力によって偏心軸本体114に近づく方向に移動する。従って、本実施例に係る偏心軸を採用した場合には、電動歯ブラシの姿勢によって、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができ、偏心軸の共振周波数を変えることができる。なお、図11(a)は上述した図4(b)のモデルに相当し、図11(b)は上述した図4(a)のモデルに相当する。
【0071】
(実施例5)
図12を参照して、本発明の実施例5に係る電動歯ブラシについて説明する。図12は本発明の実施例5に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0072】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体115は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部115aが設けられており、他端に第1錘115bが固定されている。この第1錘115bの端面には、複数の歯115cが設けられている。
【0073】
そして、本実施例では、この偏心軸本体115の先端側に第2錘129が軸方向に並べて設けられている。この第2錘129は、錘本体部129bの先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部129aが備えられている。そして、錘本体部129bの反対側の端面に、第1錘115bに設けられた複数の歯115cに噛み合う複数の歯129cが設けられており、ラチェット機構を構成している。
【0074】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、偏心軸本体115が図12(a)に示す矢印方向に回転する場合には、第2錘129は偏心軸本体115に対して回転することなく、偏心軸本体115と一緒に回転する。
【0075】
そして、偏心軸本体115が反対方向(図12(b)に示す矢印方向)に回転すると、第2錘129は偏心軸本体115に固定された第1錘115bに対して回転する。従って、この場合には、偏心軸の重心位置と軸心との間の距離を変化させることができる。また、第2錘129が第1錘115bに対して回転する場合には、それぞれに設けられた歯115c,129cを乗り越える分だけ第2錘129の軸方向への移動も伴うので、偏心軸
の重心位置を軸方向に周期的に移動させることができる。
【0076】
(実施例6)
図13を参照して、本発明の実施例6に係る電動歯ブラシについて説明する。図13は本発明の実施例6に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【0077】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体116は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部116aが設けられている。そして、この偏心軸本体116の先端側に錘130が軸方向に並べて設けられている。この錘130の先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部130aが備えられている。また、本実施例においては、この偏心軸本体116と錘130との間に、コイルばね140が備えられている。このコイルばね140は、その一端が偏心軸本体116に固定され、他端が錘130に固定されている。
【0078】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、電動歯ブラシの姿勢に応じて、錘130が重力及びコイルばね140の伸び縮みによって移動するため、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させることができる。また、偏心軸本体116と錘130がコイルばね140を介して接続されているので、立ち上がり時においては、錘130は最初のうちはゆっくりと回転し、徐々に回転速度が速くなり、最終的に偏心軸本体116の回転と同じ回転速度となる。図13(a)は立ち上がり直後の様子を示し、図13(b)は十分に時間が経過して、錘130と偏心軸本体116の回転速度が同じになったときの様子を示している。なお、図中、矢印の本数によって回転速度の差異(矢印の数が多いほど、回転速度が速い)を示している。
【0079】
このように、本実施例の場合、偏心軸の重心に関しては、立ち上がり直後は、錘130の重量による影響を殆ど受けず、錘130の回転速度が速くなるにつれて、錘130の重量による影響も徐々に大きくなっていく。そのため、偏心軸の重心は、軸心の位置から徐々に軸心から離れた位置に移動する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅
は徐々に大きくなる。これにより、歯を磨く場合に、電源を入れた直後からブラシ部41が急激に振動することを抑制でき、刺激感を抑制できる。
【0080】
(実施例7)
図14及び図15を参照して、本発明の実施例7に係る電動歯ブラシについて説明する。図14は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。図15は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅との関係を示すグラフである。
【0081】
本実施例に係る偏心軸における偏心軸本体117は、その一端に上述したモータ23の回転軸23aの先端が嵌まる穴部117aが設けられている。そして、この偏心軸本体117の先端側に錘131が軸方向に並べて設けられている。この錘131の先端に、上述したステム3の軸受31に支えられる軸部131aが備えられている。また、本実施例においては、この偏心軸本体117と錘131との間の隙間Sに流体(例えば、油やグリス)が介在されている。
【0082】
以上のような構成により、本実施例に係る偏心軸の場合には、偏心軸本体117が回転すると、いわゆる流体クラッチの原理によって、錘131は最初のうちはゆっくりと回転し、徐々に回転速度が速くなり、最終的に偏心軸本体117の回転と同じ回転速度となる。図14(a)は立ち上がり直後の様子を示し、図14(b)は立ち上がりから少し時間が経過した時の様子を示し、図14(c)は十分に時間が経過して、錘131と偏心軸本体117の回転速度が同じになったときの様子を示している。なお、図中、矢印の本数によって回転速度の差異(矢印の数が多いほど、回転速度が速い)を示している。
【0083】
このように、本実施例の場合、偏心軸の重心に関しては、立ち上がり直後は、錘131の重量による影響を殆ど受けず、錘131の回転速度が速くなるにつれて、錘131の重量による影響も徐々に大きくなっていく。そのため、偏心軸の重心は、軸心の位置から徐々に軸心から離れた位置に移動する。従って、立ち上がり時において、偏心軸の振動振幅は徐々に大きくなる。これにより、歯を磨く場合に、電源を入れた直後からブラシ部41が急激に振動することを抑制でき、刺激感を抑制できる。なお、図15において、グラフP6は本実施例に係る偏心軸における立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅を示している。また、図中のグラフP7は錘が偏心軸に固定されている場合(比較例)における立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅を示している。
【0084】
ここで、本実施例においては、錘131と偏心軸本体117とは固定されていない。ただし、電動歯ブラシ1の内部において、錘131と偏心軸本体117は、中心軸がずれないようにする必要がある。これを実現するための構成を2例ほど説明する。なお、以下に説明する構成については、上述した実施例1における第2錘125と偏心軸本体111との関係にも適用できる。
【0085】
<<凹凸嵌合を利用する場合>>
図16及び図17を参照して、凹凸嵌合を利用することによって、錘131と偏心軸本体117との中心軸がずれないようにするための構成を説明する。偏心軸本体117は、一端に上述した穴部117aが設けられた胴体117Xと、この胴体117Xの先端に固定される摩耗特性に優れた金属製部品117Yとから構成されている。なお、胴体117Xは樹脂やエラストマーから構成される。そして、金属製部品117Yの先端には、凹部117Yaが形成されている。一方、錘131における軸部131aとは反対側の端部には、金属製部品117Yの凹部117Yaに嵌合する凸部131bが設けられている。
【0086】
以上の構成により、錘131と偏心軸本体117とを固定することなく、これらの中心
軸をずれないようにすることができる。
【0087】
<<ステムの内壁面を軸受として機能させる場合>>
図18及び図19を参照して、ステム3の内壁面32を軸受として機能させることによって、錘131と偏心軸本体117との中心軸がずれないようにするための構成を説明する。偏心軸本体117は、一端に上述した穴部117aが設けられた胴体117Xと、この胴体117Xの先端に固定される摩耗特性に優れた金属製部品117Yとから構成されている。なお、胴体117Xは樹脂やエラストマーから構成される。なお、金属製部品117Yの先端は平面によって構成されている。また、錘131における軸部131aとは反対側の端部も平面によって構成されている。
【0088】
そして、本例の場合には、ステム3の内壁面32と金属製部品117Yの外周面との間、及びステム3の内壁面32と錘131の外周面との間のクリアランスSをできる限り小さくなるように設定している。これにより、ステム3の内壁面32が、金属製部品117Y及び錘131の軸受として機能する。
【0089】
以上の構成により、錘131と偏心軸本体117とを固定することなく、これらの中心軸をずれないようにすることができる。
【0090】
(その他)
上記の実施形態及び実施例においては、偏心軸のうちモータ23の回転軸23aに固定されている側とは反対側の端部が、ステム3に設けられた軸受31によって支えられる場合を例にして説明した。このような構成を採用した場合には、上記実施形態の中で説明した通り、軸受31を介して、ステム3が振動し、その振動がブラシ部品4に伝達される。そして、軸受31は、ブラシ部41の付近に位置するので、ブラシ部41に効率良く振動を伝達させることが可能となる。
【0091】
ただし、偏心軸を採用した電動歯ブラシとしては、モータの回転軸の付近に偏心用の錘を配置して、偏心軸のうちモータの回転軸に固定されている側とは反対側の端部を軸受によって支持させないタイプ(偏心軸の先端を自由端とするタイプ)のものもある。本発明は、このようなタイプの電動歯ブラシにも適用可能である。すなわち、上述した各種偏心軸をこのようなタイプの電動歯ブラシに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの部品展開斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置と軸心との距離を変化させる場合のメカニズム説明図である。
【図4】図4は本発明の実施形態に係る電動歯ブラシにおいて、偏心軸の重心位置を軸方向に移動させる場合のメカニズム説明図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施例1に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【図8】図8は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施例2に係る電動歯ブラシにおける振動数と振動振幅との関係を示すグラフである。
【図10】図10は本発明の実施例3に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施例4に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図12】図12は本発明の実施例5に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図13】図13は本発明の実施例6に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図14】図14は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシの偏心軸の斜視図である。
【図15】図15は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける立ち上がり時の経過時間と最大振動振幅との関係を示すグラフである。
【図16】図16は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの部品展開図である。
【図17】図17は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの模式的断面図である。
【図18】図18は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの部品展開図である。
【図19】図19は本発明の実施例7に係る電動歯ブラシにおける偏心軸及びステムの模式的断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 電動歯ブラシ
2 電動歯ブラシ本体
21 ケース
22 電池
23 モータ
23a 回転軸
24 スイッチ
25 操作部
3 ステム
31 軸受
32 内壁面
4 ブラシ部品
41 ブラシ部
100 偏心軸
110 偏心軸本体
111,112,113,114,115,116,117 偏心軸本体
111a,112a,113a,114a,115a,116a,117a 穴部
112b 軸部
112c オネジ
112d 第1位置規制部
112e 第2位置規制部
113b 挿通孔
114b 突出部
114c 第1錘
115b 第1錘
115c 歯
117X 胴体
117Y 金属製部品
117Ya 凹部
120 錘
121 第1錘
122 第2錘
123 錘
124 第1錘
124a 錘本体部
124b 切欠部
124c 略円板部
125 第2錘
125a 錘本体部
125b 軸部
125c 係止突起
125d 円板部
126 錘
126a 貫通孔
127 錘
127a 軸部
127b 軸部
128 第2錘
128a 軸部
128b スリット部
129 第2錘
129a 軸部
129b 錘本体部
129c 歯
130 錘
130a 軸部
131 錘
131a 軸部
131b 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
一端側が前記モータの回転軸に固定された偏心軸と、
該偏心軸の回転に伴って発生する振動をブラシ部に伝える振動伝達部品と、
を備えた電動歯ブラシにおいて、
前記偏心軸は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されていることを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記偏心軸は、いずれも重心が軸心からずれた位置に設けられた複数の錘を備え、これら複数の錘のうちの少なくとも一つが偏心軸本体に対して回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して一定の範囲内でのみ回転が許容されるように回転範囲が規制されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
前記偏心軸の回転方向によって、第2錘の規制される回転方向の位置が異なることを特徴とする請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記偏心軸は、重心が軸心からずれた位置に設けられた錘を備え、該錘は偏心軸本体に対して軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記偏心軸本体にはオネジが形成されており、
前記錘には該オネジに螺合するメネジが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記錘は前記偏心軸本体に対して軸方向にスライド自在な状態で嵌合されていることを特徴とする請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記偏心軸は、
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して回転可能に構成されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
第1錘の端面に設けられた複数の歯と第2錘の端面に設けられた複数の歯が互いに噛み合うように、これら第1錘と第2錘が軸方向に並べて配置されて、ラチェット機構を構成することを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、
一端が前記偏心軸本体に固定され、他端が前記錘に固定されたコイルばねと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、を備え、
これら偏心軸本体と錘は、これらの間に流体を介在させた状態で軸方向に並べて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
前記振動伝達部品には、前記偏心軸の他端側を支える軸受が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項1】
モータと、
一端側が前記モータの回転軸に固定された偏心軸と、
該偏心軸の回転に伴って発生する振動をブラシ部に伝える振動伝達部品と、
を備えた電動歯ブラシにおいて、
前記偏心軸は、軸心までの距離を変化させる方向及び軸方向のうちの少なくともいずれか一つの方向に、重心位置を移動可能に構成されていることを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記偏心軸は、いずれも重心が軸心からずれた位置に設けられた複数の錘を備え、これら複数の錘のうちの少なくとも一つが偏心軸本体に対して回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して一定の範囲内でのみ回転が許容されるように回転範囲が規制されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
前記偏心軸の回転方向によって、第2錘の規制される回転方向の位置が異なることを特徴とする請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記偏心軸は、重心が軸心からずれた位置に設けられた錘を備え、該錘は偏心軸本体に対して軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記偏心軸本体にはオネジが形成されており、
前記錘には該オネジに螺合するメネジが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記錘は前記偏心軸本体に対して軸方向にスライド自在な状態で嵌合されていることを特徴とする請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記偏心軸は、
偏心軸本体に固定されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第1錘と、
該偏心軸本体に対して回転可能に構成されており、重心が軸心からずれた位置に設けられた第2錘と、を備え、
第1錘の端面に設けられた複数の歯と第2錘の端面に設けられた複数の歯が互いに噛み合うように、これら第1錘と第2錘が軸方向に並べて配置されて、ラチェット機構を構成することを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、
一端が前記偏心軸本体に固定され、他端が前記錘に固定されたコイルばねと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
前記偏心軸は、
偏心軸本体と、
重心が軸心からずれた位置に設けられた錘と、を備え、
これら偏心軸本体と錘は、これらの間に流体を介在させた状態で軸方向に並べて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
前記振動伝達部品には、前記偏心軸の他端側を支える軸受が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の電動歯ブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−219544(P2009−219544A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64628(P2008−64628)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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