説明

電動歯ブラシ

【課題】モータを高速回転させると共に、電源電圧が低下したとしてもブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】モータ13の回転数が予め決められた回転数となるように、電池20から供給される電源電圧の値を検知し、当該電源電圧の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を前記モータ13に印加させるマイコン23を備えた。具体的には、マイコン23は、検知した電源電圧の値が高ければ高いほど、電源電圧を印可させる時間を短くする一方、検知した電源電圧の値が低ければ低いほど、電源電圧を印可させる時間を長くすることにより、モータ13の回転数を一定にさせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ部をモータの作動により振動させる電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータの作動により振動させたブラシを歯にあてて、歯を磨くことを目的とする電動歯ブラシが広く用いられている。この電動歯ブラシには、モータと、モータの回転を異なる2種類の運動に変換する運動変換機構と、運動変換機構の出力で作動するブラシ部が備えられているものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1の電動歯ブラシは、ブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができるようになっている。また、電動歯ブラシには、モータの駆動力によって回転する軸本体及び軸心からずれた位置に重心が設けられた偏心部材から構成される偏心軸と、偏心軸の回転に伴って発生する振動をブラシ部に伝える振動伝達部品を備えられているものがある(例えば、特許文献2)。特許文献2の電動歯ブラシは、消費電力を押さえることができ、また、高速回転させることができるようになっている。
【特許文献1】特開平9−173360号公報
【特許文献2】特開2008−80099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の電動歯ブラシでは、ブラシ部を運動させる際、機械的にモータの回転運動を変換する運動変換機構を使用しているために、電源電圧の状態にかかわらず、ブラシ部を一定振幅にて発生させることが可能となっている一方で、ブラシ部からの負荷により高速回転させることができにくくなっている。また、消費電力も多い。
【0004】
その一方、特許文献2の電動歯ブラシでは、偏心軸の回転によって振動を発生させているため、高速回転させることができるものの、電源電圧が低下することによりブラシ部の振幅が低下してしまい、性能が低下するという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、モータを高速回転させると共に、電源電圧が低下したとしてもブラシ部を常に一定振幅にて運動させることを可能とする電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ブラシ部と、回転軸を回転させるモータと、前記モータに電源電圧を供給する電池と、前記モータの回転軸の軸心からずれた位置に重心が配置され、前記回転軸と共に回転する偏心軸と、前記偏心軸の回転に伴って発生する振動を前記ブラシ部に伝える振動伝達手段を備えた電動歯ブラシにおいて、前記ブラシ部に負荷がかけられていない場合に、電源電圧の電圧変化に関係なく、ブラシ部の振幅を一定に調整する振幅調整手段を備えたことを要旨とする。
【0007】
この発明により、ブラシ部に負荷がかけられていない場合に、電池20から供給される電源電圧の変化に関係なく、ブラシ部の振幅を一定に調整する振幅調整手段を備えたため、ブラシ部の振幅を一定に調整することができる。従って、モータを高速回転させると共に、電源電圧が低下したとしてもブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記振幅調整手段は、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を前記モータに供給するパルス発生回路であることを要旨とする。
【0009】
この発明により、電池から供給される電源電圧の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を前記モータに印加するため、モータを高速回転させると共に、電源電圧が低下したとしてもブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記振幅調整手段は、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧を変換して、予め決められた電圧を前記モータに供給する定電圧回路であることを要旨とする。
【0011】
この発明により、電池から供給される電源電圧を変換して、予め決められた電圧を前記モータに供給する定電圧回路を設けた。このため、モータを高速回転させると共に、電源電圧が低下したとしてもブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記振幅調整手段は、前記モータに負荷がかけられている場合、前記モータにかかる負荷電流を検知するように構成されているとともに、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した負荷電流の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を供給することを要旨とする。
【0013】
この発明により、振幅調整手段は、ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した負荷電流の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を印加するようにした。このため、ブラシ部に負荷がかかったとしても、ブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記振幅調整手段は、前記モータに負荷がかけられている場合、前記モータの単位時間当たりの回転数を検知するように構成されているとともに、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した回転数に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を供給することを要旨とする。
【0015】
この発明により、振幅調整手段は、ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知したモータの回転数に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を印加するようにした。このため、ブラシ部に負荷がかかったとしても、ブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記振幅調整手段は、前記モータに負荷がかけられている場合、前記モータの逆起電力を検知するように構成されているとともに、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した逆起電力の値に応じて、予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を供給することを要旨とする。
【0017】
この発明により、振幅調整手段は、ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した逆起電力の値に応じて、予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を印加するようにした。このため、ブラシ部に負荷がかかったとしても、ブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、モータを高速回転させると共に、電源電圧が低下したとしてもブラシ部を常に一定振幅にて運動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電動歯ブラシ10は、歯磨き時に使用者により握られるケース11と、ケース11の先端側に設けられるブラシ部品12とから構成されている。ケース11は、長筒状に形成されており、ケース11内にはモータ13と、電源電圧を供給する電池20が収容されている。また、このケース11にはモータ13の駆動をオン又はオフに切り替えるスイッチボタン14が設けられている。
【0020】
そして、モータ13の回転軸13aは、ケース11の先端側からケースの長手方向に沿って突出している。このモータ13の回転軸13aには、偏心軸15が取り付けられている。この偏心軸15は、長尺状の軸本体15aと、回転軸13aの軸心から径方向にずれた位置に重心が配置される分銅15bから構成されている。前記分銅15bは軸本体15aの先端側に取り付けられている。
【0021】
そして、この偏心軸15は、振動伝達手段としての振動伝達部16により覆われている。振動伝達部16は、弾性のある振動吸収部17を介してケース11に対して固定されている。また、偏心軸15の先端は、振動伝達部16に形成された軸受16aに回転可能に固定されている。これにより、偏心軸15が回転することにより、振動伝達部16がケース11に対して振動するようになっている。
【0022】
また、この振動伝達部16は、ブラシ部品12により覆われている。このブラシ部品12は、振動伝達部16に装着される筒部18と、筒部の先端に設けられているブラシ部19が備えられている。なお、ブラシ部品12は、消耗品であり、交換することができるように振動伝達部16に対して着脱可能に構成されている。ブラシ部品12が、振動伝達部16が振動することにより、ブラシ部19も振動することとなる。従って、使用者は、ケース11を握って電源をオンし、振動するブラシ部19を歯にあてることにより、歯を磨くことができる。
【0023】
次に、ブラシ部品12を振動させるための回路構成について説明する。
図2に示すように、電池20のプラス側端子には、モータ13の一方の端子が接続されている。また、モータ13の他方の端子には、トランジスタ21のコレクタ側端子に接続されている。また、トランジスタ21のエミッタ側端子は、電池20のマイナス側端子に接続されている。すなわち、モータ13は、トランジスタ21を介して電池20に直列に接続されている。このため、トランジスタ21のベース側端子に所定の電圧が供給される(電流が流される)ことにより、モータ13には、電池20から電源電圧が供給されるようになっている。
【0024】
また、電池20には電源回路22が接続されている。電源回路22は、電池20からの電源電圧を昇圧する昇圧回路などから構成されており、電池20から供給された電源電圧を昇圧して供給できるようになっている。また、電源回路22には、CPUやRAM等から構成される振幅調整手段としてのマイコン23が接続されており、電源回路22からマイコン23を駆動させるために適切な電圧が供給されるようになっている。このマイコン23は、電池20と接続されており、電池20からモータ13へ供給される電源電圧を検知するように構成されている。
【0025】
また、マイコン23は、トランジスタ21のベース側端子と接続されており、検知した電池20の電源電圧の値に基づき、ベース側端子に所定の電圧を供給して、トランジスタ21のオン及びオフを切り替えること(Duty制御)ができるようになっている。すなわち、マイコン23は、検知した電池20の電源電圧の値に基づき、ベース側端子に電圧を所定時間供給し、モータ13に電池20からの電源電圧を供給させ、モータ13を回転させるように構成されている。以下、詳しく説明する。
【0026】
なお、通常、モータ13に供給される電源電圧と、ブラシ部19の振幅S(図1参照)は、図3に示すように、モータ13に供給される電源電圧が高ければ高いほど、ブラシ部19の振幅Sが大きくなる一方、電源電圧が低ければ低くなるほど、ブラシ部19の振幅Sが小さくなるような関係性を持っている。また、本実施形態では、モータ13に供給される電源電圧と、モータ13の回転数は、図3に示すように、モータ13に供給される電源電圧が高ければ高いほど、モータ13の回転数が小さくなる一方、電源電圧が低ければ低くなるほど、モータ13の回転数が大きくなるような関係性を持っている。このモータ13に供給される電源電圧とモータ13の回転数の関係性は、偏心軸15の長さ、偏心軸15の径、分銅15bの重さなどの要素により変化する。例えば、供給される電源電圧が高ければ高いほど、モータ13の回転数が大きくなる場合もあれば、供給される電源電圧が高くも低くもない所定値となったときに回転数がピークとなる場合もある。以上のことにより、モータ13の回転数が異なることにより、ブラシ部19の振幅Sも異なる値を取ることがわかる。すなわち、本実施形態では、モータ13の回転数が高ければ高いほど、ブラシ部19の振幅Sが小さくなる。
【0027】
そして、マイコン23は、検知した電池20の電源電圧の値に基づき、モータ13の回転数が一定となるように、パルス状にベース側端子へ電圧を供給(印加)するようになっている。すなわち、マイコン23は、モータ13の回転数が一定となるように、検知した電池20の電源電圧の値が大きければ大きいほど、ベース側端子に供給する電圧の時間を短くする一方、検知した電池20の電源電圧の値が小さければ小さいほど、ベース側端子に供給する電圧の時間を長くするようになっている。
【0028】
具体的には、マイコン23は、モータ13の回転数が一定となるように、電池20の電源電圧の値に応じて電圧を供給する時間を予め記憶しておき、検知した電池20の電源電圧の値に対応する時間、ベース側端子に電圧を供給するようになっている。これにより、モータ13は、パルス状に電池20から電源電圧が供給されるようになる。
【0029】
そして、モータ13は、電源電圧が供給された時だけ、回転軸13aを回転することとなる。しかしながら、電源電圧が印加される間隔が極めて短いため、モータ13の回転軸13aは、近似的に一定速度で回転していることとなる。なお、回転していない時間が存在するため、回転数は、常に回転軸13aを回転させるよりも少なくなる。
【0030】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、電池20の電源電圧の値が高いときには、モータ13を駆動させる時間(電源電圧を供給させる時間)を短くする一方、電源電圧が低いときには、駆動させる時間を長くすることにより、モータ13の回転数を一定にする。これにより、ブラシ部19の振幅Sも一定となる。以上のことにより、本実施形態では、マイコン23は、パルス発生回路ということとなる。
【0031】
なお、図4(a)は、電池20の電源電圧の残量(電池容量)が100%残っているときの、電源電圧の供給時間と、モータ13の回転数を示した図である。図4(b)は、電池20の電源電圧の残量(電池容量)が50%前後残っているときの、電源電圧の供給時間と、モータ13の回転数を示した図である。図4(c)は、電池20の電源電圧の残量(電池容量)がほぼ0%であるときの、電源電圧の供給時間と、モータ13の回転数を示した図である。また、マイコン23は、スイッチボタン14と接続されており、スイッチボタン14がオンされたときに、ベース側端子に電圧を印加し、モータ13を駆動させるように構成されている。また、電池20には、外部電源と接続される充電回路24が接続されており、電池20を充電することができるように構成されている。
【0032】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)モータ13の回転数が予め決められた回転数となるように、電池20から供給される電源電圧の値を検知し、当該電源電圧の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を前記モータ13に供給させるマイコン23を備えた。具体的には、マイコン23は、検知した電源電圧の値が高ければ高いほど、電源電圧を供給させる時間を短くする一方、検知した電源電圧の値が低ければ低いほど、電源電圧を供給させる時間を長くすることにより、モータ13の回転数を一定にさせた。すなわち、電池20の電源電圧の電圧変化に関係なく、ブラシ部19の振幅Sを一定に調整するマイコン23を備えた。このため、ブラシ部19の振幅Sを一定に調整することができ、モータ13を高速回転させると共に、電源電圧が低下したとしてもブラシ部19を常に一定振幅にて運動させることができる。すなわち、長時間使用した場合であっても、性能が低下しないようにすることができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同様の構成は、同じ符号を付すなどして重複する詳細な説明及び図面は省略又は簡略する。
【0034】
第2実施形態の回路構成について説明する。
図5に示すように、電池20にはスイッチボタン14を介して定電圧回路31が接続されている。スイッチボタン14をオンすることにより、定電圧回路31に電池20から電源電圧が供給されるようになっている一方、オフすることにより定電圧回路31への電源電圧の供給が停止(遮断)されるようになっている。
【0035】
そして、定電圧回路31には、モータ13が接続されており、定電圧回路31から駆動電圧が供給されるとモータ13の回転軸13aが回転するようになっている。前記定電圧回路31は、電池20から供給された電源電圧を変換し、予め決められた電圧値を有する駆動電圧をモータ13に印加する回路である。
【0036】
本実施形態の定電圧回路31は、モータ13に供給する駆動電圧を図3における電圧Cとなるにように変換し、モータ13に駆動電圧を印可している。図3における電圧Cは、電源電圧の最高値Aよりも低い値であって、モータ13の回転数が一番多くなる値となっている。これにより、モータ13を高速回転させることができる。また、電池20から供給される電源電圧の値が下がってきたとしても、電池20から供給される電源電圧の値が電圧C以下となるまで、定電圧回路31は、電源電圧を変換して、モータ13に電圧Cを印可させ続けることができる。これにより、電池20の電源電圧が低下しても、ブラシ部19の振幅Sを一定にすることができる。
【0037】
以上詳述したように、本実施形態は、第1実施形態と同様の効果を有する。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同様の構成は、同じ符号を付すなどして重複する詳細な説明及び図面は省略又は簡略する。
【0038】
第3実施形態の回路構成について説明する。
図6に示すように、電池20のプラス側端子には、モータ13の一方の端子が接続されている。また、モータ13の他方の端子には、トランジスタ21のコレクタ側端子に接続されている。また、トランジスタ21のエミッタ側端子は、電池20のマイナス側端子に接続されている。
【0039】
また、電池20には電源回路22が接続されている。また、電源回路22には、CPUやRAM等から構成されるマイコン23が接続されており、電源回路22からマイコン23を駆動させるために適切な電圧が供給されるようになっている。このマイコン23は、電池20と接続されており、電池20からモータ13へ供給される電源電圧を検知するように構成されている。また、マイコン23には、モータ13の回転数を検知する回転数検知回路41が接続されている。これにより、マイコン23は、モータ13の回転数を検知することができるようになっている。
【0040】
また、マイコン23は、トランジスタ21のベース側端子と接続されており、検知した電池20の電源電圧の値及びモータ13の回転数に基づき、ベース側端子に所定の電圧を供給して、トランジスタ21のオン及びオフを切り替えることができるようになっている。以下、詳しく説明する。マイコン23は、検知した電池20の電源電圧の値及びモータ13の回転数に基づき、モータ13の回転数が一定となるように、パルス状にベース側端子へ電圧を供給するようになっている。
【0041】
具体的には、マイコン23は、モータ13の回転数が一定となるように、電池20の電源電圧の値及びモータ13の回転数に応じて電圧を供給する時間を予め記憶しておき、検知した電池20の電源電圧の値及びモータ13の回転数に対応する時間、ベース側端子に電圧を供給するようになっている。これにより、モータ13は、パルス状に電池20から電源電圧が供給されるようになる。そして、モータ13は、電源電圧が供給された時だけ、回転軸13aを回転することとなる。しかしながら、電源電圧が供給される間隔は、極めて短いため、モータ13の回転軸13aは、近似的に一定速度で回転していることとなる。
【0042】
本実施形態では、電池20の電源電圧の値が高いときには、モータ13を駆動させる時間を短くする一方、電源電圧の値が低いときには、駆動させる時間を長くしている。また、モータ13の回転数が予め決められた回転数よりも低いときには、モータ13を駆動させる時間を長く(延長)している。これにより、電池20の電源電圧が低下した場合や、ブラシ部19に負担がかかり、回転軸13aの回転が妨げられたとしても、モータ13の回転数を一定にすることができる。これにより、ブラシ部19の振幅Sも一定とすることができる。
【0043】
以上詳述したように、本実施形態は、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。
(2)マイコン23は、ブラシ部19の振幅Sを一定に調整するように、電池20から供給される電源電圧の値及び回転数検知回路41により検知したモータ13の回転数に応じて、予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を供給するようにした。このため、ブラシ部19に負荷がかかったとしても、ブラシ部19を常に一定振幅にて運動させることができる。すなわち、使用中に、性能が低下しないようにすることができる。また、電池20の電源電圧を変換することなく、そのまま利用しているため、無駄な消耗を押さえ、使用時間を長くすることができる。
【0044】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同様の構成は、同じ符号を付すなどして重複する詳細な説明及び図面は省略又は簡略する。
【0045】
第4実施形態の回路構成について説明する。
図7に示すように、電池20のプラス側端子には、モータ13の一方の端子が接続されている。また、モータ13の他方の端子には、トランジスタ21のコレクタ側端子に接続されている。また、トランジスタ21のエミッタ側端子は、電池20のマイナス側端子に接続されている。
【0046】
また、電池20には電源回路22が接続されている。また、電源回路22には、CPUやRAM等から構成されるマイコン23が接続されており、電源回路22からマイコン23を駆動させるために適切な電圧が供給されるようになっている。このマイコン23は、電池20と接続されており、電池20からモータ13へ供給される電源電圧を検知するように構成されている。また、マイコン23には、モータ13に流れる電流を検知する負荷電流検知回路51が接続されている。これにより、マイコン23は、モータ13の負荷電流を検知することができるようになっている。
【0047】
また、マイコン23は、トランジスタ21のベース側端子と接続されており、検知した電池20の電源電圧の値及びモータ13の負荷電流に基づき、ベース側端子に所定の電圧を供給して、トランジスタ21のオン及びオフを切り替えることができるようになっている。以下、詳しく説明する。マイコン23は、検知した電池20の電源電圧の値及びモータ13の負荷電流に基づき、モータ13の回転数が一定となるように、パルス状にベース側端子へ電圧を供給するようになっている。
【0048】
具体的には、マイコン23は、モータ13の回転数が一定となるように、電池20の電源電圧の値及びモータ13の負荷電流に応じて電圧を供給する時間を予め記憶しておき、検知した電池20の電源電圧の値及びモータ13の負荷電流に対応する時間、ベース側端子に電圧を供給するようになっている。これにより、モータ13は、パルス状に電池20から電源電圧が供給されるようになる。そして、モータ13は、電源電圧が供給された時だけ、回転軸13aを回転することとなる。しかしながら、電源電圧が供給される間隔が極めて短いため、モータ13の回転軸13aは、近似的に一定速度で回転していることとなる。
【0049】
本実施形態では、電池20の電源電圧の値が高いときには、モータ13を駆動させる時間を短くする一方、電源電圧が低いときには、駆動させる時間を長くしている。また、モータ13の負荷電流に対して、どれだけモータ13を駆動させる時間を延長させるかを予め定められている。これにより、電池20の電源電圧が低下した場合や、ブラシ部19に負担がかかり、回転軸13aの回転が妨げられたとしても、モータ13の回転数を一定にすることができる。これにより、ブラシ部19の振幅Sも一定とすることができる。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態は、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。
(3)マイコン23は、ブラシ部19の振幅Sを一定に調整するように、電池20から供給される電源電圧の値及び負荷電流検知回路51により検知したモータ13の負荷電流に応じて、予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を印加するようにした。このため、ブラシ部19に負荷がかかったとしても、ブラシ部19を常に一定振幅にて運動させることができる。すなわち、使用中に、性能が低下しないようにすることができる。また、電池20の電源電圧を変換することなく、そのまま利用しているため、無駄な消耗を押さえ、使用時間を長くすることができる。
【0051】
尚、上記実施形態は、次のような別の実施形態(別例)にて具体化できる。
○上記第2実施形態及び第3実施形態では、モータ13の回転数又は負荷電流を検知して、どれだけモータ13に負荷がかかっているかを測定し、負荷に応じて電源電圧の供給時間を延長させていた。この別例として、負荷が生じた場合、モータ13に電源電圧が供給されていないときに生じる逆起電力を検知し、どれだけモータ13に負荷がかかっているかを測定し、逆起電力の値に応じて電源電圧の供給時間を延長させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)は電動歯ブラシの側断面図、(b)は電動歯ブラシの正面断面図。
【図2】電動歯ブラシの回路構成を示すブロック図。
【図3】ブラシ部の振幅と、電源電圧の値と、モータの回転数の関係性の関係性を示す説明図。
【図4】(a)〜(c)は、電源電圧の供給時間と、モータの回転数の関係性を示す説明図。
【図5】第2実施形態の電動歯ブラシの回路構成を示すブロック図。
【図6】第3実施形態の電動歯ブラシの回路構成を示すブロック図。
【図7】第4実施形態の電動歯ブラシの回路構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0053】
10…電動歯ブラシ、11…ケース、12…ブラシ部品、13…モータ、14…スイッチボタン、15…偏心軸、15a…軸本体、15b…分銅、16…振動伝達部、17…振動吸収部、18…筒部、19…ブラシ部、20…電池、21…トランジスタ、22…電源回路、23…マイコン、31…定電圧回路、41…回転数検知回路、51…負荷電流検知回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ部と、回転軸を回転させるモータと、前記モータに電源電圧を供給する電池と、前記モータの回転軸の軸心からずれた位置に重心が配置され、前記回転軸と共に回転する偏心軸と、前記偏心軸の回転に伴って発生する振動を前記ブラシ部に伝える振動伝達手段を備えた電動歯ブラシにおいて、
前記ブラシ部に負荷がかけられていない場合に、電源電圧の電圧変化に関係なく、ブラシ部の振幅を一定に調整する振幅調整手段を備えたことを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記振幅調整手段は、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を前記モータに供給するパルス発生回路であることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記振幅調整手段は、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧を変換して、予め決められた電圧を前記モータに供給する定電圧回路であることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記振幅調整手段は、前記モータに負荷がかけられている場合、前記モータにかかる負荷電流を検知するように構成されているとともに、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した負荷電流の値に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を供給することを特徴とする請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記振幅調整手段は、前記モータに負荷がかけられている場合、前記モータの単位時間当たりの回転数を検知するように構成されているとともに、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した回転数に応じて予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を供給することを特徴とする請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記振幅調整手段は、前記モータに負荷がかけられている場合、前記モータの逆起電力を検知するように構成されているとともに、前記ブラシ部の振幅を一定に調整するように、前記電池から供給される電源電圧の値及び検知した逆起電力の値に応じて、予め設定された時間だけパルス状に電源電圧を供給することを特徴とする請求項2に記載の電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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