説明

電動歯ブラシ

【課題】分銅の回転によりブラシ部を振動させる機能および口腔内に通電する機能を有する電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】電動歯ブラシ1は、ブラシとしてのヘッド12を有するブラシ部20と、ブラシ部20を取り付けるための取付軸30を有する本体部10と、分銅14bを回転させるモータ12とを含み、分銅14bの回転によりブラシ部20を振動させる。本体部10に電源部11が設けられ、電源部11に接続されて外側に露出した第1電極40が本体部10に設けられ、電源部11に接続されて外側に露出した第2電極50がブラシ部20に設けられている。また、分銅14bが取付軸30内に設けられ、取付軸30が導電性部材により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシを有するブラシ部と、ブラシ部を取り付けるための取付軸を有する本体部と、分銅を回転させるモータとを含み、分銅の回転によりブラシ部を振動させる電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動歯ブラシは、ギアやカム等の変換手段を備えたアクチュエータ、あるいは、磁気回路構造を備えたアクチュエータにより構成される駆動部により、ブラシ部を駆動する構成となっている。このような電動歯ブラシにおいて、例えば特許文献1、2に記載されるように、通電機能を搭載するものが知られている。
【0003】
また、例えば特許文献3に記載されるように、モータに連結された分銅が回転することにより振動を発生させる電動歯ブラシが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−183378号公報
【特許文献2】特開2009−125428号公報
【特許文献3】特開2009−219544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、分胴が回転することにより振動を発生させる電動歯ブラシにおいては、通電機能を搭載するものが提供されていない。
本発明の目的は、分銅の回転によりブラシ部を振動させる機能および口腔内に通電する機能を有する電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動歯ブラシは、ブラシを有するブラシ部と、このブラシ部を取り付けるための取付軸を有する本体部と、分銅を回転させるモータとを含み、前記分銅の回転により前記ブラシ部を振動させるものであり、前記本体部に電源部が設けられること、前記電源部に接続されて外側に露出した第1電極が前記本体部に設けられること、前記電源部に接続されて外側に露出した第2電極が前記ブラシ部に設けられること、前記分銅が前記取付軸内に設けられること、前記取付軸が導電性部材により形成されることを特徴とする。
【0007】
この電動歯ブラシにおいて、前記取付軸には、前記分銅の回転により生じた振動を前記ブラシ部に伝達するための伝達部が設けられ、前記第2電極が前記伝達部と電気的に接続されることが好ましい。
【0008】
この電動歯ブラシにおいて、前記取付軸には、前記ブラシ部を前記取付軸に固定するための固定部が設けられ、前記第2電極が前記固定部と電気的に接続されることが好ましい。
【0009】
この電動歯ブラシにおいて、前記取付軸が非金属の導電性部材により形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分銅の回転によりブラシ部を振動させる機能および口腔内に通電する機能を有する電動歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の電動歯ブラシについて、その断面構造を示す断面図。
【図2】同実施形態の電動歯ブラシの一部分を拡大した断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態の電動歯ブラシについて、(a)はその断面構造を示す断面図、(b)はその一部分を拡大した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下では電動歯ブラシ1の長手方向を上下方向とする。
【0013】
図1に示すように、電動歯ブラシ1は、歯磨き時にユーザにより握られる有底円筒状の本体部10と、本体部10への取り付けおよび本体部10からの取り外しが可能なブラシ部20とを備えている。本体部10は、絶縁材料により形成されている。
【0014】
本体部10の内部には、放電および充電が可能な二次電池を含む電源部11と、電源部11を駆動源として駆動するモータ12とが設けられている。
本体部10には、電源部11とモータ12とを接続する電路の開閉が可能なスイッチ13が設けられている。モータ12の回転軸12aには、偏心軸14が取り付けられている。偏心軸14は、長尺状の軸本体14aと、軸本体14aの上端に設けられた分銅14bとから構成されている。分銅14bの重心は、回転軸12aの回転の中心軸に対して、径方向に偏心している。
【0015】
本体部10は、ブラシ部20を取り付けるための筒状の取付軸30を有している。取付軸30は、非金属の導電性部材により形成されている。非金属の導電性部材としては、例えば炭素繊維入りの合成樹脂が用いられる。また、この合成樹脂としては、ABS樹脂を用いることができる。
【0016】
取付軸30は、本体部10の上側端部に取り付けられる被取付部31と、ブラシ部20の下側端部が固定される固定部32と、偏心軸14を収容する軸収容部33と、分銅14bの先端を回転可能に支持する軸支持部34とを備えている。
【0017】
取付軸30内には偏心軸14が挿通されている。被取付部31および固定部32は、取付軸30の外側表面に形成された凹凸により構成されている。被取付部31は、本体部10に固定されている。被取付部31と本体部10との間には、分銅14bの回転により発生する振動を吸収する振動吸収部10aが設けられている。振動吸収部10aは弾性を有する部材により形成されている。固定部32は、ブラシ部20の下端部に設けられた爪21aを係合するための凹部として形成されている。すなわち、固定部32の上側には、外方へ突出した固定凸部32aが設けられ、固定部32は、この固定凸部32aに対して内方へ窪んだ形状を有している。
【0018】
取付軸30から突出する固定凸部32aの一部には切り欠きが形成されている。そして、本体部10にブラシ部20を固定するときには、この切り欠きに爪21aを挿入した後に、本体部10に対してブラシ部20を回転させる。これにより、爪21aが、固定凸部32aに係合する状態となる。なお、固定部32には、外方に僅かに突出したリブが、軸方向に延びるように形成されている。ブラシ部20を回転させると、爪21aが固定部32に設けられたリブを乗り上げるとクリック感が生じて、使用者はブラシ部20が固定されたことを把握できる。
【0019】
軸収容部33は、上下方向において内径が略一定となる円筒部である。軸収容部33の内部には、偏心軸14の軸本体14aおよび分銅14bが軸収容部33の内側表面から僅かな間隔をあけて設けられている。軸収容部33の外側表面は、ブラシ部20の内側表面に沿った形状を有している。軸収容部33の外側表面の上側端部には、上下方向に垂直な径方向に僅かに突出したリブ33aが設けられている。軸収容部33のリブ33aは、本体部10へ取り付けられたブラシ部20の内面に当接する。
【0020】
リブ33aは、分銅14bの回転により生じた振動をブラシ部20に伝達するための伝達部として設けられている。軸収容部33の上端部には、軸支持部34が接続されている。軸支持部34は、偏心軸14の上端である分銅14bの上端を支持している。
【0021】
ブラシ部20は、樹脂材料により形成されて取付軸30が内部に挿通された筒部21と、筒部21の上端部に設けられて絶縁材料により形成されたヘッド22とを有している。ブラシであるヘッド22には、歯を刷掃するための束ねられた繊維23が設けられている。
【0022】
ブラシ部20の下端部である筒部21の下端部には、筒部21の内側表面から突出した爪21aが設けられている。この爪21aが、固定凸部32aに係合することにより、本体部10に対するブラシ部20の上方への移動が規制されて、ブラシ部20が本体部10に固定される。なお、爪21aが固定部32に設けられたリブを乗り上げた状態で、ブラシ部20が本体部10に固定されているため、爪21aは固定部32と当接している(図3(b)参照)。すなわち、図面においては、リブが設けられた箇所を含んだ固定部32の断面を示している。
【0023】
本体部10に設けられた取付軸30は、筒部21により覆われている。リブ33aと筒部21の内側表面とは互いに接触している。これにより、分銅14bの回転により生じた振動がリブ33aを介してブラシ部20に伝達されて、ブラシ部20が振動する。
【0024】
次に、使用者に通電するための構成について詳しく説明する。
本体部10には、通電部材(不図示)を介して電源部11の一方の極と電気的に接続された第1電極40が設けられている。第1電極40は、本体部10の外側表面に露出している。すなわち、本体部10を握る使用者の手指と接触する手指側電極として設けられている。
【0025】
ブラシ部20には、通電部材51を介して電源部11の他方の極と電気的に接続された第2電極50が設けられている。第2電極50は、ヘッド22において束ねられた繊維23の近傍に露出するように設けられている。すなわち、ヘッド22を挿入する口腔と接触する口腔側電極として設けられている。
【0026】
通電部材51は、筒部21およびヘッド22に埋め込まれている。通電部材51の上端部は、第2電極50に接続されている。通電部材51の下端部は、取付軸30のリブ33aに接続されている。
【0027】
取付軸30は、他の通電部材(図示略)により電源部11の他方の極に接続されている。これにより、第2電極50は、通電部材51および取付軸30を介して電源部11の他方の極に電気的に接続されている。
【0028】
通電部材51の下端部すなわち取付軸30のリブ33aとの接触部分は、ブラシ部20が本体部10に取り付けられていない状態において、リブ33a側に向けて傾斜した形状を有する。このため、通電部材51がリブ33aと接触しているときには、通電部材51がリブ33aにより外側に向けて押し出された状態となるため、通電部材51とリブ33aとが密着する。
【0029】
取付軸30と電源部11との電気的な接続および切断は、スイッチ13を用いて行われる。すなわち、スイッチ13がオンのとき、電源部11と第2電極50とを接続する電路が接続される。
【0030】
電動歯ブラシ1の動作について説明する。
ユーザは、本体部10の第1電極40を把持した状態で電動歯ブラシ1を使用する。ユーザによりスイッチ13がオンにされたとき、電源部11からモータ12に電力が供給される。これによりモータ12が回転するため、偏心軸14の軸本体14aとともに分銅14bが回転する。このときの分銅14bの振動がリブ33aを介してブラシ部20に伝達される。これによりブラシ部20が振動する。
【0031】
また、ユーザによりスイッチ13がオンにされたとき、電源部11の一方の極から、第1電極40、ユーザの体内(手指、胴体、口腔)、第2電極50、通電部材51、取付軸30、および電源部11の他方の極からなる通電回路が形成される。これにより、ブラッシング時にユーザの口腔内に電流が流れる。口腔内に100μA(マイクロアンペア)程度の電流を供給したときには、特に好適な歯茎のマッサージ効果が得られる。なお、口腔内に流す電流は直流および交流のいずれでもよい。また、電流の供給の仕方としては、一定値の電流を供給するものに限らず、例えばパルス状の電流を供給することもできる。
【0032】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本体部10に電源部11が設けられている。また、電源部11に接続されて外側に露出した第1電極40が本体部10に設けられている。また、電源部11に接続されて外側に露出した第2電極50がブラシ部20に設けられている。また、内部に分銅14bが設けられている取付軸30が導電性部材により形成されている。したがって、本体部10に設けられた電源部11に第1電極40と第2電極50とが接続された状態で、第1電極40が露出した本体部10を握りながら、第2電極50が露出したブラシ部20で歯磨きを行うことにより、口腔内に通電することができる。
【0033】
(2)取付軸30には、分銅14bの回転により生じた振動をブラシ部20に伝達するための伝達部としてリブ33aが設けられ、第2電極50が取付軸30のリブ33aと電気的に接続される。このため、リブ33aが、ブラシ部20へ振動を伝達するための構成と、電源部11と第2電極50とを電気的に接続するための構成とを兼ねることができる。
【0034】
(3)取付軸30が非金属の導電性部材により形成されているため、取付軸30が金属の導電性部材により形成されている場合に比べて、取付軸30の腐食を抑制することができる。
【0035】
(第2の実施形態)
図3を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその重複する説明を省略または簡略化して説明する。図3(b)は、図3(a)の破線部分を拡大した断面図を示す。
【0036】
ブラシ部20が本体部10に固定されている状態においては、爪21aおよび通電部材51は固定部32と当接している。これにより、取付軸30と通電部材51とが電気的に接続されている。すなわち、通電部材51の下端部は、取付軸30の固定部32に接続されている。通電部材51の下端部すなわち取付軸30の固定部32との接触部分は、ブラシ部20が本体部10に取り付けられていない状態において、固定部32側に向けて傾斜した形状を有する。このため、通電部材51が固定部32と接触しているときには、通電部材51が固定部32により外側に向けて押し出された状態となるため、通電部材51と固定部32とが密着する。
【0037】
本実施形態によれば、上記第1の実施形態の(1)および(3)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(4)取付軸30には、ブラシ部20を取付軸30に固定するための固定部32が設けられ、第2電極50が取付軸30の固定部32と電気的に接続される。このため、固定部32が、ブラシ部20を取付軸30に固定するための構成と、電源部11と第2電極50とを電気的に接続するための構成とを兼ねることができる。
【0038】
(その他の実施形態)
・電源部11が放電のみ可能な一次電池により構成されていてもよい。また、電動歯ブラシ1外の商用電源をモータ12の駆動源としてもよい。
【0039】
・取付軸30と電源部11との電気的な接続と、モータ12と電源部11との電気的な接続とが連動していなくてもよい。例えば、電動歯ブラシ1が、スイッチ13とは別個のスイッチを備え、このスイッチが、電源部11と第2電極50とを接続する電路の開閉を行ってもよい。
【0040】
・取付軸30が金属の導電性部材により形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…電動歯ブラシ、10…本体部、11…電源部、12…モータ、14…偏心軸、14b…分銅、20…ブラシ部、22…ヘッド(ブラシ)、30…取付軸、32…固定部、33…軸収容部、33a…リブ(伝達部)、40…第1電極、50…第2電極、51…通電部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシを有するブラシ部と、このブラシ部を取り付けるための取付軸を有する本体部と、分銅を回転させるモータとを含み、前記分銅の回転により前記ブラシ部を振動させる電動歯ブラシにおいて、
前記本体部に電源部が設けられること、
前記電源部に接続されて外側に露出した第1電極が前記本体部に設けられること、
前記電源部に接続されて外側に露出した第2電極が前記ブラシ部に設けられること、
前記分銅が前記取付軸内に設けられること、
前記取付軸が導電性部材により形成されること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記取付軸には、前記分銅の回転により生じた振動を前記ブラシ部に伝達するための伝達部が設けられ、
前記第2電極が前記伝達部と電気的に接続される
ことを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項3】
請求項1に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記取付軸には、前記ブラシ部を前記取付軸に固定するための固定部が設けられ、
前記第2電極が前記固定部と電気的に接続される
ことを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記取付軸が非金属の導電性部材により形成される
ことを特徴とする電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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