説明

電動歯ブラシ

【課題】植毛部分をより明るくすることのできる電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】電動歯ブラシ1は、電池29を収容する本体ケース22と、ブラシ毛61が植えられた植毛部分62を有するアタッチメント60とを有する。本体ケース22は、アタッチメント60を取り付けるための取付軸32を有する。この取付軸32のうちのアタッチメント60に覆われる部分には、光源27が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源を収容する本体部材と、ブラシ毛が植えられた植毛部分を有する清掃部材とを備え、本体部材への清掃部材の取り付けおよび本体部材からの清掃部材の取り外しが可能な電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
上記電動歯ブラシとして、特許文献1に記載のものが知られている。
この電動歯ブラシの本体部材の内部には、歯の清掃時に口腔内を照らすための光源が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電動歯ブラシでは、本体部材の内部に光源が設けられているため、歯の清掃時において清掃部材の植毛部分が光源からの光により十分に照らされないおそれがある。このため、植毛部分をより明るくするという点において改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、植毛部分をより明るくすることのできる電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段を以下に記載する。
・本発明の電動歯ブラシは、電源を収容する本体部材と、ブラシ毛が植えられた植毛部分を有する清掃部材とを備え、前記本体部材への前記清掃部材の取り付けおよび前記本体部材からの前記清掃部材の取り外しが可能であり、前記清掃部材を取り付けるための取付軸が前記本体部材に設けられていること、ならびに、前記取付軸のうちの前記清掃部材に覆われる部分に光源が設けられていることを特徴としている。
【0007】
・この電動歯ブラシにおいては、振動源となる振動発生装置が前記本体部材に設けられていること、ならびに、前記振動発生装置の少なくとも一部が前記取付軸内に設けられていることが好ましい。
【0008】
・この電動歯ブラシにおいては、前記取付軸のうちの前記振動発生装置よりも前記植毛部分に近い部分に前記光源が設けられていることが好ましい。
・この電動歯ブラシにおいては、前記光源が前記植毛部分に向けて光を照射することが好ましい。
【0009】
・この電動歯ブラシにおいては、前記清掃部材には、前記取付軸の周囲を覆う外壁部分と前記植毛部分とが設けられていること、ならびに、前記外壁部分のうちの前記植毛部分と前記光源との間の部分に光を透過しやすい透光部材が設けられていることが好ましい。
【0010】
・この電動歯ブラシにおいては、前記ブラシ毛の中心軸および前記本体部材の中心軸と平行な断面を側断面とし、この側断面において前記本体部材の中心線に対して前記ブラシ毛の先端部分が含まれる側を本体前側として、前記清掃部材には、前記取付軸の周囲を覆う外壁部分と前記植毛部分とが設けられていること、ならびに、前記外壁部分のうちの前記本体前側の部分に前記透光部材が設けられていることが好ましい。
【0011】
・この電動歯ブラシにおいては、前記外壁部分のうちの前記本体前側の部分には、前記本体部材側から前記植毛部分側に向かうにつれて前記本体部材の中心線に近づくように傾斜する前側傾斜部分が設けられていることが好ましい。
【0012】
・この電動歯ブラシにおいては、前記光源の光を前記透光部材に向けて反射する反射部材が設けられていることが好ましい。
・この電動歯ブラシにおいては、前記清掃部材を覆うキャップを含むこと、ならびに、前記ブラシ毛の中心軸および前記本体部材の中心軸と平行な断面を側断面とし、この側断面において前記本体部材の中心線に対して前記ブラシ毛の先端部分が含まれる側を本体前側とし、前記植毛部分のうちの前記ブラシ毛が設けられる面を植毛面としたとき、この植毛面が前記本体前側に設けられていることが好ましい。
【0013】
・この電動歯ブラシにおいては、前記清掃部材を覆うキャップを含むこと、ならびに、前記キャップのうちの前記ブラシ毛の先端面に対向する部分に換気孔が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、植毛部分をより明るくすることのできる電動歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の電動歯ブラシについて、(a)は歯ブラシ本体からキャップが取り外された状態の正面構造を示す正面図、(b)は歯ブラシ本体からアタッチメントが取り外された状態の側面構造を示す側面図。
【図2】同実施形態の電動歯ブラシについて、(a)は歯ブラシ本体にキャップが取り付けられた状態の正面構造を示す正面図、(b)は同状態の側面構造を示す側面図、(c)は同状態の背面構造を示す背面図。
【図3】同実施形態の電動歯ブラシについて、(a)は図2(a)のA−A線に沿う断面構造を示す断面図、(b)は同(a)のアタッチメント、取付軸、およびその周辺の拡大構造を示す拡大図。
【図4】同実施形態の電動歯ブラシの透光部材について、(a)はその正面構造を示す正面図、(b)はその側面構造を示す側面図、(c)はその背面構造を示す背面図。
【図5】同実施形態の電動歯ブラシのアタッチメントについて、(a)はブラシ柄の断面構造を示す断面図、(b)は同(a)のB−B線に沿う断面構造を示す断面図。
【図6】本発明のその他の実施形態の電動歯ブラシのキャップについて、(a)は先端部分の正面構造を示す正面図、(b)は先端部分の断面構造を示す断面図。
【図7】本発明のその他の実施形態の電動歯ブラシについて、光源およびその周辺の断面構造を示す断面図。
【図8】参考例としての電動歯ブラシについて、(a)は本体ケースからアタッチメントが取り外された状態の側面構造を示す側面図、(b)は本体ケースにアタッチメントが取り付けられた状態においての同(a)のC−C線に沿う断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2を参照して、電動歯ブラシ1の全体の構成について説明する。
電動歯ブラシ1は、使用者が自身または他人の歯を清掃するときに使用する歯ブラシ本体10と、使用者が歯ブラシ本体10を保管するときに歯ブラシ本体10に取り付けるキャップ90とを有する。
【0017】
図1(a)に示されるように、歯ブラシ本体10は、電源としての電池29(図3)等をはじめとして各種の部品が内蔵される本体装置20と、歯を清掃するアタッチメント60とを有する。
【0018】
本体装置20は、歯の清掃時に使用者により把持される把持ケース21と、本体装置20の各部品が取り付けられる本体ケース22とを有する。なお、本体ケース22は「本体部材」に相当する。
【0019】
図1(b)に示されるように、本体ケース22は、アタッチメント60を取り付けるための取付軸32を有する。取付軸32は、筒型の部分として形成されている。なお、アタッチメント60は「清掃部材」に相当する。
【0020】
アタッチメント60は、取付軸32に取り付けること、および取付軸32から取り外すことができる。また、フィラメントにより形成された複数のブラシ毛61と、複数のブラシ毛61が植えられたブラシ柄70とを有する。
【0021】
ブラシ柄70は、複数のブラシ毛61が植えられた先端部分71と、本体ケース22の取付軸32の周囲を覆う外壁部分72とを有する。ブラシ柄70を構成する材料としては、白色の樹脂材料が用いられている。なお、以下では先端部分71とブラシ毛61とにより構成される部分を植毛部分62とする。
【0022】
ここで、電動歯ブラシ1の方向として以下のものを定義する。
(A)歯ブラシ本体10の中心線(以下、「本体中心線C1」)に沿う方向を「高さ方向Y」とし、歯ブラシ本体10の正面視(図1(a))において高さ方向Yに直交する方向を「奥行方向Z」とし、歯ブラシ本体10の側面視(図1(b))において高さ方向Yに直交する方向を「幅方向X」とする。
(B)高さ方向Yにおいて、把持ケース21からアタッチメント60に向かう方向を「上方」とし、高さ方向Yにおいて上方とは反対の方向を「下方」とする。
(C)奥行方向Zにおいて、ブラシ毛61の根元部分から先端部分に向かう方向を「前方」とし、奥行方向Zにおいて前方とは反対の方向を「後方」とする。
(D)電動歯ブラシ1の任意の位置を基準として、高さ方向Yにおいて相対的に上方にある部分を「上側」とし、高さ方向Yにおいて相対的に下方にある部分を「下側」とする。
(E)電動歯ブラシ1の任意の位置を基準として、奥行方向Zにおいて相対的に前方にある部分を「前側」とし、奥行方向Zにおいて相対的に後方にある部分を「後側」とする。
(F)本体中心線C1およびブラシ毛61の中心線と平行な断面(図3)を「側断面」とする。
【0023】
図1(b)に示されるように、本体装置20は、歯ブラシ本体10の動作を切り替えるための操作部材26を有する。操作部材26は、高さ方向Yにおいて取付軸32よりも下側、かつ奥行方向Zにおいて本体中心線C1よりも後側に設けられている。
【0024】
図1(a)に示されるように、外壁部分72のうちの前方の部分には、開口部分73が形成されている。外壁部分72の幅方向Xの寸法は、高さ方向Yにおいて下方から上方に向かうにつれて小さくなる。開口部分73の高さ方向Yの寸法は、開口部分73の幅方向Xの寸法よりも大きい。開口部分73の幅方向Xの寸法は、高さ方向Yにおいて下方から上方に向かうにつれて小さくなる。
【0025】
開口部分73には、透明な樹脂材料であるABS樹脂により形成された透光部材80が取り付けられている。透光部材80の透過率は、ブラシ柄70の樹脂材料の透過率よりも大きい。
【0026】
図1(b)に示されるように、外壁部分72のうちの前方の部分には、高さ方向Yにおいて下方から上方に向かうにつれて本体中心線C1に近づくように傾斜する前側傾斜部分72Aが形成されている。外壁部分72のうちの後方の部分には、高さ方向において下方から上方に向かうにつれて本体中心線C1に近づくように傾斜する後側傾斜部分72Bが形成されている。前側傾斜部分72Aの傾斜度合は、後側傾斜部分72Bの傾斜度合よりも大きい。透光部材80は、前側傾斜部分72Aの一部を構成している。すなわち、透光部材80の外面の形状は、前側傾斜部分72Aの外面の形状に対応して傾斜している。
【0027】
図2を参照して、キャップ90の詳細な構成について説明する。
キャップ90は、図1のブラシ柄70の周囲を覆う円筒状の周壁91と、図1の植毛部分62の上方の部分を覆う半球状の上壁92とを有する。上壁92は、動物の頭部を模した形状を有する意匠部分として構成されている。
【0028】
図2(a)および(b)に示されるように、上壁92の上部には、半球状の2つの突起93が形成されている。上壁92のうちの前側の部分には、円形状の2つの換気孔94、楕円形状の換気孔95、および湾曲形状の換気孔96が形成されている。換気孔94〜96は、奥行方向Zにおいてブラシ毛61の先端面と対向している(図3参照)。
【0029】
キャップ90においては、正面からみたときに上壁92に動物の顔が形成されていることが認識されるように、突起93、2つの換気孔94、換気孔95、および換気孔96のそれぞれの形状および形成位置が規定されている。
【0030】
図2(c)に示されるように、キャップ90の後側の部分には、高さ方向Yにおいて整列した3つの換気孔97が形成されている。上段の換気孔97は、上壁92の中間部分に形成されている。中段の換気孔97は、上壁92の下端部分に形成されている。下段の換気孔97は、周壁91の上端部分に形成されている。各換気孔97は、楕円形状の孔として形成されている。各換気孔97の幅方向Xの寸法は、各換気孔97の高さ方向Yの寸法よりも大きい。
【0031】
キャップ90においては、背面からみたときに上壁92に動物の後頭部が形成されていることが認識されるように、3つの換気孔97および2つの突起93のそれぞれの形状および形成位置が規定されている。
【0032】
図3を参照して、歯ブラシ本体10内の構成について説明する。
本体ケース22は、複数の部品が取り付けられたインナーケース40と、インナーケース40の一部を覆うアウターケース30とを有する。
【0033】
本体ケース22の内部には、スイッチ23Aおよびマイクロコンピュータ(以下、「マイコン23B」)を有する制御基板23と、電源としての電池29と制御基板23とを互いに接続する接続部材25と、振動源としての振動発生装置50とが設けられている。また、植毛部分62に向けて光を照射する光源27と、制御基板23と光源27とを互いに接続する中継基板24と、光源27を上方から覆うカバー28とが設けられている。
【0034】
スイッチ23Aとしては、タクトスイッチが用いられている。光源27としては、砲弾型の発光ダイオードが用いられている。カバー28の材料としては、透明な樹脂材料であるABS樹脂が用いられている。
【0035】
スイッチ23Aは、操作部材26が押し下げられることにともない押し下げられる。マイコン23Bは、操作部材26の押し下げ操作によりスイッチ23Aが押し下げられる毎に入力される信号に基づいて、歯ブラシ本体10の動作を制御する。
【0036】
振動発生装置50は、出力軸52を有する電動モータ51と、出力軸52に固定された偏心鐘53と、電動モータ51の駆動により生じる振動を本体ケース22に伝達する伝達部材54とを有する。偏心鐘53の重心は、出力軸52の回転中心に対して偏心している。伝達部材54は、電動モータ51に固定されている。伝達部材54の外面は、アウターケース30の後面30Bに接触している。
【0037】
アウターケース30は、操作部材26が取り付けられた筒状のケース本体31と、ケース本体31の上部に連続して形成された取付軸32とを有する。取付軸32は、ケース本体31と一体的に形成されている。ケース本体31のうちの下方の外面には、装飾部材33が取り付けられている。
【0038】
図3(b)に示されるように、取付軸32には、側断面においての奥行方向Zの寸法が互いに異なる3つの部分、すなわち先端軸32A、中間軸32B、および基端軸32Cが形成されている。各軸32A〜32Cは、高さ方向Yにおいて上方から下方に向けて先端軸32A、中間軸32B、および基端軸32Cの順に形成されている。先端軸32Aの奥行方向Zの寸法は、中間軸32Bの奥行方向Zの寸法よりも小さい。中間軸32Bの奥行方向Zの寸法は、基端軸32Cの奥行方向Zの寸法よりも小さい。
【0039】
先端軸32Aの上端部分には、開口部分32Dが形成されている。カバー28は、開口部分32Dに圧入されている。カバー28の上面は、奥行方向Zおよび幅方向Xに沿う平面として形成されている。カバー28の下面には、下方から上方に向けて半球状に凹む湾曲部分28Aが形成されている。
【0040】
図3(a)に示されるように、インナーケース40は、各部品を取り付けるための5つの取付部分、すなわち第1取付部分41、第2取付部分42、第3取付部分43、第4取付部分44、および第5取付部分45を有する。各取付部分41〜45は、高さ方向Yにおいて下方から上方に向けて第1取付部分41、第2取付部分42、第3取付部分43、第4取付部分44、および第5取付部分45の順に形成されている。
【0041】
第1取付部分41は、電池29を取り付けるための部分として形成されている。第2取付部分42は、制御基板23を取り付けるための部分として形成されている。第3取付部分43は、中継基板24を取り付けるための部分として形成されている。第4取付部分44は、振動発生装置50を取り付けるための部分として形成されている。第5取付部分45は、光源27を取り付けるための部分として、かつ中実の四角柱形状の部分として形成されている。
【0042】
図3(b)に示されるように、取付軸32の内部には、インナーケース40の第3取付部分43、第4取付部分44、および第5取付部分45が収容されている。すなわち、取付軸32の内部には、中継基板24、振動発生装置50、および光源27が収容されている。
【0043】
図3(a)を参照して、歯ブラシ本体10内の各部品の位置関係について説明する。なお、側断面においてブラシ柄70の外面のうちの前方の面を「前面70C」とし、ブラシ柄70の外面のうちの後方の面を「後面70D」とする。また、ブラシ柄70の先端部分71の前面70Cを「植毛面71A」とし、同先端部分71の後面70Dを「頭背面71B」とする。
(A)制御基板23は、高さ方向Yにおいて電池29よりも上側に設けられている。
(B)中継基板24は、高さ方向Yにおいて制御基板23よりも上側に設けられている。
(C)振動発生装置50は、高さ方向Yにおいて中継基板24の一部と重なり合う位置に設けられている。
(D)光源27は、高さ方向Yにおいて中継基板24および振動発生装置50よりも上側に設けられている。
(E)光源27は、奥行方向Zにおいて植毛面71Aよりも後側かつ頭背面71Bよりも前側に設けられている。
(F)光源27の頂部は、高さ方向Yにおいてカバー28の底面に対応する位置に設けられている。
(G)透光部材80は、高さ方向Yにおいて光源27よりも上側かつ植毛部分62よりも下側に設けられている。
(H)透光部材80の下端部分は、高さ方向Yにおいて取付軸32の上端部分の付近に設けられている。
【0044】
図3(b)を参照して、ブラシ柄70の詳細な構成について説明する。
側断面においてブラシ柄70の各部分を以下のように定義する。
(A)長手方向のブラシ毛61側の端部を「先端70A」とする。
(B)長手方向の本体装置20側の端部を「基端70B」とする。
(C)先端70Aから基端70Bまでの前面70Cに沿う長さを「前面長さV」とする。
(D)先端70Aから基端70Bまでの後面70Dに沿う長さを「後面長さW」とする。
(E)前側傾斜部分72Aのうちの外壁部分72と先端部分71との境界と光源27の上部との間に対応する部分を「上側傾斜部分72AU」とする。
(F)前側傾斜部分72Aのうちの振動発生装置50および光源27に対応する部分を「下側傾斜部分72AL」とする。
(G)後側傾斜部分72Bのうちの外壁部分72と先端部分71との境界と光源27の上部との間に対応する部分を「上側傾斜部分72BU」とする。
(H)後側傾斜部分72Bのうちの振動発生装置50および光源27に対応する部分を「下側傾斜部分72BL」とする。
【0045】
植毛面71Aは、奥行方向Zにおいて本体中心線C1よりも前方かつ前側傾斜部分72Aよりも後側に形成されている。頭背面71Bは、奥行方向Zにおいて本体中心線C1よりも後側かつ後側傾斜部分72Bよりも前側に形成されている。後壁長さWは、前壁長さVよりも小さい。
【0046】
前側傾斜部分72Aは、本体中心線C1よりも前側に形成されている。また、高さ方向Yにおいて下方から上方に向かうにつれて奥行方向Zにおいて前側から後側に傾斜している。また、外壁部分72と上側傾斜部分72AUとの間の部分の傾斜度合は、下側傾斜部分72ALの傾斜度合よりも大きい。
【0047】
後側傾斜部分72Bは、本体中心線C1よりも後側に形成されている。また、高さ方向Yにおいて下方から上方に向かうにつれて奥行方向Zにおいて後側から前側に傾斜している。また、上側傾斜部分72BUの傾斜度合は、下側傾斜部分72BLの傾斜度合よりも大きい。
【0048】
前側傾斜部分72Aの上側傾斜部分72AUの傾斜度合は、後側傾斜部分72Bの上側傾斜部分72BUの傾斜度合よりも大きい。前側傾斜部分72Aの下側傾斜部分72ALの傾斜度合は、後側傾斜部分72Bの上側傾斜部分72BUの傾斜度合よりも小さい。
【0049】
図3を参照して、本体装置20の詳細な構成について説明する。
側断面において、本体装置20の各部分を以下のように定義する。
(A)本体ケース22の外面のうちの前方の面を「前面22A」とする。
(B)本体ケース22の外面のうちの後方の面を「後面22B」とする。
(C)アウターケース30の外面のうちの前方の面を「前面30A」とする。
(D)アウターケース30の外面のうちの後方の面を「後面30B」とする。
(E)インナーケース40の外面のうちの前方の面を「前面40A」とする。
(F)インナーケース40の外面のうちの後方の面を「後面40B」とする。
(G)把持ケース21と対向する前面22Aの部分の長さを「前壁長さP」とする。
(H)把持ケース21と対向する後面22Bの部分の長さを「後壁長さQ」とする。
【0050】
図3(a)に示されるように、前面22Aは、前面30Aおよび前面40Aにより構成されている。後面22Bは、後面30Bおよび後面40Bにより構成されている。後壁長さQは、前壁長さPよりも小さい。なお、前壁長さPおよび後壁長さQは、前面22Aおよび後面22Bのそれぞれにおいて把持ケース21の内面と直接的に対向する部分の長さを示す。
【0051】
図3(b)に示されるように、アウターケース30の前面30Aは、インナーケース40の前面40Aよりも前側に設けられている。ブラシ柄70の前面70Cは、前面30Aよりも前側に設けられている。ケース本体31と取付軸32との接続部分には、段差部分34が形成されている。ブラシ柄70の下端面は、段差部分34の上面と対向している。
【0052】
図3(a)を参照して、歯ブラシ本体10のシール構造について説明する。
把持ケース21および本体ケース22の取付部分には、把持ケース21と本体ケース22との間をシールする把持側シール部材22Cが設けられている。把持側シール部材22Cは、インナーケース40に取り付けられている。また、高さ方向Yにおいて第1取付部分41よりも上側かつ把持ケース21の上端面よりも下側に取り付けられている。
【0053】
アウターケース30およびインナーケース40の取付部分には、アウターケース30とインナーケース40との間をシールする本体側シール部材22Dが設けられている。本体側シール部材22Dは、インナーケース40に取り付けられている。また、高さ方向Yにおいて把持ケース21の上端面よりも上側かつ第2取付部分42よりも下側に取り付けられている。
【0054】
図4を参照して、透光部材80の詳細な構成について説明する。
図4(a)に示されるように、透光部材80は、図1のブラシ柄70の開口部分73に挿入される窓部分81と、ブラシ柄70に対する透光部材80の前方への移動を規制する外部抜止部分82と、ブラシ柄70に対する透光部材80の下方への移動を規制する内部抜止部分83とを有する。外部抜止部分82は、窓部分81の上端部分および下端部分に形成されている。
【0055】
図4(b)に示されるように、内部抜止部分83は、窓部分81の後側に形成されている。内部抜止部分83の先端部分には、ブラシ柄70に引っ掛けられるフック83Aが形成されている。内部抜止部分83の高さ方向Yの寸法は、内部抜止部分83の幅方向Xの寸法よりも大きい。
【0056】
図4(c)に示されるように、窓部分81の幅方向Xの両端には、窓部分81の端部から突出した羽根部分84と、ブラシ柄70に対する透光部材80の下側への移動を規制する嵌合部分85とが形成されている。
【0057】
図5を参照して、ブラシ柄70の内部の詳細な構成について説明する。
ブラシ柄70は、図4のフック83Aが引っ掛けられる嵌合部分74と、図4の嵌合部分85に嵌め込まれる突出部分75と、羽根部分84が挿入される平板状の挿入部分76とを有する。各挿入部分76は、奥行方向Zにおいて互いに離間している。
【0058】
図4および図5を参照して、透光部材80の取付手順について説明する。
透光部材80は、次の手順によりブラシ柄70に取り付けられる。
(A)透光部材80をブラシ柄70の下端の開口部分から内部に挿入する。
(B)内部抜止部分83のフック83Aを嵌合部分74に引っ掛ける。
(C)嵌合部分85をブラシ柄70の突出部分75に嵌め込む。
(D)各羽根部分84をブラシ柄70の各挿入部分76に挿入する。
【0059】
図3を参照して、光源27の動作について説明する。
マイコン23Bの制御により光源27に電圧が加えられているとき、光源27から光が照射される。光源27から照射された光は、カバー28を介してブラシ柄70の内部を照らす。また、透光部材80を介して植毛部分62およびその付近を照らす。
【0060】
図1および図3を参照して、歯ブラシ本体10の制御について説明する。
マイコン23Bは、操作部材26の操作に応じて歯ブラシ本体10の動作を制御するモード制御と、電動モータ51の回転速度を調整する回転速度制御と、歯ブラシ本体10の動作時間を管理するタイマ制御とを行なう。
【0061】
モード制御では、操作部材26の操作に応じて歯ブラシ本体10の動作モードを切り替える。歯ブラシ本体10の動作モードとしては、第1動作モードおよび第2動作モードが予め用意されている。第1動作モードは、光源27を点灯し、かつ電動モータ51を駆動する。第2動作モードは、光源27を消灯し、かつ電動モータ51を駆動する。
【0062】
マイコン23Bは、次のように動作モードの切り替えを行なう。
(A)電源がオフの状態において操作部材26を押し下げる操作が1回行なわれたとき、電源がオフの状態から第1動作モードを選択した状態に変更する。
(B)第1動作モードを選択した状態において操作部材26を押し下げる操作が1回行なわれたとき、動作モードを第1動作モードから第2動作モードに変更する。
(C)第2動作モードを選択した状態において操作部材26を押し下げる操作が1回行なわれたとき、第2動作モードを選択した状態から電源がオフの状態に変更する。
【0063】
マイコン23Bは、第1動作モードまたは第2動作モードを選択しているときに回転速度制御を行なう。回転速度制御では、電動モータ51の駆動電圧をPWM制御により変更することにより、電動モータ51の回転速度を所定範囲内に維持する。すなわち、電動モータ51の回転により生じる振動の大きさを所定範囲内に維持する。
【0064】
回転速度制御では、次のように電動モータ51の電圧のデューティー比を変更する。
(A)電池29の電圧の測定値が基準電圧よりも高いとき、電動モータ51の駆動電圧と基準電圧との差に応じてデューティー比を小さくする。
(B)電池29の電圧の測定値が基準電圧よりも低いとき、電動モータ51の駆動電圧と基準電圧との差に応じてデューティー比を大きくする。
(C)電池29の電圧の測定値が基準電圧と等しいとき、デューティー比を維持する。
【0065】
基準電圧は、電動モータ51の回転により所定範囲の大きさの振動が発生するときの駆動電圧として予め設定されている。なお、ここでは1つの設定値として基準電圧が設定されているが、上記所定範囲の大きさの振動が発生する電圧の範囲として基準電圧を設定することもできる。
【0066】
タイマ制御では、第1動作モードまたは第2動作モードが連続して選択されている時間に応じて電源を強制的にオフする。すなわち、操作部材26の操作が行なわれなくとも所定条件の成立に基づいて歯ブラシ本体10の動作を停止させる。
【0067】
具体的には、以下のように動作モードを変更する。
(A)電源がオフの状態から第1動作モードを選択した状態に変更したとき、第1動作モードを選択してからの経過時間(以下、「第1動作時間TA」)のカウントを開始する。そして、第1動作時間TAが判定時間TAX以上のとき、電源をオフにする。
(B)第1動作モードから第2動作モードに変更したとき、動作モードを変更してからの経過時間(以下、「第2動作時間TB」)のカウントを開始する。そして、第2動作時間TBが判定時間TBX以上のとき、電源をオフにする。
【0068】
判定時間TAXは、第1動作モードにより継続して歯に振動を付与することが好ましい範囲内の時間として予め設定されている。また、判定時間TBXは、第2動作モードにより継続して歯に振動を付与することが好ましい範囲内の時間として予め設定されている。なお、判定時間TAXおよび判定時間TBXとしては、同じ値または互いに異なる値を設定することができる。
【0069】
(実施形態の効果)
本実施形態の電動歯ブラシ1によれば以下の効果が得られる。
(1)電動歯ブラシ1においては、取付軸32に光源27が設けられている。この構成によれば、本体装置20においての光源27の位置が植毛部分62に近くなるため、植毛部分62をより明るくすることができる。
【0070】
(2)電動歯ブラシ1においては、光源27が植毛部分62に向けて光を照射する。この構成によれば、上記(1)の効果がより高められる。
(3)電動歯ブラシ1においては、ブラシ柄70の前面70Cに透光部材80が設けられている。この構成によれば、上記(1)の効果がより高められる。
【0071】
(4)電動歯ブラシ1においては、ブラシ柄70の前側傾斜部分72Aの上側傾斜部分72AUに透光部材80が取り付けられている。この構成によれば、ブラシ柄70の別の部分、例えば前側傾斜部分72Aの下側傾斜部分72AL、またはブラシ柄70の側壁に透光部材80が取り付けられる構成と比較して、上記(1)の効果がより高くなる。
【0072】
(5)電動歯ブラシ1においては、取付軸32の内部に振動発生装置50が収容されている。この構成によれば、取付軸32よりも下側に振動発生装置50が設けられる構成と比較して、歯ブラシ本体10の高さ方向Yの寸法を小さくすることができる。
【0073】
(6)電動歯ブラシ1においては、ブラシ柄70の植毛面71Aが本体中心線C1よりも前側に位置している。この構成によれば、植毛面71Aが本体中心線C1よりも後側に位置する構成と比較して、歯の清掃時に外壁部分72の前面70Cが歯に接触しにくくなる。また、植毛面71Aが本体中心線C1よりも後側に位置する構成と比較して、取付軸32の奥行方向Zの寸法を大きくすることができる。このため、取付軸32の内部に大きな空間を形成することにより、振動発生装置50および光源27等の部品を配置するためのスペースを大きくすることができる。
【0074】
(7)電動歯ブラシ1においては、キャップ90の換気孔94〜96がブラシ毛61の先端面と対向している。この構成によれば、換気孔94〜96を介してキャップ90の外部からキャップ90の内部に流入する空気がブラシ毛61に触れやすくなるため、キャップ90が歯ブラシ本体10に取り付けられていることによりブラシ毛61が乾きにくくなることが抑制される。
【0075】
(8)電動歯ブラシ1においては、透光部材80の外部抜止部分82および羽根部分84がそれぞれブラシ柄70の開口部分73の周縁部分または挿入部分76に嵌め込まれている。この構成によれば、透光部材80がブラシ柄70の外部に脱落することが抑制される。
【0076】
(9)電動歯ブラシ1においては、透光部材80の内部抜止部分83および嵌合部分85がそれぞれブラシ柄70の嵌合部分74または突起に嵌め込まれている。この構成によれば、ブラシ柄70に対する透光部材80の取り付け位置が規定の位置からずれることが抑制される。また、透光部材80が開口部分73から脱落してブラシ柄70の外部に移動することが抑制される。
【0077】
(10)電動歯ブラシ1においては、透光部材80の下端部分が取付軸32の上端部分の付近に設けられている。この構成によれば、透光部材80が開口部分73から脱落したとき、ブラシ柄70に対する透光部材80の下方への移動が取付軸32により規制される。また、透光部材80の下端部分が取付軸32の上端部分から大きく離間した位置に設けられる構成と比較して、ブラシ柄70に対する透光部材80の下方への移動量が小さくなる。
【0078】
(11)電動歯ブラシ1においては、取付軸32の開口部分32Dにカバー28が圧入されている。この構成によれば、カバー28と開口部分32Dとの隙間を介して水および埃が取付軸32の内部に侵入することが抑制される。
【0079】
(12)電動歯ブラシ1においては、側断面において本体中心線C1に対してブラシ毛61とは反対側に操作部材26が設けられている。この構成によれば、電動歯ブラシ1の使用者が同歯ブラシ1により他人の歯を清掃するとき、操作部材26が使用者側に位置する。このため、側断面において本体中心線C1に対してブラシ毛61と同じ側に操作部材26が設けられる構成と比較して、操作部材26の操作が容易になる。
【0080】
(13)電動歯ブラシ1の歯ブラシ本体10は、動作モードとして第1動作モードおよび第2動作モードを有する。この構成によれば、使用者は光源27の点灯を必要としないときに第2動作モードを選択することができる。これにより、歯ブラシ本体10の消費電力を少なくすることができる。
【0081】
(14)電動歯ブラシ1のマイコン23Bは、電動モータ51の回転速度を制御する回転速度制御を行なう。この構成によれば、第1動作モードまたは第2動作モードが選択されているとき、使用者が受ける歯磨きの感覚を安定させることができる。
【0082】
(15)電動歯ブラシ1のマイコン23Bは、電源を強制的にオフするタイマ制御を行なう。この構成によれば、長時間にわたり電動モータ51の振動が歯に付与されることが抑制される。また、使用者が歯の清掃後に歯ブラシ本体10の電源をオンからオフに変更することを忘れた場合、マイコン23Bにより電源がオフされる。このため、歯ブラシ本体10の電力が不要に消費されることが抑制される。
【0083】
(16)電動歯ブラシ1においては、ブラシ柄70の後壁長さWが前壁長さVよりも小さい。この構成によれば、振動発生装置50の振動がブラシ柄70の後面70Dに伝達されやすくなる。
【0084】
(17)電動歯ブラシ1においては、振動発生装置50の伝達部材54がアウターケース30の壁部に接触している。この構成によれば、振動発生装置50の振動がブラシ柄70の後側傾斜部分72Bに伝達されやすくなる。
【0085】
(18)電動歯ブラシ1においては、電動モータ51の回転軸が把持ケース21の中心線に対して後側に偏倚しているため、電動モータ51の回転にともなう振動が把持ケース21のうちの後側の壁部に伝達されやすい。一方、本体ケース22の後壁長さQが前壁長さPよりも小さい。このため、後壁長さQが前壁長さPよりも大きい構成と比較して、把持ケース21の後側の壁部には振動が伝達されにくい。すなわち、把持ケース21から使用者の手に付与される振動が小さい。
【0086】
このように、電動歯ブラシ1によれば、電動モータ51の回転軸を把持ケース21の中心線に対して後側に偏倚させる構成を採用したうえで、歯ブラシ本体10の使用時に使用者の手に伝達される振動を低減することができる。
【0087】
(19)比較例としての電動歯ブラシ(以下、「第1の比較歯ブラシ」)との対比に基づいて、電動歯ブラシ1により得られる効果について説明する。第1の比較歯ブラシは、以下の各点において電動歯ブラシ1と相違し、その他の点については電動歯ブラシ1と同じ構成を有する。
(A)取付軸32から光源27が省略されている。
(B)取付軸32の体格が電動歯ブラシ1よりも小さい。
(C)ブラシ柄70の前側傾斜部分72Aの傾斜度合が電動歯ブラシ1よりも大きい。
(D)ブラシ柄70の後側傾斜部分72Bの傾斜度合が電動歯ブラシ1よりも小さい。
(E)植毛部分62が電動歯ブラシ1よりも奥行方向Zの後方に位置している。すなわち、植毛面71Aが電動歯ブラシ1よりも奥行方向Zの後方に位置している。
【0088】
第1の比較歯ブラシにおいては、光源27が省略されているため、取付軸32内に光源27を配置するためのスペースを確保する必要がない。このため、取付軸32の体格が電動歯ブラシ1よりも小さい。また、取付軸32の体格が小さいことにともない、ブラシ柄70内において取付軸32を配置するためのスペースが小さくなる。また、ブラシ柄70内の同スペースが小さいことにより、前側傾斜部分72Aにおいて取付軸32に対応する部分が本体中心線C1に対してより近い位置に形成される。
【0089】
これにより、奥行方向Zにおいて取付軸32に対応する部分の前側傾斜部分72Aの前方への膨らみ度合が電動歯ブラシ1よりも小さくなり、かつ取付軸32に対応する部分の前側傾斜部分72Aの傾斜度合が電動歯ブラシ1よりも大きくなる。
【0090】
また、前側傾斜部分72Aの傾斜度合の変更に応じて植毛面71Aが本体中心線C1よりも後側に位置するように植毛部分62が電動歯ブラシ1よりも後側に形成されている。また、植毛部分62の位置に応じて後側傾斜部分72Bの傾斜度合が電動歯ブラシ1よりも小さくなる。すなわち、第1の比較歯ブラシの後側傾斜部分72Bは、電動歯ブラシ1の後側傾斜部分72Bと比較して、本体中心線C1に対する傾斜度合がより小さい部分として構成されている。
【0091】
電動歯ブラシ1は、上記第1の比較歯ブラシを基準としたとき、取付軸32に光源27が設けられることにともない、第1の比較歯ブラシに対して次の変更が加えられたものとみることができる。
【0092】
すなわち、取付軸32内に光源27を配置するためのスペースを確保するため、取付軸32の体格を第1の比較歯ブラシよりも大きくしている。また、取付軸32の体格を大きくしていることにともない、ブラシ柄70内において取付軸32を配置するためのスペースを大きくしている。
【0093】
このため、第1の比較歯ブラシと比較して、前側傾斜部分72Aにおいて取付軸32に対応する部分を本体中心線C1からより離れた位置に形成している。また、奥行方向Zにおいて取付軸32に対応する部分の前側傾斜部分72Aの前方への膨らみ度合を第1の比較歯ブラシよりも大きくし、かつ取付軸32に対応する部分の前側傾斜部分72Aの傾斜度合を第1の比較歯ブラシよりも小さくしている。
【0094】
ここで、電動歯ブラシ1において、第1の比較歯ブラシと同様に植毛面71Aが本体中心線C1よりも後側に位置するように植毛部分62を形成することもできるが、本実施形態の同歯ブラシ1では上記のとおり植毛面71Aが本体中心線C1よりも前側に位置するように植毛部分62を形成している。すなわち、第1の比較歯ブラシの植毛部分62よりも前側に植毛部分62を形成している。また、こうした植毛部分62の形成位置の設定に応じて、第1の比較歯ブラシよりも後側傾斜部分72Bを本体中心線C1に近い位置に形成している。このため、後側傾斜部分72Bの傾斜度合が第1の比較歯ブラシよりも大きくなる。
【0095】
そして、植毛面71Aが本体中心線C1よりも前側に位置するように植毛部分62の位置を設定していることにより、植毛面71Aが本体中心線C1よりも後側に位置するように植毛部分62の位置を設定した別の比較歯ブラシ(以下、「第2の比較歯ブラシ」)と比較して、次のような有利な効果が得られる。なお、第2の比較歯ブラシは、植毛面71Aの位置が上記のとおり相違する点を除いて電動歯ブラシ1と同じ構成を有する。
【0096】
第2の比較歯ブラシにおいては、取付軸32に対応する部分の前側傾斜部分72Aの前方への膨らみ度合が第1の比較歯ブラシよりも大きいため、歯の清掃時に前側傾斜部分72Aが歯に接触しやすくなる。
【0097】
一方、電動歯ブラシ1においては、取付軸32に対応する部分の前側傾斜部分72Aの前方への膨らみ度合が第2の比較歯ブラシと同じである一方、植毛面71Aが第2の比較歯ブラシよりも奥行方向Zの前側に形成されているため、すなわち植毛面71Aが本体中心線C1よりも奥行方向Zの前側に形成されているため、第2の比較歯ブラシと比較して歯の清掃時に前側傾斜部分72Aが歯に接触するおそれが小さくなる。
【0098】
なお、第2の比較歯ブラシにおいてブラシ毛61の長さを長くすることにより、前側傾斜部分72Aが歯に接触することを抑制することもできる。ただし、この場合にはブラシ毛61の長さが予め設定された好ましい長さよりも長くなるため、この点において使用者が違和感を覚えるおそれがある。これに対して、電動歯ブラシ1は上記のとおり植毛面71Aの形成位置を第1の比較歯ブラシよりも前側に設定していることにより、前側傾斜部分72Aが歯に接触することを抑制する効果が得られる。このため、第2の比較歯ブラシとは異なり、ブラシ毛61の長さについては好ましい長さを設定することができる。
【0099】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は、上記実施形態の内容に限られるものではなく、例えば以下のように変更することもできる。また、以下の変形例は上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0100】
・上記実施形態(図2)において、キャップ90にストラップを取り付けることもできる。この構成の具体的な例としては、以下の(A)〜(D)が挙げられる。
(A)図6(a)に示されるように、キャップ90の各突起93に貫通孔93Aを形成する。そして、この貫通孔93Aにストラップ98を取り付ける。
(B)キャップ90の一方の突起93だけに貫通孔93Aを形成する。そして、この貫通孔93Aにストラップ98を取り付ける。
(C)図6(b)に示されるように、換気孔94および換気孔97にストラップ98を挿入することにより、キャップ90にストラップ98を取り付ける。
(D)換気孔94〜97のうちの少なくとも2つの換気孔にストラップ98を挿入することにより、キャップ90にストラップ98を取り付ける。
【0101】
・上記実施形態(図3)において、ブラシ柄70に光源27の光を反射する反射部材を設けることもできる。この構成の具体的な例としては、図7に示されるものが挙げられる。図7のブラシ柄70においては、後側傾斜部分72Bに反射部材100が設けられている。反射部材100は、光源27の光を透光部材80に向けて反射する。この構成によれば、アタッチメント60の前側を光源27の光により一層明るくすることができる。
【0102】
・上記実施形態(図3)では、光源27として砲弾型の発光ダイオードを用いているが、チップ型の発光ダイオードに変更することもできる。また、光源27の種類を白熱電球または放電電球に変更することもできる。
【0103】
・上記実施形態(図3)では、圧入によりカバー28を取付軸32に固定しているが、超音波溶接によりカバー28を取付軸32に固定することもできる。
・上記実施形態(図3)では、カバー28の上面を平面として形成しているが、カバー28の上面の形状はこれに限られない。例えば、高さ方向Yの上方に向けて突出する曲面形状に変更することもできる。また、奥行方向Zの後方に向かうにつれて高さ方向Yの上方に向けて傾斜する傾斜面に変更することもできる。
【0104】
・上記実施形態(図1)では、カバー28に湾曲部分28Aを形成しているが、カバー28から湾曲部分28Aを省略し、かつカバー28の下面を平面として形成することもできる。この構成によれば、光源27から照射された光がカバー28を介して幅方向Xおよび奥行方向Zに広がることが抑制されるため、植毛部分62を明るくする効果が高められる。
【0105】
・上記実施形態(図1)では、カバー28および透光部材80の材料としてABS樹脂を用いているが、カバー28および透光部材80の材料はこれに限られない。例えば、カバー28および透光部材80の少なくとも一方の材料として、ポリカーボネートまたはポリプロピレンを用いることもできる。ポリカーボネートを用いた場合、ABS樹脂を用いた場合よりもカバーおよび透光部材の透過率が高くなる。また、ポリプロピレンを用いた場合、ABS樹脂を用いた場合よりも耐薬品性が高くなる。
【0106】
・上記実施形態(図3)において、ブラシ柄70の開口部分73および透光部材80を省略することもできる。この構成においても上記実施形態の(1)、(2)、(5)〜(7)、および(11)〜(19)の効果が得られる。
【0107】
・上記実施形態(図3)では、ブラシ柄70の前側傾斜部分72Aに開口部分73を形成しているが、開口部分73の形成位置は前面70Cに限られない。例えば、ブラシ柄70の後側傾斜部分72Bに開口部分73を形成することもできる。
【0108】
・上記実施形態(図3)では、振動発生装置50の全体を取付軸32に収容しているが、振動発生装置50の一部を取付軸32よりも下側に設けることもできる。また、振動発生装置50の全体を取付軸32よりも下側に設けることもできる。
【0109】
・上記実施形態(図3)に対して、次の第3動作モードを追加することもできる。この第3動作モードは、光源27を点灯し、かつ電動モータ51を停止する。また、操作部材26の操作に応じた第3動作モードの選択順序としては、第1動作モードの前、または第1動作モードの後、または第2動作モードの後のいずれかを設定することができる。
【0110】
・上記実施形態(図3)に対して、次の第11動作モードおよび第12動作モードを追加することもできる。なお、これらの動作モードを追加する変形例をモード追加変形例Aとする。
【0111】
第11動作モードは、第1動作モードよりも強い振動を歯に付与する。第12動作モードは、第1動作モードよりも弱い振動を歯に付与する。第11動作モードおよび第12動作モードは、第1動作モードと同様に光源27を点灯する。
【0112】
マイコン23Bは、第11動作モードおよび第12動作モードを選択しているとき、次のように回転速度制御を行なう。なお、第1動作モードを選択しているときの回転速度制御において、電動モータ51の回転速度の目標範囲として設定される所定範囲を「中間所定範囲」とする。
【0113】
(A)第11動作モードを選択しているとき、電動モータ51の駆動電圧をPWM制御により変更することにより、電動モータ51の回転速度を中間所定範囲よりも大きい所定範囲内に維持する。
【0114】
(B)第12動作モードを選択しているとき、電動モータ51の駆動電圧をPWM制御により変更することにより、電動モータ51の回転速度を中間所定範囲よりも小さい所定範囲内に維持する。
【0115】
・上記モード追加変形例Aにおいて、第1動作モード、第11動作モード、および第12動作モードのいずれか1つを省略することもできる。
・上記モード追加変形例Aにおいて、使用者が動作モードを第1動作モードから第11動作モードまたは第12動作モードに変更するための別の操作部材を追加することもできる。この場合、マイコン23Bは、操作部材26の操作に対しては上記実施形態と同様に動作モードの変更、電源のオン、および電源のオフを行なう。そして、第1動作モードが選択されている状態において上記別の操作部材が操作される毎に第11動作モード、第12動作モード、および第1動作モードの順に動作モードを変更する。なお、上記別の操作部材の操作に対する動作モードの選択順序は、上記の例に限られるものではなく、予め任意のものを設定することができる。
【0116】
・上記実施形態(図3)に対して、次の第21動作モードおよび第22動作モードを追加することもできる。なお、これらの動作モードを追加する変形例をモード追加変形例Bとする。
【0117】
第21動作モードは、第2動作モードよりも強い振動を歯に付与する。第22動作モードは、第2動作モードよりも弱い振動を歯に付与する。第21動作モードおよび第22動作モードは、第2動作モードと同様に光源27を消灯する。
【0118】
マイコン23Bは、第21動作モードを選択しているとき、第11動作モードを選択しているときと同様の態様で回転速度制御を行なう。また、第22動作モードを選択しているとき、第12動作モードを選択しているときと同様の態様で回転速度制御を行なう。
【0119】
・上記モード追加変形例Bにおいて、第2動作モード、第21動作モード、および第22動作モードのいずれか1つを省略することもできる。
・上記モード追加変形例Bにおいて、使用者が動作モードを第2動作モードから第21動作モードまたは第22動作モードに変更するための別の操作部材を追加することもできる。なお、別の操作部材の操作に対する動作モードの選択方法については、上記モード追加変形例Aに準じたものを採用することができる。
【0120】
・上記モード追加変形例Aと上記モード追加変形例Bとを組み合わせて実施することもできる。この場合、上記モード追加変形例Aの別の操作部材と、上記モード追加変形例Bの別の操作部材とを個別に設ける構成、または2つの別の操作部材を共通化する構成を採用することができる。
【0121】
・上記実施形態(図3)では、歯ブラシ本体10に振動発生装置50を設けているが、歯ブラシ本体10から振動発生装置50を省略することもできる。また、この場合には振動発生装置50を本体ケース22に取り付けるための構成についても併せて省略することができる。
【0122】
要するに、光源により植毛部分を照らす機能を有する電動歯ブラシであれば、歯に振動を付与する機能を有していなくとも本発明を適用することができる。また、この構成の場合にも上記実施形態に準じた態様で本発明の具体的構成を電動歯ブラシに適用することにより、同実施形態の(1)〜(4)、(6)〜(15)、および(19)の効果に準じた効果が得られる。
【0123】
(電動歯ブラシの参考例1)
図8に、電動歯ブラシ1の構成の一部を変更した他の電動歯ブラシを示す。なお、同他の電動歯ブラシにおいて、電動歯ブラシ1と共通する構成要素については、電動歯ブラシ1の構成要素に付された符号と同様の符号を付している。
【0124】
この電動歯ブラシは、歯ブラシ本体10と図1のキャップ90とを有する。また、以下の点において電動歯ブラシ1と構成が相違している。
(A)取付軸32の先端部分には、光源27に代えてステインケアアタッチメント110が設けられている。
(B)取付軸32の先端軸32Aおよびカバー28が省略されている。
(C)アタッチメント60から透光部材80が省略されている。
(D)ブラシ柄70から開口部分73、嵌合部分74、突出部分75、および挿入部分76が省略されている。
(E)取付軸32の中間軸32Bには、頂壁32Eが形成されている。
(F)取付軸32の頂壁32Eには、ステインケアアタッチメント110を取り付けるための取付部分32Fが形成されている。
【0125】
ステインケアアタッチメント110は、取付軸32に取り付けること、および取付軸32から取り外すことができる。また、取付部分32Fに取り付けられる基台111と、基台111から上方に向けて突出する研磨部分112とを有する。
【0126】
参考例1の電動歯ブラシにおいては、アタッチメント60が本体ケース22に取り付けられているとき、ステインケアアタッチメント110がアタッチメント60内の空間に収容される。そして、アタッチメント60が本体ケース22から取り外されたとき、ステインケアアタッチメント110の使用が可能になる。
【0127】
(電動歯ブラシの参考例2)
参考例1の電動歯ブラシにおいて、ステインケアアタッチメント110に代えて、歯の清掃に関連する機能を有する別の機能部材を取付軸32に設けることもできる。同機能部材の例としては、歯茎マッサージアタッチメント、ポイント磨き歯ブラシ、爪磨き用アタッチメント、歯間ブラシ、歯磨剤チューブ、振動調整用の鐘、および警告音等を出力する音声出力装置が挙げられる。
【符号の説明】
【0128】
1…電動歯ブラシ、22…本体ケース(本体部材)、27…光源、32…取付軸、29…電池(電源)、50…振動発生装置、60…アタッチメント(清掃部材)、61…ブラシ毛、62…植毛部分、71…先端部分、71A…植毛面、72…外壁部分、72A…前側傾斜部分、80…透光部材、90…キャップ、94…換気孔、95…換気孔、96…換気孔、97…換気孔、100…反射部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を収容する本体部材と、ブラシ毛が植えられた植毛部分を有する清掃部材とを備え、前記本体部材への前記清掃部材の取り付けおよび前記本体部材からの前記清掃部材の取り外しが可能な電動歯ブラシにおいて、
前記清掃部材を取り付けるための取付軸が前記本体部材に設けられていること、
ならびに、前記取付軸のうちの前記清掃部材に覆われる部分に光源が設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動歯ブラシにおいて、
振動源となる振動発生装置が前記本体部材に設けられていること、
ならびに、前記振動発生装置の少なくとも一部が前記取付軸内に設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項3】
請求項2に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記取付軸のうちの前記振動発生装置よりも前記植毛部分に近い部分に前記光源が設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記光源が前記植毛部分に向けて光を照射すること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項5】
請求項4に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記清掃部材には、前記取付軸の周囲を覆う外壁部分と前記植毛部分とが設けられていること、
ならびに、前記外壁部分のうちの前記植毛部分と前記光源との間の部分に光を透過しやすい透光部材が設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項6】
請求項5に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記ブラシ毛の中心軸および前記本体部材の中心軸と平行な断面を側断面とし、この側断面において前記本体部材の中心線に対して前記ブラシ毛の先端部分が含まれる側を本体前側として、前記外壁部分のうちの前記本体前側の部分に前記透光部材が設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項7】
請求項6に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記外壁部分のうちの前記本体前側の部分には、前記本体部材側から前記植毛部分側に向かうにつれて前記本体部材の中心線に近づくように傾斜する前側傾斜部分が設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記光源の光を前記透光部材に向けて反射する反射部材が設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記清掃部材を覆うキャップを含むこと、
ならびに、前記ブラシ毛の中心軸および前記本体部材の中心軸と平行な断面を側断面とし、この側断面において前記本体部材の中心線に対して前記ブラシ毛の先端部分が含まれる側を本体前側とし、前記植毛部分のうちの前記ブラシ毛が設けられる面を植毛面として、この植毛面が前記本体前側に設けられていること
を特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の電動歯ブラシにおいて、
前記清掃部材を覆うキャップを含むこと、
ならびに、前記キャップのうちの前記ブラシ毛の先端面に対向する部分に換気孔が形成されていること
を特徴とする電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−249719(P2012−249719A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122934(P2011−122934)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】