説明

電動調理器

【課題】筒状投入口から手を入れることが可能な状態では調理手段が動かない電動調理器を提供すること。
【解決手段】蓋体3の筒状投入口11に挿入される押し棒5に永久磁石13を設け、本体2に前記蓋体3を押さえ付けるためのクランプ9を前記本体2に設けると共に、前記クランプ9に磁気検知手段としてのリードスイッチ10を設け、前記クランプ9で前記蓋体3を前記本体2に押し付けることで、前記リードスイッチ10が前記筒状投入口11に近接するように配置され、この状態で、前記押し棒5を前記筒状投入口11から軸方向に挿入すると、前記リードスイッチ10が前記永久磁石13の磁気を検知し、これによって、前記本体2内の電動機6が作動して、調理手段としての下ろし刃体7が回転するので、手等が前記筒状投入口11に挿入されても前記電動機6が作動しないので、従来の電動調理器に比べてより安全にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジューサーや電動下ろし器等の電動調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動調理器としては、電動機が内蔵されると共にこの電動機によって回転させられる下ろし刃体(本発明の調理手段に該当する)を有する本体と、筒状投入口が設けられた蓋体と、この筒状投入口に対して軸方向に挿入される押し棒とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、このような電動調理器では、下ろし刃体等の刃物が動いて危険なので、前記蓋体が外れないようにフックが設けられていると共に、前記蓋体が取り付けられた状態でなければ前記電動機が作動しないように安全スイッチが設けられているのが一般的である。
【特許文献1】特開2005−304966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような電動調理器においては、一度に多くの食品をすり下ろすこと等ができるように、前記筒状投入口の開口面積を大きくした場合、動作可能な状態の電動調理器の前記筒状投入口から乳幼児等が手等を入れることが可能となってしまい、この結果、安全スイッチがあったとしても、必ずしも安全とは言えないという問題があった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、筒状投入口から手を入れることが可能な状態では調理手段が動かない電動調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の電動調理器は、電動機及び調理手段を有する本体と、筒状投入口が設けられた蓋体と、前記筒状投入口に対して軸方向に挿入されると共に食品を前記調理手段に押し付けるための押し棒とを有する電動調理器において、前記筒状投入口に挿入される前記押し棒に永久磁石を設け、前記蓋体を前記本体に押さえ付けるためのクランプを前記本体に設けると共に、このクランプによって前記蓋体が前記本体に押さえ付けられた状態で、前記クランプにおける前記筒状投入口に近接する部位に磁気検知手段を設けたものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の電動調理器は、請求項1において、前記永久磁石が、前記押し棒の軸方向に沿うように設けられているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に記載の電動調理器は、以上のように構成することにより、前記本体に蓋体を取り付けた後、前記クランプによって前記蓋体を前記本体に押さえ付けることで前記蓋体が外れない状態とし、前記筒状投入口から食材を投入した後、前記永久磁石が設けられた押し棒を前記筒状投入口から軸方向に挿入して前記食材を前記調理手段に押し付けることで、前記筒状投入口に近接して設けられた磁気検知手段が前記永久磁石の磁気を検知し、これによって、前記電動機が作動して前記調理手段を動かす。従って、磁気を有する前記押し棒が前記筒状投入口に挿入された場合のみ前記電動機が作動し、磁気を有さない手等が前記筒状投入口に挿入された場合には前記電動機が作動しないので、従来の電動調理器に比べてより安全にできる。
【0008】
また、前記永久磁石が、前記押し棒の軸方向に沿うように設けられているので、前記押し棒によって食材を前記調理手段に押し付けている間、前記磁気検知手段によって前記押し棒に設けられた永久磁石の磁気を検知し続けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図1乃至図4に基づいて説明する。1は本発明の電動調理器の一例としてのジューサーである。このジューサー1は、本体2と、この本体2に被せられる蓋体3と、滓受け容器4と、押し棒5とを有して構成されている。
【0010】
前記本体2には、内蔵された電動機6によって回転させられる調理手段としての下ろし刃体7が着脱自在に取り付けられている。また、前記本体2には、前記下ろし刃体7によってすり下ろされた食材から得られたジュースを取り出すための注出口8が設けられている。更に、前記本体2には、この本体2の上部に前記蓋体3を押さえ付けるためのクランプ9が枢支されている。なお、このクランプ9は、合成樹脂等、磁気を透過させることができる素材で構成されていると共に、前記クランプ9には、磁気検知手段としてのリードスイッチ10が設けられている。
【0011】
前記蓋体3は、前記本体2の上部に着脱自在に取り付けられている。そして、前記蓋体3には、食材を投入するための筒状投入口11が一体に設けられている。なお、この筒状投入口11を含む前記蓋体3は、合成樹脂等、磁気を透過させることができる素材で構成されている。また、前記蓋体3には、前記クランプ9が係合するための係合部12が形成されている。更に、前記クランプ9に設けられたリードスイッチ10は、前記蓋体3を前記本体2に押し付けた状態で、前記筒状投入口11の外面に近接するように構成されている。
【0012】
前記滓受け容器4は、前記本体2の側方で且つ前記蓋体3の下方に着脱自在に設けられる。そして、前記滓受け容器4には、前記下ろし刃体7によってすり下ろされた食材からジュースが搾り取られた残滓が溜められるように構成されている。
【0013】
前記押し棒5は、前記筒状投入口11の上方から挿入可能に構成されている。そして、前記押し棒5は、合成樹脂等、磁気を透過させることができる素材で構成されていると共に、その外面寄りに永久磁石13が設けられている。なお、この永久磁石13は、前記クランプ9によって前記蓋体3が前記本体2に押し付けられた状態で、前記筒状投入口11から投入された時に、前記クランプ9に設けられたリードスイッチ10に近接する位置に設けられている。また、前記永久磁石13は、前記筒状投入口11に前記押し棒5を奥まで押し込んだ状態で前記リードスイッチ10とほぼ同じ高さとなる位置から、前記押し棒5の下端近傍まで、前記押し棒5の軸方向に沿って長く設けられている。
【0014】
前記ジューサー1の回路について、図4に基づいて説明する。14は電源プラグであり、この電源プラグ14には、主スイッチ15、リレー16及び前記電動機6を有する直列回路が接続されている。また、前記リレー16と電動機6を有する直列回路と並列に、リレー駆動回路17が設けられており、このリレー駆動回路17に前記リードスイッチ10が接続されていると共に、前記リレー駆動回路17によって前記リレー16が作動可能に構成されている。
【0015】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、使用者は前記本体2に前記下ろし刃体7を取り付け、前記滓受け容器4を前記本体2の側方に設置した後、前記蓋体3を前記本体2及び滓受け容器4の上から被せる。そして、前記本体2に枢支されたクランプ9を回動させて起こすことで、前記本体2の上部に前記蓋体3を押さえ付ける。この際、前記クランプ9に設けられた前記リードスイッチ10は、前記蓋体3の筒状投入口11の外面に近接する。そして、前記電源プラグ14を図示しない電源差込口に差し込んだ後、前記主スイッチ15を閉じる。更に、前記筒状投入口11から食材を投入した後、前記押し棒5を前記筒状投入口11に挿入し、前記押し棒5によって前記食材を前記下ろし刃体7に押し付ける。この時、前記押し棒5に設けられた永久磁石13の下端近傍の磁気を前記リードスイッチ10が検知することで、前記リレー駆動回路17が前記リレー16の電磁コイル16Aを作動させて、前記リレー16のスイッチ16Bを閉じる。これによって、前記電源プラグ14から前記主スイッチ15及び前記リレー16のスイッチ16Bを経て前記電動機6に電力が供給されて前記電動機6が回転し、この電動機6によって前記下ろし刃体7が回転させられる。この結果、回転する前記下ろし刃体7に前記食材が押し付けられてすり下ろされる。なお、このすり下ろされた食材から、遠心力によってジュースが分離された後、この分離されたジュースが前記注出口8から注出されると共に、残滓が遠心力によって前記滓受け容器4に送られる。
【0016】
なお、更に前記押し棒5を下方に押し込むと、この押し棒5に設けられた前記永久磁石13も下方に押し込まれることになるが、前述したように、前記永久磁石13が前記押し棒5の軸方向に沿って長く設けられているので、この間、前記永久磁石13の中間部分の磁気が前記リードスイッチ10によって検知される。更に、前記押し棒5が前記筒状投入口11に奥まで押し込まれると、前記永久磁石13の上端近傍の磁気が前記リードスイッチ10によって検知される。従って、前記永久磁石13の磁気が前記リードスイッチ10によって感知された後、前記押し棒5が下方に押し込まれている間中、前記永久磁石13の磁気を前記リードスイッチ10が検知することができる。
【0017】
なお、図2に示すように、前記クランプ9によって前記蓋体3が前記本体2に押さえ付けられていない状態では、前記筒状投入口11に前記押し棒5を挿入したとしても、前記クランプ9に設けられたリードスイッチ10が前記押し棒5に設けられた永久磁石13の磁気を検知することができない。従って、前記蓋体3が前記本体1から外れてしまう虞のある状態では、前記電動機6、ひいては前記下ろし刃体7が回転することがなく、前記食材がすり下ろされない。また、図3に示すように、前記筒状投入口11に前記押し棒5が挿入されていない状態では、前記リードスイッチ10が前記筒状投入口11の近傍に配置されていたとしても、磁気源が前記筒状投入口11内に存在しないので、前記リードスイッチ10は磁気を検知することができない。従って、乳幼児等が前記筒状投入口11に手等を入れてしまう虞のある状態では、前記電動機6、ひいては前記下ろし刃体7が回転することがない。
【0018】
以上のように本発明は、蓋体3の筒状投入口11に挿入される押し棒5に永久磁石13を設け、本体2に前記蓋体3を押さえ付けるためのクランプ9を前記本体2に設けると共に、前記クランプ9に磁気検知手段としてのリードスイッチ10を設け、前記クランプ9で前記蓋体3を前記本体2に押し付けることで、前記リードスイッチ10が前記筒状投入口11に近接するように配置され、この状態で、前記永久磁石13が設けられた押し棒5を前記筒状投入口11から軸方向に挿入すると、前記リードスイッチ10が前記永久磁石13の磁気を検知し、これによって、前記本体2内の電動機6が作動して、調理手段としての下ろし刃体7が回転するので、磁気を有さない手等が前記筒状投入口11に挿入されても前記電動機6が作動しないので、従来の電動調理器に比べてより安全にできるものである。
【0019】
また、前記永久磁石13が、前記押し棒5の軸方向に沿うように長く設けられているので、前記押し棒5によって食材を前記下ろし刃体7に押し付けている間中、前記リードスイッチ10によって前記押し棒5に設けられた永久磁石13の磁気を検知し続けることができるものである。
【0020】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、電動調理器の一例としてジューサーを用いて説明したが、これ以外の電動調理器、例えば電動下ろし器や電動スライサー等であってもよい。また、上記実施形態では、調理手段が回転するものであるが、前記調理手段が往復動するものであってもよい。更に、上記実施形態では、磁気検知手段としてリードスイッチを用いたが、これ以外の磁気センサ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を示す電動調理器の側面図である。
【図2】同上、蓋押さえ体が蓋体と係合していない状態における側面図である。
【図3】同上、押し棒が筒状投入口に挿入されていない状態における側面図である。
【図4】同上、回路図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ジューサー(調理器)
2 本体
3 蓋体
5 押し棒
6 電動機
7 下ろし刃体(調理手段)
9 クランプ
10 リードスイッチ(磁気検知手段)
11 筒状投入口
13 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機及び調理手段を有する本体と、筒状投入口が設けられた蓋体と、前記筒状投入口に対して軸方向に挿入されると共に食品を前記調理手段に押し付けるための押し棒とを有する電動調理器において、前記筒状投入口に挿入される前記押し棒に永久磁石を設け、前記蓋体を前記本体に押さえ付けるためのクランプを前記本体に設けると共に、このクランプによって前記蓋体が前記本体に押さえ付けられた状態で、前記クランプにおける前記筒状投入口に近接する部位に磁気検知手段を設けたことを特徴とする電動調理器。
【請求項2】
前記永久磁石が、前記押し棒の軸方向に沿うように設けられていることを特徴とする請求項1記載の電動調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−48790(P2008−48790A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225900(P2006−225900)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)