説明

電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム

【目的】 撮影により得られた画像データを電子スチルカメラの外部に接続された装置に伝送する場合に、その装置の受信可能な転送速度にて画像データを送信する。
【構成】 撮影により得られた画像信号はCCD 108 から信号処理回路110 、A/D 変換回路112 等にて処理される。その後、画像データはY/C 処理回路114 にてYC処理されて圧縮伸張回路21によって圧縮され、メモリカード120 に記録される。メモリカード120 に格納された圧縮画像データは、メモリカード120 から読み出され、通信インタフェース回路124 を介して外部機器20に送信される。この際に、制御プロセッサ130 は通信インタフェース124 を介してデータの転送速度をあらかじめ設定する速度設定コマンドを外部機器20に送信しておく。速度設定コマンドを受けた外部機器は、オン/オフの制御信号中にパルス状の応答信号を送出してコマンドに応答する。これにより、応答が得られた転送速度に設定して外部機器20に適合した速度にて画像データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムに係り、特に、たとえば、撮像した画像データをパーソナルコンピュータなどの外部機器に伝送する際に用いて好適な電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ディジタル電子スチルカメラなどの撮像機器にて撮像した被写界像を表わす画像データを外部機器に伝送する画像データ伝送システムとして、たとえば特開平5-83666 号公報に記載された撮影画像記録再生装置または特願平6-101740号に記載された電子スチルカメラおよびその画像データ送信方法などが提案されている。
【0003】たとえば、前者の撮影画像記録再生装置は、撮影レンズを通して入射される被写体像をCCD(Charged Coupled Device) などの撮像素子にて撮像して、その撮像素子からの出力を輝度信号Yおよび色信号CからなるYC信号に処理して、その画像信号をアナログまたはディジタルの画像データとして、転送ケーブルにて外部接続されたDAT (ディジタルオーディオテープ)装置などの外部記録再生装置に転送する。外部記録再生装置では、デジタルオーディオテープに画像データを記録し、それを読み出して表示装置などに表示するものであった。この場合、カメラとDAT 記録再生装置とは専用の転送ケーブルにて接続されており、カメラ側のタイミング信号発生回路からの同期パルスに応動してカメラから外部記録再生装置に画像データが専用ケーブルを介して転送されていた。
【0004】また、後者の電子スチルカメラおよびその画像データ送信方法では、CCD などの撮像素子にて撮像された被写体像を表わす画像信号は、ディジタルのYC信号に変換され、さらに所定の圧縮方式にて圧縮されてメモリカードなどのカメラに着脱自在に装填された半導体メモリに記録される。メモリカードに記録された圧縮画像データは、EIA(Electronic Industries Association)規格のRS-232-CまたはRS-422などのシリアル通信インタフェースを介して、プリンタなどが接続されたコンピュータシステムに転送される。この場合、RS-232-CまたはRS-422などの通信インタフェース間は、画像データが伝送されるデータ線と、オン/オフの制御信号が送信される制御線とを含むケーブルにて接続され、たとえばコンピュータからの制御信号が制御線をオンとしている間にカメラからデータ線を介して画像データを送信し、オフになった場合にデータ送信を中止し再びオンとなった場合にデータが再び伝送される。このようにして画像データを受けたコンピュータシステムでは、圧縮画像データを伸張して表示装置などに表示し、またはプリンタなどにて画像を印刷するものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の技術では、両システムともにカメラに接続された外部装置が専用の装置であり、その画像データの転送速度は一定のものであった。特に、前者の場合は通信インタフェースを介していないので、もちろんそのデータ転送速度を変化させることはできず、カメラ側からの特定のデータ速度に限られるものであった。後者の場合、通信インタフェースを介しているので、そのデータ転送速度はインタフェースの特性により所定の速度以下のものであれば転送可能で変化させることができるが、相手側のコンピュータの処理速度に応じてあらかじめディップスイッチなどにて転送速度を設定しておかなければならなかった。
【0006】しかし、画像データを受信する装置は専用装置のみでなく、汎用的なパーソナルコンピュータでも可能である。ところが、このようなパーソナルコンピュータではシリアルデータを受信する場合、その転送速度はハードウェア上の特性により必ずしも一定でなく、機器によって速かったり遅かったりする問題があった。通常このような問題は通信が双方向であれば、互いに情報をやりとりして相手の転送速度に合わせることが可能である。しかし、電子スチルカメラのような小型の機器では、コネクタのピン数や駆動回路に制限があり、画像データ以外に通信を行なうことは不要である。このような制限の下で転送受信側の転送速度にあわせることが必要になってくるという課題があった。
【0007】本発明は、このような従来の技術の課題を解決して、受信側装置が汎用の機器であってもその受信速度に応じて転送速度を自動的に設定して、送信することができる電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムは上記課題を解決するために、撮像した被写界像を表わす画像信号を所定のディジタル形式の画像データに変換して記録する電子スチルカメラから、その撮像した画像データを外部機器に伝送する電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムにおいて、電子スチルカメラは、被写体像を撮像する撮像手段と、撮像手段からの画像信号をディジタルの画像データに変換する変換手段と、変換された画像データに所定の処理を施すデータ処理手段と、データ処理手段からの画像データを外部に送信する送信手段と、送信手段を制御して画像データの転送速度を制御する制御手段とを含み、このカメラからの画像データを受信する受信側装置は、送信手段との間が画像データが伝送されるデータ線およびデータ送信の許可および不許可をオン/オフの制御信号にて表わす制御線を介して接続された受信手段を含み、電子スチルカメラの制御手段は、画像データを外部に伝送する際に、あらかじめ送信手段を制御して画像データの転送速度を表わす速度設定コマンドをデータ線を介して受信側装置に送信し、受信側装置の受信手段は、データ線を介して受けた速度設定コマンドにて表わされる転送速度に了解するか否かを制御線に送出するオン/オフの制御信号をさらにパルス状に変化させて応答することを特徴とする。
【0009】この場合、制御手段は、送信手段を制御して画像データの転送速度を複数段階にて変化可能に設定し、その速度設定の際にあらかじめ複数の速度設定コマンドをその速度の速い順にデータ線を介して受信側装置に送信し、速度設定コマンドに対して受信側装置から了解が得られた転送速度に設定して、その速度にて画像データを送信するとよい。
【0010】また、受信側装置の受信手段は、カメラからの複数の速度設定コマンドを受けて、それぞれの速度設定コマンドに対して制御線の許可信号中に1または複数のパルスを送信し、カメラの送信手段は、制御線からの許可信号中のパルスを制御手段に送り、制御手段は、パルス数を判定してデータの転送速度を設定するとよい。
【0011】さらに、送信手段および受信手段は、平衡型ドライバ−レシーバを含むように構成すると有利である。また、送信手段および受信手段は、不平衡型ドライバ−レシーバを含むように構成してもよい。
【0012】一方、電子スチルカメラは、ディジタル形式に変換された画像データを所定の圧縮方式にて圧縮するデータ圧縮手段を含み、このデータ圧縮手段にて圧縮されたデータを外部に送信するようにすると有利である。
【0013】また、電子スチルカメラは、撮像された画像データが記録されるメモリカードが装着され、送信手段はメモリカードから読み出された画像データを外部に送信するとよい。
【0014】さらに受信側装置は、パーソナルコンピュータを含む汎用機器が有利に適用される。受信側装置は、プリンタを含むカメラの周辺機器であってもよい。
【0015】
【作用】本発明の電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムによれば、撮像手段にて撮像された被写界像を表わす画像信号は、変換手段にて所定のディジタル形式の画像データに変換され、さらに所定の処理がデータ処理手段にて施されて送信手段に供給される。送信手段では、制御手段の制御の下に転送速度が制御された画像データとして外部の受信側装置に伝送される。この場合、画像データを外部に伝送する前に、あらかじめ送信手段を制御して画像データの転送速度を表わす速度設定コマンドをデータ線を介して受信側装置に送信しておく。この速度設定コマンドを受けた受信側装置の受信手段では、その速度設定コマンドにて表わされる転送速度に了解するか否かを制御線に送出するオン/オフの制御信号をさらにパルス状に変化させて応答する。これにより、カメラ側の制御手段では送信手段を介して受けた応答信号に応じて転送速度を設定して、その速度にて送信手段を制御して画像データを受信側装置の所望の速度にて送信する。
【0016】
【実施例】次に、添付図面を参照して本発明による電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムの一実施例を詳細に説明する。図1および図2には、本発明における画像データ伝送システムが適用される電子スチルカメラおよび外部機器の一実施例が示されている。本実施例における画像データ伝送システムは、電子スチルカメラ10とパーソナルコンピュータなどの汎用機器20とをデータ線および制御線とを含むケーブル30にてRS-422などのシルアル通信インタフェース124,202 を介して着脱自在に接続したものである。特に、本実施例では、電子スチルカメラ10からの画像データを外部機器20に伝送する際に、データ線を介してカメラ10から画像データの転送速度を表わす複数の速度設定コマンドを送っておき、その転送速度にてデータを受信可能か否かを制御線を介して外部機器20から応答して、その転送速度にて画像データを外部機器20に送信するものである。なお、図1および図2には本発明に直接関係ある部分のみ図示されており、他の本発明に直接関係のない部分はその図示および説明を省略する。
【0017】各部の詳細を説明すると、本実施例の電子スチルカメラ10は、被写界像をレンズ102 、シャッタ104 および絞り106 を通して撮像素子108 に結像する。撮像素子108 は、CCD(Charged Coupled Device) などの固体撮像素子が有利に適用される。固体撮像素子108 は、その撮像面に結像した被写界像をたとえば赤、青、緑(RGB) などの各色成分毎に電気信号に変換して出力する光電変換回路である。この撮像素子108 にて撮像された被写界像を表わす画像信号は信号処理回路110 に供給される。
【0018】信号処理回路110 は、撮像素子108 からの画像信号の直流レベルを一定に保持するクランプ回路、ホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整回路およびガンマ特性を補正するガンマ補正回路などを含み、それぞれの処理を施したアナログ画像信号をアナログ−ディジタル変換回路(A/D) 112 に供給する。アナログ−ディジタル変換回路112 は、アナログのRGB 画像信号をそれらのレベルに応じてそれぞれたとえば8〜10ビットのディジタルのRGB 画像データに変換する変換回路である。変換されたRGB 画像データはそれぞれビットパラレルにY/C 処理回路114 に供給される。
【0019】Y/C 処理回路114 は、アナログ−ディジタル変換器112 を介して供給されるRGB の画像データから輝度信号Yおよび色差信号CのYC画像データを生成するデータ処理回路であり、所定のマトリクス演算回路などにて形成されている。Y/C 処理回路114 からのYC画像データは、通常撮影では制御プロセッサ(CPU)130の制御の下にメモリコントローラ116 を介してフレームメモリ118 に一旦蓄積される。本実施例では、たとえば撮影送信モードにて、通信インタフェース回路124 を介して外部に送信することもできる。この場合、YC画像データを圧縮するか否かは外部機器20の機能に応じて決定される。
【0020】メモリコントローラ116 は、フレームメモリ118 へのデータの書込みおよび読出しを制御するメモリ制御回路であり、本実施例ではメモリカード120 への画像データの記録および読出しをインタフェースするカードインタフェースを含むものである。フレームメモリ118 は、少なくとも撮像されてYCデータに変換された画像データを1コマ分以上蓄積する容量を有する画像バッファであり、本実施例では圧縮伸張回路122 の処理の際の作業バッファとして有利に適用される。
【0021】メモリカード120 は、スタティックRAM(SRAM) またはEEPROM(電気的に消去書込み可能なプログラマブルROM)などの半導体メモリが搭載されたカード状の記録媒体であり、本カメラ10に着脱可能に形成されている。本実施例ではメモリの容量を考慮して圧縮伸張回路122 にて圧縮された画像データが有利に記録され、もちろん十分な容量があれば非圧縮の画像データを記録することも可能である。そのデータ管理方式としては、たとえばファイルアロケーションテーブル(FAT) にてデータの管理を行なう方式が有利に採用される。つまり、メモリ領域が所定の容量毎のクラスタ単位に管理されて、画像データが1または複数のクラスタにわたって記録される。その連鎖情報などをFAT およびディレクトリにて管理する方式である。特に、非圧縮の画像データを記録する場合には複数のクラスタが使用され、この方式が有利に適用される。このメモリカード120 に記録された画像データは、後に読み出されて本カメラ10から外部機器20に伝送することもできる。
【0022】圧縮伸張回路122 は、YC画像データを所定の圧縮符号化方式にて圧縮、伸張する処理回路である。本実施例では、JPEG(Joint Photographic Expert Groupe)形式の圧縮伸張方式が有利に適用されており、たとえば量子化・逆量子化回路と、直交変換・逆直交変換回路と、符号化・復号回路などの処理回路を含むデータ処理部である。この圧縮伸張回路122 では、たとえば撮像された際の画像データを圧縮して、メモリコントローラ116 を介してメモリカード120 に記録し、または圧縮した画像データを通信インタフェース124 を介して外部に転送する場合に適用される。伸張する際には、メモリカード120 から読み出された圧縮データを伸張して、Y/C 処理回路114 から図示しない再生処理部を介して表示装置などに送って表示し、または伸張した画像データを通信インタフェース124 を介して外部に転送する際に適用される。
【0023】通信インタフェース回路124 は、圧縮または非圧縮の画像データを受けてビットシリアルに送信するRS-422などの平衡型ドライバ−レシーバであり、たとえば最大1Mbps 以上の転送速度にてデータを送信可能なインタフェース回路である。本実施例では制御プロセッサ130 の制御の下にそのデータ転送速度が9600bps 〜500kbps まで受信側装置の機能により設定可能となっている。
【0024】制御プロセッサ(CPU)130は、上記各部を制御する主制御装置であり、本実施例では被写体像の撮影、メモリカード120 へのデータ記録および読み出し、外部機器20へのデータ送信などの制御を図示しないレリーズボタンおよび各種操作ボタンの操作に応動して実行する制御回路である。具体的には、制御プロセッサ130に撮影時のレリーズ信号RZと、データの記録と読出しおよびデータ送信などの指示をそれぞれ表わすモード信号MSとが供給され、その制御状態SSを図示しない表示部にて表示させる。たとえば、撮影の際には、クロック発生回路132 を駆動して各部にタイミング信号を供給して、信号処理回路110 およびアナログディジタル回路112 に処理データを設定して最適な撮像処理を行なわせる。この制御プロセッサ130 に接続されたEEPROM136 は、制御プロセッサ110 から各部に送る処理データを格納した記憶回路であり、たとえば信号処理回路110 でのガンマ補正係数およびアナログディジタル変換回路112 での変換係数などが格納されている。D/A 変換器134 は、制御プロセッサ130 からの処理データをアナログ変換して、たとえば、ガンマ補正係数、変換係数などの係数値を電圧値に変換して信号処理回路110 およびアナログディジタル変換器112 などにそれぞれ供給する設定回路である。
【0025】また、本実施例の制御プロセッサ130 は、特にデータ送信の際に、9600bps 〜500kbps の転送速度を表わす速度設定コマンドを通信インタフェース124 からケーブル30のデータ線を介して外部機器20に送信するコマンド送信機能と、その応答信号を受けて外部機器20がいずれの速度に了解したかを判定する応答信号判定機能と、通信インタフェース124 でのデータ転送速度を設定する速度設定機能とを含む。速度設定コマンドに対する応答信号は、後述するようにパルス状の信号であり、制御プロセッサ130 は、そのパルスが所定の時間内に何回発せられたかを判定するために、所定の時間を設定するタイマと、パルス数をカウントするパルスカウンタとを含むものである。
【0026】一方、上記電子スチルカメラ10から画像データを受ける外部機器20は、図2に示すように、たとえば汎用のパーソナルコンピュータ204 であり、カメラ10の通信インタフェース120 と同様なRS-422などの通信インタフェース回路202 を介してカメラ20からのケーブル30に接続される。図2では、通信インタフェース回路202 がパーソナルコンピュータ204 の外部に接続されているが、もちろん内部に有していてもよい。また、RS-232-Cのインタフェース端子を有するパーソナルコンピュータであれば、通信インタフェース202 は、RS-422/RS-232-C 変換機能を含むインタフェースが有利に適用される。この場合、RS-232-Cでは公称1kbps 、近距離では100kbps 程度の転送速度に対応可能であるので、その速度以内に設定するとよい。本実施例のコンピュータ204 には通信インタフェース202 を制御する制御ソフトを搭載しておく。
【0027】通信インタフェース202 は、ケーブル30のデータ線を介してカメラ20からのデータを受けるレシーバと、コンピュータ204 の制御に応じてデータ線にデータ送信の許可/不許可をオン/オフの制御信号として送出するドライバとを含む。特に、本実施例では、画像データの送信に先立ちカメラ20からデータ線を介して速度設定コマンドを受けた際に、制御信号をパルス状に変化させて応答する。たとえば、第1の設定コマンドを受けた後にオン状態の中に1回のパルスを送出することにより、コマンドに対して「否」の応答となり、2回のパルスを送出することにより「適」の応答とする。
【0028】より具体的には、図3に示すように、カメラ10と外部機器20とは、ケーブル3のデータ線30-1を介して通信インタフェース120 のドライバ120-1 の非反転出力と反転出力が通信インタフェース202 のレシーバ202-1 の非反転入力と反転入力にそれぞれ接続され、カメラ側からの送信データTxD に応じた出力RxD が外部機器側に供給される。同様に、制御線30-2は、外部機器側のドライバ202-2 の反転出力および非反転出力と、カメラ側のレシーバ120-2 の反転入力および非反転入力とに接続されて、この場合、外部機器側の制御信号RTS に応じてカメラ側の出力CTS が得られる。通常のデータ伝送の場合は、図4に示すように、外部機器20の制御信号RTS をオフとした状態、つまりカメラ側の制御出力CTS がオフの状態にてデータ線に画像データが送信され、制御信号CTS がオンとなっている期間にはデータの送信が不許可となっている。これを繰り返すことにより、外部機器20の状態に応じてデータが伝送される。
【0029】本実施例では、図5に示すようにデータ伝送の前に、カメラ側からデータ線に速度設定コマンドを送り、その後、制御線にてほぼT=1ms の期間にオン状態中に2回のパルスを外部機器20側から送ると、その前の速度設定コマンドを受け入れた応答信号CTS としてカメラ20に供給される。期間Tに1回のパルスを送出した場合は、カメラ20から次の速度の設定コマンドが送られる。
【0030】図2に戻って、パーソナルコンピュータ204 には、カメラ10から受けた画像データを再生して表示する表示装置206 、画像データを記憶するハードディスクなどの記憶装置208 、キーボードなどの入力装置210 あるいは画像データを再生して印刷する印刷装置212 などが接続されていると有利である。本実施例の場合、パーソナルコンピュータ204 は、画像データを再生可能なソフトウェアを搭載したものであれば、そのハード構成は特に問わない。
【0031】以上のような構成の電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムの動作を電子スチルカメラ10の動作とともに、図6〜図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。まず、画像データを伝送する前に、電子スチルカメラ10にて複数の被写体像を撮影してメモリカード120 に記録しておく。
【0032】つまり、撮影者は、モード設定ボタンを撮影モードに設定する。これにより、制御プロセッサ130 にモード設定信号MSが供給されて撮影モードとなる。この状態にて、レリーズボタンが押されると、シャッタ104 が動作してレンズ102 、シャッタ104 および絞り106 を介して被写体像が撮像素子108 に結像する。撮像素子108 にて撮像された被写体像を表わすRGB 画像信号は、信号処理回路110 にてその黒レベルがクランプされて、さらにホワイトバランスおよびガンマ補正の処理が行なわれて適正化された画像信号としてA/D 変換回路112 に供給される。この場合、ホワイトバランスおよびガンマ補正係数などの処理データは、制御プロセッサ130 からD/A 変換器134 を介して信号処理回路110 に供給され、それぞれの処理が有効に施される。同様に、アナログ−ディジタル変換の変換係数がD/A変換器134 を介してアナログ−ディジタル変換回路112 に供給される。
【0033】これにより、RGB の画像信号は、A/D 変換回路112 にて有効なビット数の画像データに変換されてY/C 処理回路114 に供給される。次に、RGB のディジタル画像データは、YC処理回路114 にてそれぞれ輝度信号および色差信号を含むYC画像データに変換される。YC処理された画像データは、メモリコントローラ116 を介してフレームメモリ118 に一旦蓄積される。フレームメモリ118 に蓄積された画像データは、圧縮処理する場合には、制御プロセッサ130 の制御の下にフレームメモリ118 からメモリコントローラ116 を介して圧縮伸張回路122 に順次読み出されて所定の圧縮処理が施される。圧縮された画像データは、さらにメモリコントローラ116 を介してメモリカード120 に記録される。
【0034】以上の動作が繰り返されて、複数の被写体像がレリーズボタンの押圧に応動して撮影され、それらを表わす画像データがメモリカード120 にそれぞれ記録されると、次にそれら画像データをパーソナルコンピュータなどの外部機器20に伝送する。
【0035】つまり、電子スチルカメラ10と外部機器20をケーブル30にて接続して、カメラ10のモード設定ボタンを送信モードに設定すると、まず、制御プロセッサ130 は図6に示すステップST10にて、速度設定コマンドを外部機器20に送信するために通信インタフェース回路120 のデータ転送速度を9600bps に設定する。
【0036】次に、制御プロセッサ130 は、ステップST12にて9600bps の転送速度によって転送速度500kbps を表わす最初の速度設定コマンドを通信インタフェース120 を介してケーブル30のデータ線から外部機器20に送信する。これにより、外部機器20では、ケーブル30のデータ線を介して最初の速度設定コマンドを受けると、そのコマンドを解析して、その設定速度に応じられるか否かを判定する。次に、外部機器20は、その応答信号として、オン状態とした制御線の信号中に1回または2回のパルスを形成して送出する。これにより、カメラ10の制御プロセッサ130は、通信インタフェース回路120 を介して応答信号を受けて、ステップST14にてパルス数を判定し、500kbps の転送速度を受信側装置20にて受けられるか否かを判定する。
【0037】そのステップST14の判定方法は、図8に示すように、まず、ステップST30において、速度設定コマンド送信後にタイマを1ms にセットする。次に、ステップST32にてパルスカウンタを"0" にリセットする。次いで、ステップST34にて通信インタフェース回路120 のレシーバが制御出力CTS の立ち下がりを検出したか否かを判定する。このステップは、立ち下がりが検出されるまで繰り返される。制御出力CTS の立ち下がりがレシーバにて検出されると、ステップST36に進み、制御出力CTS の立ち上がりを検出したか否かを判定する。これも同様に、出力の立ち上がり検出までステップST36が繰り返される。立ち上がりが検出されると、ステップST38にてパルスカウンタを1つ歩進する。
【0038】次いで、ステップST40に進み、1ms の期間が経過したか否かをタイマのオーバーフローにて判定する。1ms の時間が経過していない場合は、ステップST34ないしステップST38を繰り返す。次のパルスが検出されれば、パルスカウンタをさらに1つ歩進する。次に、ステップST38にて1ms の時間が経過したらステップST42に進み、パルスカウンタの値が"2" であるか否かを判定する。"Yes" であれば、ステップST44にて応答信号の返り値が速度設定コマンドに対して"Yes" であると判定し、"No"であればステップST46にて返り値"No"と判定する。
【0039】図6に戻り、このようにしてステップST14にて判定された応答信号に従って、ステップST16では転送速度を設定するか否かを判断する。つまり、ステップST14の返り値、つまり判定結果が"Yes" であれば矢印Bに進み、後のステップST29にて転送速度を500kbps に設定する。ステップST14の判定結果が"no"であれば、矢印Aに進み、図7のステップST18にて、転送速度250kbps を表わす次の速度設定コマンドを通信インタフェース回路120 を介して外部機器20に送信する。これに対して外部機器20は、上記と同様にオン状態の制御信号中に再び1回または2回のパルスを送出する。これにより、通信インタフェース120 を介して応答信号を受けた制御プロセッサ130 は、ステップST20にて再び上記と同様にしてパルス数を判定し、ステップST22にて転送速度を設定するか否かを判断する。判定結果が"Yes" の場合は、ステップST29にて転送速度を250kbps に設定する。判定結果が"No"の場合は、ステップST18と同様に速度設定コマンドをさらに低くして外部機器20に送信し、次いでステップST20と同様に外部機器20からの応答信号を判定して、転送速度を設定するか否かを判断する。
【0040】これを段階的に繰り返し、いずれの場合も外部機器20から了解が得られない場合には、ステップST24にて転送速度19200bpsの最終の速度設定コマンドを送信する。これに対して外部機器20から再び応答信号を受けて、これをステップST26にて上記と同様に再び判定する。その結果を受けて、ステップST28にて速度設定するか否かを判断する。ここで、判定結果が"No"であれば、転送速度を最初に設定した9600bps の速度のままとする。いずれかの転送速度にて了解が得られれば、そのときの速度設定コマンドにて表わされる転送速度にステップST29において通信インタフェース120 を設定する。
【0041】このようにして転送速度が設定された通信インタフェース124 に対して、制御プロセッサ130 は、メモリコントローラ116 を制御してメモリカード120 から順次画像データを読み出して通信インタフェース124 に供給する。通信インタフェース124 ではドライバを制御して、読み出された画像データをビットシリアルにケーブル30に送信する。これにより、外部機器20では、その通信インタフェース回路202 のレシーバを介して適度な速度にて画像データを受信する。画像データを受けた外部機器20では、たとえば記憶装置208 に順次画像データを格納して、必要であれば伸張処理を施して、表示装置206 に再生して表示し、また印刷が必要であれば印刷装置212 にて印刷する。
【0042】以上のように本実施例の電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムによれば、電子スチルカメラ10から外部機器20に画像データを送信する際に、カメラ10は複数段階にて転送速度を表わす速度設定コマンドを順次、外部機器20に送り、これに対して外部機器20は制御信号のオン状態中にパルス状の応答信号を送出して応答し、その了解された速度にて画像データを送信するので、外部機器20に応じた適正な通信速度にて画像データを伝送することができる。特に、外部機器20が専用の装置でない場合は、その装置のハードウェアなどの特性に応じた受信速度にて、画像データの転送速度を自動的に判別して伝送することができるので、接続された外部機器の仕様などを調べて、ディップスイッチなどを設定する作業を省略することができ、電子スチルカメラ10にて撮影した画像を即座に外部機器に伝送することができる。
【0043】なお、上記実施例では受信側機器としてパーソナルコンピュータ204 を接続した場合を例に挙げて説明したが、本発明では画像を取り込み可能なワードプロセッサやその他の信号処理装置など、いずれの汎用機器に接続してもよい。また、汎用機器でなくカメラの周辺機器、たとえば外部記録装置などに画像データを送信する場合でも有効に適用することができる。
【0044】また、上記実施例では通信インタフェースとしてRS-422などの平衡型ドライバ−レシーバを含むインタフェース回路を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明ではRS-232-CやRS-423などの不平衡型ドライバ−レシーバを含むものであってもよい。
【0045】また、上記実施例では電子スチルカメラ10にて一旦メモリカード124 に記録した画像データを読み出して外部機器に送信する場合を例に挙げて説明したが、たとえば、撮影した画像を即座に伝送する撮影送信モードにすることにより、YC処理および必要であれば圧縮した画像データをそのまま外部機器に送信することもできる。この場合、モード設定して機器を接続した際に速度設定コマンドを送って転送速度をあらかじめ設定する。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明による電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムによれば、電子スチルカメラから外部機器に画像データを伝送する際に、転送速度を表わす速度設定コマンドを送り、そのコマンドに対して外部機器からオン・オフにて送信許可・不許可を表わす制御信号中にパルスを送出して応答して、その了解が得られた転送速度に設定して画像データを伝送するので、外部機器に応じた適正な通信速度にて画像データを送信することができる。これにより外部機器が専用の機器でなくても容易に電子スチルカメラからの画像データを受信することができ、その設定に時間を要していた機器でも短時間にて電子スチルカメラとの接続を図ることができる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像データ伝送システムが適用される電子スチルカメラの一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例における画像データ伝送システムが適用される外部機器の一実施例を示すブロック図である。
【図3】図1の実施例にて適用される通信インタフェース間の接続構成を示すブロック図である。
【図4】図1の実施例における通常のデータ伝送状態を示すタイムチャートである。
【図5】図1の実施例における速度設定に係る信号を表わすタイムチャートである。
【図6】図1の実施例による画像データ伝送システムの速度設定動作を示すフローチャートである。
【図7】図1の実施例による画像データ伝送システムの速度設定動作を示すフローチャートである。
【図8】図6および図7中の応答信号判定方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 電子スチルカメラ
20 外部機器
30 ケーブル
108 撮像素子
110 信号処理回路
112 アナログ−ディジタル変換回路
114 Y/C 処理回路
116 メモリコントローラ
118 フレームメモリ
120 メモリカード
122 圧縮伸張回路
124,202 通信インタフェース回路
130 制御プロセッサ
204 パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮像した被写界像を表わす画像信号を所定のディジタル形式の画像データに変換して記録する電子スチルカメラから該カメラにて撮像した画像データを外部機器に伝送する電子スチルカメラにおける画像データ伝送システムにおいて、前記電子スチルカメラは、少なくとも被写体像を撮像する撮像手段と、該撮像手段からの画像信号をディジタルの画像データに変換する変換手段と、該変換された画像データに所定の処理を施すデータ処理手段と、該データ処理手段からの画像データを外部に送信する送信手段と、該送信手段を制御して画像データの転送速度を制御する制御手段とを含み、該カメラからの画像データを受信する受信側装置は、前記送信手段との間が画像データが伝送されるデータ線、およびデータ送信の許可および不許可をオン/オフの制御信号にて表わす制御線を介して接続された受信手段を含み、前記電子スチルカメラの制御手段は、画像データを外部に伝送する際に、あらかじめ前記送信手段を制御して画像データの転送速度を表わす速度設定コマンドを前記データ線を介して受信側装置に送信し、前記受信側装置の受信手段は、前記データ線を介して受けた速度設定コマンドにて表わされる転送速度に了解するか否かを前記制御線に送出するオン/オフの制御信号をさらにパルス状に変化させて応答することを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項2】 請求項1に記載の画像データ伝送システムにおいて、前記制御手段は、前記送信手段を制御して画像データの転送速度を複数段階にて変化可能に設定し、該速度設定の際にあらかじめ複数の速度設定コマンドをその速度の速い順に前記データ線を介して受信側装置に送信し、該速度設定コマンドに対して受信側装置から了解が得られた転送速度に設定して、画像データを送信することを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項3】 請求項2に記載の画像データ伝送システムにおいて、前記受信側装置の受信手段は、前記カメラからの複数の速度設定コマンドを受けて、それぞれの速度設定コマンドに対して前記制御線の許可信号中に1または複数のパルスを送信し、前記カメラの送信手段は、制御線からの許可信号中のパルスを制御手段に送り、前記制御手段は、パルス数を判定して前記転送速度を設定することを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項4】 請求項2に記載の画像データ伝送システムにおいて、前記送信手段および受信手段は、平衡型ドライバ−レシーバを含むことを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項5】 請求項2に記載の画像データ伝送システムにおいて、前記送信手段および受信手段は、不平衡型ドライバ−レシーバを含むことを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像データ伝送システムにおいて、前記電子スチルカメラは、ディジタル形式に変換された画像データを所定の圧縮方式にて圧縮するデータ圧縮手段を含み、前記送信手段は該データ圧縮手段にて圧縮されたデータを外部に送信することを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像データ伝送システムにおいて、前記電子スチルカメラは、撮像された画像データが記録されるメモリカードが装着され、前記送信手段はメモリカードから読み出された画像データを外部に送信することを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像データ伝送システムにおいて、前記受信側装置は、パーソナルコンピュータを含む汎用機器であることを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。
【請求項9】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像データ伝送システムにおいて、前記受信側装置は、プリンタを含むカメラの周辺機器であることを特徴とする電子スチルカメラにおける画像データ伝送システム。

【図2】
image rotate


【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【公開番号】特開平8−223341
【公開日】平成8年(1996)8月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−25233
【出願日】平成7年(1995)2月14日
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)