説明

電子タバコ

【課題】電子タバコに用いるジョイント部の構造を改善して、ジョイント部による薬液の加熱蒸散を、より確実に安定的に作動させること。
【解決手段】本発明に係る電子タバコのジョイント部は、一端側には、前記電源部と電気的に接続可能な1対の電極が形成され、他端側には、前記薬液供給手段に進入して薬液を浸透させるためのガラス糸束かなる浸透手段が配設され、
前記ガラス糸束からなる浸透手段は、前記ジョイント部の中間部に形成された中空部まで延設されて、前記中空部に配設された延設部の表面には通気性を備えた前記加熱手段が配設され、前記延設部まで浸透してきた薬液が、前記加熱手段によって加熱蒸散され、加熱蒸散された薬液は、前記通気性の加熱手段を通過して前記中空部に排出され、前記中空部の前記他端側の壁面に貫通させて形成された導入孔を通って前記吸い口から吸引し得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略筒状の電源部とジョイント部と薬液供給手段とからなる電子タバコに関し、特には、前記ジョイント部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タバコを燃焼させることなく、タバコに似た香味を嗜好するための擬似喫煙具として、種々のタイプのものが提案されている。
例えば、特許文献1等には、電源部、ジョイント部、及びたばこ類似の薬液が収納された薬液部を含み、さらに中空で一体的に形成されるシェルを有する電子タバコが開示されている。
【0003】
このような構成の電子タバコは、電源部からジョイント部に内蔵された電熱線等の加熱素子に電気エネルギーを供給することにより、薬液部からジョイント部に供給された薬液が加熱されて霧状となり、このようにして気化された薬液成分と、外部から取り込んだ空気との混合気を吸い込むことにより、タバコに似た香味を嗜好することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009-537119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示された電子タバコのジョイント部の要部の構造は、図5に示したように、多孔質部材100の内部に設けられた空同部に電熱線を巻いた加熱手段200を配設した構造であるので、加熱手段200の表面積が十分ではないという問題がある。
そのため、十分な量の薬液を気化させることに不適切であり、多孔質部材100の表面から気化されていない液状のままの薬液が流出しやすいという問題がある。また、薬液の気化量を増やすために電熱線への電気エネルギーを増やすと加熱手段200の一部が局所的に高温になる危険性もあった。
【0006】
本発明が目的とするところは、電子タバコに用いるジョイント部の構造を改善して、ジョイント部による薬液の加熱蒸散を、より確実に安定的に作動させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子タバコは、
略筒状の電源部と、前記電源部に一端が着脱可能な略筒状のジョイント部と、前記ジョイント部の他端に、一端が着脱可能な略筒状の薬液供給手段とからなり、
前記電源部と前記ジョイント部と前記薬液供給手段とを略筒状に連結した状態で、前記ジョイント部に内蔵された加熱手段を、前記電源部から供給される電気エネルギーによって発熱させることによって、前記薬液供給手段から前記加熱手段へ供給される薬液を加熱蒸散させて、前記薬液供給手段の他端側に形成された吸い口から吸引し得るように構成された電子タバコにおいて、
前記ジョイント部は、
一端側には、前記電源部と電気的に接続可能な1対の電極が形成され、
他端側には、前記薬液供給手段に進入して薬液を浸透させるためのガラス糸束からなる浸透手段が配設され、
前記ガラス糸束からなる浸透手段は、前記ジョイント部の中間部に形成された中空部まで延設されて、前記中空部に配設された延設部の表面には通気性を備えた前記加熱手段が配設され、前記延設部まで浸透してきた薬液が、前記加熱手段によって加熱蒸散され、加熱蒸散された薬液は、前記通気性の加熱手段を通過して前記中空部に排出され、前記中空部の前記他端側の壁面に貫通させて形成された導入孔を通って前記吸い口から吸引し得るように構成されていることを特徴とするものである。
請求項2では、
前記加熱手段は、前記ガラス糸束に巻き付けられた電熱線で構成されている。
請求項3では、
前記電源部には、吸引による空気の移動を検知したときに前記加熱手段へ電源を供給する検知手段が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電子タバコのジョイント部は、浸透手段が、ガラス糸束で構成されているので、薬液が浸透しやすく上部であるとともに、加熱手段による熱に対する耐久性も十分である。また、余分な薬液が漏れだして電源部や内部の電気回路等をショートさせることも防止できる。
また、加熱手段は、浸透手段の延設部の表面に配設されているので、十分な表面積が確保でき、従来より蒸散量が多く得られ、効率のよい加熱蒸散が期待できる。
また、前記浸透手段の表面に配設された加熱手段は通気性を備えているので、加熱蒸散された薬液は前記加熱手段を通過することができ、中空部を通って吸い口から吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電子タバコの全体を示す斜視図である。
【図2】前記電子タバコに用いられているジョイント部の側面断面図である。
【図3】前記ジョイント部の側面図である。
【図4】前記ジョイント部の平面図である。
【図5】従来の電子タバコに用いられるジョイント部の要部の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を示した図1において、
本発明に係る電子タバコ1は、略筒状の電源部11と、前記電源部に一端側が着脱可能な略筒状のジョイント部2と、前記ジョイント部2の他端側に、一端が着脱可能な略筒状の薬液供給手段13とから構成されている。
前記電源部11と前記ジョイント部2と前記薬液供給手段13とを略筒状に連結した状態で、前記ジョイント部2に内蔵された加熱手段を、前記電源部11から供給される電気エネルギーによって発熱させることによって、前記薬液供給手段13から前記加熱手段へ供給される薬液を加熱蒸散させて、前記薬液供給手段13の他端側に形成された吸い口14から吸引し得るように構成されている。
使用者が前記吸い口14から吸引すると、前記電子タバコ1の外殻内の内部の空気が吸引されて、内部の気圧変化および空気流が発生する。そのような内部の気圧変化および空気流を、電源部11に内蔵された検知手段4によって検出する。前記検知手段4が検知すると、前記電源部11から前記加熱手段への電気エネルギーの供給が開始されると共に前記電源部11の先端に配設された発光手段(LED等)12が点灯する。
【0011】
以下に、図2、3、4を参照して、前記ジョイント部2の構造を詳細に説明する。
前記ジョイント部2は、
一端側Aには、前記電源部11と電気的に接続可能な1対の電極21、22が形成され、他端側Bには、前記薬液供給手段13に進入して薬液を浸透させるためのガラス糸束からなる浸透手段23が配設されている。
前記ガラス糸束からなる浸透手段23は、前記ジョイント部2の中間部Cに形成された中空部24まで延設されて、前記中空部24に配設された延設部231の表面には通気性を備えた前記加熱手段25が配設されている。
前記中空部24の他端側の壁面には、図2、4に示したように、複数の導入孔26が貫通形成されている。
【0012】
前記一対の電極21、22を介して前記電源部11から加熱手段に電源が供給されると前記延設部まで浸透してきた薬液は、前記加熱手段25における発熱によって加熱蒸散され、加熱蒸散された薬液は、前記通気性の加熱手段25を通過して前記中空部24に排出され、さらに、前記中空部24の前記壁面に貫通させて形成された導入孔26を通って前記薬液供給手段13を通過して、前記吸い口14から吸引される。
なお、使用者が前記吸い口14を吸引すると、前記ジョイント部2の側面に形成された外気導入孔27から外気が導入され、前記外気は、加熱蒸散された薬液と混合されて、前記吸い口14から吸引されるように、前記外気導入孔27から前記中空部24、前記導入孔26を通って前記吸い口14に到る通気路が形成されている。
【実施例1】
【0013】
実施例1では、前記加熱手段25は、ニクロム線等の電熱線で構成され、前記ガラス糸束の表面に巻き付けられて形成されている。前記電熱線は隙間を設けて巻き付けられているので通気性を備えており、加熱蒸散された薬液は気体状態となって通過して、前記中空部24へ拡散することができる。
前記浸透手段23はガラス糸束で構成されているので、先端から浸透した薬液は、毛細管現象によって延設部231まで移動し、延設部231では加熱手段25によって加熱蒸散されるのである。そして、前記ガラス糸束は、保護筒232に覆われて、突出した形状が保持されるように構成されている。前記保護筒232の側面にも、図2、3に示したように、導入孔26が形成されている。
【0014】
また、ガラス糸は、十分な耐熱性を備えているので、加熱手段25による加熱に対して十分な耐久性を備えている。
なお、前記電熱線と直列に接続された保護手段28は、前記電熱線への過電流を防止したり、電熱線の異常加熱を防止する保護機能を備えたICである。
また、前記中空部24を形成する筒状部材は、セラミック製であり、前記電熱線による加熱に対して十分な耐久性を備えている。
【0015】
また、前記一対の電極21、22の内、外側電極21は、金属製の外殻を介して前記電熱線の一端と接続されており、内側電極22は、前記保護手段28を介して前記電熱線の他端と接続されている。
なお、前記内側電極22と前記外側電極21との間はシリコーン樹脂製の絶縁部材30によって絶縁されている。
【0016】
以上のように構成された本発明に係る電子タバコに用いるためのジョイント部2は、ガラス糸束からなる浸透手段23によって、薬液供給手段13から浸透供給される薬液を、前記加熱手段25で加熱蒸散させ、前記導入孔26を通って前記吸い口14から吸引し得るように構成したものであるので、薬液供給手段13に充填された薬液は、特定の成分に限定されるものではなく、また、電源部11の構成は、特定の1次電池や2次電池に限定されるものでもない。
さらには、前記電源部11に内蔵された検知手段は、ダイヤフラム式等のように特定の構造に限定されるものでもない。
【0017】
使用者が、吸い口14からの吸引を止めると、前記検知手段はオフとなり、先端の発光手段が消灯状態となると共に、薬液の加熱蒸散も停止する。
このように、吸い込んだり、吸い込むことを止めたりすることで、本物のタバコの火のように、先端の発光手段が点灯したり消灯したりするともに、薬液成分が加熱蒸散されたり、停止されたりするので、本物のタバコを吸っているような感覚を得ることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 電子タバコ
11 電源部
12 発光手段
13 薬液供給手段
14 吸い口
2 ジョイント部
23 浸透手段
24 中空部
25 加熱手段
26 導入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状の電源部と、前記電源部に一端が着脱可能な略筒状のジョイント部と、前記ジョイント部の他端に、一端が着脱可能な略筒状の薬液供給手段とからなり、
前記電源部と前記ジョイント部と前記薬液供給手段とを略筒状に連結した状態で、前記ジョイント部に内蔵された加熱手段を、前記電源部から供給される電気エネルギーによって発熱させることによって、前記薬液供給手段から前記加熱手段へ供給される薬液を加熱蒸散させて、前記薬液供給手段の他端側に形成された吸い口から吸引し得るように構成された電子タバコにおいて、
前記ジョイント部は、
一端側には、前記電源部と電気的に接続可能な1対の電極が形成され、
他端側には、前記薬液供給手段に進入して薬液を浸透させるためのガラス糸束からなる浸透手段が配設され、
前記ガラス糸束からなる浸透手段は、前記ジョイント部の中間部に形成された中空部まで延設されて、前記中空部に配設された延設部の表面には通気性を備えた前記加熱手段が配設され、前記延設部まで浸透してきた薬液が、前記加熱手段によって加熱蒸散され、加熱蒸散された薬液は、前記通気性の加熱手段を通過して前記中空部に排出され、前記中空部の前記他端側の壁面に貫通させて形成された導入孔を通って前記吸い口から吸引し得るように構成されていることを特徴とする電子タバコ。
【請求項2】
前記加熱手段は、
前記ガラス糸束に巻き付けられた電熱線で構成されていることを特徴とする請求広1に記載の電子タバコ。
【請求項3】
前記電源部には、
吸引による空気の移動を検知したときに前記加熱手段へ電源を供給する検知手段が備えられていることを特徴とする請求広1、2の何れか1項に記載の電子タバコ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−29633(P2012−29633A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172017(P2010−172017)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(506058967)株式会社 ジェイビーエス (8)