説明

電子デバイスおよびフールプルーフ法

【課題】電子デバイスの焼損を防ぐ。
【解決手段】フールプルーフ機能を備えた電子デバイスを提供し、それは第1のマグネット、出力端、ホールセンサおよび電源ユニットを含む。第1のマグネットは磁場を発生させる。出力端は磁場の範囲内に設置され、第2の電子デバイスの入力端と対になる。ホールセンサは磁場に基づいてホール電圧を生じる。電源ユニットは出力端に接続され、ホールセンサから出力される制御信号に基づいて出力端に電源を供給する。出力端が入力端に接続されると共にホール電圧が特定の電圧を超えると、ホールセンサが制御信号を出力し、これにより電源ユニットが制御信号に基づいて出力端に電源を供給し、かつ第2の電子デバイスが出力端から電源を受け取るようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年9月23日に出願された台湾特許出願第100134296号の優先権を主張し、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は電子デバイスに関し、より詳細には、フールプルーフ機能(fool−proof features)を備えた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、コンピュータおよびネットワークは、より有効な多くの画期的な機能を実現させている。インターネット装置および外部記憶装置のような新たな周辺デバイスは、コンピュータまたはノートブック型パソコンにより容易に接続され得る。しかしながら、様々な種類の周辺デバイスがあり、かつ電子デバイスのプラグが正しくない方式でプラグ座(plug seat)に接続されることが多いため、電源供給後に電子デバイスが焼損するという事態が起こってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、電子デバイスの焼損を防ぐための電子デバイスおよびフールプルーフ法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した問題に鑑みて、本発明は、第1のマグネット、出力端、ホールセンサおよび電源ユニットを含む、フールプルーフ機能を備えた電子デバイスの実施形態を提供する。第1のマグネットは磁場を発生させる。出力端は磁場の範囲内に設置され、第2の電子デバイスの入力端と対になる。ホールセンサは磁場に基づいてホール電圧を生じる。電源ユニットは、ホールセンサから出力される制御信号に基づいて出力端に電源を供給するべく出力端に接続される。出力端が入力端に接続されると共にホール電圧が特定の電圧を超えると、ホールセンサが制御信号を出力し、これにより電源ユニットが制御信号に基づいて出力端に電源を供給し、かつ第2の電子デバイスが出力端から電源を受け取るようになる。
【0006】
また本発明は、第1の電子デバイスおよび第2の電子デバイスに適したフールプルーフ法を提供する。当該フールプルーフ法は、第1の電子デバイスの第1のマグネットの磁場に基づいてホールセンサにホール電圧を発生させるステップ、第1の電子デバイスの出力端が第2の電子デバイスの入力端に接続されたとき、ホール電圧が特定の電圧を超えているかを判断するステップ、および出力端が入力端に接続されると共に、ホール電圧が特定の電圧を超えているとき、ホールセンサから出力される制御信号に基づいて出力端に電源を供給し、これにより第2の電子デバイスが前記出力端から電源を受け取るようになるステップ、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子デバイスおよびフールプルーフ法は、第1の電子デバイスが第2の電子デバイスに不正確な方式で電気的に接続されたときに第2の電子デバイスの一部部品が損傷を受けるまたは焼損するのを防ぐべく、これら電子デバイスが正しい方式で電気的に接続されているかを判断できるものである。故に、本発明の電子デバイスおよびフールプルーフ法によれば、電子デバイスを有効に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面を参照に、以下の実施形態において詳細な説明を行う。
【0009】
添付の図面を参照にしながら後続の詳細な説明および実施例を読むことにより、本発明をより十分に理解することができる。
【0010】
【図1】本開示の電子デバイスの概略図を示している。
【図2】本開示の電子デバイスの別の概略図を示している。
【図3】本開示の電子デバイスの別の概略図を示している。
【図4】本開示の電子デバイスの別の概略図を示している。
【図5】本開示のホールセンサの概略図を示している。
【図6】本開示のホールセンサの別の概略図を示している。
【図7】本開示のホール電圧のタイミングチャートを示している。
【図8】本開示のホール電圧の別のタイミングチャートを示している。
【図9】本開示のフールプルーフ法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本開示の電子デバイスの概略図を示している。図1に示されるように、電子デバイス110は、マグネット111および115、出力端112、ホールセンサ113(および/またはホールセンサ116)、ならびに電源ユニット114を含んでいる。マグネット111および115は磁場を発生させる。この実施形態において、マグネット111および115は、出力端112について対称をなす両側にそれぞれ配置される。
【0012】
出力端112はマグネット111の磁場の範囲内に設置され、かつ別の電子デバイス120の入力端122と対になる。例えば、出力端112はメスコネクタであってよく、入力端122はオスコネクタであってよい。メスコネクタはオスコネクタと対になる。ホールセンサ113は、マグネット111の磁場に基づいてホール電圧を発生させるべくマグネット111上に設置され得る。いくつかの実施形態では、ホールセンサ113がマグネット115上に設置され得る、または電子デバイス110がマグネット115上に設置される別のホールセンサ116を含む。電源ユニット114は出力端112に接続される。出力端112が入力端122と接続されると、電源ユニット114は出力端112に選択的に電源を供給し、これにより入力端122が出力端112から電源を受け取るようになる。よって、電源ユニット114は、出力端112に選択的に電源を供給するためのスイッチングユニットを備えていてよい。
【0013】
図2は、本開示の電子デバイスの別の概略図を示している。図2に示されるように、マグネット111は表面F11およびF12を有しており、マグネット115は表面F21およびF22を有している。表面F11およびF21は筐体外部表面117に設置される。表面F11およびF21の極性は反対であり、かつ表面F12およびF22の極性は反対である。他方の電子デバイス120において、マグネット121は表面F31およびF32を有しており、マグネット125は表面F41およびF42を有している。表面F31およびF41は筐体外部表面127に設置される。表面F31およびF41の極性は反対であり、かつ表面F32およびF42の極性は反対である。
【0014】
図3は、本開示の電子デバイスの別の概略図を示している。図3は図2と類似しており、相違しているのは、表面F12およびF22がいずれも筐体内部表面118に設置される点である。他方の電子デバイス120において、表面F32およびF42はいずれも筐体内部表面128に設置される。なお、図3および4においては、マグネット111、115、121および125が筐体表面(例えば、筐体内部表面118また128)に接触しているという点に留意されたい。いくつかの実施形態では、マグネット111、115、121および125と筐体表面(例えば、筐体内部表面118または128)との間には間隔がある。
【0015】
この実施形態において、出力端112が入力端122に正常に接続されると、マグネット121および125はマグネット111および115をそれぞれ引き付け、これによりマグネット121、125、111および115がホールセンサ113に最大の磁場を生じるようになる。一方、出力端112が入力端122に異常に接続されると、マグネット121、125、111および115はホールセンサ113に最大の磁場を生じない。
【0016】
詳細に言うと、出力端112が入力端122に接続されると共に、ホール電圧が特定の電圧を超えると、電源ユニット114のスイッチングユニットは開路状態となり、これにより電源ユニット114が出力端112に電源を供給できるようになる。よって、電子デバイス120は出力端112から電源を受け取ることができる。この実施形態において、出力端112が入力端122に接続されると共に、ホール電圧が所定の周期の間、特定の電圧を超えているときにのみ、電源ユニット114は出力端112に電源を供給する。換言すると、出力端112が入力端122に安定に接続されるときにのみ、電源ユニット114は出力端112に電源を供給する。
【0017】
ホール電圧が特定の電圧を下回ると、電源ユニット114は出力端112に電源を供給しない、または出力端112に電源を供給するのを停止し、これによって、出力端112が入力端122に異常に接続され、それと同時に電源ユニット114が入力端122(出力端112)へ電源を供給したときに電子デバイス110または120が損傷してしまうのを防ぐ。
【0018】
図4は、本開示の電子デバイスの別の概略図を示している。電子デバイス130は、マグネット111、115、121および125、出力端112、入力端122、ホールセンサ113ならびに電源ユニット114を含んでいる。図4に示されるマグネットの配置は、図3に示される同じマグネットの配置と同じであるため、簡潔とすべくその説明は省く。いくつかの実施形態において、図4に示されるマグネットの配置は、図2に示される同じマグネットの配置と同じであってよい。図4に示されるように、電子デバイス130は電子デバイス110および120の全ての特徴(構造)を含んでいる。
【0019】
図5は、本開示のホールセンサの概略図を示している。図5に示されるように、出力端112が入力端122に正常に接続されると、マグネット121は磁場MFの量を増やし(磁場を強め)、これによりホール電圧VHが特定の電圧を超えるようになる。ホール電圧VHが所定の周期の間、特定の電圧を超えているとき、ホールセンサ113は電源ユニット114へ制御信号を出力し、これにより電源ユニット114が制御信号に基づいて出力端112に電源を供給するようになる。
【0020】
図6は本開示のホールセンサの別の概略図を示している。図6に示されるように、出力端112が入力端122に異常に接続されると、マグネット125は磁場MFの量を減らし、これによりホール電圧が特定の電圧まで増加され得なくなる。このため、ホールセンサ113は制御信号を電源ユニット114へ出力することができず、電源ユニット114は出力端112に電源を供給することができなくなる。
【0021】
図7は、本開示のホール電圧のタイミングチャートを示している。図7に示されるように、時点t0において、ホールセンサ113が磁場MFに基づいてホール電圧VHを生じる。このとき、ホール電圧VHの量は電圧VRである。時点t1において、出力端112が入力端122に正しく接続され、これによりマグネット121がホール電圧VHを増加させる。時点t2において、ホール電圧VHが特定の電圧VDを超え、このうち特定の電圧VDは電圧VRより大きい。所定の周期TPが経過して時点t3に達し、かつホール電圧VHが依然として所定の電圧VDを超えているとき、ホールセンサ113は制御信号を電源ユニット114に出力し、これにより電源ユニット114が制御信号に基づいて電源を出力端112に供給するようになる。
【0022】
図8は、本開示のホール電圧の別のタイミングチャートを示している。図8に示されるように、時点t1において、出力端112が入力端122に異常に(不正確に)接続されると、マグネット125は磁場MFの量を減らすことができ、これによりホール電圧が増加され得ないようになる。時点t2において、ホール電圧VHが電圧VLを下回り、このうち電圧VRは電圧VLより大きい。このためホールセンサ113は制御信号を電源ユニット114に出力することができず、これにより電源ユニット114が電源を出力端112に供給できないようになる。
【0023】
図9は、本開示のフールプルーフ法のフローチャートを示している。図9に示されるように、ステップS91において、電子デバイス110のマグネット111(および/またはマグネット115)の磁場MFに基づいてホール電圧VHが生じる。ステップS92において、電子デバイス110の出力端112が電子デバイス120の入力端122に接続されたとき、ホール電圧VHが特定の電圧VDを超えたかが判断される。ステップS93において、出力端112が入力端122に接続されると共に、ホール電圧VHが特定の電圧VDを超えているとき、ホールセンサ113から出力される制御信号に基づいて出力端112に電源が供給され、これにより電子デバイス120が出力端112から電源を受け取るようになる。ステップS94において、ホール電圧VHが特定の電圧VDを超えていないとき、電源は出力端112に供給されず、これにより電子デバイス120は出力端112から電源を受け取らないようになる。
【0024】
本開示の電子デバイスおよびフールプルーフ法は、電子デバイス110が電子デバイス120に不正確な方式で電気的に接続されたときに電子デバイス120の一部部品が損傷を受けるまたは焼損するのを防ぐべく、電子デバイス110が電子デバイス120に正しい方式で電気的に接続されているかを判断できるものである。故に、本開示の電子デバイスおよびフールプルーフ法によれば、電子デバイス120を有効に保護することができる。
【0025】
以上の記載は、詳細な説明を当業者がより理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を述べたものである。当業者は、本開示を基礎として容易に利用し、他の工程および構造を設計または変更することにより、本明細書に紹介した上記実施形態と同じ目的および/または上記実施形態と同じ長所を達成できることを、理解するはずである。また当業者は、かかる均等な構成は本開示の精神および範囲を逸脱しないこと、ならびに本開示の精神および範囲を逸脱することなく各種変化、置換および変更を加えることができることも理解するはずである。
【符号の説明】
【0026】
110、120…電子デバイス
111、115、121、125…マグネット
112…出力端
122…入力端
113、116…ホールセンサ
114…電源ユニット
F11、F12、F21、F22、F31、F32、F41、F42…表面
127、117…筐体外部表面
118、128…筐体内部表面
MF…磁場
VD…特定の電圧
VH…ホール電圧
VR、VL…電圧
TP…所定の周期
t0、t1、t2、t3…時点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フールプルーフ機能を備えた電子デバイスであって、
磁場を生じる第1のマグネット、
前記磁場の範囲内に設置され、第2の電子デバイスの入力端と対になる出力端、
前記磁場に基づいてホール電圧を生じるホールセンサ、および
前記ホールセンサから出力される制御信号に基づいて前記出力端に電源を供給するべく前記出力端に接続される電源ユニット、
を含み、
前記出力端が前記入力端に接続されると共に前記ホール電圧が特定の電圧を超えると、前記ホールセンサが前記制御信号を出力し、これにより前記電源ユニットが前記制御信号に基づいて前記出力端に電源を供給し、かつ前記第2の電子デバイスが前記出力端から電源を受け取るようになる電子デバイス。
【請求項2】
前記ホール電圧が前記特定の電圧を超えていないとき、前記ホールセンサが前記制御信号を出力するのを停止し、これにより前記電源ユニットが前記出力端に電源を供給できなくなる請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記出力端が前記入力端に正しく接続されると、前記第2の電子デバイスの第2のマグネットが前記ホール電圧を前記特定の電圧まで増加させ、これにより前記ホールセンサが前記制御信号を出力し、かつ前記電源ユニットが前記制御信号に基づいて電源を前記出力端に供給するようになる請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記ホール電圧が所定の周期の間、前記特定の電圧を超えているとき、前記ホールセンサが前記制御信号を出力する請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記入力端が前記出力端に異常に接続されると、前記第1のマグネットが前記第2の電子デバイスの第3のマグネットに反発され、かつ前記第3のマグネットが前記ホール電圧を減少させ、これにより前記ホールセンサが前記制御信号を出力するのを停止するようになる請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
第1の電子デバイスおよび第2の電子デバイスに適したフールプルーフ法であって、
前記第1の電子デバイスの第1のマグネットの磁場に基づいてホールセンサにホール電圧を発生させるステップ、
前記第1の電子デバイスの出力端が前記第2の電子デバイスの入力端に接続されたとき、前記ホール電圧が特定の電圧を超えているかを判断するステップ、および
前記出力端が前記入力端に接続されると共に、前記ホール電圧が前記特定の電圧を超えているとき、前記ホールセンサから出力される制御信号に基づいて前記出力端に電源を供給し、これにより前記第2の電子デバイスが前記出力端から電源を受け取るようになるステップ、
を含むフールプルーフ法。
【請求項7】
前記ホール電圧が前記特定の電圧を超えていないとき、前記出力端への電源の供給を停止し、これにより前記第2の電子デバイスが前記出力端から電源を受け取らないようになるステップをさらに含む請求項6に記載のフールプルーフ法。
【請求項8】
前記入力端が前記出力端に正常に接続されたとき、前記第2の電子デバイスの第2のマグネットが前記ホール電圧を前記特定の電圧まで増加させ、これにより前記ホールセンサが前記制御信号を出力し、よって前記第1の電子デバイスの電源ユニットが前記制御信号に基づいて前記出力端に電源を供給するようになる請求項6に記載のフールプルーフ法。
【請求項9】
前記ホール電圧が所定の周期の間、前記特定の電圧を超えているとき、前記ホールセンサが前記制御信号を出力する請求項8に記載のフールプルーフ法。
【請求項10】
前記出力端が前記入力端に異常に接続されたとき、前記第1のマグネットが前記第2の電子デバイスの第3のマグネットに反発され、かつ前記第3のマグネットが前記ホール電圧を減少させ、これにより前記ホールセンサが前記制御信号を出力するのを停止するようになる請求項7に記載のフールプルーフ法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−69280(P2013−69280A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204651(P2012−204651)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【出願人】(509352749)宏碁股▲分▼有限公司 (16)
【氏名又は名称原語表記】ACER INCORPORATED