説明

電子ペーパーおよびその製造方法

【課題】簡便な手法によって電子ペーパーの隔壁を形成する。
【解決手段】一対の基板10、20の間に配置される隔壁30が、複数の気泡を含有する泡構造シートから構成され、複数の気泡における隣接する気泡の間に隔壁30が位置付けられている。また、互いに対向する一対の基板10、20と、一対の基板の間に配置される隔壁30を含む隔壁層31とを備える電子ペーパー100の製造方法であり、第1基板10の上に、ペースト材料32を付与する工程と、ペースト材料32の内部に気泡35を生じさせることによって、隔壁30を含む隔壁層31を形成する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーおよびその製造方法に関する。より詳細には、例えば静電気を利用した粒子の移動によって画像を繰り返し表示・消去することができる表示装置(電子ペーパー)およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、粒子移動方式などの技術を用いた電子ペーパーが提案されている。電子ペーパーでは、静電気を利用した粒子の移動によって画像を繰り返し表示、消去することが可能である。電子ペーパーは、LCDに比べて、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットを有しており、次世代の安価な表示装置として注目されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
図1は、従来の電子ペーパー1000の構成を示している。図1に示した電子ペーパー1000は、少なくとも一方が透明な対向する基板(110、120)と、両基板(110、120)の間隔を保持する隔壁130とから構成されている。両基板(110、120)と隔壁130とによってセル構造が形成されており、そのセル構造の空間内に、色の異なる粒子(140A、140B)が封入されている。基板110と基板120との間隔は、粒子が移動でき、コントラストが維持できる距離が選択される。基板110と基板120との間隔を規定する隔壁130は、例えば、図2、図3又は図4に示した手法によって形成することができる。
【0004】
図2に示す隔壁形成方法では、露光およびペースト充填手法が用いられる。具体的には、まず、基板110を用意した後(図2(a))、基板110の上にフォトレジストフィルム200を張り付ける(図2(b))。次に、隔壁130の寸法と大きさを規定するマスク(不図示)を介して、フォトレジストフィルム200に露光を行ってエッチングし、隔壁130が形成される領域に開口部210を形成する(図2(c))。次いで、フォトレジストフィルム200の開口部210に隔壁材料となるペースト230を充填する(図2(d))。そして、ペースト230を硬化させた後、フォトレジストフィルム200を除去すると、隔壁130が形成される(図2(e))。
【0005】
図3に示す隔壁形成方法では、露光および現像手法が用いられる。具体的には、まず、基板110を用意した後(図3(a))、基板110の上にペースト300を塗布する(図3(b))。次に、隔壁130の寸法と大きさを規定する遮光部320を有するマスク310を、ペースト300の上に配置する(図3(c))。次いで、マスク310を介して、ペースト300に露光(矢印350)を行った後(図3(d))、露光したペースト300を現像して隔壁構造体330を得る(図3(e))。その隔壁構造体330を焼成することによって、隔壁130が形成される(図3(f))。
【0006】
図4に示す隔壁形成方法では、スクリーン印刷手法が用いられる。具体的には、まず、基板110を用意した後(図4(a))、基板110の上に、隔壁130のパターンを印刷するためのスクリーン印刷版410を配置する(図4(b))。次に、スクリーン印刷版410の上にペースト420を塗布し(図4(c))、次いで、スクリーン印刷版410を介して、ペースト420を塗布転写して、隔壁構造体421を形成する(図4(d))。次に、この隔壁構造体421を硬化させて隔壁構造体431を得る(図4(e))。その後、上記工程(スクリーン印刷)を複数回繰り返し(図4(c)〜図4(e))、隔壁構造体431、432、433を積層させて、隔壁130を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−202600号公報
【特許文献2】特開2003−202601号公報
【特許文献3】特開2003−207810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子ペーパー1000における隔壁130は、一対の基板110、120の間隔を保持するスペーサの役割(ギャップ保持)と、粒子140A、140Bを封入する仕切りの役割(均一封入)を持っている。したがって、隔壁を形成する際には、ギャップ保持のための隔壁の高さと、開口率向上のための隔壁の薄さが求められる。加えて、電子ペーパー1000を広く普及させるためには、コスト低減の課題を克服することも求められる。
【0009】
図2および図3に示した隔壁形成方法では、マスクを介して露光を行うフォトリソグラフ手法が用いられる。フォトリソグラフ手法を用いる場合、製造コストが高くなってしまうとともに、電子ペーパー1000のサイズが大きくなると(例えば、一辺が1メートル以上)、大判マスクを作製するコストが高くなる等の問題が発生する。
【0010】
図4に示した隔壁形成方法では、スクリーン印刷手法が用いられるので、フォトリソグラフ手法を用いる場合の課題は回避できる。しかしながら、スクリーン印刷手法では、一回の印刷で形成できる隔壁の高さが低く、複数回の印刷を実行しないと、必要な隔壁の高さを稼ぐことができない。幅の狭い隔壁の上に、更なる隔壁を印刷で形成して積層していくのは、技術的な困難が発生する場合があるため、それゆえに、スクリーン印刷手法にも課題がある。
【0011】
しかしながら、スクリーン印刷手法では、一回の印刷で形成できる隔壁の高さが低く、複数回の印刷を実行しないと、必要な隔壁の高さを稼ぐことができない。幅の狭い隔壁の上に、更なる隔壁を印刷で形成して積層していくのは、技術的な困難が発生する場合があるため、印刷の際に重ね合わせのずれや垂れによって隔壁高さ精度の悪化や表示開口率の低下などを招く場合がある。それゆえに、スクリーン印刷手法にも課題がある。
【0012】
本願発明者は、上述した電子ペーパー1000の隔壁形成の問題に対して、従来技術の延長線で対応するのではなく、新たな方向で対処し、それらの課題を解決するように試みた。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、簡便な手法によって電子ペーパーの隔壁を形成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電子ペーパーは、互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層とを備え、前記一対の基板の間であって、前記隔壁層における隣接する隔壁の間には、粒子が封入されており、前記隔壁層は、複数の気泡を含有する泡構造シートから構成されており、前記複数の気泡における隣接する気泡の間に、前記隔壁が位置付けられている。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記粒子は、前記気泡が位置する領域に配置されており、
前記一対の基板の間に電界を発生させて前記粒子を移動させることによって画像を生じさせる。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記画像を構成する1つの画素の領域に、前記隔壁に囲まれた領域が複数含まれている。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記隔壁に囲まれた領域の形状は、それぞれ、異なっている。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記隔壁の上端部には、湾曲部が形成されている。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記隔壁の上端部は、当該隔壁の中央部よりも大きい形状を有し、前記隔壁の下端部には、湾曲部が形成されている。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記隔壁の高さは、30μm以上100μm以下である。
【0020】
ある好適な実施形態において、前記隔壁層は、熱硬化性樹脂から構成されている。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記一対の基板の少なくとも一方は、透光性材料から構成されており、前記一対の基板は、それぞれ、フレキシブル基板から構成されている。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記一対の基板のそれぞれは、一辺1メートル以上の寸法を有している。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記隔壁層は、一辺1メートル以上の寸法を有している。
【0024】
本発明に係る電子ペーパーの製造方法は、互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層とを備える電子ペーパーの製造方法であり、第1基板の上に、ペースト材料を付与する工程と、前記ペースト材料の内部に気泡を生じさせることによって、前記隔壁を含む前記隔壁層を形成する工程とを含む。
【0025】
ある好適な実施形態において、前記第1基板は、前記一対の基板のうちの一方の基板であり、前記隔壁層を形成する工程の後において、前記隔壁層の上に、前記一対の基板のうちの他方の基板を形成する工程を実行する。
【0026】
ある好適な実施形態において、前記第1基板は、キャリア基板であり、前記隔壁層を形成する工程の後において、前記キャリア基板から前記隔壁層を剥離する工程と、前記一対の基板のうちの一方の基板の上に、前記隔壁層を配置する工程とを含む。
【0027】
ある好適な実施形態において、前記ペースト材料の中には、気泡発生剤が含有されており、前記隔壁層を形成する工程は、前記気泡発生剤から気泡を発生させることによって実行される。
【0028】
ある好適な実施形態において、前記隔壁層を形成する工程は、前記ペースト材料に、多孔質膜を介して気泡を導入するステップと、前記気泡を成長させるステップとを含む。
【0029】
ある好適な実施形態において、前記隔壁層を形成する工程は、前記ペースト材料に、エア吐出装置を用いて気泡を導入するステップと、前記気泡を成長させるステップとを含む。
【0030】
ある好適な実施形態において、前記気泡を成長させるステップは、減圧することによって実行される。
【0031】
ある好適な実施形態において、前記気泡を成長させるステップは、加熱することによって実行される。
【0032】
ある好適な実施形態において、前記気泡を成長させるステップは、前記ペースト材料の上面に第2基板を配置するステップと、前記第2基板を上下動させるステップとを含む。
【0033】
本発明に係る他の電子ペーパーの製造方法は、互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層とを備える電子ペーパーの製造方法であり、気泡を含有するシートを用意する工程と、前記シートを第1基板の上に配置する工程と、前記シートにおける前記気泡を成長させることによって、前記隔壁を含む前記隔壁層を形成する工程とを含む。
【0034】
本発明に係る他の電子ペーパーの製造方法は、互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層とを備える電子ペーパーの製造方法であり、前記一対の基板のうちの一方の基板の上に、ギャップを設けて第2基板を配置する工程と、前記一方の基板と前記第2基板との間のギャップに、気泡を含有するペースト材料を送り込む工程と、前記ペースト材料における前記気泡を成長させることによって、前記隔壁を含む前記隔壁層を形成する工程とを含む。
【0035】
ある好適な実施形態では、前記隔壁層を形成した後において、前記隔壁層における隣接する隔壁の間に、粒子を導入する工程を含む。
【0036】
ある好適な実施形態において、前記隔壁層の上に、前記一対の基板のうちの他方の基板を形成する工程を実行する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、一対の基板の間に配置される隔壁が、複数の気泡を含有する泡構造シートから構成され、複数の気泡における隣接する気泡の間に隔壁が位置付けられている。したがって、気泡を生じさせることによって、隣接する気泡の間に位置する隔壁を形成することができる。その結果、簡便な手法によって電子ペーパーの隔壁を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の電子ペーパー1000の構成を示す断面図
【図2】(a)から(e)は、隔壁130を形成する方法を説明するための断面図
【図3】(a)から(f)は、隔壁130を形成する方法を説明するための断面図
【図4】(a)から(f)は、隔壁130を形成する方法を説明するための断面図
【図5】本発明の実施形態に係る電子ペーパー100における1つのセルの断面図
【図6】本発明の実施形態に係る電子ペーパー100における1つのセルの断面図
【図7】本発明の実施形態に係る電子ペーパー100の断面図
【図8】隔壁層31における隔壁30の構造を模式的に示した上面図
【図9】(a)から(d)は、電子ペーパー100の製造方法を説明するための断面図
【図10】(a)から(c)は、電子ペーパー100の製造方法を説明するための断面図
【図11】隔壁30の周囲を拡大して示す断面図
【図12】本発明の実施形態に係る電子ペーパー100の断面図
【図13】(a)から(e)は、隔壁30を形成する方法を説明するための断面図
【図14】(a)から(c)は、隔壁30を形成する方法を説明するための断面図
【図15】(a)および(b)は、隔壁30を形成する方法を説明するための断面図
【図16】(a)から(d)は、隔壁30を形成する方法を説明するための断面図
【図17】本発明の実施形態に係る電子ペーパー100の一つの形態を示す図
【図18】本発明の実施形態に係る電子ペーパー100が広告用ディスプレイに用いられた例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0039】
本願発明者は、電子ペーパーの隔壁を簡便に形成する手法を鋭意研究している中で、フォトリソグラフ手法およびスクリーン印刷手法ではなく、気泡を利用して隔壁を形成するという新たな手法を思いついた。そして、その手法によれば、フォトリソグラフ手法およびスクリーン印刷手法における課題を解決可能であることを見出した。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0040】
以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0041】
図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る電子ペーパー100について説明する。図5は、本実施形態の電子ペーパー100における1つのセルの断面図である。
【0042】
本実施形態の電子ペーパー100は、互いに対向する一対の基板(10、20)と、一対の基板(10、20)の間に配置される隔壁30を含む隔壁層31とから構成されている。一対の基板(10、20)の間であって、隔壁層31における隣接する隔壁30の間に位置する領域は、密閉空間(セル)35となっている。このセル35内には、粒子40(40A、40B)が封入されている。粒子40は、画素表示用の粉体粒子である。
【0043】
図5に示した例では、各セル35に2色の粒子が封入されており、具体的には、黒色粒子(例えば、カーボンブラック)40Aと、白色粒子(例えば、酸化チタンなど)40Bとが各セル35に導入されている。隔壁30の高さは、粒子40の粒径と粒子40の封入個数(配列時の粒子層数)、及び駆動電圧との関係に対応して規定され、例えば、30μm〜100μmである。
【0044】
一対の基板(10、20)の間に位置する隔壁層31は、複数の気泡を含有する泡構造シートから構成されている。本実施形態の構成において、隔壁層31を構成する泡構造シートは、樹脂材料(例えば、熱硬化樹脂)からなる。セル35の空間は、樹脂材料内で気泡が成長することによって形成されており、そして、隣接する気泡の間に隔壁30が位置付けられている。また、セル35の空間は気泡によって形成されていることから、言い換えると、粒子40(40A、40B)は、気泡が位置する領域に配置されている。
【0045】
本実施形態の電子ペーパー100は、一対の基板(10、20)の間に電界を発生させて粒子40(40A、40B)を移動させることによって画像を生じさせることができる。図5に示した例では、下基板10にプラス電荷50A(+)を発生させ、一方、上基板20にマイナス電荷50B(−)を発生させている。したがって、プラス電荷(+)を発生させた下基板10の表面には、マイナス電荷を持った粒子40Aが移動し、一方、マイナス電荷(−)を発生させた上基板20の表面には、プラス電荷を持った粒子40Bが移動する。また、逆に、図5に示した例で、下基板10にマイナス電荷(−)を発生させ、上基板20にプラス電荷(+)を発生させると、マイナス電荷を持った粒子40Aが上基板20に移動し、プラス電荷を持った粒子40Bが下基板に移動する。なお、電荷(静電気)によって粒子40を移動させる方式について説明したが、それ以外の方式(例えば、磁気)によって粒子を移動させる表示方法においても本実施形態の隔壁30を利用できるのであれば、その方式でも構わない。
【0046】
本実施形態の電子ペーパー100では、画像を構成する1つの画素(ピクセル)の領域に、隔壁に囲まれた領域(セル)35が複数含まれている。1つの画素(ピクセル)に対して、1つの画素電極を設けることができ、その画素電極によって発生させた電荷で粒子40(40A、40B)を移動させて、その画素の表示によって画像を作ることができる。
【0047】
図5に示した電子ペーパー100が電子粉体粒子移動方式の場合には、セル35内の空間は気体が存在し、気相中に粒子40(40A、40B)が分散される。一方、図5に示した電子ペーパー100が電気泳動方式の場合には、セル35内の空間には絶縁性液体(例えば、電気泳動分散液)が存在し、液相中に粒子40(40A、40B)が分散される。
【0048】
図5に示した電子ペーパー100では、複数種類の粒子40(40A、40B)が封入された方式(この例では2粒子系)を示したが、それに限らず、図6に示すような1粒子系の電子ペーパー100にすることも可能である。図6に示した電子ペーパー100では、セル35内の空間に1種類の粒子40を封入している。
【0049】
なお、複数種類の粒子を封入した場合でも、1種類の粒子40を封入した場合でも、例えば、セル35内の空間に着色液体を導入して、その着色液体を三色配列にすることによってカラー表示を行うことも可能である。また、着色粒子を用いることによってカラー表示を行うことも可能であるし、カラーフィルタを導入することによってカラー表示をできるようにすることも可能である。
【0050】
図5または図6に示した電子ペーパー100において、基板10、20は、それぞれ、フレキシブル基板から構成されている。これにより、電子ペーパー100に可撓性を持たせることができ、フレキシブルな電子ペーパー(表示装置)を実現することができる。また、一対の基板10、20の少なくとも一方(表示側の基板)は、透光性材料から構成されている。本実施形態の基板20(上基板20)が透光性材料からなる場合には、上基板20は、透光性の樹脂シートと、透明電極(例えば、ITO)、および、透光性の絶縁層とから構成することができる。
【0051】
本実施形態の電子ペーパー100は、PCや電子ブック、電子新聞などのブック型サイズ(例えば、A5、A4など)に限らず、電子ボード、看板、ポスターなどの大画面または掲示、広告用のサイズ(例えば、40インチ以上、または、70インチ以上)にすることができる。電子ペーパー100が大画面サイズの場合、一対の基板10、20のそれぞれは、一辺1メートル以上の寸法を有するものを使用することができる。さらに、その場合において、隔壁層31も、一辺1メートル以上の寸法を有するものにすることが可能である。当然ながら、電卓や携帯電話などの電子機器や、ポイントカードなどのカードの表示部など、小型な用途にも使用することは可能である。
【0052】
次に、図7を参照しながら、本実施形態の電子ペーパー100の構造についてさらに説明する。図7は、本実施形態の電子ペーパー100の構成を説明するための断面図である。
【0053】
図7に示した電子ペーパー100は、下基板10と、上基板20と、両基板(10、20)に挟まれた隔壁層31とから構成されている。本実施形態では、下基板10として、可撓性を有するフレキシブル配線基板を用いる。下基板10では、ベース基材となる樹脂シート12の上に配線層14が形成されている。また、配線層14の上には、絶縁層16が形成されている。
【0054】
配線層14は、電子ペーパー100の画素電極として機能し、短冊状の電極が一定間隔で配列されている。また、上基板20にも、画素電極として機能する配線層(不図示)が形成されており、下基板10の配線層14と上基板20の配線層とによって行列状に電荷を発生させることが可能である。
【0055】
下基板10の配線層14における電極ピッチP1は、例えば、10μm〜1000μmにすることができる。この例では、電極ピッチP1は1000μmであり、電極と電極との隙間(スペース)S1は100μmである。したがって、この例において、下基板10の配線層14におけるライン/スペースは、900μm/100μmである。
【0056】
隔壁30を含む隔壁層31の高さは、下基板10と上基板20との間のギャップGに相当し、例えば、30μm〜1000μmにすることができる。また、隔壁層31における隔壁30は気泡によって形成されるので、それぞれが異なる形状(寸法)を有している。したがって、正確なピッチとはならないが、この例では、隔壁30のピッチP2は、例えば500μmである。また、隔壁30の隔壁幅(水平方向の隔壁厚)Wは、例えば5〜50μmである。この例では、隔壁30の隔壁幅Wは50μmである。
【0057】
図8は、隔壁30を含む隔壁層31を上面からみた模式図である。図8に示すように、気泡35が存在していた位置(セル空間)は、隔壁30によって取り囲まれている。隔壁30の隔壁幅(水平方向の隔壁厚)Wは、上述したように、例えば5〜50μmである。一つの画素領域において、セル空間35は複数存在しており、それゆえに、ある画素領域における一つのセル空間35が不良となり表示できなくなったとしても、他のセル空間35の表示によって当該画素領域の表示を行うことが可能である。
【0058】
本実施形態の隔壁層31は、複数の気泡35を含有する泡構造シートから構成されているので、隔壁30の幅Wを薄くすることができる。したがって、薄い隔壁30によって開口率を向上させることができ、その結果、電子ペーパー100の画像特性を向上させることができる。加えて、比較的高さ(ギャップG)の高い隔壁30を容易に実現することができる。すなわち、図2から図4に示した隔壁形成方法と比較して、比較的高さ(ギャップG)の高い隔壁30を容易に形成することができ、それゆえに、大画面の電子ペーパー100を製造する場合に有利に働く。
【0059】
加えて、隔壁30の高さは、下基板10と蓋基板60との間のギャップGによって設定することができるので、高さ(ギャップG)が均一で上面がフラットな、比較的高さの高い隔壁30を容易に実現することができる。すなわち、図2から図4に示した隔壁形成方法と比較して、比較的高さ(ギャップG)の高い隔壁30を容易に形成することができ、それゆえに、大画面の電子ペーパー100を製造する場合に有利に働く。
【0060】
次に、図9(a)から図10(c)を参照しながら、本実施形態の電子ペーパー100の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法では、第1基板(例えば、下基板10)の上に、隔壁30を構成するためのペースト材料を付与し、その後、ペースト材料の内部に気泡を生じさせることによって、隔壁30を含む隔壁層31を形成する。以下、本実施形態の製造方法をさらに具体的に説明する。
【0061】
まず、図9(a)に示すように、下基板10を用意する。本実施形態では、下基板10として、可撓性を有するフレキシブル配線基板を用いる。下基板10では、ベース基材となる樹脂シート12の上に配線層14が形成されている。また、配線層14の上には、絶縁層16が形成されている。
【0062】
下基板10が表示側でない場合、すなわち、非透過基板でよい場合には、配線層14は、金属材料(例えば、銅、アルミニウム)から構成することができる。なお、下基板10が表示側である場合、すなわち、透過基板にする場合には、配線層14は、透明電極材料(例えば、ITOなどの金属類、酸化亜鉛などの酸化物類、ポリエチレンジオキシチオフェンなどの導電性高分子類)から構成することができる。
【0063】
次に、図9(b)に示すように、下基板10の上に、ペースト材料32を塗布する。ペースト材料32は、例えば、熱硬化性樹脂である。ペースト材料32の塗布厚さは、隔壁30を含む隔壁層31の厚さに対応させて決定される。
【0064】
なお、ペースト材料32は、隔壁30を形成することができる材料であれば特に限定されない。具体的には、隔壁30を構成できる材料であり、内部に気泡を含むことができる材料であればよい。ペースト材料32の代表的な例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。その他にも、ペースト材料32として、ポリエステルエストラマ、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の熱可塑性樹脂、又は光(紫外線)硬化樹脂等、あるいはそれらを組み合わせた材料を使用することができる。
【0065】
次に、図9(c)に示すように、ペースト材料32の上に、蓋となる基板60を配置する。この蓋基板60は、隔壁30の高さ(または隔壁層31の厚さ)を規定する役割も有している。蓋基板60は、最後は取り除くものであるので、特に基板の材料は限定されない。例えば、ガラス基板、金属基板、セラミック基板などを用いることができる。
【0066】
次いで、図9(d)に示すように、ペースト材料32の中に気泡35を発生させ、そして、気泡35によってペースト材料32は移動して、気泡35の間にペースト材料32を位置付ける。気泡35を発生させている際は、蓋基板60によってペースト材料32の上面の高さを維持またはコントロールできるので、隔壁30の高さGを、所定の高さ(例えば、30μm〜100μm)にすることができる。
【0067】
ペースト材料32の中に気泡35を発生させる手法としては、図9(b)に示した段階で、微少な気泡を導入し、次いで、図9(d)に示した段階で、その微少な気泡を加熱で成長させる方法を挙げることができる。それ以外にも、図9(b)に示した段階のペースト材料32の中に、気泡を発生する材料(気泡発生剤)を含有させておき、図9(d)に示した段階で、その気泡発生剤から気泡を発生させる方法を採ることも可能である。
【0068】
そのような気泡発生剤から気泡を発生させて隔壁30を形成できるのであれば、その種類は特に限定されないが、一例として、次のようなものを挙げることができる。ヘキサン(沸点69℃)、酢酸ビニル(沸点72℃)、イソプロビルアルコール(沸点83℃)、水(沸点100℃)、1,4-ジオキサン(沸点101℃)、酢酸ブチル(沸点126℃)、プロピオン酸(沸点141℃)、ジメチルアルミン塩酸塩(沸点171℃)、ジメチルスルフォキシド(DMSO;沸点189℃)、エチレングリコール(沸点198℃)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP;沸点204℃)、α−テルピネオール(沸点218℃)、ブチルカルビトール(沸点231℃)、ブチルカルビトールアセテート(沸点246℃)。また、気泡発生剤は、沸点の異なる2種類以上の材料からなるものであってもよい。
【0069】
加えて、気泡発生剤としては、上記材料以外に、加熱時に気泡発生剤が熱分解することにより気泡を発生する材料も使用することができる。そのような気泡発生剤としては、次のようなものを挙げることができる。ホウ酸(分解温度70℃〜)、メタホウ酸アンモニウム(分解温度120℃〜)、炭酸水素ナトリウム(分解温度120〜150℃)、4,4’−オキシビル(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH;分解温度155〜165℃)、アゾジカルボンアミド(ADCA;分解温度197〜210℃)、メタホウ酸バリウム(分解温度200℃〜)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT;200〜250℃)、水酸化アルミニウム(分解温度230℃)、アルミン酸カルシウム(分解温度230℃)、ドーソナイト(分解温度230℃)。例えば、結晶水を含む化合物(水酸化アルミニウム)を使用した場合、加熱されたときに熱分解し、水蒸気が気泡となって発生する。なお、他にも、ペースト材料32の中に気泡35を発生させて、隔壁30を形成することが可能であるのであれば、その手法は特に限定されない。
【0070】
次に、図10(a)に示すように、ペースト材料32を硬化させて隔壁30を得る。ペースト材料32の硬化方法は、使用したペースト材料に基づいて適宜好適なものが決められることになる。次いで、蓋基板60を取り除いて、気泡35が位置していた領域(セルの空間)の上面をオープンにする。
【0071】
その後、図10(b)に示すように、気泡35が位置していた領域(セル空間)に、粒子40を導入する。液体42中に粒子40を分散させた場合、気泡35の位置(セル空間)に、粒子40を分散した液体(懸濁流体)42を導入することができる。換言すると、隔壁層31の隔壁30の間に、粒子40を導入する。粒子40を気泡35の位置(セル空間)に導入する方法としては、印刷法、スプレーコーティング法、インクジェット法、ドクターブレイド法を挙げることができる。ペースト材料32を蓋基板60で挟むことによって形成された隔壁30は高さが均一で上面が平坦であるため、特にスキージを用いた印刷法による導入が好ましい。
【0072】
また、液体42を用いずに、粒子40を気泡35の位置(セル空間)に導入することも可能である。その場合、スキージを用いて、上面の開口部からセル空間に粒子40を導入することができる。
【0073】
次に、図10(c)に示すように、粒子40が気泡35の位置(セル空間)に封入された状態で、隔壁30を含む隔壁層31の上に、上基板20を載置することによって、本実施形態の電子ペーパー100を得る。上基板20では、可撓性を有する透光性の樹脂シート22の表面に、透明電極24が形成されており、透明電極24を覆うように樹脂シート22の表面に透光性の絶縁層26が形成されている。
【0074】
本実施形態の電子ペーパー100では、一対の基板10、20の間に配置される隔壁30が、複数の気泡35を含有する泡構造シートから構成されて、隣接する気泡35の間に隔壁30が位置付けられている。したがって、気泡35を生じさせることによって、隣接する気泡35の間に位置する隔壁30を形成することができ、それゆえに、簡便な手法によって電子ペーパー100の隔壁30を形成することができる。また、気泡35を用いて隔壁30(または隔壁層31)を形成するので、フォトリソグラフ手法を用いることなく、隔壁30を形成することができ、その結果、製造コストが向上することを抑制することができる。さらに、スクリーン印刷手法を用いて隔壁30を形成する場合と比較して、隔壁30の高さを均一に高くすることが容易である。
【0075】
図11は、隔壁30の拡大図面を示している。図11に示した例では、気泡35によって隔壁30が形成されていることから、気泡35の表面張力に起因して、隔壁30の上端部30aに湾曲部33が形成されている。ここでは、隔壁30の上端部30a(特に、上端部30aにおける上端面)は、湾曲部33によって、隔壁30の中央部30bよりも大きくなっている。その結果、隔壁30の上端部30aと、上基板20との接着性(または固定性)を向上させることができる。なお、この例では、隔壁30の中央部30bの下方にある下端部30cにも湾曲部33が形成されている。そして、隔壁30の下端部30c(特に、下端部30cにおける下端面)は、湾曲部33によって、隔壁30の中央部30bよりも大きくなっており、それにより、隔壁30の下端部30cと下基板10との接着性(または固定性)を向上させることができる。
【0076】
加えて、隔壁30の上端部30a(及び/又は、下端部30c)に湾曲部33が形成されていることから、隔壁30にフィレット構造を持たせることができ、隔壁30の強度を高めることができる。すなわち、隔壁30の上端部30a(及び/又は、下端部30c)の角部に集中する応力を湾曲部33で緩和することができ、それによって、強度の向上を図ることができる。
【0077】
図12は、本実施形態の電子ペーパー100の改変例について示している。図12に示した改変例では、図7に示した例と比較して、隔壁30の間隔が狭ピッチのものを示している。この例では、下基板10の構成およびギャップGは図7に示したものと同じである。そして、隔壁30のピッチP2は、例えば55μmである。また、隔壁30の隔壁幅Wは5μmである。このような微細なセル領域35および細い隔壁30を形成できることも、本実施形態の特徴である。すなわち、図2から図4に示した隔壁形成方法と比較して、本実施形態では気泡を利用して隔壁を形成する手法を採用しているので、簡便に、微細なセル領域35および細い隔壁30を実現することができる。
【0078】
微細なセル領域35を作製した場合、ある画素領域において一つのセル領域35の表示が不良であっても、他のセル領域35の表示でカバーできる面積が増えるので、画像品質の低下を抑制できる効果を得ることができる。また、この例のように微細なセル領域35を実現した場合、画素電極(配線層14のライン部分)を細くすれば、電子ペーパー100の解像度を上げることができるという利点もある。加えて、細い隔壁30を作製することによって、開口率を向上させることができるという利点も得られる。
【0079】
次に、図13(a)から(e)を参照しながら、本実施形態の電子ペーパー100の他の製造方法について説明する。図13(a)から(e)は、それぞれ、本実施形態の電子ペーパー100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0080】
まず、図13(a)に示すように、下基板10を用意する。次に、図13(b)に示すように、下基板10の上に、微細気泡37aを含むペースト材料36を塗布する。ペースト材料36に微細気泡37aを導入する場合、例えば、細孔方式を用いることができる。細孔方式を用いる場合には、多孔質膜などの細孔を介してペースト材料36に気泡(微細気泡37a)を混入させることによって行うことができる。
【0081】
ペースト材料36に気泡(微細気泡37a)を導入する方法としては、上述の多孔質膜を用いる他、他の手法を採用することもできる。例えば、エアを吐出するノズルを有するエア吐出装置を用いて、ペースト材料36に気泡を導入することも可能である。そのようなエア吐出装置としては、圧電ポンプを有するもの、あるいは、インクジェット装置の機構を利用したものを用いることができる。なお、その他にも、ペースト材料36を高速で攪拌して、ペースト材料36中に空気を混入させ、そのペースト材料36を下基板10の上に付与させることも可能である。
【0082】
次に、図13(c)に示すように、ペースト材料36が塗布された基板10の周囲の雰囲気を減圧することによって、気泡37bへと成長させる。すなわち、成長した気泡37bをペースト材料36に形成する。この減圧工程は、例えば、真空ポンプを用い、減圧してペースト材料36中に存在する気泡を拡大、成長させる方法が採用できる。このとき、さらにペースト材料36中に過飽和状態で溶解する気泡を発生させ、隔壁30に最適な形状になるまで気泡同士を合一させてもよい。減圧の度合い(絶対値の圧力)は、1気圧未満であり、例えば、5×10−2Pa以上0.1MPa未満が好ましく、0.1〜1Paがより好ましい。
【0083】
次に、図13(d)に示すように、ペースト材料36の上に蓋基板60を配置し、蓋基板60でペースト材料36を押し付けることよって、成長した気泡37bが蓋基板60に接するようにして気泡35を形成する。この気泡35の形成において、ペースト材料36は気泡35の間に移動して、ペースト材料36からなる隔壁構造体ができる。
【0084】
次に、図13(e)に示すように、ペースト材料36を硬化させて隔壁30を得た後、蓋基板60を取り除いて、気泡35が位置していた領域(セルの空間)の上面をオープンにする。その後は、図10(b)及び(c)に示したようにして、本実施形態の電子ペーパー100を完成させることができる。
【0085】
なお、図13(a)から(e)に示した手順では、下基板10の上に、気泡37a(又は37b)を含むペースト材料36を付与し、その後、その上に蓋基板60を配置したが、それ以外の手順をとることもできる。例えば、下基板10と蓋基板60とのギャップGを保持したまま、その隙間に、気泡37a入りのペースト材料36を送り込むことによって、下基板10と蓋基板60との間に、気泡入りのペースト材料36を付与させることができる。あるいは、ギャップGを保持した状態の下基板10と蓋基板60との間に位置するペースト材料36に、下基板10と蓋基板60との間から気泡を送り込んで、ペースト材料36に気泡を導入するようにしてもよい。
【0086】
あるいは、図14(a)から(c)に示すようにして、本実施形態の電子ペーパー100を製造することも可能である。
【0087】
まず、図14(a)に示すように、下基板10の上に、気泡37aを含むペースト材料36を形成する。次いで、図14(b)に示すように、ペースト材料36の上に蓋基板60を載せる。
【0088】
次に、図14(c)に示すように、ペースト材料36を加熱して、気泡37aを成長させて、気泡35にする。成長した気泡35によって、ペースト材料36は気泡35の間に移動して、ペースト材料36からなる隔壁構造体ができる。この加熱工程は、例えば、セラミックヒーターやホットプレートなどの熱支持体上により基板10を加熱することで実行することができ、加熱温度は、例えば、30〜200℃である。加熱により気泡37aを成長させて隔壁構造体を形成する際には、気泡膨張によるペースト36の激しい動きが伴わない方がより好ましいため、ペースト材料36はある程度の粘度を有したものの方がよい(例えば、10Pa・s以上、一例として10〜200Pa・s)。
【0089】
なお、その後は、ペースト材料36を硬化させて、同様のプロセスを経て、本実施形態の電子ペーパー100を完成させることができる。
【0090】
さらには、図15(a)および(b)に示すように実行することも可能である。まず、図14(b)と同様に、図15(a)に示すように、気泡37aを含むペースト材料36の上に蓋基板60を載せる。次いで、図15(b)に示すように、蓋基板60を上下に移動させて(矢印65)、蓋基板60と下基板10との間のギャップを変動させることによって、気泡37aを成長させて、気泡37dにする。このギャップ変動工程(加圧工程)は、例えば、蓋基板60と下基板10との間のギャップを100μmから50μmになるまで押し込むことで、気泡37aを気泡37dにまで押し込むことで実行することができる。
【0091】
上述の実施形態では、下基板10の上に位置するペースト材料に気泡を形成したが、下基板10以外の場所で気泡を形成することも可能である。例えば、図16(a)から(d)に示すようにして、本実施形態の電子ペーパー100を製造することも可能である。
【0092】
まず、図16(a)に示すように、下基板10以外の場所(例えば、他の基板)で、気泡39a入りのシート38を形成する。次に、図16(b)に示すように、このシート38を下基板10の上に配置し、そして、シート38の上に蓋基板60を載せる。
【0093】
次に、図16(c)に示すように、シート38における気泡39aを成長させ、それによって隔壁構造体32を形成する。次いで、図16(d)に示すように、シート38を硬化させて、隔壁30を形成する。その後は、同様のプロセスを経て、本実施形態の電子ペーパー100を完成させることができる。
【0094】
本実施形態の電子ペーパー100は、図17に示すように、筐体90を含めた形態で画像表示装置にすることができる。この場合、電子ペーパー100は、A5、A4またはA3サイズのものとして構築することも可能である。また、電子ペーパー100の一辺(ここでは、長辺L1)の長さが1メートル以上になるもの(大画面の表示装置)を構築することも可能である。特に、本実施形態の電子ペーパー100では大画面の表示装置を安価で製造することができるので、例えば大画面の広告用途などに適している。
【0095】
さらには、図18に示すように、本実施形態の電子ペーパー100がフレキシブル性を持っている場合には、円柱95の表面に配置する広告用途の表示装置として使用することができる。下基板10および上基板20が共にフレキシブル基板から構成されている場合には、電子ペーパー100はフレキシブル性を有するので、曲げることが可能となる。ここでは、電子ペーパー100の長辺L1を1メートル以上にすることも可能である。なお、短辺L2は、50cm以下であっても構わない。
【0096】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明によれば、簡便な手法によって電子ペーパーの隔壁を形成することができるため有用であり、特に大画面の電子ペーパーの隔壁形成に適している。
【符号の説明】
【0098】
10 下基板
12 樹脂シート
14 配線層
16 絶縁層
20 上基板
22 樹脂シート
24 透明電極
26 絶縁層
30 隔壁
30a 上端部
30b 中央部
30c 下端部
31 隔壁層
32 ペースト材料
33 湾曲部
35 気泡(セル空間)
36 ペースト材料
37a 気泡(微細気泡)
37b 成長した気泡
37d 成長した気泡
38 気泡入りのシート
39a 気泡
40 粒子(粉体粒子)
42 液体
60 蓋基板
90 筐体
95 円柱
100 電子ペーパー
110 基板
120 基板
130 隔壁
140A 粒子
140B 粒子
200 フォトレジストフィルム
210 開口部
230 ペースト
300 ペースト
310 マスク
320 遮光部
330 隔壁構造体
410 スクリーン印刷版
420 ペースト
421 隔壁構造体
431 隔壁構造体
432 隔壁構造体
433 隔壁構造体
1000 電子ペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の基板と、
前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層と
を備え、
前記一対の基板の間であって、前記隔壁層における隣接する隔壁の間には、粒子が封入されており、
前記隔壁層は、複数の気泡を含有する泡構造シートから構成されており、
前記複数の気泡における隣接する気泡の間に、前記隔壁が位置付けられている、電子ペーパー。
【請求項2】
前記粒子は、前記気泡が位置する領域に配置されており、
前記一対の基板の間に電界を発生させて前記粒子を移動させることによって画像を生じさせる、請求項1に記載の電子ペーパー。
【請求項3】
前記画像を構成する1つの画素の領域に、前記隔壁に囲まれた領域が複数含まれている、請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項4】
前記隔壁に囲まれた領域の形状は、それぞれ、異なっている、請求項1から3の何れか一つに記載の電子ペーパー。
【請求項5】
前記隔壁の上端部には、湾曲部が形成されている、請求項1から4の何れか一つに記載の電子ペーパー。
【請求項6】
前記隔壁の上端部は、当該隔壁の中央部よりも大きい形状を有し、
前記隔壁の下端部には、湾曲部が形成されている、請求項5に記載の電子ペーパー。
【請求項7】
前記隔壁の高さは、30μm以上100μm以下である、請求項1から6の何れか一つに記載の電子ペーパー。
【請求項8】
前記隔壁層は、熱硬化性樹脂から構成されている、請求項1から7の何れか一つに記載の電子ペーパー。
【請求項9】
前記一対の基板の少なくとも一方は、透光性材料から構成されており、
前記一対の基板は、それぞれ、フレキシブル基板から構成されている、請求項1から8の何れか一つに記載の電子ペーパー。
【請求項10】
互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層とを備える電子ペーパーの製造方法であって、
第1基板の上に、ペースト材料を付与する工程と、
前記ペースト材料の内部に気泡を生じさせることによって、前記隔壁を含む前記隔壁層を形成する工程と
を含む、電子ペーパーの製造方法。
【請求項11】
前記第1基板は、前記一対の基板のうちの一方の基板であり、
前記隔壁層を形成する工程の後において、
前記隔壁層の上に、前記一対の基板のうちの他方の基板を形成する工程を実行する、請求項10に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項12】
前記第1基板は、キャリア基板であり、
前記隔壁層を形成する工程の後において、
前記キャリア基板から前記隔壁層を剥離する工程と、
前記一対の基板のうちの一方の基板の上に、前記隔壁層を配置する工程と
を含む、請求項10に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項13】
前記ペースト材料の中には、気泡発生剤が含有されており、
前記隔壁層を形成する工程は、前記気泡発生剤から気泡を発生させることによって実行される、請求項10に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項14】
前記隔壁層を形成する工程は、
前記ペースト材料に、多孔質膜を介して気泡を導入するステップと、
前記気泡を成長させるステップと
を含む、請求項10に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項15】
前記隔壁層を形成する工程は、
前記ペースト材料に、エア吐出装置を用いて気泡を導入するステップと、
前記気泡を成長させるステップと
を含む、請求項10に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項16】
前記気泡を成長させるステップは、減圧することによって実行される、請求項14または15に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項17】
前記気泡を成長させるステップは、加熱することによって実行される、請求項14または15に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項18】
前記気泡を成長させるステップは、
前記ペースト材料の上面に第2基板を配置するステップと、
前記第2基板を上下動させるステップと
を含む、請求項14または15に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項19】
互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層とを備える電子ペーパーの製造方法であって、
気泡を含有するシートを用意する工程と、
前記シートを第1基板の上に配置する工程と、
前記シートにおける前記気泡を成長させることによって、前記隔壁を含む前記隔壁層を形成する工程と
を含む、電子ペーパーの製造方法。
【請求項20】
互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板の間に配置される隔壁を含む隔壁層とを備える電子ペーパーの製造方法であって、
前記一対の基板のうちの一方の基板の上に、ギャップを設けて第2基板を配置する工程と、
前記一方の基板と前記第2基板との間のギャップに、気泡を含有するペースト材料を送り込む工程と、
前記ペースト材料における前記気泡を成長させることによって、前記隔壁を含む前記隔壁層を形成する工程と
を含む、電子ペーパーの製造方法。
【請求項21】
前記隔壁層を形成した後において、
前記隔壁層における隣接する隔壁の間に、粒子を導入する工程を含む、請求項10から20の何れか一つに記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項22】
前記隔壁層の上に、前記一対の基板のうちの他方の基板を形成する工程を実行する、請求項21に記載の電子ペーパーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−158693(P2011−158693A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20035(P2010−20035)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】