説明

電子マネーのチャージを行うための中継サーバ装置、システム、方法およびプログラム

【課題】金融機関システムに改修を加えることなく、携帯端末から電子マネーのチャージを行う。
【解決手段】電子マネーのチャージを行うための中継サーバ装置500であって、チャージ要求を送信する携帯端末100、チャージ要求に応じて資金を確保する金融機関システム300、および資金に相当するバリューを発行する電子マネー事業者システム400と情報の送受信を行う通信部501と、通信部501から金融機関システム300へ送信される情報の一部または全部を、金融機関システム300において処理可能な形式に変換する変換部505と、通信部501および変換部505を制御する制御部503と、を備えることを特徴とする中継サーバ装置500を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーのチャージを行うための中継サーバ装置、システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの携帯端末のIC(Integrated Circuit)チップに電子マネーのバリュー(金銭的な価値)情報を格納し、携帯端末を使って電子マネーを利用することが近年普及している。かかる電子マネーのチャージ(入金)は、現金入金機によって行うこともできるが、ネットワークを介した通信が可能な携帯端末の特性を活かして、銀行等の金融機関の口座から電子マネーのチャージを行うことも一般的である。
【0003】
図11は、金融機関の口座から携帯端末に電子マネーのチャージを行うシステムの一般的な構成を示す図である。携帯端末10は、ネットワーク20を介して、金融機関システム30および電子マネー事業者システム40と接続されている。
【0004】
ここで、携帯端末10は、ネットワーク20に接続可能で、内蔵したICチップにバリュー情報を書き込むことで電子マネーとして利用可能なものである。ネットワーク20は、携帯端末10と金融機関システム30、電子マネー事業者システム40を相互に接続する、無線または有線の通信網である。
【0005】
金融機関システム30は、インタフェース31およびホストコンピュータ33を含む。インタフェース31は、口座情報等の管理および操作を行うホストコンピュータ33と外部のネットワークとの間に介され、金融機関システム30の外部との情報の送受信を行う。電子マネー事業者システム40は、金融機関システム30での資金確保に基づき電子マネーのバリュー発行を行うシステムである。
【0006】
上記のシステムを用いた電子マネーのチャージ処理の一般的な手順について説明する。まず、携帯端末10は、利用者の操作に基づき、携帯端末10の識別情報、チャージ金額、利用者の口座情報等を含むチャージ要求を、金融機関システム30に向けて送信する。
【0007】
チャージ要求は、金融機関システム30のインタフェース31によって受信される。インタフェース31は、チャージ要求に含まれる利用者の口座情報およびチャージ金額に基づいて、利用者から電子マネー事業者へのチャージ金額分の資金確保を、ホストコンピュータ33に依頼する。ホストコンピュータ33が資金確保に成功した場合、インタフェース31は、携帯端末10の識別情報、チャージ金額等を含むバリュー発行要求を、電子マネー事業者システム40に向けて送信する。
【0008】
電子マネー事業者システム40は、バリュー発行要求に基づき、携帯端末10用に、チャージ金額分のバリューを発行する。バリューの発行に成功した場合、電子マネー事業者システム40は、バリュー発行応答を携帯端末10に向けて送信する。
【0009】
バリュー発行応答を受信した携帯端末10は、バリュー受取要求を電子マネー事業者システム40に向けて送信する。バリュー受取要求を受信した電子マネー事業者システム40は、発行されたバリューのデータを携帯端末に向けて送信し、携帯端末は受信したバリューのデータをICチップに書き込む。以上の手順により、電子マネーのチャージ処理が完了する。
【0010】
上記のような携帯端末を用いた電子マネーのチャージシステムは既に多く知られている。例えば、金融機関システム30のインタフェース31として、銀行のインターネットバンキングシステムを用いる技術が、特許文献1において開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−98852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記のようなシステムによって電子マネーのチャージを行う場合、金融機関システムのインタフェースを、携帯端末からのチャージ要求を処理できるよう改修する必要がある。金融機関システムにおいてはシステムの高い信頼性が要求されることから、インタフェースの改修には多大な時間と費用を要するという問題があった。
【0013】
また、自由に移動し、電池によって駆動される携帯端末の特性上、携帯端末との無線通信が切断されたり、処理中に携帯端末の電池が切れたりして、電子マネーのチャージ処理が中断される可能性がある。チャージ処理が中断された場合、バリューの二重発行や消失を防ぐため、システムのオペレータにより、どこで通信が中断されたか調査してから復旧する必要がある。このため、処理中断時には復旧までに時間がかかるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明が1つの目的とするところは、金融機関システムに改修を加えることなく、携帯端末から電子マネーのチャージを行うことができる、新規かつ改良された中継サーバ装置、システムおよび方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明が別の目的とするところは、電子マネーのチャージ処理が中断された場合に、迅速かつ確実に復旧を行うことが可能な、新規かつ改良された中継サーバ装置、システム、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電子マネーのチャージを行うための中継サーバ装置であって、チャージ要求を送信する携帯端末、上記チャージ要求に応じて資金を確保する金融機関システム、および上記資金に相当するバリューを発行する電子マネー事業者システムと情報の送受信を行う通信部と、上記通信部から上記金融機関システムへ送信される上記情報の一部または全部を、上記金融機関システムにおいて処理可能な形式に変換する変換部と、上記通信部および変換部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする中継サーバ装置が提供される。
【0017】
かかる構成により、金融機関システムに汎用的なインタフェースが備えられてさえいれば、金融機関システムにそれ以上の改修を加えることなく、より少ない時間と費用で、携帯端末から電子マネーのチャージを行うシステムを構築することが可能となる。
【0018】
ここで、上記中継サーバ装置は、上記通信部が行う上記情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDおよび上記トランザクションIDに対応する処理状況が格納される記憶部をさらに備え、上記制御部は、上記携帯端末から上記通信部を介して受信したID発行要求に応じて上記トランザクションIDを発行し、上記記憶部に上記トランザクションIDおよび上記処理状況を格納するとともに、上記トランザクションIDを、上記通信部を介して上記携帯端末に送信し、上記通信部が上記一連の送受信を行うときに、上記記憶部に格納された上記処理状況を更新し、上記一連の送受信が中断した場合、上記携帯端末から上記通信部を介して受信した再開要求および上記トランザクションIDと、上記記憶部から読み出した上記トランザクションIDおよび上記処理状況とに基づいて、上記通信部に上記一連の送受信を再開させてもよい。
【0019】
かかる構成により、中断された電子マネーチャージ処理を、中継サーバ装置側でのオペレータによる操作を待つことなく、携帯端末からの起動による処理で自動的かつ迅速に復旧させることが可能となる。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電子マネーのチャージを行うためのシステムであって、携帯端末からのチャージ要求に応じて資金を確保する金融機関システムと、上記資金に相当するバリューを発行する電子マネー事業者システムと、上記携帯端末と、上記金融機関システムと、上記電子マネー事業者システムとの間に介されてそれぞれと情報の送受信を行う中継サーバ装置と、を含み、上記中継サーバ装置は、上記中継サーバ装置から上記金融機関システムへ送信される上記情報の一部または全部を、上記金融機関システムにおいて処理可能な形式に変換することを特徴とするシステムが提供される。
【0021】
ここで、上記中継サーバ装置は、上記携帯端末から受信した発行要求に応じて、上記中継サーバ装置が行う上記情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDを発行し、上記トランザクションIDおよび上記トランザクションIDに対応する処理状況を上記中継サーバ装置に備えられた記憶部に格納し、上記トランザクションIDを上記携帯端末に送信し、上記一連の送受信を行うときに、上記記憶部に上記処理状況を格納し、上記一連の送受信が中断した場合、上記携帯端末から受信した再開要求および上記トランザクションIDと、上記記憶部から読み出した上記トランザクションIDおよび上記処理状況とに基づいて上記一連の送受信を再開してもよい。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電子マネーのチャージを行うための方法であって、携帯端末が、中継サーバ装置にチャージ要求を送信するステップと、上記中継サーバ装置が、上記チャージ要求を金融機関システムにおいて処理可能な形式の資金確保要求に変換して、上記金融機関システムに送信するステップと、上記金融機関システムが、上記資金確保要求に応じて資金の確保を行い、資金確保応答を上記中継サーバ装置に送信するステップと、上記中継サーバ装置が、上記資金確保応答を受信した後、電子マネー事業者システムに上記資金に相当するバリュー発行要求を送信するステップと、上記電子マネー事業者システムが、上記バリュー発行要求に応じて上記資金に相当するバリューを発行し、バリュー発行応答を上記中継サーバ装置に送信するステップと、上記中継サーバ装置が、上記バリュー発行応答を受信した後、上記携帯端末にチャージ応答を送信するステップと、を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0023】
ここで、上記方法は、上記携帯端末が、上記中継サーバ装置に、情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDの発行要求を送信するステップと、上記中継サーバ装置が、上記発行要求に応じて、上記トランザクションIDを発行し、上記中継サーバ装置に備えられた記憶部に上記トランザクションIDおよび上記トランザクションIDに対応する処理状況を格納するとともに、上記携帯端末に上記トランザクションIDを送信するステップと、上記携帯端末が、上記トランザクションIDを受信し、上記携帯端末に備えられる記憶部に上記トランザクションIDおよび上記トランザクションIDに対応する処理状況を格納するステップと、をさらに含み、上記携帯端末が上記チャージ要求を送信するステップは、上記携帯端末が上記トランザクションIDを格納するステップの後に実行され、上記各ステップにおいて、上記携帯端末に備えられた記憶部および上記中継サーバ装置に備えられた記憶部に格納された、上記トランザクションIDに対応する処理状況が更新され、上記各ステップのいずれかが中断された場合、上記携帯端末が、上記携帯端末に備えられた記憶部から読み出した上記トランザクションIDおよび上記処理状況に基づいて、上記中継サーバ装置に、上記一連の送受信の再開要求および上記トランザクションIDを送信するステップと、上記中継サーバ装置が、上記再開要求および上記トランザクションIDと、上記中継サーバ装置に備えられた記憶部から読み出した上記トランザクションIDおよび上記処理状況とに基づいて、上記中断されたステップを再開するステップと、がさらに実行されてもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、携帯端末に備えられるコンピュータに電子マネーのチャージ処理を実行させるためのプログラムであって、中継サーバ装置に、情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDの発行要求を送信するステップと、上記中継サーバ装置から上記トランザクションIDを受信し、上記携帯端末に備えられる記憶部に上記トランザクションIDおよび上記トランザクションIDに対応する処理状況を格納するステップと、上記中継サーバ装置にチャージ要求を送信するステップと、上記中継サーバ装置からチャージ応答を受信するステップと、を上記コンピュータに実行させ、上記各ステップにおいては、上記記憶部に格納された上記処理状況が更新され、上記各ステップのいずれかが中断された場合、上記記憶部から上記トランザクションIDおよび上記処理状況を読み出すステップと、上記トランザクションIDおよび上記処理状況に基づいて、上記一連の送受信の再開要求および上記トランザクションIDを上記中継サーバ装置に送信するステップと、をさらに上記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、金融機関システムに改修を加えることなく、携帯端末から電子マネーのチャージを行うことができ、また、電子マネーのチャージ処理が中断された場合に、迅速かつ確実に復旧を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態を適用した電子マネーチャージシステムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る中継サーバ装置のブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成と通信手順を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るシステムの構成と通信手順を示す図である。
【図5】同実施形態に係る携帯端末のメモリに格納されたデータの模式図である。
【図6】同実施形態に係る中継サーバ装置のデータベースに格納されたデータの模式図である。
【図7】同実施形態に係る情報の送受信と、携帯端末および中継サーバ装置に格納されるステータスとの関係を示す図である。
【図8A】本実施形態に係る携帯端末が行う処理を示すフローチャートである。
【図8B】本実施形態に係る携帯端末が行う処理を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る中継サーバ装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る中継サーバ装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図11】従来の電子マネーチャージシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
<ハードウェアの構成例>
図1は、本発明の実施形態を適用した、電子マネーのチャージを行うシステムの構成の一例を示す図である。携帯端末100は、ネットワーク200を介して、中継サーバ装置500および電子マネー事業者システム400と接続される。
【0029】
中継サーバ装置500は、さらに、金融機関システム300および電子マネー事業者システム400と接続される。中継サーバ装置500と、金融機関システム300および電子マネー事業者システム400との間の接続は、図示したように専用線によるものでもよく、ネットワーク200と同様に公衆網によるものでもよい。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る、中継サーバ装置500の構成の一例を示す図である。中継サーバ装置500は、通信部501、制御部503、変換部505を備え、必要に応じて記憶部507を備える。
【0031】
通信部501は、通信デバイス、通信回路などにより構成され、携帯端末100、金融機関システム300および電子マネー事業者システム400と情報の送受信をすることができる。制御部503および変換部505は、図示したようにCPU(Central Processing Unit)510が記憶部507に格納されたプログラムを読み出して実行することによってソフトウェアとして実現されてもよく、専用の制御デバイスを設けることによってハードウェアとして実現されてもよい。
【0032】
記憶部507には、必要に応じて、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等が適宜組み合わせて用いられる。また、中継サーバ装置500は、上記の他に必要に応じて、オペレータによる操作を受け付けるためのキーボード、マウス等の入力装置や、オペレータに対して処理の状態を表示するためのモニタ等の表示装置等を適宜備える。
【0033】
以下、図1および図2を適時参照しながら、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態について説明する。
【0034】
<第1の実施形態>
[第1の実施形態に係るシステムの構成]
図3は、本発明の第1の実施形態に係る、電子マネーのチャージを行うシステムの構成と通信手順を示す図である。以下、図3を参照して本実施形態における電子マネーチャージの通信手順を説明する。
【0035】
[第1の実施形態に係る通信手順]
本実施形態において、利用者の操作に基づき、電子マネーのチャージを行おうとする携帯端末100は、携帯端末100の識別情報、チャージ金額および利用者の口座情報等を含むチャージ要求を、中継サーバ装置500に向けて送信する(1)。
【0036】
中継サーバ装置500では、通信部501が、携帯端末100からチャージ要求を受信する。次に、変換部505が、受信されたチャージ要求を、金融機関システム300において処理可能な資金確保要求に変換し、通信部501が資金確保要求を金融機関システム300に送信する(2)。
【0037】
ここで、中継サーバ装置500において変換部505が行う変換処理について、例を挙げて説明する。例えば、金融機関システム300のインタフェース310が、httpプロトコルを用いた汎用的な(電子マネーのチャージを目的としていない)インターネットバンキングシステムである場合、変換部505は、チャージ要求に含まれるチャージ金額および利用者の口座情報等に基づいて、金融機関システム300における利用者の口座からの資金確保要求を、インタフェース310に合わせてhttpプロトコルで作成し、インタフェース310に送信する。なお、この資金確保要求は、インタフェース310の仕様に合わせて、複数回の手順によって行われるものであってもよい。
【0038】
金融機関システム300では、インタフェース310が、中継サーバ装置500からの資金確保要求を受信する。インタフェース310は、受信された資金確保要求に基づいて、ホストコンピュータ330に利用者の口座からの資金確保の実行を依頼し、ホストコンピュータ330から返された処理結果を、資金確保応答として中継サーバ装置500に送信する(3)。
【0039】
中継サーバ装置500では、通信部501が、金融機関システム300からの資金確保応答を受信する。制御部503は、受信された資金確保応答を読み取り、処理結果が「成功」であれば、携帯端末100から受信したチャージ要求に含まれる携帯端末100の識別情報、チャージ金額等に基づいてバリュー発行要求を生成し、通信部501がバリュー発行要求を電子マネー事業者システム400に送信する(4)。
【0040】
一方、利用者の口座の資金不足等により資金確保応答の処理結果が「失敗」であった場合、制御部503は、「資金確保失敗」のチャージ応答を生成し、通信部501がチャージ応答を携帯端末100に送信し、携帯端末100は電子マネーのチャージ処理を終了する。この場合、電子マネーのチャージは例えば「資金不足のためチャージ不能」等のメッセージを携帯端末100に表示して終了する。
【0041】
電子マネー事業者システム400は、中継サーバ装置500からのバリュー発行要求を受信する。電子マネー事業者システム400は、バリュー発行要求に基づいてバリューの発行処理を行い、処理結果をバリュー発行応答として中継サーバ装置500に送信する(5)。
【0042】
中継サーバ装置500では、通信部501が、電子マネー事業者システム400からのバリュー発行応答を受信する。制御部503は、受信されたバリュー発行応答を読み取り、処理結果が「成功」であれば、「バリュー発行成功」のチャージ応答を生成し、通信部501がチャージ応答を携帯端末100に送信する(6)。
【0043】
一方、利用者のバリュー受取件数の規定件数超過等によりバリュー発行応答の処理結果が「失敗」であった場合、制御部503は、「バリュー発行失敗」のチャージ応答を生成し、通信部501がチャージ応答を携帯端末100に送信し、携帯端末100は電子マネーのチャージ処理を終了する。この場合、電子マネーのチャージは例えば「受取件数超過のためバリュー発行不能」等のメッセージを携帯端末100に表示して終了する。
【0044】
携帯端末100は、中継サーバ装置500から受信したチャージ応答が「バリュー発行成功」である場合、電子マネー事業者システム400にバリュー受取要求を送信する(7)。
【0045】
電子マネー事業者システム400は、携帯端末100から受信したバリュー受取要求に応じて、発行されたバリューのデータを携帯端末100に送信する(8)。携帯端末100は、受信したバリューのデータをICチップに書き込み、電子マネーのチャージ処理を終了する。この場合、電子マネーのチャージは例えば「チャージ成功」等のメッセージと、チャージ金額、バリュー残高等を携帯端末100に表示して終了する。
【0046】
[第1の実施形態による効果]
本実施形態においては、電子マネーのチャージ処理における一連の情報の送受信を、中継サーバ装置500を介して行う。金融機関システム300との通信において、中継サーバ装置500の変換部505によって、携帯端末100からのチャージ要求は、金融機関システム300の汎用的なインタフェース310で処理可能な資金確保要求に変換して送信される。
【0047】
上記の構成により、金融機関システム300に汎用的なインタフェース310が備えられてさえいれば、金融機関システム300にそれ以上の改修を加えることなく、より少ない時間と費用で、携帯端末100から電子マネーのチャージを行うシステムを構築することが可能となる。
【0048】
<第2の実施形態>
[第2の実施形態に係るシステムの構成]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る、電子マネーのチャージを行うシステムの構成と通信手順を示す図である。以下、図4を参照して本実施形態における電子マネーチャージの通信手順を説明する。
【0049】
本実施形態においては、第1の実施形態に係るシステムの構成に加えて、携帯端末100のメモリ120および中継サーバ装置500のデータベース520を使用する。メモリ120は、携帯端末100に備えられている、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。データベース520は、中継サーバ装置500の記憶部507に構築される。
【0050】
[第2の実施形態に係る通信手順]
本実施形態において、利用者の操作に基づき、電子マネーのチャージを行おうとする携帯端末100は、トランザクションIDを発行するためのID発行要求を、中継サーバ装置500に向けて送信する(1)。
【0051】
ここで、トランザクションIDとは、電子マネーのチャージのために、携帯端末100、中継サーバ装置500、金融機関システム300および電子マネー事業者システム400の間で行われる情報の一連の送受信を識別するIDである。トランザクションIDは、1回の電子マネーのチャージ手続に対して一意となるように与えられ、例えば、携帯端末100の識別情報およびID生成時の時刻情報を表す文字列に、1日の中で割り振られるシーケンス番号を結合した文字列が用いられる。
【0052】
中継サーバ装置500では、制御部503が、通信部501を介して携帯端末100からのID発行要求を受け取る。ID発行要求を受け取った制御部503は、トランザクションIDを生成し、生成したトランザクションIDをデータベース520に格納するとともに、通信部501を介して携帯端末100に送信する(2)
【0053】
以下、チャージ要求(3)、資金確保要求(4)、資金確保応答(5)、バリュー発行要求(6)、バリュー発行応答(7)、チャージ応答(8)、バリュー受取要求(9)、受取応答(10)で送受信される情報ついては、第1の実施形態で説明した処理と同様であるため説明を省略する。
【0054】
ただし、本実施形態においては、上記の情報の送受信時に、携帯端末100のメモリ120および中継サーバ装置500のデータベース520に、トランザクションIDとステータス(処理状況)を対応させたデータレコードが格納される。
【0055】
図5は、携帯端末100のメモリ120に格納されたデータレコードを模式的に表す図である。図6は、中継サーバ装置500のデータベース520に格納されたデータレコードを模式的に表す図である。それぞれのデータレコードは、1つのトランザクションIDについて1レコードが格納され、一連の送受信が進行する過程で順次ステータスが更新される。これにより、現在の送受信の進行状況のステータスが把握できるようになる。データレコードは、この他に処理に必要な列を適宜含んでもよく、また必ずしも図示されているようにテーブル形式で構成されなくてもよい。
【0056】
また、ひとつのトランザクションIDに対して複数の履歴を記録するのではなく、ひとつのトランザクションIDに対して1レコードを割り当てて、都度更新するようにしてもよい。
【0057】
図7は、本実施形態に係る電子マネーのチャージ処理のための情報の一連の送受信を表すシーケンス図と、それぞれのステップにおいて携帯端末100のメモリ120および中継サーバ装置500のデータベース520に格納されているステータスとの関係を表した図である。以下、図7を参照しながら、電子マネーのチャージ処理のための情報の一連の送受信のステップと、携帯端末100のメモリ120および中継サーバ装置500のデータベース520にそれぞれ格納されるステータスとの関係について説明する。
【0058】
なお、ここでの説明は正常ケースについてのみ概略的に行い、エラーケースも含めた詳細な説明は、後に携帯端末100および中継サーバ装置500のそれぞれの処理の説明において行う。
【0059】
初期状態では、トランザクションIDとステータスとを対応させたデータレコードは、メモリ120にもデータベース520にも格納されていない。この状態で、携帯端末100は中継サーバ装置500に対してトランザクションID発行要求を送信する(ステップS101)。
【0060】
トランザクションID発行要求を受信した中継サーバ装置500は、トランザクションIDを生成し、生成したトランザクションIDとステータス「ID発行済み」を対応させたデータレコードをデータベース520に格納する。中継サーバ装置500はさらに、生成したトランザクションIDを携帯端末100に送信する(ステップS103)。
【0061】
トランザクションIDを受信した携帯端末100は、受信したトランザクションIDとステータス「ID取得済み」を対応させたデータレコードをメモリ120に格納する。携帯端末100はさらに、メモリ120に格納されているデータレコードのステータスを「チャージ要求中」に更新した後、トランザクションIDを含むチャージ要求を中継サーバ装置500に送信する(ステップS105)。
【0062】
チャージ要求を受信した中継サーバ装置500は、データベース520に格納されているデータレコードのステータスを「資金確保中」に更新した後、資金確保要求を金融機関システム300に送信する(ステップS107)。
【0063】
中継サーバ装置500はこの後、金融機関システム300からの資金確保応答を受信する(ステップS109)。中継サーバ装置500は、データベース520に格納されているデータレコードのステータスを「バリュー発行中」に更新した後、バリュー発行要求を電子マネー事業者システム400に送信する(ステップS111)。
【0064】
中継サーバ装置500はこの後、電子マネー事業者システム400からのバリュー発行応答を受信する(ステップS113)。中継サーバ装置500は、データベース520に格納されているデータレコードのステータスを「バリュー発行済み」に更新した後、携帯端末100にチャージ応答を送信する(ステップS115)。
【0065】
バリュー発行応答を受信した携帯端末100は、メモリ120に格納されたデータレコードのステータスを「受取中」に更新した後、電子マネー事業者システム400に対してバリュー受取要求を送信する(ステップS117)。電子マネー事業者システム400は、携帯端末100から受信したバリュー受取要求に応じて、携帯端末100に受取応答とともに電子マネーのデータを送信する(ステップS119)。
【0066】
ここまでの情報の送受信のステップが終了し、バリューデータの受信およびICチップへの書き込みが終了した後、携帯端末100はメモリ120に格納されたデータレコードを削除し、電子マネーのチャージ処理を終了する。
【0067】
[第2の実施形態に係る携帯端末における処理]
図8Aおよび図8Bは、本実施形態に係る電子マネーのチャージにおいて、携帯端末100が行う処理を示すフローチャートである。以下、図8Aおよび図8Bを参照しながら、本実施形態に係る携帯端末100の処理について、詳細に説明する。
【0068】
本実施形態に係る携帯端末100は、利用者の操作に基づき、電子マネーチャージ処理を開始(ステップS201)した後、まず、メモリ120からトランザクションIDを含むデータレコードの取得を試みる(ステップS203)。
【0069】
メモリ120からデータレコードが取得できず、従ってトランザクションIDも取得できなかった場合(ステップS205)、携帯端末100は、中断された電子マネーチャージ処理はないと判断し、新たなチャージ処理を開始する。この場合、携帯端末100は、中継サーバ装置500に対しID発行要求を送信する(ステップS207)。
【0070】
ID発行要求に対して、中継サーバ装置500から何らかの原因(ネットワークの切断、中継サーバ装置500のダウン、等)で正常応答が返されなかった場合(ステップS209)、携帯端末100は、電子マネーチャージ処理をエラー終了する(ステップS211)。
【0071】
上記以外、すなわちID発行要求に対して、中継サーバ装置500から正常応答とともにトランザクションIDが返された場合(ステップS209)、携帯端末100は、受信したトランザクションIDにステータス「ID取得済み」を対応させたデータレコードを、メモリ120に格納する(ステップS213)。その後、携帯端末100は、当該データレコードのステータスを「チャージ要求中」に更新(ステップS215)し、中継サーバ装置500に対してチャージ要求を送信する(ステップS217)。
【0072】
チャージ要求に対して、中継サーバ装置500から正常応答が返されなかった場合(ステップS219)で、「バリュー発行失敗」または「資金確保失敗」のエラー応答が返された場合(ステップS221)、携帯端末100は、電子マネーチャージ処理を終了する。
【0073】
この場合、送受信は中断せずに完結しているため、エラー終了ではなく通常終了とする。携帯端末100は、メモリ120からトランザクションIDを含むデータレコードを削除し(ステップS225)、例えば「資金不足のためチャージ不能」「受取件数超過のためバリュー発行不能」等のメッセージを表示してチャージ処理を終了する(ステップS227)。
【0074】
上記以外で、チャージ要求に対して、何らかの原因(ネットワークの切断、中継サーバ装置500のダウン、等)で正常応答が返されなかった場合(ステップS221)、携帯端末100は電子マネーチャージ処理を終了する(ステップS223)。
【0075】
この場合、送受信が中断していると推定されるため、エラー終了とする。利用者により携帯端末100に対して再度のチャージ操作が行われた際に処理を再開するために、データレコードはメモリ120に残される。
【0076】
上記以外、すなわちチャージ要求に対して、中継サーバ装置500から正常応答が返された場合(ステップS219)、携帯端末100は、メモリ120に格納されたデータレコードで、ステータスを「受取中」に更新(ステップS229)した後、バリュー受取要求を電子マネー事業者システム400に送信する(ステップS231)。
【0077】
バリュー受取要求に対して、何らかの原因(ネットワークの切断、電子マネー事業者システム400のダウン、等)で正常応答が返されなかった場合(ステップS233)、携帯端末100は電子マネーチャージ処理を終了する(ステップS235)。
【0078】
この場合、送受信が中断していると推定されるため、エラー終了とする。利用者により携帯端末100に対して再度のチャージ操作が行われた際に処理を再開するために、データレコードはメモリ120に残される。
【0079】
上記以外、すなわちバリュー受取要求に対して、電子マネー事業者システム400から正常応答が返された場合(ステップS233)、携帯端末100は、電子マネーチャージ処理を正常終了する。携帯端末100は、メモリ120からトランザクションIDを含むデータレコードを削除し(ステップS237)、例えば「チャージ成功」等のメッセージと、チャージ金額、バリュー残高等を表示してチャージ処理を終了する(ステップS239)。
【0080】
一方、トランザクションIDの取得(ステップS203)において、メモリ120からデータレコードが取得でき、そこからトランザクションIDが取得できた場合(ステップS205)、携帯端末100は、中断された電子マネーチャージ処理があると判断し、中断されたチャージ処理を再開する。
【0081】
データレコードからトランザクションIDとともに取得されたステータスが「ID取得済み」であった場合(ステップS241)、携帯端末100は、前回のチャージ処理において、中継サーバ装置500からトランザクションIDを受け取った後、チャージ応答を送信する前に、携帯端末100の電源が切れる等して処理の中断が発生したと判断する。この場合、携帯端末100は、メモリ120からデータレコードを削除し(ステップS243)、中継サーバ装置500へのID発行要求の送信(ステップS207)から処理を再開する。
【0082】
上記以外で、データレコードからトランザクションIDとともに取得されたステータスが「チャージ要求中」であった場合(ステップS245)、携帯端末100は、前回のチャージ処理において、中継サーバ装置500にチャージ要求を送信した後、チャージ応答を受信する前に中断が発生したと判断する。この場合、携帯端末100は、中継サーバ装置500へのチャージ要求の送信(ステップS217)から処理を再開する。
【0083】
上記以外の場合、すなわちトランザクションIDとともに取得されたステータスが「受取中」であった場合(ステップS245)、携帯端末100は、前回のチャージ処理において、電子マネー事業者システム400にバリュー受取要求を送信した後、電子マネーデータを受信する前に中断が発生したと判断する。この場合、携帯端末100は、電子マネー事業者システム400へのバリュー受取要求の送信(ステップS231)から処理を再開する。
【0084】
[第2の実施形態に係る中継サーバ装置における処理]
図9および図10は、本実施形態に係る電子マネーチャージ処理において、中継サーバ装置500が行う処理を示すフローチャートである。図9は、携帯端末100からID発行要求を受信した際の処理を、図10は、携帯端末100からチャージ要求を受信したときの処理をそれぞれ示している。以下、図9および図10を参照しながら、本実施形態に係る中継サーバ装置500の処理について、詳細に説明する。
【0085】
本実施形態において、携帯端末100からID発行要求が送信された場合、中継サーバ装置500の制御部503は、通信部501を介して、携帯端末100からのID発行要求を受け付ける(ステップS301)と、新たなトランザクションIDを生成する(ステップS303)。次に、制御部503は、生成したトランザクションIDとステータス「ID発行済み」とを対応させたデータレコードをデータベース520に格納する(ステップS305)。その後、制御部503は、通信部501を介して携帯端末100にトランザクションIDを正常応答とともに送信する(ステップS307)。
【0086】
本実施形態において、携帯端末100からチャージ要求が送信された場合、中継サーバ装置500の制御部503は、通信部501を介して、携帯端末100からのトランザクションIDを伴ったチャージ要求を受け付ける(ステップS401)。この後まず、制御部503は、データベース520から、受信したトランザクションIDをキーにしてデータレコードを取得し、そこからステータスを取得する(ステップS403)。
【0087】
取得したステータスが「資金確保中」であった場合(ステップS405)、制御部503は、前回のチャージ処理において、金融機関システム300に資金確保要求を送信した後、資金確保応答を受信する前に中断が発生したと判断する。この場合、金融機関システム300内での処理状況が不明であるため、制御部503は自動的に復旧処理を行わず、例えば、中継サーバ装置500が備える表示部へのメッセージ表示、オペレータ端末へのメッセージ送信等の手段で、オペレータに調査・対応を指示する(ステップS407)。
【0088】
取得したステータスが「ID発行済み」であった場合(ステップS409)、制御部503は、中断された前回のチャージ処理は存在しないか、チャージ要求が制御部503に受けるけられる前に中断されたと判断する。この場合、チャージ要求受け付け以降の処理は開始されていないため、制御部503は、通常のチャージ手順に入る。制御部503はまず、データベース520に格納されたデータレコードのステータスを「資金確保中」に更新し(ステップS411)、金融機関システム300に資金確保要求を送信する(ステップS413)。
【0089】
資金確保要求に対して、何らかの原因(ネットワークの切断、金融機関システム300内の障害、等)で正常応答が返されなかった場合(ステップS415)、制御部503は、データベースに格納されたデータレコードのステータスを「資金確保失敗」に更新(ステップS417)した後、通信部501を介して、携帯端末100に「資金確保失敗」のエラー応答を送信し、処理を終了する(ステップS419)。
【0090】
上記以外、すなわち資金確保要求に対して、金融機関システム300から正常応答が返された場合(ステップS415)、制御部503は、データベース520に格納されたデータレコードのステータスを「バリュー発行中」に更新し(ステップS421)、電子マネー事業者システム400にバリュー発行依頼を送信する(ステップS423)。
【0091】
バリュー発行要求に対して、何らかの原因(ネットワークの切断、電子マネー事業者システム400のダウン、等)で正常応答が返されなかった場合(ステップS425)、制御部503は、データベース520に格納されたデータレコードのステータスを「バリュー発行失敗」に更新(ステップS427)した後、通信部501を介して、携帯端末100に「バリュー発行失敗」のエラー応答を送信し、処理を終了する(ステップS429)。
【0092】
上記以外、すなわちバリュー発行要求に対して、電子マネー事業者から正常応答が返された場合(ステップS425)、制御部503は、データベース520に格納されたデータレコードのステータスを「バリュー発行成功」に更新し(ステップS431)、通信部501を介して、携帯端末100に、正常応答を送信する(ステップS433)。
【0093】
一方、取得したステータスが「資金確保失敗」であった場合(ステップS435)、制御部503は、前回のチャージ処理において、携帯端末100に「資金確保失敗」のエラー応答を送信中に中断が発生したと判断し、通信部501を介して、携帯端末100に「資金確保失敗」のエラー応答を送信し、処理を終了する(ステップS419)。
【0094】
取得したステータスが「バリュー発行中」または「バリュー発行失敗」であった場合(ステップS437)、制御部503は、前回のチャージ処理において、資金確保要求に対して金融機関システム300から正常応答が返された後、携帯端末100にエラー応答を送信するまでのどこかのタイミングで中断が発生したと判断し、電子マネー事業者システム400へのバリュー発行依頼送信(ステップS423)から処理を再開する。
【0095】
取得したステータスが上記以外、すなわち「バリュー発行成功」の場合、制御部503は、携帯端末に正常応答を送信中に中断が発生したと判断し、通信部501を介して、携帯端末100に、正常チャージ応答を送信する(ステップS433)。
【0096】
[第2の実施形態に係る中断復旧処理]
上記のとおり、本実施形態に係る復旧処理は、携帯端末100および中継サーバ装置500が、それぞれメモリ120およびデータベース520が保持しているステータスに基づいて、チャージ処理の再開を試みることにより実行される。表1、および通信手順を示す図4を参照して、携帯端末100および中継サーバ装置500の処理の結果、システム全体として実行される復旧処理について、処理再開時に携帯端末100および中継サーバ装置500が保持しているステータスごとに説明する。
【0097】
【表1】

【0098】
(パターン1)
中継サーバ装置500から携帯端末100へのトランザクションIDの送信の際に、通信の切断等により中断が発生したと考えられる。この場合、携帯端末100のメモリ120にはまだデータレコードが格納されておらず、初期状態と同じであるため、最初の携帯端末100から中継サーバ装置500へのID発行要求送信(1)から処理が再実行される。
【0099】
(パターン2)
携帯端末100がトランザクションIDを受信してデータレコードをメモリ120に格納した後、中継サーバ装置500にチャージ要求を送信するまでの間に、携帯端末100の電源が切れるなどして中断が発生したと考えられる。この場合、チャージ要求はまだ送信されておらず、実質的なチャージ処理は開始されていないため、携帯端末100はデータレコードを一旦削除し、携帯端末100から中継サーバ装置500へのID発行要求送信(1)から処理が再実行される。
【0100】
(パターン3)
携帯端末100から中継サーバ装置500へのチャージ要求の送信の際に、通信の切断等により中断が発生したと考えられる。この場合、中継サーバ装置500においてチャージ要求が受信されていないため、携帯端末100から中継サーバ装置500へのチャージ要求送信(3)から処理が再実行される。
【0101】
(パターン4)
中継サーバ装置500から金融機関システム300への資金確保要求の送信から資金確保応答の受信までの間に、通信の切断または金融機関システム300内での障害等により中断が発生したと考えられる。この場合、金融機関システム300内で処理状況が不明であるため、中継サーバ装置500の判断で自動的に復旧処理を行うことができない。そのため、中継サーバ装置500がオペレータに障害の発生を通知するか、またはエラー応答を受信した携帯端末100が、利用者にオペレータに連絡をすることを促すメッセージを表示する。
【0102】
(パターン5)
中継サーバ装置500が、携帯端末100に「資金確保失敗」のエラー応答を送信する際に、通信の切断等により中断が発生したと考えられる。この場合、利用者の口座に資金を入金しないと処理は成功しないため、金融機関システム300への資金確保要求(4)の再実行はせずに、中継サーバ装置500から携帯端末100への「資金確保失敗」のチャージ応答送信から処理が再実行される。
【0103】
(パターン6)
中継サーバ装置500から電子マネー事業者システム400へのバリュー発行要求の送信からバリュー発行応答の受信までの間に、通信の切断またはシステム障害等により処理が中断されたと考えられる。この場合、中継サーバ装置500から電子マネー事業者システム400へのバリュー発行要求送信(6)から処理が再実行される。
【0104】
(パターン7)
中継サーバ装置500が、携帯端末100に「バリュー発行成功」のチャージ応答を送信する際に、通信の切断等により中断が発生したと考えられる。この場合、中継サーバ装置500から携帯端末100への「バリュー発行成功」のチャージ応答送信(8)から処理が再実行される。
【0105】
(パターン8)
中継サーバ装置500が、携帯端末100に「バリュー発行失敗」のチャージ応答を送信する際に、通信の切断等により中断が発生したと考えられる。この場合、中継サーバ装置500から携帯端末100への「バリュー発行失敗」のチャージ応答送信(8)から処理が再実行される。
【0106】
(パターン9)
携帯端末100から電子マネー事業者システム400へのバリュー受取要求の送信からバリュー受取応答の受信までの間に、通信の切断またはシステム障害等により処理が中断されたと考えられる。この場合、携帯端末100から電子マネー事業者システム400へのバリュー受取要求送信(9)から処理が再実行される。
【0107】
[第2の実施形態による効果]
本実施形態においては、電子マネーのチャージ処理における一連の情報の送受信を、中継サーバ装置500を介して行う。この中継サーバ装置500が備えるデータベース520において処理のステータスを保持することによって、一部の例外を除き、中断された電子マネーチャージ処理を自動的に復旧させることが可能になった。
【0108】
また、携帯端末100が備えるメモリ120においても処理のステータスを保持することによって、上記の復旧処理を携帯端末100からの起動により行うことが可能になった。これにより、中継サーバ装置500側でのオペレータによる操作を待つことなく、携帯端末100の操作により迅速に、中断された電子マネーチャージ処理を復旧させることが可能になった。
【0109】
[第2の実施形態の変形例]
ここまでの本実施形態の説明では、電子マネー事業者システム400が、中継サーバ装置500からのバリュー発行要求に応答してバリューを発行した後、バリュー発行結果を送信するシステムを想定しているが、一部の電子マネー事業者システム400にはバリュー発行結果を送信する機能がないものもある。
【0110】
その場合、例えば、中継サーバ装置500における処理の最初(例えば図9のステップS303の前)に、電子マネー事業者システム400に対して未受取バリューの存在確認を行い、未受取バリューが存在する場合はそのまま処理成功とする(例えば図10のステップS433にジャンプする)ことで、バリュー発行後の処理の中断に対応することができる。
【0111】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0112】
100 携帯端末
120 メモリ
200 ネットワーク
300 金融機関システム
310 インタフェース
330 ホストコンピュータ
400 電子マネー事業者システム
500 中継サーバ装置
501 通信部
503 制御部
505 変換部
507 記憶部
520 データベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーのチャージを行うための中継サーバ装置であって、
チャージ要求を送信する携帯端末、前記チャージ要求に応じて資金を確保する金融機関システム、および前記資金に相当するバリューを発行する電子マネー事業者システムと情報の送受信を行う通信部と、
前記通信部から前記金融機関システムへ送信される前記情報の一部または全部を、前記金融機関システムにおいて処理可能な形式に変換する変換部と、
前記通信部および変換部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする、中継サーバ装置。
【請求項2】
前記通信部が行う前記情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDおよび前記トランザクションIDに対応する処理状況が格納される記憶部をさらに備え、
前記制御部は、
前記携帯端末から前記通信部を介して受信したID発行要求に応じて前記トランザクションIDを発行し、前記記憶部に前記トランザクションIDおよび前記処理状況を格納するとともに、前記トランザクションIDを、前記通信部を介して前記携帯端末に送信し、前記通信部が前記一連の送受信を行うときに、前記記憶部に格納された前記処理状況を更新し、
前記一連の送受信が中断した場合、
前記携帯端末から前記通信部を介して受信した再開要求および前記トランザクションIDと、前記記憶部から読み出した前記トランザクションIDおよび前記処理状況とに基づいて、前記通信部に前記一連の送受信を再開させることを特徴とする、請求項1に記載の中継サーバ装置。
【請求項3】
前記携帯端末の処理状況としてトランザクションID取得済みまたはチャージ要求中を、前記中継サーバ装置の処理状況としてトランザクションID発行済み、資金確保中、資金確保失敗、バリュー発行中、バリュー発行成功またはバリュー発行失敗をそれぞれ管理し、これらの処理状況の組み合わせに応じて送受信の再開の処理を変化させる、請求項2に記載の中継サーバ装置。
【請求項4】
電子マネーのチャージを行うためのシステムであって、
携帯端末からのチャージ要求に応じて資金を確保する金融機関システムと、
前記資金に相当するバリューを発行する電子マネー事業者システムと、
前記携帯端末と、前記金融機関システムと、前記電子マネー事業者システムとの間に介されてそれぞれと情報の送受信を行う中継サーバ装置と、
を含み、
前記中継サーバ装置は、
前記中継サーバ装置から前記金融機関システムへ送信される前記情報の一部または全部を、前記金融機関システムにおいて処理可能な形式に変換することを特徴とするシステム。
【請求項5】
前記中継サーバ装置は、
前記携帯端末から受信した発行要求に応じて、前記中継サーバ装置が行う前記情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDを発行し、前記トランザクションIDおよび前記トランザクションIDに対応する処理状況を前記中継サーバ装置に備えられた記憶部に格納し、前記トランザクションIDを前記携帯端末に送信し、前記一連の送受信を行うときに、前記記憶部に前記処理状況を格納し、前記一連の送受信が中断した場合、前記携帯端末から受信した再開要求および前記トランザクションIDと、前記記憶部から読み出した前記トランザクションIDおよび前記処理状況とに基づいて前記一連の送受信を再開することを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記中継サーバ装置は、前記携帯端末の処理状況としてトランザクションID取得済みまたはチャージ要求中を、前記中継サーバ装置の処理状況としてトランザクションID発行済み、資金確保中、資金確保失敗、バリュー発行中、バリュー発行成功またはバリュー発行失敗をそれぞれ格納し、これらの処理状況の組み合わせに応じて送受信の再開の処理を変化させる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
電子マネーのチャージを行うための方法であって、
携帯端末が、中継サーバ装置にチャージ要求を送信するステップと、
前記中継サーバ装置が、前記チャージ要求を金融機関システムにおいて処理可能な形式の資金確保要求に変換して、前記金融機関システムに送信するステップと、
前記金融機関システムが、前記資金確保要求に応じて資金の確保を行い、資金確保応答を前記中継サーバ装置に送信するステップと、
前記中継サーバ装置が、前記資金確保応答を受信した後、電子マネー事業者システムに前記資金に相当するバリュー発行要求を送信するステップと、
前記電子マネー事業者システムが、前記バリュー発行要求に応じて前記資金に相当するバリューを発行し、バリュー発行応答を前記中継サーバ装置に送信するステップと、
前記中継サーバ装置が、前記バリュー発行応答を受信した後、前記携帯端末にチャージ応答を送信するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記携帯端末が、前記中継サーバ装置に、情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDの発行要求を送信するステップと、
前記中継サーバ装置が、前記発行要求に応じて、前記トランザクションIDを発行し、前記中継サーバ装置に備えられた記憶部に前記トランザクションIDおよび前記トランザクションIDに対応する処理状況を格納するとともに、前記携帯端末に前記トランザクションIDを送信するステップと、
前記携帯端末が、前記トランザクションIDを受信し、前記携帯端末に備えられる記憶部に前記トランザクションIDおよび前記トランザクションIDに対応する処理状況を格納するステップと、
をさらに含み、
前記携帯端末が前記チャージ要求を送信するステップは、前記携帯端末が前記トランザクションIDを格納するステップの後に実行され、
前記各ステップにおいて、前記携帯端末に備えられた記憶部および前記中継サーバ装置に備えられた記憶部に格納された、前記トランザクションIDに対応する処理状況が更新され、
前記各ステップのいずれかが中断された場合、
前記携帯端末が、前記携帯端末に備えられた記憶部から読み出した前記トランザクションIDおよび前記処理状況に基づいて、前記中継サーバ装置に、前記一連の送受信の再開要求および前記トランザクションIDを送信するステップと、
前記中継サーバ装置が、前記再開要求および前記トランザクションIDと、前記中継サーバ装置に備えられた記憶部から読み出した前記トランザクションIDおよび前記処理状況とに基づいて、前記中断されたステップを再開するステップと、
がさらに実行されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記携帯端末の処理状況としてトランザクションID取得済みまたはチャージ要求中を、前記中継サーバ装置の処理状況としてトランザクションID発行済み、資金確保中、資金確保失敗、バリュー発行中、バリュー発行成功またはバリュー発行失敗をそれぞれ格納し、
これらの処理状況の組み合わせに応じて送受信の再開の処理を変化させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
携帯端末に備えられるコンピュータに電子マネーのチャージ処理を実行させるためのプログラムであって、
中継サーバ装置に、情報の一連の送受信を識別するトランザクションIDの発行要求を送信するステップと、
前記中継サーバ装置から前記トランザクションIDを受信し、前記携帯端末に備えられる記憶部に前記トランザクションIDおよび前記トランザクションIDに対応する処理状況を格納するステップと、
前記中継サーバ装置にチャージ要求を送信するステップと、
前記中継サーバ装置からチャージ応答を受信するステップと、
を前記コンピュータに実行させ、
前記各ステップにおいては、前記記憶部に格納された前記処理状況が更新され、
前記各ステップのいずれかが中断された場合、
前記記憶部から前記トランザクションIDおよび前記処理状況を読み出すステップと、
前記トランザクションIDおよび前記処理状況に基づいて、前記一連の送受信の再開要求および前記トランザクションIDを前記中継サーバ装置に送信するステップと、
をさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−192147(P2011−192147A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59185(P2010−59185)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)