説明

電子マネー取引システム

【課題】展示会等のイベント会場における金銭の授受の手間を軽減する手段を提供する。
【解決手段】ユーザは展示会の入場券の購入に際し、自分の属性情報を登録するとともに、イベント用電子マネーのチャージされた電子マネー媒体12をチケット販売店から受け取る。ユーザは入場ゲートに配置されたイベント入場ゲート用端末装置15のリーダ・ライタに電子マネー媒体12をタッチすることでイベント会場内に入ることができる。また、ユーザはイベント会場内用端末装置16のリーダ・ライタに電子マネー媒体12をタッチすることによりイベント会場内における金銭の授受を伴う取引を行うことができる。それらの取引の内容を示す情報は、ユーザAの属性情報と関連付けられた形でサーバ装置13に記録され、イベントの主催者等に利用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーによる取引を可能とするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣や硬貨の形態で利用されてきた貨幣と同様の機能を電子的に実現する電子マネーと呼ばれる仕組みが近年、普及しつつある。
【0003】
電子マネーは、残高を示す残高データを記憶可能な記憶媒体である電子マネー媒体と、取引に際して電子マネー媒体に記憶されている残高データを読み取り、決済を行い、取引後の残高を示す残高データにより電子マネー媒体に記憶されている残高データを書き換えるリーダ・ライタ(読取書込装置)を備えた端末装置との組み合わせによるシステム(以下、「電子マネー取引システム」と呼ぶ)として実現される。
【0004】
電子マネー媒体の物理的な構造としては、例えば磁性体に残高データ等を記憶させる磁気カードや、IC(Integrated Circuit)が備える半導体メモリに電子的に残高データ等を記憶させるICカードなど、複数のものが提案され、また実用化されている。
【0005】
それらの中で現在、電子マネー媒体として最も普及しているものは、非接触型ICカードもしくは非接触型IC内蔵携帯電話である。非接触型ICは、リーダ・ライタから送信されるキャリアを入力とする電磁誘導により出力される電力を電源とし、キャリアの変調によりリーダ・ライタとの間でデータ通信を行う。そのため、これらの非接触型ICを採用した電子マネー媒体のユーザは、リーダ・ライタの外表面に電子マネー媒体を近づけるだけで、電子マネーによる取引の決済を行うことができる。
【0006】
上述したように、電子マネー取引システムは取引内容に応じて残高データを書き換えていく仕組みを用いる。すなわち、紙幣や硬貨といった実物の貨幣の受け渡しではなく、データの管理により電子マネーが実現されている。そのため、実物の貨幣の受け渡しに伴う不便が電子マネー取引システムにおいては解消できる場合がある。
【0007】
特許文献1は、電子マネー取引システムを用いて、冠婚葬祭などの行事(イベント)における受付時の不便を解消する仕組みを提案している。より具体的には、特許文献1に提案されている電子マネー取引システムによれば、冠婚葬祭への参加者は何らかの方法で、事前に自分の電子マネー媒体に参加者ID(Identifier)、イベントIDおよびイベント用のWebページのURI(Uniform Resource Identifier)を記憶してもらう。
【0008】
参加者は、冠婚葬祭への参加に先立ち、自分のPC(Personal Computer)等の端末装置に接続されたリーダ・ライタにより自分の電子マネー媒体に記憶されているURLを読み取らせ、イベント用のWebページにアクセスし、そのWebページにおいて自分の氏名、住所等を示す属性データと、香典や祝儀の金額を示す金額データを登録しておく。そのように登録される属性データおよび金額データは、イベントを識別するイベントIDと参加者を識別する参加者IDの組み合わせに対応付けてサーバ装置に記憶される。
【0009】
冠婚葬祭の当日、参加者は会場の受付に配置された端末装置(受付用端末装置)のリーダ・ライタに自分の電子マネー媒体に記憶されているイベントIDおよび参加者IDを読み取らせる。受付用端末装置は電子マネー媒体から読み取ったイベントIDおよび参加者IDを用いて、この参加者が予め登録しておいた属性データおよび金額データをサーバ装置から取得する。その際、金額データにより示される香典や祝儀の金額を、電子マネー媒体に記憶されている残高データが示す電子マネーの残高から差し引くことにより、香典や祝儀を冠婚葬祭の主催者側へ渡す処理が行われる。また、参加者の氏名、住所等を示す属性データは、香典や祝儀の金額を示す金額データとともに、参加者名簿の内容を構成する。
【0010】
以上のような仕組みにより、冠婚葬祭の当日、受付において従来行われていた香典や祝儀の受け渡しや芳名帳への氏名等の記入といった煩雑な作業が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−026625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
世の中にあるイベントの中には、展示会、品評会、博覧会、などと呼ばれるものが多くある。これらのイベント(以下、それらを総称して「展示会」と呼ぶ)には主催者とは別に、多くの出展者が参加する。例えば、新作展示会と呼ばれる展示会には、多くのメーカーが出展者として参加し、各々、ブースと呼ばれる展示スペースに自社の新製品を展示する。イベント当日、展示品を見に来る一般参加者は、イベント会場内の各々のブースを巡りながら、新製品を手に取ってみたり、出展者による製品説明を受けたりする。
【0013】
多くの展示会には展示即売会が伴う。展示即売会においては、一般参加者が展示されている製品の購入を行うことができる。出展者は、展示即売会において単に自社の製品を販売することによる利益を得るだけでなく、その売れ行きや反応を見ることにより、その後の製品の販売戦略を検討するための情報を得ることができる。
【0014】
また、出展物が自動車のように即売に適さないような場合や、全くの新製品で通常料金で即売しても優れた売れ行きが期待できないような場合などは、その製品の名前や特徴などを一般参加者に記憶してもらう等の目的で、ゲームやクイズなどのアトラクションが行われることも多くある。それらのアトラクションは無料で行われることもあるが、同一人の複数回参加を防ぐ等の目的で少額の料金が伴ったり、例えば入場時に一般参加者に配布されるアトラクション参加券の引き渡しを伴ったりする場合が一般的である。
【0015】
展示即売会は、展示会もしくは展示物の内容によっては多くの一般参加者により大変混み合う場合がある。そのような状況において、通常の通貨を用いた製品の販売・購入は、出展者にとっても一般参加者にとっても煩雑に感じられる。それは、アトラクションの参加受付において金銭の授受を伴う場合も同様である。
【0016】
また、アトラクションの参加受付をアトラクション参加券の授受により行う場合、金銭の授受と比べ煩雑さは軽減するが、一般参加者としては複数のアトラクション参加券の中から参加を希望するアトラクションのものを切り離して差し出さなければならないといった手間が伴ったり、出展者としてはある一般参加者が破棄した未使用のアトラクション参加券を用いて同一人が同日アトラクションに複数回参加してしまうことを防止できなかったり、という不便さが残る。
【0017】
上述したような事情に鑑み、本発明は、展示会等のイベント会場内における金銭の授受を伴う取引やアトラクションへの参加等に伴う出展者および一般参加者の手間を軽減する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明は、
複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体にデータを書き込む書込手段が内蔵もしくは着脱可能に接続された第1の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、一のイベントの会場に配置される第2の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段および前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体にデータを書き込む書込手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、前記一のイベントの会場に配置される複数の第3の端末装置と
を備え、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に、当該一の記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示す参加許可データと、前記一のイベントの会場における料金の支払いにおいて利用可能な電子マネーであるイベント用電子マネーの所定の残高を示すイベント用残高データとを書き込み、
前記第2の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取り、当該一の記録媒体に前記参加許可データが記録されているか否かを判定し、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における料金の支払いを伴う取引に際し、当該一の記録媒体に記録されている前記イベント用残高データを読み取り、当該読み取ったイベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高が当該取引に伴い支払われるべき料金の金額以上である場合に限り、当該当該一の記録媒体に記録されているイベント用残高データを当該取引後の残高を示すデータに書き換える
電子マネー取引システム
を提供する(第1の実施態様)。
【0019】
また、上記の第1の実施態様において、
前記複数の記録媒体の各々には、前記一のイベントの会場外における料金の支払いにおいて利用可能な汎用電子マネーの残高を示す汎用残高データが記録されており、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体に前記イベント用残高データを書き込む際、当該記録媒体に記録されている前記汎用残高データを、所定の金額だけ減額された残高を示すデータに書き換える
構成を採用してもよい(第2の実施態様)。
【0020】
また、上記の第1または第2の実施態様において、
前記複数の記録媒体の各々に関し、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データと、当該記録媒体のユーザの属性を示す属性データとを互いに関連付けて記憶する記憶手段を備えるサーバ装置を備え、
前記複数の記録媒体の各々には、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データが記録されており、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における取引に際し、当該記録媒体に記録されている前記媒体識別データと、当該取引の内容を示す取引内容データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび取引内容データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて当該受信した取引内容データを前記記憶手段に記憶する
構成を採用してもよい(第3の実施態様)。
【0021】
また、本発明は、
複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続された第1の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、一のイベントの会場に配置される第2の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、前記一のイベントの会場に配置される複数の第3の端末装置と、
前記複数の記録媒体の各々に関し、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データと、当該記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示す参加許可データと、当該記録媒体のユーザが前記一のイベントの会場における料金の支払いにおいて利用可能な電子マネーであるイベント用電子マネーの残高を示すイベント用残高データとを互いに関連付けて記憶可能な記憶手段を備えるサーバ装置と
を備え、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されている当該一の記録媒体を識別する媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記第1の端末装置から送信されてくる媒体識別データを受信し、当該受信した媒体識別データにより識別される一の記録媒体に関し、当該受信した媒体識別データと、前記参加許可データと、所定の残高を示す前記イベント用残高データとを互いに関連付けて前記記憶手段に記憶し、
前記第2の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されている媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記第2の端末装置から送信されてくる媒体識別データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記参加許可データが前記記憶手段に記憶されている場合に限り、当該一の記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示すデータを前記第2の端末装置に送信し、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における料金の支払いを伴う取引に際し、当該一の記録媒体に記録されている媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データと当該取引に伴い支払われるべき料金の金額を示す金額データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび金額データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高が当該受信した金額データにより示される金額以上である場合に限り、当該取引が成立したことを示すデータを当該一の第3の端末装置に送信するとともに、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データを当該取引後の残高を示すデータに書き換える
電子マネー取引システム
を提供する(第4の実施態様)。
【0022】
また、本発明は、
複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段および前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体にデータを書き込む書込手段が内蔵もしくは着脱可能に接続された第1の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、一のイベントの会場に配置される第2の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、前記一のイベントの会場に配置される複数の第3の端末装置と、
前記複数の記録媒体の各々に関し、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データと、当該記録媒体のユーザが前記一のイベントの会場における料金の支払いにおいて利用可能な電子マネーであるイベント用電子マネーの残高を示すイベント用残高データとを互いに関連付けて記憶可能な記憶手段を備えるサーバ装置と
を備え、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に、当該一の記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示す参加許可データを書き込むとともに、当該一の記録媒体に記録されている当該一の記録媒体を識別する媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記第1の端末装置から送信されてくる媒体識別データを受信し、当該受信した媒体識別データにより識別される一の記録媒体に関し、当該受信した媒体識別データと、所定の残高を示す前記イベント用残高データとを互いに関連付けて前記記憶手段に記憶し、
前記第2の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取り、当該一の記録媒体に前記参加許可データが記録されているか否かを判定し、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における料金の支払いを伴う取引に際し、当該一の記録媒体に記録されている媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データと当該取引に伴い支払われるべき料金の金額を示す金額データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび金額データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高が当該受信した金額データにより示される金額以上である場合に限り、当該取引が成立したことを示すデータを当該一の第3の端末装置に送信するとともに、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データを当該取引後の残高を示すデータに書き換える
電子マネー取引システム
を提供する(第5の実施態様)。
【0023】
また、上記の第4または第5の実施態様において、
前記サーバ装置は、前記複数の記録媒体の各々に関し、前記一のイベントの会場外における料金の支払いにおいて利用可能な汎用電子マネーの残高を示す汎用残高データを記憶しており、
前記サーバ装置は、前記第1の端末装置から送信されてくる媒体識別データの受信に伴い当該媒体識別データと互いに関連付けて所定の残高を示す前記イベント用残高データを前記記憶手段に記憶する際、当該媒体識別データにより識別される記録媒体に関し前記記憶手段に記憶されている前記汎用残高データを、所定の金額だけ減額された残高を示すデータに書き換える
構成を採用してもよい(第6の実施態様)。
【0024】
また、上記の第4乃至第6のいずれかの実施態様において、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における取引に際し、当該記録媒体に記録されている前記媒体識別データと、当該取引の内容を示す取引内容データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび取引内容データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて当該受信した取引内容データを前記記憶手段に記憶する
構成を採用してもよい(第7の実施態様)。
【0025】
また、上記の第3乃至第7のいずれかの実施態様において、
前記複数の記録媒体の各々のユーザのうちの任意の一のユーザが操作する第4の端末装置を備え、
前記第4の端末装置は、前記第4の端末装置を操作するユーザの記録媒体に記録されている媒体識別データもしくは前記サーバ装置において当該媒体識別データを識別可能な他の識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記第4の端末装置から送信されてくる媒体識別データもしくは他の識別データを受信し、当該受信した媒体識別データもしくは当該受信した他の識別データにより識別される媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶している前記取引内容データを用いて生成されたデータを前記第4の端末装置に送信する
構成を採用してもよい(第8の実施態様)。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1、第4または第5の実施態様にかかる電子マネー取引システムによれば、イベントの一般参加者である電子マネー媒体のユーザおよび主催者にとって、イベント会場の入場ゲートにおける入場管理が簡便となるとともに、ユーザおよび出展者にとって、イベント会場における各種取引に伴う金銭や参加券等の授受が電子マネー媒体を用いた簡易な操作で代替されるため便利である。その際、イベント用電子マネーはイベントにおいてのみ有効としたり、その後に通常の電子マネーに交換可能とする場合であってもその交換レートを調整したりすることにより、イベントにおける一般参加者の取引を促したり、イベント開催前にそれらの取引に伴う支払いを主催者が前受けすることができるため、イベントの主催者や出展者にとって好都合である。
【0027】
本発明の第2または第6の実施態様にかかる電子マネー取引システムによれば、通常の電子マネーによりイベント用電子マネーを伴う入場券の購入を行うことができるため、便利である。
【0028】
本発明の第3または第7の実施態様にかかる電子マネー取引システムによれば、イベント会場における一般参加者による取引の内容がそのユーザの属性情報と関連付けてサーバ装置に記録される。そのため、例えばイベントの主催者や出展者は、有意義なマーケティング情報を取得することできる。
【0029】
本発明の第8の実施態様にかかる電子マネー取引システムによれば、イベントに参加した一般参加者がイベント会場から出た後、イベント会場における自分の行動に関する情報を閲覧等することができ、それを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる電子マネー取引システムの全体構成を模式的に示したブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかるイベント参加申込デスク用端末装置の機能構成を模式的に示したブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかるサーバ装置の機能構成を模式的に示したブロック図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかるサーバ装置に記憶されるイベント用電子マネー管理DBの構成を模式的に示した図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかるイベント入場ゲート用端末装置の機能構成を模式的に示したブロック図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかるイベント会場内用端末装置の機能構成を模式的に示したブロック図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる電子マネー取引システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[1.実施形態]
以下に、本発明の一実施形態にかかる電子マネー取引システム1を説明する。電子マネー取引システム1においては、展示会等のイベント会場への入場を希望する一般参加者であるユーザが、チケット販売店において、イベントへの入場券代わりに入場許可を示すイベントIDとイベント用電子マネーの残高を示すイベント用残高データの記憶された新たに非接触型ICカードの発行を受けるか、もしくは、既に所持している非接触型ICカードもしくは非接触型IC内蔵携帯電話に対しそれらのデータの書き込みを受けることにより、イベントの会場入り口に設けられた入場ゲートに配置された端末装置が備えるリーダ・ライタにそれらの電子マネー媒体をタッチ操作するのみでイベントの会場内への入場が可能となり、また会場内の各ブースに配置された端末装置が備えるリーダ・ライタにそれらの電子マネー媒体をタッチ操作するのみでイベントの会場内における展示即売会や各種アトラクションへの参加等も可能となる。
【0032】
[1.1.構成]
図1は、電子マネー取引システム1の全体構成を模式的に示したブロック図である。電子マネー取引システム1は、イベントの一般参加者であるユーザに対しイベントの入場券の販売を行うチケット販売店Tに配置された端末装置であるイベント参加申込デスク用端末装置11と、ユーザの各々が所持し使用する電子マネー媒体12と、イベント用電子マネーを用いた取引の内容を記録しイベントの主催者や出展者に対し売上等の情報を提供するサーバ装置13と、ユーザが使用し自分の性別、年齢帯等の属性を示すユーザ属性データをサーバ装置13に登録する際に用いるユーザ端末装置14と、イベント会場の入場ゲートに配置された端末装置であるイベント入場ゲート用端末装置15と、イベント会場内の各ブースや共用スポット等の各々に配置された端末装置であるイベント会場内用端末装置16を備えている。
【0033】
イベント参加申込デスク用端末装置11、ユーザ端末装置14、イベント入場ゲート用端末装置15およびイベント会場内用端末装置16は各々、インターネット19を介してサーバ装置13との間でデータ通信を行うことができる。
【0034】
図1においては、チケット販売店としてチケット販売店Tの1店舗が例示され、イベント参加申込デスク用端末装置11の例としてイベント参加申込デスク用端末装置11Tがチケット販売店Tに配置されている様子が示されているが、チケット販売店の数やそれらに配置されるイベント参加申込デスク用端末装置11の数は任意に変更可能である。
【0035】
また、図1においては、ユーザとしてユーザAの1名が例示され、電子マネー媒体12としてユーザAが所持する電子マネー媒体12Aが、またユーザ端末装置14としてユーザAが使用するユーザ端末装置14Aが示されているが、ユーザの数およびそれらのユーザにより使用される電子マネー媒体12およびユーザ端末装置14の数は任意に変更可能である。
【0036】
また、図1においては、あるイベントが開催されるイベント会場Vに3つのブース、すなわちブースX、ブースYおよびブースZが設けられ、イベント会場内用端末装置16の例として、それらのブースに各々配置されたイベント会場内用端末装置16X、イベント会場内用端末装置16Yおよびイベント会場内用端末装置16Zが示されているが、イベント会場内に設けられるブースの数やイベント会場内用端末装置16の数もまた、任意に変更可能である。
【0037】
さらに、図1においては、イベント会場Vにおいて特定の日時に開催される1つのイベントに関し電子マネー取引システム1が利用される場合が例として示されているが、電子マネー取引システム1は同日時もしくは異なる日時に開催される複数のイベントに関し利用され得る。
【0038】
なお、サーバ装置13は単一の装置で構成されてもよいし、例えば互いにネットワークを介してデータの同期等を行いながら連携して協働する複数の装置の集まりにより構成されてもよい。
【0039】
イベント参加申込デスク用端末装置11、イベント入場ゲート用端末装置15およびイベント会場内用端末装置16はいずれも、インターネット19を介して他の通信機器との間でデータ通信可能な一般的なPCに、電子マネー媒体12に記憶されているデータを読み取るとともに電子マネー媒体12にデータを書き込む機能を有するリーダ・ライタが着脱可能に、もしくは着脱不可能に接続された構成を備え、それらのPCは本発明にかかるアプリケーションプログラムに従った処理を実行することにより、各々、イベント参加申込デスク用端末装置11、イベント入場ゲート用端末装置15およびイベント会場内用端末装置16として機能する。
【0040】
ただし、一般的なPCにアプリケーションプログラムに従った処理を実行させることによりそれらの端末装置を実現させることに代えて、例えば非接触型ICカードのリーダ・ライタを内蔵したPOS(Point of Sale)レジスタ等のいわゆる専用端末装置がイベント参加申込デスク用端末装置11、イベント入場ゲート用端末装置15もしくはイベント会場内用端末装置16として利用されてもよい。
【0041】
電子マネー媒体12は電子マネーの残高を示す残高データを含む各種データを記憶する半導体メモリと、イベント参加申込デスク用端末装置11、イベント入場ゲート用端末装置15およびイベント会場内用端末装置16が備えるリーダ・ライタとの間で無線によりデータ通信を行うデータ通信部と、電子マネー媒体12の処理を制御する制御部と、リーダ・ライタから出力されるキャリアを入力とし電磁誘導により発電を行い半導体メモリ、データ通信部および制御部に対し電力を供給する電源部とを備えている。
【0042】
電子マネー媒体12は非接触型ICカードの形態をとっても、非接触型IC内蔵携帯電話のように他の電子機器に内蔵された形態をとってもよい。
【0043】
サーバ装置13は、インターネット19を介してイベント参加申込デスク用端末装置11、ユーザ端末装置14、イベント入場ゲート用端末装置15およびイベント会場内用端末装置16との間でデータ通信可能な一般的なPCに、本発明にかかるアプリケーションプログラムに従った処理を実行させることにより実現される。
【0044】
サーバ装置13は、後述するように各イベントにおける各ユーザの取引内容を示す取引内容データを記録するためのDB(Database)サーバとして機能するとともに、各ユーザが自分の性別、年齢帯等の属性を示すユーザ属性データをイベントへの参加に先んじてサーバ装置13に登録しておくために用いられるWebページ(以下、「参加者情報登録ページ」と呼ぶ)を提供するWebサーバとしても機能する。
【0045】
ユーザ端末装置14は、インターネット19を介してサーバ装置13が提供するWebページ(参加者情報登録ページ)を表示し、表示したWebページにおいて各種データの入力および送信が可能なWebブラウザ機能を備えた端末装置であれば、PC、スマートフォン、ゲーム端末等のいずれの形態の端末装置であってもよい。
【0046】
図2は、イベント参加申込デスク用端末装置11の機能構成を模式的に示したブロック図である。イベント参加申込デスク用端末装置11は、その機能構成部として少なくとも以下の構成部を備えている。
【0047】
書込部111:電子マネー媒体12の記憶部に、特定のイベントに関してのみ有効な電子マネー媒体12を識別するための識別データである媒体識別データと、その特定のイベントを識別するためのイベント識別データと、その特定のイベントにおいて使用可能な電子マネーであるイベント用電子マネーの残高を示すイベント用残高データとを互いに関連付けて記憶させる。ユーザの希望に従いチケット販売店の店員による電子マネーによるイベント参加料金の支払いを指示する所定の操作が行われた場合、電子マネー媒体12の記憶部に記憶されている残高データにより示される通常の電子マネーの残高がイベント参加料金以上である場合に限り、所定の残高を示すイベント用残高データを電子マネー媒体12に記憶させるとともに、通常の電子マネーの残高を示す残高データをイベント参加料金だけ減額した残高を示すもので書き換えるように電子マネー媒体12に指示する。
【0048】
取得部112:電子マネー媒体12のユーザがチケット販売店の店員に伝え、チケット販売店の店員により入力されるユーザの性別、年齢帯、趣味等を示すユーザ属性データを取得する。
送信部113:書込部111により電子マネー媒体12に書き込まれた媒体識別データ、イベント識別データおよびユーザが参加者情報登録ページにアクセスする際のパスワードをサーバ装置13に送信する。取得部112によりユーザ属性データの取得が行われている場合は、媒体識別データおよびイベント識別データとともにユーザ属性データもサーバ装置13に送信する。
【0049】
図3は、サーバ装置13の機能構成を模式的に示したブロック図である。サーバ装置13は、その機能構成部として少なくとも以下の構成部を備えている。
【0050】
受信部131:イベント参加申込デスク用端末装置11から媒体識別データおよびイベント識別データ、そして場合によってはさらにユーザ属性データを受信する。ユーザ端末装置14の各々から媒体識別データ、イベント識別データおよびユーザ属性データを受信する。イベント会場内用端末装置16の各々から媒体識別データ、イベント識別データおよび取引内容データを受信する。
【0051】
記憶部132:受信部131により受信された媒体識別データとイベント識別データの組み合わせの各々に対し、それらのデータとともにイベント参加申込デスク用端末装置11から受信されたパスワードと、イベント参加申込デスク用端末装置11もしくはユーザ端末装置14から受信されたユーザ属性データと、イベント会場内用端末装置16から受信された取引内容データとをそれぞれ関連付けて記憶する。
【0052】
サーバ装置13はイベント参加申込デスク用端末装置11、ユーザ端末装置14およびイベント会場内用端末装置16から受信したユーザ属性データや取引内容データ等をイベント用電子マネー管理DBに格納した形で記憶部132に記憶し、それらのデータを管理する。
【0053】
図4は、記憶部132に記憶されるイベント用電子マネー管理DBの構成を模式的に示した図である。イベント用電子マネー管理DBは、イベント識別データにより識別されるイベントと、そのイベントにおいて電子マネー媒体12を識別する媒体識別データとの組み合わせにより識別されるレコードの集まりである。各レコードに含まれるユーザ管理データのフィールドにどのような内容のデータが格納されるかはイベント毎にイベントの主催者により設定されるため異なる。従って、図4においては、イベント毎に(すなわちイベント識別データに基づき)グルーピングされたレコード群の内容が模式的に示されている。
【0054】
イベント用電子マネー管理DBに含まれる各レコードは、各イベントにおいて電子マネー媒体12を識別する媒体識別データを格納するフィールド「媒体識別データ」と、電子マネー媒体12のユーザが参加者情報登録ページにアクセスする際にユーザの本人確認を行うために用いられるパスワードを格納するフィールド「パスワード」と、ユーザの各種属性を示すユーザ属性データを格納するフィールド「ユーザ属性データ」と、イベント会場における各種取引の内容を示す取引内容データを格納するフィールド「取引内容データ」を有している。
【0055】
フィールド「ユーザ属性データ」には、所定数のサブフィールドが含まれており、例えば第1サブフィールドには性別を示す数値、第2フィールドには年齢帯を示す数値、のように、イベントの主催者が自由に各サブフィールドに格納されるデータの内容を、必要に応じてそれらのデータの選択肢とともに、設定することができる。
【0056】
フィールド「取引内容データ」には複数のデータが時系列的に格納されてゆく。例えば、取引内容データ「時刻:2010年04月01日13時23分/端末ID:X001/アイテムID:食品012/ポイント:−100」は、2010年04月01日13時23分に、端末ID「X001」で識別されるイベント会場内用端末装置16Xにおいて、アイテムID「食品012」が金額「100ポイント」で販売された、という取引内容を示している。
【0057】
なお、ここでいう金額は、イベント用電子マネーの価値であって、必ずしも通常の電子マネーや通常の通貨(貨幣)と等価である必要はない。
【0058】
図5は、イベント入場ゲート用端末装置15の機能構成を模式的に示したブロック図である。イベント入場ゲート用端末装置15は、その機能構成部として少なくとも以下の構成部を備えている。
【0059】
読取部151:イベント会場への入場を希望するユーザが所持している電子マネー媒体12の記憶部に記憶されている1以上のイベント識別データを読み取る。
判定部152:読取部151に読み取られた1以上のイベント識別データの中に、イベント入場ゲート用端末装置15が配置されているイベント会場でその時点で開催されているイベントを識別する所定のイベント識別データが含まれているか否かを判定する。
通知部153:判定部152により、読取部151により読み取られたイベント識別データの中に所定のイベント識別データが含まれていると判定された場合に限り、例えば「入場可」という表示を行う。
【0060】
図6は、イベント会場内用端末装置16の機能構成を模式的に示したブロック図である。イベント会場内用端末装置16は、その機能構成部として少なくとも以下の構成部を備えている。
【0061】
読取部161:イベント会場内において製品の購入やアトラクションへの参加等に伴う取引を希望するユーザが所持する電子マネー媒体12の記憶部に記憶されているイベント用残高データを読み取る。
【0062】
書込部162:読取部161により読み取られたイベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高が取引に要する金額以上である場合に限り、その金額を差し引いた後の残高を示すイベント用残高データによって電子マネー媒体12の記憶部に記憶されているイベント用残高データを書き換えるように電子マネー媒体12に指示する。ユーザの希望に従いイベントの主催者もしくは出展者により通常の電子マネーによるイベント用電子マネーの追加購入を指示する所定の操作が行われた場合、電子マネー媒体12の記憶部に記憶されている残高データにより示される通常の電子マネーの残高が追加購入分のイベント用電子マネーの価格以上である場合に限り、追加購入分の金額だけイベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高を増やし、同額だけ残高データにより示される通常の電子マネーの残高を減らすように、電子マネー媒体12の記憶部に記憶されているイベント用残高データおよび通常の残高データの書き換えを電子マネー媒体12に指示する。
【0063】
送信部163:書込部162により電子マネー媒体12の記憶部に記憶されているイベント用残高データの書き換えの指示が行われた場合、電子マネー媒体12の媒体識別データ、そのイベントを識別するイベント識別データ、そしてイベント用残高データの書き換えをもたらした取引の内容を示す取引内容データをサーバ装置13に送信する。
【0064】
[1.2.動作]
続いて、図7を用いて、電子マネー取引システム1の動作を説明する。なお以下、例として、ユーザAがチケット販売店Tにおいてイベント会場Vにおいて所定日時に開催されるイベントKに参加する場合の電子マネー取引システム1の動作を説明するものとする。
【0065】
まず、ユーザAは、チケット販売店Tに行き、イベントKの参加申込、すなわち入場券の購入の手続きを行う。チケット販売店Tの店員は、ユーザAの申し出に応じて、電子マネー媒体12を持っているか否かをユーザAに尋ねる。ユーザAが電子マネー媒体12を既に所持している場合、チケット販売店Tの店員はユーザAが所持している電子マネー媒体12、すなわち電子マネー媒体12Aに対し、イベント用電子マネーのチャージの操作を行う。一方、ユーザAが電子マネー媒体12を所持していない場合、チケット販売店Tの店員は新しい電子マネー媒体12をユーザA用の電子マネー媒体12、すなわち電子マネー媒体12Aとして準備し、その電子マネー媒体12Aに対し、イベント用電子マネーのチャージの操作を行う(ステップS01)。
【0066】
イベント用電子マネーのチャージの操作とは、以下のステップにより構成される。
(1)まず、チケット販売店Tの店員による所定の操作に応じて、イベント参加申込デスク用端末装置11はイベントKにおいてのみ有効な電子マネー媒体12を識別する媒体識別データを生成する。その生成方法としては様々なものが考えられるが、例えばイベントKを識別するイベント識別データ、その時点における時刻、および電子マネー媒体12Aに書換不可能に予め記憶されている媒体識別データを入力値として、所定の関数に従い算出される出力値をイベントKにおいてのみ有効な媒体識別データとして生成する。なお、このように生成される媒体識別データは、その値から電子マネー媒体12Aに書換不可能に予め記憶されている媒体識別データを算出もしくは推測することが不可能なものが望ましい。
【0067】
(2)(1)と同時に、イベント参加申込デスク用端末装置11は例えば任意の数字英数8桁のパスワードを生成する。
【0068】
(3)続いて、チケット販売店Tの店員による所定の操作に応じて、イベント参加申込デスク用端末装置11のリーダ・ライタにタッチされた電子マネー媒体12Aに対し、イベント参加申込デスク用端末装置11は上記のように生成された媒体識別データと、イベントKのイベント識別データと、イベントK用電子マネーの残高として所定の残高(例えば、3,000ポイント)を示すイベント用残高データとを、互いに関連付けて記憶部に書き込むように指示する。電子マネー媒体12Aはその指示に従い、イベント参加申込デスク用端末装置11から受信したそれらのデータを記憶部に書き込む。
【0069】
以上がイベント用電子マネーのチャージの操作である。なお、イベント用電子マネーのチャージにおいて電子マネー媒体12Aに書き込まれるイベントKのイベント識別データは、イベントKに対する入場券の役割を果たすデータ(参加許可データ)として機能する。
【0070】
なお、ユーザAはイベントKの入場券の購入代金を、例えば現金やクレジットカードにより支払うこともできるが、例えばユーザAが既に電子マネー媒体12Aを所持しており、電子マネー媒体12Aにチャージされている通常の電子マネーの残高が入場券の購入代金以上であれば、通常の電子マネーにより入場券の購入代金を支払うこともできる。その場合、イベント用電子マネーのチャージの操作のステップ(3)と同時に、もしくはその前後において、イベント参加申込デスク用端末装置11のリーダ・ライタにタッチされた電子マネー媒体12Aに対し、イベント参加申込デスク用端末装置11は通常の電子マネーの残高を示す残高データを入場券の購入代金を差し引いた後の残高を示すように書き換えるよう、電子マネー媒体12Aに指示する。電子マネー媒体12Aはその指示に従い、記憶部における残高データの書き換えを行う。
【0071】
イベント用電子マネーのチャージの操作が完了すると、チケット販売店Tの店員は、ユーザAにイベントKに参加するために必要となる参加者情報の登録をその場で行うか自宅等において自分で行うかを尋ねる。ユーザAが参加者情報の登録をその場で行うことを希望した場合、チケット販売店Tの店員は口頭で、もしくは所定の記入用紙に必要事項を記入してもらう形で、ユーザAから参加者情報を取得する。チケット販売店Tの店員は、ユーザAから取得した参加者情報をイベント参加申込デスク用端末装置11にユーザ属性データとして入力する。
【0072】
続いて、チケット販売店Tの店員による所定の操作が行われると、イベント参加申込デスク用端末装置11は電子マネー媒体12Aに書き込みを指示した媒体識別データと、イベントKを識別するイベント識別データと、上記のイベント用電子マネーのチャージの操作におけるステップ(2)において生成されたパスワードをサーバ装置13に送信する(ステップS02)。また、イベント参加申込デスク用端末装置11に対するユーザ属性データの入力が行われている場合、イベント参加申込デスク用端末装置11はそのユーザ属性データもステップS02において合わせてサーバ装置13に送信する。
【0073】
サーバ装置13はステップS02においてイベント参加申込デスク用端末装置11からデータを受信すると、イベント用電子マネー管理DBに新たなレコードを生成して、受信したデータを生成したレコードに格納する。
【0074】
チケット販売店Tにおける作業は以上で完了である。チケット販売店Tの店員は、ユーザAに対しイベント用電子マネーのチャージの完了した電子マネー媒体12Aとともに、参加者情報、すなわちユーザ属性データの新規登録もしくは登録済みのユーザ属性データの編集を行うためのURIおよびパスワードを印字した用紙を手渡す。
【0075】
この用紙に印字されているURIには、例えばイベント識別データと媒体識別データが含まれている。そのため、そのURIを用いて開かれる参加者情報登録ページは、ユーザAがイベントKに参加するための参加者情報を登録するページとなる。
【0076】
なお、チケット販売店Tの店員から手渡される用紙に印字されているパスワードは、イベント用電子マネーのチャージの操作におけるステップ(2)において生成されたパスワードである。
【0077】
チケット販売店Tにおいてユーザ属性データの登録を行わなかった場合、ユーザAは都合のよい時にユーザ端末装置14AのWebブラウザにチケット販売店Tの店員から手渡された用紙に印字されているURIを入力することにより、自分用の参加者情報登録ページを表示させる。その参加者情報登録ページにおける求めに応じて、ユーザAは用紙に印字されているパスワードを入力し、例えば「ログイン」ボタンをクリックする。その操作に応じて入力されたパスワードがユーザ端末装置14Aからサーバ装置13に送信され、サーバ装置13において本人認証が行われる。
【0078】
上記の本人認証が成功すると、続いてユーザAは参加者情報登録ページにおいて自分の性別、年齢帯、趣味等の求められる参加者情報の入力を行い、例えば「送信」ボタンをクリックする。その操作に応じて入力された参加者情報がユーザ属性データとしてサーバ装置13に送信される(ステップS03)。
【0079】
サーバ装置13はステップS03においてユーザ端末装置14Aからユーザ属性データを受信すると、先にURIに含まれる形でユーザ端末装置14Aから受信しているイベント識別データおよび媒体識別データにより特定されるレコードをイベント用電子マネー管理DBから検索し、検索したレコードに受信したユーザ属性データを格納する。
【0080】
イベントKの開催日時において、ユーザAはイベント会場Vに行き、その入場ゲートにおいてイベント入場ゲート用端末装置15のリーダ・ライタに電子マネー媒体12Aをタッチする。そのタッチ操作に応じて、イベント入場ゲート用端末装置15は電子マネー媒体12Aの記憶部に記憶されているイベント識別データを読み取り、読み取ったイベント識別データにイベントKを識別するものが含まれているか否かを判定し、イベントKを識別するイベント識別データが電子マネー媒体12Aに記憶されていると判定した場合は「入場可」、それ以外は「入場不可」の表示を行う(ステップS04)。
【0081】
イベント会場Vの入場ゲートに配置されたイベントKの主催者の職員等は、ステップS04においてイベント入場ゲート用端末装置15により「入場可」の表示が行われた場合はユーザAの入場を許可し、「入場不可」の表示が行われた場合はユーザAの入場を許可せず、例えば入場券購入の手続きを求める等の必要な対応を取る。
【0082】
ユーザAはイベント会場Vの内部に入り、展示会の内容を楽しむことになるが、その際、例えばブースXで行われている展示即売会において新製品である食品を試食のため購入したり、ブースYで行われているアトラクションに参加するための参加料を支払ったりするかも知れない。それらの製品購入やアトラクション参加料の支払いは、通常の貨幣や通常の電子マネーではなく、イベント用電子マネーの使用により行われる。
【0083】
例えば、ユーザAがブースXにおいて新製品の食品を購入する場合、イベント会場内用端末装置16Xのリーダ・ライタにタッチされたユーザ端末装置14Aに対し、ブースXの出展者の職員の操作に応じてイベント会場内用端末装置16Xがイベント用電子マネーの残高をその食品の代金だけ減額するように書き換えるよう指示を行い、電子マネー媒体12Aはその指示に従いイベント用残高データの書き換えを行う(ステップS05)。
【0084】
ステップS05の処理が完了すると、イベント会場内用端末装置16XはステップS05における処理をもたらした取引の内容を示す取引内容データを生成し、生成した取引内容データをサーバ装置13に送信する(ステップS06)。
【0085】
ユーザAが例えばブースYにおいてアトラクション参加料を支払ったり、さらに例えばブースZにおいて製品を購入したりする場合も、ステップS05およびステップS06の処理がイベント会場内用端末装置16Yもしくはイベント会場内用端末装置16Xとサーバ装置13との間で行われる。
【0086】
ただし、いずれのイベント会場内用端末装置16による場合も、ステップS05におけるイベント用残高データの書き換えは、イベント用電子マネーの残高が取引に要する金額以上である場合に限って実行される。すなわち、イベント用電子マネーの残高が不足している場合、イベントKにおける取引はできない。
【0087】
そのような場合、ユーザAは各ブースの出展者の職員や共通スポットに配置されている主催者の職員等に現金やクレジットカード等により通常の通貨による支払いを行うことにより、もしくは電子マネー媒体12Aにチャージされている通常の電子マネーを用いて、イベント用電子マネーの追加購入をすることができる。
【0088】
例えば、通常の通貨による支払いを行うことによりイベント用電子マネーの追加購入が行われる場合、いずれかのイベント会場内用端末装置16のリーダ・ライタにタッチされている電子マネー媒体12Aに対し、イベント会場内用端末装置16がイベント用電子マネーの残高を増額するようにイベント用残高データを書き換えるように指示を行い、電子マネー媒体12Aはその指示に従いイベント用残高データの書き換えを行う。
【0089】
また、通常の電子マネーを用いたイベント用電子マネーの追加購入が行われる場合、いずれかのイベント会場内用端末装置16のリーダ・ライタにタッチされている電子マネー媒体12Aに対し、イベント会場内用端末装置16がイベント用電子マネーの残高を増額するとともに、通常の電子マネーの残高を同額だけ減額するように、イベント用残高データおよび通常の残高データを書き換えるように指示を行い、電子マネー媒体12Aはその指示に従いイベント用残高データおよび通常の残高データの書き換えを行う。
【0090】
以上説明したように、電子マネー取引システム1によれば、展示会等のイベントへの参加を希望するユーザは、イベント会場への入場券の購入に際して、自分の電子マネー媒体12にイベント用電子マネーのチャージを受けることにより、イベント会場へスムーズに入場できるとともに、イベント会場内の支払いを全て自分の電子マネー媒体12にチャージされているイベント用電子マネーにより行うことができ、例えば出展者にとっても一般参加者であるユーザにとっても、イベント会場内における金銭の支払い等の煩わしさが軽減される。
【0091】
また、電子マネー取引システム1によれば、イベント中の取引において一般参加者から出展者や主催者に対し支払われる金銭の支払いが、入場券の購入時に行われることになる。従って、イベントの出展者や主催者にとってはイベントの準備費用等を別途調達する手間が不要になり、好都合である。
【0092】
また、電子マネー取引システム1によれば、イベント会場内における取引内容がその取引を行ったユーザの属性情報とともにサーバ装置13に記録されるため、イベントにおける売上金額の管理を正確かつ容易に行うことができるのみならず、どのような参加者がどのような製品を購入したか、またどのようなアトラクションに参加したか、といった出展者および主催者にとって貴重なマーケティング情報が手に入る。
【0093】
また、電子マネー取引システム1によれば、多くのユーザは、入場券の購入と同時、もしくは購入後速やかに自分の属性情報の登録を行うため、イベントの主催者や出展者は、イベントに参加するユーザの属性情報をイベントの開催前に知ることができる。従って、イベントの主催者や出展者は、イベントに参加するユーザの属性情報に基づき、展示内容等を変更する等の対応を行うことができるため、イベントをより成功に導くことが可能となる。
【0094】
また、一般的にイベントの入場券を購入したユーザのうち、実際にはイベントに参加しないユーザや入場券の払い戻し(キャンセル)を行うユーザもいる。電子マネー取引システム1によれば、入場券の購入者の人数とともにそれらのユーザの属性が事前に分かるため、イベントの主催者や出展者は、入場券を購入したが参加しないユーザや入場券のキャンセルを行うユーザの数を高い精度で事前に予測することが可能となる。その結果、イベントの財政管理や事前の準備等が容易となる。
【0095】
また、イベント用電子マネーと通常の通貨(もしくは電子マネー)とは、必ずしも完全な互換性を持たせる必要はなく、主催者の希望に応じて様々に変更可能である。例えば、入場料金2,000円に対し、イベント用電子マネーとして3,000円と等価の3,000ポイントをチャージすることにより、イベントへの参加を促すこともできるし、例えばイベント用電子マネーの0.7ポイントを通常の通貨の1円と等価にする一方でイベント会場における販売価格として通常の通貨と同じ数値を用いることにより、イベント会場において物価が全体に安くなったような感覚を一般参加者に与え、新製品の購入やアトラクションへの参加を促す、といった操作を行うことも可能となる。
【0096】
さらに、電子マネー媒体12を使用したことがないユーザに対し、イベント会場における擬似的な電子マネー媒体12の使用体験の機会を提供することにより、電子マネー取引システム1は電子マネー媒体12の普及にも貢献する。
【0097】
[2.変形例]
上述した電子マネー取引システム1は本発明の一具体例であり、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形可能である。以下にそのような変形の例を示す。
【0098】
上述した電子マネー取引システム1においては、イベント用電子マネーの残高の管理は個々の電子マネー媒体12に記憶されているイベント用残高データにのみ基づくものとしたが、電子マネー媒体12の破損等によるデータ消失に備えたり、データの整合性をチェックしたりする等の目的で、サーバ装置13もしくは他のサーバ装置において、個々の電子マネー媒体12にチャージされているイベント用電子マネーの残高が管理される構成が採用されてもよい。
【0099】
例えばサーバ装置13がその役割を果たす場合、イベント参加申込デスク用端末装置11およびイベント会場内用端末装置16は、電子マネー媒体12に記憶されているイベント用残高データの書き換えが完了すると、書き換え後のイベント用残高データを取引内容データの一部としてサーバ装置13に送信する。そして、例えばイベント会場内用端末装置16が新たに電子マネー媒体12に記憶されているイベント用残高データの書き換えを行う場合、サーバ装置13からイベント用残高データを取得し、電子マネー媒体12に記憶されているイベント用残高データとの間で照合を行う。そのような構成が採用されることにより、電子マネー取引システム1におけるイベント用電子マネーが信頼性の高いものとなる。
【0100】
さらに、本発明にかかる電子マネー取引システムにおいて、イベント識別データ、イベント用残高データ、取引内容データおよびユーザ属性データは、媒体識別データと関連付けて記憶される限り、少なくとも電子マネー媒体12およびサーバ装置13のいずれか一方に記憶されていればよい。例えば、入場管理に用いられるイベント識別データは電子マネー媒体12に記録しておき、イベント用残高データ、取引内容データおよびユーザ属性データはサーバ装置13で管理する態様や、電子マネー媒体12には媒体識別データのみを記録しておき、他の全てのデータはサーバ装置13において全て管理する態様など、様々なバリエーションが考えられる。
【0101】
例えば、電子マネー媒体12には媒体識別データのみを記録しておき、他の全てのデータはサーバ装置13において全て管理する構成が採用される場合、ユーザによる入場券の購入に際し、イベント参加申込デスク用端末装置11は電子マネー媒体12から媒体識別データを読み出し、読み出した媒体識別データをイベント識別データとともにサーバ装置13に送信する。サーバ装置13はイベント参加申込デスク用端末装置11から媒体識別データおよびイベント識別データを受信すると、新たに所定の残高を示すイベント用残高データを生成し、受信した媒体識別データに対応付けて、ともに受信したイベント識別データと生成したイベント用残高データとをイベント用電子マネー管理DBに登録する。
【0102】
また、ユーザがイベント会場に入る際、イベント入場ゲート用端末装置15は電子マネー媒体12から媒体識別データを読み取り、サーバ装置13に送信する。サーバ装置13は受信した媒体識別データを検索キーとしてイベント用電子マネー管理DBから検索したレコードに、そのイベントを識別するイベント識別データが含まれているか否かを判定し、その判定結果を示すデータをイベント入場ゲート用端末装置15に送信する。イベント入場ゲート用端末装置15は、サーバ装置13から受信したデータに従い、ユーザの入場の可否を表示等する。
【0103】
また、ユーザがイベント会場内で行う取引に伴い、イベント会場内用端末装置16は電子マネー媒体12から媒体識別データを読み取り、読み取った媒体識別データを取引内容データとともにサーバ装置13に送信する。サーバ装置13は受信した媒体識別データを検索キーとしてイベント用電子マネー管理DBから検索したレコードに、受信した取引内容データを登録する。この点は、実施形態における説明で述べたとおりである。
【0104】
また、取引内容データやユーザ属性データを主催者や出展者が利用しなくても不都合がない場合には、サーバ装置13を設けず、電子マネー媒体12に必要な全てのデータを記録させる構成が採用されてもよい。その場合、少なくとも参加許可データとして機能するイベント識別データと、イベント用電子マネーの残高を管理するためのイベント用残高データが電子マネー媒体12に記録されていればよい。
【0105】
例えば、スキー場やスイミングプールの主催者などは、来場者の属性に関してあまり興味がないこともある。そのような場合、上述のサーバ装置13を設けない構成が採用可能である。その場合、スキー場やスイミングプールのチケット販売所において、参加許可データおよび場内で使用可能なイベント用電子マネーの残高を示すイベント用残高データを書き込んだ電子マネー媒体12が来場者に対し手渡される。来場者は場内において使用するコインロッカー代、用具のレンタル代、食事代などを電子マネー媒体12により支払うことができ便利である。また、主催者側としては、例えば2000円の入場券に3000円分のポイント(イベント用電子マネー)を付けたものを4500円で販売する、といった価格設定を行うことにより、来場者の入場時点で場内使用分の2500円の売上を確保することができる。また、上記のような価格設定により売上高の向上を図ることもできる。
【0106】
また、上述した電子マネー取引システム1においてはイベント用電子マネーの単位を「ポイント」と呼んだが、その単位としてはどのようなものが採用されてもよい。例えば全く新たに作られた単位が用いられてもよいし、実際の通貨と同じ単位、例えば「円」が用いられてもよい。
【0107】
例えばイベント用電子マネーを通常の電子マネーとの間の互換性のあるものとして設定したい場合、通常の通貨と同じ単位である例えば「円」をイベント用電子マネーの単位として採用する方がユーザにとって分かりやすい。その場合、イベント用電子マネーはイベント会場においてはイベントにおいてのみ有効な独自の媒体識別データと、イベント識別データとに関連付けて使用されるため、ユーザ属性データを取引内容データとの関連付けを可能とする特殊な電子マネーである点を除き、通常の電子マネーと同様のものとして使用されることになる。
【0108】
一方、上述したように、イベント会場において展示会ならではの特別割引を行う等により新製品の購入やアトラクションへの参加を促進したい場合などは、イベント用電子マネーの価値体系を通常の通貨(もしくは電子マネー)と異なるものに設定した方が有効な場合がある。そのような場合は、イベント用電子マネーの単位としては「ポイント」や全く新たに作り出した単位を用いる方がユーザにとって分かりやすい。
【0109】
なお、イベント終了後に、もしくはイベント会場外において、残っているイベント用電子マネーを他の場所で使用可能とするか否かもまた、イベントの主催者等が自由に決定可能である。例えば、イベント終了後に、もしくはイベント会場外において、残っているイベント用電子マネーをそのまま通常の電子マネーとしても利用可能としてもよい。その場合であっても、例えばイベント用電子マネーはイベント会場内においてユーザにとって有利なレートで使用できる、といった条件があれば、ユーザは通常の電子マネーであれば特にそのイベント会場内で積極的に使用しないと思われる状況においても、イベント用電子マネーはイベント会場内で積極的に使用する、というように異なる消費行動が導かれる。
【0110】
また、イベント終了後に、残っているイベント用電子マネーを所定のレートで通常の電子マネーに換金することを許可するようにしてもよい。その場合、イベント会場において擬似的な電子マネーの使用体験をしたユーザが、イベント用電子マネーの残金を通常の電子マネーに換金し、換金した電子マネーを通常の店舗等で使用することにより、電子マネーの利用の普及が促進される。
【0111】
もちろん、イベント用電子マネーはイベント終了後およびイベント会場外においては使用不可としてもよい。その場合、イベント用電子マネーのイベント会場における使用が最大限に促進されるとともに、金銭のやりとりがイベントの入場料金およびイベント会場内における取引に限定されるため、例えばイベントの主催者の会計処理が簡素となる。
【0112】
また、本発明にかかる電子マネー取引システムにおいて、上記のような異なる性質を持つ複数のイベント用電子マネーを1つのイベントにおいて利用可能としてもよい。例えば、イベント中に会場で展示即売品の購入等に利用可能でありイベント後には通常の電子マネーに交換可能な第1のイベント用電子マネーと、イベント中に会場で各ブース、各アトラクション、各展示品等に対し一般参加者が評価を下すためにのみ利用可能でありイベント後には利用できない第2のイベント用電子マネー(投票用ポイント)の2系列のイベント用電子マネーを設ける、といったことが考えられる。
【0113】
そのような例の場合、第1のイベント用電子マネーを用いた取引からは価格に連動した商品やサービスする売れ行きなどを予測するための情報が得られ、第2のイベント用電子マネーを用いた取引からは価格とは無関係に多くの一般参加者から得られた評価に関する情報が得られることになる。
【0114】
このように、本願における電子マネーおよびイベント用電子マネーは、通常の通貨のようにユーザの望む商品やサービス等との交換に汎用的に利用可能な電子的な通貨(現金等との交換により付与される狭義の電子マネーと、他の取引に伴い付与され一般的にポイントやマイレージ等と呼ばれるものを含む広義の電子マネー)に限られず、評価にのみ利用可能なポイントのように利用目的が限定的なものも含む概念である。
【0115】
また、上述した電子マネー取引システム1においては、電子マネー媒体12によりイベント用電子マネーに加え、通常の電子マネーが利用可能であるものとしたが、この通常の電子マネーの種類やその有無は任意に変更されてよい。例えば、通常の電子マネーとして、現金等との交換により付与される電子マネーが採用されてもよいし、他の取引に伴い付与される電子マネー(ポイントやマイレージと呼ばれるもの)が採用されてもよい。
【0116】
さらに、通常の電子マネーは利用可能とはせず、イベント用電子マネーのみを利用可能としてもよい。
【0117】
また、上述した実施形態において、電子マネー媒体12は非接触型ICタイプのものであるものとしたが、本発明にかかる電子マネー取引システムにおいて、例えば磁気カードや接触型ICカード等の他の方式の記録媒体が電子マネー媒体として採用されてもよい。
【0118】
また、上述した実施形態の説明においては、取引に伴いイベント用電子マネーが減少する例のみを示したが、取引に伴いイベント用電子マネーは必ずしも減少しなくともよい。例えば、ユーザが無料のサンプル品の配布を受けたり、無料のアトラクションへ参加したりする場合、その取引に伴い増減するイベント用電子マネーは0ポイントとなる。その場合、生成されイベント用電子マネー管理DBに格納される取引内容データは、いずれの電子マネー媒体12のユーザがいつ、どのサンプル品の配布を受けたか、もしくはどの無料のアトラクションへ参加したか、ということを示す情報として利用されることになる。
【0119】
上記のように電子マネー取引システム1においてはイベント用電子マネーの増減を伴わない取引の記録も可能であるため、例えばマラソン大会における各ランナーの走行速度の計測・記録に利用することもできる。その場合、マラソン大会というイベントの一般参加者であるランナーは、コースのスタート地点、所定の通過地点およびゴール地点に各々配置されたイベント会場内用端末装置16のリーダ・ライタに自分の電子マネー媒体12をタッチさせながら走る。その結果、どのランナーがどの時刻にどのポイントを通過したか、という情報が取引内容データとして記録される。そのような取引内容データに基づき、各ランナーの走行時間を全コースおよび区間毎に算出することが可能となる。
【0120】
このように、電子マネー媒体12をマラソン大会における各ランナーの走行速度の計測・記録に利用すれば、ランナーが走行中に電子マネー媒体12をリーダ・ライタにタッチさせる必要がある、という多少の不便さを伴うものの、一般的な専用の計測・記録システムを用いる場合と比較し、計測・記録に要するコストを大幅に削減することができる。
【0121】
また、取引によりイベント用電子マネーを増加させることを許可してもよい。そうすれば、例えば自分たちが主催しているアトラクションへの積極的な参加を促したいと考える出展者がアトラクションに参加したユーザに対し所定数のポイントを付与する、といったことが可能となる。
【0122】
また、上述した電子マネー取引システム1においては、媒体識別データとして電子マネー媒体12に書換不可能に記憶されている識別データ、例えば電子マネー媒体12の製造時に割り当てられた識別データとは異なるイベント毎に生成される識別データが用いられるものとしたが、それは電子マネー媒体12に書換不可能に記憶されている識別データと電子マネー媒体12のユーザの個人情報(性別等)との関連付けを行わないことにより、万一それらの情報が漏洩した場合であってもその被害を軽減するためである。そのような問題が他の方法で解消するのであれば、電子マネー媒体12に書換不可能に記憶されている識別データを電子マネー取引システム1における媒体識別データとして利用する構成が採用されてもよい。
【0123】
また、上述した電子マネー取引システム1においては、イベント参加申込デスク用端末装置11において媒体識別データが生成されるものとしたが、例えばサーバ装置13がイベント参加申込デスク用端末装置11からの要求に応じて同じイベントに関しユニークな媒体識別データを生成し、生成した媒体識別データをイベント参加申込デスク用端末装置11に送信する構成が採用されてもよい。
【0124】
また、本願において、電子マネー媒体を識別するデータはイベント識別データと媒体識別データとの組み合わせであるが、それらのデータは必ずしも2つのデータに分離されている必要はない。例えばそれらが一体となった1つの識別データが採用されたとしても、その1つの識別データがイベントを識別し、かつ電子マネー媒体を識別する限り、本願におけるイベント識別データおよび媒体識別データに該当する。逆に3つ以上のデータの組み合わせによりイベントおよび電子マネー媒体の識別が行われる場合も同様である。
【0125】
また、上述した電子マネー取引システム1においては、イベント入場ゲート用端末装置15において表示される「入場可」および「入場不可」という通知に応じて、イベントの主催者の職員がユーザの入場を管理するものとしたが、例えばイベント入場ゲート用端末装置15が入場ゲートの開閉システムとデータ通信可能に接続され、判定部152の判定結果に応じて入場ゲートの開門を許可したり禁止したりする構成が採用されてもよい。そのような構成が採用されると、入場ゲートの自動化による人員の削減が可能となる。
【0126】
また、上述した実施形態の説明において、イベントの入場券の購入手続はチケット販売店において行われる場合についてのみ説明したが、入場券の購入手続はユーザの自宅等において行われてもよい。以下にそのような例を説明する。
【0127】
例えば、ユーザが電子マネー媒体12を既に所持しており、インターネットに接続可能で、かつ電子マネー媒体のリーダ・ライタを内蔵もしくは接続可能なPC(Personal Computer)を利用可能な場合、ユーザはそのPCを操作して、例えばサーバ装置13から配信される入場券購入用のWebページにアクセスし、入場券の購入手続を自分で行うことができる。その際、PCに内蔵もしくは接続されたリーダ・ライタにより、電子マネー媒体12に対しイベント用電子マネーのチャージ等が行われる。なお、その際の料金の支払いは、電子マネー媒体12に既にチャージされている通常の電子マネーから支払われてもよいし、一般的なECサイトにおける支払いのようにクレジットカードにより支払われてもよい。
【0128】
また、ユーザが電子マネー媒体12をまだ持っていない場合やリーダ・ライタを自宅等で利用できない場合、ユーザは一般的なECサイトにおける商品購入と同様に、PCを操作し、例えばサーバ装置13から配信される入場券購入用のWebページにアクセスし、入場券購入を行う。そのように購入された入場券は、ユーザの自宅等の指定された配送先に配送される。
【0129】
また、ユーザが電子マネー媒体12を既に所持しているが、リーダ・ライタを自宅等で利用できない場合、ユーザは一般的なECサイトにおける商品購入と同様に、PCを操作し、例えばサーバ装置13から配信される入場券購入用のWebページにアクセスし、入場券購入を行うが、その際、所持している電子マネー媒体12を識別するカード番号等のデータをPCに入力することによりサーバ装置13に登録する。その場合、ユーザがイベント会場に入場する際、イベント入場ゲート用端末装置15のリーダ・ライタに電子マネー媒体12をタッチすると、予めサーバ装置13に登録されていた電子マネー媒体12の識別情報と読み取られた識別情報との照合が行われ、その照合に成功すると、イベント入場ゲート用端末装置15により電子マネー媒体12に対するイベント用電子マネーのチャージ等が行われる。以上が、自宅等における入場券の購入手続の例の説明である。
【0130】
なお、上述した電子マネー取引システム1の説明においては省略したが、実際には電子マネー取引システム1は通常の電子マネーの取引を行う仕組みを備えている。例えば、イベント参加申込デスク用端末装置11やイベント会場内用端末装置16において入場券の購入やイベント用電子マネーの追加購入の際に通常の電子マネーによる決済が可能であるのはそのためである。
【0131】
また、上述した電子マネー取引システム1の説明においては省略したが、サーバ装置13に記録された取引内容データは、イベントの主催者および出展者により利用される。そのため、例えば売上高に応じて出展者が主催者に支払う出展料金が変化するような場合、主催者と出展者との間で売上高に関する情報の食い違いが生じる、といった問題が回避され、便利である。さらに、全ての取引内容データはユーザ属性データと関連付けられてサーバ装置13に記録されているため、利用価値の高いマーケティング情報となる可能性が高い。
【0132】
さらに、本発明は、サーバ装置13に記録された取引内容データを用いて、一般参加者がイベント会場におけるイベントへの参加を終了した後も、そのイベントを楽しむことを可能とする仕組みを提案する。例えば、電子マネー取引システム1によれば、ユーザは過去に参加したイベントにおいて、自分がどの時刻にどのブースに足を運んだか、どのアトラクションに参加したか、どのような商品を購入したか、といった情報を望んだ時に閲覧することを可能とすることができる。そのような例を以下に説明する。
【0133】
例として、ユーザBがイベント会場である遊園地Dに行って各種乗り物やアトラクションを楽しむ場合に関し説明する。ユーザBによる入場券の購入に伴い、電子マネー媒体12に対し、ユーザBが遊園地Dに入場するためのイベント識別データや、遊園地Dの中において乗り物に乗ったり、アトラクションに参加したり、飲食物や土産物を購入したり、といった各種支払いに利用できるイベント用電子マネーのチャージが行われる点は上述の実施形態の説明において述べたとおりである。
【0134】
ユーザBが遊園地Dにおいて乗った乗り物、参加したアトラクション、飲食した物、購入した土産物などは、その購入等の時刻とともに、取引内容データとしてサーバ装置13に記録される点も、上述の実施形態の説明において述べたとおりである。
【0135】
ユーザBは、遊園地Dから帰宅した後、PCを操作して、サーバ装置13から配信されるイベント参加記録閲覧用のWebページにアクセスする。
【0136】
その際、ユーザBの自宅のPCにおいてリーダ・ライタが利用可能であれば、ユーザBは電子マネー媒体12を単にリーダ・ライタにタッチするだけで、そのWebページにおけるログイン手続を完了することができる。すなわち、リーダ・ライタにより読み取られた電子マネー媒体12の媒体識別データがPCからサーバ装置13に送信され、サーバ装置13においてイベント用電子マネー管理DBから同じ媒体識別データを格納するレコードが検索される。その検索が成功すると、ユーザBのログイン手続が完了したことになる。
【0137】
一方、ユーザBのPCにおいてリーダ・ライタが利用できない場合、ユーザBはイベント参加記録閲覧用のWebページにアクセスする際、広く普及しているユーザIDおよびパスワードの入力等によるログイン手続を行う。例えばイベント用電子マネー管理DBに格納されている媒体識別データおよびパスワードを予めユーザBに通知しておけば、それらがログイン時のユーザIDおよびパスワードとして利用可能である。なお、ユーザIDおよびパスワードは、サーバ装置13において電子マネー媒体12を識別可能な識別データであればいずれのものであってもよい。
【0138】
ログイン手続が正常に完了すると、サーバ装置13はログイン手続においてユーザBのPCから受信した媒体識別データ(もしくはユーザIDなど、サーバ装置13において媒体識別データを識別可能な他のID)に基づきイベント用電子マネー管理DBからユーザBの遊園地Dにおける各種取引の履歴を示す取引内容データを抽出し、抽出した取引内容データを用いてユーザBの遊園地Dにおける行動を示すマップを生成する。
【0139】
そのように生成されるマップには、例えばユーザBが遊園地Dの中を移動したルートや、そのルート上で乗った乗り物、参加したアトラクション等を示す図・写真などが示される。また、それらの乗り物に乗ったりアトラクションに参加したりした時刻も併せて表示される。さらに、どのような土産物を購入したか、どのような飲食物を飲食したか、といった情報が、それらの土産物、飲食物の写真等により地図上に表示されてもよい。サーバ装置13は、生成したマップの表示を指示するWebデータをユーザBのPCに送信する。
【0140】
ユーザBのPCは、サーバ装置13から受信したWebデータに従い、マップの表示を行う。ユーザBは、PCに表示されるマップを閲覧しながら、遊園地Dにおける楽しい記憶を思い起こしたり、次回に遊園地Dを訪れる際の参考にしたりすることができる。さらに、ユーザBは自分のマップを、例えば匿名で、他のユーザに公開することもできる。その場合、他のユーザは自分が遊園地Dに行った際の行動の参考として、ユーザBの遊園地Dにおける行動を利用することができる。さらに、同じ遊園地Dに行ったことのある複数のユーザ間の情報交換の場をWebページにおいて提供したり、参加したアトラクションの数をランキング化したりすることにより、遊園地Dにおける一次的な楽しみに加え、二次的な楽しみをユーザに対し提供することができる。
【0141】
以上が、本発明にかかる電子マネー取引システムにより、取引内容データが示す情報を一般参加者に対し提供することにより、イベントに付加価値を与える仕組みの一例の説明である。
【0142】
取引内容データが示す情報を一般参加者に対し提供することによりイベントに付加価値を与える仕組みの他の例としては、例えばイベント会場において各ユーザにより投票された評価ポイントの集計結果を、そのイベントに参加したユーザの各々に対し閲覧可能とすることが考えられる。例えば、自分が高く評価したものが他のユーザからどのように評価されているのか、ということは、投票を行ったユーザにとって興味深い情報である。従って、その投票の集計結果が自分の投票内容とともにユーザのPC等に表示されると便利である。
【0143】
なお、本発明に関し、イベントの種類や形態はいずれのものであってもよい点は言うまでもない。例えば、上述した遊園地のような常設展であってもよいし、町内会の子ども祭りのような一時的なものであってもよい。さらに、全国各所に設けられたマラソンコースを参加者が自由な時間帯に選択して走りながら電子マネー媒体をリーダ・ライタにタッチさせることにより順位を争うような、地理的にも時間的にも限定性が低いイベントであってもよい。
【0144】
また、イベント会場およびイベント開催期間はさまざまな定義の仕方があってよく、本発明においてそれらが限定的に解釈されるべきではない。例えば、イベント会場に入る前にインターネット等を介して展示即売品の購入を済ませておき、イベント会場において商品の受け取りのみを行う、といったことを可能としてもよく、その場合、イベントはイベント会場における展示等が開始する前から開始している、と捉えることができる。同様に、イベント会場に足を運んだ一般参加者が帰宅した後、インターネット等を介して評価用のイベント用電子マネー(ポイント)を用いて各ブースやアトラクション等の評点を行う、といったことを可能としてもよい。その場合、イベントはイベント会場における展示等が終了した後も継続している、と捉えることができる。
【0145】
また、上述した実施形態の説明においては、一般参加者のイベントに対する参加の管理を、入場ゲートにおける入場の許可もしくは拒否という形で行うタイプのイベントを例として述べたが、一般参加者がイベントに参加が許可された者であるか否かの確認を行う方法は入場ゲートにおけるチェックに限られない。
【0146】
例えば、イベント会場に入場ゲートは設けられておらず、イベント会場に設けられた受付デスクにおいて受付手続を行うことによりアトラクション等への参加が可能となるタイプのイベントに対しても本発明は適用可能である。その場合、例えば受付デスクに配置された端末装置(イベント入場ゲート用端末装置15に相当)のリーダ・ライタに電子マネー媒体12がタッチされる際、電子マネー媒体12に受付完了を示す受付完了データを書き込み、各アトラクション等への参加においてイベント会場内用端末装置16のリーダ・ライタに電子マネー媒体12がタッチされる際、電子マネー媒体12から受付完了データを読み出し、受付手続の完了の確認を行うようにすればよい。
【0147】
また、例えば、入場ゲートを通過することに代えて、イベントに参加するために必要な物を受付デスクにおいて一般参加者に配布する、というタイプのイベントに対しても本発明は適用可能である。例えば、イベントがマラソン大会である場合、特に入場ゲートの類は設けられないことが多いが、受付デスクにおいて受付手続を行い、ゼッケンを受け取る必要がある。この場合は、入場ゲートにおける入場の許可・拒否をチェックする場合と同様に、受付デスクにおいて電子マネー媒体12に参加許可データの役割を果たすイベント識別データが書き込まれているか否かの判定が行われればよく、電子マネー媒体12に対する受付完了データの書き込みは不要である。
【0148】
なお、電子マネー取引システム1を構成する装置は、互いに連携して動作する複数の装置群で構成されてもよい。例えば、サーバ装置13は1つの筐体の装置である必要はなく、ユーザ属性データを管理する装置、取引内容データを管理する装置、取引内容データを用いた情報をイベントの主催者、出展者、一般参加者等に提供するWebサーバの役割を果たす装置、のように複数の筐体に分離された装置が互いにネットワークを介してデータ通信を行いながら、全体としてサーバ装置13として機能してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明にかかる電子マネー取引システムは展示会等のイベントにおいて利用される技術であるため、イベント開催業にとどまらず広くそれらの展示会等に出展者として参加する可能性のある全ての業種において利用され得る。さらに、電子マネー媒体の普及にも貢献するため、電子マネーを管理する金融業、サービス業等にとっても有意義である。
【符号の説明】
【0150】
1…電子マネー取引システム、11…イベント参加申込デスク用端末装置、12…電子マネー媒体、13…サーバ装置、14…ユーザ端末装置、15…イベント入場ゲート用端末装置、16…イベント会場内用端末装置、19…インターネット、111…書込部、112…取得部、113…送信部、131…受信部、132…記憶部、151…読取部、152…判定部、153…通知部、161…読取部、162…書込部、163…送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体にデータを書き込む書込手段が内蔵もしくは着脱可能に接続された第1の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、一のイベントの会場に配置される第2の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段および前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体にデータを書き込む書込手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、前記一のイベントの会場に配置される複数の第3の端末装置と
を備え、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に、当該一の記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示す参加許可データと、前記一のイベントの会場における料金の支払いにおいて利用可能な電子マネーであるイベント用電子マネーの所定の残高を示すイベント用残高データとを書き込み、
前記第2の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取り、当該一の記録媒体に前記参加許可データが記録されているか否かを判定し、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における料金の支払いを伴う取引に際し、当該一の記録媒体に記録されている前記イベント用残高データを読み取り、当該読み取ったイベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高が当該取引に伴い支払われるべき料金の金額以上である場合に限り、当該当該一の記録媒体に記録されているイベント用残高データを当該取引後の残高を示すデータに書き換える
電子マネー取引システム。
【請求項2】
前記複数の記録媒体の各々には、前記一のイベントの会場外における料金の支払いにおいて利用可能な汎用電子マネーの残高を示す汎用残高データが記録されており、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体に前記イベント用残高データを書き込む際、当該記録媒体に記録されている前記汎用残高データを、所定の金額だけ減額された残高を示すデータに書き換える
請求項1に記載の電子マネー取引システム。
【請求項3】
前記複数の記録媒体の各々に関し、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データと、当該記録媒体のユーザの属性を示す属性データとを互いに関連付けて記憶する記憶手段を備えるサーバ装置を備え、
前記複数の記録媒体の各々には、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データが記録されており、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における取引に際し、当該記録媒体に記録されている前記媒体識別データと、当該取引の内容を示す取引内容データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび取引内容データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて当該受信した取引内容データを前記記憶手段に記憶する
請求項1または2に記載の電子マネー取引システム
【請求項4】
複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続された第1の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、一のイベントの会場に配置される第2の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、前記一のイベントの会場に配置される複数の第3の端末装置と、
前記複数の記録媒体の各々に関し、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データと、当該記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示す参加許可データと、当該記録媒体のユーザが前記一のイベントの会場における料金の支払いにおいて利用可能な電子マネーであるイベント用電子マネーの残高を示すイベント用残高データとを互いに関連付けて記憶可能な記憶手段を備えるサーバ装置と
を備え、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されている当該一の記録媒体を識別する媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記第1の端末装置から送信されてくる媒体識別データを受信し、当該受信した媒体識別データにより識別される一の記録媒体に関し、当該受信した媒体識別データと、前記参加許可データと、所定の残高を示す前記イベント用残高データとを互いに関連付けて前記記憶手段に記憶し、
前記第2の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されている媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記第2の端末装置から送信されてくる媒体識別データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記参加許可データが前記記憶手段に記憶されている場合に限り、当該一の記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示すデータを前記第2の端末装置に送信し、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における料金の支払いを伴う取引に際し、当該一の記録媒体に記録されている媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データと当該取引に伴い支払われるべき料金の金額を示す金額データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび金額データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高が当該受信した金額データにより示される金額以上である場合に限り、当該取引が成立したことを示すデータを当該一の第3の端末装置に送信するとともに、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データを当該取引後の残高を示すデータに書き換える
電子マネー取引システム。
【請求項5】
複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段および前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体にデータを書き込む書込手段が内蔵もしくは着脱可能に接続された第1の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、一のイベントの会場に配置される第2の端末装置と、
前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取る読取手段が内蔵もしくは着脱可能に接続され、前記一のイベントの会場に配置される複数の第3の端末装置と、
前記複数の記録媒体の各々に関し、当該記録媒体を他の記録媒体から識別する媒体識別データと、当該記録媒体のユーザが前記一のイベントの会場における料金の支払いにおいて利用可能な電子マネーであるイベント用電子マネーの残高を示すイベント用残高データとを互いに関連付けて記憶可能な記憶手段を備えるサーバ装置と
を備え、
前記第1の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に、当該一の記録媒体のユーザが前記一のイベントに参加することが許可されたユーザであることを示す参加許可データを書き込むとともに、当該一の記録媒体に記録されている当該一の記録媒体を識別する媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記第1の端末装置から送信されてくる媒体識別データを受信し、当該受信した媒体識別データにより識別される一の記録媒体に関し、当該受信した媒体識別データと、所定の残高を示す前記イベント用残高データとを互いに関連付けて前記記憶手段に記憶し、
前記第2の端末装置は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に記録されているデータを読み取り、当該一の記録媒体に前記参加許可データが記録されているか否かを判定し、
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における料金の支払いを伴う取引に際し、当該一の記録媒体に記録されている媒体識別データを読み取り、当該読み取った媒体識別データと当該取引に伴い支払われるべき料金の金額を示す金額データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび金額データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データにより示されるイベント用電子マネーの残高が当該受信した金額データにより示される金額以上である場合に限り、当該取引が成立したことを示すデータを当該一の第3の端末装置に送信するとともに、当該受信した媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶されている前記イベント用残高データを当該取引後の残高を示すデータに書き換える
電子マネー取引システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記複数の記録媒体の各々に関し、前記一のイベントの会場外における料金の支払いにおいて利用可能な汎用電子マネーの残高を示す汎用残高データを記憶しており、
前記サーバ装置は、前記第1の端末装置から送信されてくる媒体識別データの受信に伴い当該媒体識別データと互いに関連付けて所定の残高を示す前記イベント用残高データを前記記憶手段に記憶する際、当該媒体識別データにより識別される記録媒体に関し前記記憶手段に記憶されている前記汎用残高データを、所定の金額だけ減額された残高を示すデータに書き換える
請求項4または5のいずれかに記載の電子マネー取引システム。
【請求項7】
前記複数の第3の端末装置の各々は、前記複数の記録媒体のうちの任意の一の記録媒体に関し、当該記録媒体のユーザによる前記一のイベントの会場における取引に際し、当該記録媒体に記録されている前記媒体識別データと、当該取引の内容を示す取引内容データとを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記複数の第3の端末装置のうちの任意の一の第3の端末装置から送信されてくる媒体識別データおよび取引内容データを受信し、当該受信した媒体識別データに関連付けて当該受信した取引内容データを前記記憶手段に記憶する
請求項4乃至6のいずれかに記載の電子マネー取引システム
【請求項8】
前記複数の記録媒体の各々のユーザのうちの任意の一のユーザが操作する第4の端末装置を備え、
前記第4の端末装置は、前記第4の端末装置を操作するユーザの記録媒体に記録されている媒体識別データもしくは前記サーバ装置において当該媒体識別データを識別可能な他の識別データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記第4の端末装置から送信されてくる媒体識別データもしくは他の識別データを受信し、当該受信した媒体識別データもしくは当該受信した他の識別データにより識別される媒体識別データに関連付けて前記記憶手段に記憶している前記取引内容データを用いて生成されたデータを前記第4の端末装置に送信する
請求項3または7に記載の電子マネー取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−232854(P2011−232854A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100778(P2010−100778)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(510116727)