説明

電子メール仲介サービスシステム、端末、ダウンロードサーバ及びプログラム並びに記録媒体

【課題】 電子メールの発信者側で受信者側端末への電子メールの転送を許容するかまたは閲覧のみを許容して閲覧後に電子メールの削除を行うかを指定できるようにした電子メール仲介サービスシステムを提供する。
【解決手段】 電子メール仲介サービスシステム14は、利用者Aの携帯電話機16aから送信されたメッセージ80をすべての利用者の端末で閲覧できるように公開し、前記メッセージに対する返信として利用者Bの携帯電話機16bから送信されたメッセージ81を前記利用者Aの私書箱42aに転送する。そして、前記利用者Aの携帯電話機16aから自分宛のメッセージの閲覧要求があった場合に、私書箱42aに届けられたメッセージの閲覧を許容する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子メール仲介サービスシステムに関する。詳しくは、通常の電子メールシステムを改良した電子メール仲介サービスシステムであって、特に、サーバ側にユーザごとの私書箱を備え、受信者側で読み終えた後の電子メールを私書箱に保存するか否(消去する)かを送信者側で指定できるようにした電子メール仲介サービスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子メールは、知っている相手とのメッセージ交換に用いられるが、交際相手を募集するなど、相手を特定しない用途に用いられることもある。その一例として、「出会い系サイト」が知られている。出会い系サイトとは、インターネット上に設けられた「掲示板システム」(以下単に掲示板という)と類似のコミュニケーション・サービス・システムの一形態である。一般的な掲示板は、任意の話題または特定の話題などに関する書き込み(メッセージ)を受け付け、それを不特定多数(公開掲示板の場合)のユーザに自由に閲覧させると共に、随時に書き込まれる同意ないしは異論反論などの意見(メッセージ)を時系列的に掲示していく、いわゆる一対多のメッセージ告知サービスシステムである。掲示板ユーザのほとんどは、身分を明かさずに匿名で利用することが多い。すなわち、書き込み者は、通常、自分の氏名や電子メールアドレス等の固有情報を隠し、ハンドルネームと呼ばれる匿名で利用することが多い。
【0003】一方、出会い系サイトは、もっぱらインターネットを介して交際相手を広く募るために利用されるものであり、掲示板と同様の一対多のメッセージ告知機能を備えるほか、さらに、メッセージを読んで気に入った相手と一対一のメッセージ交換を行うための電子メール仲介機能を備える。
【0004】図14は、従来の電子メール仲介サービスシステム(一例として出会い系サイトに適用されるもの)の概念図である。電子メール仲介サービスシステム1は、図示を略したインターネット網に接続されたサーバによって実現されている。この電子メール仲介サービスシステム1は、利用者(図では便宜的に利用者Aと利用者Bで代表する)の端末(たとえば、iモード(登録商標;以下「R」と略す)機能を搭載した携帯電話機、以下単に「携帯電話機」という)2、3から利用可能な以下のサービスをインターネット上に提供する。
【0005】すなわち、電子メール仲介サービスシステム1は、図示を略したインターネット網上に、(1)携帯電話機2、3のいずれか一方(図では利用者A;花子さん)からの交際希望メッセージ4を受け付けて、そのメッセージを掲示板に公開するサービスと、(2)他の利用者(図では利用者B;太郎さん)が自分の携帯電話機3で当該メッセージ4を見て興味を覚えた場合に、その利用者Bから送信(交際希望メッセージ4の表示画面に設けられた送信ボタン4aのクリック操作)された特定個人宛(花子さん宛)の返信メッセージ5を受け取るサービスと、(3)その返信メッセージを宛先人(この場合、利用者A;花子さん)の電子メールアドレスに転送するサービスを提供する。
【0006】ここで、宛先人(利用者A)の電子メールアドレスを、たとえば、“hanako@docomo.ne.jp”とすると、この電子メールアドレスを掲示板上に公開することは避けなければならない。電子メールアドレスの公開は、しばしば他人からの「いたずらメール」や「スパムメール」を受け取る原因となり、迷惑を被るからである。そこで、従来の電子メール仲介サービスシステム1においては、この点に留意して、交際希望メッセージ4の書き込み者の電子メールアドレスを上記の転送サービス(2)のみに限定利用し、掲示板上には公開しないようにしている。
【0007】すなわち、従来の電子メール仲介サービスシステム1にあっては、掲示板上に、花子さんからの交際希望メッセージ4のみを表示し、たとえば、太郎さんから返信メッセージ5が送られてきた場合には、その返信メッセージ5を花子さんの電子メールアドレス(“hanako@docomo.ne.jp”)に転送するようにし、太郎さんをはじめとする掲示板利用者に対して、花子さんの電子メールアドレス(“hanako@docomo.ne.jp”)を知らせないようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の電子メール仲介サービスシステム1にあっては、交際希望メッセージ4の書き込み者の電子メールアドレス(上記の例示では花子さんの電子メールアドレス“hanako@docomo.ne.jp”)を非公開とすることができ、個人情報の保全を図ることができる点で有益なものの、以下の点で不十分であり、未だ改善すべき技術課題があった。
【0009】すなわち、上記の例示において、太郎さんは、交際希望メッセージ4の内容を信じて返信メッセージ5を送信するが、しかし、メッセージサービスの利用者の中には不心得な「輩」も少なからず存在することは事実であり、場合によっては、返信メッセージ5の悪用や第三者への転送、若しくは公表などの迷惑行為、または、その返信メッセージ5を利用した強請(ゆすり)などの犯罪行為を受ける可能性があるからである。
【0010】そこで、本発明は、かかる不都合に鑑みてなされたものであり、面識のない者同士の間でやり取りされるメッセージ交換の安全性を高めるために、電子メールの発信者側で、受信者が読み終えた後の電子メールの保存を可能にするか否かを指定できるようにした電子メール仲介サービスシステムを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子メール仲介サービスシステムは、一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールを保存する保存手段と、前記保存手段に前記二の利用者宛の電子メールが保存されている場合に該二の利用者の端末からの閲覧要求に応答して該二の利用者宛の電子メールの閲覧を該二の利用者の端末に対して許容する閲覧許容手段とを備えたこととされているものである。
【0012】この発明では、一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールが保存手段に保存され、そして、二の利用者の端末から電子メールの閲覧要求があった場合に、保存手段に保存されている二の利用者宛の電子メールの閲覧が、二の利用者の端末に対して許容される。
【0013】また、本発明に係る電子メール仲介サービスシステムは、一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールを保存する保存手段と、前記保存手段に前記二の利用者宛の電子メールが保存されている場合に該二の利用者の端末からの閲覧要求に応答して該二の利用者宛の電子メールの閲覧を該二の利用者の端末に対して許容する閲覧許容手段と、前記二の利用者宛の電子メールに保存不可条件が付加されていた場合に当該二の利用者の端末からの閲覧後に、前記二の利用者宛の電子メールを前記保存手段から消去するメッセージ消去手段とを備えたこととされているものである。
【0014】この発明では、一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールが保存手段に保存され、そして、二の利用者の端末から電子メールの閲覧要求があった場合に、保存手段に保存されている二の利用者宛の電子メールの閲覧が、二の利用者の端末に対して許容される。加えて、その電子メールに保存不可条件が付加されている場合は、二の利用者の端末からの閲覧後に、前記二の利用者宛の電子メールが前記保存手段から消去され、一方、保存不可条件が付加されていない場合は、上記の閲覧後に、前記二の利用者宛の電子メールが前記保存手段から消去されない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0016】<第一の実施の形態>図1は、本発明に係る「電子メール仲介サービスシステム」の一適用例を示すネットワークシステム10の構成を模式的に示した図である。このネットワークシステム10は、インターネット11と、そのインターネット11に接続された無数のコンピュータシステムとにより構成されており、これらのコンピュータシステムは、世界規模に散在し、一部のコンピュータは各種のサービスを有償または無償で提供する「サーバ」として稼動し、他の一部はサーバに対してサービスを要求する「クライアント(または端末ともいう)」として稼動する。ここで、図示のサービスサーバ12及びダウンロードサーバ13は上記の「サーバ」の代表であり、これらのサービスサーバ12及びダウンロードサーバ13は、本発明の電子メール仲介サービスシステム14を構成する。
【0017】インターネット11上のコンピュータシステム同士は、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの所定の通信プロトコルに従って相互に接続できるようになっている。
【0018】インターネット11には、たとえば、携帯電話サービスプロバイダやPHS(Personal Handyphone System)サービスプロバイダなどの無線基地局15が接続されており、上記の「クライアント(または端末)」として機能する携帯電話機16a〜16cは、この無線基地局15を介してインターネット11経由で電子メール仲介サービスシステム14にアクセスすることが可能になっている。
【0019】携帯電話機16a〜16cは、他の携帯電話機や加入電話機との間で音声通話を行うことができるのはもちろんのこと、インターネット11上の各種サーバとの間で上記の所定のプロトコル(たとえば、TCP/IP)を用いたパケット通信を行うことができるもの(たとえば、iモード(R)機能を搭載したもの)であり、さらに、特定のサーバ(上記のダウンロードサーバ13)から所定のプログラム(たとえば、iアプリ(R))をダウンロードし、それを実行できる環境を有するもの(すなわち、iモードとiアプリの両機能を有するもの)である。
【0020】なお、インターネット11は、図では簡略化して示してあるが、その一部に、専用線や電話回線(アナログまたはディジタル)、無線LAN(Local Area Network)、あるいはDSL(Digital Subscriber Line)やCATV(Community Antenna TeleVision)若しくはFTTH(Fiber To The Home)などの通信媒体を含んでいてもよく、さらに、IP接続のためのインターネットサービスプロバイダ(ISP)のアクセスポイントが介在していてもよい。
【0021】図2は、サービスサーバ12及びダウンロードサーバ13に共通のハードウェア構成概念図である。以下、サービスサーバ12を代表にして説明する。サービスサーバ12は、公知のアーキテクチャ(DOS/Vアーキテクチャなど)によって構成された汎用のコンピュータシステムを使用することができる。この場合、サービスサーバ12は、発明の要旨に記載の「閲覧許容手段」、「メッセージ消去手段」として機能するマイクロコントロールユニット(以下「CPU」と略す)20、揮発性情報記憶部(以下「RAM」と略す)21、ディスクコントローラ22、外部記憶装置(一般にハードディスク装置)23、ディスプレイコントローラ24、ディスプレイ装置25、キーボードコントローラ26、キーボード装置27、ポインティングデバイス装置(典型的にはマウス)28、モデム等を含む通信部29、メインバス30、バスインターフェース31および内部バス32などによって構成される。
【0022】サービスサーバ12は、外部記憶装置23にあらかじめインストールされたオペレーティングシステムや各種のアプリケーションプログラム(以下、これらを総称して「ソフトウェアリソース」という。)をRAM21にロードしてCPU20で実行することにより、CPU20などのハードウェアリソースと上記ソフトウェアリソースとの有機的結合によって、本発明の電子メール仲介サービスシステム14に必要な様々な処理機能を実現する。
【0023】図3(a)は、サービスサーバ12のハードウェアリソースとソフトウェアリソースの簡略的な階層モデルを示す図である。この階層モデル30は、OSI(Open Systems Interconnection:開放型システム間相互接続)参照モデルを模したものであり、ハードウェアリソース層31の上に、オペレーティングシステム層32とアプリケーション層33とを積層した構造になっている。
【0024】ハードウェアリソース層31は、CPU20などのハードウェアリソース34(図2の構成)を含み、その上のオペレーティングシステム層32に含まれるオペレーティングシステム35を介して、アプリケーション層33からのハードウェアリソース34の間接的利用を可能する。アプリケーション層33は、少なくとも、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の主要部をなす、データベースプログラム36及びそのデータベースプログラム36に対する処理ルールやユーザインターフェースなどをプログラミングした所定のアプリケーションプログラム37を含み、これらのソフトウェアリソース(オペレーティングシステム35及びデータベースプログラム36並びにアプリケーションプログラム37)とハードウェアリソース34との有機的結合により、本発明の電子メール仲介サービスシステム14を実現する。
【0025】図3(b)は、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の概念図である。この図において、ユーザインターフェース部38及び処理ルール部39は、図3(a)のアプリケーションプログラム37に相当し、データベース部40は、図3(a)のデータベースプログラム36に相当する。
【0026】ユーザインターフェース部38は、インターネット11に接続された各種の端末(携帯電話機16a〜16cなど)からのアクセスを通信部29経由で受け付けたり、それらの端末との間でデータの送受信を行ったりするものであり、処理ルール部39は、それらの送受信データを所定のルールに従って処理することにより、冒頭で説明した一対多のメッセージ告知機能と一対一のメッセージ交換機能(電子メール交換機能)とをインターネット11上に実現するものである。
【0027】ここで、データベース部40は、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の運用に必要な各種の電子データを蓄積保管するものであり、発明の要旨に記載の「保存手段」に相当するものである。図4は、データベース部40の概念構造図である。このデータベース部40は、少なくとも利用者情報部41と私書箱部42とを含み、利用者情報部41には、本発明の電子メール仲介サービスシステム14を利用する各利用者ごとの固有情報が格納され、また、私書箱部42には各利用者ごとの専用のメッセージ格納部(本明細書の全体を通じて「私書箱」という)が設けられる。たとえば、図示の例では、利用者Aについて、その固有情報(特に限定しないが、利用者Aの常用電子メールアドレス“hanako@docomo.co.jp”41aや本発明の電子メール仲介サービスシステム14のみに使用される限定利用電子メールアドレス“hanako@kieru.com”41bなど)が利用者情報部41に格納されており、また、私書箱部42には、その利用者Aの専用の私書箱42aが設けられている。
【0028】なお、図4においては、一人分(利用者A)の常用電子メールアドレス41a、限定利用電子メールアドレス41b及び私書箱42aしか示していないが、これは図示の都合であり、実際には、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の利用認証を受けたすべての利用者の個人情報が格納され、また、すべての利用者の専用の私書箱が設けられていることはもちろんである。
【0029】サービスサーバ12は、任意の利用者から送信されたメッセージを、そのメッセージの相手先の私書箱(たとえば、利用者Aの私書箱42a)に転送保存し、しかる後、利用者Aからのアクセスに応答して、利用者Aの私書箱42aに保存されているメッセージの閲覧を利用者Aに許容する。この場合、“利用者A”は発明の要旨に記載の「二の利用者」に相当し、この利用者Aを宛先にした返信メッセージを送信する上記の“任意の利用者”は、同要旨に記載の「一の利用者」に相当する。
【0030】図5は、携帯電話機16a、16b、16cに共通の外観図、及びそのブロック構成図である。以下、携帯電話機16aを代表にして説明すると、携帯電話機16aは、持ち運びに適した形状を有するボディ50の前面に、受話部(スピーカ)51、液晶ディスプレイ52、キーボード部53、送話部(マイクロフォン)54を設けると共に、ボディ50の上端部にアンテナ55を取り付けて構成されており、また、そのボディ50の内部に、たとえば、最寄りの無線基地局15との間でデータの送受信を行う通信部56と、上記のキーボード部53を含む操作部57と、携帯電話機16aの全体動作を制御し、発明の要旨に記載の「要求手段」、「保存不可条件設定手段」として機能する制御部58と、インターネット11上のサーバ(特にダウンロードサーバ13)から任意にダウンロードしたプログラム(以下「クライアントプログラム」という)やサービスサーバ12からダウンロードしたメッセージなどを保持する記憶部59と、送受話信号と送受話部51、54との間の信号インターフェースをとる電話部60と、上記の液晶ディスプレイ52を含む表示部61とを実装して構成されている。
【0031】先にも説明したとおり、この携帯電話機16a(及び携帯電話機16b、16c)は、他の携帯電話機や加入電話機との間で音声通話を行うことができるのはもちろんのこと、インターネット11上の各種サーバとの間で上記の所定のプロトコル(たとえば、TCP/IP)を用いたパケット通信を行うことができるもの(たとえば、iモード(R)機能を搭載したもの)であり、さらに、特定のサーバ(上記のダウンロードサーバ13)から所定のクライアントプログラムをダウンロードし、それを実行できる環境を有するもの(すなわち、iモードとiアプリの両機能を有するもの)である。
【0032】すなわち、携帯電話機16aのキーボード部53のテンキーボタンを操作して相手側電話機(携帯電話機やPHSまたは一般加入電話機等)の電話番号を入力し、同キーボード部53のオンフックボタンを押すことにより、相手側電話機を呼び出して相互に音声通信を行うことができるうえ、さらに、iモード機能を利用してインターネット11上の任意のWWW(Word Wide Web)サーバ(不図示)にアクセスしてホームページなどのWWWドキュメントを閲覧し、また、インターネット11上の任意のダウンロードサーバ(たとえば、図1のダウンロードサーバ13)にアクセスして所要のクライアントプログラムをダウンロードし、それを記憶部59に保存して制御部58で実行することができるものである。
【0033】図6は、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の利用概念図である。この図において、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の利用者(以下便宜的に利用者Aとする)は、まず、自分の携帯電話機16aから電子メール仲介サービスシステム14(のダウンロードサーバ13)にアクセスし、所要のクライアントプログラム(図では単に“アプリ”と称している)をダウンロードする(ステップS1)。次いで、利用者Aは、ダウンロードしたクライアントプログラムを実行し、電子メール仲介サービスシステム14(のサービスサーバ12)にアクセスする(ステップS2)。
【0034】クライアントプログラムは、サービスサーバ12に対して利用者A宛のメッセージ閲覧を要求する(ステップS3)。正確には、利用者Aの限定利用電子メールアドレス“hanako@kieru.com”41b宛に届けられたメッセージ、すなわち、利用者Aの私書箱42aに届けられたメッセージ閲覧を要求する。
【0035】サービスサーバ12は、データベース部40の私書箱部42を検索して利用者Aの私書箱42aにメッセージが届けられている場合は、そのメッセージの閲覧を許容し、クライアントプログラムは、私書箱42aからメッセージを読み出して携帯電話機16aの液晶ディスプレイ52に表示する(ステップS4)。
【0036】70は携帯電話機16aの液晶ディスプレイ52に表示されたクライアントプログラムの実行画面である。実行直後の画面70には、アイコン71が表示されるようになっており、このアイコン71の種類やアニメーションにより、自分宛のメッセージが私書箱42aに届いているか否かを知ることができるようになっている。メールが届いている場合は、アイコン71をクリックすることにより、そのメッセージを画面70に表示して読む(すなわち、閲覧する)ことができる。
【0037】また、画面70には、終了ボタン72と保存ボタン73が表示されており、終了ボタン72を押すと、クライアントプログラムからサービスサーバ12へ削除コマンドが送信され、サービスサーバ12により、私書箱42a内の既読メッセージが削除されるようになっている(ステップS5)。あるいは、保存ボタン73を押すと、クライアントプログラムからサービスサーバ12へ保存コマンドが送信され、私書箱42a内の既読メッセージが消去されずにそのまま保存されるようになっている(ステップS6)。なお、保存ボタン73を押したときに、上記の保存に加えて、メッセージの転送(たとえば、利用者Aの常用電子メールアドレス“hanako@docomo.co.jp”41a宛)を行うようにしてもよい。
【0038】図7は、サーバサイド処理(サービスサーバ12及びダウンロードサーバ13における処理)とクライアントサイド処理(携帯電話機16a〜16cにおける処理;以下携帯電話機16aの処理で代表する)の各々について、図6の動作を時系列的に示す図である。この図において、まず始めに、サービスサーバ12やダウンロードサーバ13に本発明の電子メール仲介サービスシステム14を導入し(ステップS11)、サービスを開始する(ステップS12)。クライアントサイドでは、まず、携帯電話機16aを用いてダウンロードサーバ13にアクセスし、所要のクライアントプログラム(図では「専用アプリ」または単に「アプリ」と称する)をダウンロードする(ステップS13)。そして、そのプログラムを起動してサービスサーバ12にアクセスし(ステップS14)、または、すでにそのクライアントプログラムを入手済みであれば、そのプログラムを起動した後(ステップS15)、サービスサーバ12にアクセスする(ステップS14)。
【0039】サービスサーバ12では、アクセスしてきた利用者(便宜的に利用者Aとする)の認証(たとえば、IDやパスワードによる認証)を行う(ステップS16)。
【0040】次に、携帯電話機16aからメッセージを書き込む場合は、携帯電話機16aのキーボード部53を用いてメッセージの生成編集を行い、そのメッセージをサービスサーバ12に送信する(ステップS17)。次に、サービスサーバ12に送信したメッセージに対する返信メッセージの有無を判定し(ステップS18)、返信メッセージがあれば、そのメッセージを該当する利用者(返信メッセージの宛先人;便宜的に利用者Aとする)の私書箱42aに格納する(ステップS19)。
【0041】次に、利用者Aが自分宛の返信メッセージを閲覧したい場合は、サービスサーバ12に閲覧要求を出して自分の私書箱42aからメッセージを読み出し、それを携帯電話機16aの液晶ディスプレイ52に表示(ステップS20)した後、終了ボタン72または保存ボタン73を押して一連のサーバサイド処理を終了する。
【0042】終了ボタン72を押した場合は私書箱42a内の既読メッセージが消去される(ステップS21)。または、保存ボタン73を押した場合は(ステップS22)、私書箱42a内の既読メッセージが消去されずにそのまま保存される。
【0043】図8は、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の実際の利用例を示す図である。この図において、利用者A(花子さんとする)が自分の携帯電話機16aを操作して任意内容のメッセージ、たとえば、“はじめまして。メル友が欲しくて書き込みました。東京に住んでいるOLです。良かったらメールください。”という内容の交際希望メッセージを作成し、電子メール仲介サービスシステム14に送信(ステップS31)すると、電子メール仲介サービスシステム14は、その交際希望メッセージ80を掲示板に掲載する。
【0044】掲載された交際希望メッセージ80には、返信ボタン80aが設けられており、たとえば、他の利用者(便宜的に利用者B:太郎さん)が自分の携帯電話機16bでそのメッセージを読み、興味を持った場合は返信ボタン80aを押して、任意内容の返信メッセージ(たとえば、“花子さんへ はじめまして。太郎です。良かったらメル友になりましょう。”)を電子メール仲介サービスシステム14に送信(ステップS32)する。
【0045】電子メール仲介サービスシステム14は、返信メッセージ81を受け取ると、その返信メッセージ81の宛先に対応した私書箱(この場合、宛先は利用者Aであるから、利用者Aの私書箱42a)に転送し格納する(ステップS33)。
【0046】利用者Aの携帯電話機16aで前述のクライアントプログラム(ダウンロードサーバ13からダウンロードしたもの)を実行している間、当該クライアントプログラムは、定期的に電子メール仲介サービスシステム14の自分の私書箱42aにメッセージが届いているか確認する(ステップS34)ようになっており、メッセージが届いている場合は、電子メール仲介サービスシステム14に対して閲覧要求を出し、電子メール仲介サービスシステム14は、その要求に応答して私書箱42a内のメッセージの閲覧許可を出す。
【0047】たとえば、現在、利用者Aの私書箱42aには利用者Bからの返信メッセージ81が届けられているため、電子メール仲介サービスシステム14は、当該返信メッセージ81の閲覧許可を出し、利用者Aは、自分の携帯電話機16aを用いてその返信メッセージ81を読む(閲覧する)ことができる。
【0048】そして、利用者Aは、メッセージを読み終わった後、そのメッセージを保存する必要がなければ、終了ボタン72を押し、一方、保存する必要がある場合は保存ボタン73を押す(ステップS35)。
【0049】したがって、以上の利用例によれば、交際希望メッセージ80や返信メッセージ81の書き込み者(利用者Aや利用者B)の個人情報(常用電子メールアドレスなど)を非公開とすることができ、プライバシーの保護を図ることができる。さらに、任意の利用者宛の返信メッセージをその利用者専用の私書箱に転送すると共に、その利用者の携帯電話機で保存ボタン73が押されない限り、私書箱にメッセージを残さないようにしたので、条件付き(保存ボタン73が押されない限り)ながらも、既読メッセージを消去することができる。その結果、たとえば、一時の感情でつい書いてしまった恥ずかしい内容の電子メール(例:卑猥な言葉を含むもの)が私書箱に残らず、再閲覧を防止できるから、その電子メールの悪用(第三者への転送や公表、強請など)を回避することができる。
【0050】ところで、以上の利用例においては、携帯電話機の液晶ディスプレイ52に表示された「保存ボタン73」を押すことにより、自分の私書箱に届いているメッセージを保存することができる。これは、利便性の点で好ましいものの、上記の悪用のおそれを否めない点で不安が残る。
【0051】図9は、改良された利用例を示す図である。この改良例は要するに、特定利用者宛の返信メッセージ(電子メール)を作成する際に、その返信メッセージに“保存不可条件”を付加できるようにしたものである。ここで、保存不可条件とは、私書箱に届けられた返信メッセージを、その返信メッセージの宛先人の閲覧後に積極的に消去(私書箱から消去)することをいう。保存不可条件が付加されている返信メッセージの再閲覧は一切できない。保存不可条件は必要な場合に任意に設定する。
【0052】図において、今、利用者Bが返信メッセージ90を作成する際に、「保存させないオプション」を選択したものとする(ステップS41)。「保存させないオプション」とは、上記の保存不可条件を付加“する”ことに相当する。
【0053】したがって、この場合は、返信メッセージ90の宛先人である利用者Aが、自分の携帯電話機16aを用いて私書箱42a内の返信メッセージ90を読んだ後、保存ボタン73を押したとしても(ステップS42)、返信メッセージ80に上記の保存不可条件が付加されているため、再閲覧が禁止され(ステップS43)、そのまま私書箱42aから消去される(ステップS44)。その結果、返信メッセージ90の一切の痕跡を消し去ることができ、上述の不具合(メッセージの悪用等)を確実に防止することができる。なお、私書箱からのメッセージ消去は、メッセージの実体そのものの消去を意味するほか、たとえば、メッセージデータの読み出し属性をオフにしたり、または、データベースレコードのロックをオンにしたりするなどの様々なテクニックを意味する。要するに、メッセージの再閲覧を禁止できればよい。
【0054】このように、本発明の電子メール仲介サービスシステム14にあっては、利用者の電子メールアドレス等の個人情報を公開せずに、当該利用者宛のメッセージをその利用者専用の私書箱に転送するので、たとえば、図10に示すように、他人からの嫌がらせメッセージやスパムメールがあったとしても、それらはすべて私書箱に転送され、利用者の携帯電話機に送信されることはない。このため、従来例のように、不要なメッセージや大量のスパムメールが携帯電話機に送り付けられないから、不要なデータで携帯電話機の記憶容量が圧迫されるという不都合を回避できる。また、自分の私書箱に届いたメッセージを携帯電話機で読むことができると共に、読み終えたメッセージを私書箱から消去することができる。加えて、特定の相手に返信メッセージを送る場合は、保存不可条件を付加することができ、その条件が付加されたメッセージを私書箱から自動的に消去することができる。とりわけ、この最後のメリット(私書箱からの自動消去)により、特定相手への返信メッセージの痕跡を完全に消し去ることができ、メッセージの悪用や第三者への転送、若しくは公表などの迷惑行為、または、そのメッセージを利用した強請(ゆすり)などの犯罪行為を確実に防止することができる。
【0055】本発明においては、このようにして、面識のない者同士の間でやり取りされるメッセージ交換の安全性を高め、たとえば、「出会い系サイト」などと称されるものに適用して好適な電子メール仲介サービスシステム14を提供することができるが、本発明は、かかる「出会い系サイト」への適用のみを意図しない。電子メールを仲介するサービスシステムであって、特に、送信相手による電子メールの悪用のおそれが考えられる場合に、送信した電子メールを相手先端末に「保存させないように」することを必要とするあらゆる電子メール仲介サービスシステムに適用することができる。
【0056】なお、以上の説明では、クライアントとして携帯電話機16a〜16cを例にしたが、これに限定されないことはもちろんである。インターネット11経由でサービスサーバ12やダウンロードサーバ13にアクセスできる端末(ただし、ダウンロードサーバ13からダウンロードしたクライアントプログラムを実行できるもの)であればよく、たとえば、パーソナルコンピュータ、または、PDA(Personal Digital Assistance)等の携帯情報端末、その他のインターネット端末であってもよい。また、以上の説明では、ダウンロードサーバ13からダウンロードされるクライアントプログラムを「iアプリ(R)」としているが、これは、iアプリ対応の携帯電話機の普及を考慮したからである。他のスプリクト(たとえば、javaなど)によって開発されたクライアントサイドアプリケーションプログラムであってもよいことはもちろんである。
【0057】本実施の形態の主要な機能は、マイクロコンピュータを含むハードウェア資産と、OSや各種プログラムなどのソフトウェア資産との有機的結合によって機能的に実現されるものであるが、ハードウェア資産およびOSは汎用のものを利用できるから、本発明にとって欠くことのできない必須の事項は、実質的に、サービスサーバ12上で動作するプログラム(その主要部は処理ルール部39に実装されている)及び携帯電話機16a〜16cで動作するクライアントプログラムに集約されているということがいえる。したがって、本発明は、これらのプログラムのすべてまたはその要部を格納した、フロッピー(登録商標)ディスク、MO、CD、ハードディスク、半導体メモリなどの記録媒体(それ自体が流通経路に乗るものはもちろん、ネットワーク上にあって記録内容だけを提供するものも含む)を包含するものである。
【0058】<第二の実施の形態>ところで、今日においては、カメラ付の携帯電話機が普及しており、カメラで撮影した画像(自分の顔写真など)を電子メールに添付して送信することが簡単にできるようになった。このような背景に鑑み、本実施の形態では、画像付き電子メールにも適用できるように前記第一の実施の形態を改良発展させることにする。
【0059】ここで、インターネットメールにバイナリファイルを添付する場合、その電子メールのメッセージボディは「マルチパート」と呼ばれる形式になる。マルチパートとは、メッセージボディが複数のパート(部分)から構成される形式であり、バイナリファイルを添付する場合はメール本文のパートと添付ファイルのパートに分かれる。各パートは7ビットのJIS漢字コード(iso−2022−jpの場合)でエンコードされており、メールクライアントソフトでデコードすることによってメール本文と添付ファイルを復元する。
【0060】このように、インターネット上でやり取りされる電子メールでは、メール本文と添付ファイルを一緒にエンコードして一つのデータにまとめているので、メールクライアントは一回の受信でメール本文と添付ファイルを受け取ることができる。このことは、郵便における「封書」に相当するものとみなすことができる。つまり、封筒の中に写真が入っていることと同じである。
【0061】これに対して、携帯電話機でやり取りされる電子メール(インターネットの電子メールと区別するために「携帯メール」ということにする。)は、ファイル添付の仕組みが異なる。携帯メールでは画像付のメールを送信できるようになっているが、メール本文だけが相手に送信され、画像ファイルはサーバに保存されたままとなる。メール本文には画像ファイルのリンク情報が挿入されるようになっており、携帯メールの受信者はそのリンク情報をクリックするなどして選択し、サーバにアクセスして画像ファイルを閲覧するようになっている。したがって、携帯メールの場合、正しくは画像ファイルは“添付”されない。単に、ファイルの保存先を相手に通知するだけである。ただし、このような携帯メールの特徴(画像ファイルは添付されない)は、代表的な携帯電話サービスについて述べたものである。他のいくつかの携帯電話サービスでは、画像ファイルを添付する携帯メールを採用しているところもある。
【0062】このように、電子メールと携帯メールでは、添付ファイルの仕組みに違いがあるので、画像付き携帯メールにも適用できるように前記第一の実施の形態を改良発展させるには、たとえば、以下のようにする必要がある。
【0063】図11は、第二の実施の形態におけるデータベース部40の概念構造図である。第一の実施の形態との相違は、私書箱部42の構造にある。すなわち、このデータベース部40は、少なくとも利用者情報部41と私書箱部42とを含み、利用者情報部41には、本発明の電子メール仲介サービスシステム14を利用する各利用者ごとの固有情報が格納され、また、私書箱部42には各利用者ごとの私書箱が設けられる。たとえば、図示の例では、利用者Aについて、その固有情報(特に限定しないが、利用者Aの常用電子メールアドレス“hanako@docomo.co.jp”41aや本発明の電子メール仲介サービスシステム14のみに使用される限定利用電子メールアドレス“hanako@kieru.com”41bなど)が利用者情報部41に格納されており、また、私書箱部42には、その利用者Aの専用の二つの私書箱42a、42bが設けられている。一方の私書箱42aはメッセージ(メール本文)を格納するためのもの(以下「メッセージ格納部42a」という。)であり、他方の私書箱42bは画像付きメールの場合にその画像ファイルを格納するためのもの(以下「ファイル格納部42b」という。)である。
【0064】なお、図11においては、一人分(利用者A)の常用電子メールアドレス41a、限定利用電子メールアドレス41b、メッセージ格納部42a及びファイル格納部42bしか示していないが、これは図示の都合であり、実際には、本発明の電子メール仲介サービスシステム14の利用認証を受けたすべての利用者の個人情報が格納され、また、すべての利用者の専用の私書箱(メッセージ格納部42a及びファイル格納部42b)が設けられていることはもちろんである。
【0065】本実施の形態におけるサービスサーバ12は、任意の利用者から送信されたメッセージを、そのメッセージの相手先の私書箱(たとえば、利用者Aのメッセージ格納部42a)に転送保存し、しかる後、利用者Aからのアクセスに応答して、利用者Aのメッセージ格納部42aに保存されているメッセージの閲覧を利用者Aに許容する点で前記の第一の実施の形態と共通し、次の点で前記の第一の実施の形態と相違する。
【0066】すなわち、本実施の形態におけるサービスサーバ12は、任意の利用者から送信されたメッセージに画像ファイルが添付されていた場合は、■その画像ファイルをメッセージの相手先のファイル格納部(たとえば、利用者Aのファイル格納部42b)に転送保存する、■画像保存先のリンク情報(たとえば、利用者Aの私書箱アドレス“hanako@kieru.com”+ファイル名)を生成してメッセージに挿入する、■リンク情報を挿入したメッセージを相手先の私書箱(たとえば、利用者Aのメッセージ格納部42a)に転送保存する、■しかる後、利用者Aからのアクセスに応答して、利用者Aのメッセージ格納部42aに保存されているメッセージの閲覧を利用者Aに許容する、■利用者Aからの画像閲覧要求(リンク情報のクリック等)に応答して、利用者Aのファイル格納部42bに保存されている画像ファイルの閲覧を利用者Aに許容する、点で先の第一の実施の形態と相違する。
【0067】図12は、第二の実施の形態における電子メール仲介サービスシステム14の利用概念図である。この図において、電子メール仲介サービスシステム14の利用者(利用者A)は、まず、自分の携帯電話機16aから電子メール仲介サービスシステム14(のダウンロードサーバ13)にアクセスし、所要のクライアントプログラム(図では単に“アプリ”と称している)をダウンロードする(ステップS1)。次いで、利用者Aは、ダウンロードしたクライアントプログラムを実行し、電子メール仲介サービスシステム14(のサービスサーバ12)にアクセスする(ステップS2)。
【0068】クライアントプログラムは、サービスサーバ12に対して利用者A宛のメッセージ閲覧を要求する(ステップS3)。正確には、利用者Aの限定利用電子メールアドレス“hanako@kieru.com”41b宛に届けられたメッセージ、すなわち、利用者Aのメッセージ格納部42aに届けられたメッセージ閲覧を要求する。
【0069】サービスサーバ12は、データベース部40の私書箱部42を検索して利用者Aのメッセージ格納部42aにメッセージが届けられている場合は、そのメッセージの閲覧を許容し、クライアントプログラムは、メッセージ格納部42aからメッセージを読み出して携帯電話機16aの液晶ディスプレイ52に表示する(ステップS4)。
【0070】70は携帯電話機16aの液晶ディスプレイ52に表示されたクライアントプログラムの実行画面である。実行直後の画面70には、アイコン71が表示されるようになっており、このアイコン71の種類やアニメーションにより、自分宛のメッセージがメッセージ格納部42aに届いているか否かを知ることができるようになっている。メールが届いている場合は、アイコン71をクリックすることにより、そのメッセージを画面70に表示して読む(すなわち、閲覧する)ことができる。
【0071】図13は、第二の実施の形態における画面70の表示状態図である。画面70にはメッセージ格納部42aからダウンロードしたメッセージ(メール本文)74が表示されており、このメッセージ74には画像ファイルへのリンク情報75(図では便宜的に文字列“画像ファイル”とする。)が挿入されている。このリンク情報75をクリックすると、ファイル格納部42bから該当する画像ファイル76がダウンロードされ、画面70に表示されるようになっている。画面70には、終了ボタン72が表示されており、この終了ボタン72を押すと、クライアントプログラムからサービスサーバ12へ削除コマンドが送信され、サービスサーバ12により、メッセージ格納部42a内の既読メッセージやファイル格納部42b内の画像ファイルが削除されるようになっている。
【0072】したがって、この第二の実施の形態によれば、画像付の携帯メールにも適用することができ、前記の第一の実施の形態と同様に、特定相手への返信メッセージ(及び添付画像ファイル)の痕跡を完全に消し去ることができ、メッセージ又は添付画像ファイルの悪用や第三者への転送、若しくは公表などの迷惑行為、または、そのメッセージや添付画像ファイルを利用した強請(ゆすり)などの犯罪行為を確実に防止することができる。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールが保存手段に保存され、そして、二の利用者の端末から電子メールの閲覧要求があった場合に、保存手段に保存されている二の利用者宛の電子メールの閲覧が、二の利用者の端末に対して許容される。すなわち、一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールがシステム側に保存され、二の利用者の端末に転送されない。これにより、嫌がらせメッセージやスパムメール等による端末の記憶容量圧迫を回避できるというメリットが得られる。
【0074】また、本発明では、一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールが保存手段に保存され、そして、二の利用者の端末から電子メールの閲覧要求があった場合に、保存手段に保存されている二の利用者宛の電子メールの閲覧が、二の利用者の端末に対して許容される。加えて、その電子メールに保存不可条件が付加されている場合は、二の利用者の端末からの閲覧後に、前記二の利用者宛の電子メールが前記保存手段から消去され、一方、保存不可条件が付加されていない場合は、上記の閲覧後に、前記二の利用者宛の電子メールが前記保存手段から消去されない。
【0075】したがって、保存不可条件が付加された電子メールについては、再閲覧が禁止されるので、電子メールの悪用や第三者への転送、若しくは公表などの迷惑行為、または、その電子メールを利用した強請(ゆすり)などの犯罪行為を確実に防止することができ、その結果、面識のない者同士の間でやり取りされるメッセージ交換の安全性を高め、たとえば、「出会い系サイト」などに適用して好適な電子メール仲介サービスシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る「電子メール仲介サービスシステム」を適用できるネットワークシステム10の構成を模式的に示した図である。
【図2】サービスサーバ12及びダウンロードサーバ13に共通のハードウェア構成概念図である。
【図3】サービスサーバ12のハードウェアリソースとソフトウェアリソースの簡略的な階層モデルを示す図及び本発明の電子メール仲介サービスシステム14の概念図である。
【図4】データベース部40の概念構造図である。
【図5】携帯電話機16a、16b、16cに共通の外観図及びそのブロック構成図である。
【図6】本発明の電子メール仲介サービスシステム14の利用概念図である。
【図7】サーバサイド処理とクライアントサイド処理の各々について、図6の動作を時系列的に示す図である。
【図8】本発明の電子メール仲介サービスシステム14の実際の利用例を示す図である。
【図9】本発明の電子メール仲介サービスシステム14の改良された利用例を示す図である。
【図10】本発明の電子メール仲介サービスシステム14の効果説明図である。
【図11】第二の実施の形態におけるデータベース部40の概念構造図である。
【図12】第二の実施の形態における電子メール仲介サービスシステム14の利用概念図である。
【図13】第二の実施の形態における画面70の表示状態図である。
【図14】従来の電子メール仲介サービスシステム(出会い系サイトとして用いられるもの)の概念図である。
【符号の説明】
12・・・・サービスサーバ
13・・・・ダウンロードサーバ
14・・・・電子メール仲介サービスシステム
16a〜16c・・・・端末(携帯電話機)
20・・・・CPU(転送手段、閲覧許容手段、メッセージ消去手段)
40・・・・データベース部(保存手段)
58・・・・制御部(要求手段、保存不可条件設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールを保存する保存手段と、前記保存手段に前記二の利用者宛の電子メールが保存されている場合に該二の利用者の端末からの閲覧要求に応答して該二の利用者宛の電子メールの閲覧を該二の利用者の端末に対して許容する閲覧許容手段とを備えたことを特徴とする電子メール仲介サービスシステム。
【請求項2】 請求項1記載の閲覧要求を定期的に出す要求手段を備えることを特徴とする端末。
【請求項3】 請求項2記載の要求手段を実現するためのプログラムを保持し、請求項2記載の端末からのダウンロード要求に応答して当該プログラムを要求元の端末に転送することを特徴とするダウンロードサーバ。
【請求項4】 一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールを保存する保存手段と、前記保存手段に前記二の利用者宛の電子メールが保存されている場合に該二の利用者の端末からの閲覧要求に応答して該二の利用者宛の電子メールの閲覧を該二の利用者の端末に対して許容する閲覧許容手段と、前記二の利用者宛の電子メールに保存不可条件が付加されていた場合に当該二の利用者の端末からの閲覧後に、前記二の利用者宛の電子メールを前記保存手段から消去するメッセージ消去手段とを備えたことを特徴とする電子メール仲介サービスシステム。
【請求項5】 請求項4記載の電子メールを作成する際または該電子メールを送信する際に当該電子メールに保存不可条件を付加するか否かを設定できる保存不可条件設定手段を備えることを特徴とする端末。
【請求項6】 請求項5記載の保存不可条件設定手段を実現するためのプログラムを保持し、請求項5記載の端末からのダウンロード要求に応答して当該プログラムを要求元の端末に転送することを特徴とするダウンロードサーバ。
【請求項7】 請求項2記載の要求手段を実現するためのプログラム。
【請求項8】 請求項5記載の保存不可条件設定手段を実現するためのプログラム。
【請求項9】 請求項2記載の要求手段を実現するためのプログラムを格納した記録媒体。
【請求項10】 請求項5記載の保存不可条件設定手段を実現するためのプログラムを格納した記録媒体。
【請求項11】 一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールに画像ファイルが添付されていた場合にその画像ファイルを保存すると共にその保存先情報をリンク情報として前記電子メールに挿入して保存する保存手段と、前記保存手段に前記二の利用者宛の電子メールが保存されている場合に該二の利用者の端末からの閲覧要求に応答して該二の利用者宛の電子メールの閲覧を該二の利用者の端末に対して許容すると共に該二の利用者の端末からの画像ファイルの閲覧要求に応答して前記画像ファイルの閲覧を許容する閲覧許容手段とを備えたことを特徴とする電子メール仲介サービスシステム。
【請求項12】 一の利用者の端末から送信された二の利用者宛の電子メールに画像ファイルが添付されていた場合にその画像ファイルを保存すると共にその保存先情報をリンク情報として前記電子メールに挿入して保存する保存手段と、前記保存手段に前記二の利用者宛の電子メールが保存されている場合に該二の利用者の端末からの閲覧要求に応答して該二の利用者宛の電子メールの閲覧を該二の利用者の端末に対して許容すると共に該二の利用者の端末からの画像ファイルの閲覧要求に応答して前記画像ファイルの閲覧を許容する閲覧許容手段と、前記二の利用者宛の電子メールに保存不可条件が付加されていた場合に当該二の利用者の端末からの閲覧後に、前記二の利用者宛の電子メール及び前記画像ファイルを前記保存手段から消去するメッセージ消去手段とを備えたことを特徴とする電子メール仲介サービスシステム。
【請求項13】 請求項12記載の電子メールを作成する際または該電子メールを送信する際に当該電子メールに保存不可条件を付加するか否かを設定できる保存不可条件設定手段を備えることを特徴とする端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2003−256343(P2003−256343A)
【公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−374126(P2002−374126)
【出願日】平成14年12月25日(2002.12.25)
【出願人】(300085668)有限会社デンタルサプライ (2)