説明

電子体温計

【課題】製造費用をさらに低減することが可能な電子体温計を得る。
【解決手段】被測定者の体温を測定する電子体温計100は、上記体温を測定する内蔵機器18と、内蔵機器18を内部に形成された空間に配置するハウジング50と、を備え、ハウジング50は、電子体温計100の長手方向に沿って延在する底面部52R、および、底面部52Rの周縁から起立する環状壁部52Uを有するケース体52と、外周部が環状壁部52Uの起立方向における先端側に接合されるシート状部材51と、を含み、シート状部材51がケース体52に接合されることによって、内蔵機器18を配置する上記空間が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子体温計に関する。
【背景技術】
【0002】
体温計は、腋下または舌下等に挟み込まれた状態で被測定者の体温を測定する。下記の特許文献1〜5に開示されるように、さまざまな種類の体温計が知られている。
【0003】
特許文献1は、プローブ部がフィルム状の部材で形成された電子体温計を開示している。特許文献2は、検温部近くの本体くびれ部に、触感部を設けた体温計を開示している。特許文献3は、本体ケースのセンサ部付近に、凹凸からなるすべり止め部を設けた電子体温計を開示している。
【0004】
特許文献4は、サブケースの幅広面に対して各部品の組付方向が垂直一方向であり、内部構成部材が自動組立によりサブケースユニットとして組み付けられる電子体温計を開示している。特許文献5は、温度センサおよび内部部品を筐体の内部に取り付けるために筐体に設けられた開口部が、長手方向に沿って温度センサの配置領域から内部部品の配置領域までを含む領域を開放する大きさで形成されるように分割された電子体温計を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−40636号公報
【特許文献2】実開平1−167635号公報
【特許文献3】実開昭60−104738号公報
【特許文献4】特開平10−48060号公報
【特許文献5】特開2009−300310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1〜3に開示された発明においては、電子体温計の製造費用を低減するという観点については何ら配慮されていない。上記の特許文献4に開示された発明においては、サブケースへの部品の組み付け方向が一方向であり、サブケースが自動化により組み立て可能に構成されている。しかしながら、サーミスタの本体ケースに対する挿入方向は、サブケースの組み付け方向と直交する方向である。電子体温計の全体としての組み付け方向は一方向ではない。特許文献5に開示された発明においては、製造費用の低減という点においてさらなる改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みて為されたものであって、製造費用をさらに低減することが可能な電子体温計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づく電子体温計は、被測定者の体温を測定する電子体温計であって、上記体温を測定する内蔵機器と、上記内蔵機器を内部に形成された空間に配置するハウジングと、を備え、上記ハウジングは、当該電子体温計の長手方向に沿って延在する底面部、および、上記底面部の周縁から起立する環状壁部を有するケース体と、外周部が上記環状壁部の起立方向における先端側に接合されるシート状部材と、を含み、上記シート状部材が上記ケース体に接合されることによって、上記内蔵機器を配置する上記空間が形成される。
【0009】
好ましくは、上記内蔵機器は、上記空間内において上記シート状部材側に固定され、上記内蔵機器と上記ハウジングとの間には隙間が形成される。
【0010】
好ましくは、上記ケース体は、上記内蔵機器を上記シート状部材側に支持する支持部を有する。
【0011】
好ましくは、上記内蔵機器は、当該電子体温計を駆動させて上記体温の測定を開始させるために操作される操作部を含み、上記支持部は、上記操作部を上記シート状部材側に支持する。
【0012】
好ましくは、上記内蔵機器は、上記体温を測定する感温部と上記感温部に一端が接続されたリード線とを有するサーミスタを含み、上記ハウジングには、上記空間内において上記リード線を摺動自在に保持する凹部が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造費用をさらに低減することが可能な電子体温計を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態における電子体温計を分解して示す斜視図である。
【図2】実施の形態における電子体温計の組み立てた状態を示す斜視図である。
【図3】図2中のIII−III線に関する矢視断面図である。
【図4】図2中のIV−IV線に関する矢視断面図である。
【図5】実施の形態における電子体温計の機能ブロックを示す図である。
【図6】実施の形態の第1変形例における電子体温計を示す断面図である。
【図7】実施の形態の第2変形例における電子体温計を示す断面図である。
【図8】実施の形態の第3変形例における電子体温計の分解した状態を示す斜視図である。
【図9】実施の形態の第3変形例における電子体温計を示す断面図である。
【図10】実施の形態の第4変形例における電子体温計の分解した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。特に制限が無い限り、実施の形態に示す構成に示す構成を適宜組み合わせて用いることは、当初から予定されていることである。
【0016】
[実施の形態]
図1から図5を参照して、本実施の形態における電子体温計100について説明する。図1は、電子体温計100の分解された状態を示す斜視図である。図2は、電子体温計100の組み立てられた状態を示す斜視図である。図3は、図2中のIII−III線に関する矢視断面図である。図4は、図2中のIV−IV線に関する矢視断面図である。図5
は、電子体温計100の機能ブロックを示す図である。
【0017】
図1に示すように、電子体温計100は、サーミスタ10、制御基板20、表示部30、操作部36、電源部40、およびハウジング50を備える。図2に示すように、電子体温計100が組み立てられた状態においては、電子体温計100の一端側(先端側)にプローブ部82が形成される。
【0018】
図1を再び参照して、制御基板20、表示部30、操作部36、および電源部40は、平面視矩形状の基板29上にそれぞれ実装される。サーミスタ10、制御基板20、表示部30、操作部36、電源部40、および基板29によって、被測定者の体温を測定する内蔵機器18が構成される。
【0019】
サーミスタ10は、いわゆるラジアルリード型であり、被測定者の体温を計測する感温部11と、一端が感温部11に接続されたリード線12とを含む。リード線12の他端は、制御基板20に接続される。
【0020】
制御基板20は、所定の位置に、制御部(図5における制御部22)、メモリ部(図5におけるメモリ部23)、および報知部(図5における報知部24)を有する。
【0021】
表示部30は、基板29によって制御基板20に電気的に接続される。表示部30は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネル31を有する。表示パネル31に、サーミスタ10によって測定された被験者の体温などが表示される。
【0022】
表示部30と並んで基板29上に配置される操作部36も、基板29によって制御基板20に電気的に接続される。操作部36は、外部から押圧可能に配置された押しボタン38を含む。図1に示すように、押しボタン38はいわゆるフラットスイッチ型に構成されるとよい。
【0023】
電源部40は、ボタン電池42および対向配置された電極端子41を有する。対向配置された電極端子41同士は、樹脂43によって相互に位置決めされる。電極端子41も、基板29によって制御基板20に接続される。ボタン電池42は、電極端子41間に配置され、電極端子41および基板29を通して、制御基板20および制御基板20に接続された表示部30に電力を供給する。
【0024】
電子体温計100においては、電子体温計100(ハウジング50)の長手方向に沿って、サーミスタ10、制御基板20、表示部30、操作部36および電源部40がこの順に並んで配置される。この順序は適宜変更されてもよい。
【0025】
ハウジング50は、シート状部材51およびケース体52を有する。シート状部材51は、たとえば、紙またはポリエチレンフィルムなどからなる基材層と、基材層の下面側に配置されたシーラント層と、基材層の上面側に配置されたPET層(Polyethylene Terephthalate層)とが積層されることによって構成される。
【0026】
シート状部材51の厚さは、たとえば0.1mm〜0.3mmである。PET層の基材層側の面に、所定の銘板37が貼付または印刷されることができる。銘板37は、電子体温計100が組み立てられた状態において、たとえば押しボタン38の押下位置を示す目印として機能することができる。
【0027】
シート状部材51は、裁断などによって製造されることができる。シート状部材51は、サーミスタ10が配置される側(プローブ部82側)に向かって徐々に幅が狭くなるように略テーパー状に構成される。
【0028】
シート状部材51には、表示パネル31を外部から視認するための開口部51Hが設けられる。開口部51H内には、樹脂などから構成される透明保護部材56が配置される。なお、シート状部材51が透明性を有する場合、開口部51Hおよび透明保護部材56は不要である。表示パネル31を外部から視認するための開口部51Hは、次述するケース体52に設けられてもよい。この場合、表示部30の表示パネル31は、ケース体52側に向かって配置される(図1とは表裏反対に示すように配置される)。
【0029】
ケース体52は、たとえばPET、PVC(polyvinyl chloride)、PE(polyethylene)、またはPP(polypropylene)等の熱可塑性を有する部材から、たとえば真空成型によって容器状に構成される。ケース体52の厚さは、たとえば0.5mm〜1.0mmである。
【0030】
図1、図3および図4を参照して、ケース体52は、電子体温計100の長手方向に沿って延在する底面部52S,52R、底面部52S,52Rの周縁から起立する環状壁部52U、および、環状壁部52Uの起立方向の先端に設けられた上端部52Kを有する。本実施の形態における上端部52Kは、環状壁部52Uの起立方向の先端からケース体52の外側に向かってフランジ状に延設され、全体として環状を呈している。
【0031】
底面部52Sは、電子体温計100の一端側(先端側)に位置する。底面部52Rは、底面部52Sに連続し、電子体温計100の他端側(後端側)に位置する。電子体温計100が被測定者の腋下または舌下等に向かって挿入され易いように、底面部52Sは底面部52Rに比べて底浅に形成されている(底上げされている)。
【0032】
底面部52Sの略中央には、電子体温計100の長手方向に沿って凹部52Tが溝状に設けられる。電子体温計100が組み立てられた状態においては、凹部52T内に、サーミスタ10(感温部11およびリード線12)が収容される。この場合、リード線12は凹部52Tの内周面に対して摺動自在であるとよい。
【0033】
ケース体52における環状壁部52Uおよび上端部52Kは、ケース体52に対して内蔵機器18が一方向に収容可能なように、内蔵機器18が収容される側に向かって開口を形成している。
【0034】
電子体温計100が組み立てられる際には、内蔵機器18がケース体52内に収容される。内蔵機器18がシート状部材51に対して接着などの手段によって固定された状態で、内蔵機器18がケース体52内に収容されてもよい。この場合、開口部51Hに設けられた透明保護部材56と表示パネル31とが対向するように、内蔵機器18がシート状部材51に対して取り付けられる(図3参照)。
【0035】
また、操作部36における押しボタン38とシート状部材51(シート状部材51の銘板37が形成された領域)とが対向するように、内蔵機器18がシート状部材51に対して取り付けられる(図4参照)。シート状部材51に内蔵機器18が取り付けられた(貼り付けられた)状態で、シート状部材51の周縁がケース体52の上端部52Kに接合される。
【0036】
当該接合によって、内蔵機器18(サーミスタ10、制御基板20、表示部30、電源部40、および基板29)が略気密状に封止された空間53(図3および図4参照)が形成される。表示部30および操作部36などがシート状部材51側に取り付けられることによって、内蔵機器18(基板29)と底面部52Rとの間には隙間S(図3および図4参照)が形成されるとよい。
【0037】
シート状部材51と上端部52Kとを相互に接合するためには、シート状部材51とケース体52の上端部52Kとが対向するように配置される。この状態で、シート状部材51と上端部52Kとの接触部に超音波が付与される。付与された超音波により、シート状部材51(シーラント層など)が一時的に溶解する。当該溶解によって、シート状部材51がケース体52の上端部52Kに溶着(圧着)される。シート状部材51とケース体52の上端部52Kとは、熱溶着または接着剤などによって接合されてもよい。
【0038】
図5を参照して、上述したように、電子体温計100は、感温部11、制御部22、メモリ部23、報知部24、表示部30、操作部36、および電源部40を、機能ブロックとして含む。制御部22、メモリ部23、および報知部24は、制御基板20に設けられる。操作部36は、制御基板20に設けられてもよい(制御基板20の一部として制御基板20に取り付けられていてもよい)。
【0039】
感温部11は、腋下や舌下などの被測定部位に挟み込まれることで被測定者の体温を検出する。操作部36は、たとえば押しボタン38(図1参照)から構成され、被測定者(または電子体温計100の使用者)による操作を受け付けて、この外部からの命令を制御部22または電源部40に入力する。制御部22は、たとえばCPU(Central Processing Unit)から構成され、電子体温計100の全体を制御する。
【0040】
メモリ部23は、たとえばROM(Read-Only Memory)またはRAM(Random-Access Memory)から構成され、体温測定のための処理手順を制御部22などに実行させるためのプログラムを記憶したり、測定結果などを記憶したりする。報知部24は、たとえばブザーから構成され、測定が終了したことや被測定者の操作を受け付けたことなどを被測定者に知らせる。報知部24は、必要に応じて設けられるとよい。
【0041】
表示部30は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネル31(図1参照)を含み、測定結果などを表示する。電源部40は、たとえばボタン電池42(図1参照)を含み、制御部22に電源としての電力を供給する。
【0042】
制御部22は、体温測定を実行するための処理回路を含んでおり、メモリ部23から読み出されたプログラムに基づいて体温を測定する。その際、制御部22は、感温部11から入力された温度データを処理することで測定結果としての体温を算出する。制御部22は、算出した体温を表示部30に表示させたり、算出した体温をメモリ部23に記憶させたり、測定が終了したことを、報知部24を用いて被測定者に知らせたりするように、電子体温計100を制御する。
【0043】
(作用・効果)
電子体温計100のハウジング50は、シート状部材51およびケース体52から簡素に構成される。シート状部材51は、PET等から構成される極めて薄い部材である。シート状部材51は、その厚さが薄く且つ裁断などによって製造されるため、安価に準備されることができる。ケース体52も、PET等から真空成型などによって構成される極めて薄い部材であるため、安価に準備されることができる。電子体温計100によれば、筐体の全部が成形樹脂から構成される一般的ないわゆるペンシル型の電子体温計に比べて、製造費用を低減することができる。
【0044】
電子体温計100が安価に製造されるため、電子体温計100は、いわゆるディスポーザブルタイプとして使用されるのに適している。ディスポーザブルタイプであれば、たとえば医療現場などにおいて、電子体温計100が使用される毎(若しくは所定の使用回数毎に)に廃棄される。電子体温計100によれば、廃棄毎に発生する使用者側または被測定者側の費用負担も軽減することが可能である。
【0045】
電子体温計100においては、ケース体52における環状壁部52Uおよび上端部52Kが、ケース体52に対して内蔵機器18を一方向に収容可能なように、これらが収容される側に向かって開口を形成している。当該開口に対して、内蔵機器18(またはシート状部材51に取り付けられた内蔵機器18)は、一方向に容易に組み付けられることができる。電子体温計100によれば、組み付け作業の自動化を図ることも可能となり、さらなる製造費用の低減が可能となる。
【0046】
電子体温計100の組み付けの際には、シート状部材51を重力方向の最も下側に配置し、その上に内蔵機器18を接着固定し、さらに、内蔵機器18に被せるようにケース体52をシート状部材51上に載置するようにしてもよい。
【0047】
上述のとおり、リード線12は、空間53内に配置された状態において、凹部52Tの内表面に対して(接着などによって固定されずに)摺動自在であるとよい。この場合、電子体温計100が繰り返し曲げまたはねじれ変形されたとしても、リード線12の長寿命化が図れる。なお、リード線12を収容する凹部52Tとしては、シート状部材51側に設けられてもよい。
【0048】
また、上述のとおり、表示部30および操作部36などがシート状部材51側に取り付けられる場合、内蔵機器18(基板29)と底面部52Rとの間には隙間S(図3および図4参照)が形成される。隙間Sの形成によって、電子体温計100が落下した際における内蔵機器18への衝撃が緩和され、内蔵機器18の故障などが抑制される。
【0049】
[実施の形態の変形例]
(第1変形例)
上述の実施の形態における上端部52Kは、環状壁部52Uの起立方向の先端からケース体52の外側に向かってフランジ状に延設される。
【0050】
図6を参照して、上端部52Kは、環状壁部52Uの起立方向の先端からケース体52の内側に向かって折れ曲がるようにしてフランジ状に延設されていてもよい。当該構成によっても、上述の実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0051】
(第2変形例)
上述の実施の形態における上端部52Kは、環状壁部52Uの起立方向の先端からケース体52の外側に向かってフランジ状に延設される。
【0052】
図7を参照して、たとえば環状壁部52Uの幅が所定の幅以上である場合など比較的厚く形成されている場合には、上端部52Kは、環状壁部52Uの起立方向の先端において平坦な面状に形成されていてもよい。当該構成によっても、上述の実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0053】
(第3変形例)
図8は、本変形例における電子体温計101の分解した状態を示す斜視図である。図9は電子体温計101を示す断面図であり、電子体温計100における図4に対応している。
【0054】
電子体温計101のように、ケース体52の底面部52R上には、内蔵機器18をシート状部材51側に支持する支持部68が凸設されているとよい。支持部68は、複数設けられているとよい。支持部68が複数も受けられる場合、支持部68は内蔵機器18の幅方向に対して左右対称となるように配置されているとよい(図8参照)。支持部68の上端は、電子体温計101が組み立てられた状態において、基板29の下面と当接していてもよく(図9に示す状態)、基板29の下面と若干離れていてもよい。
【0055】
支持部68の配設によって、内蔵機器18がシート状部材51側に貼り付けられる場合において、操作部36などへの押圧によって内蔵機器18がシート状部材51から剥がれ落ちてしまうことが抑制される。
【0056】
また、内蔵機器18がシート状部材51側に貼り付けられていない場合であっても、操作部36(押しボタン38)への押圧に支持部68が対抗し、押しボタン38の操作感が向上する。操作感の向上の観点からは、操作部36が実装されている基板29の裏面側(基板29を挟んで操作部36の反対側)に、より多くの支持部68が配設されているとよい。なお、表示パネル31の表示機能への影響を防ぐためには、表示部30が実装されている基板29の裏面側(基板29を挟んで表示部30の反対側)には、支持部68が設けられていない方が好ましい。
【0057】
(第4変形例)
図10に示す電子体温計102においては、基板29の先端側の裏面を支持する1つの支持部68と、操作部36が実装されている基板29の裏面側(基板29を挟んで操作部36の反対側)に、3つの支持部68が配設される。電子体温計102においては、操作部36が実装されている基板29の裏面側に、他の領域より多くの(または他の領域とは異なる配置構成の)支持部68が設けられている。
【0058】
この3つの支持部68の配設によって、操作部36の裏側に位置するケース体52の表面には3つの窪みが凹設される(図9参照)。電子体温計102によれば、支持部68の形成によって操作部36の裏側に形成されたこの3つの窪みを目印として、被測定者は手探りで操作部36の位置を判別する(探し当てる)ことが可能となる。
【0059】
電子体温計102によれば、たとえば深夜の暗い場所等で使用される場合や、電子体温計102が腋下に挟まれて使用される場合等であっても、操作部36を容易に押圧することが可能となる。制御基板20または電源部40等が誤って押圧されることが抑制されるため、電子体温計102の長寿命化を図ることも可能となる。なお、深夜の暗い場所における電子体温計102の使用を考えた場合、表示パネル31にはいわゆるバックライト機能などが搭載されているとよい。
【0060】
以上、本発明に基づいた実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
10 サーミスタ、11 感温部、12 リード線、18 内蔵機器、20 制御基板、22 制御部、23 メモリ部、24 報知部、29 基板、30 表示部、31 表示パネル、36 操作部、37 銘板、38 押しボタン、40 電源部、41 電極端子、42 ボタン電池、43 樹脂、50 ハウジング、51 シート状部材、51H 開口部、52 ケース体、52K 上端部、52R,52S 底面部、52T 凹部、52U 環状壁部、53 空間、56 透明保護部材、68 支持部、82 プローブ部、100〜102 電子体温計、S 隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の体温を測定する電子体温計であって、
前記体温を測定する内蔵機器と、
前記内蔵機器を内部に形成された空間に配置するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
当該電子体温計の長手方向に沿って延在する底面部、および、前記底面部の周縁から起立する環状壁部を有するケース体と、
外周部が前記環状壁部の起立方向における先端側に接合されるシート状部材と、を含み、
前記シート状部材が前記ケース体に接合されることによって、前記内蔵機器を配置する前記空間が形成される、
電子体温計。
【請求項2】
前記内蔵機器は、前記空間内において前記シート状部材側に固定され、
前記内蔵機器と前記ハウジングとの間には隙間が形成される、
請求項1に記載の電子体温計。
【請求項3】
前記ケース体は、前記内蔵機器を前記シート状部材側に支持する支持部を有する、
請求項1または2に記載の電子体温計。
【請求項4】
前記内蔵機器は、当該電子体温計を駆動させて前記体温の測定を開始させるために操作される操作部を含み、
前記支持部は、前記操作部を前記シート状部材側に支持する、
請求項3に記載の電子体温計。
【請求項5】
前記内蔵機器は、前記体温を測定する感温部と前記感温部に一端が接続されたリード線とを有するサーミスタを含み、
前記ハウジングには、前記空間内において前記リード線を摺動自在に保持する凹部が設けられる、
請求項1から4のいずれかに記載の電子体温計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−150043(P2012−150043A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9755(P2011−9755)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】