説明

電子写真プリント装置

【目的】 定着装置を省略して、転写と定着を兼用化する。小型化とコスト低減をする。
【構成】 感光体4と中間転写体5の双方がベルト状であるカラー電子写真プリンタ等において、ベルト状中間転写体5から記録紙18にトナーを移動させる熱エネルギーをトナーに与える加熱手段を内蔵した一対の転写ローラ8の間にベルト状中間転写体5と記録紙18を挟持し搬送し、前記転写ローラ8が転写工程でトナーを加熱し、粘着力を発生させ、粘着力の差を用いて転写と定着を行い、定着装置を省略して、転写と定着を兼用化した電子写真プリント装置。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は粉体または液体の現像剤を用いる電子写真方式カラープリンタや電子写真方式カラーラスタープロッタにおける定着機構に関する。
【従来の技術】近年、プリンタや、コピー機やプロッターのカラー化が始まっている。カラーでは感光体上または中間転写体上に4色のトナーを重ねる必要がある。しかし、従来は、カラーでもドラム状の感光体または中間転写体を用いていた。
【発明が解決しようとする課題】カラーでは感光体上または中間転写体上に4色のトナーを重ねる必要があり、感光体または中間転写体がドラム形状では、装置が大型化しコスト高となる。また、転写方法に電界または静電気、イオンフローにより、転写を行うと別途、定着手段を必要とし、装置が複雑化、大型化、コスト高になる。
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため、現像剤に含まれるトナーが熱で溶融し、かつ、熱で粘着性を持つ特性の材料を含む物を使用する。又、感光体上に静電潜像を生じさせる光学的露光手段やイオンフローなどの書込手段と、前記静電潜像に現像剤を処理してトナー像を得る現像手段と、前記トナー像を中間転写体に転写する中間転写手段と、前記中間転写体上のトナー像をプリント用シートに転写する転写手段を備え、前記感光体、もしくは前記中間転写体の内、少なくとも中間転写体がベルト状である構成とする。更に、中間転写体からプリント用シートにトナーを移動させる熱エネルギーをトナーに与える加熱手段を転写手段が備える様にする。
【作用】このように構成すると、転写と定着を同一のユニットで行い、別途定着機を設ける必要がなくなる。
【実施例】図1は本発明の第一実施例であり、ベルト状の感光体と中間転写体を備える実施例である。1はレーザー光による露光手段、2は帯電器である。3は現像手段であり4色分の現像器である。すなわち、イエロー(以下Yとする)3−1,マゼンタ(M)3−2,シアン(C)3−3,ブラック(K)3−4から成っている。4はフォトコンダクタを表面に形成したベルト状の感光体である。上記レーザー光による露光手段1、帯電器2及び現像手段3はベルト状感光体4下面の外側に設置されている。5は中間転写手段の主体であるベルト状の中間転写体、7は中間転写手段の構成要素である2個の中間転写ローラでベルト状の感光体4の内側に設置されている。この中間転写ローラ7は図示しない駆動装置によって、ベルト状感光体4をベルト状中間転写体5へ圧接と離脱がなされるようになっている。8は転写手段を構成し記録紙18への転写と定着を行う転写ローラで一対でベルト状の中間転写体5と記録紙18を挟持し、図示しない駆動装置によって回転し搬送される。一対の転写ローラ8は転写と定着動作をしていない時は離間している。この転写ローラ8は図示しないヒータを内蔵し、ベルト状の中間転写体5から記録紙18へトナーの移動させるため本実施例では70℃の熱エネルギーをトナーに与える。転写ローラ8の加熱温度は下限50℃以上、上限140℃以下まで実用可能であることが確認されている。9は記録紙18の動く流れを示す矢印、10−1と10−2はベルトの位置検出センサで、それぞれベルト状感光体4とベルト状中間転写体5の内側に設置されている。11−1,11−2はベルトテンショナー、12−1,12−2はクリーニング機構でそれぞれベルト状感光体4とベルト状中間転写体5の外側に設置されている。図1の動作はベルト位置検出センサ10−1でベルト状の感光体4上の図示しないマーカーを検出し位置出しをしてから、レーザー光による露光手段1で書き込みを行う。現像手段3の各現像器3−1、3−2、3−3、3−4は対応するベルト状の感光体4の色の潜像が通過するとき、図示しない駆動装置で上方に移動し、ベルト状の感光体4と接触しそれぞれ現像を行う。ベルト状の中間転写体5に設置された図示しないマークの位置を位置検出センサ10−2で,1色毎に検出し、各色が正確に重なるような位置で中間転写ローラ7でベルト状の感光体4とベルト状の中間転写体5を圧接させ、中間転写を行う。上記のような転写を4色分繰り返し、ベルト状の中間転写体5に4色のトナーが乗ったところで記録紙18を供給し、一対の転写ローラ8でベルト状の中間転写体5から記録紙18に転写と定着を行う。この時、この転写ローラ8は図示しないヒータを内蔵し、ベルト状の中間転写体5から記録紙18にトナーを移動させる熱エネルギーをトナーに与える。トナーは熱で柔らかくなり、粘着性を持つ。ベルト状の中間転写体5より記録紙18はトナーに対する粘着力が大きく、トナーは記録紙18へ移動する。上記トナーは70℃の熱で溶融する特性の材料をベースに色素を含ませた物である。前記トナーの溶融温度は下限50℃以上、上限140℃以下で実用可能であることが確認されている。なお、本発明に用いるトナーは熱可塑性がある重合体を主材として色素等(有機顔料や染料など)を添加した物であり、主材としてエチレン共重合体やアルキル化重合体等を用いる。本実施例では70℃の融点で説明したが、融点は50℃以上、140℃以下の範囲が本発明に含まれる。この融点は前記重合体のグレードや添加材によって制御し、現像特性と定着特性とトナーの保存条件とから装置固有に決定する。本発明に用いるトナー用途の重合体の具体例としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチル酢酸ビニル共重合体、アインタクチックポリプロピレン、ポリブチルテレフタレート、エチレンエチルアクリルレート、エチレンビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等があり、この樹脂を調合後、特定粒子径に粉砕してトナーとする。転写ローラ8の温度をトナーの融点より高く、かつ、ベルト状の中間転写体5にダメージを与えない温度に設定してあり、トナーは徐々に、融点を越える。すると、トナーは記録紙18に溶着し、定着される。このようにして、転写と定着機能を兼用化する。図2は本発明の第二実施例であり、ドラム状の感光体とベルト状の中間転写体を備える実施例である。17−1はイエロー(以下Yとする),17−2はマゼンタ(M),17−3はシアン(C),17−4はブラック(K)の現像ユニットであり、各現像ユニットは帯電手段とドラム状の感光体と現像手段をそれぞれ備える。5は、中間転写手段の主体であるベルト状の中間転写体で各現像ユニットはベルト状の中間転写体5下面の外側に設置されている。7は中間転写手段の構成要素である中間転写ローラでベルト状の中間転写体5の内側に設置され、各現像ユニットのドラム状感光体にベルト状中間転写体5を図示しない駆動装置によって圧接と離脱がなされるような構造になっている。8は転写手段を構成し記録紙18への転写と定着を行う一対の転写ローラで1個はベルト状の中間転写体5の内側に接しており、転写と定着時には外側の転写ローラ8との間にベルト状中間転写体5と記録紙18を挟持し図示しない駆動装置によって回転し搬送する。終了すると両転写ローラ8は離れる。この転写ローラ8は加熱手段を備え、図示しないヒータを内蔵し、ベルト状の中間転写体5から記録紙18にトナーを移動させる熱エネルギーをトナーに与える。9は記録紙18の動く流れを示す矢印、10−2はベルトの位置検出センサ、11−2はベルトテンショナー、12−2はクリーニング機構で、いずれもベルト状の中間転写体5の外側に設置されている。図2の動作はベルト位置センサ10−2でベルト状の中間転写体5に設定されている図示しないマーカーを検出し各色が正確に重なるように、現像ユニット内の感光体とベルト状の中間転写体5の位置出しをしてから、中間転写ローラ7で現像ユニット内の感光体と中間転写体5を圧接させ、中間転写を行う。上記を4色分繰り返し、ベルト状の中間転写体5に4色のトナーが乗ったところで記録紙18を供給し、一対の転写ローラ8の間でベルト状の中間転写体5から記録紙18に転写と定着を行う。この時、この転写ローラ8は加熱手段として図示しないヒータを内蔵し、ベルト状の中間転写体5から記録紙18にトナーを移動させる熱エネルギーをトナーに与える。トナーは熱で柔らかくなり、粘着性を持つ。ベルト状の中間転写体5より記録紙18はトナーに対する粘着力が大きく、トナーは記録紙18へ移動する。上記トナーは第一実施例と同じ70℃の熱で溶融する特性の材料をベースに色素を含ませた物である。転写ローラ8の温度をトナーの融点より高く、かつ、ベルト状の中間転写体5にダメージを与えない温度に設定してあり、トナーは徐々に、融点を越える。すると、トナーは記録紙18に溶着し、定着される。このようにして、転写と定着機能を兼用化する。上記の本実施例では記録用媒体としては記録紙18を用いたが、OHPシート、不織布等、転写が可能でベルト状の中間転写体5よりトナーに対する粘着力の大きいものであれば材質を選ばない。図3は転写機構を詳細に示す模式図であり、5はベルト状の中間転写体、8はベルト状の中間転写体5の内側に配設された転写ローラ、8−1,8−2は対向する転写ローラ、18は記録紙である。9は記録紙18の動く方向を示す。記録紙18は搬送方向へA点、B点、C点を順次通過する。この時の記録紙18シートとトナーの温度変化を図4R>4に示す。図4はA、B,C各点における記録紙18とトナーの温度変化を示し、T1は装置内温度を示し、外気に依存するが50℃以下の環境であることが必要である。T2はトナーの融点付近であり、トナーの粘着性が強くなる温度を示し70℃である。T3はトナーが溶けて最適な流動性を持つ温度85℃を示す。このように、C点ではトナーが粘性を持った状態で記録紙18とベルト状の中間転写体5を引き剥す。この時、ベルト状の中間転写体5より記録紙18はトナーに対する粘着力が大きく、トナーは記録紙18へ移動する。このようにして、転写と定着を同時に行う。なお、本実施例に使用されるトナーは、50℃〜140℃の熱で溶融する特性の材料を用いることができる。
【発明の効果】以上、本発明によれば次に効果を有する。
(1)ベルト状の中間転写体上で転写と定着を同時に行う事が出来るので装置の簡単化、小型化、低コスト化を行うと同時に信頼性と保守性を向上できる。
(2)ベルトで感光体や中間転写体を構成する事により、ドラムを使う方式より、小型化、低コスト化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト状の感光体と中間転写体を備える本発明の実施例である。
【図2】ドラム状の感光体とベルト状の中間転写体を備える本発明の実施例である。
【図3】転写機構を詳細に示す模式図である。
【図4】転写ローラと記録紙の位置関係とトナーの温度変化を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザー光による露光手段、
2 帯電器
3 現像手段
3−1,3−2,3−3,3−4 現像器
4 ベルト状の感光体
5 ベルト状の中間転写体
7 中間転写ローラ
8 転写ローラ
10−1,10−2 ベルトの位置検出センサ
11−1,11−2 ベルトテンショナー
12−1,12−2 クリーニング機構
17−1,17−2,17−3,17−4 現像ユニット
18 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】 感光体とそれに静電潜像を生じさせる書込手段と、前記静電潜像に現像剤を処理してトナー像を得る現像手段と、中間転写体と前記トナー像を中間転写体に転写する中間転写手段と、前記中間転写体上のトナー像を記録用媒体に転写する転写手段を備え、前記現像剤に含まれるトナーが熱で溶融し、かつ、熱で粘着性を持つ特性の材料を含む物であり、前記感光体と前記中間転写体の双方あるいはそのうち少なくとも中間転写体がベルト状であり、中間転写体から記録用媒体にトナー転写を助ける熱エネルギーを、トナーに与える加熱手段を前記転写手段が備え、前記転写手段が定着手段を兼用している事を特徴とする電子写真プリント装置。
【請求項2】 前記現像剤に含まれるトナーが50℃以上140℃以下の熱で溶融する特性の材料を含む物である事を特徴とする請求項1記載の電子写真プリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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