説明

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

【課題】ゴースト現象が現れにくい電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】電子写真感光体の感光層が、フェノール性水酸基およびカルボニル基を有する化合物とハロゲン化ホウ素との反応生成物であるホウ素錯体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置に用いられる電子写真感光体には、像露光光に対して十分な感度を有することが求められ、従来から、電子写真感光体の感度を高める技術の開発が進められている。特許文献1〜4には、電子写真感光体の感光層にアゾ顔料やフタロシアニン顔料といった高感度な電荷発生物質を用いることによって、電子写真感光体の感度を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−31962号公報
【特許文献2】特開平1−183663号公報
【特許文献3】特開平10−67946号公報
【特許文献4】特開平9−34149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電子写真感光体の感度を高めるほど、発生した電荷(フォトキャリア)が感光層中に残存しやすくなり、一種のメモリーとして電位変動を起こしやすくなる傾向がある。具体的には、連続プリント時に、明部電位や残留電位の低下が生じやすくなる。例えば、暗部電位部分を非現像部とし、明部電位部分を現像部分とする現像プロセス(いわゆる反転現像プロセス)で電子写真感光体を使用した場合、前プリント時に像露光光が当たった箇所の感度が良くなる。そのため、次プリント時に全面白画像を出力すると、前プリント時に像露光光が当たった箇所が黒く浮き出る、いわゆるポジゴースト現象が現れてしまう。逆に、プリント初期には、明部電位の上昇が生じやすくなる。例えば、反転現像プロセスで電子写真感光体を使用した場合、前プリント時に像露光光が当たった箇所の感度が悪くなる。そのため、次プリント時に全面黒画像を出力すると、前プリント時に像露光光が当たった箇所が白く浮き出る、いわゆるネガゴースト現象が現れてしまう。
【0005】
特に、支持体と感光層との間にバリア機能等を持つ中間層を設けた場合、低温低湿環境下では中間層の体積抵抗率が上がるため、電荷が感光層中に残存しやすくなり、ゴースト現象が非常に現れやすくなる。
【0006】
本発明の目的は、ゴースト現象が現れにくい電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、フェノール性水酸基およびカルボニル基を有する化合物とハロゲン化ホウ素との反応生成物であるホウ素錯体を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0008】
また、本発明は、上記の電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、該電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成するための現像手段、および、トナー像が転写された後に該電子写真感光体の表面のトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0009】
また、本発明は、上記の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、帯電された該電子写真感光体の表面に像露光光を照射して該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成するための像露光手段、該電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成するための現像手段、および、該電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴースト現象が現れにくい電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に用いられるホウ素錯体は、フェノール性水酸基およびカルボニル基を有する化合物とハロゲン化ホウ素との反応生成物である。フェノール性水酸基とは、ベンゼン環に結合した水酸基である。また、ハロゲン化ホウ素とは、BX(式中、3つのXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を示す。)で示される化合物である。
【0013】
上記ホウ素錯体は、下記構造式(ps)で示される部分構造を有する化合物であることが好ましい。
【化1】

上記構造式(ps)中、xおよびxは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を示す。
【0014】
上記構造式(ps)で示される部分構造は、上記ホウ素錯体の原料であるフェノール性水酸基およびカルボニル基を有する化合物中のフェノール性水酸基およびカルボニル基と、同じく原料であるハロゲン化ホウ素中のホウ素原子とで生成される部分構造である。
【0015】
上記構造式(ps)中のxおよびxのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。
【0016】
また、上記ハロゲン化ホウ素は、三フッ化ホウ素(BF)であることが好ましい。
【0017】
また、上記ホウ素錯体は、ゴースト現象をより抑制する観点から、下記一般式(1)〜(5)のいずれかで示される化合物であることが好ましい。
【化2】

【0018】
上記一般式(1)〜(5)中、R〜R30は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、または、トリル基を示す。あるいは、R〜R30は、R〜R30中の他の隣接する基と共同して、−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成してもよい。
【0019】
上記一般式(1)〜(5)中のR〜R30のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、これらの中でも、臭素原子が好ましい。また、上記一般式(1)〜(5)中のR〜R30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。また、上記一般式(1)〜(5)中のR〜R30のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、これらの中でも、メトキシ基が好ましい。
【0020】
また、上記一般式(1)〜(5)中のR〜R30が、R〜R30中の他の隣接する基と共同して−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成した場合の化合物の具体例としては、後述の例示化合物(3)、(7)、(8)、(10)、(12)、(23)、(31)が挙げられる。例示化合物(3)は、上記一般式(1)で示される化合物に該当し、上記一般式(1)中のRが隣接するRと共同して−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成している。その結果、RおよびRが共同して形成している−CH=CH−CH=CH−と、上記一般式(1)中のRが結合している炭素原子およびRが結合している炭素原子とで、ベンゼン環を形成している。例示化合物(7)、(8)および(31)は、上記一般式(2)で示される化合物に該当し、上記一般式(2)中のRが隣接するRと共同して−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成している。その結果、RおよびRが共同して形成している−CH=CH−CH=CH−と、上記一般式(2)中のRが結合している炭素原子およびRが結合している炭素原子とで、ベンゼン環を形成している。例示化合物(10)は、上記一般式(3)で示される化合物に該当し、上記一般式(3)中のR13が隣接するR14と共同して−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成している。その結果、R13およびR14が共同して形成している−CH=CH−CH=CH−と、上記一般式(3)中のR13が結合している炭素原子およびR14が結合している炭素原子とで、ベンゼン環を形成している。例示化合物(12)も、上記一般式(3)で示される化合物に該当し、上記一般式(3)中のR13が隣接するR14と共同して−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成している。その結果、R13およびR14が共同して形成している−CH=CH−CH=CH−と、上記一般式(3)中のR13が結合している炭素原子およびR14が結合している炭素原子とで、ベンゼン環を形成している。さらに、例示化合物(12)では、上記一般式(3)中のR15も隣接するR16と共同して−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成している。その結果、R15およびR16が共同して形成している−CH=CH−CH=CH−と、上記一般式(3)中のR15が結合している炭素原子およびR16が結合している炭素原子とで、ベンゼン環を形成している。例示化合物(23)は、上記一般式(1)で示される化合物に該当し、上記一般式(1)中のRが隣接するRと共同して−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成している。その結果、RおよびRが共同して形成している−CH=CH−CH=CH−と、上記一般式(1)中のRが結合している炭素原子およびRが結合している炭素原子とで、ベンゼン環を形成している。以上のように、「隣接」とは、各R(R〜R30)が結合している当該一般式中の炭素原子同士が隣接している(直接結合している)ことを意味する。
【0021】
上記化合物の中でも、ゴースト現象をさらに抑制する観点から、上記一般式(1)で示される化合物が好ましく、その中でも、上記一般式(1)中のRがフェニル基であるものがより好ましい。
【0022】
表1〜4に、本発明に用いられるホウ素錯体の具体例(例示化合物)を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
以下に、本発明に用いられるホウ素錯体の合成法を示す。
上記ホウ素錯体は、フェノール性水酸基およびカルボニル基を有する化合物とハロゲン化ホウ素との反応で合成することができる。具体的には、Heteroatom Chemistry,Vol.6,No.5,p397−401,(1995)にしたがって、フェノール性水酸基およびカルボニル基を有する化合物を「ボロントリフルオリド−エチルエーテル コンプレックス」で処理することにより合成することができる。
【0028】
以下に示す「%」および「部」は、それぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。また、質量分析は、サーモエレクトロン(株)製:TraceDSQ−MASS SPECTROMETER(商品名)を用いて行った。また、IR(赤外分光法)の測定は、日本分光(株)製:FT/IR−420(商品名)を用いて行った。また、NMR(核磁気共鳴スペクトル)の測定は、日本電子(株)製:EX−400(商品名)を用いて行った。
【0029】
〔合成例1〕例示化合物(4)の合成
窒素雰囲気下、3径フラスコに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン5.0部およびクロロホルム(アミレン添加品)100部を入れ、室温下で2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンを溶解させた。これに47%三フッ化ホウ素エーテラート4.0部を注加した後、5時間リフラックスを行った。次に、室温まで冷却した後、これにn−ヘキサン100部を加え、析出した結晶を濾取し、濾過器上において結晶をn−ヘキサンで洗浄した後、30℃で減圧乾燥を行い、淡黄色結晶の例示化合物(4)を5.2部得た。
【0030】
以下に、質量分析値、IRスペクトルより得られた特徴的なピークおよびNMRのデータを示す。
MS(Direct Probe):262.02
Calculated Exact Mass:262.06
IR(cm−1,KBr):3399,1617,1399,1026,858,701
H−NMR(ppm,CDCL3,40℃):δ=
7.83(d,2H,J=7.32Hz)
7.73(t,1H)
7.63−7.57(m,3H)
6.60(s,1H)
6.59(d,1H)
1.82(brs、1H)
【0031】
〔合成例2〕例示化合物(5)の合成
窒素雰囲気下、3径フラスコに2−ヒドロキシベンゾフェノン2.0部およびクロロホルム(アミレン添加品)20部を入れ、室温下で2−ヒドロキシベンゾフェノンを溶解させた。これに三フッ化ホウ素エーテラート2.2部を注加した後、13時間撹拌を行った。次に、溶媒を留去し、析出した結晶をn−ヘキサン300部で分散洗浄を行った後、結晶を濾取し、さらに濾過器上において結晶をn−ヘキサンで洗浄した後、30℃で減圧乾燥を行い、淡黄色結晶の例示化合物(5)を2.5部得た。
【0032】
以下に、質量分析値、IRスペクトルより得られた特徴的なピークおよびNMRのデータを示す。
MS(Direct Prove):246.04
Calculated Exact Mass:246.07
IR(cm−1,KBr):1617,1560,1519,1473,1385,1068,699
H−NMR(ppm,CDCL3,40℃):δ=
7.90(d,2H,J=7.57Hz)
7.85−7.78(m,2H)
7.73(dd,1H)
7.62(t,2H)
7.20(d,1H,J=8.79Hz)
7.07(t,1H)
【0033】
〔合成例3〕例示化合物(11)の合成
窒素雰囲気下、3径フラスコに1,5−ジヒドロキシアントラキノン2.4部およびクロロホルム(アミレン添加品)350部を入れ、その中に三フッ化ホウ素エーテラート 4.3部を注加した後、20時間リフラックスを行った。結晶を濾取し、濾過器上において結晶をクロロホルム(アミレン添加品)で洗浄した後、30℃で減圧乾燥を行い、こげ茶色結晶の例示化合物(11)を3.0部得た。
【0034】
以下に、質量分析値、IRスペクトルより得られた特徴的なピークおよびNMRのデータを示す。
MS(Direct Prove):336.01
Calculated Exact Mass:336.04
IR(cm−1,KBr):1599,1527,1491,1441,1295,1028,709
H−NMR(ppm,CDCL3,40℃):δ=
7.85(d,2H,J=7.57Hz)
7.69(t,2H)
7.32(d,2H,J=8.55Hz)
【0035】
本発明の電子写真感光体の上記ホウ素錯体を含有する感光層には、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料またはアゾ顔料を含有させることが、電子写真感光体の感度を高める観点から好ましく、それらの中でも、フタロシアニン顔料がより好ましい。
【0036】
フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、軸配位子を有してもよい金属フタロシアニンなどいかなるフタロシアニン顔料でも使用することができる。また、フタロシアニン顔料は、置換基を有するものであってもよい。また、フタロシアニン顔料の中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニンおよびガリウムフタロシアニンは、高感度な電荷発生物質である一方で、ゴースト現象も発生しやすいので、本発明が特に有効に作用する。
【0037】
また、フタロシアニン顔料は、いかなる結晶形のものであってもよいが、それらの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.2°±0.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.3°にピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.2°にピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶が好ましい。それらの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.2°±0.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。さらにそれらの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°にピークを有し、かつ28.1°のピークが最も強いピークである結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶がより好ましい。
【0038】
本発明の電子写真感光体は、上述のとおり、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体である。
【0039】
感光層は、上記ホウ素錯体、電荷発生物質および電荷輸送物質を単一の層に含有させてなる単層型感光層と、上記ホウ素錯体および電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層に大別される。これらの中でも、積層型感光層が好ましい。また、電荷発生層と電荷輸送層の積層関係に関しては、電荷発生層が支持体側であることがより好ましい。
【0040】
支持体は、導電性を有するもの(導電性支持体)であればよく、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属製の支持体や、表面に導電性被膜が設けられた金属、プラスチック、紙製の支持体などが挙げられる。また、支持体の形状としては、例えば、円筒状、フィルム状などが挙げられる。
【0041】
支持体と感光層の間には、バリア機能や接着機能を持つ中間層を設けることもできる。中間層は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド、にかわ、ゼラチンなどを溶剤に溶解させることによって調製された中間層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
中間層の膜厚は、0.2〜3.0μmであることが好ましい。
【0042】
また、支持体と中間層との間には、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞防止を目的とした導電層を設けることもできる。
導電層は、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物粒子などの導電性粒子を結着樹脂および溶剤とともに分散処理することによって調製された導電層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
導電層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0043】
支持体(導電層、中間層)上には、感光層が設けられる。
【0044】
感光層が単層型感光層である場合、単層型感光層は、上記ホウ素錯体、電荷発生物質および電荷輸送物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理することによって調製された単層型感光層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0045】
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層は、上記ホウ素錯体および電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理することによって調製された電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0046】
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させることによって調製された電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0047】
電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリルメタン化合物などが挙げられる。これらの中でも、上記ホウ素錯体と組み合わせる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物が好ましい。
【0048】
上記各層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルベンザールなどが挙げられる。これらの中でも、上記ホウ素錯体を分散させる樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザールが好ましい。
【0049】
感光層が単層型感光層である場合、単層型感光層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0050】
感光層が積層型感光層である場合は、電荷発生層の膜厚は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることがより好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0051】
感光層が単層型感光層である場合、単層型感光層における上記ホウ素錯体の含有量は、単層型感光層全質量に対して0.00001〜1質量%であることが好ましい。また、単層型感光層における電荷発生物質の含有量は、単層型感光層全質量に対して3〜30質量%であることが好ましい。また、単層型感光層における電荷輸送物質の含有量は、単層型感光層全質量に対して30〜70質量%であることが好ましい。
【0052】
感光層が積層型感光層である場合、上記ホウ素錯体は電荷発生層に含有させることが好ましく、電荷発生層における上記ホウ素錯体の含有量は、電荷発生層全質量に対して0.0001〜20質量%であることが好ましく、0.001〜10質量%であることがより好ましい。また、電荷発生層における電荷発生物質の含有量は、電荷発生層全質量に対して30〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。また、電荷輸送層における電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層全質量に対して20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
【0053】
いずれの場合においても、感光層(感光層が積層型感光層である場合は電荷発生層)における上記ホウ素錯体の含有量は、感光層(電荷発生層)中の電荷発生物質に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがより一層好ましい。
【0054】
感光層上には、感光層を保護することを目的として、保護層を設けてもよい。
【0055】
保護層は、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZ、変性ポリカーボネートなど)、ナイロン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂を溶剤に溶解させることによって調製された保護層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、保護層用塗布液を塗布した後、加熱、電子線、紫外線などによってこれを硬化させることによっても保護層を形成することができる。
保護層の膜厚は、0.05〜20μmであることが好ましい。
【0056】
また、保護層には、導電性粒子や紫外線吸収剤やフッ素原子含有樹脂粒子などの潤滑性粒子などを含有させてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ粒子などの金属酸化物粒子が挙げられる。
【0057】
上記各層の塗布方法としては、浸漬塗布法(ディッピング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法およびビームコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0058】
上記ホウ素錯体の結晶形は、非晶質であっても結晶質であってもよく、上記ホウ素錯体を2種類以上組み合わせて用いることも可能である。
【0059】
図1は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成図である。
【0060】
図1において、1はドラム形状(円筒状)の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面(周面)は、回転過程において、帯電手段3により正または負の所定電位に帯電される。次いで、電子写真感光体1の表面には、像露光手段(不図示)から出力された像露光光4が照射される。像露光光としては、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などによる、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。このようにして、電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。
【0061】
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。次に、電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により転写材7に転写されていく。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。なお、転写材7は、電子写真感光体1の回転と同期して給紙部(不図示)から取り出され、電子写真感光体1と転写手段6との間に給送される。
【0062】
トナー像の転写を受けた転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて像定着手段8へ搬送される。像定着手段8では、転写材7上のトナー像の定着処理が行われ、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
【0063】
トナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーなどの付着物が除去されて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも開発され、転写残りトナーを直接、現像器などで回収することもできる。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0064】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などから選択される構成要素のうち、複数のものを容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。例えば、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも1つの手段とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0065】
像露光光4は、電子写真装置が複写機である場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
【実施例】
【0066】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の実施の形態は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「%」および「部」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。また、実施例および比較例中の膜厚は、渦電流式膜厚計(商品名:Fischerscope、フィッシャーインスツルメント社製)を用いて、または、単位面積当たりの質量からの比重換算によって求めた。
【0067】
〔実施例1〕
直径30mm×長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを、支持体(円筒状の導電性支持体)として用いた。
【0068】
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量:3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置に入れ、2時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの導電層を形成した。
【0069】
次に、6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体5部をメタノール70部/ブタノール25部の混合溶剤に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを乾燥させることによって、膜厚が1μmの中間層を形成した。
【0070】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部と、例示化合物(4)0.2部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、および、シクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置に入れ、1時間分散処理し、これに酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0071】
次に、下記構造式(ctm−1)で示される化合物(電荷輸送物質)10部、
【化3】

および、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン70部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを1時間110℃の温度で乾燥させることによって、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成した。
【0072】
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層が形成されてなる、ドラム形状(円筒状)の実施例1の電子写真感光体を作製した。
【0073】
〔実施例2〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際の例示化合物(4)の使用量を0.2部から0.05部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の電子写真感光体を作製した。
【0074】
〔実施例3〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際の例示化合物(4)の使用量を0.2部から0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の電子写真感光体を作製した。
【0075】
〔実施例4〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際の例示化合物(4)の使用量を0.2部から1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の電子写真感光体を作製した。
【0076】
〔実施例5〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)を例示化合物(5)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5の電子写真感光体を作製した。
【0077】
〔実施例6〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)を例示化合物(7)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の電子写真感光体を作製した。
【0078】
〔実施例7〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)を例示化合物(10)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7の電子写真感光体を作製した。
【0079】
〔実施例8〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)を例示化合物(11)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8の電子写真感光体を作製した。
【0080】
〔実施例9〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)を例示化合物(9)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例9の電子写真感光体を作製した。
【0081】
〔実施例10〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)を例示化合物(13)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例10の電子写真感光体を作製した。
【0082】
〔実施例11〕
実施例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層および電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(ctm−1)で示される化合物(電荷輸送物質)10部、
【化4】

および、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−400、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン100部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを30分間150℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、実施例11の電子写真感光体を得た。
【0083】
〔実施例12〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用したCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°にピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例12の電子写真感光体を作製した。
【0084】
〔比較例1〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に例示化合物(4)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の電子写真感光体を作製した。
【0085】
〔比較例2〕
実施例12において、電荷発生層用塗布液の調製の際に例示化合物(4)を使用しなかった以外は、実施例12と同様にして比較例2の電子写真感光体を作製した。
【0086】
〔比較例3〕
実施例12において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)0.2部を下記構造式で示されるビスアゾ顔料3部に変更した以外は、実施例12と同様に比較例3の電子写真感光体を作製した。
【化5】

【0087】
〔比較例4〕
実施例1において、電荷発生層用塗布液の調製の際に使用した例示化合物(4)を下記構造式で示されるホウ素錯体に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例4の電子写真感光体を作製した。
【化6】

【0088】
〔実施例1〜12および比較例1〜4の電子写真感光体の評価〕
実施例1〜12および比較例1〜4の電子写真感光体について、明部電位測定およびゴースト画像評価を行った。測定および評価結果を表5に示す。なお、常温常湿環境下における評価と低温低湿環境下における評価を行うため、実施例1〜12および比較例1〜4の電子写真感光体は2つずつ用意した。
【0089】
評価機としては、反転現像方式のレーザービームプリンター(商品名:レーザージェット4000、ヒューレットパッカード社製)を使用した。
【0090】
・常温常湿環境下における評価
各電子写真感光体について、まず、常温常湿環境(23℃/55%RH)下での初期の明部電位の測定およびゴースト画像評価を行った。次に、同環境下で1000枚の通紙耐久試験を行い、通紙耐久試験直後および15時間後での明部電位測定およびゴースト画像評価を行った。
【0091】
・低温低湿環境下における評価
まず、各電子写真感光体を、評価機とともに低温低湿環境(15℃/10%RH)下で3日間放置した後、初期の明部電位の測定およびゴースト画像の評価を行った。次に、同環境下で1000枚の通紙耐久試験を行い、通紙耐久試験直後および15時間後での明部電位測定およびゴースト画像評価を行った。明部電位の測定は、表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して行った。
上記通紙耐久試験は、1分間4枚プリントの間欠モードで行い、通紙耐久試験のパターンは、0.5mm幅の線を縦10mmおきに印字するモードとした。
ゴースト画像評価の方法は、以下のようにした。
ゴースト画像評価用のサンプルとしては、5mm角の黒四角パターンをドラム形状の電子写真感光体1周分任意の数だけプリントし、その後引き続き紙面の余白に、全面ハーフトーン画像(1ドット1スペースのドット密度の画像)および全面白画像をプリントしたものを用いた。また、ゴースト画像評価用のサンプルは、機械の現像ボリューム、F5(中心値)とF9(濃度薄い)で各々サンプリングした。評価は目視で行い、ゴーストの程度で下記のようにランク付けした。
ランク1:いずれのプリントでもゴーストは見えない。
ランク2:特定のプリント(全面ハーフトーン画像)でゴーストがうっすら見える。
ランク3:いずれのプリントでもゴーストがうっすら見える。
ランク4:いずれのプリントでもゴーストが見える。
ランク5:いずれのプリントでもゴーストがはっきり見える。
【0092】
【表5】

【符号の説明】
【0093】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
12 案内手段
11 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が、フェノール性水酸基およびカルボニル基を有する化合物とハロゲン化ホウ素との反応生成物であるホウ素錯体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記ハロゲン化ホウ素が、三フッ化ホウ素である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記ホウ素錯体が、下記構造式(ps)で示される部分構造を有する化合物である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【化1】

(構造式(ps)中、xおよびxは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を示す。)
【請求項4】
前記ホウ素錯体が、下記一般式(1)〜(5)のいずれかで示される化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
【化2】

(一般式(1)〜(5)中、R〜R30は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、または、トリル基を示す。あるいは、R〜R30は、R〜R30中の他の隣接する基と共同して、−CH=CH−CH=CH−で示される2価の基を形成してもよい。)
【請求項5】
前記ホウ素錯体が上記一般式(1)で示される化合物であり、上記一般式(1)中のRがフェニル基である請求項4に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記感光層が、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
前記電荷発生層における前記ホウ素錯体の含有量が、前記フタロシアニン顔料に対して0.5〜5質量%である請求項6に記載の電子写真感光体。
【請求項8】
前記感光層が、前記ホウ素錯体および電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、該電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成するための現像手段、および、トナー像が転写された後に該電子写真感光体の表面のトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段、帯電された該電子写真感光体の表面に像露光光を照射して該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成するための像露光手段、該電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成するための現像手段、および、該電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−65143(P2011−65143A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174522(P2010−174522)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】