説明

電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】高温高湿環境あるいは低温低湿環境においても実用上十分な電気的特性を有し、かつ繰り返し使用しても電気的特性の変動が小さく、長寿命で信頼性の高い電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成装置、並びにプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】導電性支持体上に、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して成る電子写真感光体において、電荷輸送層が特定構造のスチリル系電荷輸送物質を含有し、電荷輸送物質がジフェニルアミン誘導体とスチルベン誘導体とを反応させて得られるものであって、電荷輸送物質を液体クロマトグラフィーで測定した時の保持時間が4.4分以上4.6分以下の化合物が、電荷輸送物質に対して20ppm以上200ppm未満含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関し、更に詳しくは電子写真方式の画像形成方法に用いられる電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真用の感光体として有機光導電性物質を含有する有機感光体が広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料を開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いことなどが無機系の感光体に対して有利な点である。
【0003】
一方、電子写真感光体(以下感光体とも言う)は帯電、露光、現像、転写、クリーニング等により、電気的あるいは機械的な外力を直接受けているため、繰り返し使用するに従い、帯電特性や感度特性などの電気特性の劣化や感光層の摩耗による画像不良などが起きやすく、画像形成が繰り返し行われても帯安定性、電位保持性、画像特性など安定して維持する電気的、機械的耐久性の向上が求められている。
【0004】
一般的に電子写真感光体は、繰り返し使用することにより、電気的特性の変動、即ち帯電電位、感度、残留電位等の変動の問題を抱えている。特に感光体を繰り返し長期的に使用するために、感光体表面の耐摩耗性の向上など機械的耐久性向上技術については、感光層表面に耐摩耗性の高い保護層を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、感光体周辺プロセス側からの低摩耗化技術が検討されている(例えば特許文献3参照)。このように、感光体表面の低摩耗化技術により、感光体の機械的寿命が向上するに従い、これまで以上に繰り返し使用による感光体の電気的特性の安定化が望まれている。
【0005】
感光体の電気的特性の安定化に対しては、感光体を構成する電荷発生層に含有される電荷発生物質や電荷輸送層に含有される電荷輸送物質について、繰り返し安定性の優れた電気特性を有する化合物が提案されている。(例えば、特許文献4、5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−279967号公報
【特許文献2】特開2005−115353号公報
【特許文献3】特開2000−206722号公報
【特許文献4】特開平9−43877号公報
【特許文献5】特開2004−117423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、電子写真方式の画像形成装置は、プロダクションプリント分野への利用が急拡大しており、電子写真感光体には更なる高耐久化、高画質化が要請されている。そのためこれら従来技術では十分満足出来る高耐久、高画質の電子写真感光体を得ることが出来ず、電子写真感光体にはなお一層の高耐久、高画質化技術が望まれている。さらに写真画像にも対応可能な高画質かつ高耐久性という市場の要請に応えるためには、電気的特性の変動が極めて少ないことが要求される。
【0008】
本発明は上記課題を解決するために成されたもので、通常の常温常湿環境だけでなく、高温高湿環境あるいは低温低湿環境においても実用上十分な電気的特性を有し、かつ繰り返し使用しても電気的特性の変動が小さく、長寿命で信頼性の高い電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成装置、並びにプロセスカートリッジを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は下記の構成とすることによって解決される。
1.
導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して成る電子写真感光体において、該電荷輸送層が下記一般式(1)で表される電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質が、ジフェニルアミン誘導体とスチルベン誘導体とを反応させて得られるものであって、該電荷輸送物質を液体クロマトグラフィーで測定した時の保持時間が4.4分以上4.6分以下の化合物を、該電荷輸送物質に対して20ppm以上200ppm未満含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1個から4個のアルキル基、炭素原子数1個から4個のアルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基を表し、Rは水素原子、置換基を有しても良いアリール基を表し、Arは、置換基を有しても良いアリール基を表す。)
2.
前記電荷発生層が少なくともチタニルフタロシアニンと(2R、3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S、3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体を含有することを特徴とする前記1に記載の電子写真感光体。
3.
電子写真感光体の周辺に、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段を有し、繰り返し画像形成を行う画像形成装置において、該電子写真感光体が前記1または前記2のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
4.
前記3に記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジが、少なくとも前記1または前記2のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、像露光手段、現像手段の少なくとも1つを一体として有しており、該画像形成装置に出し入れ可能に構成されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記構成とすることによって、通常の常温常湿環境だけでなく、高温高湿環境あるいは低温低湿環境においても実用上十分な電気的特性を有し、かつ繰り返し使用しても電気的特性の変動が小さく、長寿命で信頼性の高い電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成装置、並びにプロセスカートリッジを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の画像形成装置の機能が組み込まれた概略図である。
【図2】本発明の感光体が組み込まれたプロセスカートリッジの一例を表す概略図である。
【図3】2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルで、(1)ブラッグ角2θ(±0.2°)9.5°に特徴的なピークを有する(9.5°型)と、(2)8.3°に特徴的なピークを有する(8.3°型)フタロシアニン(CG−1)のスペクトル図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者等は前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して成る電子写真感光体において、該電荷輸送層が下記一般式(1)で表される電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質が、ジフェニルアミン誘導体とスチルベン誘導体とを反応させて得られるものであって、該電荷輸送物質を液体クロマトグラフィーで測定した時の保持時間(リテンションタイム)が4.4分以上4.6分以下の化合物(以下副生成物ともいう)を、該電荷輸送物質に対して20ppm以上200ppm未満含有する電子写真感光体とすることによって、感光体の電位安定性や環境依存性に有効であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1個から4個のアルキル基、炭素原子数1個から4個のアルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、を表し、Rは水素原子、置換基を有しても良いアリール基を表し、Arは、置換基を有しても良いアリール基を表す。)
本発明は電荷輸送層中に上記一般式(1)で表される電荷輸送物質を含有し、かつ電荷輸送物質中に、液体クロマトグラフィーで分析した時に保持時間が、4.4分以上4.6分以下の化合物が電荷輸送物質に対して20ppm以上200ppm未満含有することを特徴としており、この電荷輸送物質を用いることによって繰り返し使用しても電気的特性の変動が少なく長寿命で信頼性の高い電子写真感光体を得ることができる。本発明において、電荷輸送物質中に液体クロマトグラフィーで分析した時の保持時間が4.4分以上4.6分以下の化合物とは、一般式(1)で表される化合物を後述する合成方法によって合成した時に副生成物として得られるもので、一般式(1)で表される化合物の結晶中に含まれるものである。
【0017】
本発明において、電荷輸送物質中に液体クロマトグラフィーで分析した時の保持時間が4.4分以上4.6分以下の化合物は、その存在が微量であるため、構造の特定はできていないが、この化合物を特定の割合で含有する電荷輸送物質を用いた電子写真感光体の電気的特性が安定している理由は以下のように考えられる。
【0018】
即ち、液体クロマトグラフィーの保持時間が4.4分以上4.6分以下の化合物とは、電荷輸送物質を合成する過程で副生成物として生成するもので、前記一般式(1)で表される電荷輸送物質と相互作用を生じてトラップサイトを補償し、電位安定性に寄与しているものと推察している。
【0019】
(液体クロマトグラフィー測定)
本発明における液体クロマトグラフィーにおける保持時間が4.4分以上4.6分以下の化合物とは以下の条件で測定されたものである。
【0020】
〔液体クロマトグラフィーの測定条件〕
カラム:CLC−SIL 内径6.0mm、長さ150mm
温度:40℃
流速:1.0ml/min
移動相:ノルマルヘキサン/1,4−ジオキサン=10/1
検液:電荷輸送物質/移動相=3mg/10ml
検出波長290nm
〔測定装置〕
高速液体クロマトグラフ 「Lachrom Elite(L−2000シリーズ)」((株)日立ハイテクノロジーズ社製)
ここで、上記保持時間を有する化合物の量は、上記測定で得られたチャートにおける4.4分以上4.6分以下のピークの面積全体(エリア%)をCTMの溶出リテンションタイムのピーク面積(エリア%)で割った面積比から算出することが出来る。
【0021】
(電荷輸送物質の合成方法)
前記一般式(1)で表される本発明の電荷輸送物質は、以下の合成ルートで合成されるものである。
【0022】
(合成ルート)
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を表し、好ましくはヨウ素原子である。R、R、R及びArは一般式(1)と同じ基を表す。)
一般式(1)で表される本発明の電荷輸送物質は公知の方法、ジフェニルアミン誘導体とスチルベン誘導体との反応によって合成することが出来る。
【0025】
反応式(1)は、p−ハロゲン化ベンズアルデヒド(A)とホスホン酸ジエチル(B)との反応により、スチルベン誘導体(C)を得るものである。
【0026】
反応にはナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルコキシドを共存させ、例えば、トルエン、キシレン、イソブチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジメチルホルムアミドなどの不活性な溶媒を用いて、60〜150℃で反応を行うことにより、効率良く目的物を得ることが出来る。
【0027】
反応式(2)は、このスチルベン誘導体(C)とジフェニルアミン誘導体(D)とを銅触媒の存在下で、Ullmann反応によりカップリング反応を行う。また、この反応において、パラジウムなどの遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応によって効率よく反応を行うことも出来る。
【0028】
カップリング反応に遷移金属錯体触媒を用いる場合、遷移金属錯体触媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等の4価のパラジウム化合物、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価のパラジウム化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価のパラジウム化合物が挙げられる。その他、ビス(ジベンジリデンアセトン)−ビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム(II)、ジクロロ−ビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム(II)、2価のパラジウム塩をトリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンと反応させて生成するパラジウムのゼロ価錯体、あるいは特開2002−187894号公報に開示されているパラジウム触媒なども好適に使用できる。パラジウム錯体触媒は、基質のハロゲンに対して0.05〜5モル%程度でよい。
【0029】
このUllmann反応やクロスカップリング反応については、例えば、特開平9−258465号公報、特開2001−316336号公報、特許第3161360号公報に詳しく紹介されている。
【0030】
得られた電荷輸送物質は、精製を複数回繰り返すことにより本願の範囲の化合物含有量にすることができる。具体的には、例えばシリカ粒子吸着、再結晶処理、減圧蒸留、昇華精製のいずれかを組み合わせる事により達成できる。特に昇華精製、或いは減圧蒸留を組み合せることが好ましい。
【0031】
(電荷輸送物質)
前記一般式(1)で表される本発明に有効な電荷輸送物質としては、例えば以下の化合物を例示することが出来る。
【0032】
【化4】

【0033】
【化5】

【0034】
【化6】

【0035】
【化7】

【0036】
【化8】

【0037】
《感光体の構成》
〔層構成〕
本発明の感光体は、導電性支持体の上に、感光層、必要に応じて保護層を形成してなるものである。感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、保護層を含めた具体的な層構成として、たとえば以下に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層、及び、保護層を順次積層した層構成(2)導電性支持体上に、電荷輸送材料と電荷発生材料とを含有する単層、及び、保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、及び、保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送材料と電荷発生材料とを含有する単層、及び、保護層を順次積層した層構成
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)いずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層を順次設けて作製された層構成のものが特に好ましい。
【0038】
次に、本発明の感光体を構成する導電性支持体、中間層、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)について、及び、感光層を構成する部材について説明する。
【0039】
〔導電性支持体〕
本発明で用いられる支持体は、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
【0040】
〔中間層〕
本発明では、導電性支持体と感光層の中間にバリア機能と接着機能を有する中間層を設けることができる。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等のバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて浸漬塗布等により形成させることができる。前記バインダー樹脂の中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
【0041】
また、中間層には抵抗調整の目的で各種導電性微粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物粒子。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。これら金属酸化物粒子を1種類もしくは2種類以上混合して用いることができる。2種類以上混合して用いる場合には、固溶体または融着の形態をとってもよい。この様な金属酸化物粒子は、数平均一次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。
【0042】
中間層の形成に使用可能な溶媒としては、前述した導電性微粒子や金属酸化物粒子等の無機微粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。また、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して以下の様な助溶剤を併用することができる。好ましい効果が得られる助溶媒としては、たとえば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0043】
塗布液形成時のバインダー樹脂濃度は、中間層の膜厚や塗布方式に合わせて適宜選択することができる。また、無機微粒子等を分散させたとき、バインダー樹脂に対する無機微粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機微粒子を20〜400質量部とすることが好ましく、50〜200質量部とすることがより好ましい。無機微粒子の分散手段は、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、及び、ホモミキサー等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0044】
また、中間層の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜選択することができ、特に熱乾燥が好ましい。中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
【0045】
〔感光層〕
前述した様に、本発明の感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に付与した単層構造の他に、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。この様に、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御し易いメリットがある。負帯電性感光体は中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層(CTL)、その上に電荷発生層(CGL)を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体である。
【0046】
以下に、感光層の具体例として機能分離型の負帯電感光体の感光層の各層について説明する。
【0047】
〔電荷発生層〕
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有するもので、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものが好ましい。電荷発生物質は、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、フタロシアニン顔料等があり、これらに限定されるものではない。本発明においては、以下に述べる2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いることが好ましい。これらの電荷発生物質は単独もしくは公知のバインダー樹脂中に分散させる形態で使用することができる。
【0048】
〔2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料〕
本発明に用いられる電荷発生物質としては、チタニルフタロシアニンと、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの少なくともいずれかとの付加体を含有する顔料(以下、簡単に「2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料」という)が好ましい。この2,3−ブタンジール付加体チタニルフタロシアニン顔料は、Y型チタニルフタロシアニンに劣らぬ高感度であり、繰り返し電位安定性が高く、かつ感度の湿度依存性がない電子写真感光体を提供することが出来る。
【0049】
本発明の感光体に効果を発揮する2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料は、下記化学反応式で示すようにして合成される。
【0050】
【化9】

【0051】
本発明の2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料は、そのブタンジオール付加比率の違いにより2種の結晶型を有する。
【0052】
チタニルフタロシアニンと、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの少なくともいずれか(以下、ブタンジオールともいう)を過剰に反応させると、X線回折スペクトルで、ブラッグ角2θ(±0.2°):9.5°に特徴的なピークを有する(以下、9.5°型と略)図2(1)に示す顔料が得られる。該9.5型のブタンジオール付加チタニルフタロシアニン原顔料は9.5以外にも16.4°、19.1°、24.7°、26.5°にピークがみられる。
【0053】
該顔料の構造はIRスペクトルで970cm−1付近のTi=O吸収が消失し、630cm−1付近にO−Ti−Oの吸収が現れること、熱分析(TG)で390〜410℃に約11%の質量減少があること(熱分解によるブチレンオキシドの脱離のためと考えられる)、及び質量分析の結果から、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールが、1/1で脱水縮合した構造と考えられている。
【0054】
一方、チタニルフタロシアニン1モルに対し、ブタンジオール化合物を1モル以下で反応させると、粉末X線回折スペクトルで、ブラッグ角2θ:8.3°(±0.2°)に特徴的なピーク有する(以下、8.3°型と略)、図2(2)に示す顔料が得られる。該8.3°型のブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料は8.3°以外にも24.7°、25.1°、26.5°にピークがみられる。該顔料は、IRスペクトルで970cm−1付近にTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また、熱分析で390〜410℃にて質量減少が11%未満あること、及び質量分析の結果から、ブタンジオール/チタニルフタロシアニン=1/1付加体とチタニルフタロシアニンとが、ある割合で混晶(単に、1つの顔料粒子中に2つ以上の化合物が混在するという意味)を形成していると推測している。ブタンジオール付加比率は、熱分析における390〜410℃の質量減少から、40〜70モル%と推測される。
【0055】
尚、X線回折スペクトルにおいて前記特徴的なピークとは、バックグランドのバラツキを超える明確に異なるピークを言う。
【0056】
本発明においては、良好な感度、繰り返し電位安定性が得られる点で、前記顔料が、X線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)の8.3°に特徴的なピークを有することがより好ましい。
【0057】
〔2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料の作製方法〕
本発明のチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの少なくともいずれかとの付加体を含有する顔料は、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオール(以後、ブタンジオール化合物ということがある)とを各種溶媒中で室温あるいは加熱下で反応させことで合成することができる。原料であるチタニルフタロシアニンは、フタロニトリルと四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリルと尿素とアルコキシチタンから得る合成法等通常知られている何れの合成法も用いることが出来るが、特にはジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得られる塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが好ましい。またチタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理等の方法により無定形化してからブタンジオール化合物と反応させるものが好ましい。無定型チタニルフタロシアニンとブタンジオール化合物との付加反応には、通常5〜30倍の溶媒が使用される。溶媒には特に制限はなくクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロルナフタレン、キノリンなどの芳香族溶媒からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、さらにはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、その他ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒など多数を挙げることができる。
【0058】
チタニルフタロシアニンとブタンジオール化合物との反応は下記に示すが、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、BET比表面積が20m/g以上の顔料を合成するためには、30〜100℃の範囲であることがより好ましい。
【0059】
ブタンジオール化合物はチタニルフタロシアニン1モルに対して通常0.2〜2.0モルの割合で添加される。等モルの付加体であるためには、ジオール化合物を前記割合で1.0モル以上使用することが必要である。ジオール化合物を前記割合で1.0モル以下の添加量の場合には、得られた付加体はチタニルフタロシアニンとの混晶となる。本発明の分散吸収を満たすかぎり混晶も本発明の範囲にはいる。
【0060】
さらに、チタニルフタロシアニンとブタンジオール化合物との反応物を水の存在下、溶媒中で処理することが好ましい。水処理を行うにより、熱的に安定な状態のジオール付加比率を有する2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する混晶顔料を安定的に得ることができる。
【0061】
〔電荷発生層のバインダー樹脂〕
電荷発生層を形成するバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0063】
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、50〜500部がより好ましい。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
【0066】
〔電荷輸送層〕
本発明で形成される電荷輸送層は、少なくとも層内に電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有するものであり、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
【0067】
本発明の感光体においては、前述の一般式(1)で表される電荷輸送物質が用いられるが、他の電荷輸送物質を混合して用いることも出来る。本発明の感光体に混合使用出来る電荷輸送物質としては、公知の化合物を用いることが可能で、たとえば、以下の様なものが挙げられる。すなわち、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられる。
【0068】
また、電荷輸送層用のバインダー樹脂は公知の樹脂を用いることが可能で、たとえば、以下の様なものがある。すなわち、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリカーボネート樹脂が好ましく、さらに、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等のタイプのポリカーボネート樹脂が耐クラック性、耐磨耗性、帯電特性の視点から好ましいものである。
【0069】
電荷輸送層は塗布法に代表される公知の方法で形成することが可能であり、たとえば、塗布法では、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を一定の膜厚で塗布後、乾燥処理することにより所望の電荷輸送層を形成することができる。
【0070】
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。なお、電荷輸送層形成用の塗布液を作製する際に使用する溶媒は上記のものに限定されるものではない。
【0071】
バインダー樹脂と電荷輸送物質の混合比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10〜500質量部とすることが好ましく、20〜100質量部とすることがより好ましい。
【0072】
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、及び、これらの混合比等により異なるが、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0073】
電荷輸送層中には、公知の酸化防止剤を添加することが可能で、例えば特開2000−305291号公報記載の酸化防止剤が使用できる。
【0074】
〔保護層〕
保護層は本発明に係わる無機微粒子とバインダー樹脂を含有する。その他の物質として必要に応じて、電荷輸送物質、酸化防止剤、分散剤等を含有しても良い。
【0075】
保護層のバインダー樹脂としては、耐摩耗性を有する樹脂が好ましく、具体的には、無機微粒子の分散性、分散後の安定性においても優れているケイ素原子を含有する樹脂、フッ素原子を含有する樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びシロキサン樹脂を挙げることができる。
【0076】
無機微粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子から選択されてなるものを挙げることができる。これらの中ではシリカ粒子、アルミナ粒子が好ましい。更に、これら無機微粒子は分散性向上と電子写真特性の安定性からシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。
【0077】
表面処理剤の具体例としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で、あるいは混合して使用しても良い。
【0078】
その様な有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び、1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種或は2種以上の混合物で用いられる。
【0079】
保護層に占める無機微粒子の割合は、保護層全体の1.0質量部以上50質量部以下が好ましい。特に好ましくは、5.0質量部以上30質量部以下である。
【0080】
〔感光体の塗布方法〕
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層等の各層は公知の塗布方法により形成することができる。具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、円形量規制型塗布法等が挙げられる。
【0081】
円形量規制型塗布方法については、特開昭58−189061号公報に記載されている。
【0082】
(画像形成装置)
図1に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0083】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台11上に載置された原稿は原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読み取り位置13aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
【0084】
一方、プラテンガラス13上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプおよび第1ミラーから成る第1ミラーユニット15の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラーおよび第3ミラーから成る第2ミラーユニット16の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0085】
読み取られた画像は、投影レンズ17を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルター処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリーに記憶される。
【0086】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体21と、その外周に、該感光体21を帯電させる帯電手段(帯電工程)22、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)23、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体21のクリーニング装置(クリーニング工程)26および光除電手段(光除電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)27が各々動作順に配置されている。また、現像手段23の下流側には感光体21上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体21には、本発明の電子写真感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
【0087】
回転する感光体21へは帯電手段22による一様帯電がなされた後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリーから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体21に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体21の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い静電潜像を形成する。
【0088】
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、発振波長が350〜500nmの半導体レーザー又は発光ダイオードを像露光光源として用いる露光手段を有する。これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜50μmに絞り込み、電子写真感光体上にデジタル露光を行うことにより、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2500dpiの高解像度の電子写真画像を得ることができる。
【0089】
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を言う。
【0090】
用いられる光ビームとしては半導体レーザーを用いた走査光学系およびLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布およびローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
【0091】
本発明の画像形成装置においては、静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段を有する。感光体21上の静電潜像は現像手段23によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。
【0092】
本発明の画像形成方法では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明に係わる電子写真感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0093】
転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写紙Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46および進入ガイド板47に案内され、感光体21上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極24および分離極25によって転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送されながら転写紙Pに転写され、該転写紙Pは感光体21面より分離し、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。
【0094】
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
【0095】
以上は転写紙の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は排紙切換部材170が切り替わり、転写紙案内部177が開放され、転写紙Pは破線矢印の方向に搬送される。
【0096】
更に、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送され、転写紙反転部179によりスイッチバックさせられ、転写紙Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
【0097】
転写紙Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写紙Pを再給紙し、転写紙Pを搬送路40に案内する。
【0098】
再び、上述したように感光体21方向に転写紙Pを搬送し、転写紙Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
【0099】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、およびクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0100】
(プロセスカートリッジ)
図2は画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。本発明におけるプロセスカートリッジとは、電子写真用有機感光体101と、帯電手段102、像露光手段103、現像手段104の少なくとも1つを一体として有しており、画像形成装置に出し入れ可能に構成された画像形成装置用のユニットである。
【実施例】
【0101】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の実施の態様はこれらに限定されない。
【0102】
<合成例1>
(電荷輸送物質:CTM−3の合成)
(α−フェニルスチルベン誘導体の合成:反応式(1))
p−ヨードベンズアルデヒド23.2g(0.1mol)と1,1−ジフェニルメチルホスホン酸ジエチル30.4g(0.1mol)とをN,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶解し、ナトリウムメトキサイド10gを加え、室温で5時間反応させた後、1時間100℃で反応させた。放冷後、水、エタノール1:1の混合溶媒1リットルに注ぎ結晶を析出させた。結晶を濾取し、エタノールで洗浄した後、トルエン、エタノール混合溶媒から再結晶した。α−フェニルスチルベン誘導体の収量は23.1g(収率60.5%)であった。
【0103】
(CTM−3の合成:反応式(2))
上記反応で得られたα−フェニルスチルベン誘導体19.1g(0.05mol)と4,4′−ジメチルジフェニルアミン12.9g(0.065mol)とをo−キシレン100mlに溶解し、パラジウム触媒として、ビス(ジベンジリデンアセトン)−ビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム(II)を3.5g添加し、更にナトリウムtert−ブトキサイド9.6g(0.1mol)とo−キシレン50mlを添加した。これらの混合液を内温130℃で4時間攪拌しながら反応した。50℃まで放冷し、活性白土、テトラヒドロフラン、水を加えてさらに1時間攪拌した。濾過後濾液を水、メタノール1:1の混合溶液に注ぎ、結晶を析出させた。これをトルエン、ヘキサン混合溶媒に溶解し、シリカゲルB型(富士シリシア社製)を加えて1時間攪拌後濾過した。濾液を濃縮、乾固し、得られた固形分を50℃で24時間減圧乾燥してCTM−3の粗結晶を得た。得られた粗結晶は、酢酸エチルで再結晶を行い、CTM−3の試料1を得た。この試料1について、更に酢酸エチルで再結晶を繰り返し、純度の異なるCTM−3(試料2〜6)を作製した。
【0104】
(副生物の測定)
得られたCTM−3の試料1について、について、以下のようにして副生物の量を測定した。
【0105】
高速液体クロマトグラフ「Lachrom Elite L−2000((株)日立ハイテクノロジーズ製)」を用い、カラムはCLC−SIL(径6.0mmφ、長さ150mm)を用いた。カラム温度は40℃に設定した。
【0106】
試料3mgを正確に秤量し、ノルマルヘキサン、1,4−ジオキサン10:1の混合溶液10mlに溶解した。この試料溶液をマイクロシリンジにて10ml注入し、移動相として同じく、ノルマルヘキサン、1,4−ジオキサン10:1の混合溶媒を使用した。
【0107】
ここで、目的物の含有量をA、副生物の含有量をBとし、記録紙上で保持時間4.4分から4.6分に記録されたチャートから、副生物の含有量を定量した。Bの含有割合B/Aは220.7ppmであった。これを試料1とした。同じく、試料2〜6について測定した。結果を表1に示した。
【0108】
<合成例2>
(スチルベン誘導体の合成)
p−ヨードベンズアルデヒド23.2g(0.1mol)と1−(p−メチルフェニル)メチルホスホン酸ジエチル24.1g(0.1mol)とをN,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶解し、ナトリウムメトキサイド10gを加え、室温で5時間反応させた後、1時間100℃で反応させた。放冷後、水、エタノール1:1の混合溶媒1リットルに注ぎ結晶を析出させた。結晶を濾取し、エタノールで洗浄した後、トルエン、エタノール混合溶媒から再結晶した。スチルベン誘導体の収量は22.2g(収率69.4%)であった。
【0109】
(電荷輸送物質:CTM−1の合成)
上記スチルベン誘導体を用い、以下の合成方法によりCTM−1を合成した。
【0110】
上記反応で得られたスチルベン誘導体16.0g(0.05mol)とp−トリルフェニルアミン11.9g(0.065mol)とをo−キシレン100mlに溶解し、パラジウム触媒として、ビス(ジベンジリデンアセトン)−ビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム(II)を3.5g添加し、更にナトリウムtert−ブトキサイド9.6g(0.1mol)とo−キシレン50mlを添加した。これらの混合液を内温130℃で4時間攪拌しながら反応した。50℃まで放冷し、活性白土、テトラヒドロフラン、水を加えてさらに1時間攪拌した。濾過後濾液を水、メタノール1:1の混合溶液に注ぎ、結晶を析出させた。これをトルエン、ヘキサン混合溶媒に溶解し、シリカゲルB型(富士シリシア社製)を加えて1時間攪拌後濾過した。濾液を濃縮、乾固し、得られた固形分を50℃で24時間減圧乾燥してCTM−1の粗結晶を得た。
【0111】
次いで上記粗結晶5質量部をパイレックス(登録商標)製のガラスチューブに投入する。このガラスチューブを、チューブの長さに沿って約110℃〜約20℃の温度勾配(長さが1mで、約110℃〜約20℃の温度勾配をつけることが可能)を付与する構造の炉の中に配置する。ガラスチューブ内を約1×10−2Paに減圧して、この状態で精製すべき試料2を有するガラスチューブが置かれた位置を約110℃に加熱した。生成した蒸気をガラスチューブの低温側に移動させて凝縮を行う。約50〜40℃の間の領域で凝縮させた化合物を収集した。これを試料7とした。
【0112】
得られたCTM−1(試料7)をCTM−3と同様に高速液体クロマトグラフで測定したところ、保持時間4.4分から4.6分に記録された化合物は40.1ppmであった。
【0113】
<合成例3>
(電荷発生物質:Y型チタニルフタロシアニンの合成例)
ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を合成し、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得た。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロロベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニンを得た。Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するY型チタニルフタロシン顔料であることを確認した。
【0114】
<合成例4>
(無定型チタニルフタロシアニンの合成)
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロロベンゼン200mlに分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥後、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250ml中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5リットルに注いだ。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225gを得た。ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥して無定型チタニルフタロシアニン24.8g(収率86%)を得た。
【0115】
(電荷発生物質:(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン(CG−1)の合成)
前述の無定型チタニルフタロシアニン10.0gと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール1.30g(0.83当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトジクロロベンゼン(ODB)200ml中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液に水100mlを加え、60〜70℃で6.0時間加熱撹拌し加水分解反応を行った(加水分解工程)。該加水分解反応後、反応液を放冷し、メタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図3(2)に示す。8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体(前記化1で示した脱水縮合構造)と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混晶と推定される。
≪感光体の作製例≫
下記の様にして感光体を作製した。
【0116】
<感光体1の作製>
(導電性支持体)
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体を用意した。
【0117】
(中間層)
下記組成の中間層塗布液を作製した。
【0118】
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ株式会社製) 10質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 11質量部
エタノール 200質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
【0119】
上記塗布液を用いて前記支持体上に、110℃で20分乾燥後の膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
【0120】
(電荷発生層)
電荷発生物質:Y−チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシン顔料) 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂(BL−S:積水化学社製) 10質量部
メチルエチルケトン 700質量部
シクロヘキサノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて15時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0121】
(電荷輸送層)
電荷輸送物質:CTM−3(試料4) 180質量部
バインダー:ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 300質量部
酸化防止剤(Irganox1010:BASFジャパン社製)
9質量部
トルエン/テトラヒドロフラン(1/9体積%) 2000質量部
シリコーンオイル(KF−96:信越化学社製) 1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法を用いて、115℃で60分乾燥後膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。これを感光体1とした。
【0122】
<感光体2〜8の作製>
表1に示した電荷発生物質と電荷輸送物質を用いた他は感光体1と同様にして感光体2から感光体8を作製した。感光体1から感光体6は本発明の感光体、感光体7と感光体8は比較用の感光体とした。
【0123】
【表1】

【0124】
≪評価≫
以上のようにして得た感光体1〜8をデジタル複写機「bizhub920改造機(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」(スコロトロン帯電器、半導体レーザ像露光器(波長780nm)、反転現像手段を有するA4紙85枚/分)に搭載し、画像出力試験を行った。評価は、基本的に画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて5万枚の複写を行い、画像出力試験後の露光部、未露光部の感光体表面電位を評価した。評価結果を表2に示す。
【0125】
(評価条件)
感光体のラインスピード:420mm/秒
像露光工程から現像工程までの移動時間:0.108秒
帯電条件;
帯電器:スコロトロン帯電器(負帯電)
帯電電位:スコロトロン帯電器のグリット電圧を変化により、−500V〜−1000Vに帯電電位を変化させた。
【0126】
露光条件;780nmの半導体レーザによる像露光
露光ビーム:半導体レーザで、ドット密度600dpiの像露光を行った。
【0127】
現像条件;現像剤は、体積平均粒径6.5μmのトナーと樹脂コートキャリアの2成分現像剤を使用した。
【0128】
転写条件;静電転写
クリーニング条件;クリーニングブレードを使用
光除電条件;赤色のLED光による光除電を行った。
【0129】
(評価項目及び評価方法)
高温高湿(20℃、50%RH)環境下(HH)及び低温低湿(10℃、15%RH)環境下(LL)での感光体電位のダイナミックレンジの評価
前記5万枚の複写後、グリット電圧を−800Vに設定し、現像部の現像器に代えて表面電位測定器を設置し、未露光部電位(べた白部)Vと露光部電位(べた黒部)Vを測定し、|V−V|の大きさ(未露光部と露光部の電位差)を評価した。
【0130】
◎;|V−V|が700V以上で、感光体の単位膜厚当たりの電界強度が非常に高い(良好)
○;|V−V|が650V以上、700V未満で、感光体の単位膜厚当たりの電界強度が十分にある(実用上問題なし)
×;|V−V|が650V未満で、感光体の単位膜厚当たりの電界強度が低い(実用上問題有り)
【0131】
【表2】

【0132】
表2の結果から明らかなように、本発明の感光体1〜6は全ての環境において、優れた繰り返し電位安定性を示したのに対して、比較用の感光体7、8は何れかの環境において電位安定性が劣っている。
【符号の説明】
【0133】
21 感光体
22 帯電手段
23 現像手段
27 PCL(プレチャージランプ)
30 像露光手段
31 ポリゴンミラー
34 fθレンズ
35 シリンドリカルレンズ
45 転写搬送ベルト装置
101 電子写真感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
107 クリーニングブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して成る電子写真感光体において、該電荷輸送層が下記一般式(1)で表される電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質が、ジフェニルアミン誘導体とスチルベン誘導体とを反応させて得られるものであって、該電荷輸送物質を液体クロマトグラフィーで測定した時の保持時間が4.4分以上4.6分以下の化合物を、該電荷輸送物質に対して20ppm以上200ppm未満含有することを特徴とする電子写真感光体。
【化1】

(式中、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1個から4個のアルキル基、炭素原子数1個から4個のアルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基を表し、Rは水素原子、置換基を有しても良いアリール基を表し、Arは、置換基を有しても良いアリール基を表す。)
【請求項2】
前記電荷発生層が少なくともチタニルフタロシアニンと(2R、3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S、3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
電子写真感光体の周辺に、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段を有し、繰り返し画像形成を行う画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1または請求項2のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジが、少なくとも請求項1または請求項2のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、像露光手段、現像手段の少なくとも1つを一体として有しており、該画像形成装置に出し入れ可能に構成されることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−252301(P2012−252301A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127112(P2011−127112)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】