説明

電子写真感光体用塗布液の製造方法

【課題】有機顔料の分散安定性と塗布性に優れた分散液の製造方法を提供する。
【解決手段】溶剤に有機顔料及びポリアミド樹脂を分散させて得られる電子写真感光体用塗布液の製造方法において、アルコールとポリアミド樹脂とを用いてゲル化させたポリアミド樹脂を調製する工程と、該ゲル化させたポリアミド樹脂を溶剤に分散させて、動的光散乱法による測定値における体積平均粒径(D50)が0.50μm以上6.00μm以下のポリアミド樹脂分散液を調整する工程と、該ポリアミド樹脂分散液に有機顔料を追加して分散させる工程と、有機顔料を分散させたポリアミド樹脂分散液に、希釈用溶剤を加えて電子写真感光体用塗布液を調整する工程と、を備えることを特徴とする電子写真感光体用塗布液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル化させたポリアミド樹脂を予め分散させた後に、有機顔料を加えて分散させて電子写真感光体用塗布液を調製することを特徴とする電子写真感光体用塗布液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モノアゾ顔料やジスアゾ顔料等に代表されるアゾ系顔料、フタロシアニン顔料に代表される多環系顔料等の有機顔料は、一般的に酸化チタン等の無機顔料と比較し、比重が小さい。その比重の小ささから沈降しにくいことによる高い液安定性、特異な分子構造に修飾させることによる様々な吸収波長、更には、工業的に化学反応にて合成出来る為、高純度で安定した品質を維持できる等の利点を有する。そのため、色素として各種印刷インキや感光特性を応用して光ディスク、太陽電池、電子写真材料等に用いられている。
【0003】
ポリアミド樹脂は機械特性や耐薬品性が良く、エンジニアリングプラスチックとして電子部品や自動車部品、繊維、フィルムとして幅広い分野で利用されている。その中でもアルコールへの溶解性を上げるように変性したポリアミド樹脂であるN−アルコキシアルキル化ナイロンや共重合ナイロン等のアルコール可溶性ポリアミド樹脂がある。アルコール可溶性ポリアミド樹脂は、透明性、柔軟性、接着性等といった特徴を持ち、衣料の表面処理や電子材料の接着剤、水性インキ、電子写真材料等に用いられている。
【0004】
アルコール可溶性ポリアミド樹脂のアルコール系液中で、先に述べたアゾ系顔料や多環系顔料等の有機顔料を小さい粒径で分散した分散液の塗布面は、塗布むらがなく、光沢感が得られる。しかし、アルコール可溶性ポリアミド樹脂のアルコール系液中で、先に述べたアゾ系顔料や多環系顔料等の有機顔料を小さい粒径で長期間安定した分散液として得ることは、有機顔料自体の凝集が発生することもあり、非常に困難である。
【0005】
また、ここで述べた様な有機電子写真材料を用いる電子写真感光体は、従来のSe、CdS等の無機電子写真材料を用いる電子写真感光体に比べて無公害で製造が容易であり、構成材料の選択の多様性から機能設計の自由度が高いという利点を有する。このような有機電子写真材料を用いる電子写真感光体は、近年のレーザービームプリンターや複写機の急速な普及により広く市場で用いられるようになっている。また最近、プリンター及び複写機の高画質化やカラー化が進む中で、電子写真感光体の品質に対する要求も厳しさが増しており、画像欠陥が無い電子写真感光体が望まれている。
【0006】
電子写真感光体は、基本的には帯電及び光を用いた露光により潜像を形成する感光層と、その感光層を設けるための支持部材としての支持体からなる。これまでに、支持体との密着性確保、感光層の電気的破壊の保護、感光層のキャリア注入性改良等のために、支持体と感光層の間に下引き層を設けることが行われてきた。下引き層の更なる特性改善の為、有機顔料を下引き層に分散する様々な方法が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、下引き層によって感光体の残留電位を低く抑える技術が開示されている。
【0008】
特許文献2では、繰り返し使用時の残留電位の上昇抑制が、特許文献3では、プリント1回転目のプロセスから帯電性安定が、特許文献4〜6では、連続プリント時の電位変動やゴーストを抑制する技術が提示されている。
【特許文献1】特許第3384231号公報
【特許文献2】特公平7−111586号公報
【特許文献3】特許第3417145号公報
【特許文献4】特許第3774673号公報
【特許文献5】特開2003−316049号公報
【特許文献6】国際公開2005/116777号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの提案では顔料の分散液を電子写真感光体用塗布液として用いている。このため、顔料粒子の沈降による分散液の局所的な固形分変動や、顔料粒子の凝集による粒径増加によって、電子写真感光体の膜厚が不均一になり電子写真感光体の塗布面に濃度ムラや画像欠陥が増加したりするという潜在的な問題を抱えている。このような濃度ムラや画像欠陥は先に述べたプリンター及び複写機の高画質化において電子写真感光体の致命的な欠陥となりうる。また、顔料粒子の沈降や凝集によって、電子写真感光体用塗布液の塗料ライフが短くなる問題もあり、これらの問題を解決する為にも電子写真感光体用塗布液に含まれる顔料粒子の更なる微細化及び安定性の向上が求められている。
【0010】
本発明は上記背景技術の問題に鑑みなされたものであり、遠心沈降法による測定値における有機顔料の平均粒径(メジアン径)が極めて小さくかつ有機顔料の比表面積が特に大きい、安定性の高い電子写真感光体用塗布液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機顔料及びポリアミド樹脂を分散して得られる電子写真感光体用塗布液の製造に使用するポリアミド樹脂に着目した。該電子写真感光体用塗布液の製造において、ポリアミド樹脂としてゲル化させたポリアミド樹脂を有機顔料との分散に使用し、かつ、溶剤中でゲル化させたポリアミド樹脂を分散した後に、有機顔料を加えて分散する。その結果、分散に用いるゲルの形状が分散液の有機顔料の粒度分布に影響を及ぼしたり、また、有機顔料が入ることで分散液の粘度が急激に上昇する為、固定容器外から挿入される回転軸に取り付けられた回転撹拌部を該固定容器内に有するサンドミル、特に回分式サンドミルではゲルと有機顔料が混ざり合い難い状態になったりすることを防ぐことができる。
【0012】
その結果、遠心沈降法による測定値における該電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)が極めて小さくかつ比表面積が特に大きい、安定性の高い電子写真感光体用塗布液ができる事を見出し、本発明を完成させた。
【0013】
即ち、本発明は以下の通りである。
【0014】
溶剤に有機顔料及びポリアミド樹脂を分散させて得られる電子写真感光体用塗布液の製造方法において、アルコールとポリアミド樹脂とを用いてゲル化させたポリアミド樹脂を調製する工程と、該ゲル化させたポリアミド樹脂を溶剤に分散させて、動的光散乱法による測定値における体積平均粒径(D50)が0.50μm以上6.00μm以下のポリアミド樹脂分散液を調整する工程と、該ポリアミド樹脂分散液に有機顔料を追加して分散させる工程と、前記有機顔料を分散させた前記ポリアミド樹脂分散液に、希釈用溶剤を加えて電子写真感光体用塗布液を調整する工程と、を備えることを特徴とする電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電子写真感光体用塗布液の製造方法は、アルコール中でゲル化させたポリアミド樹脂を予め分散させた後に、有機顔料を加えて分散させることを特徴とする電子写真感光体用塗布液の製造方法である。この結果、遠心沈降法による測定値における該電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)が極めて小さく比表面積が特に大きい、かつ安定性の高い電子写真感光体用塗布液を得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に述べる。
【0017】
本発明の電子写真感光体用塗布液の製造方法は、アルコール中でゲル化させたポリアミド樹脂を予め分散した後に、有機顔料を加えて分散する製造方法である。
【0018】
本発明の電子写真感光体用塗布液の製造方法は、以下の工程を含む。
【0019】
まず、アルコールとポリアミド樹脂を用いてゲル化させたポリアミド樹脂を調製する工程を含む。次いで、該有機顔料の非存在下、溶剤にに該ゲル化させたポリアミド樹脂を分散させて、動的光散乱法による測定値における体積平均粒径(D50)が0.50μm以上6.00μm以下のポリアミド樹脂分散液とする工程を含む。更に、該ポリアミド樹脂分散液に該有機顔料を分散させる工程を含む。
【0020】
ここで述べるゲル化させたポリアミド樹脂とは、ASTM D 4359−90に従って固体−液体判定試験を行い、固体状態であると判定できるポリアミド樹脂試料を意味する。
【0021】
ゲル化していないポリアミド樹脂とは、ASTM D 4359−90に従って固体−液体判定試験を行い、液体状態であると判定できるポリアミド樹脂試料を意味する。
【0022】
また、安定性の高さは、該電子写真感光体用塗布液を有栓メスシリンダー(容量10ml)に液面高さが50mmになる量を入れ、これを一定期間静置して判断した。具体的には、23℃の環境及び該電子写真感光体用塗布液に水を1.5重量%添加した35℃の環境にてそれぞれ1ヵ月静置後、3ヵ月静置後に有機顔料の分離がないか、又は有機顔料の分離が1mm以下である場合に、安定性が高いと判断される。
【0023】
ゲル化させたポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂をアルコールに加熱溶解させた後、次の条件を組み合わせて調製することができる。
【0024】
まず、ポリアミド樹脂の種類は、所望のゲル化させたポリアミド樹脂を調製させることができれば特に限定されない。ポリアミド樹脂の種類としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610である。また、N−メトキシメチル化6ナイロン及びN−メトキシメチル化12ナイロンに代表されるN−アルコキシアルキル化ナイロン並びにナイロン6−66−610−12の4元ナイロン共重合体に代表されるナイロン共重合体等従来公知のものを用いることができる。
【0025】
ポリアミド樹脂の種類はポリアミド樹脂をゲル化させるアルコールへの溶解性、ポリアミド樹脂のゲル化のしやすさを考慮して決定される。1種類又は2種類以上のポリアミド樹脂を組み合わせて用いることもできる。
【0026】
使用するポリアミド樹脂には、少なくともN−アルコキシアルキル化ナイロンが含まれることが好ましく、少なくともN−アルコキシアルキル化率が20%以上45%以下のN−アルコキシアルキル化ナイロンが含まれることが更に好ましい。また、少なくともN−メトキシメチル化率が20%以上45%以下のN−メトキシメチル化ナイロンが含まれることが特に好ましい。なお、N−メトキシメチル化率はNMRにて以下に示す方法にて測定した。
【0027】
ポリアミド樹脂の1種であるN−アルコキシアルキル化ナイロンは、主鎖に複数の種類のナイロンを化学的に結合したものである共重合ナイロンと比較して、ナイロン主鎖の繰り返し単位が一定であるため結晶性に優れ、ゲル化させたポリアミド樹脂を調製し易い。また、N−アルコキシアルキル化ナイロンはN−アルコキシアルキル化率が20%より低いと溶剤への溶解性が低下し、ゲル化させたポリアミド樹脂の調製が難しくなることがある。一方で、N−アルコキシアルキル化率が45%より高いと溶剤への溶解性が上がり、ゲル化させたポリアミド樹脂の安定性が悪化することがある。
【0028】
以下にN−メトキシメチル化率の測定方法を述べる。
【0029】
<N−アルコキシアルキル化率の測定方法>
装置:
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μS
データポイント:32768
周波数範囲:10500Hz
積算回数:32回
測定温度:25℃
試料:
N−メトキシメチル化ナイロン 25mg
メタノール−D4(99.8atom%D) アルドリッチ製 0.75ml
テトラメチルシラン(内部標準物質) メタノール−D4に対し0.05重量%
計算方法:
A:N−メトキシメチル化されているアミド基のカルボニル部分隣のメチレンプロトン(ca.2.4ppm)の積分値
B:N−メトキシメチル化されていないアミド基のカルボニル部分隣のメチレンプロトン(ca.2.2ppm)の積分値
N−メトキシメチル化率(%)= A/(A+B)×100
【0030】
ポリアミド樹脂をゲル化させるときのアルコールであるが、所望のゲル化させたポリアミド樹脂を調製する事ができればアルコールの有無や種類は特に限定されないが、好ましくは炭素数が1以上6以下の直鎖又は分岐鎖をもつアルコールである。メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール及びイソブタノールがより好ましい。特に好ましくは、エタノール又はn−ブタノールである。また、アルコールはポリアミド樹脂の溶解性とゲル化させたポリアミド樹脂の調製のしやすさを加味して、1種類又は2種類以上のアルコールを組み合わせても良い。
【0031】
ポリアミド樹脂をゲル化させる温度であるが、所望のゲル化させたポリアミド樹脂ができれば特に限定されない。安定してゲル化させたポリアミド樹脂を得る為には、溶剤に加熱溶解させたポリアミド樹脂を冷却することが望ましく、30℃以下に冷却することがより望ましい。
【0032】
ゲル化させたポリアミド樹脂の固形分は、所望のゲル化させたポリアミド樹脂を調製することができれば特に限定されない。ゲル化させたポリアミド樹脂の安定性を考慮すれば、ポリアミド樹脂の固形分は好ましくは質量%で2%以上であり、更に好ましくは5%以上であり、最も好ましくは5.0%以上30.0%以下の範囲である。ポリアミド樹脂の固形分が低すぎるとゲル化させたポリアミド樹脂が調製できないことがある。
【0033】
ゲル化させたポリアミド樹脂の形状は、所望の電子写真感光体用塗布液を調製することができれば特に限定されない。分散操作における作業性を考慮すれば、分散を行う前にゲル化させたポリアミド樹脂を0.5mm〜10mmの大きさに破砕しておくことが好ましい。ゲル化させたポリアミド樹脂が0.5mmより小さいと破砕したゲル化させたポリアミド樹脂同士が付着しやすくなり、作業性が悪化する事がある。ゲル化させたポリアミド樹脂が10mmより大きいと、分散終了後にゲル化させたポリアミド樹脂の未分散分が残ることがある。ゲル化させたポリアミド樹脂の破砕には、ボールミル、超音波分散機、高圧ホモジナイザー、スターラー、ミキサー、撹拌機、ロールミル、乳化分散機、メッシュ、篩、ミンサー等を用いる。
【0034】
電子写真感光体用塗布液は、ゲル化させたポリアミド樹脂を予め分散させてポリアミド樹脂分散液を調整した後、このポリアミド樹脂分散液に有機顔料及び溶剤を加えて分散させて製造する。ゲル化させたポリアミド樹脂を分散する場合は、分散に使用するゲル化させたポリアミド樹脂が効率的に分散されるように分散シェアーを決める事が好ましい。分散シェアーが低すぎるとゲル化させたポリアミド樹脂が分散されず、また、分散シェアーが高すぎると分散中の液温が上昇し、ポリアミド樹脂分散液の動的光散乱法による測定値における体積平均粒径(D50)が0.50μm未満になってしまうことがある。
【0035】
分散方法としては、既知の方法、例えばペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧ホモジナイザー、スターラー、ミキサー、撹拌機、ロールミル、乳化分散機等の分散装置を用いて分散する方法を用いることができる。ここで、サンドミルとは、固定容器外から挿入される回転軸に取り付けられた回転撹拌部を該固定容器内に有するものである。特に回分式サンドミルではゲルと有機顔料が混ざり合い難い状態になったりすることを防ぐことができる。
【0036】
電子写真感光体用塗布液の分散性を考慮すれば、ゲル化させたポリアミド樹脂と有機顔料とを溶剤に分散させた後に、希釈用溶剤を加えて、電子写真感光体用塗布液の流動性を上げることが好ましい。
【0037】
希釈用溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのいずれかを含有することが好ましい。
【0038】
前記有機顔料には、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ及びテトラキスアゾ等のアゾ顔料、ガリウムフタロシアニン及びチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料等の従来公知のものを用いることができ、特に限定されない。中でも、フタロシアニン顔料及びアゾ顔料が好ましい。また、有機顔料はこれらを1種類もしくは2種類以上を組み合わせて使用する事が出来る。
【0039】
前述のフタロシアニン顔料としては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ=7.4°±0.3°及び2θ=28.2°±0.3°の位置に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
【0040】
また、アゾ顔料としては、下記一般式(1)で示されるビスアゾ顔料が好ましい。
【化2】

【0041】
電子写真感光体用塗布液に含まれる有機顔料とポリアミド樹脂の質量比は電子写真感光体用塗布液の液安定性と該電子写真感光体用塗布液を用いた電子写真感光体の出力画像の濃度ムラを考慮して決定される。好ましくは電子写真感光体用塗布液に含まれる有機顔料とポリアミド樹脂の質量比が1:100以上2:1以下である。電子写真感光体用塗布液に含まれる有機顔料とポリアミド樹脂の質量比が2:1よりも高い場合、顔料の分散性が悪化して電子写真感光体用塗布液の液安定性が劣ることがある。また、電子写真感光体用塗布液に含まれる有機顔料とポリアミド樹脂の質量比が1:100よりも低いと連続プリント時における電子写真感光体用塗布液を用いた電子写真感光体の出力画像の濃度ムラが悪化することもある。
【0042】
電子写真感光体用塗布液の固形分は電子写真感光体用塗布液の安定性、塗工性を考慮して決定され、好ましくは質量%で0.5%以上15%以下であり、更に好ましくは1%以上10%以下である。電子写真感光体用塗布液の固形分が15%より高いと電子写真感光体用塗布液の流動性が失われたり、分散性が悪くなり電子写真感光体用塗布液の液安定性が低下したりすることがある。また、電子写真感光体用塗布液の固形分が0.5%より低いと電子写真感光体用塗布液を用いた電子写真感光体の塗布ムラ、膜ダレ等による画像濃度ムラや画像欠陥が発生することもある。
【0043】
ポリアミド樹脂分散液の体積平均粒径(D50)は動的光散乱法を測定原理とする「MICROTRAC PARTICLE−SIZE ANALYZER 9340 UPA」(Leeds&Northrup社製)を用い、次の条件で測定したものである。
【0044】
<マイクロトラックUPA測定条件>
演算用及び制御用プログラムバージョン : 4.53E
Mode : FullRange
Transparent Particles : Yes
Spherical Particles : No
Particle Refractive Index : 1.51
Particle Density : 1.20g/cc
Fluid : Ethanol
Fluid Refractive Index : 1.33
Fluid High Temp : 30.0℃ Viscosity 1.003mPa・s
Fluid Low Temp : 20.0℃ Viscosity 1.200mPa・s
Run Time : 180sec
【0045】
電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)及びSw(比表面積)は遠心沈降式粒度分布測定装置 CAPA−700(堀場製作所製)を用いて、以下の条件で測定した。
【0046】
(CAPA−700本体設定)
演算方法:体積基準
沈降距離:ΔX=10mm
吸光係数補正:補正なし
【0047】
<ビスアゾ有機顔料:CAPA−700測定条件>
溶媒 エタノール
DISP.VISC. 1.20mPa・s
DISP.DENS. 0.79g/cc
SAMP.DENS. 1.20g/cc
D(MAX) 1.00μm
D(MIN) 0.10μm
D(DIV) 0.05μm
SPEED 7000rpm
【0048】
<フタロシアニン有機顔料:CAPA−700測定条件>
溶媒 エタノール
DISP.VISC. 1.20mPa・s
DISP.DENS. 0.79g/cc
SAMP.DENS. 1.50g/cc
D(MAX) 1.00μm
D(MIN) 0.10μm
D(DIV) 0.05μm
SPEED 7000rpm
【0049】
また、本発明の製造方法により得られた電子写真感光体用塗布液を用いて形成された電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも下引き層と感光層が積層して形成される。この感光層は、電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型感光層(図1(a))であっても、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層(図1(b))であってもよい。ただし、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。なお、図1(a)及び(b)中、101は支持体、102は下引き層、103は感光層、104は電荷発生層、105は電荷輸送層を示す。以下では、積層型(機能分離型)感光層を含有する電子写真感光体について詳細に述べる。
【0050】
導電性支持体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレス及びニッケル等の金属、又は導電層を設けた金属、プラスチック及び紙等が挙げられ、形状としては円筒状及びフィルム状等が挙げられる。特に円筒状のアルミニウムが機械強度、電子写真特性及びコストの点で優れている。これらの導電性支持体は素管のまま用いても良いが、切削及びホーニング等の物理処理、陽極酸化処理又は酸等を用いた化学処理を施した物を用いてよい。その中でも切削又はホーニング等の物理処理を行うことにより、表面粗さをRz値で0.1μm以上3.0μm以下に処理することで、干渉縞防止機能を持たせることができる。
【0051】
導電性支持体と下引き層との間に干渉縞防止層(図1中不図示)を設けることもできる。干渉縞防止層は、支持体自身に干渉縞防止機能を持たせた場合は必要ないが、導電性支持体を素管のまま用い、これに塗工により干渉縞防止層を形成することにより、簡便な方法により導電性支持体に干渉縞防止機能を付与できる。このため、生産性、コストの面から非常に有用である。干渉縞防止層を形成する好ましい方法としては、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機粒子をフェノール樹脂等の硬化性樹脂と共に適当な溶剤に分散して塗布液を作製し、導電性支持体に塗工、乾燥する方法が挙げられる。干渉縞防止層の膜厚は1μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0052】
支持体上又は干渉縞防止層の上には、支持体との密着性確保、感光層の電気的破壊の保護、感光層のキャリア注入性の改良等のために下引き層が必要である。
【0053】
下引き層は、有機顔料とポリアミド樹脂からなる前述の電子写真感光体用塗布液を導電性支持体もしくは干渉縞防止層上に塗工することにより形成される。その膜厚は好ましくは0.01μm以上30μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上20μm以下である。有機顔料を下引き層に含有させることにより、連続プリント時における電子写真感光体用塗布液を用いた電子写真感光体の出力画像の濃度ムラを抑制することができる。
【0054】
電荷発生材料としては、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ及びテトラキスアゾ等のアゾ顔料、ガリウムフタロシアニン及びチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料等を用いることができる。好ましくは環境変動による特性安定性の観点から、ガリウムフタロシアニン顔料である。更に好ましくは、高感度、光メモリー特性の観点から、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ=7.4°±0.3°及び2θ=28.2°±0.3°の位置に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である。
【0055】
電荷発生層の塗工液は、前述の電荷発生材料を適当な溶剤を溶媒として上述の既知の分散方法にて調製される。適当な溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、メチルセルソルブ、アセトン、ジオキサン及びN,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。この時に結着剤として高分子物質を一緒に加えても良いし、顔料と溶媒だけであらかじめ分散した後、結着剤を加えても良い。
【0056】
結着剤としては広範な絶縁性樹脂から選択でき、またポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンやポリビニルポレン等の有機光導電性ポリマーからも選択できる。好ましくは、ポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェノールAとフタル酸との縮重合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂及びポリアクリルアミド樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる。また、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン等の絶縁性樹脂を挙げることができる。
【0057】
また、電荷発生層は上記の様な物質を含有する分散液を下引き層上に塗布することによって形成され、その膜厚は5μm以下が好ましく、特には0.05μm以上1μm以下が好ましい。
【0058】
電荷輸送層は主として電荷輸送材料と結着剤とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。
【0059】
用いられる電荷輸送材料としては各種のトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物及びトリアリルメタン系化合物等が挙げられる。電荷輸送材料と溶媒だけであらかじめ分散溶解した後、結着剤を加えても良い。また、結着剤としては上述したものを用いることができる。
【0060】
電荷輸送層の膜厚は好ましくは5μm以上40μm以下であり、更に好ましくは10μm以上30μm以下である。
【0061】
電荷輸送層が単一層の場合も上述したような物質を用いて同様に形成することができ、その膜厚は5μm以上40μm以下が好ましく、特には10μm以上30μm以下が好ましい。
【0062】
また、本発明においては電荷輸送層上には耐久性、転写性及びクリーニング性の向上を目的として、保護層を設けてもよい。
【0063】
保護層は、樹脂を有機溶剤によって溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。樹脂としてはポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー等が挙げられる。
【0064】
また、保護層に電荷輸送能を併せ持たせるために、電荷輸送能を有するモノマー材料や高分子型の電荷輸送材料を種々の架橋反応を用いて硬化させることによって保護層を形成してもよい。硬化させる反応としては、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法及び光CVD法等が挙げられる。
【0065】
さらに、保護層中に導電性粒子や紫外線吸収剤、及び耐摩耗性改良剤等を含ませてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化錫粒子等の金属酸化物が好ましい。耐摩耗性改良剤としてはフッ素系樹脂微粉末、アルミナ、シリカ等が好ましい。
【0066】
保護層の膜厚は0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、特には1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0067】
これら各種層の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法及びビームコーティング法等を用いることができる。
【実施例】
【0068】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の実施の形態は、これらにのみ限定されるものではない。また、実施例中の「部」は、それぞれ「質量部」を意味する。
【0069】
本実施例では、エタノール、イソプロパノール及び2−ブタノールはキシダ化学製、特級を使用しており、n−プロパノール、n−ブタノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルはキシダ化学製、1級を使用している。また、式(2)のフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線回折におけるフラッグ角2θ=7.4°±0.3°及び2θ=28.2°±0.3°の位置に強いピークを有するガリウムフタロシアニン結晶(特許第3639691号公報に記載のもの)を使用している。
【0070】
まず、本発明の電子写真感光体用塗布液の製造方法に使用したポリアミド樹脂試料の調製法について述べる。
【0071】
〈調製例1〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 150部
エタノール 850部
【0072】
上記構成で、N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂を70℃で加熱溶解し、ポリフロンフィルター(PF020、孔径2μm、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過した溶液を密閉容器中で23℃の環境で24時間静置保管した。その後、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、固体であるゲル化したポリアミド樹脂1−1Aを調製した。
【0073】
また、このゲル化させたポリアミド樹脂1−1Aの状態を目視により定性的に評価した。評価結果は、ゲル化させたポリアミド樹脂の外観が白濁し流動性を失ったものを「白色ゲル」とした。結果を表1に示す。
【0074】
〈調製例2〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 150部
n−プロパノール 850部
【0075】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、固体であるゲル化させたポリアミド樹脂1−2Aを調製し、調製例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0076】
〈調製例3〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 100部
n−ブタノール 900部
【0077】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、固体であるゲル化させたポリアミド樹脂1−3Aを調製し、調製例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
〈調製例4〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 100部
イソプロパノール 900部
【0079】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、固体であるゲル化させたポリアミド樹脂1−4Aを調製し、調製例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
〈調製例5〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 100部
2−ブタノール 900部
【0081】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、固体であるゲル化させたポリアミド樹脂1−5Aを調製し、調製例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0082】
〈調製例6〉
ナイロン6−66−610−12四元ナイロン共重合体樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製) 150部
エタノール 850部
【0083】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、固体であるゲル化させたポリアミド樹脂1−6Aを調製し、調製例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
〈調製例7〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 150部
エタノール 850部
【0085】
上記構成で、N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂を70℃で加熱溶解し、ポリフロンフィルター(PF020、孔径2μm、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過した溶液を密閉容器中で23℃の環境で1時間静置保管した。ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、液体であるゲル化していないポリアミド樹脂試料1−1Bを調製した。
【0086】
また、前記ゲル化していないポリアミド樹脂試料1−1Bの状態を目視により定性的に評価した。評価結果は、ゲル化していないポリアミド樹脂の外観が透明で液体状態のものを「透明液体」とした。結果を表1に示す。
【0087】
〈調製例8〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 150部
n−プロパノール 850部
【0088】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、液体であるゲル化していないポリアミド樹脂1−2Bを調製し、調製例7と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0089】
〈調製例9〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 100部
n−ブタノール 900部
【0090】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、液体であるゲル化していないポリアミド樹脂1−3Bを調製し、調製例7と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0091】
〈調製例10〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 100部
イソプロパノール 900部
【0092】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、液体であるゲル化していないポリアミド樹脂1−4Bを調製し、調製例7と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0093】
〈調製例11〉
N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス社製、メトキシメチル化率36.1%) 100部
2−ブタノール 900部
【0094】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、液体であるゲル化していないポリアミド樹脂1−5Bを調製し、調製例7と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0095】
〈調製例12〉
ナイロン6−66−610−12四元ナイロン共重合体樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製) 150部
エタノール 850部
【0096】
上記構成で、調製例1と同様の方法で溶解、ろ過、静置保管を行い、ASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、液体であるゲル化していないポリアミド樹脂1−6Bを調製し、調製例7と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】

表1から明らかなように、調製例1〜6ではASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、固体であったことから、調整例1〜6のポリアミド樹脂試料はゲル化させたポリアミド樹脂である。また、調製例7〜12ではASTM D 4359−90に基づき液体―固体判定試験を行い、液体であったことから、調整例7〜12のポリアミド樹脂試料はゲル化していないポリアミド樹脂である。また、定性的外観においてもゲル化させたポリアミド樹脂は白色の色味で流動性が失われており、ゲル化していないポリアミド樹脂は透明の色味で流動性がある。
【0098】
次に、前述で調製したポリアミド樹脂試料を用いた電子写真感光体用塗布液の調製及び評価について述べる。
【0099】
〈実施例1〜14、比較例1〜7〉
実施例1〜14及び比較例1〜7に共通した構成は以下通りである。
【0100】
表2に対応したポリアミド樹脂試料 表2に対応した量(部)
エタノール 表2に対応した量(部)
ガラスビーズ(GB201M、ポッターズ・バロティーニ製) 500部、
表2に対応した有機顔料 表2に対応した量(部)
希釈用溶媒A 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
希釈用溶媒B 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
【0101】
上記の構成で、表2に対応したポリアミド樹脂試料は、ゲル化しているものがあるので、予め篩(篩目開き2.0mm)にてつぶしながら、濾すことで2mm以下の大きさに破砕した。次に、800mlスケールバッチ式縦型サンドミル装置(K−800、金田理化工業株式会社製、ディスク径7cm、ディスク枚数5枚、冷却水温18℃)を用い、破砕済みの表2に対応したポリアミド樹脂試料、表2に対応したエタノール、ガラスビーズを投入した。次いで、1400rpmで30分間分散し、表3に対応したポリアミド樹脂分散液を得た。動的光散乱法を測定原理とする「MICROTRAC PARTICLE−SIZE ANALYZER 9340 UPA」(Leeds&Northrup社製)を用いて、表3に対応したポリアミド樹脂分散液の体積平均粒径(D50)を測定した。結果を表3に示す。
【0102】
次いで、表3に対応したポリアミド樹脂分散液に、下記の式(1)又は(2)の有機顔料を表2に示すように追加。更に240分分散した後、表2に対応した希釈用溶媒A及び希釈用溶媒Bの混合物である希釈用溶剤を加えながらナイロンメッシュ(材質ナイロン66、目粗さ200メッシュ)を用いてガラスビーズを除去。更に、ポリフロンフィルター(PF020、孔径2μm、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過して表3に対応した電子写真感光体用塗布液を得た。
【0103】
なお、下記の式(2)として例示したフタロシアニン顔料は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料である。この顔料は、CuKα特性X線回折より得られるチャートにおいて回折角をθとしたときに2θ=7.4°±0.3°及び2θ=28.2°±0.3°の位置に強いピークを有することが好ましい。
【0104】
【化3】

【0105】
【化4】

【0106】
遠心沈降式粒度分布測定装置 CAPA−700(堀場製作所製)を用いて、表3に対応した電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)、比表面積を測定した。結果を表3に示す。
【0107】
表3に対応した電子写真感光体用塗布液を、有栓メスシリンダー(容量10ml)に液面高さが50mmになる量を入れた。これらを、23℃の環境及び該電子写真感光体用塗布液に水を1.5重量%添加した35℃の環境にて1ヵ月及び3ヵ月静置した。そして、1ヵ月静置後及び3ヵ月静置後の表3に対応した電子写真感光体用塗布液の液安定性を目視評価した。評価結果は有機顔料の分離が認められないものを「沈降なし」とした。液面高さから1mm程度の位置で有機顔料の分離が認められるものを「僅かに沈降」、液面高さから3mm程度の位置で有機顔料の分離が認められるものを「やや沈降」、液面高さから10mmより低い位置で有機顔料の分離が認められるものを「沈降」とした。結果を表3に示す。
【0108】
更に次いで、上記で得られた電子写真感光体用塗布液を用い、以下の構成を基に表3に対応した電子写真感光体を作成した。
【0109】
酸化スズで被覆した酸化チタン粉体(商品名クロノスECT−62、チタン工業社製) 50部
レゾール型フェノール樹脂 25部
メチルセロソルブ 20部
球状シリコーン樹脂粉末(商品名トスパール120、東芝シリコーン社製) 3.8部
メタノール 5部
シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000) 0.002部
【0110】
上記構成で、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、干渉縞防止層用塗布液を調製した。導電性支持体としてのアルミニウムシリンダー(直径30mm、引き抜き管)上に、この塗布液を浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥させ、膜厚が15μmの干渉縞防止層を形成した。
【0111】
得られた干渉縞防止層上に、表3に対応した電子写真感光体用塗布液を、浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
【0112】
次に、前述の式(2)のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部と、下記式(5)で示される化合物0.1部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業社製)5部とをシクロヘキサノン250部に添加。これらを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で3時間分散した。
【0113】
これに、シクロヘキサノン100部と酢酸エチル450部を更に加えて希釈して電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥することにより、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0114】
なお、使用したヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°の位置に強いピークを有する結晶形のものである。
【0115】
次に、下記式(6)で示される電荷輸送材料10部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)10部をモノクロロベンゼン70部に溶解した。得られた溶液を電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間乾燥することにより、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、表3に対応した電子写真感光体を作製した。
【0116】
【化5】

【0117】
【化6】

【0118】
目視により、表3に対応した電子写真感光体の塗布欠陥の有無を評価した。評価結果は表3に対応した電子写真感光体の塗布面に異物が認められないものを「欠陥なし」とした。また、表3に対応した電子写真感光体の塗布面に異物が1個以上10個以下認められるものを「欠陥あり」、表3に対応した電子写真感光体の塗布面に異物が10個以上認められるものを「欠陥多数」とした。そして、表3に対応した電子写真感光体に白色ムラが認められるものを「白化」、表3に対応した電子写真感光体に膜厚ムラが認められるものを「膜厚ムラ」とした。結果を表3に示す。
【0119】
〈比較例9〜15〉
比較例9〜15に共通した構成は以下通りである。
【0120】
表2に対応したポリアミド樹脂試料 表2に対応した量(部)
エタノール 表2に対応した量(部)
ガラスビーズ(GB201M、ポッターズ・バロティーニ株式会社製) 500部
表2に対応した有機顔料 表2に対応した量(部)
希釈用溶媒A 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
希釈用溶媒B 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
【0121】
上記の構成で、表2に対応したポリアミド樹脂試料は予め篩(篩目開き2.0mm)にてつぶしながら、濾すことで2mm以下の大きさに破砕した。次いで、800mlスケールバッチ式縦型サンドミル装置(K−800、金田理化工業株式会社製、ディスク径7cm、ディスク枚数5枚、冷却水温18℃)を使用。破砕済みの表2に対応したポリアミド樹脂試料、表2に対応したエタノール、表2に対応した有機顔料、ガラスビーズを、このサンドミル装置に投入した。1400rpmで270分分散した後、表2に対応した希釈用溶媒A及び希釈用溶媒Bの混合物である希釈用溶剤を加えながらナイロンメッシュ(材質ナイロン66、目粗さ200メッシュを用いてガラスビーズを除去。更に、ポリフロンフィルター(PF020、孔径2μm、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過して表3に対応した電子写真感光体用塗布液を得た。
【0122】
次いで、実施例1〜14及び比較例1〜7と同様に、表3に対応した電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)、比表面積を測定した。また、23℃の環境及び表3に対応した電子写真感光体用塗布液に水を1.5重量%添加した35℃の環境にて1ヵ月静置後、3ヵ月静置後の表3に対応した電子写真感光体用塗布液の液安定性を目視評価した。結果を表3に示す。
【0123】
更に次いで、実施例1〜14、比較例1〜7と同様に、表3に対応した電子写真感光体用塗布液を用い、表3に対応した電子写真感光体を作成し、目視により、表3に対応した電子写真感光体の塗布欠陥の有無を目視評価した。結果を表3に示す。
【0124】
〈実施例15 及び 比較例8〉
実施例15及び比較例8に共通した構成は以下通りである。
【0125】
表2に対応したポリアミド樹脂試料 表2に対応した量(部)
エタノール 表2に対応した量(部)
ジルコニアビーズ(Φ0.5mmYTZボール、株式会社ニッカトー製、YTZは株式会社ニッカトーの商標) 432g
表2に対応した有機顔料 表2に対応した量(部)
希釈用溶媒A 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
希釈用溶媒B 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
【0126】
上記構成で、横型サンドミル装置(MiniCea、アシザワ・ファインテック株式会社製、セパレータースクリーン0.3mm、冷却水温10℃)に、Φ0.5mmジルコニアビーズを432gベッセル内に投入した。ここに、篩(篩目開き1.0mm)にてつぶしながら、濾すことで1mm以下の大きさに予め破砕しておいた表2に対応したポリアミド樹脂試料、表2に対応したエタノールを循環タンクに投入した。次いで、循環タンク内を撹拌しながら液送り量100ml/分、分散機回転数2000rpmにて3パス分散し、表3に対応したポリアミド樹脂分散液を得た。動的光散乱法を測定原理とする「MICROTRAC PARTICLE−SIZE ANALYZER 9340 UPA」(Leeds&Northrup社製)を用いて、表3に対応したポリアミド樹脂分散液の体積平均粒径(D50)を測定した。結果を表3に示す。
【0127】
次いで、表3に対応したポリアミド樹脂分散液に表2に対応した有機顔料を追加し、更に循環タンク内を撹拌しながら液送り量100ml/分、分散機回転数2000rpmにて360分循環しながら分散した。その後、表2に対応した希釈用溶媒A及び希釈用溶媒Bの混合物である希釈用溶剤を加え、ポリフロンフィルター(PF020、孔径2μm、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過して表3に対応した電子写真感光体用塗布液を得た。
【0128】
次いで、実施例1〜14及び比較例1〜7と同様に、表3に対応した電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)、比表面積を測定した。また、23℃の環境及び表3に対応した電子写真感光体用塗布液に水を1.5重量%添加した35℃の環境にて1ヵ月静置後、3ヵ月静置後の表3に対応した電子写真感光体用塗布液の液安定性を目視評価した。結果を表3に示す。
【0129】
更に次いで、実施例1〜14及び比較例1〜7と同様に、表3に対応した電子写真感光体用塗布液を用い、表3に対応した電子写真感光体を作成し、目視により、表3に対応した電子写真感光体の塗布欠陥の有無を目視評価した。結果を表3に示す。
【0130】
〈比較例16〉
実施例16における構成は以下通りである。
【0131】
表2に対応したポリアミド樹脂試料 表2に対応した量(部)
エタノール 表2に対応した量(部)
ジルコニアビーズ(Φ0.5mmYTZボール、株式会社ニッカトー製、YTZは株式会社ニッカトーの商標) 432g
表2に対応した有機顔料 表2に対応した量(部)
希釈用溶媒A 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
希釈用溶媒B 表2に対応した種類を表2に対応した量(部)
【0132】
上記構成で、横型サンドミル装置(MiniCea、アシザワ・ファインテック株式会社製、セパレータースクリーン0.3mm、冷却水温10℃)に、Φ0.5mmジルコニアビーズを432gベッセル内に投入した。ここに、篩(篩目開き1.0mm)にてつぶしながら、濾すことで1mm以下の大きさに予め破砕しておいた表2に対応したポリアミド樹脂試料、表2に対応したエタノール、表2に対応した有機顔料を循環タンクに投入した。循環タンク内を撹拌しながら液送り量100ml/分、分散機回転数2000rpmにて360分循環しながら分散した。その後、表2に対応した希釈用溶媒A及び希釈用溶媒Bの混合物である希釈用溶剤を加え、ポリフロンフィルター(PF020、孔径2μm、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過して表3に対応した電子写真感光体用塗布液を得た。
【0133】
次いで、実施例1〜14及び比較例1〜7と同様に、表3に対応した電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)、比表面積を測定した。また、23℃の環境及び表3に対応した電子写真感光体用塗布液に水を1.5重量%添加した35℃の環境にて1ヵ月静置後、3ヵ月静置後の表3に対応した電子写真感光体用塗布液の液安定性を目視評価した。結果を表3に示す。
【0134】
更に次いで、実施例1〜14及び比較例1〜7と同様に、表3に対応した電子写真感光体用塗布液を用い、表3に対応した電子写真感光体を作成し、目視により、表3に対応した電子写真感光体の塗布欠陥の有無を目視評価した。結果を表3に示す。
【0135】
【表2】

【0136】
【表3】

【0137】
表2及び3から以下のことが判る。ゲル化させたポリアミド樹脂を使用している実施例1〜6、14、15と、ゲル化していないポリアミド樹脂を使用している比較例1〜8とを比較した。すると、実施例1〜6、14、15のポリアミド樹脂分散液のマイクロトラックUPA体積平均粒径(D50)は、ポリアミド樹脂試料に使用しているアルコールの種類に関わらず0.58μm以上である。これは、同じ種類のアルコールを用いている比較例1〜8のポリアミド樹脂分散液のマイクロトラックUPA体積平均粒径(D50)0.02μmと比べると明らかに大きい。
【0138】
マイクロトラックUPA体積平均粒径(D50)は、0.50μm以上6.00μm以下であればよく、実施例1〜6、14、15はいずれもこの範囲にある。
【0139】
また、実施例1〜6、14及、15における電子写真感光体用塗布液の有機顔料のメジアン径及びSwは、比較例1〜8と比較して、明らかにメジアン径が小さく、Swが非常に大きい。静置試験における安定性においても、実施例1〜6、14、15の電子写真感光体用塗布液が明らかに優位である。
【0140】
更に、実施例1〜6、14、15の電子写真感光体用塗布液を塗布した電子写真感光体の目視評価においても、欠陥が見られなかった。このことから、予めゲル化させたポリアミド樹脂とアルコールの分散を行っている実施例1〜6、14、15の電子写真感光体用塗布液は遠心沈降法による測定値における該電子写真感光体用塗布液の有機顔料の平均粒径(メジアン径)が極めて小さい。また、比表面積が特に大きく、かつ安定性の高い電子写真感光体用塗布液であることがわかる。
【0141】
ゲル化させたポリアミド樹脂を使用している実施例1〜6、14、15及び比較例9〜16では、電子写真感光体用塗布液の有機顔料のメジアン径やSw及び目視評価はそれぞれ良好である。しかし、ゲル化させたポリアミド樹脂とアルコールとをガラスビーズで予め分散している実施例1〜6、14、15では、水を1.5重量%添加した35℃の環境にて1ヵ月静置後、3ヵ月静置後の電子写真感光体用塗布液の液安定性が良い。
【0142】
予めゲル化させたポリアミド樹脂とアルコールの分散を行っている実施例1〜6、14、15の電子写真感光体用塗布液は以下の特性を備えている。まず、遠心沈降法による測定値における該電子写真感光体用塗布液の有機顔料のメジアン径が0.05以上0.20μm以下で極めて小さい。また、比表面積(Sw)が40m/g以上85m/以下で特に大きい。このことから、実施例1〜6、14、15は、安定性の高い電子写真感光体用塗布液であることがわかる。
【0143】
実施例1、7〜9では有機顔料とポリアミド樹脂の質量比を変えて電子写真感光体用塗布液を調製している。有機顔料とポリアミド樹脂の質量比5/2から1/100まで良好な電子写真感光体用塗布液の有機顔料のメジアン径及びSwを示しているが、有機顔料とポリアミド樹脂の質量比5/2の3ヵ月静置後の液状態に僅かに沈降が観察されている。このことから、予めゲル化させたポリアミド樹脂とアルコールの分散を行っている実施例1、7〜9の電子写真感光体用塗布液は、遠心沈降法による測定値における該電子写真感光体用塗布液の有機顔料のメジアン径が極めて小さい。また、比表面積が特に大きく、かつ安定性の高い電子写真感光体用塗布液であることがわかる。
【0144】
実施例1、10〜13では、電子写真感光体用塗布液に含まれる沸点100℃未満のアルコール及び溶剤と沸点100℃以上のアルコール及び溶剤の比率を変えて電子写真感光体用塗布液を調製している。電子写真感光体用塗布液に含まれる沸点100℃未満のアルコール及び溶剤と沸点100℃以上のアルコール及び溶剤の質量比を21/79から95/5まで良好な電子写真感光体用塗布液の有機顔料のメジアン径やSwを示している。しかし、実施例13の沸点100℃未満のアルコール及び溶剤と沸点100℃以上のアルコール及び溶剤の質量比が21/79の電子写真感光体では沸点100℃以上のアルコール及び溶剤が多い為、乾燥ムラによる膜厚ムラが観察されている。また、実施例10の沸点100℃未満のアルコール及び溶剤と沸点100℃以上のアルコール及び溶剤の質量比が95/5の電子写真感光体では、乾燥中の吸湿による塗膜の白化が観察されている。しかし、いずれの場合においても、電子写真感光体に欠陥は観察されていない。このことから、ゲル化させたポリアミド樹脂とアルコールの分散を行っている実施例1、10〜13の電子写真感光体用塗布液は、遠心沈降法による測定値における該電子写真感光体用塗布液の有機顔料のメジアン径が極めて小さい。また、比表面積が特に大きく、かつ安定性の高い電子写真感光体用塗布液であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】感光層の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
101 支持体
102 下引き層
103 感光層
104 電荷発生層
105 電荷輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤に有機顔料及びポリアミド樹脂を分散させて得られる電子写真感光体用塗布液の製造方法において、
アルコールとポリアミド樹脂とを用いてゲル化させたポリアミド樹脂を調製する工程と、
該ゲル化させたポリアミド樹脂を溶剤に分散させて、動的光散乱法による測定値における体積平均粒径(D50)が0.50μm以上6.00μm以下のポリアミド樹脂分散液を調整する工程と、
該ポリアミド樹脂分散液に有機顔料を追加して分散させる工程と、
前記有機顔料を分散させた前記ポリアミド樹脂分散液に、希釈用溶剤を加えて電子写真感光体用塗布液を調整する工程と、
を備えることを特徴とする電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項2】
前記希釈用溶剤は、エタノール、イソプロパノール及びn−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つであること、を特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項3】
前記電子写真感光体用塗布液に含まれる前記有機顔料の平均粒径が、0.05以上0.20μm以下であり、かつその比表面積(Sw)が、40m/g以上85m/以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項4】
前記ポリアミド樹脂は、N−メトキシメチル化6ナイロン又はナイロン6−66−610−12の4元ナイロン共重合体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項5】
前記アルコールは、炭素数が1以上6以下の直鎖又は分岐鎖をもつアルコールであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項6】
前記アルコールは、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール及び2−ブタノールからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項7】
前記有機顔料は、フタロシアニン顔料、又はアゾ顔料であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項8】
前記アゾ顔料が下記式(1)で示されることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【化1】

【請求項9】
前記フタロシアニン顔料が、CuKα特性X線回折より得られるチャートにおいて回折角をθとしたときに2θ=7.4°±0.3°及び2θ=28.2°±0.3°の位置に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項10】
前記有機顔料とポリアミド樹脂との質量比が1:100以上2:1以下である請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項11】
沸点100℃以上のアルコールの含有比率が、10%以上70%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項12】
前記ポリアミド樹脂分散液を調整する工程、及び前記ポリアミド樹脂分散液に有機顔料を追加して分散させる工程は、
固定容器外から挿入される回転軸に取り付けられた回転撹拌部を該固定容器内に有するサンドミルを用いることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。
【請求項13】
前記サンドミルは回分式のサンドミルである事を特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体用塗布液の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−32714(P2010−32714A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193760(P2008−193760)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】