説明

電子写真用トナーセット

【課題】シアン画像、マゼンタ画像のみならず、青色画像の色再現性に優れ、耐光性及び耐オゾンガス性に優れた電子写真用トナーセットを提供することを目的とする。
【解決手段】シアントナー中にアゾメチン系、シアニン系、スクアリウム系色素の少なくとも1種を着色剤として含有し、かつマゼンタトナー中に複素環を有するアゾ化合物またはアントラキノン化合物またはアントラセン系化合物の少なくとも1種のマゼンタ着色剤を含有する電子写真用トナーセットにおいて、該シアントナーのL表色系による色相角(h)が、170°≦h≦230°であることを特徴とする電子写真用トナーセット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色再現性、耐光性及び耐オゾンガス性に優れた、電子写真用トナーセットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法は種々開示されている通り、一般には光導電物質を含む感光体上に種々の手段により静電荷の電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで粉像として現像し、必要に応じて紙などに該粉像を転写した後、加熱、加圧あるいは溶剤蒸気などにより定着するものである。
【0003】
近年、分光された光で露光して原稿の静電潜像を形成せしめ、これを各色のカラートナーで現像して色付きの複写画像を得、あるいは各色の複写画像を重ね合わせてフルカラーの複写画像を得るカラー複写の方法が実用化され、これに用いるカラートナーとしてバインダー樹脂中に各色の顔料及び/又は染料を分散せしめてなるイエロー、マゼンタ、シアン等のカラートナーが製造されている。
【0004】
上述の電子写真法とは、一般に以下の工程により画像を形成するものである。
【0005】
まず、光導電性物質から構成された感光体上に種々の方法で画像情報に応じた光情報を照射することにより、前記感光体上に静電潜像を形成する。次に、感光体上に形成された前記静電潜像を帯電されたトナーによりトナー像として現像し、このトナー像を画像記録媒体(普通紙等や中間転写体等)に転写し、熱定着装置を用いて普通紙上に画像を定着する。
【0006】
そして、上述の電子写真法を用いたカラー画像形成方法において、感光体上に形成される静電潜像はイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に分解された画像情報に対応しており、それぞれの画像情報と同じ色のトナーを現像する。そして、この現像工程を各色毎に合計4回繰り返し行うことにより、カラー画像が形成される。
【0007】
従来から電子写真用トナーに使用される着色剤としては、公知の有機顔料及び染料が使用されているが、それぞれに種々の欠点を有している。例えば、有機顔料は染料に比べて一般的に耐熱性や耐光性に優れているが、トナー中において粒子状で分散された状態で存在するため隠蔽力が強くなってしまい、透明性が低下してしまう。また、一般に顔料の分散性は悪いため透明性が損なわれ、彩度が低下し、画像の色再現性を阻害する。
【0008】
顔料の欠点を解消する方法としては、例えば、顔料分散の手法としてフラッシング法を用いることにより、凝集2次粒子のない1次粒子によるサブミクロンオーダーの顔料分散径を達成することにより、透明性を向上させる手段や、顔料粒子を結着樹脂、及び外殻樹脂で被覆することにより帯電性、定着性、画像均一性を改良する手段が提案されている。しかしながら、これらに提案されているトナーによって出力した場合においても、顔料使用トナーの場合、未だ十分な透明性を得ることは困難である。
【0009】
また、カラー画像形成装置において、原理的には全ての色再現をイエロー、マゼンタ、シアンの3原色による減法混色により行うことができるが、現実には熱可塑性樹脂に顔料を分散したときの分光特性、異なる色のトナー同士を重ね合わせた時の混色性によって、色再現可能な範囲や彩度が低下させられるので、原稿の色を忠実に再現することにはまだまだ課題が多く残されている。
【0010】
一方、染料を用いたトナーや染料と顔料を混合したトナー等が公開されているが、一般に染料を用いたトナー中で染料は、トナーの結着樹脂中に溶解した状態で存在するため透明性や彩度等が優れているが、耐光性や耐熱性が顔料に比べて大きく劣るという欠点を有している。耐熱性に関しては、染料の分解による濃度の低下の他にトナー像を熱ローラーによって定着させる場合に、染料が昇華して機内汚染を生じ易く、且つ定着時に用いられるシリコンオイルに染料が溶解し、最終的には加熱ロールに融着しオフセット現象を引き起こすという問題があった。染料のこれらの欠点を解消するような提案として、例えば、マゼンタトナーとしてある特定のアントラキノン系染料やキレート染料を用いることにより耐光性や昇華性と色再現性を両立させる手段(例えば、特許文献1参照。)が考案されている。また、彩度の高いトナーとしては、例えば、スクアリリウム染料を用いたトナー(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
【0011】
一方、シアントナーの着色剤としては銅フタロシアニン顔料が良く知られており、有機溶媒可溶性のものも実用化されており、耐光性は非常に高いが、凝集などの影響によりその色調は未だ満足できるものではなかった。
【0012】
また、特許文献6には粉砕タイプのシアントナー用色素としてスクアリリウム染料を用いると彩度が高いことが記載されているが、耐光性が低いことが問題になってきている。更にアゾメチン色素を含有するトナーも提案されている(例えば、特許文献3参照)が、耐光性及び耐オゾンガス性を得ることは困難であった。
【0013】
そこで、ある特定の構造を有するスクワリリウム色素やテトラメチン色素、アゾメチン色素を熱可塑性樹脂に分散して用いることにより、色再現性、透明性に優れ、しかも耐熱性、帯電性、耐オフセットに優れた電子写真用トナーが提案されている(例えば、特許文献4〜7参照)。しかし、フルカラー画像を形成した場合、耐光性がいまだ不十分である上に耐オゾンガス性も不十分であり、光照射後及びオゾンガス曝露後のフルカラー画像の色相変化が著しいことが判明し、更なる改良が望まれた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3567403号公報
【特許文献2】特開2000−345059号公報
【特許文献3】特許第3513792号公報
【特許文献4】特開2001−342364号公報
【特許文献5】特開2007−316591号公報
【特許文献6】特開2007−328312号公報
【特許文献7】特開2007−121816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、シアン画像、マゼンタ画像のみならず、青色画像の色再現性に優れ、耐光性及び耐オゾンガス性に優れた電子写真用トナーセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
【0017】
1.シアントナー中に下記一般式(2)で表される色素の少なくとも1種を着色剤として含有し、かつマゼンタトナー中に複素環を有するアゾ化合物またはアントラキノン化合物または下記一般式(6)で表される化合物の少なくとも1種のマゼンタ着色剤を含有する電子写真用トナーセットにおいて、該シアントナーのL表色系による色相角(h)が、170°≦h≦230°であることを特徴とする電子写真用トナーセット。
【0018】
【化1】

〔式中、R、R、R、Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、Zは5員または6員の複素環または炭素環を表し、Zは5または6員の複素環を表す。〕
【0019】
【化2】

〔式中、Rd、Rd及びRdは各々置換基を表し、Zdは含窒素5〜6員複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、md1は0〜3の整数を表し、md2は0〜4の整数を表し、md3は0〜2の整数を表すが、md1、md2及びmd3が同時に0を表すことはない。md1が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよく、md2が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよく、md3が2のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよい。〕
【0020】
2.シアントナーの示すL表色系による色相角(h)が220から200の範囲であることを特徴とする前記1に記載の電子写真用トナーセット。
【0021】
3.前記一般式(2)におけるZが下記一般式(7−3)、(7−4)、(7−5)、(7−6)、(7−7)、または下記一般式(7−8)のいずれか一種、また一般式(2)におけるZが一般式(8−1)〜(8−3)のいずれか一種で表されることを特徴とする前記1または2に記載の電子写真用トナーセット。
【0022】
【化3】

【0023】
〔式中、R27〜R39は水素原子または置換基を表す。また*は結合部位を表す。〕
【0024】
【化4】

【0025】
〔式中、R40、R41は各々独立に水素原子または置換基を表し、*は結合部位を表し、R51〜R53は各々独立に水素原子または置換基を表し、n1、n2、n3は0〜2の整数を表し、n1、n2、n3が各々2の場合は、互いに結合して芳香環や複素環を形成していてもよい。X11、X12は酸素原子、硫黄原子、−(NR54)−、−CR5556−を表し、R54〜R56は各々独立に水素原子または置換基を表し、X11とX12の少なくとも一方が−(NR54)−を表し、X13、X14、X15は酸素原子、硫黄原子、−(NR57)−、−C(R5859)−を表し、R57〜R59は水素原子または置換基を表し、X13〜X15の少なくとも1つは酸素原子、硫黄原子または−(NR57)−を表し、**は結合部位を表す。〕
【発明の効果】
【0026】
本発明により、シアン画像、マゼンタ画像のみならず、青色画像の色再現性に優れ、耐光性及び耐オゾンガス性に優れた電子写真用トナーセットを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の電子写真用トナーセットは、シアントナー中に下記一般式(1)〜(5)で表される色素の少なくとも1種を着色剤として含有し、かつマゼンタトナー中に複素環を有するアゾ化合物またはアントラキノン化合物または下記一般式(6)で表される化合物の少なくとも1種類のマゼンタ着色剤を含有し、該シアントナーのL表色系による色相角(h)が、170°≦h≦230°であることを特徴とする。
【0028】
まず、本発明に用いられるシアントナーに含有することのできるシアン着色剤について説明する。
【0029】
シアン着色剤とは、該着色剤を含有するトナーを調製し、画像を形成した場合においてシアン色調となりうる着色剤である。
【0030】
本発明において用いられるシアントナーはシアン着色剤として前記一般式(1)〜(5)で表され、かつシアントナー単色として色相角が230から170の範囲であり、好ましくは220から200の範囲を示すことが特徴である。
【0031】
画像の色相の測定は、紙、プラスチック製シート等の任意の白色(L値が90以上、かつC値が7以下)基体上に形成されたトナー画像にて行う。測定には、色彩計「SPM50」(グレタグ社製)を用い、トナーの付着量等を制御して、トナー画像のL値を40〜60の範囲になるように調整する。測定条件は、測定光D50、視野角2°とする。測定によって得られるa値及びb値を用い、下記式
h=tan−1(b*/a*)
より、色相角度(h)を算出する。
【0032】
次に本発明で用いることができるシアントナーに含有するシアン着色剤の構造について説明する。
【0033】
前記一般式(1)において、Zは縮合環を有していても良い5または6員の複素環基または炭素環基を表す。Zで表される複素環基としては、フリル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、フラザニル基、ベンゾオキサゾリル基、フタラジル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、チアピラニル基、キサンテニル基、キノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、イソキノリニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、ペリミジニル基、アザフェナレン基から誘導される基が挙げられる。
【0034】
で表される炭素環基としては例えばシクロヘキサジエニル基、及びシクロヘキサジエノンやシクロヘキサジエンチオン等から誘導される基が挙げられる。これらに縮合可能な環としてはこれらには脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
【0035】
で表される縮合環を有していても良い5または6員の複素環基としては例えばZと同様の複素環基が挙げられる。Zで表されるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらに縮合可能な環としては例えばZ1に縮合可能な環と同様の環が挙げられる。
【0036】
、Zで表される基は更に置換基を有していても良く、該置換基としてはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基)、アシルアミノ基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、トリフルオロメチルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、ヘキシルスルホニルアミノ基、デシルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ハロゲン化アルキル(例えば、フッ化メチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、パーフルオロプロピル基)などが挙げられる。
【0037】
、Rは各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基を表し、置換基を有していても良く、該置換基としては前述のZ、Zに置換可能な基と同様の基が挙げられ、更に置換基を有していても良い。好ましくはR、Rは水素原子、アルキル基、アリール基である。
【0038】
一般式(1)においてZは好ましくは前記一般式(7−1)〜(7−7)の構造である。
【0039】
一般式(7−1)〜(7−7)においてR20〜R39は水素原子または置換基を表し、該置換基としては前述のZ、Zに置換可能な基と同様の基が挙げられ、更に同様の置換基を有していても良い。尚*は結合部位を表す。
【0040】
20〜R26として好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基である。
【0041】
27、R28として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基である。
【0042】
29〜R31として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、ハロゲン化メチル基、ニトロ基、シアノ基である。
32〜R39として好ましくはアリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、スルホニル基、カルバモイル基、ハロゲン化メチル基、ニトロ基、シアノ基である。
【0043】
は窒素原子または−C(R)=を表し、Rは水素原子または置換基を表し、該置換基としてはR20〜R26と同様の基が挙げられる。
【0044】
一般式(1)においてZは好ましくはアリール基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、イミダゾリル基、チエニル基が好ましく、より好ましくはアリール基、ピリジル基である。
【0045】
次に一般式(2)について詳細に説明する。
【0046】
〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基としてはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基を表す。好ましくはR〜Rは水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0047】
は5員または6員の複素環または炭素環を表し、置換基を有していても良く、複数の隣接する置換基が互いに結合して縮合環を形成しても良く、具体的には前記一般式(7−3)〜(7−7)、(7−8)で表される基が好ましい。
【0048】
一般式(7−8)において、R40、R41は各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基としてはアルキル基、アリール基、*は結合部位を表す。
【0049】
40で表される置換基としては例えば水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基、ハロゲン化アルキル基が挙げられ、好ましくはアルキル基(特にメチル基、t−ブチル基)、アリール基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化アルキル基である。
【0050】
41は好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン化アルキル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。
【0051】
は5または6員の複素環を表し、置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該置換基としてはZ、Zに置換可能な基と同様な置換基が挙げられる。
は好ましくは前記一般式(8−1)〜(8−3)で表される。R51、R52、R53は各々独立に水素原子または置換基を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アニリノ基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基である。
【0052】
n1、n2、n3は0〜2の整数を表し、n1、n2、n3が各々2以上の場合、互いに結合して芳香環や複素環を形成していても良い。
【0053】
11、X12は酸素原子、硫黄原子、−(NR54)−、−CR5556−を表し、X11とX12の少なくとも一方が−(NR54)−を表す。
【0054】
54〜R56は各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基としてはZ、Zに置換可能な基と同様の基が挙げられ、更に置換基を有していても良い。R54として好ましくはアルキル基であり、R55、R56として好ましくはR55、R56の少なくとも一方がアルキル基であり、更に好ましくはR55、R56の両方がアルキル基である。
【0055】
より好ましくは、X11とX12の少なくとも一方が−(NR54)−で、かつもう一方が硫黄原子または−CR5556−である。
【0056】
13、X14、X15は酸素原子、硫黄原子、−(NR57)−、−C(R5859)−を表し、R57〜R59は水素原子または置換基を表し、X13〜X15の少なくとも1つは酸素原子、硫黄原子または−(NR57)−を表し、**は結合部位を表す。
【0057】
57はR54と同義であり、R58、R59はR55、R56と同義である。
【0058】
次に一般式(3)について説明する。一般式(3)において、R〜R10は各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基としては一般式(2)におけるR〜Rと同義である。
【0059】
はヒドロキシル基、ヒドロキシルアニオン、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、好ましくはヒドロキシル基、またはヒドロキシルアニオンを表す。
【0060】
m1、m2は0または1を表し、好ましくはm1+m2=0または1であり、より好ましくはm1=m2=0である。
【0061】
、Zは各々独立に、縮合環を有していても良い5または6員の複素環または炭素環を表す。
【0062】
で表される5または6員の複素環基としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピリミジンジオン等から誘導される基等が挙げられる。また炭素環としてはシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン−4−オン、ナフタレン−4−オン等が挙げられる。これらは前述の置換基を有していても良く、該置換基としては前述のZ1、Z2に置換可能な基と同様の基が挙げられ、複数の隣接する置換基が共に結合して縮合環を形成していても良い。Zとして好ましくは前述の一般式(9−1)である。
【0063】
式中、R60は酸素原子、硫黄原子、=N(R6263)を表し、R62、R63は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基を表し、好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0064】
11〜L14は各々独立に窒素原子または−C(R66)=を表し、R66は水素原子または置換基を表す。該置換基としてはアルキル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン化メチル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基等が挙げられる。R66として好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化メチル基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基である。
【0065】
好ましくはL11〜L14のうち窒素原子は0個または1個である。
【0066】
で表される5または6員の複素環基としては、例えばピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピリミジンジオンの各基が挙げられる。また炭素環としてはシクロペンタジエン、ベンゼン、ナフタレンの各基が挙げられる。
【0067】
これらは前述の置換基を有していても良く、該置換基としては前述のZ、Zに置換可能な基と同様の基が挙げられ、複数の隣接する置換基が共に結合して縮合環を形成していても良い。Zとして好ましくは前述の一般式(9−2)である。
【0068】
61はヒドロキシル基、アルコキシ基、チオール基、チオアルキル基、−NR6465を表し、1、2は結合部位を表す。
【0069】
64、R65は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基を表し、好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0070】
15〜L18はZにおけるL11〜L14と同義であり、好ましくはL15〜L18のうち窒素原子は0個または1個である。
【0071】
一般式(4)においてXはヒドロキシル基、ヒドロキシルアニオン、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシルアニオンである。
【0072】
11、R12は各々独立に水素原子または置換基を表す。該置換基としては前述のZ、Zに置換可能な基と同様の基が挙げられ、更に同様の置換基を有していても良い。R11、R12として好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0073】
、Zは各々独立に、縮合環を有していても良い5または6員の複素環または炭素環を表す。
【0074】
としては具体的にはZと同様の基が挙げられ、更に置換基を有していても良く、該置換基としては前述のZ、Zに置換可能な基と同様の基が挙げられる。Zとして好ましくは一般式(8−1)〜(8−3)であり、より好ましくは一般式(8−1)である。
【0075】
としては一般式(3)におけるZと同様の基が挙げられ、好ましくは前記一般式(8−4)〜(8−6)である。R71〜R73は各々独立に置換基を表し、該置換基としては前述のZ、Zに置換可能な基と同様の基が挙げられ、更に置換基を有していても良い。
【0076】
k1は0から2までの整数を表し、k2、k3は0から4までの整数を表す。k1、k2、k3が2以上の場合、複数のR71、R72、R73は同一でも異なっていてもよく、互いに隣接するR71、R72、R73が互いに結合して縮合環を形成していても良い。
【0077】
74は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、スルホニル基を表し、更に置換基を有していても良い。好ましくはR74はアルキル基である。
【0078】
17、X18、X19は各々独立に酸素原子、硫黄原子、−(NR75)−、−C(R7677)−を表す。R75〜R77は水素原子または置換基を表し、R75はR54と同義であり、R76、R77はR55、R56と同義である。3は結合部位を表す。
【0079】
としてより好ましくは一般式(8−4)〜(8−6)である。
【0080】
一般式(5)において、R13〜R15は水素原子または置換基を表し、具体的には一般式(3)におけるR〜R10と同義である。
【0081】
、Z10は各々独立に縮合環を有していても良い5または6員の複素環または炭素環を表し、該複素環または炭素環としては一般式(3)におけるZと同様の環が挙げられる。Z、Z10は置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該置換基としては前述のZ、Zに置換可能な基と同様な置換基が挙げられる。
【0082】
好ましくはZは前記一般式(7−1)〜(7−8)であり、Z10は前記一般式(8−1)〜(8−3)である。
【0083】
は−OR17、−NR1819を表す。R17は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルボニル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。R18、R19は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルボニル基、スルホニル基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、カルボニル基、スルホニル基である。
【0084】
m3は0または1で表し、好ましくは1である。
【0085】
以下に本発明に用いることのできる前記一般式(1)〜(5)で表される色素の具体例を示すが、本発明に用いられる色素は下記の例に限定されない。尚、互変異性体や位置異性体が存在する場合、一種類の記述方法のみで記載するが、その互変異性体及び位置異性体に限定されず、又、複数の互変異性体または位置異性体の混合物も含まれる。
【0086】
【化5】

【0087】
【化6】

【0088】
【化7】

【0089】
【化8】

【0090】
【化9】

【0091】
【化10】

【0092】
【化11】

【0093】
【化12】

【0094】
【化13】

【0095】
【化14】

【0096】
【化15】

【0097】
【化16】

【0098】
【化17】

【0099】
【化18】

【0100】
【化19】

【0101】
【化20】

【0102】
【化21】

【0103】
【化22】

【0104】
【化23】

【0105】
【化24】

【0106】
【化25】

【0107】
【化26】

【0108】
【化27】

【0109】
【化28】

【0110】
【化29】

【0111】
【化30】

【0112】
【化31】

【0113】
【化32】

【0114】
【化33】

【0115】
【化34】

【0116】
【化35】

【0117】
【化36】

【0118】
本発明の色素は公知の方法により容易に製造することができる。
【0119】
本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表される化合物は、例えば特許3513792号公報、特開2001−342364号公報、特開2001−334755号公報、特開2007−121816号公報;特許3567403号公報、特開2001−159832号公報、特開2007−328312号公報;特開2000−345059号公報、特開2007−316591号公報等の各公報に記載された従来公知の方法により容易に合成することができる。
【0120】
本発明のシアン着色剤は、一般式(1)〜(5)で表される色素の中から単独で用いても良く、任意に2種以上併用させて用いても良い。
【0121】
本発明に用いられるシアントナーには、前記一般式(1)〜(5)の他に、シアン着色剤としては任意のものを併用することができる。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有する本発明に用いることができるシアン色素に該当しないアゾメチン染料もしくはメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることができる。
【0122】
次に本発明に用いられるマゼンタ着色剤について説明する。
【0123】
マゼンタ着色剤とは、該着色剤を含有する電子写真用トナーを調製し、画像を形成した場合においてマゼンタ色調となりうる着色剤である。該着色剤は、染料であっても良く、顔料であっても良い。
【0124】
本発明における複素環を有するアゾ化合物とは、上述したマゼンタ着色剤の性質を有し、−N=N−の形で表される2価の置換基であるアゾ基のいずれか一方または両方に複素環を有する化合物の事であり、下記一般式(10)で表される。
【0125】
一般式(10)
Ax−N=N−Bx
式中、Ax及びBxは各々独立に芳香族炭化水素基または複素環基を表す。ただし、AxまたはBxのいずれか一方は複素環基である。
【0126】
一般式(10)について更に説明する。AxまたはBxで表される芳香族炭化水素基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、等を挙げることができる。AxまたはBxで表される複素環基は、環を1個以上有し、その環に炭素原子のほか、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子のような元素を有する基をいう。AxまたはBxで表される複素環基は各々少なくとも1個以上の5員環または6員環構造を有している事が好ましい。
【0127】
このような少なくとも1個以上の5員環または6員環構造を有している複素環基の例としては、フリル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、フラザニル基、ベンゾオキサゾリル基、フタラジル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、チアピラニル基、キサンテニル基、キノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、イソキノリニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、ペリミジニル基、アザフェナレン基、等を挙げることができる。これらには脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
【0128】
AxまたはBxで表される芳香族炭化水素基または複素環基は更に置換基を有していても良い。置換基としては特に制限はないが、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、芳香族炭化水素基(アリール基とも言う)(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシ基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。AxまたはBxで表される芳香族炭化水素基または複素環基に複数の置換基が置換可能な場合、各々の置換基は同一でも良く、異なっていても良い。
【0129】
AxまたはBxのいずれか一方は複素環基であるが、両方複素環基であっても良い。AxまたはBxのいずれか一方が芳香族炭化水素基である場合、他方の複素環基は5員環構造であることが好ましい。
【0130】
一般式(10)で表されるアゾ化合物は更に下記一般式(11)であることがより好ましい。
【0131】
一般式(11)
Ax−N=N−Bx
式中、Axは少なくとも一つ以上の窒素原子または硫黄原子を含む複素5員環基を表し、Bxは芳香族炭化水素基または5員環または6員環構造を少なくとも1個以上含む複素基を表す。
【0132】
更に説明する。一般式(11)中、Axは少なくとも一つ以上の窒素原子または硫黄原子を含む5員複素環基を表し、このような複素環基の例としては、チエニル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、フラザニル基、ベンゾオキサゾリル基、等を挙げることができる。Bxは芳香族炭化水素基または5員環または6員環構造を少なくとも1個以上含む複素基を表し、芳香族炭化水素基の例としては上述したAxまたはBxで表される芳香族炭化水素基の例と同義の基を、5員環または6員環構造を少なくとも1個以上含む複素基の例としては上述したAxまたはBxで表される5員環または6員環構造を少なくとも1個以上含む複素基の例と同義の基を挙げることができる。Ax及びBxは、各々更に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
【0133】
Ax及びBxは、各々置換基を有していても良く、該置換基の例としては上述したAxまたはBxで表される芳香族炭化水素基または複素環基に置換可能な置換基の例と同義の基を挙げることができる。Ax及びBxに複数の置換基が置換可能な場合、各々の置換基は同一でも良く、異なっていても良い。
【0134】
一般式(10)及び一般式(11)で表されるアゾ化合物は更に下記一般式(12)または一般式(13)であることがより好ましい。
【0135】
【化37】

【0136】
式中、Axはチエニル基またはピロリル基またはイミダゾリル基またはピラゾリル基またはチアゾリル基またはイソチアゾリル基またはチアジアゾリル基またはベンゾチアゾリル基から選ばれる基を表し、Qx及びQxは各々独立に−CRx=、−CRx=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CRx=または−CRx=を表し、Xは窒素原子または−CRx=を表し、Rx及びRxは各々独立して水素原子、アルキル、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わし、Gx、Rx、Rx、Rxは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、複素環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、RxとRx、あるいはRxとRx、が結合して5〜6員環を形成してもよい。
【0137】
【化38】

【0138】
式中、Axはチエニル基またはピロリル基またはイミダゾリル基またはピラゾリル基またはチアゾリル基またはイソチアゾリル基またはチアジアゾリル基またはベンゾチアゾリル基から選ばれる基を表し、Rx及びRxはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。Qx及びQxは各々独立に−CRx=、−CRx=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CRx=または−CRx=を表し、Rx及びRxは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールスルフィニル基、アリールオキシ基またはアシルアミノ基を表す。それぞれの置換基は更に置換されていてもよい。
【0139】
一般式(12)及び一般式(13)について更に説明する。
【0140】
Ax及びAxはチエニル基またはピロリル基またはイミダゾリル基またはピラゾリル基またはチアゾリル基またはイソチアゾリル基またはチアジアゾリル基またはベンゾチアゾリル基から選ばれる基を表し、好ましくはチエニル基またはイミダゾリル基またはピラゾリル基またはチアゾリル基またはイソチアゾリル基またはチアジアゾリル基またはベンゾチアゾリル基であり、これらには脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよく、更に置換基を有していても良い。Ax及びAxに置換可能な基としては特に制限はないが、例としては上述したAxまたはBxで表される芳香族炭化水素基または複素環基に置換可能な置換基の例と同義の基を挙げることができる。Ax及びAxに置換可能な基として好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノスルホニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アルキルアミノカルボニル基、アミノ基、アニリノ基、ヒドロキシ基、スルファモイル基を挙げることができる。Ax及びAxに複数の置換基が置換可能な場合、各々の置換基は同一でも良く、異なっていても良い。
【0141】
Rx及びRxはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。Rx、Rxで表される好ましい置換基としては、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基が挙げられる。
【0142】
Rx、Rx、Gx、Rx、Rx、Rx、Rx及びRxが表す基の例としては上述したAxまたはBxで表される芳香族炭化水素基または複素環基に置換可能な置換基の例の中の該当する基で列挙した例と同義である。
【0143】
本発明におけるアントラキノン化合物は、上述したマゼンタ着色剤の性質を有するアントラキノン化合物であれば特に制限されない。
【0144】
本発明におけるアントラキノン化合物は下記一般式(14)または一般式(15)であることがより好ましい。
【0145】
【化39】

【0146】
式中、Ry及びRyは各々独立にアルキル基またはシクロアルキル基を表し、Ryはアルキル基またはシクロアルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基またはハロゲン原子またはアルコキシ基またはアリールオキシ基またはアルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、Ryはアルキル基またはシクロアルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基またはハロゲン原子またはアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、ny1は0から2の整数を、ny2は0から4の整数を表す。
【0147】
【化40】

【0148】
式中、Ryは一般式(14)中のRyと同義の基を表し、Ry6は一般式(14)中のRyと同義の基を表し、ny3は0から2の整数を、ny4は0から4の整数を表す。Zyはアミノ基又は水酸基を表す。
【0149】
一般式(14)及び一般式(15)について更に説明する。Ry及びRyは各々独立にアルキル基またはシクロアルキル基を表し、例としては上述したアルキル基またはシクロアルキル基と同義である。Ryはアルキル基またはシクロアルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基またはハロゲン原子またはアルコキシ基またはアリールオキシ基またはアルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、例としては上述したアルキル基またはシクロアルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基またはハロゲン原子またはアルコキシ基またはアリールオキシ基またはアルキルチオ基またはアリールチオ基と同義であり、好ましくはハロゲン原子である。Ryはアルキル基またはシクロアルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基またはハロゲン原子またはアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、ny1は0から2の整数を表し、ny1が2の場合、複数のRyは同じでも異なっていても良く、好ましくは1である。ny2は0から4の整数を表し、ny2が2から4の場合、複数のRyは同じでも異なっていても良く、好ましくは0または1である。Ryは一般式(14)中のRyと同義の基を表し、好ましくはアルコキシ基またはアリールオキシ基またはアルキルチオ基またはアリールチオ基である。Ryは一般式(14)中のRyと同義の基を表す。ny3は0から2の整数を表し、ny3が2の場合、複数のRyは同じでも異なっていても良く、好ましくは1である。ny4は0から4の整数を表し、ny4が2から4の場合、複数のRyは同じでも異なっていても良く、好ましくは0または1である。
【0150】
本発明に好適に用いられるアントラキノン化合物としては、特表平9−502470号、特開平7−43948号、特開2006−154363号、特開平8−314189号、特開平5−173369号、特開平5−257321号、特開平6−59509号、特開平6−59511号、特開平6−59512号、特開平6−148939号、特開平7−209912号、特開平8−152744号、特開平6−3858号、特開平8−15911号、特開平7−84416号、特開平8−123088号等公報に記載されている化合物を挙げることができる。
【0151】
次に一般式(6)で表される化合物について説明する。
【0152】
【化41】

【0153】
式中、Rd、Rd及びRdは各々置換基を表し、Zdは含窒素5〜6員複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、md1は0〜3の整数を表し、md2は0〜4の整数を表し、md3は0〜2の整数を表すが、md1、md2及びmd3が同時に0を表すことはない。md1が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよく、md2が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよく、md3が2のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよい。
【0154】
本発明における一般式(6)で表される化合物は、上述したマゼンタ着色剤の性質を有する化合物であれば特に制限されない。
【0155】
一般式(6)において、Rd、Rd及びRdは各々置換基を表す。Rd、Rd及びRdで表される置換基は特に制限はないが、該置換基の例としては上述したAxまたはBxで表される芳香族炭化水素基または複素環基に置換可能な置換基の例と同義の基を挙げることができる。これらの置換基は、同様の置換基によって更に置換されていてもよい。また、Rd、Rd及びRdの少なくとも一つは炭素数8以上30以下の直鎖のアルキル基で置換されており、且つRd、Rd及びRdの少なくとも一つは分岐のアルキル基で置換されている。炭素数8以上30以下の直鎖のアルキル基としては、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。炭素数8以上30以下の直鎖のアルキル基は置換基を有してもよく、置換基としては前記Rd及びRdで表される置換基の中のアルキル基及びシクロアルキル基を除く基と同様の基を挙げることができる。炭素数8以上30以下の直鎖のアルキル基は置換基を有さないのが好ましい。炭素数10以上20以下の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数12以上18以下の直鎖のアルキル基がより好ましい。分岐のアルキル基とは2級または3級の炭素原子を有するアルキル基を意味し、分岐のアルキル基としては、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1,3,3,−テトラメチルブチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、iso−ペンタデシル基、iso−ヘプタデシル基等を挙げることができる。分岐のアルキル基は置換基を有してもよく、置換基としては前記Rd及びRdで表される置換基と同様の基を挙げることができる。Rdとしては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アニリノ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基が好ましい。
【0156】
一般式(6)において、Zdは含窒素5〜6員複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zdが形成する複素環としては、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピリドン環が挙げられる。Zdが形成する複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環及びピリドン環が好ましい。
【0157】
一般式(6)において、md1は0〜3の整数を表し、md1が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよい。md1は1〜2が好ましい。md2は0〜4の整数を表し、md2が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよい。md2は0が好ましい。md3は0〜2の整数を表し、md3が2のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよい。md3は1〜2が好ましい。一般式(6)において、md1、md2及びmd3が同時に0を表すことはない。
【0158】
本発明における一般式(6)で表される化合物は下記一般式(6−1)または一般式(6−2)または一般式(6−3)であることがより好ましい。
【0159】
【化42】

【0160】
式中、Rd11、Rd12は各々置換基を表し、Rd13及びRd14は水素原子または置換基を表し、Zdは水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、md11は0〜2の整数を表し、md12は0〜4の整数を表す。md11が2のとき複数のRd11は互いに同じでも異なっていてもよく、md12が2以上のとき複数のRd12は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0161】
一般式(6−1)において、Rd11、Rd12、md11及びmd12は各々上述した一般式(6)中のRd、Rd、md1及びmd2と同義である。
【0162】
Rd13及びRd14は各々水素原子または置換基を表す。置換基としては、前記Rd及びRdで表される置換基と同様の基を挙げることができる。これらの置換基は、同様の置換基によって更に置換されていてもよい。Rd13は水素原子及びアルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基が更に好ましい。Rd14は水素原子、複素環基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましい。Zdは水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、アルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基が好ましい。
【0163】
【化43】

【0164】
式中、Rd21、Rd22は各々置換基を表し、Rd23及びRd24は水素原子または置換基を表し、Zdは水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、md21は0〜2の整数を表し、md22は0〜4の整数を表す。md21が2のとき複数のRd21は互いに同じでも異なっていてもよく、md22が2以上のとき複数のRd22は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0165】
一般式(6−2)において、Rd21、Rd22、md21及びmd22は各々上述した一般式(6)中のRd、Rd、md1及びmd2と同義である。
【0166】
Rd23及びRd24は各々水素原子または置換基を表す。置換基としては、前記Rd及びRdで表される置換基と同様の基を挙げることができる。これらの置換基は、同様の置換基によって更に置換されていてもよい。Rd23は水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基及びアニリノ基が好ましい。Rd24は水素原子、複素環基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましい。Zdは水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、アルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基が好ましい。
【0167】
【化44】

【0168】
式中、Rd31、Rd32は各々置換基を表し、Rd33は水素原子または置換基を表し、Zdは水素原子またはアルキル基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、md31は0〜2の整数を表し、md32は0〜4の整数を表す。md31が2のとき複数のRd31は互いに同じでも異なっていてもよく、md32が2以上のとき複数のRd32は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0169】
一般式(6−3)において、Rd31、Rd32、md31及びmd32は各々上述した一般式(6)中のRd、Rd、md1及びmd2と同義である。
【0170】
Rd33は各々水素原子または置換基を表す。置換基としては、前記Rd及びRdで表される置換基と同様の基を挙げることができる。これらの置換基は、同様の置換基によって更に置換されていてもよい。Rd33は水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、アリール基が更に好ましい。Zdは水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、アルキル基または芳香族炭化水素基または複素環基が好ましい。
【0171】
本発明に好適に用いられる一般式(6)で表される化合物としては、特開平7−84416号公報、特開2004−123899号公報、特開2004−190007号公報、特開2005−2223号公報、特開2005−60629号公報、特開2005−126587号公報、特開2005−146002号公報、特開2005−146002公報、特開2005−146193号公報、特開2005−154539号公報、特開2005−196018号公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0172】
以下に本発明のマゼンタ着色剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0173】
【化45】

【0174】
【化46】

【0175】
【化47】

【0176】
【化48】

【0177】
【化49】

【0178】
【化50】

【0179】
【化51】

【化52】

【0180】
【化53】

【0181】
【化54】

【0182】
【化55】

【0183】
【化56】

【0184】
【化57】

【0185】
本発明のマゼンタ着色剤は公知の方法により容易に製造することができる。
【0186】
本発明に係る前記一般式(10)から一般式(13)で表される化合物は、例えば、特開平5−297636号、特開平8−123089号、特開平8−123091号、特開平8−152745号、特開平8−166689号、特開平8−166690号、特開2002−371214号、特開2003−49099号、特開2005−255868号等の各公報に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
【0187】
本発明に用いられるアントラキノン化合物は例えば特表平9−502470号、特開平7−43948号、特開2006−154363号、特開平8−314189号、特開平5−173369号、特開平5−257321号、特開平6−59509号、特開平6−59511号、特開平6−59512号、特開平6−148939号、特開平7−209912号、特開平8−152744号、特開平6−3858号、特開平8−15911号、特開平7−84416号、特開平8−123088号公報等を参考に公知の方法により容易に製造することができる。
【0188】
本発明に用いられる一般式(6)で表される化合物は特開平7−84416号公報、特開2004−123899号公報、特開2004−190007号公報、特開2005−2223号公報、特開2005−60629号公報、特開2005−126587号公報、特開2005−146002号公報、特開2005−146002公報、特開2005−146193号公報、特開2005−154539号公報、特開2005−196018号公報等を参考に公知の方法により容易に製造することができる。
【0189】
その他にも、本発明のマゼンタ着色剤としては、例えば、「CMCテクニカルライブラリー 180 機能性顔料の技術」(株式会社シーエムシー出版)記載の顔料のうち、本発明のマゼンタ着色剤の用件を満たす顔料なども好適に用いることができる。
【0190】
本発明のマゼンタ着色剤は、複素環を有するアゾ化合物またはアントラキノン化合物または一般式(6)で表される化合物の中から任意に2種以上併用させて用いても良い。
【0191】
本発明に用いられるマゼンタトナーには、複素環を有するアゾ化合物、アントラキノン化合物、前記一般式(6)で表される色素の他に、マゼンタ着色剤としては任意のものを使用することができる。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールアゾ染料;例えばカプラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類などを有するアゾメチン染料もしくはメチン色素;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料、オキソノール染料などのようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環染料等を挙げることができる。
【0192】
本発明のカラートナーセットには、フルカラーの画像を形成するため、前述のシアントナーとマゼンタトナーに加えてイエロートナーを共に用いることができる。更に色調を整えるため更にブラックトナーを用いても良い。
【0193】
本発明のトナーセットに用いることのできるイエロートナーにはイエロー着色剤として任意のものを使用することができる。イエロー染料としては例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0194】
本発明のトナーセットに用いることのできるブラックトナーには、黒色材としてジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
【0195】
また、本発明のトナーセットに用いることのできるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーには着色剤として顔料も好ましく併用することが出来る。顔料としては例えば、「CMCテクニカルライブラリー 180 機能性顔料の技術」(株式会社シーエムシー出版)に記載の顔料等が挙げられるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0196】
更に、本発明のトナーセットに用いられる各色の着色剤には、色素の堅牢性を向上させる目的で金属イオンを含有する化合物を添加することもできる。
【0197】
金属イオンとしては、VIII族、Ib族、IIb族、IIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の金属原子から選ばれ、好ましくは2価の遷移金属イオンである。具体的にはNi、Cu、Co、Cr、Zn、Fe、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、更に好ましくはCu、Co、Znの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはCuの2価の金属イオンである。
【0198】
金属イオンの対イオンとしては、エノレート(アセチルアセトナート、ヘキサフルオロアセチルアセトナート)、ハロゲンイオン(フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイドなど)、水酸イオン、亜硫酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン、テトラアルキルボレート、サリシネート、ベンゾエート、PF6、BF4、SbF6等のアニオンが挙げられ、好ましくはエノレートアニオンである。
【0199】
(色素分散方法)
本発明のトナーセットに用いることのできるカラートナーは、色素の分散液を結着樹脂中に直接分散、或いは、着色微粒子分散液を混合し、更に後述する所望の添加剤を使用し、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化分散造粒法、カプセル化法等その他の公知の方法により製造することができる。これらの製造方法の中で、画像の高画質化に伴うトナーの小粒径化を考慮すると、製造コスト及び製造安定性の観点から乳化重合方が好ましい。乳化重合方は、乳化重合によって製造された熱可塑性樹脂エマルジョンを、染料固体分散物等、他のトナー粒子成分の分散液と混合し、pH調整により生成した粒子表面の反発力と電解質添加による凝集力のバランスを取りながら緩慢凝集させ、粒径・粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に加熱撹拌することで微粒子間の融着・形状制御を行うことによりトナー粒子を製造する。
【0200】
本発明のトナーセットに用いられるトナーは、ラテックス樹脂中に色素を着色微粒子として含有することが好ましい。ラテックス樹脂中に色素を着色微粒子として含有させる為には、例えば色素、もしくは、色素及び樹脂を水中で乳化分散するか、或いは色素、もしくは、色素及び樹脂を酢酸エチル、トルエンなどの水非混和性有機溶剤中に溶解(或いは分散)し、水中で乳化分散後、有機溶剤を除去するなどの方法により着色微粒子分散体を得る。得られた着色微粒子分散体を(熱可塑性)ラテックス樹脂と凝集させることにより得ることができる。乳化分散器は限定されないが例えば超音波分散器、高速攪拌型分散器等が用いられる。
【0201】
色素とともに溶解(或いは分散)する樹脂としては、熱可塑性樹脂と異なる組成であれば特に限定はされず、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アラミド樹脂などが挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの重合性エチレン性不飽和二重結合を重合させることによって得られる樹脂が好ましい。最も好ましくは(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂である。
【0202】
該染料の固体分散物は、粒径10nmから100nmの小粒子であることが好ましく、より好ましくは、10nmから80nmの小粒子である。固体分散物が小粒径、単分散であることにより光の散乱が抑えられ、光を遮断する隠蔽性粒子を無くすことができる。これらの効果によりトナーの単色における透明性が向上し色素の付着量に対し大幅に彩度を向上させることが可能となる。
【0203】
一方、色素の固体を界面活性剤と混合し媒体型攪拌機を用いて微粒化して得た着色微粒子分散体を(熱可塑性)ラテックス樹脂と凝集させることにより得ることもできる。
【0204】
(着色微粒子の作製方法)
次いで、本発明に係る好ましい形態の1つである着色微粒子の作製方法について説明する。
【0205】
本発明に係る着色微粒子は、前述の色素分散方法により得ることができ、更に樹脂を添加し外殻樹脂(シェル)で被覆する場合は、該着色微粒子に重合性不飽和二重結合を有するモノマーを添加し、活性剤の存在下、乳化重合を行い、重合と同時にコア表面に沈着させることによってコアシェル構造を有する着色微粒子を得ることができる。あるいは、例えば、乳化重合により予め樹脂微粒子の水性分散体を形成し、この樹脂微粒子水性分散体に染料を溶解した有機溶媒溶液を混合し、あとから樹脂微粒子中に染料を含浸した後、該着色微粒子をコアとして、シェルを形成する等の方法等、種々の方法により得ることができる。
【0206】
シェルを形成する外殻樹脂としては特に限定はされず、例えば、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アラミド樹脂などが挙げられるが、特にトナー結着樹脂(熱可塑性樹脂)との組み合わせの観点より、好ましくはポリ(メタ)アクリレート系樹脂である。
【0207】
シェルを形成する方法としては有機溶剤に溶解した樹脂を徐々に滴下し、析出と同時に樹脂を該着色微粒子コア表面に吸着させる方法などもあるが、本発明においては色素と樹脂を含有したコアとなる着色微粒子を形成した後、重合性不飽和二重結合を有するモノマーを添加し活性剤の存在下、乳化重合を行い、重合と同時にコア表面に沈着させシェルを形成する方法が好ましい。
【0208】
(反応性乳化剤)
本発明で好ましく用いられる反応性乳化剤としては、アニオン系、及びノニオン系のいずれの反応性乳化剤でもよいが、下記A、BまたはCの置換基を有する化合物が好ましい。
【0209】
A:直鎖アルキル基、分岐アルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基であって、総炭素数が6以上の置換基
B:界面活性能を発現するノニオン性置換基もしくはアニオン性置換基
C:ラジカル重合可能な重合性基。
【0210】
A項に記載の直鎖アルキル基としては、例えば、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられ、分岐アルキル基としては、例えば、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、芳香族基としては、例えば、フェニル基、ノニルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0211】
B項に記載の乳化能(界面活性能)を発現するノニオン性置換基もしくはアニオン性置換基としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、その共重合体のポリアルキレンオキサイドなどが挙げられる。アニオン性置換基の具体例としては、カルボン酸、リン酸、スルホン酸、それらの塩などが挙げられる。また、アルキレンオキサイドの末端に前述のアニオン性基が置換したものも、アニオン性基の具体例の一つである。B項で表される置換基としてはアニオン性基が好ましく、末端が塩になっているものがより好ましい。
【0212】
C項に記載のラジカル重合可能な重合性基とは、ラジカル活性種により重合、架橋反応を起こす基であり、例えば、エチレン性不飽和結合を有するビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、アクリル基、メタクリル基、マレイミド基、アクリルアミド基、スチリル基などが挙げられる。
【0213】
本発明に用いる反応性乳化剤として、下記一般式(A)〜(C)で表される化合物が好ましい。
【0214】
【化58】

【0215】
上記一般式(A)において、Rは炭素数6〜20の直鎖アルキル基、分岐アルキル基又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、例えば上記A項に記載のヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル基等の直鎖アルキル基、2−エチルヘキシル基等の分岐アルキル基、フェニル、ノニルフェニル、ナフチル基等の芳香族基などが挙げられる。
【0216】
はラジカル重合可能な重合性基を有する置換基を表し、例えば上記C項に記載のエチレン性不飽和結合である(メタ)アクリル、マレイミド基などが挙げられる。Y21はスルホン酸、カルボン酸、又はそれら塩を表す。
【0217】
一般式(A)で表される化合物は、当業者が公知の方法で合成し得ることができる。また、市販品より容易に入手することができ、例えば、花王社製の「ラムテル S−120」、「ラムテル S−120A」、「ラムテル S−180」、「ラムテル S−180A」や、三洋化成工業社製の「エレミノール JS−2」などを挙げることができる。
【0218】
【化59】

【0219】
上記一般式(B)において、Rは前記一般式(A)のRと同義であり、Rは上記一般式(A)のRと同義である。Y22は水素原子、スルホン酸、カルボン酸、もしくはそれらの塩を表す。AOはアルキレンオキシドを表す。
【0220】
一般式(B)で表される化合物は、当業者が公知の方法で合成し得ることができる。また市販品より容易に入手することができ、例えば、旭電化工業社製の「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」などのNEシリーズ、「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープSE−20N」、「アデカリアソープSE−20N」などのSEシリーズ、第一工業製薬社製の「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」などのRNシリーズ、「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−20」、「アクアロンHS−30」などのHSシリーズ、あるいはアクアロンBCシリーズなどを挙げることができる。
【0221】
【化60】

【0222】
上記一般式(C)において、Rは前記一般式(A)のRと同義であり、Rは前記一般式(A)のRと同義であり、Y32は前記一般式(A)のY21と同義であり、AOは前記一般式(B)のAOと同義である。
【0223】
一般式(C)で表される化合物は、当業者が公知の方法で合成し得ることができる。また市販品より容易に入手することができ、例えば、第一工業製薬社製の「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」、「アクアロンKH−20」などを挙げることができる。
【0224】
上記一般式(B)及び(C)において、アルキレンオキサイド鎖(AO)の平均重合度nが1〜10であることが好ましく、例えば、上記の第一工業製薬社製の「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」、「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」などを挙げることができる。
【0225】
また、本発明においては反応性乳化剤がアニオン性であることが好ましく、例えば、上述の「アデカリアソープSEシリーズ」(旭電化工業社製)、「アクアロンHSシリーズ」(第一工業製薬社製)、「ラテムルSシリーズ」(花王社製)、「エレミノールJSシリーズ」(三洋化成工業社製)などを挙げることができる。
【0226】
本発明において、これら反応性乳化剤の使用量は本発明に用いられる着色微粒子を形成している樹脂の合計100質量部あたり、一般に0.1〜80質量部用いられ、好ましくは1〜70質量部、特に好ましくは10〜60質量部用いられる。
【0227】
(界面活性剤)
本発明に用いられる着色微粒子調製時の乳化に際しては、必要に応じて、通常のアニオン系乳化剤(界面活性剤)、及び/又はノニオン系乳化剤(界面活性剤)を用いることができる。
【0228】
上記通常のノニオン系乳化剤として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマーなどを挙げることができる。
【0229】
また、上記通常のアニオン系乳化剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル類、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、及びその誘導体類などを挙げることができる。
【0230】
(添加剤)
本発明の電子写真用トナーには、耐光性、耐熱性向上のために酸化防止剤や紫外線吸収剤等の添加剤も好ましく用いることができる。
【0231】
該酸化防止剤としては耐光性を向上する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノールエーテル系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でも、特にフェノールエーテルが好ましく用いられる。
【0232】
紫外線吸収剤としてはトナーの保存性の観点から波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつトナー画像の色再現性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
【0233】
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができるが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号、特開2003−113317号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
【0234】
(粒径)
本発明における着色微粒子は、体積基準のメジアン径が10〜100nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜50nmである。体積基準のメジアン径が10nm以下になると単位体積あたりの表面積が非常に大きくなるため、着色微粒子の安定性が悪くなりやすく、保存安定性が劣化し易い。100nmを越える大粒子では、トナーでの単位色材量あたりの彩度が低下してしまう。体積基準のメジアン径は、動的光散乱法、レーザー回折法、遠心沈降法、FFF法、電気的検知体法などを用いて求めることが可能であるが、本発明ではマイクロトラックUPA−150(日機装株式会社)を用いて動的光散乱法で求めるのが好ましい。
【0235】
(熱可塑性樹脂)
本発明のトナーに含有される熱可塑性樹脂(結着樹脂)としては、着色微粒子との密着性が高くなる熱可塑性樹脂が好ましく、特に溶剤可溶性のものが好ましい。更にポリマーの前駆体が溶剤可溶性であれば、3次元構造を形成する硬化性樹脂も使用可能である。熱可塑性樹脂としては、一般にトナーの結着樹脂として用いられているものが特に制限なく用いられるが、例えば、スチレン系の樹脂やアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート等のアクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂あるいはエポキシ系樹脂などが好適に用いられるが、透明性や重ね合わせ画像の色再現性を高めるため、透明性が高く、溶融特性が低粘度でシャープメルト性の高い樹脂が要求される。このような特性を有する結着樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が適している。
【0236】
また結着樹脂としては、数平均分子量(Mn)が3000〜6000、好ましくは3500〜5500、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜6、好ましくは2.5〜5.5、ガラス転移点が50〜70℃、好ましくは55〜70℃及び軟化温度が90〜110℃、好ましくは90〜105℃である樹脂を使用することが望ましい。
【0237】
結着樹脂の数平均分子量が3000より小さいと、フルカラーのベタ画像を折り曲げた際に画像部が剥離して画像欠損が発生し(折り曲げ定着性が悪化し)、6000より大きいと定着時の熱溶融性が低下して定着強度が低下する。また、Mw/Mnが2より小さいと高温オフセットが発生しやすくなり、6より大きいと定着時のシャープメルト特性が低下して、トナーの透光性並びにフルカラー画像形成時の混色性が低下してしまう。
【0238】
また、ガラス転移点が50℃より低いとトナーの耐熱性が不十分となって、保管時にトナーの凝集が発生しやすくなり、70℃より高いと溶融しにくくなって定着性が低下すると共にフルカラー画像形成時の混色性が低下する。また、軟化温度が90℃より低いと高温オフセットが生じやすくなり、110℃より高いと定着強度、透光性、混色性及びフルカラー画像の光沢性が低下する。
【0239】
(トナー)
本発明のトナーは、上記の熱可塑性樹脂及び着色微粒子の他、公知の荷電制御剤、オフセット防止剤等を使用することができる。
【0240】
荷電制御剤としては特に限定されるものではない。カラートナーに用いる負荷電制御剤としては、カラートナーの色調、透光性に悪影響を及ぼさない無色、白色あるいは淡色の荷電制御剤が使用可能であり、例えば、サリチル酸誘導体の亜鉛やクロムの金属錯体、カリックスアレーン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物等が好適に用いられる。上記サリチル酸金属錯体としては、例えば、特開昭53−127726号公報、同62−145255号公報等に記載のものが、カリックスアレーン系化合物としては、例えば、特開平2−201378号公報等に記載のものが、有機ホウ素化合物としては、例えば、特開平2−221967号公報に記載のものが、有機ホウ素化合物としては、例えば、特開平3−1162号公報に記載のものが使用可能である。
【0241】
このような荷電制御剤を用いる場合、熱可塑性樹脂(結着樹脂)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5.0質量部使用することが望ましい。
【0242】
オフセット防止剤としても特に制限されることはなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜ろうワックス等が使用可能である。このようなワックスの添加量は、熱可塑性樹脂(結着樹脂)100質量部に対して0.5〜5質量部、好ましくは1〜3質量部が望ましい。これは添加量が0.5質量部より少ないと添加による効果が不十分となり、5質量部より多くなると透光性や色再現性が低下するためである。
【0243】
本発明のトナーは上記した熱可塑性樹脂(結着樹脂)、着色微粒子及びその他の所望の添加剤を使用し、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化分散造粒法、カプセル化法等その他の公知の方法により製造することができる。これらの製造方法の中で、画像の高画質化に伴うトナーの小粒径化を考慮すると製造コスト及び製造安定性の観点から乳化重合法が好ましい。
【0244】
乳化重合法は、乳化重合によって製造された熱可塑性樹脂エマルジョンを他の着色微粒子等、トナー粒子成分の分散液と混合し、pH調整により生成した粒子表面の反発力と電解質添加による凝集力のバランスを取りながら緩慢凝集させ、粒径・粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に加熱撹拌することで微粒子間の融着・形状制御を行うことによりトナー粒子を製造する。本発明に係るトナー粒子は、体積平均粒径を4〜10μm、好ましくは6〜9μmに調整することが画像の高精細再現性の観点から好ましい。
【0245】
本発明のトナーにおいては、トナーの流動性付与やクリーニング性向上等の観点から後処理剤を添加・混合して使用することができ、特に限定されるものではない。このような後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子やアルミナ微粒子、チタニア微粒子等の無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、またチタン酸ストロンチウムやチタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子等を使用することができ、単独あるいは異種の添加剤を併用して使用することが可能である。これらの微粒子は、耐環境安定性や耐熱保管性の観点からシランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコンオイル等で表面処理して用いることが望ましく、添加量はトナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部用いることが望ましい。
【0246】
本発明のトナーは、キャリアと混合して用いる2成分現像用トナーとして、またキャリアを使用しない1成分現像用トナーとして使用可能である。
【0247】
本発明のトナーと組み合わせて使用するキャリアとしては、従来より2成分現像用のキャリアとして公知のものを使用することができ、例えば、鉄やフェライト等の磁性体粒子からなるキャリア、このような磁性体粒子を樹脂で被覆してなる樹脂コートキャリア、あるいは磁性体微粉末を結着樹脂中に分散してなるバインダー型キャリア等を使用することができる。これらのキャリアの中でも、被覆樹脂としてシリコン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)またはポリエステル系樹脂を用いた樹脂コートキャリアを使用することがトナースペント等の観点から好ましく、特にオルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂にイソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したキャリアが、耐久性、耐環境安定性及び耐スペント性の観点から好ましい。上記ビニル系単量体としては、イソシアネートと反応性を有する水酸基等の置換基を有する単量体を使用する必要がある。また、キャリアの体積平均粒径は20〜100μm、好ましくは20〜60μmのものを使用することが高画質の確保とキャリアかぶり防止の観点から好ましい。
【0248】
(画像形成方法)
次に、本発明のトナーを用いる画像形成方法について説明する。
【0249】
本発明において、画像形成の方式については特に限定されるものではない。例えば、感光体上に複数の画像を形成し、一括で転写する方式、感光体に形成された画像を転写ベルトなどに逐次転写する方式など特に限定されないが、より好ましくは感光体上の複数の画像を形成し、一括で転写する方式である。
【0250】
この方式は感光体に対して均一帯電させ第一の画像に応じた露光を与え、その後第一回目の現像を行い、感光体上に第一のトナー像を形成させる。次いで、その第一の画像が形成された感光体を均一帯電し第二の画像に応じた露光を与え、第二回目の現像を行い、感光体上に第二のトナー像を形成させる。更に、第一及び第二の画像が形成された感光体を均一帯電し、第3の画像に応じた露光を与え、第3回目の現像を行い、感光体上に第3のトナー像を形成させる。更に、第一、第二及び第3の画像が形成された感光体を均一帯電し第四の画像に応じた露光を与え、第四回目の現像を行い、感光体上に第四のトナー像を形成させる。
【0251】
例えば、第一回目をイエロー、第二回目をマゼンタ、第3回目をシアン、第四回目を黒トナーで現像することで、フルカラートナー画像を感光体上に形成するものである。その後、感光体上に形成された画像を紙等の画像支持体に一括して転写を行い、更に画像支持体に定着し、画像を形成する。
【0252】
本方式では、感光体上に形成された画像を一括して紙等に転写し、画像を形成する方式であるため、所謂中間転写方式とは異なり、画像を乱す要因となる転写の回数が1回ですみ、画像品質を高くすることができる。
【0253】
感光体に現像する方式としては、複数の現像が必要であることから、非接触現像が好ましい。また、現像に際しては交番電界を印加する方式も好ましい方式である。また、前記した如く現像方式としては像形成体上に重ね合わせカラー画像を形成し、一括転写する方式については非接触現像方式が好ましい。
【0254】
二成分現像剤として使用することのできるキャリアの体積平均粒径は15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0255】
キャリアは更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させた所謂樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0256】
本発明に使用される好適な定着方法としては、所謂接触加熱方式を挙げることができる。特に、接触加熱方式の代表的なものとして、熱ロール定着方式及び固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
【0257】
(画像)
本発明のトナーを使用して現像・転写・定着を行う画像形成において、その転写から定着の状態は、転写材の上に転写された本発明のトナーが定着後においてもその着色微粒子が崩壊せず、トナー粒子中に分散された状態で紙の表面に付着した状態である。
【0258】
本発明においては、上記のように着色微粒子をトナー粒子中に分散させることにより、トナー粒子が高濃度の色素を含むにもかかわらず、色素がトナー粒子の表面に遊離しない(移行しない)ため、従来のように色素をそのまま熱可塑性樹脂(トナー結着樹脂)中に分散、もしくは溶解して得られた色素がトナー粒子表面に露出しているトナーの問題点である。
【0259】
1.帯電量が低い、
2.高温高湿下及び低温低湿下での帯電量の差が大きい(環境依存性)、
3.着色剤の種類、例えば、フルカラー画像記録のようにシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各顔料を用いる場合の各色トナーについて、帯電量がばらつく等を払拭することができる。
【0260】
また、転写材への熱定着の際、着色剤である色素の着色微粒子外への移行(着色微粒子表面への露出)が起こらないため、一般的な色素を使用したトナーにおいて問題となる熱定着時の色素の昇華やオイル汚染が生じることはない。
【実施例】
【0261】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
【0262】
1.トナーの作製
1−1.トナー1、2(混練・粉砕法によるトナー)の作製
下記トナー構成物をヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理した。
【0263】
ポリエステル樹脂 100質量部
(ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸の縮合物 重量平均分子量20,000)
色素1−17 2質量部
離型剤(ペンタエリスリトールテトラステアレート) 6質量部
荷電制御剤(ジベンジル酸ホウ素) 1質量部
混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粉砕処理し、更に、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行うことで、体積基準メディアン径が5.5μmの着色粒子を得た。
【0264】
次に、上記着色粒子に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、「トナー1」を作製した。
【0265】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm) 0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm) 0.8質量部
尚、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0266】
また、「トナー1」の作製において、「色素1−17」を「色素M−1」に変更した他は同様の手順で「トナー2」を作製した。
【0267】
1−2.トナー3〜29、比較トナー1〜7(乳化会合法によるトナー)の作製
(1)「着色剤微粒子分散液1」の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、「色素1−17」2質量部を徐々に添加し、「クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて分散処理を行って、「着色剤微粒子分散液1」を調製した。
【0268】
「着色剤微粒子分散液1」中の「着色剤微粒子1」は、体積基準メジアン径が98nmであった。尚、体積基準メジアン径は、「MICROTRAC UPA−150(HONEYWELL社製)」を用い、下記測定条件下で測定したものである。
【0269】
サンプル屈折率 1.59
サンプル比重 1.05 (球状粒子換算)
溶媒屈折率 1.33
溶媒粘度 0.797(30℃)、1.002(20℃)
0点調整 測定セルにイオン交換水を投入し調製した。
【0270】
(2)「コア部用樹脂粒子1」の作製
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有する「コア部用樹脂粒子1」を作製した。
【0271】
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に下記(構造式1)に示すアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部とともに投入し、界面活性剤水溶液を調製した。
【0272】
(構造式1) C1021(OCHCHSONa
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
【0273】
スチレン 532質量部
n−ブチルアクリレート 200質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A1」とする。なお、第1段重合で作製した「樹脂粒子A1」の重量平均分子量は16,500だった。
【0274】
(b)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に下記化合物からなる単量体混合液を投入し、続いて、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57(日本製蝋社製)」93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。この様にして単量体溶液を調製した。
【0275】
スチレン 101.1質量部
n−ブチルアクリレート 62.2質量部
メタクリル酸 12.3質量部
n−オクチルメルカプタン 1.75質量部
一方、前記アニオン界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に前記「樹脂粒子A1」を32.8質量部(固形分換算)添加し、更に、上記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エムテクニック社製)」で8時間混合分散した。前記混合分散により分散粒子径が340nmの乳化粒子を含有する乳化粒子分散液を調製した。
【0276】
次いで、前記乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌を行うことで重合(第2段重合)を行って樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A2」とする。尚、第2段重合で作製した「樹脂粒子A2」の重量平均分子量は23,000だった。
【0277】
(c)第3段重合
上記第2段重合で得られた「樹脂粒子A2」に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記化合物からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
【0278】
スチレン 293.8質量部
n−ブチルアクリレート 154.1質量部
n−オクチルメルカプタン 7.08質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合(第3段重合)を行い、重合終了後、28℃に冷却して「コア部用樹脂粒子1」を作製した。第3段重合で作製した。「コア部用樹脂粒子1」の重量平均分子量は26,800であった。
【0279】
(3)「シェル用樹脂粒子」の作製
前記「コア部用樹脂粒子1」の作製における第1段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行って「シェル用樹脂粒子1」を作製した。
【0280】
スチレン 624質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 120質量部
メタクリル酸 56質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
(4)「トナー3」の作製
下記の手順により「トナー3」を作製した。
【0281】
(a)コア部の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
コア部用樹脂粒子 420.7質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
着色剤粒子分散液1 200質量部
を投入、撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを8乃至11に調整した。
【0282】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温させ、上記粒子の会合を行った。この状態で「マルチサイザ3(コールター社製)」を用いて会合粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メジアン径が5.5μmになった時に、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して会合を停止させた。
【0283】
会合停止後、更に、熟成処理として液温を70℃にして1時間にわたり加熱撹拌を行うことにより融着を継続させて「コア部1」を作製した。
【0284】
「コア部1」の平均円形度を「FPIA2000(システックス社製)」で測定したところ、0.912だった。
【0285】
(b)シェルの形成
次に、上記液を65℃にして「シェル用樹脂粒子1」を96質量部添加し、更に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加した後、70℃まで昇温させて1時間にわたり撹拌を行った。この様にして、「コア部1」の表面に「シェル用樹脂粒子1」を融着させた後、75℃で20分間熟成処理を行ってシェルを形成させた。
【0286】
この後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加してシェル形成を停止した。更に、8℃/分の速度で30℃に冷却して生成した着色粒子をろ過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェルを有する「着色粒子3」を作製した。
【0287】
(c)外添処理
作製した「着色粒子3」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、「トナー3」を作製した。
【0288】
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm) 0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm) 0.8質量部
尚、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0289】
(5)「トナー4〜29」「比較トナー1〜7」の作製
「トナー3」の作製において、「色素1−17」を表1に示す各種着色剤に変更した他は同様の手順で「トナー4〜29」、「比較トナー1〜7」を作製した。
【0290】
1−3.「トナー30、31」(複合化したポリエステルトナー)の調製例
〈重縮合樹脂1の調製〉
ドデシルベンゼンスルホン酸 9.0質量部
1,9−ノナンジオール 200質量部
ドデカン二酸 287.5質量部
スチレン 500質量部
窒素を流しながら90℃/1.013×10Paで5時間、次いで、110℃/1.013×10Paにして2時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これに、スチレン200質量部を加え冷却管を付け、留出したスチレンが反応器に戻るようにした。その後、80℃/1atmで10時間反応を行い、粘調な液(重縮合樹脂1含有液)を得た。得られたポリエステルの一部を分析のため、風乾した後、60℃熱風乾燥し十分にスチレンを除去し分析に供した。重量平均分子量は25,000であった。該ポリエステルを示差熱分析したところ、融点は70.3℃の値を示した。
【0291】
〈樹脂粒子分散液(1)の調製〉
〔油相1の調製〕
重縮合樹脂1含有液 70質量部
アクリル酸 1.5質量部
ドデカンチオール 1.5質量部
ステアリルメタクリレート 1.5質量部
スチレン 21.6質量部
上記組成を秤量し、120℃で加熱し均一な油相1を調製した。添加したスチレン量は、総付加重合性単量体に対する重縮合樹脂1の質量比が65質量%になるように調整して加えた。
【0292】
〔水相1の調製〕
イオン交換水 200質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 1.6質量部
80℃に加熱したイオン交換水にドデシルベンゼンスルホン酸を溶解し水相1を調製し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で15分間乳化した後、油相1を投入し、8,000rpmで10分間更に乳化した。更にナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、吐出速度60(吐出圧力49.43MPa)で5パス分散し乳化物を得た。ドロップレットの体積平均粒径は0.5μmであった。撹拌機を備えた1リットルのリアクターに上記乳化物を投入し、1.6質量部の過硫酸アンモニウムを10質量部のイオン交換水に溶解した物を添加し窒素雰囲気下で6時間重合を行ったところ、メジアン径0.4μmの安定な樹脂粒子分散液を得た。得られた分散液を少量取り、複合重合体の物性を測定した。
【0293】
GPCによる付加重合型樹脂の重量平均分子量 15,000
GPCによるポリエステルの重量平均分子量 28,000
ポリエステルの融点 71℃
上記の様に得られた重合物はポリエステル−付加重合型樹脂の複合粒子である事が確認された。得られた樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分を20%に調整し、樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0294】
また、樹脂粒子分散液(1)中の樹脂粒子は、メジアン径が0.03μm以下又は5.0μm以上の粒子の全体比率(以下、「大小粒子全体比率」ともいう。)が6.1%であった。
【0295】
また、樹脂粒子分散液(1)の安定性を調べたところ、凝集物の発生は、まったく見られず分散液は安定な状態(◎)であった。
【0296】
〈着色剤粒子分散液(1)の調製〉
色素 1−57 50質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 5質量部
イオン交換水 200質量部
上記配合に従って、成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径(メジアン径)240nm、固形分量21.5%のシアン着色剤粒子分散液(1)を得た。
【0297】
〈着色剤粒子分散液(2)の調製〉
色素 M−29 50質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 5質量部
イオン交換水 200質量部
上記配合に従って、成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径(メジアン径)240nm、固形分量21.5%のマゼンタ着色剤粒子分散液(2)を得た。
【0298】
〈離型剤粒子分散液の調製〉
パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP9;融点70℃) 50質量部
アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製ダウファクス) 5質量部
イオン交換水200 質量部
上記配合に従って、成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で分散処理し、中心径(メジアン径)180nm、固形分量21.5%の離型剤粒子分散液を得た。
【0299】
〈トナー30の調製〉
樹脂粒子分散液(1) 210質量部(樹脂粒子42質量部)
着色剤粒子分散液(1) 40質量部(顔料8.6質量部)
離型剤粒子分散液 40質量部(離型剤8.6質量部)
ポリ塩化アルミニウム0.15質量部
イオン交換水300質量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を105質量部(樹脂粒子21質量部)追加して緩やかに撹拌した。
【0300】
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら85℃まで加熱した。85℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。
【0301】
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー30を得た。
【0302】
〈トナー31の調製〉
また、着色剤粒子分散液(1)を着色剤粒子分散液(2)に変更した以外はトナー30と同様の方法でトナー31を得た。
【0303】
1−4.「トナー32、33」の調製例(変性ポリマーのトナー)
(水系媒体の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業株式会社製)11質量部、スチレン80質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、チオグリコール酸ブチル12質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分にて15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱し系内温度を75℃まで昇温して5時間反応させた。次いで、該反応液に1質量%過硫酸アンモニウム水溶液を30質量部添加し、75℃にて5時間熟成してビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下「微粒子分散液1」と称する)を調製した。得られた「微粒子分散液1」は、レーザー回折式粒度分布測定器(「LA−920」;株式会社島津製作所製)で測定した体積平均粒径が120nmであった。また、得られた「微粒子分散液1」の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のガラス転移温度(Tg)は42℃であり、重量平均分子量(Mw)は30,000であった。その後、水990質量部、前記「微粒子分散液1」83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(以下「水相」と称する)を調製した。
【0304】
(ポリエステル(1)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を1.33×10〜2.00×10Paの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸45質量部を添加し、常圧下、180℃にて2時間反応させて、ポリエステル(1)を合成した。得られたポリエステル(1)は、数平均分子量(Mn)が2,500、重量平均分子量(Mw)が6,500、ガラス転移温度(Tg)が43℃、酸価が25であった。
【0305】
(プレポリマー(1)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、1.33×10〜2.00×10Paの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
【0306】
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が51であった。そして、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記「中間体ポリエステル」1410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(1)を合成した。得られたプレポリマー(1)の遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
【0307】
(ケチミンの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物を合成した。得られたケチミン化合物のアミン価は418であった。
【0308】
(乳化・分散)
タンク中に35%カルナバワックス酢酸エチル分散液170部、前記プレポリマー(1)267質量部、及び前記ケチミン化合物2.9質量部、色素5−23 31質量部、ポリエステル(1) 546質量部、酢酸エチル 1165部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて10分間混合した後、反応容器中に前記水相3350質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、回転数13,000rpmにて20分間混合してウレア化及び乳化・分散を行い、乳化スラリーを調製した。次いで、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した。その後、該乳化スラリーを45℃にて4時間熟成した。得られた乳化スラリーは、マルチサイザーII(コールターカウンター製)で測定した体積平均粒径が5.7μmであり、個数平均粒径が5.4μmであった。
【0309】
(洗浄・乾燥)
熟成後の前記乳化スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて30分間)した後、減圧濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、「最終濾過ケーキ1」を得た。ここで得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開きミキサーで解砕した後、目開き44μmメッシュで篩うと、トナー粒子(1)が得られた。
【0310】
次に、得られたトナー粒子(1)100部、帯電制御剤(オリエント化学社製ボントロンE−84)0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
【0311】
更に、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
【0312】
以上のようにして、トナー32を得た。
【0313】
尚、色素を色素5−23から色素M−73に変更した以外は同様の方法でトナー33を得た。
【0314】
1−5.「トナー34、35」の調製例(芳香族カルボン酸チタン化合物を用いたトナー)
〈低分子量樹脂成分(1)の合成〉
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけたガラス製4リットルの4つ口フラスコを油浴槽内に設置した。これに下記組成物を充填した。
【0315】
キシレン 500部
スチレン 60部
メタクリル酸メチル 40部
1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 10部
このフラスコを撹拌装置により150rpmにて撹拌しながら、油浴槽の温度を70〜80℃に段階的に調整し10時間反応させ重合を行った。
【0316】
反応後、得られた内容物をエバポレータにより溶剤除去し、メタノール中に沈殿させ低分子樹脂を精製した。得られた低分子量樹脂(1)の分子量を測定したところ、Mwで3200であった。
【0317】
〈ポリエステル樹脂の調製〉
[芳香族カルボン酸チタン化合物合成]
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いたガラス製4リットルの4つ口フラスコに、イソフタル酸65.3部、エチレングリコール18.0部を混合し、温度100℃で溶解し、減圧し、脱水を行った。その後50℃に冷却後、窒素雰囲気下で、チタンテトラメトキシド17.2部を加えた。その後、減圧させ、反応生成物であるメタノールを留出し、芳香族カルボン酸チタン化合物(1)を得た。
【0318】
[ポリエステル樹脂合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装着した反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物694部、テレフタル酸303部及び芳香族カルボン酸チタン化合物(1)1部を入れ、230℃で窒素気流下において、生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで6.7×10〜2.7×10Paの減圧下で反応させ、酸価が1になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸27部を加え、常圧で密閉して1時間反応させた。その後取り出してポリエステル樹脂(1)を得た。
【0319】
ポリエステル樹脂(1)は淡黄褐色の樹脂であり、ガラス転移温度Tgは68℃、ピーク分子量は9,500、ピーク分子量とTgの比は140(℃)−1であった。また、酸価は12mgKOH/g、水酸基価は17mgKOH/gであった。
【0320】
〈トナー34の調製〉
下記の手順によって水系媒体中にて重合法トナーを作製した。
【0321】
60℃に加温したイオン交換水900gに、リン酸マグネシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を作製した。
【0322】
また、下記処方をTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、60℃に加温した後、用いて、9,000rpmにて撹拌し、溶解、分散した。
【0323】
スチレン64部
n−ブチルアクリレート 16部
低分子量樹脂(1) 20部
エステルワックス(ペンタエリスリトールステアレート、酸価4) 8部
色素 3−9 8部
ベンジル酸ホウ素錯体(日本カーリット:LR−147) 2部
ポリエステル樹脂(1) 10部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10000、Mn=6000)
ステアリン酸ステアリルワックス(DSCのメインピーク60℃) 15部
これに重合開始剤1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)2.5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌し、造粒した。
【0324】
その後、プロペラ式撹拌装置に移して撹拌しつつ、2時間かけて70℃に昇温し、更に4時間後、昇温速度40℃/Hrで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行った。その後、蒸留によりスチレンモノマーを除去し反応を完了した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子1を得た。
【0325】
上記トナー粒子100部に対して、シリカ(アエロジル社製R972)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合してトナー34を得た。
【0326】
〈トナー35の調製〉
色素を「色素3−9」から「色素M−45」に変更した以外は同様の方法でトナー35を得た。
【0327】
1−6.ブラックトナーBK−1の調製
(着色剤の分散)
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)400.0gを徐々に添加し、次いで、機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。この分散液における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
【0328】
(凝集・融着)会合
コア用ラテックス 2L
イオン交換水 670g
着色剤分散液 400g
上記を、温度センサ、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた5Lの反応容器に入れ攪拌し、液温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
【0329】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物60gをイオン交換水60mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて99℃まで昇温し、粒子径を成長させ会合反応を行った。その状態で、コールターマルチサイザーIIIにて会合粒子の粒径を測定し、体積平均メジアン径が5μmになった時点で、塩化ナトリウム8.5gをイオン交換水35mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
【0330】
更に、シェル用ラテックス530gを添加し、4時間にわたり加熱攪拌を継続し、コア用ラテックス1の凝集粒子表面にラテックス2Lを融着させた。ここで、塩化ナトリウム17gを加え粒子成長を停止させた後、シェル用ラテックスの融着のため、97℃にて過熱攪拌を行った。所望の円形度になった時点で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、攪拌を停止した。
【0331】
その後、「トナー3」と同様の外添処理により「トナーBK−1」を作製した。
【0332】
1−7.イエロートナーY−1の調製
トナー1リーガル330RをC.I.ピグメントイエロー185に変更した他はブラックトナーBK−1と同様の操作により「トナーY−1」を調製した。
【0333】
1−8.「現像剤1〜35」、「比較用現像剤1〜7」、「現像剤BK−1」、「現像剤Y−1」の調製
上記「トナー1〜35」及び「比較用トナー1〜7」、「トナーY−1」、「ブラックトナーBK−1」の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の「現像剤1〜35」、「比較用現像剤1〜7」、「現像剤BK−1」、「現像剤Y−1」を調製した。
【0334】
《トナーの評価》
評価は、図1の二成分系現像方式の画像形成装置に対応する市販の複合プリンタ「bizhub Pro C500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に、作製したシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各現像剤を投入した。
【0335】
また、図4に示すベルト定着方式の定着装置を上記プリンタに搭載して、評価を行った。なお、前述のベルト定着方式の定着装置における加熱ローラの表面材質、表面温度等の各種条件を以下の様にした。
【0336】
定着速度:230mm/sec
加熱ローラの表面材質:ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)
加熱ローラの表面温度:125℃
評価は、上記評価装置に上記で作製したトナーを順番に装填し、常温常湿(20℃、55%RH)の環境下で、表3に示すトナーセットNo.1〜32について、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグリーン、レッド、ブルー、グレーの各色が濃度0.7〜1.8になるように階段状に濃度が変化した単色及び混色の画像パターンを、L値が94.5、C値が3.4の普通紙複写機用紙上に出力し、出力画像を評価した。
【0337】
(シアントナーの色相角)
シアン単色でL値が40〜60の部分を色彩計「SPM50」(グレタグ社製)を用いて、測定光D50、視野角2°の測定条件で未定着画像のL値、a値及びb値を測定し、更に前記式に従って色相角度(h)を算出し、下記のように4段階で評価した。
【0338】
A:色相角(h)が220≧h≧200の範囲である
B:色相角(h)が225≧h>220または200>h≧180の範囲である
C:色相角(h)が230≧h>225または180>h≧170の範囲である
D:色相角(h)がh>230またはh<170の範囲である
(マゼンタトナーの色再現性)
マゼンタ画像パターンの色再現性を10人の被験者により5段階で目視評価を実施した。10人の合計が45以上をA、39〜44はB、33〜38をC、32以下をDとした。
【0339】
(シアン、マゼンタトナーの耐光性評価)
作製したシアンまたはマゼンタ画像の記録直後、及び画像にスガ試験機社製「キセノンロングライフウェザーメーター」(キセノンアークランプ、70000ルックス、24.0℃)による14日間の暴露試験を行った後の画像についてMacbeth Color−Eye7000により測定し、シアンまたはマゼンタの色素残存率として(光照射後濃度)/(光照射前濃度)の値を下記の4段階で評価した。
【0340】
◎◎:色素残存率が0.95以上
◎ :色素残存率が0.90以上0.95未満
○ :色素残存率が0.80以上0.90未満
△ :色素残存率が0.70以上0.80未満
× :色素残存率が0.70未満
〔耐オゾン性試験方法〕
オゾンガス濃度が5ppm(25℃;60%RH)に設定された条件下で各色及び混色した画像を7日間、オゾンガスに曝露した。オゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。曝露開始から一定期間経過毎に、Macbeth Color−Eye7000を使用して各色及び混色した画像のシアン色素の色素残存率を測定した。尚、前記反射濃度は、0.7、1.0及び1.8の3点で測定した。得られた結果から次式:色素残存率(%)=(暴露前濃度/暴露前濃度)×100%を用いて色素残存率を求め、下記の判定基準を用いて、記録物に記録されたシアン色及びマゼンタ色の耐オゾン性を5〜1にランク付けた。
【0341】
5:試験開始から7日後のRODが、いずれの濃度でも85%以上である。
【0342】
4:試験開始から7日後のRODが、いずれか1点の濃度が85%未満になる。
【0343】
3:試験開始から7日後のRODが、いずれか2点の濃度が85%未満になる。
【0344】
2:試験開始から7日後のRODが、いずれか2点の濃度が80%未満になる。
【0345】
1:試験開始から7日後のRODが、全ての濃度で75%未満になる。
【0346】
シアン画像の色相角、耐光性、耐オゾンガス性の評価結果を表1に、マゼンタ画像の色再現性、耐光性、耐オゾンガス性の評価結果を表2に示す。
【0347】
【表1】

【0348】
【表2】

【0349】
【化61】

【0350】
(ブルー画像パターンの評価)
〈青色再現性〉
作製したブルー画像のパターンについて色再現性を10人により目視で5段階評価した。評価方法は青色再現性を10人の被験者により5段階で目視評価を実施した。
【0351】
10人の合計が45以上をA、39〜44はB、33〜38をC、32以下をDとした。
【0352】
〈青色画像の光照射後の色相変化〉
シアン、マゼンタ画像を評価したのと同じ光照射条件で、光照射前後のブルー画像の耐光性を評価した。評価方法は光照射後のサンプルについて青色再現性を10人の被験者により5段階で目視評価を実施した。10人の合計が45以上をA、39〜44はB、33〜38をC、32以下をDとした。
【0353】
〈耐オゾンガス性評価〉
シアン、マゼンタ単色と同様に、ブルー画像についても同様の条件でオゾン曝露試験を行った。評価方法としては、オゾン曝露前後の青色の色相変化を10人の被験者により目視にて行い、5点満点で評価を行った。10人の合計が45以上をA、39〜44はB、33〜38をC、32以下をDとした。
【0354】
表3に青色画像の評価結果を示す。
【0355】
【表3】

【0356】
表3のように、本発明のカラートナーセットに用いられるシアントナーとマゼンタトナーの組み合わせにより、シアンまたはマゼンタトナー単独の色再現性や耐光性、耐オゾン性から想像された以上に良好な青色画像の色再現性が得られ、更に光照射やオゾン曝露による色相変化が少ないことが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアントナー中に下記一般式(2)で表される色素の少なくとも1種を着色剤として含有し、かつマゼンタトナー中に複素環を有するアゾ化合物またはアントラキノン化合物または下記一般式(6)で表される化合物の少なくとも1種のマゼンタ着色剤を含有する電子写真用トナーセットにおいて、該シアントナーのL表色系による色相角(h)が、170°≦h≦230°であることを特徴とする電子写真用トナーセット。
【化1】

〔式中、R、R、R、Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、Zは5員または6員の複素環または炭素環を表し、Zは5または6員の複素環を表す。〕
【化2】

〔式中、Rd、Rd及びRdは各々置換基を表し、Zdは含窒素5〜6員複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、md1は0〜3の整数を表し、md2は0〜4の整数を表し、md3は0〜2の整数を表すが、md1、md2及びmd3が同時に0を表すことはない。md1が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよく、md2が2以上のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよく、md3が2のとき複数のRdは互いに同じでも異なっていてもよい。〕
【請求項2】
シアントナーの示すL表色系による色相角(h)が220から200の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーセット。
【請求項3】
前記一般式(2)におけるZが下記一般式(7−3)、(7−4)、(7−5)、(7−6)、(7−7)、または下記一般式(7−8)のいずれか一種、また一般式(2)におけるZが一般式(8−1)〜(8−3)のいずれか一種で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナーセット。
【化3】

〔式中、R27〜R39は水素原子または置換基を表す。また*は結合部位を表す。〕
【化4】

〔式中、R40、R41は各々独立に水素原子または置換基を表し、*は結合部位を表し、R51〜R53は各々独立に水素原子または置換基を表し、n1、n2、n3は0〜2の整数を表し、n1、n2、n3が各々2の場合は、互いに結合して芳香環や複素環を形成していてもよい。X11、X12は酸素原子、硫黄原子、−(NR54)−、−CR5556−を表し、R54〜R56は各々独立に水素原子または置換基を表し、X11とX12の少なくとも一方が−(NR54)−を表し、X13、X14、X15は酸素原子、硫黄原子、−(NR57)−、−C(R5859)−を表し、R57〜R59は水素原子または置換基を表し、X13〜X15の少なくとも1つは酸素原子、硫黄原子または−(NR57)−を表し、**は結合部位を表す。〕

【公開番号】特開2012−212175(P2012−212175A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152368(P2012−152368)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2008−71185(P2008−71185)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】