説明

電子商取引装置、電子商取引方法、電子商取引プログラム、及びそのプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記録媒体

【課題】電子商取引において商品の購入をより効果的に促進させる。
【解決手段】ECサーバ10は、第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期としてアクセス履歴データベース24に記録する。ECサーバ10は、基準時期より後にユーザが商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する価格調整部12bと、第1の販売条件に代えて第2の販売条件を該ユーザに提示するページ送信部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、電子商取引装置、電子商取引方法、電子商取引プログラム、及びそのプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子商取引においては、取引を活発にするために従来から様々な工夫が為されている。例えば下記特許文献1には、値下げを期待する消費者の買い控えという背景を考慮して、情報通信手段を通じて販売する物品の販売成立件数を増加させるための管理システムが記載されている。この管理システムでは、物品の価格が、当該物品の販売開始時点から、時間の経過とともにまたは予約販売成立の数の増加とともに連続的にまたは不連続的に一定の金額(終末的な価格)まで物品ごとに一律に上昇し、ユーザが物品の購入に対して支払う金額は、価格情報と、購入申込を受け付けたタイミングとによって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−7829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商品の販売開始当初から当該商品の存在を認識するユーザはごく僅かなので、上記特許文献1の手法を用いたとしても、大半のユーザは、価格変動が終わった後の条件(終末的な条件)の下でしか当該商品を購入することができない。結局、大半のユーザにとっては商品の価格が固定されているようにしか見えないので、商品の購入が促進されるとはいえない。
【0005】
本発明の一側面は、上記の問題点を解決し、電子商取引において商品の購入をより効果的に促進させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る電子商取引装置は、第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録部と、基準時期より後にユーザが商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整部と、第1の販売条件に代えて第2の販売条件を該ユーザに提示する提示部とを備える。
【0007】
本発明の一形態に係る電子商取引方法は、電子商取引装置により実行される電子商取引方法であって、第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録ステップと、基準時期より後にユーザが商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整ステップと、第1の販売条件に代えて第2の販売条件を該ユーザに提示する提示ステップとを含む。
【0008】
本発明の一形態に係る電子商取引プログラムは、第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録部と、基準時期より後にユーザが商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整部と、第1の販売条件に代えて第2の販売条件を該ユーザに提示する提示部とをコンピュータに実行させる。
【0009】
本発明の一形態に係るコンピュータ読取可能な記録媒体は、第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録部と、基準時期より後にユーザが商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整部と、第1の販売条件に代えて第2の販売条件を該ユーザに提示する提示部とをコンピュータに実行させる電子商取引プログラムを記録する。
【0010】
このような形態によれば、ユーザが商品情報にアクセスした基準時期以降の経過時間又はアクセス回数に基づいて、その商品の販売条件がそのユーザにとって不利なように調整される。そして、調整前の第1の販売条件に代えて、調整後の第2の販売条件がそのユーザに提示される。これにより、ユーザにとっては、購入の決断が早いほど自身の購入条件が有利になるので、ユーザ毎に早期の購入を促すことができる。その結果、電子商取引における商品購入をより効果的に促進させることができる。
【0011】
別の形態に係る電子商取引装置では、記録部が、基準時期より後のユーザによる商品情報へのアクセス態様を記憶部にさらに記録し、調整部が、さらにアクセス態様に基づいて、第2の販売条件を設定してもよい。基準時期より後のユーザによる商品情報へのアクセス態様も考慮して販売条件を調整することで、ユーザに早期の購入を効果的に促すことができる。
【0012】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、販売条件が数値で示され、調整部が、単位時間当たりの販売条件の変化率を用いて、該基準時期からの経過時間に応じて第2の販売条件を設定してもよい。これにより販売条件が単位時間毎に次第にユーザにとって不利になっていくように当該販売条件を調整することができる。
【0013】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、商品がユーザにより購入候補として選択された場合には、該商品が購入候補として選択された時から所定の期間における第1の変化率を、該所定の期間以外の期間における第2の変化率よりも小さくしてもよい。購入候補として選択された商品の販売条件が変わると購入を阻害することにもなり得るので、当該商品の販売条件の変化率を小さくすることでその購入をユーザに促すことができる。
【0014】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、購入者が商品を購入したことを示す購入情報を記憶する購入データベースを参照して所定の期間における商品の販売数を求め、該販売数の増加に応じて変化率を大きくしてもよい。販売数が多い商品はユーザにとって注文しやすいものなので、販売数を考慮して変化率を設定することで、そのような商品の購入をさらに後押しすることができる。
【0015】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、購入者が購入商品に付与した評価値を示す評価情報を記憶する評価データベースを参照して商品の評価値の統計値を求め、該統計値の増加に応じて変化率を大きくしてもよい。評価値が高い商品はユーザにとって注文しやすいものなので、評価値を考慮して変化率を設定することで、そのような商品の購入をさらに後押しすることができる。
【0016】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、ユーザの端末の種類を示す端末情報を該端末から取得し、該端末上で同時に表示可能なウェブページの個数を該端末情報に基づいて判定し、該同時に表示可能なウェブページの個数の増加に応じて変化率を小さくしてもよい。複数のウェブページを同時に閲覧することが困難な環境であるほど、ユーザが購入を即決する傾向が見られる場合があるので、このように変化率を設定することでその傾向を後押しすることができる。
【0017】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、商品情報が閲覧者に提示されたことを示す閲覧情報を記憶する閲覧データベースと、購入者が商品を購入したことを示す購入情報を記憶する購入データベースとを参照して、ユーザに商品情報が提示されてから該ユーザが該商品情報で示される商品を購入するまでの時間の統計値を算出し、該統計値の増加に応じて変化率を小さくしてもよい。購入を即決する傾向があるユーザの変化率を高めに設定することで、その傾向を後押しすることができる。
【0018】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、ユーザに適用される変化率の増加に応じて、第1の販売条件を該ユーザにとって有利な条件に設定してもよい。第1の販売条件をユーザにとってより有利な値に設定するとともに販売条件の変化率を大きくすることで、当該ユーザに早期の購入を効果的に促すことができる。
【0019】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、第1の販売条件から、ユーザに適用される商品の最終的な販売条件である終末条件までの範囲で第2の販売条件を設定し、調整部が、商品の終末条件が、該商品と同一又は類似であり、且つユーザにより購入候補として選択されている他の商品の現在の販売条件よりもユーザにとって不利である場合には、該終末条件を該他の商品の現在の販売条件と同じに設定してもよい。このように、他の商品を考慮して商品の販売条件を変えることで、ユーザに商品の購入を促すことができる。
【0020】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、商品の在庫を示す商品情報を記憶する商品データベースを参照して商品の在庫数を取得し、該在庫数の減少に応じて変化率を小さくしてもよい。在庫が少ない商品の購入が促進されると逆に在庫切れの可能性が生じるので、その在庫切れを回避するために変化率を設定することは有効である。
【0021】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、商品情報が閲覧者に提示されたことを示す閲覧情報を記憶する閲覧データベースを参照して、商品の販売条件の調整を受けているユーザ数を求め、該ユーザ数の増加に応じて変化率を小さくしてもよい。一定数以上のユーザがアクセスしている商品の購入が促進されると逆に在庫切れの可能性が生じるので、その在庫切れを回避するために変化率を設定することは有効である。
【0022】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、アクセス回数に基づいて第2の販売条件を設定する場合に、基準時期以後のm回目のアクセスの終了からn回目のアクセスの開始までの時間間隔に応じて、該n回目のアクセスに対応する第2の販売条件を設定してもよい。ここで、m<nである。このような時間間隔を考慮して販売条件を調整することで、ユーザに早期の購入を効果的に促すことができる。
【0023】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、調整部が、ユーザが商品情報に次にアクセスした場合の第2の販売条件を次回条件として求め、提示部が、次回条件をユーザに提示してもよい。このように、現在よりも不利になる将来の販売条件を事前にユーザに伝えることで、ユーザにその商品の購入を効果的に促すことができる。
【0024】
さらに別の形態に係る電子商取引装置では、第1及び第2の販売条件が商品の価格で示され、第2の販売条件に対応する価格が、第1の販売条件に対応する価格よりも高くてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一側面によれば、商品の販売条件がユーザごとに変動するため、各ユーザは、決断が早ければ早いほどより有利な条件で商品を購入することができる。よって、電子商取引において商品の購入をより効果的に促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態に係る電子商取引システム(ECシステム)の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すECサーバのハードウェア構成を示す図である。
【図3】アクセス履歴の例を示す図である。
【図4】割引率情報の例を示す図である。
【図5】図1に示すECサーバの機能構成を示すブロック図である。
【図6】時間経過に応じて割引率及び価格を調整する例を示す図である。
【図7】アクセス回数に応じて割引率及び価格を調整する例を示す図である。
【図8】時間経過に応じて調整された割引率及び価格の表示例を示す図である。
【図9】アクセス回数に応じて調整された割引率及び価格の表示例を示す図である。
【図10】図1に示すECシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図11】図1に示すECシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】実施形態に係る電子商取引プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
まず、図1〜9を用いて、実施形態に係る電子商取引システム(以下では「ECシステム」という)1の機能及び構成を説明する。ECシステム1は、複数の仮想店舗(以下では単に「店舗」という)を含んで構築される仮想商店街のウェブサイト(ECサイト)をユーザに提供するコンピュータシステムである。図1に示すように、ECシステム1は、ECサーバ(電子商取引装置)10と、ECサイトに関する処理に必要な各種データベースから成るデータベース群20と、1以上のユーザ端末30と、1以上の店舗端末40とを備えている。ECサーバ10はインターネットや専用回線などで構成される通信ネットワークNを介して、データベース群20、ユーザ端末30、及び店舗端末40と通信することができる。
【0029】
ECシステム1により、ユーザは各店舗の商品の情報を閲覧したり商品を購入する手続を行ったりすることができる。本実施形態では、ユーザがECサイトの会員であって、ユーザを特定するためのユーザIDをECシステム1から付与されており、ECサイトにログインした上で商品情報の閲覧や商品の購入手続を行うことを前提とする。ECシステム1では、一の店舗における一の商品の割引率をユーザ毎に変動させる。以下では、割引率を調整する対象である、一のユーザに対する特定店舗の特定商品のことを、「対象商品」ともいう。具体的には、対象商品の情報が最初にユーザに提示された時期を基準として、時間の経過とともに、そのユーザに提示される当該商品の該ユーザに対する割引率が下がっていく。逆に言えば、各ユーザは、商品購入の決断を早めれば早めるほど、当該商品をより有利な条件で購入することができる。このような割引率の変化はユーザに提示される。割引率を調整するために、ECシステム1では基準時期以降における対象商品の商品情報へのアクセス態様を監視する。
【0030】
なお、本実施形態ではログインしたユーザのユーザIDに基づいて当該ユーザのアクセス態様を監視するが、ユーザがログインしていなくても、HTTPクッキー(HTTP Cookie)やIPアドレスによりユーザの同一性を判定することは可能である。ただし、この変形例の場合には、クッキーが消去されたり端末が変わったりすると、ユーザの同一性を確認することができなくなる。そのため、ログインしたユーザのユーザIDに基づいて当該ユーザのアクセス態様を監視する形態を採用する方が好ましい。
【0031】
ECサーバ10は、ECサイトをユーザに提供するコンピュータである。図2に示すように、ECサーバ10は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行するCPU101と、ROM及びRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部103と、ネットワークカードなどで構成される通信制御部104と、キーボードやマウスなどの入力部105と、モニタなどの出力部106とで構成される。後述するECサーバ10の各機能的構成要素は、CPU101や主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104や入力部105、出力部106などを動作させ、主記憶部102や補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶部102や補助記憶部103内に格納される。なお、図2ではECサーバ10が1台のコンピュータで構成されているように示しているが、ECサーバ10の機能を複数台のコンピュータに分散させてもよい。
【0032】
ECサーバ10は、必要に応じて商品データベース21、ユーザデータベース22、購入データベース23、アクセス履歴データベース24、及び割引率データベース25にアクセスする。ECサーバ10の機能を説明する前に、これらのデータベースについて説明する。
【0033】
商品データベース21は、商品情報を記憶する手段である。商品情報は店舗端末40や後述するリクエスト処理部12での処理により登録又は更新される。商品情報は、店舗を特定するための店舗IDと、一の店舗における一の商品を特定するための商品IDと、商品の属性とが互いに関連付けられたレコードである。商品属性の例としては、商品の名前やカテゴリ、メーカ名、価格、商品画像、在庫数などが挙げられるが、商品属性の項目は任意に定めてよい。なお、商品は有体物でもよいし、サービスの提供などの無体物でもよい。
【0034】
ユーザデータベース22は、ユーザ情報を記憶する手段である。ユーザ情報はユーザがECサイトに会員登録した際に登録される。ユーザ情報は、ユーザを特定するためのユーザIDと、ユーザの属性とが互いに関連付けられたレコードである。ユーザ属性の例としては、ユーザの名前や性別、年齢、商品購入により獲得したポイントの累計などが挙げられるが、ユーザ属性の項目は任意に定めてよい。
【0035】
購入データベース23は、ユーザが商品を購入したことを示す購入情報を記憶する手段である。購入情報は、ユーザがECサイトで商品を購入した時に登録される。購入情報は、ユーザを特定するためのユーザIDと、購入された商品を特定するための商品IDと、その商品を販売した店舗を特定する店舗IDと、購入日時とを含んでおり、これらの項目の組合せにより一意に特定することが可能である。購入情報は、購入金額や決済方法、配送方法、購入商品に対してユーザ(購入者)が付与した評価値(例えば5段階の評価値)などの他の項目を含んでいてもよい。購入情報が評価値を含む場合には、購入情報は評価情報であり、購入データベース23は評価データベースであるといえる。
【0036】
アクセス履歴データベース(記憶部)24は、店舗で販売されている商品の商品情報へのユーザのアクセス態様をアクセス履歴として記憶する手段である。図3に示すように、アクセス履歴データベース24はアクセス履歴として、初回アクセス情報、アクセス回数情報、及びアクセス態様情報を記憶する。これらの情報は、後述するアクセス監視部12aにより記録される。図3においてアクセス態様が「商品ページの閲覧」であるアクセス態様情報は、商品情報が閲覧者に提示されたことを示す閲覧情報であるとも言える。したがって、アクセス履歴データベース24は閲覧データベースであるといえる。
【0037】
初回アクセス情報は、一のユーザが特定の商品情報に初めてアクセスした時期(本実施形態では、初めてアクセスした時刻)を示すデータである。図3(a)に示すように、初回アクセス情報ではユーザIDと、商品情報で示される商品の商品IDと、当該商品の取扱店舗を示す店舗IDと、初回アクセス時刻とが互いに関連付けられている。初回アクセス時刻とは、ユーザが何らかのウェブページ(例えば商品ページや検索結果ページ)で特定の商品情報に初めてアクセスした時刻のことである。初回アクセス情報は、ユーザ、商品、及び店舗の一つの組合せについて1レコードのみ作成される。
【0038】
アクセス回数情報は、一のユーザが特定の商品情報にアクセスした回数を示すデータである。図3(b)に示すように、アクセス回数情報ではユーザIDと、商品情報で示される商品の商品IDと、当該商品の取扱店舗を示す店舗IDと、アクセス回数とが互いに関連付けられている。アクセス回数情報は、ユーザ、商品、及び店舗の一つの組合せについて1レコードのみ作成され、ユーザが同一店舗の同一商品にアクセスする度に、対応するアクセス回数が1ずつ増分する。
【0039】
アクセス態様情報は、一のユーザが特定の商品情報に対して行った所定の操作を示すデータであり、当該操作が行われる度に生成される。図3(c)に示すように、アクセス態様情報ではユーザIDと、商品情報で示される商品の商品IDと、当該商品の取扱店舗を示す店舗IDと、セッションIDと、特定されたアクセス態様と、アクセス時期(本実施形態ではアクセス時刻)とが互いに関連付けられている。セッションIDは、ECサイトにおける1回の滞在における一連の通信を意味するセッションを特定するための値である。
【0040】
割引率データベース25は、一のユーザに適用される特定店舗の特定商品(すなわち、対象商品)の割引率を示す割引率情報を記憶する手段である。図4に示すように、割引率情報ではユーザID、商品ID、店舗ID、初期条件(第1の販売条件)、及び終末条件が互いに関連付けられている。初期条件は、ユーザが商品情報に初めてアクセスした際に提示される割引率である。終末条件は、最終的に到達しうる、ユーザにとっての最悪の割引率であり、したがって、割引率はこの終末条件で示される値より下がることはない。
【0041】
次に、ECサーバ10の機能を説明する。図5に示すように、ECサーバ10はリクエスト受信部11、リクエスト処理部12、及びページ送信部(提示部)13という各機能的構成要素により構成される。まず、これらの構成要素による一般的な機能を説明する。
【0042】
リクエスト受信部11は、ECサイトに関するHTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエストをユーザ端末30から受信する手段である。HTTPリクエストは、ECサーバ10に所定の処理を実行させてその結果を得るための要求信号である。HTTPリクエストには、画面遷移の状態やユーザを特定するためのHTTPクッキーの情報や、ユーザ操作に応じた処理をECサーバ10に実行させるためのパラメータ又はデータなどが含まれる。HTTPリクエストは、ユーザがユーザ端末30上のブラウザを介してECサイトに対する所定の操作を行う度に、ユーザ端末30において生成されECサーバ10に送信される。ECサイトに対する所定の操作の例としては、ECサイトのウェブページ(例えばトップページや商品ページなど)へのアクセスや、ECサイト内の商品の検索、買い物かごへの商品の追加、決済手続などが挙げられる。もっとも、ECサイトにアクセスするユーザの操作の種類はこれらに限定されるものではない。リクエスト受信部11は、受信したHTTPリクエストをリクエスト処理部12に出力する。
【0043】
リクエスト処理部12は、入力されたHTTPリクエストに基づいて、ECサイトに関する各種の処理を実行する手段である。リクエスト処理部12は、HTTPリクエストに基づいて所定の検索や演算、データ更新などを実行するとともに、ユーザ端末30のブラウザ上に次に表示するウェブページを生成してページ送信部13に出力する。
【0044】
例えば、リクエスト処理部12は、HTTPリクエストで示されるURL(Uniform Resource Locator)で示されるウェブページを生成する。指定されたURLに対応するウェブページの一例としては、対象商品の情報を表示するためのウェブページ(商品ページ)が挙げられる。
【0045】
また、リクエスト処理部12は、HTTPリクエストで示される商品の検索条件に合致する商品情報を商品データベース21から抽出し、その商品情報を表示するためのウェブページ(検索結果ページ)を生成する。
【0046】
また、リクエスト処理部12は、HTTPリクエストに応じて商品購入手続を実行するとともに、その手続の段階に応じたウェブページを生成する。ユーザ端末30のブラウザ上で商品を買い物かごに入れる操作が行われた場合には、リクエスト処理部12は、その操作に対応するHTTPリクエストに基づいて、商品をユーザの買い物かごに追加する処理を実行する。そして、リクエスト処理部12は買い物かごの最新の状態を示すためのウェブページ(買い物かごページ)を生成する。買い物かごへの商品の追加は、ユーザが商品を購入候補として選択する操作の一態様である。
【0047】
買い物かごページにおいて、購入手続を進めるための操作が行われた場合には、リクエスト処理部12は、その操作に対応するHTTPリクエストに基づいて、配送方法や決済方法をユーザに選択させるためのウェブページ(注文ページ)を生成する。その注文ページにおいて購入手続を確定させるための操作が行われた場合には、リクエスト処理部12は、その操作に対応するHTTPリクエストに基づいて、商品購入を確定するための処理を実行する。この購入確定処理には、購入データベース23への購入情報の登録や、決済処理、配送指示処理などが含まれる。
【0048】
ページ送信部13は、リクエスト処理部12から入力された各種ウェブページを、HTTPリクエストの送信元であるユーザ端末30に送信する手段である。送信されるウェブページは、HTTPリクエストに対応するHTTPレスポンスである。
【0049】
次に、本実施形態における割引率の調整について説明する。この調整処理を実現するために、リクエスト処理部12はアクセス監視部12a、価格調整部12b、及びページ生成部12cを備えている(図5参照)。
【0050】
アクセス監視部(記録部)12aは、店舗で販売されている商品(対象商品)の商品情報へのユーザのアクセス態様を監視し、その監視結果をアクセス履歴としてアクセス履歴データベース24に記録する手段である。ここで、アクセス態様とは、商品情報へのアクセスの有無や、商品情報に対してユーザが行う各種操作(例えば閲覧、買い物かごへの追加、購入手続など)を含む概念である。
【0051】
まず、アクセス監視部12aは、リクエスト受信部11により受信されたHTTPリクエストを解析して、ユーザ、商品、及び店舗の組合せを特定するとともに、今回のアクセス態様を特定する。例えば、HTTPリクエストが特定の商品ページの要求を示している場合には、アクセス監視部12aは今回のアクセス態様が商品ページの閲覧であると判定する。また、HTTPリクエストが特定の商品の買い物かごへの追加を示している場合には、アクセス監視部12aは今回のアクセス態様が買い物かごへの追加であると判定する。また、HTTPリクエストが特定の商品の購入の確定を示している場合には、アクセス監視部12aは今回のアクセス態様が購入手続であると判定する。
【0052】
続いて、アクセス監視部12aはHTTPリクエストで示されるユーザ、商品、及び店舗の組合せに対応する初回アクセス情報がアクセス履歴データベース24内に存在するか否かを判定する。そして、そのような初回アクセス情報が存在しない場合にのみ、アクセス監視部12aはそのHTTPリクエストに対応する初回アクセス情報を生成してアクセス履歴データベース24に格納する。この際には、アクセス監視部12aは現在時刻を初回アクセス時刻として設定すればよい。設定された初回アクセス時刻は、後述する価格調整部12bにおいて基準時刻として用いられる。
【0053】
続いて、アクセス監視部12aはHTTPリクエストで示されるユーザ、商品、及び店舗の組合せに対応するアクセス回数情報がアクセス履歴データベース24内に存在するか否かを判定する。そのようなアクセス回数情報が存在しない場合には、アクセス監視部12aはそのHTTPリクエストに対応するアクセス回数情報を生成してアクセス履歴データベース24に格納する。この際には、アクセス監視部12aはアクセス回数を「1」に設定する。一方、対応するアクセス回数情報が既に存在する場合には、アクセス監視部12aは当該アクセス回数情報のアクセス回数を1だけ増分する。
【0054】
続いて、アクセス監視部12aはHTTPリクエストで示されるユーザ、商品、及び店舗の組合せと、HTTPリクエストから抽出したセッションIDと、特定した今回のアクセス態様と、現在時刻とを関連付けることでアクセス態様情報を生成する。そして、アクセス監視部12aは生成したアクセス態様情報をアクセス履歴データベース24に格納する。
【0055】
価格調整部12bは、HTTPリクエストへの応答として生成されるウェブページ上に表示される対象商品の割引率及び価格を調整(設定)する手段である。価格調整部12bは、ユーザが対象商品を購入する決断を遅らせるほど、そのユーザに提示される当該商品の割引率を下げる。この結果、当該商品の価格は上がる。
【0056】
価格調整部12bは、HTTPリクエストで示されるユーザ、商品、及び店舗の組合せに対応するアクセス履歴及び割引率情報を用いて、ユーザに今回提示する割引率及び価格を調整する。価格調整部12bは、必要に応じて、HTTPリクエストで示されるユーザ、商品、又は店舗に対応する商品情報、ユーザ情報、又は購入情報を参照する。以下に、割引率の変更方法をいくつか示す。
【0057】
[時間の経過に応じた調整]
価格調整部12bは、ユーザが対象商品を最初に認識した時点からの経過時間に応じて、当該ユーザに適用する当該対象商品の割引率を調整してもよい。図6を用いてこの調整方法を説明する。
【0058】
図6は、ユーザA,Bのそれぞれに適用される商品Rの割引率及び価格の推移を示している。図6の例では、正規の価格が2000円である商品Rの割引率に関する各ユーザの初期条件及び終末条件をそれぞれ50%、0%としている。実線La1はユーザAに適用される割引率及び価格の変化の一例であり、実線Lb1はユーザBに適用される割引率及び価格の変化の一例である。図6中の各時刻T11〜T14及びT21〜T25では以下の事象が発生している。時刻T11はユーザAにとっての基準時刻であり、時刻T21はユーザBにとっての基準時刻である。価格調整部12bは各ユーザのアクセス履歴に基づいて図6に示すような事象を特定する。
【0059】
時刻T11…ユーザAが商品Rの商品ページに初めてアクセスした。
時刻T12…ユーザAが商品Rを買い物かごに入れた。
時刻T13…ユーザAが商品Rを買い物かごに入れてから時間Tpが経過した。
時刻T14…ユーザAに適用される商品Rの割引率が終末条件に達した。
【0060】
時刻T21…ユーザBが商品Rの商品ページに初めてアクセスした。
時刻T22…ユーザBが商品Rの商品ページに2回目のアクセスをした。
時刻T23…ユーザBが商品Rを買い物かごに入れた。
時刻T24…ユーザBが商品Rを買い物かごに入れてから時間Tqが経過した。
時刻T25…ユーザBに適用される商品Rの割引率が終末条件に達した。
【0061】
価格調整部12bは、ユーザAが商品ページに初めてアクセスしたことを契機として、ユーザAに適用する商品Rの割引率を50%から時間経過に応じて所定の変化率(第2の変化率)で下げていく(時刻T11〜T12)。ここで、本実施形態における変化率とは、割引率を単位時間当たりどれだけ下げるかを示す値であり、正式には、単位時間当たりの割引率の変化率ということができる。
【0062】
ユーザAが商品Rを買い物かごに入れてから所定の猶予期間Tpが経過するまでの間(時刻T12〜T13)は、価格調整部12bは割引率を一時的に固定する。この固定は、変化率(第1の変化率)を0にすることを意味する。図6の例ではユーザAに適用される割引率が35%に一時的に固定され、ユーザAがこの猶予期間Tp内に商品Rを購入する場合には、1300円を支払えば済む。しかし、ユーザAが猶予期間Tp内に商品Rを購入しない場合には、価格調整部12bは、猶予期間Tpの終了時点である時刻T13の割引率を、当該猶予期間がなかった場合と同じ値に変更した上で、その後の割引率を所定の変化率(第2の変化率)で下げていく(時刻T13〜T14)。時刻T14以降の割引率及び価格は変わらない。
【0063】
価格調整部12bは、ユーザBに適用する商品Rの割引率についてもユーザAの場合と同様に調整する。価格調整部12bは、ユーザBが商品ページに初めてアクセスしたことを契機として、そのユーザに適用する商品Rの割引率を50%から時間経過に応じて所定の変化率(第2の変化率)で下げていく(時刻T21〜T22)。図6では、ユーザBは初回のアクセスで商品Rを購入していないので、ユーザBがその後に2回目のアクセスをした時以降も、価格調整部12bは割引率を所定の変化率(第2の変化率)で下げていく(時刻T22〜T23)。
【0064】
ユーザBが商品Rを買い物かごに入れてから所定の猶予期間Tqが経過するまでの間(時刻T23〜T24)は、価格調整部12bは割引率を一時的に固定する(第1の変化率)。図6の例ではユーザBに適用される割引率が20%に一時的に固定され、ユーザBがこの猶予期間Tq内に商品Rを購入する場合には、1600円を支払えば済む。しかし、ユーザBが猶予期間Tq内に商品Rを購入しない場合には、価格調整部12bは、猶予期間Tqの終了時点T24の割引率を、当該猶予期間がなかった場合と同じ値に変更した上で、その後の割引率を所定の変化率(第2の変化率)で下げていく(時刻T24〜T25)。時刻T25以降の割引率及び価格は変わらない。
【0065】
このように、ユーザにとっては、初回アクセス時(基準時刻)から時間が経過すればするほど、自身に適用される割引率がますます不利なものになっていく。
【0066】
商品が買い物かごに入れられた場合の調整方法は図6の実線La1,Lb1で示されるものに限定されない。例えば、価格調整部12bは割引率を一時的に固定するのではなく、図6の一点鎖線Lh1で示すように、猶予期間における変化率を、当該猶予期間以外の期間よりも小さくした上で猶予期間経過後の変化率を再び大きくしてもよい。あるいは、価格調整部12bは上記のように割引率を一時的に固定した上で、図6の一点鎖線Lh2で示すように猶予期間終了時点から変化率を固定前よりも大きな値に変更するか、あるいは変化率を猶予期間前の値に戻してもよい。
【0067】
いずれにしても、買い物かごに入れられた商品は購入される可能性が高いのでその商品の販売条件をそれ以上変える必要性は低くなる。一方で、ユーザが購入対象として選択した商品の割引率及び価格が必要以上に変わるとユーザが購入を止める可能性がある。したがって、買い物かごに入れた商品の割引率の変化率を下げることで、当該商品の購入をユーザに促すことができる。
【0068】
なお、上記の猶予期間以外の任意の期間において変化率を変えてもよい。例えば、ECサイト及び対象商品の商品ページへのm回目のアクセスからm+1回目のアクセスまでの間の変化率を、1セッション中における変化率よりも大きくしたり、あるいは小さくしたりしてもよい。
【0069】
[アクセス回数に応じた調整]
価格調整部12bは、ユーザが対象商品を最初に認識した時点からのアクセス回数に応じて当該ユーザに適用する当該商品の割引率を調整してもよい。この場合には、1回のアクセスに対応する1セッションの間では割引率は変動しないが、ユーザが一度ECサイトから離れた後に当該サイトに再アクセスして再び同じ商品ページにアクセスすると、割引率が下がる。
【0070】
図7を用いてこの調整方法を説明する。図7は、ユーザA,Bのそれぞれに適用される商品Rの割引率及び価格の推移を示している。図7の例でも、商品Rの正規の価格を2000円とし、各ユーザの初期条件及び終末条件をそれぞれ50%、0%としている。実線La2はユーザAに適用される割引率及び価格の変化の一例であり、実線Lb2はユーザBに適用される割引率及び価格の変化の一例である。図7中の各時刻T31〜T34及びT41〜T43は、ユーザが商品ページにアクセスし始めた時を示している。時刻T31はユーザAにとっての基準時刻であり、時刻T41はユーザBにとっての基準時刻である。価格調整部12bは各ユーザのアクセス履歴から図7に示すような各ユーザのアクセス態様を特定する。
【0071】
価格調整部12bは、ユーザAが商品Rのページに初めてアクセスした場合には(時刻T31)、ユーザAに適用する商品Rの割引率を50%とする。ユーザAが初回アクセス時の1セッションの間に商品Rを購入する場合には1000円を支払えば済む。しかし、ユーザAが商品Rを購入せずにECサイトから離れると、ユーザAは商品Rを1000円で購入する機会を失い、次に商品Rのページにアクセスした場合には(時刻T32)、40%の割引率しか得ることができない。ユーザAが2回目のアクセス時の1セッションの間に商品Rを購入する場合には1200円を支払えばよいが、商品Rを購入せずにECサイトから離れると、再アクセス時にはさらに割引率が低下する(時刻T33,T34参照)。価格調整部12bは、時刻T34以降も同様にユーザA用の割引率を調整する。また、価格調整部12bは、ユーザBについてもユーザAの場合と同様に割引率を調整する(時刻T41〜T43参照)。
【0072】
したがって、ユーザにとっては、ECサイト及び商品ページへの訪問回数が多くなればなるほど、自身に適用される割引率がますます不利なものになっていく。なお、価格調整部12bは、アクセス回数が1増える毎に割引率を調整しなくてもよい。例えば、価格調整部12bは1回目のアクセスで設定した割引率を4回目のアクセス時に初めて下げてもよい。
【0073】
[割引率の単位時間当たりの変化率の設定]
図6に示すように時間の経過に応じて割引率を調整する際に、価格調整部12bは変化率を動的に変更してもよい。以下にいくつかの例を示す。
【0074】
価格調整部12bは、所定の期間における対象商品の販売数を購入情報に基づいて集計し、その数の増加に応じて変化率を大きくしてもよい。例えば、価格調整部12bは、直近の一ヶ月における販売数が100未満であれば変化率をHr1とし、販売数が100以上500未満であれば変化率をHr2とし、販売数が500以上であれば変化率をHr3とする(ただし、Hr1<Hr2<Hr3)。
【0075】
あるいは、価格調整部12bは、購入情報に基づいて対象商品のユーザによる評価値の統計値(例えば平均値や中央値)を求め、その統計値の増加に応じて変化率を大きくしてもよい。例えば、価格調整部12bは、統計値が3未満であれば変化率をHr1とし、統計値が3以上であれば変化率をHr2とする(ただし、Hr1<Hr2)。
【0076】
販売数(注文頻度)や評価値が高い商品はユーザにとって注文しやすいものなので、販売数や評価値を考慮して変化率を設定することは、そのような商品の購入をさらに後押しするために有効である。もっとも、逆の傾向が見られる場合には、価格調整部12bは、販売数又は評価値の増加に応じて変化率を小さく設定してもよい。
【0077】
価格調整部12bは、ユーザ端末30の種類を判定して、複数のウェブページを同時に表示可能な端末(例えばパーソナルコンピュータ)を操作するユーザと、一度に表示可能なウェブページが一つのみである端末(例えば携帯電話機)を操作するユーザとの間で変化率を変更してもよい。この場合には、ECサーバ10は端末の種類を示す端末情報を含むHTTPリクエストをユーザ端末30から取得し、価格調整部12bはその端末情報に基づいて端末の種類を判定する。端末情報は、例えばHTTPリクエストのユーザエージェント(User Agent)ヘッダに記述される。
【0078】
例えば、価格調整部12bは、一度に表示可能なウェブページが一つのみである端末の場合の変化率よりも、複数のウェブページを同時に表示可能な端末の場合の変化率の方を小さくする。あるいは、価格調整部12bは、同時に表示可能なウェブページの個数の増加に応じてより段階的に変化率を小さくしてもよい。複数のサイト(他のECサイトや価格比較サイトなど)を同時に閲覧することが困難な環境であるほど、ユーザが購入を即決する傾向が見られる場合があり、そのような傾向を後押しするためにこの手法を用いることが可能である。もっとも、逆の傾向が見られる場合には、価格調整部12bは、一度に表示可能なウェブページが一つのみである端末の場合の変化率よりも、複数のウェブページを同時に表示可能な端末の場合の変化率の方を大きくしてもよい。
【0079】
価格調整部12bは対象商品の商品情報がユーザに提示されてから当該ユーザがその対象商品を購入するまでの時間の統計値(例えば平均値や中央値)をアクセス履歴及び購入情報に基づいて求め、その統計値の増加に応じて変化率を小さく設定してもよい。例えば、価格調整部12bは、統計値が30分未満であれば変化率をHr1とし、統計値が30分以上であれば変化率をHr2とする(ただし、Hr1>Hr2)。このような処理は、衝動買いをし易いユーザの変化率を高めに設定する処理であるとも言え、衝動買いを後押しする場合には有効な方法である。もっとも、衝動買いをしないユーザの購入を後押しするために、価格調整部12bは、求めた統計値が長いほど変化率を大きくしてもよい。
【0080】
なお、統計値の算出方法は限定されない。例えば、商品を紹介する電子メール(例えばメールマガジン)の開封時刻を取得できる場合には、価格調整部12bはその開封時点を商品情報が提示された時点とした上で、当該開封時点から商品購入までの時間の統計値を求めてもよい。
【0081】
価格調整部12bは、商品情報を参照することで取得した対象商品の在庫数の減少に応じて変化率を小さく設定してもよい。例えば、価格調整部12bは、取得した在庫数が50以上である場合には変化率をHr1とし、在庫数が50未満である場合には変化率をHr2とする(ただし、Hr1>Hr2)。在庫が少ない商品の購入が促進されると逆に在庫切れの可能性が生じるので、その在庫切れを回避するために変化率を設定することは有効である。
【0082】
価格調整部12bは、対象商品のアクセス履歴を集計することで、当該商品の割引率の調整を受けているユーザの人数を求め、そのユーザ数の増加に応じて変化率を小さくしてもよい。ここで、対象商品の割引率の調整を受けているユーザとは、当該商品のページにアクセス後まだ当該商品を購入しておらず、且つ当該商品の割引率が終末条件に至っていないユーザのことである。例えば、価格調整部12bは、求めたユーザ数が対象商品の在庫数未満である場合には変化率をHr1とし、ユーザ数が当該在庫数以上である場合には変化率をHr2とする(ただし、Hr1>Hr2)。一定数以上のユーザがアクセスしている商品の購入が促進されると逆に在庫切れの可能性が生じるので、その在庫切れを回避するために変化率を小さくすることは有効である。なお、価格調整部12bがユーザ数と比較する値は在庫数そのものでなくてもよい。例えば、100などの固定値であってもよいし、在庫数に基づく基準値(例えば在庫数の80%)であってもよい。
【0083】
[次回のアクセスまでの時間に基づく変化率の設定]
アクセス回数に応じて割引率を調整する際に、価格調整部12bは前回アクセス時の割引率から今回アクセス時の割引率への変化率を動的に設定してもよい。具体的には、価格調整部12bは前回のアクセスの終了から今回のアクセスの開始まで時間間隔(アクセス間隔)の増加に応じて、今回のアクセスにおける変化率を大きくしてもよい。例えば、価格調整部12bは、アクセス間隔が24時間未満である場合には変化率をHr1とし、アクセス間隔が24時間以上72時間未満である場合には変化率をHr2とし、アクセス間隔が72時間以上である場合には変化率をHr3とする(ただし、Hr1<Hr2<Hr3)。
【0084】
なお、上記のように変化率を動的に設定する場合において、適用され得る変化率の個数は任意に定めてよい。例えば、変化率を2段階で用意してもよいし、3段階で用意してもよいし、10段階で用意してもよい。上記のようにアクセス間隔を考慮して変化率を設定することで、ユーザがより近い将来にECサイト及び商品ページにアクセスすることが期待でき、ひいては、ユーザが早期に商品を購入することが期待できる。
【0085】
[初期条件及び終末条件の設定]
変化率をユーザ毎に時間経過に応じて設定する場合には、価格調整部12bは参照する割引率の初期条件及び終末条件をその変化率に応じてユーザ毎に設定してもよい。
【0086】
例えば、価格調整部12bは、変化率が大きいユーザほどそのユーザにとって有利なように初期条件を設定してもよい。例えば、ユーザA,Bの変化率がそれぞれ5%、3%である場合には、価格調整部12bはユーザAに関する初期条件を50%とし、ユーザBに関する初期条件を45%としてもよい。このように、初期条件をユーザにとってより有利な値に設定するとともにその後の割引率の変化率を大きくすることで、当該ユーザに早期の購入を促すことができる。
【0087】
また、価格調整部12bは、ユーザの買い物かごに入っている商品を参照して、当該ユーザの対象商品の終末条件を変更してもよい。具体的には、対象商品の終末条件が該対象商品と同一又は類似であり、且つ当該終末条件から導かれる価格が、ユーザにより買い物かごに入れられている他の商品の価格よりも高い場合には、価格調整部12bは対象商品の最終的な割引率を、当該他の商品の現在価格に対応する割引率に設定する。このように、他の商品を考慮して対象商品の販売条件を変えることで、ユーザに対象商品の購入を促すことができる。
【0088】
このように、価格調整部12bは対象商品の割引率をユーザ毎に設定するために様々な方法を用いることができる。いずれにしても、価格調整部12bは、ユーザが初回アクセス時刻(基準時刻)以降に対象商品を購入しない場合に、該初回アクセス時刻以降の該ユーザの商品情報へのアクセス態様に基づいて、該ユーザに対する該対象商品の割引率を調整する。調整後の割引率(第2の販売条件)は初期条件で示される割引率(第1の販売条件)よりも下がるので、ユーザにとっては不利な値となる。
【0089】
ページ生成部12cは、HTTPリクエストに対応するウェブページを生成する手段である。商品ページや買い物かごページなどのように、割引率を考慮した価格を示すページを生成する際には、ページ生成部12cは価格調整部12bから入力された対象商品の割引率及び価格をそのページ上に掲載する。これにより、調整前の割引率及び価格に代えて、調整後の割引率及び価格がウェブページ上に表示される。ページ生成部12cは生成したウェブページをページ送信部13に出力する。
【0090】
割引率が時間経過に応じて調整される場合には、ページ生成部12cはウェブページ上で割引率及び価格を変化させるプログラムを当該ウェブページに埋め込んでもよい。このプログラムを用いた場合には、図8に示すように、商品の割引率が次第に下がり価格が次第に上がるように対象商品の情報が表示される。
【0091】
割引率がアクセス回数に応じて調整される場合には、ページ生成部12cは今回の割引率及び価格だけでなく、次回の割引率(次回条件)が今回よりも下がることを示す予告メッセージをウェブページ上に表示させてもよい。次回の割引率は、上述した価格調整部12bの処理により得ることができる。例えば、ページ生成部12cは図9に示すような予告メッセージ「今買わないと、次回アクセス時には価格が1200円(40%割引)に上昇します。」をウェブページ内に含める。アクセス間隔に基づいて割引率の変化率を動的に設定する場合には、価格調整部12bが対象商品についてのユーザのアクセス履歴に基づいて次のアクセス時期を予測して、当該次のアクセス時期に対応する変化率を用いて割引率及び価格を求めればよい。なお、このような予告メッセージをウェブページ上に表示する代わりに、その予告メッセージを所定のメール機能により電子メールやメールマガジンなどによりユーザ宛に送信してもよい。
【0092】
このように生成されたウェブページがページ送信部13によりユーザ端末30に送信されることで、ユーザは閲覧しようとしていた、あるいは現在閲覧している商品の割引率及び価格を知ることができる。予告メッセージが表示された場合には、ユーザは、現在よりも自分にとって不利になる将来の割引率及び価格を知ることができる。このように対象商品の販売条件をユーザに伝えることで、ユーザにその商品の購入を促すことができる。
【0093】
次に、図10,11を用いて、ECシステム1の動作を説明するとともに本実施形態に係る電子商取引方法について説明する。
【0094】
ユーザ端末30において対象商品に関する初めての要求が実行される場合(例えば対象商品の商品ページを初めて要求する場合)には(ステップS11)、ユーザ端末30からECサーバ10にその要求を示すHTTPリクエストが送信される(ステップS12)。これにより、対象商品に関する初回のセッションが開始する。
【0095】
ECサーバ10では、リクエスト受信部11がそのHTTPリクエストを受信し、リクエスト処理部12がそのリクエストに応じた処理を実行する。受信したHTTPリクエストは、対象商品の商品情報に初めてアクセスするための信号であるので、アクセス監視部12aがそのリクエストに基づいて初回アクセス情報を生成しアクセス履歴データベース24に記録する(ステップS13、記録ステップ)。また、アクセス監視部12aはアクセス回数情報及びアクセス態様情報もアクセス履歴データベース24に記録する。続いて、価格調整部12bが上記の手法のいずれかを用いて対象商品の割引率及び価格を調整する(ステップS14、調整ステップ)。続いて、ページ生成部12cが調整された割引率及び価格を表示するウェブページを生成し(ステップS15)、ページ送信部13がそのウェブページをユーザ端末30に送信する(ステップS16、提示ステップ)。これにより、ユーザ端末30上に対象商品の商品情報を掲載するウェブページが表示される(ステップS17)。
【0096】
その後、ユーザ端末30とECサーバ10との間で、HTTPリクエストの送受信、及びそのリクエストに応じたウェブページの送受信が行われる(ステップS18)。例えば、買い物かごへの対象商品の追加や注文ページの要求などがステップS18の処理に含まれる。要求を受ける度に、アクセス監視部12aは受信されたHTTPリクエストを解析してアクセス態様情報を生成し、そのアクセス態様情報をアクセス履歴データベース24に記録する。
【0097】
ステップS18における一連の処理において対象商品を購入する手続きが行われた場合には(ステップS19:YES)、リクエスト処理部12により当該手続時点での価格による決済処理が実行される(ステップS20)。
【0098】
一方、対象商品が購入されることなく初回のセッションが終了し(ステップS19:NO)、その後ユーザがECサイトに再度アクセスして対象商品の商品情報を再度要求した場合には(ステップS21)、ユーザ端末30からECサーバ10にその要求を示すHTTPリクエストが送信される(ステップS22)。これにより、対象商品に関する2回目のセッションが開始する。
【0099】
ECサーバ10では、リクエスト受信部11がそのHTTPリクエストを受信し、リクエスト処理部12がそのリクエストに応じた処理を実行する。このHTTPリクエストは、対象商品の商品情報への初回のアクセスを示すものではないので、初回アクセス情報は生成されない。リクエスト処理部12では、アクセス監視部12aがアクセス回数情報及びアクセス態様情報をアクセス履歴データベース24に記録する。また、価格調整部12bが上記の手法のいずれかを用いて対象商品の割引率及び価格を調整(再調整)する(ステップS23、調整ステップ)。続いて、ページ生成部12cが調整された割引率及び価格を表示するウェブページを生成し(ステップS24)、ページ送信部13がそのウェブページをユーザ端末30に送信する(ステップS25、提示ステップ)。これにより、ユーザ端末30上に対象商品の商品情報を掲載するウェブページが表示される(ステップS26)。このときに提示される割引率は、上記ステップS17において提示される割引率よりも低くなっており、したがって、価格は前回のアクセス時よりも高くなっている。
【0100】
その後、ユーザ端末30とECサーバ10との間で、HTTPリクエストの送受信、及びそのリクエストに応じたウェブページの送受信が行われる(ステップS27)。要求を受ける度に、アクセス監視部12aはHTTPリクエストを解析してアクセス態様情報を生成し、そのアクセス態様情報をアクセス履歴データベース24に記録する。ステップS27以降の処理は上記ステップS18以降の処理と同じである。また、対象商品が購入されることなく2回目のセッションが終了し、その後ユーザがECサイトに再度アクセスして対象商品の商品情報を再度要求した場合には、当該2回目のセッションでの処理と同様に、3回目のセッションの処理が行われる。
【0101】
次に、図12を用いて、コンピュータをECサーバ10として機能させるための電子商取引プログラムP1を説明する。
【0102】
電子商取引プログラムP1は、メインモジュールP10、リクエスト受信モジュールP11、リクエスト処理モジュールP12、及びページ送信モジュールP13を備えている。リクエスト処理モジュールP12は、アクセス監視モジュールP12a、価格調整モジュールP12b、及びページ生成モジュールP12cを備えている。
【0103】
メインモジュールP10は、電子商取引機能を統括的に制御する部分である。リクエスト受信モジュールP11、リクエスト処理モジュールP12、及びページ送信モジュールP13を実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記のリクエスト受信部11、リクエスト処理部12、及びページ送信部13の機能と同様である。アクセス監視モジュールP12a、価格調整モジュールP12b、及びページ生成モジュールP12cを実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記のアクセス監視部12a、価格調整部12b、及びページ生成部12c機能と同様である。
【0104】
電子商取引プログラムP1は、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、半導体メモリ等の有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供される。また、電子商取引プログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0105】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザが商品情報に初めてアクセスした時刻以降にその商品情報で示される商品(対象商品)を購入しないと、その商品の割引率が低くなるように調整され、前よりも下がった割引率(及び前よりも上がった価格)がそのユーザに提示される。これにより、購入の決断が早いほど、ユーザにとっては自身の購入条件が有利なので、ユーザ毎に早期の購入を促すことができる。その結果、電子商取引における商品購入をより効果的に促進させることができる。
【0106】
時間経過に応じた調整であってもアクセス回数に応じた調整であっても、同様の効果が期待できる。時間経過に応じて調整する場合には、1セッション内でユーザの購入を後押しすることができる。この場合、時間経過とともに割引率が減少していく様子(価格が上昇していく様子)をユーザにリアルタイムで提示すれば、ユーザによる商品購入をより一層効果的に促進することができる。
【0107】
一方、アクセス回数に応じて調整する場合には、1セッション内では割引率が固定なので、ユーザは1セッション内においてゆっくりと購入の判断をすることができる。この場合、次回アクセス時に割引率が減少する旨(価格が上昇する旨)をユーザに提示すれば、ユーザによる商品購入をより一層効果的に促進することができる。
【0108】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0109】
上記実施形態では価格調整部12bにより調整される販売条件が割引率であったが、調整部は他の販売条件を調整してもよい。例えば、調整部は、商品購入時にユーザに付与されるポイントの算出基準となるポイント付与率や、検索結果ページ上に表示される商品の価格そのものを調整してもよい。ポイント付与率を調整する場合には、調整部は、ユーザが初回アクセス時刻以降に対象商品を購入しない場合に、その商品の購入時のポイント付与率を次第に下げていく。価格そのものを調整する場合には、調整部は、ユーザが初回アクセス時刻以降に対象商品を購入しない場合に、その商品の価格を次第に上げていく。また、商品又はサービスの注文に応じてユーザ(注文者)に付与される販促品(おまけ)の費用を調整してもよい。販促品の費用を調整する場合には、調整部は、ユーザが初回アクセス時刻以降に対象商品を購入しない場合に、その販促品の価値を次第に下げていく。
【0110】
また、調整部は、一回の販売における商品の内容量や個数を次第に減少させたり、サービス内容を変えたりしてもよい。サービス内容の変更の例としては、ホテルの客室のランクを徐々に下げていくことが挙げられる。調整する販売条件としてサービス内容を選択した場合には、その販売条件が数値では表せない場合もあり得る。
【0111】
上記実施形態では、基準時期として対象商品の商品情報に初めてアクセスした時刻を示したが、基準時期をどの時点に設定するかは限定されない。例えば、ユーザが対象商品の商品情報に3回目にアクセスした時点を基準時期としてそれ以降の販売条件が調整されてもよい。この場合には、3回目にアクセスした時点での販売条件が初期条件(第1の販売条件)となる。また、商品を紹介する電子メール(例えばメールマガジン)の開封時刻及びユーザIDを取得できる場合には、その開封時点を基準時期としてそれ以降の販売条件が調整されてもよい。この場合には、電子メールを開封した時点での販売条件が当該ユーザIDに対応するユーザに対する初期条件(第1の販売条件)となる。
【0112】
上記実施形態では本発明の一形態を仮想商店街に適用したが、一つの店舗のオンライン・ショッピング・システムに本発明を適用してもよい。この場合には店舗を区別する必要がないので、アクセス履歴や割引率情報の項目に店舗IDを含める必要はない。
【符号の説明】
【0113】
1…ECシステム、10…ECサーバ、11…リクエスト受信部、12…リクエスト処理部、12a…アクセス監視部、12b…価格調整部、12c…ページ生成部、13…ページ送信部、21…商品データベース、22…ユーザデータベース、23…購入データベース、24…アクセス履歴データベース、25…割引率データベース、30…ユーザ端末、P1…電子商取引プログラム、P10…メインモジュール、P11…リクエスト受信モジュール、P12…リクエスト処理モジュール、P12a…アクセス監視モジュール、P12b…価格調整モジュール、P12c…ページ生成モジュール、P13…ページ送信モジュール。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録部と、
前記基準時期より後に前記ユーザが前記商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、前記第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整部と、
前記第1の販売条件に代えて前記第2の販売条件を該ユーザに提示する提示部と
を備える電子商取引装置。
【請求項2】
前記記録部が、前記基準時期より後の前記ユーザによる前記商品情報へのアクセス態様を前記記憶部にさらに記録し、
前記調整部が、さらに前記アクセス態様に基づいて、前記第2の販売条件を設定する、
請求項1に記載の電子商取引装置。
【請求項3】
前記販売条件が数値で示され、
前記調整部が、単位時間当たりの販売条件の変化率を用いて、該基準時期からの経過時間に応じて前記第2の販売条件を設定する、
請求項1又は2に記載の電子商取引装置。
【請求項4】
前記調整部が、前記商品が前記ユーザにより購入候補として選択された場合には、該商品が購入候補として選択された時から所定の期間における第1の変化率を、該所定の期間以外の期間における第2の変化率よりも小さくする、
請求項3に記載の電子商取引装置。
【請求項5】
前記調整部が、購入者が商品を購入したことを示す購入情報を記憶する購入データベースを参照して所定の期間における前記商品の販売数を求め、該販売数の増加に応じて前記変化率を大きくする、
請求項3に記載の電子商取引装置。
【請求項6】
前記調整部が、購入者が購入商品に付与した評価値を示す評価情報を記憶する評価データベースを参照して前記商品の評価値の統計値を求め、該統計値の増加に応じて前記変化率を大きくする、
請求項3に記載の電子商取引装置。
【請求項7】
前記調整部が、前記ユーザの端末の種類を示す端末情報を該端末から取得し、該端末上で同時に表示可能なウェブページの個数を該端末情報に基づいて判定し、該同時に表示可能なウェブページの個数の増加に応じて前記変化率を小さくする、
請求項3に記載の電子商取引装置。
【請求項8】
前記調整部が、商品情報が閲覧者に提示されたことを示す閲覧情報を記憶する閲覧データベースと、購入者が商品を購入したことを示す購入情報を記憶する購入データベースとを参照して、前記ユーザに前記商品情報が提示されてから該ユーザが該商品情報で示される商品を購入するまでの時間の統計値を算出し、該統計値の増加に応じて前記変化率を小さくする、
請求項3に記載の電子商取引装置。
【請求項9】
前記調整部が、前記ユーザに適用される前記変化率の増加に応じて、前記第1の販売条件を該ユーザにとって有利な条件に設定する、
請求項7又は8に記載の電子商取引装置。
【請求項10】
前記調整部が、前記第1の販売条件から、前記ユーザに適用される前記商品の最終的な販売条件である終末条件までの範囲で前記第2の販売条件を設定し、
前記調整部が、前記商品の終末条件が、該商品と同一又は類似であり、且つ前記ユーザにより購入候補として選択されている他の商品の現在の販売条件よりもユーザにとって不利である場合には、該終末条件を該他の商品の現在の販売条件と同じにする、
請求項7〜9のいずれか一項に記載の電子商取引装置。
【請求項11】
前記調整部が、商品の在庫を示す商品情報を記憶する商品データベースを参照して前記商品の在庫数を取得し、該在庫数の減少に応じて前記変化率を小さくする、
請求項3に記載の電子商取引装置。
【請求項12】
前記調整部が、商品情報が閲覧者に提示されたことを示す閲覧情報を記憶する閲覧データベースを参照して、前記商品の前記販売条件の調整を受けているユーザ数を求め、該ユーザ数の増加に応じて前記変化率を小さくする、
請求項3に記載の電子商取引装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の販売条件が前記商品の価格で示され、
前記第2の販売条件に対応する前記価格が、前記第1の販売条件に対応する前記価格よりも高い、
請求項3〜12のいずれか一項に記載の電子商取引装置。
【請求項14】
前記調整部が、前記アクセス回数に基づいて前記第2の販売条件を設定する場合に、前記基準時期以後のm回目のアクセスの終了からn回目のアクセスの開始までの時間間隔に応じて、該n回目のアクセスに対応する前記第2の販売条件を設定し、ここで、m<nである、
請求項1に記載の電子商取引装置。
【請求項15】
前記調整部が、前記ユーザが前記商品情報に次にアクセスした場合の前記第2の販売条件を次回条件として求め、
前記提示部が、前記次回条件を前記ユーザに提示する、
請求項14に記載の電子商取引装置。
【請求項16】
前記第1及び第2の販売条件が前記商品の価格で示され、
前記第2の販売条件に対応する価格が、前記第1の販売条件に対応する前記価格よりも高い、
請求項14又は15に記載の電子商取引装置。
【請求項17】
電子商取引装置により実行される電子商取引方法であって、
第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録ステップと、
前記基準時期より後に前記ユーザが前記商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、前記第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整ステップと、
前記第1の販売条件に代えて前記第2の販売条件を該ユーザに提示する提示ステップと
を含む電子商取引方法。
【請求項18】
第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録部と、
前記基準時期より後に前記ユーザが前記商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、前記第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整部と、
前記第1の販売条件に代えて前記第2の販売条件を該ユーザに提示する提示部と
をコンピュータに実行させる電子商取引プログラム。
【請求項19】
第1の販売条件で販売されている商品を示す商品情報にユーザがアクセスした時期を基準時期として記憶部に記録する記録部と、
前記基準時期より後に前記ユーザが前記商品情報にアクセスした場合に、該基準時期から該アクセスまでの経過期間、又は、該基準時期以後の該ユーザによる該商品情報に対するアクセス回数に基づいて、前記第1の販売条件と比較して該ユーザにとって不利な第2の販売条件を設定する調整部と、
前記第1の販売条件に代えて前記第2の販売条件を該ユーザに提示する提示部と
をコンピュータに実行させる電子商取引プログラムを記録するコンピュータ読取可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−12151(P2013−12151A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145889(P2011−145889)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(399037405)楽天株式会社 (416)