説明

電子時計

【目的】 鉄道ダイヤの改正があった場合などの時刻情報の入力を簡単化し、駅までの移動時間等を考慮した乗車可能な電車の発車時刻の検索や、降車駅の乗り越し防止及び最終電車の乗り遅れ防止を図る。
【構成】 駅などに設置する時刻情報入力端末を備え、時刻情報の入力を手操作入力の他に前記時刻情報入力端末から自動的に時刻情報の入力が行なえる。また駅の入場改札装置に駅名コード送信手段を一体化し、さらに電車に乗車確認信号送信手段をそなえることによって、降車駅の乗り越し防止機能を簡単な操作で作動できる。また移動時間設定手段により、駅までの移動時間等を考慮した乗車可能な電車の発車時刻の検索ができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電車の時刻表を記憶表示できる電子時計に関する。とりわけ通学通勤に鉄道を利用する場合の時刻管理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電車の時刻表は駅売店や書店で販売されているものと、駅に置かれている無料の各駅毎の時刻表がある。また、電子式の時刻表は特開平2−123391号公報、特開平2−248986号公報、実開昭63−65082号公報などに開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の紙のものは大きかったり、駅毎の時刻表を持たなければならなかったりと非常に使いにくく、携帯性も悪かった。また、電子式の時刻表は特開平2−123391号公報、特開平2−248986号公報で開示されている。紙の物より使いやすいが、記憶する時刻情報が膨大な量になるため、メモリー素子が多数必要となり、機器そのものが大きくなり携帯性が悪くなったり、製造コストが高くなってしまう。
【0004】さらに、実開昭63−65082号公報では、時刻データを腕時計に搭載し携帯性の向上を図っているが時刻データの入力が非常に面倒で鉄道ダイヤ改正があると記憶データの変更が大変な作業となってしまう(1駅1路線の時刻データは首都圏では月〜金と土曜日と日曜日の3種類があり、多い所で約200〜300の時刻データになるため、手入力は非常に面倒なものになる)という課題があった。
【0005】また、駅までの移動時間を勘案して乗車可能な電車時刻を検索表示できるものはなかった。そこで、この発明の目的は、従来のこのような課題を解決するため、記憶するデータを限定し、メモリー素子量を必要最小限度にして電車を効率的に利用するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、この発明は時刻情報を記憶表示する手段を有する電子時計において、記憶する時刻情報を通学通勤などで頻繁に使用する駅の時刻情報を駅などに設置された時刻情報転送装置から受信入力するようにして、鉄道のダイヤ改正があった場合にも時刻入力が簡単に行えるようにした。
【0007】また、入場改札装置から送信される駅名コード信号と、電車が発信する乗車確認信号から、予め降車駅を設定しておけば、手操作で乗車駅、乗車時刻を選択することなしに、降車駅に到着前に発音又は振動により降車駅が近いことを報知するようにした。また、この時刻情報と時計部の時刻情報をもとに、乗車時間のアラームや降車駅到着予告アラームなどの機能の達成が図れるようにした。
【0008】
【作用】上記のように構成された時刻表記憶手段を有する電子時計においては、従来の時刻データの煩わしさを入力専用端末に電子時計をセットして、記憶したい駅名、路線名を選択するだけで、選択された駅、路線の時刻が自動転送される。また、入場改札装置から送信される駅名コード信号と、電車が発信する乗車確認信号から、予め降車駅を設定しておけば、降車駅に到着前に発音又は振動により、降車駅が近いことを報知することとなる。
【0009】
【実施例】以下に、この発明の実施例を図に基づいて説明する。図1において、現在時刻を計数するのが時刻計数手段4である。表示制御手段8は前記時刻計数手段4の出力する時刻信号や電車発車時刻の諸情報の表示制御を行ない、表示手段9の駆動を行なう。
【0010】駅名コード記憶手段2と発着時刻記憶手段3は、製造段階で予め決った駅名、路線の電車の発着時刻を記憶しておいてもよいが、鉄道のダイヤ改正や利用駅の変更があった場合には、時刻情報入力手段1から入力される駅名、路線の電車の発着時刻をそれぞれ記憶する。時刻情報入力手段1は、電子時計自体でも時刻情報データの書き換えが行えるように、外部操作入力手段1bを有している。しかし、手入力は非常に面倒であるので、駅などに時刻入力端末16を設置し、前記時刻入力端末16から駅名、路線を選択して、膨大な時刻データを送信し、前記時刻情報入力手段1の受信手段1aで受信し、前記駅名コード記憶手段2と発着時刻記憶手段3に自動入力する。
【0011】前記駅名コード記憶手段2と発着時刻記憶手段3は、少なくとも2駅以上の時刻情報を記憶できるメモリー容量を有する。2駅以上の駅名データから乗車駅、降車駅を選択設定するのが発着駅選択手段5である。選択された乗車駅の電車発車時刻から、乗車時刻を選択するのが発車時刻選択手段6である。
【0012】前記発着駅選択手段5と発車時刻選択手段6から、降車駅への電車の到着時刻を演算するのが到着時刻演算手段7である。降車駅に到着する時刻の所定の時間前に発音又は振動で報知するのが、到着時刻予告報知手段10である。前記到着時刻予告報知手段10は到着時刻のどのぐらい前に報知するかを任意に設定できる予告時間設定手段10aを有している。
【0013】前記到着時刻予告報知手段10を機能させた場合には、降車駅に到着する所定時間前に報知されるため、降車駅を乗り過ごすという不注意を防ぐことができる。前記発着駅選択手段5の乗車駅、降車駅の選択は、マニュアル選択により外部入力手段1bで行えるが、駅に設置している入場改札装置17に駅名コードを送信する駅名コード送信手段17aを取り付けることにより(図3参照)、利用客が改札を通過したときに自動的に乗車駅コードを前記受信手段1aで受信し、乗車駅記憶手段15に記憶して、前記発着駅選択手段5の乗車駅の選択は、前記乗車駅記憶手段15から自動選択することもできる。記憶している駅データが2駅の場合には、乗車駅に選択された駅データ以外が自動的に降車駅となる。記憶している駅データが2駅より多い場合には、乗車駅に選択された駅データ以外から降車駅を選択しなければならない。
【0014】次に、電車18に乗車確認信号を送信する乗車確認信号送信手段18aを取り付けて、利用客が乗車したときに前記乗車確認信号を前記受信手段1aで受信することにより、前記発車時刻選択手段6で利用客の乗車時間を自動選択できる。発車時刻の所定時間前に報知するのが、発車時刻予告報知手段11である。前記発車時刻予告報知手段11は発車時刻のどのぐらい前に報知するかを任意に設定できる予告時間設定手段11aを有している。
【0015】前記発車時刻予告報知手段11を機能させた場合には、電車に乗り遅れるという不注意を防ぐことができる。また、前記選択された乗車駅と発車時刻選択手段6から、選択駅、路線の最終電車の発車時刻の所定時間前に報知するのが最終時刻予告報知手段12である。前記最終時刻予告報知手段12は発車時刻のどのぐらい前に報知するかを任意に設定できる予告時間設定手段12aを有している。
【0016】前記最終時刻予告報知手段12を機能させた場合には、最終電車に乗り遅れるという不注意を防ぐことができる。検索手段21は、駅までの移動時間等を勘案できるように、移動時間設定手段21aを有し、前記移動時間設定手段21aの設定時間後の前記発着駅選択手段5で設定された乗車駅の乗車可能な電車発車時刻を検索表示するものである。
【0017】図2は本発明の駅などに設置する時刻情報入力端末16である。電車の発着時刻情報を書き換えたいときに、前記時刻情報入力端末16に電子時計を所定の位置(時刻情報送信手段16aの上)に置き、路線選択手段16c、駅選択手段16dで入力したい駅、路線を選択する。選択した路線、駅名は表示手段16bに表示される。選択した路線、駅名が間違いなかったら、確認スイッチ16fを押す。訂正したい場合には、訂正スイッチ16eを押して、再度、駅、路線を選択する。確認スイッチ16fを押した後に時刻情報の電子時計への転送は時刻情報転送スイッチ16gを押すと、転送する時刻情報は時刻情報送信手段16aから転送される。
【0018】図4と図5は本発明の電子時計の表示の一例を示す図である。図4は本発明の電車に乗ってから、到着駅を乗り過ごさないように、到着予告報知機能の表示状態の一例を示してある。図5は本発明の駅までの移動時間を考慮した現在時刻からの乗車可能な電車の発車時刻の検索機能の表示状態の一例を示してある。
【0019】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、駅などに時刻情報入力端末16を設置して、膨大な電車発車時刻データを前記端末から電子時計に自動入力できるような構成としたので、鉄道のダイヤ改正があった場合にも簡単に時刻データを書き換えることができるという効果がある。
【0020】さらに、記憶する電車発車時刻情報は利用客が頻繁に利用する駅、路線の時刻のみでよいため、データを記憶するメモリー容量が少なくてよい。また、入場改札装置17に駅名コード送信手段17aを取り付け、乗車駅データを利用客が入場改札装置を通過したとき電子時計に自動入力できるような構成としたので、乗車駅を自動的に選択でき、さらに、電車18に乗車確認信号送信手段18aを取り付けて、利用客が乗車したときに前記乗車確認信号を前記受信手段1aで受信する様にして、利用客の乗車時間を自動選択できる構成としたので複雑な操作を必要としないで、降車駅の乗り越しを防止できるという効果がある。
【0021】また駅までの移動時間等を勘案できるように移動時間設定手段を有した乗車可能な電車の発車時刻の検索ができる構成としたので、実使用にあった電車の発車時刻の検索ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の時刻情報入力端末16の上面図である。
【図3】本発明の入場改札装置17を示す図である。
【図4】本発明の電子時計の表示の一例を示す図である。
【図5】本発明の電子時計の表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 時刻情報入力手段
2 駅名コード記憶手段
3 発着時刻記憶手段
4 時刻計数手段
5 発着駅選択手段
6 発着時刻選択手段
7 時刻計数手段
8 表示制御手段
9 表示手段
10 到着予告報知手段
11 発車時刻予告報知手段
12 最終時刻予告報知手段
13 アラーム駆動手段
14 発音手段
15 乗車駅記憶手段
16 時刻情報入力端末
17 入場改札装置
18 電車

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、時刻計数手段と表示制御手段と表示手段を有する電子時計において、(イ)駅名と路線名を記憶する駅名コード記憶手段と、(ロ)駅毎の電車の発着時刻を記憶する発着時刻記憶手段と、(ハ)乗車駅及び到着駅を特定する発着駅選択手段と、(ニ)前記計時手段の時刻情報と前記発着駅選択手段と前記発着時刻記憶手段から乗車電車の発車時刻を選択する発車時刻選択手段と、(ホ)前記発着時刻選択手段と前記発着駅選択手段から到着駅の到着時刻を演算する到着時刻演算手段と、(ヘ)前記到着時刻演算手段の演算データから到着の所定時間前に発音又は振動などにより報知する到着予告報知手段と、(ト)前記駅名コード記憶手段と前記発着時刻記憶手段のデータの時刻情報入力手段とを有することを特徴とする電子時計。
【請求項2】 前記発車時刻選択手段で選択された発車時刻の所定時間前に発音又は振動などにより報知する発車時刻予告報知手段を有する請求項1記載の電子時計。
【請求項3】 乗車駅の最終の発車時刻の所定時間前に発音又は振動などにより報知する最終時刻予告報知手段を有する請求項1記載の電子時計。
【請求項4】 所定時間後に乗車可能な電車の発車時刻の検索を行う検索手段を有することを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項5】 利用客が電車に乗車したことを電子時計が受信でき得る乗車確認信号を送信する乗車信号送信手段を有する電車。
【請求項6】 駅内に入場する利用客を改札する入場改札装置において、乗車駅の駅名コードを利用客の携帯する電子時計に送信する駅名コード送信手段を有することを特徴とする入場改札装置。
【請求項7】 乗車駅で受信した駅名コードを記憶する乗車駅記憶手段と、前記乗車駅記憶手段から乗車駅を自動選択する発着駅選択手段を有する請求項1記載の電子時計。
【請求項8】 前記時刻情報入力手段は、(イ)外部から送信されるコード化された駅名及び時刻情報を駅構内などに設置された入力端末から、記憶したい駅名、路線名を選択すると、有線又は無線で入力できる受信手段と、(ロ)ボタンスイッチなどで外部から駅名及び時刻情報を手操作入力可能な外部操作入力手段と、からなる請求項1記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平5−2087
【公開日】平成5年(1993)1月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−154582
【出願日】平成3年(1991)6月26日
【出願人】(000002325)セイコー電子工業株式会社 (3,629)