説明

電子機器、携帯端末装置

【課題】携帯電話やPDA、デジタルカメラ等の電池を電力の供給元とする電子機器において、機器内部が浸水した際、電子回路への電力供給を確実に断つことができる電子機器を得る。
【解決手段】電池11と、電池11を電力供給元として動作する電子回路10と、電池11から一定以上の電流が流れると溶断し、電子回路10への電源供給を停止するヒューズ12と、機器内部において水濡れを電気的に検出する水濡れ検出センサ13と、ヒューズ12より電子回路10側に設けられ、水濡れ検出センサ13が水濡れを検出したときに、電池11から電流を流すためのMOS型のFET14と、水濡れ検出センサ13が水濡れを検出していないときにFET14のドレイン−ソース間に電流を流さないように、FET14をオフ状態に保つためのゲート抵抗15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ等の電池を電力の供給元とする電子機器、携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA、デジタルカメラ等の、電池を電力の供給元とする電子機器では、機器内部の電子回路に電力が供給されている状態で機器内部が浸水した場合、電子回路が破損する可能性がある。特に、携帯電話やPDA、デジタルカメラ等の、ユーザが携帯する電子機器は、野外で使用する機会が多いことから、雨などの水に濡れることが多々ある。機器内部が浸水した場合でも機器内部の電子回路に電力が供給されていなければ、電子回路が乾くことで、再度電力を供給したときに動作する可能性がある。また、電子機器がメモリを有するものであれば、電子回路が動作することで当該メモリからデータを取り出すことが可能である。
【0003】
近年、メモリの機能向上と低価格化により、電子機器に大容量のメモリが搭載され、以前よりも多様かつ大量のデータが電子機器のメモリに格納されることが多くなっている。このような現状により、電子機器が水に濡れた場合でもデータを保護したいというニーズが市場で増している。
【0004】
電池を電力供給元とする電子機器で、水濡れを電気的に検出して回路への電源供給を停止する発明がある。例えば、特許文献1で開示された電子機器はその種のものであり、水漏れ検出シールと、この水濡れ検出シールの第1端子と第2端子との間の電気的な導通状態を検知する検知手段と、この検知手段で検知された前記導通状態に基づいて電子機器の電源の供給状態を調節する電源調節手段とを備えている。なお、水濡れを検出するセンサには、特許文献1に記載された水濡れ検出シールの他に、例えば特許文献2で開示されている水濡れセンサもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−053110号公報
【特許文献2】特開2000−162081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1で開示された電子機器では、水濡れ検出時にメイン回路(電子回路に相当)への電源供給を停止する手段として、制御端子に信号「H」が入力されるとオン状態(閉状態)となり、信号「L」が入力されるとオフ状態(開状態)となるスイッチ部材を用いている。このスイッチ部材がどのような構造のものかは明確に記載されてはいないが、「H」、「L」でオン・オフ状態になることから、トランジスタやFET、リレーなどの既存のスイッチ部材を使用しているものと推測される。この既存のスイッチ部材を使用している場合、それを動作させるための電源が必要となるが、それが水に濡れることによる誤動作や、電池電圧が低下してスイッチの定格電圧を下回ることによる誤動作により、メイン回路に電力が供給されてしまう可能性がある。メイン回路に電源が供給されている状態でメイン回路が水に濡れた場合、メイン回路を構成する部品が使用不能になる虞がある。
【0007】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、携帯電話やPDA、デジタルカメラ等の電池を電力の供給元とする電子機器において、機器内部が浸水した際に、電子回路への電力供給を確実に断つことができる電子機器、携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、電池と、前記電池を電力供給元として動作する電子回路と、前記電池から一定以上の電流が流れると溶断し、前記電子回路への電源供給を停止するヒューズと、機器内部において水濡れを電気的に検出する水濡れ検出センサと、前記ヒューズより前記電子回路側に設けられ、前記水濡れ検出センサが水濡れを検出したときに前記電池から電流をグランドへ流すためのスイッチ回路と、を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、電子機器内部が浸水した際に、瞬時に電子回路への電力供給を断つので、機器内部への浸水による電子回路を構成する部品が使用不能になることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す図である。
【図2】図1の電子回路を動作を説明に用いる該電子機器の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す図である。
【図4】図3の電子回路を動作を説明に用いる該電子機器の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す図である。同図において、本実施の形態の電子機器1は、電池を電力供給元として動作する電子回路10と、電子回路10に対する電力供給源である電池11と、電池11から一定以上の電流が流れると溶断し、電子回路10への電源供給を停止するヒューズ12と、水濡れを電気的に検出する水濡れ検出センサ13と、ヒューズ12より電子回路10側に設けられ、水濡れ検出センサ13が水濡れを検出したときに、電池11から電流を流すためのMOS型のFET(電界効果トランジスタ、スイッチ部材)14と、水濡れ検出センサ13が水濡れを検出していないときにFET14のドレイン−ソース間に電流が流れないように、FET14をオフ状態に保つためのゲート抵抗15と、を備える。なお、FET14とゲート抵抗15は、スイッチ回路16を構成する。
【0012】
ヒューズ12は、電子回路10と電池11との間の電源ライン17に直列に介挿される。ヒューズ12は、通常の動作で電子回路10が消費する電流量とFET14及びゲート抵抗15によるリーク電流の電流量の総和の電流が流れても溶断することがなく、それ以上の量の電流が流れた場合にのみ溶断するものである。水濡れ検出センサ13は、2極の端子を有し、その一方の端子がヒューズ12より電子回路10側の電源ライン17に接続され、他方の端子がゲート抵抗15を介してグランドに接地される。水濡れ検出センサ13は、例えば特開2006−53110号公報又は特開2001−162081号公報に記載されているものを用いてよい。水濡れ検出センサ13は、非水濡れ時に絶縁され、水濡れ時に導体となるものである。水の電気抵抗値は、水道水で数KΩから十数KΩであるので、水濡れ時の水濡れ検出センサ13の2極間の抵抗値は水の電気抵抗値と略同等となる。
【0013】
水濡れ検出センサ13が水に濡れて導体となったとき、電池11の電圧を水濡れ検出センサ13の抵抗値とゲート抵抗15の抵抗値で分圧した電圧がFET14のゲートに印加されてFET14がオン状態となり、ドレイン−ソース間に電流が流れる。この際、ドレイン−ソース間に流れる電流でヒューズ12が溶断するように、ゲート抵抗15の抵抗値が定められる。
【0014】
次に、図2に示す概略構成図を参照して、本実施の形態の電子機器1の動作を説明する。図2において、電子機器1の通常動作では、ヒューズ12を経由して電池11から電子回路10に、電子回路10が消費する電流と、FET14及びゲート抵抗15によるリーク電流の総和である電流I1が流れる。このとき、水濡れ検出センサ13は水に濡れていないので、水濡れ検出センサ13の端子間は絶縁状態にあり、FET14のゲートに電圧が印加されず、さらにゲート抵抗15によりグランドに接地されているため、FET14のゲートにおける電圧は0(ゼロ)となる。これにより、FET14はオフ状態となり、ドレイン−ソース間には電流の流れが生じない。
【0015】
一方、電子機器1の機器内部に浸水し、水濡れ検出センサ13が濡れると、水濡れ検出センサ13は導体となり、その端子間が水の抵抗値と等価となる。水濡れ検出センサ13が抵抗を持つ導体となったことで、FET14のゲートには、電池11の電圧を水濡れ検出センサ13の抵抗値とゲート抵抗15の抵抗値で分圧した電圧が印加されてFET14がオン状態となり、FET14のドレイン−ソース間に電流I2が流れる。これにより、ヒューズ12に電流I1と電流I2が同時に流れて、ヒューズ12が溶断する。この結果、電子回路10やFET14等のヒューズ12より電子回路10側の回路への電源供給が断たれる。
【0016】
このように本実施の形態の電子機器1によれば、電池11と、電池11を電力供給元として動作する電子回路10と、電池11から一定以上の電流が流れると溶断し、電子回路10への電源供給を停止するヒューズ12と、機器内部において水濡れを電気的に検出する水濡れ検出センサ13と、ヒューズ12より電子回路10側に設けられ、水濡れ検出センサ13が水濡れを検出したときに、電池11から電流を流すためのMOS型のFET14と、水濡れ検出センサ13が水濡れを検出していないときにFET14のドレイン−ソース間に電流を流さないように、FET14をオフ状態に保つためのゲート抵抗15と、を備えたので、電子機器1の機器内部が浸水した際に、瞬時に電子回路10への電力供給を断つことができ、機器内部の浸水による電子回路10を構成する部品が使用不能になることを防ぐことができる。
【0017】
なお、本実施の形態の電子機器1は、スイッチ回路16を構成するスイッチ部材としてFET14を使用したが、当該スイッチ部材は図1に対応する図3や、図2に対応する図4で示すように、FETに限定されることはない。例えばトランジスタであってもよい。また、半導体のスイッチ部材子以外のものとして、機械式のリレー(防水型が好ましい)を使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、携帯電話やPDA(携帯端末装置)、デジタルカメラ等の電池を電力供給元とする電子機器への適用が可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 電子機器
10 電子回路
11 電池
12 ヒューズ
13 水濡れ検出センサ
14 FET
15 ゲート抵抗
16 電源ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池を電力供給元として動作する電子回路と、
前記電池から一定以上の電流が流れると溶断し、前記電子回路への電源供給を停止するヒューズと、
機器内部において水濡れを電気的に検出する水濡れ検出センサと、
前記ヒューズより前記電子回路側に設けられ、前記水濡れ検出センサが水濡れを検出したときに前記電池から電流をグランドへ流すためのスイッチ回路と、
を備えた電子機器。
【請求項2】
前記スイッチ回路は、スイッチ部材を備え、前記水濡れ検出センサが水濡れを検出していないときは前記スイッチ部材をオフ状態にし、前記水濡れ検出センサが水濡れを検出したときは前記スイッチ部材をオン状態にする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記水濡れ検出センサは、非水濡れ時には絶縁体となり、水濡れ時には水の電気抵抗値と略同等の抵抗値を持つ導体となるものであり、
前記スイッチ回路は、電界効果トランジスタと、前記水濡れ検出センサとで電池電圧を分圧し、この分圧電圧を前記電界効果トランジスタのゲートに印加するゲート抵抗と、を備え、前記水濡れ検出センサが水濡れしてないときは、前記分圧電圧は、前記電界効果トランジスタがオン状態にならない電圧値となり、前記水濡れ検出センサが水濡れしたときは、前記分圧電圧は、前記電界効果トランジスタがオン状態になる電圧値となる請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
電池と、
前記電池を電力供給元として動作する電子回路と、
前記電池から一定以上の電流が流れると溶断し、前記電子回路への電源供給を停止するヒューズと、
機器内部において水濡れを電気的に検出する水濡れ検出センサと、
前記ヒューズより前記電子回路側に設けられ、前記水濡れ検出センサが水濡れを検出したときに前記電池から電流をグランドへ流すためのスイッチ回路と、
を備えた携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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