説明

電子機器および通信状態報知機能制御方法

【課題】近接無線通信を実行する2つのデバイスによって通信状態報知機能が重複して実行されることを防止する。
【解決手段】近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間で近接無線通信を行う場合、通信状態報知機能情報取得部112は、ネゴシエーションにより外部デバイスの通信状態報知機能に関する情報を取得する。通信状態報知機能制御部113は、取得した報知機能情報に基づき、外部デバイスによる通信状態報知機能の実行又は抑制を外部デバイスへ要求する。例えば、電子機器10の通信状態報知機能が外部デバイスよりも高機能であれば、通信状態報知機能制御部113は外部デバイスへ通信状態報知機能の抑制を要求する。外部デバイスの通信状態報知機能が電子機器10よりも高機能であれば、通信状態報知機能制御部113は電子機器10の通信状態報知機能を抑制し、外部デバイスへ通信状態の報知を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近接無線通信を実行する電子機器および同機器に適用される通信状態報知機能制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード、携帯電話機等においては、NFCのような無線通信が利用され始めている。ユーザは、ICカードまたは携帯電話をホスト装置のリーダ/ライタ部にかざすといった操作を行うだけで、認証処理、課金等のための通信を容易に行うことができる。
【0003】
最近では、より高速の通信が可能な新たな近接無線通信技術が開発され始めている。この新たな近接無線通信技術は、デバイス同士を近づけるだけで、認証、課金サービスのみならず、文書データ、画像データ、オーディオデータといったデータファイルをそれらデバイス間で交換することを可能にする。
【0004】
認証処理サービス等のための無線通信に要する時間は一瞬(例えば高々数秒)であるが、近接無線通信によって大容量のファイルのようなデータを転送する場合においては、無線通信に要する時間は比較的長くなる。ファイルのデータサイズによっては、そのファイルの転送に数十秒から数分程度の通信時間が要されることもある。
【0005】
特許文献1には、ポータブルオーディオプレーヤのような第1の電子機器を据置き型プレーヤのような第2の電子機器に近づけると、第1の電子機器でのコンテンツの再生が停止され、第2の電子機器で該コンテンツの再生が開始される電子機器セットが開示されている。ユーザが第1の電子機器でコンテンツを視聴中に第2の電子機器が設置された場所に近づくと、該コンテンツの再生が第1の電子機器から第2の電子機器へ自動的に切り替えられ、ユーザは煩雑な操作を行うことなく視聴を続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−22139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近接無線通信では通信中、デバイス同士が近づけられた状態に維持される必要がある。コンテンツデータの伝送等の通信中にユーザが誤ってデバイスを離すと、デバイス間の接続が解除され、伝送は失敗する。そこで、ユーザによる通信中の誤操作を防ぐため、デバイスには通信の状態や切り替わりをユーザへ報知する機能を設けることが必要である。
【0008】
しかしながら、上述したように近接無線通信はデバイス同士が近づけられた状態で実行されるので、もし両方のデバイスが通信状態をそれぞれ報知すると、両方のデバイスからの報知出力が重複する。報知出力の重複により、通信状態を正しくユーザに通知できなくなる可能性がある。したがって、通信状態を報知する機能をデバイス間で調整するための新たな手段の実現が必要である。
【0009】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、近接無線通信を実行する2つのデバイスによって通信状態報知機能が重複して実行されることを防止することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明の電子機器は、近接無線通信を実行する通信モジュールと、前記通信モジュールと外部デバイスとの間で実行する近接無線通信を用いたデータ伝送開始時又は完了時の少なくとも一方を報知する通信状態報知手段と、前記外部デバイスによる通信状態報知機能の実行を抑制するために、前記通信状態報知手段の通信状態報知機能に関する能力を示す報知機能情報を前記外部デバイスに送信する報知機能情報送信手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、近接無線通信を実行する2つのデバイスによって通信状態報知機能が重複して実行されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器のシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の電子機器で用いられる通信制御プログラムの構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の電子機器の外観を示す斜視図。
【図4】同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される近接無線通信の例を示す図。
【図5】同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される通信シーケンスを示す図。
【図6】同実施形態の電子機器に設けられた通信状態報知部によって報知される通信状況の例を示す図。
【図7】同実施形態の電子機器と外部デバイスによる音声出力の重複の例を示す図。
【図8】同実施形態の電子機器と外部デバイスによる音声出力機能制御の例を示す図。
【図9】同実施形態の電子機器と外部デバイスによる音声出力機能制御の別の例を示す図。
【図10】同実施形態の電子機器と外部デバイスによる音声出力機能制御の他の例を示す図。
【図11】同実施形態の電子機器と外部デバイスによる音声出力機能制御のさらに別の例を示す図。
【図12】同実施形態の電子機器と外部デバイスによる音声出力機能制御のさらに他の例を示す図。
【図13】同実施形態の電子機器によって実行される制御側の通信処理の手順を説明するフローチャート。
【図14】同実施形態の電子機器によって実行される被制御側の通信処理の手順を説明するフローチャート。
【図15】同実施形態の電子機器によって実行される通信処理の詳細な手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の構成を示している。この電子機器10は、例えば、携帯機器(例えば、携帯電話機、PDA、オーディオプレーヤ等)、パーソナルコンピュータ、またはコンシューマ機器(例えば、TV、ビデオレコーダ等)として実現される。この電子機器10は、システム制御部11、メモリ12、ストレージデバイス13、入力部14、液晶表示装置(LCD)15、サウンドコントローラ16、スピーカ17、インジケータ18、電源制御部19、および近接無線通信デバイス20を備える。
【0015】
システム制御部11は、電子機器10内の各部の動作を制御する。システム制御部11は、メモリ12、ストレージデバイス13、入力部14、LCD15、サウンドコントローラ16、インジケータ18、電源制御部19、および近接無線通信デバイス20に接続されている。システム制御部11は、CPU101aを備えている。
【0016】
CPU101aは、ストレージデバイス13からメモリ12にロードされる、オペレーティングシステムおよび各種アプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムを実行するプロセッサである。アプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムの中には、近接無線通信デバイス20の通信動作を制御する通信制御プログラム12a等が含まれている。通信制御プログラム12aは、近接無線通信デバイス20によって実行される近接無線通信の状態(データ伝送の開始、データ伝送の完了、伝送レート、等)を音又は光によってユーザに提示する通信状態報知機能を有している。
【0017】
ストレージデバイス13は、例えば、ハードディスクドライブや不揮発性半導体メモリから構成されている。入力部14は、CPU101Aに与えるべきデータ及び指示を入力するための入力デバイスである。この入力部14は、例えば、キーボード、複数のボタンスイッチ、またはポインティングデバイス等によって実現される。
【0018】
LCD15は、電子機器10のディスプレイモニタとして使用される表示装置である。サウンドコントローラ16はCPU101aから送信されるオーディオデータに対応する音を出力するための音源回路である。サウンドコントローラ16はCPU101aから送信されるオーディオデータをデジタルオーディオ信号からアナログオーディオ信号に変換し、そのアナログオーディオ信号をスピーカ17に出力する。スピーカ17はアナログオーディオ信号に対応する音を出力する。
【0019】
インジケータ18は近接無線通信デバイス20によって実行される近接無線通信の状態を提示する。このインジケータ18は、LEDのような発光部を備えている。
【0020】
電源制御部19は、ACアダプタ30を介して外部から供給される電力、または電子機器10内に設けられたバッテリ19bから供給される電力を用いて、電子機器10内の各部に電力を供給する。換言すれば、電子機器10は、AC商用電源のような外部電源、またはバッテリ19bによって駆動される。ACアダプタ30は、電子機器10内に設けることもできる。電源制御部19は、ユーザによる電源スイッチ(P−SW)19aの操作に応じて、電子機器10をパワーオンまたはパワーオフする。
【0021】
近接無線通信デバイス20は、近接無線通信を実行する通信モジュールである。近接無線通信デバイス20は、近接無線通信デバイス20から所定の距離内に存在する、近接無線通信機能を有する別のデバイス(外部デバイス)との無線接続を確立し、そしてファイルのようなデータの伝送を開始する。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の近接無線通信は、ピアツーピア形式で実行される。通信可能距離は例えば3cmである。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続は、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の距離が通信可能距離(例えば3cm)以内に接近した場合にのみ可能となる。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとが通信可能距離以内に接近した時、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。そして、ユーザによって明示的に指定されたデータファイル、または予め決められた同期対象データファイル等のデータの伝送が近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間で実行される。
【0022】
近接無線通信においては、誘導電界が用いられる。近接無線通信方式としては、例えばTransfer JETを使用し得る。Transfer JETは、UWBを利用した近接無線通信方式であり、高速データ転送を実現することができる。
【0023】
近接無線通信デバイス20はPHY/MAC部20aとアンテナ20bとを備える。PHY/MAC部20aは、CPU101aにより実行された通信制御プログラム12aの制御を受けて、動作する。PHY/MAC部20aは、アンテナ20bを介して、外部デバイスとの通信を行う。アンテナ20bはカプラと称される電極であり、誘導電界を用いた無線信号により、外部デバイスに対するデータの送受信を行う。外部デバイスがアンテナ20bから通信可能距離(例えば3cm)以内の範囲内に接近した場合、近接無線通信デバイス20および外部デバイスそれぞれのアンテナ(カプラ)間が誘導電界によって結合され、これによって近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線通信が実行可能となる。なお、近接無線通信デバイス20およびアンテナ20bは、一つのモジュールとして実現し得る。
【0024】
次に、図2を参照して、通信制御プログラム12aの構成について説明する。
【0025】
通信制御プログラム12aは、制御部111、通信状態報知機能情報取得部112、通信状態報知機能制御部113、及び通信状態報知部114を備えている。
【0026】
制御部111は近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の通信シーケンスを制御する。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線通信(近接無線通信)は、(1)接続フェーズ、(2)ネゴシエーションフェーズ、(3)データ伝送フェーズという手順で実行される。
【0027】
接続フェーズでは、接続要求信号およびこの接続要求信号に対する応答信号が近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間で送受信される。すなわち、近接無線通信では、2つのデバイスの一方は接続要求信号を送信する。他方のデバイスは接続要求信号を検出する処理を所定時間間隔毎に実行する。他方のデバイスが一方のデバイスからの接続要求信号を検出することにより、2つのデバイス間の無線接続を確立することができる。
【0028】
ネゴシエーションフェーズでは、例えば伝送対象のコンテンツデータ(文書データファイル、画像データファイル、オーディオデータファイル等)に関する情報(伝送対象のファイルのデータサイズ、伝送対象のデータファイルの個数、伝送対象のファイルの種類)がデバイス間で交換される。また、各デバイスの通信状態報知機能に関する能力を示す報知機能情報が、デバイス間で交換される。報知機能情報としては、通信状態報知機能の有無または通信状態報知機能の性能を示す情報を使用することができる。
【0029】
データ伝送フェーズでは、伝送対象のデータ(コンテンツデータ)が送信元デバイスから転送先デバイスに伝送される。
【0030】
通信状態報知部114は、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間で実行される近接無線通信に関する通信状態を報知する。具体的には、通信状態報知部114は、データ伝送フェーズにおける通信状態をユーザへ報知する。この場合、通信状態報知部114は、例えば、データの伝送の開始を示す開始音と伝送の完了を示す終了音とをスピーカ17から出力する。上述したようにデータ伝送に要する時間は伝送対象のコンテンツによって異なり、またデータ伝送中は近接無線通信デバイス20と外部デバイスとを近接状態に維持しておくことが必要である。したがって、データ伝送の開始およびデータ伝送の完了の双方をユーザに通知することは、ユーザによる通信中の誤操作を防ぐ上で有効である。また、通信状態報知部114は、例えばインジケータ18のLEDを点灯、点滅させて通信状態を示す。なお、例えば、コンテンツの伝送に要する時間がしきい値以上であるか否かを判定し、コンテンツの伝送に要する時間がしきい値以下である場合には、開始音および終了音の内の一方のみ、例えば、終了音のみを出力するようにしてもよい。
【0031】
通信状態報知機能情報取得部112は、電子機器10における通信状態報知機能の有無及び性能に関する情報を通信相手である外部デバイスへ送出し、通信相手である外部デバイスから外部デバイスにおける通信状態報知機能の有無及び性能に関する情報を取得する。
【0032】
通信状態報知機能制御部113は、通信状態報知機能情報取得部112により取得した外部デバイスにおける通信状態報知機能の有無及び性能に関する情報を用いて、電子機器10及び外部デバイスの通信状態報知機能を制御する。
【0033】
近接無線通信では通信中、電子機器10と外部デバイスとが近づけられた状態に維持されている。デバイス同士が近づけられた状態で、両方のデバイスから音や光によって通信状態が報知されると、ユーザが混乱し通信状態を正しく認識できなくなる可能性がある。また、近接したデバイス同士が個々に通信状態をユーザに通知することは、無駄な電力消費を招く要因にもなる。このため、通信状態報知機能制御部113は、いずれかのデバイスでのみ通信状態が報知されるように、電子機器10及び外部デバイスの通信状態報知機能を制御する。すなわち、通信状態報知機能制御部113は、電子機器10の通信状態報知機能により通信状態を報知する場合には外部デバイスの通信状態報知機能を抑制する制御を行い、外部デバイスの通信状態報知機能により通信状態が報知される場合には電子機器10の通信状態報知機能を抑制する制御を行う。
【0034】
具体的には、通信状態報知機能制御部113は、外部デバイスの通信状態報知機能を制御するために、外部デバイスから取得した報知機能情報に基づいて、外部デバイスによる通信状態報知機能の実行又は抑制を外部デバイスへ要求する。この場合、通信状態報知機能制御部113は、通信状態報知部114の通信状態報知機能と外部デバイスから取得した報知機能情報によって示される当該外部デバイスの通信状態報知機能とを比較し、この比較結果に基づいて、通信状態報知機能の実行又は抑制を要求する信号を近接無線通信デバイス20によって外部デバイスへ送信する。外部デバイスに通信状態報知機能の実行を要求した場合、通信状態報知機能制御部113は、通信状態報知部114による通信状態報知機能の実行を抑制する。
【0035】
また、外部デバイスの通信状態報知機能を制御せずに、外部デバイスの能力に基づいて、電子機器10の通信状態報知機能のみを制御してもよい。この場合、通信状態報知機能制御部113は、外部デバイスから取得した報知機能情報に基づいて、通信状態報知部114による通信状態報知機能を実行又は抑制する。例えば、外部デバイスが通信状態報知機能を有する場合、または外部デバイスの通信状態報知機能が通信状態報知部114の通信状態報知機能よりも高機能である場合、通信状態報知機能制御部113は、通信状態報知部114による通信状態報知機能の実行を抑制する。
【0036】
なお、図2では、通信状態報知機能情報取得部112、通信状態報知機能制御部113、及び通信状態報知部114は異なるモジュールとして示されているが、通信状態報知機能情報取得部112、通信状態報知機能制御部113、及び通信状態報知部114を一つのモジュールとして実現しても良い。
【0037】
次に、図3を参照して、電子機器10がポータブルパーソナルコンピュータとして実現されている場合を想定して、電子機器10の外観の例を説明する。
【0038】
図3は、電子機器10の外観を示す斜視図である。
【0039】
電子機器10は、本体41と、ディスプレイユニット42とを備えている。ディスプレイユニット42は、本体41に対し、本体41の上面が露出される開放位置と本体41の上面がディスプレイユニット42によって覆われる閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。ディスプレイユニット42内には、上述のLCD15が設けられている。
【0040】
本体41は薄い箱状の筐体を有している。本体41の筐体の上面には、キーボード14a、タッチパッド14b、スピーカ17a,17b、インジケータ18、電源スイッチ19a等が配置されている。
【0041】
本体41の上面、具体的には、本体41の上面上のパームレスト領域の一部は、通信面として機能する。すなわち、近接無線通信デバイス20およびアンテナ(カプラ)20bは、本体41の上面に対向して本体41内に設けられている。アンテナ(カプラ)20bは、本体41の上面(具体的には、本体41の上面上のパームレスト領域の一部)を介して、無線信号(誘導電界)を外部に出力するように配置されている。アンテナ(カプラ)20bに対向する本体41の上面上の小領域、つまり本体41の上面上においてアンテナ(カプラ)20bの上方に位置する小領域は、通信位置として使用される。近接無線通信デバイス20は、本体41の上面上の通信位置から所定の無線通信可能距離(例えば3cm)内に存在する外部デバイスとの近接無線通信を本体41の上面を介して実行する。
【0042】
ユーザは、例えば、近接無線通信機能を有する外部デバイスを本体41の上面上の通信位置上にかざすという操作(タッチ操作とも云う)を行うことにより、外部デバイスと電子機器10との間のデータ転送を開始させることができる。
【0043】
図4は、携帯電話50と電子機器10との間で実行される近接無線通信の様子が示されている。携帯電話50の筐体内には、その筐体の背面に対向して近接無線通信用のアンテナ(カプラ)が設けられている。この場合、携帯電話50の筐体の背面を電子機器20の本体41の上面上の通信位置上にかざすことにより、携帯電話50と電子機器10との間のデータ転送を開始させることができる。
【0044】
次に、図5を参照して、電子機器10と外部デバイスとの間で実行される通信シーケンスを説明する。
【0045】
ここでは、デバイス1とデバイス2との間で近接無線通信を実行する場合を想定する。デバイス1,2の内、通信を開始したい側のデバイス、例えばデバイス1は、接続要求信号(Connect)を送信する。この接続要求信号には、デバイス1のデバイスID(例えば、デバイス1内に設けられた近接無線通信デバイスのデバイスID)を含めることができる。デバイス2は接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する。デバイス1とデバイス2とが近接している場合、デバイス2は、デバイス1から送信される接続要求信号を検出することができる。接続要求信号を検出した時、デバイス2は、接続要求信号に対する応答信号(Ack)をデバイス1に送信する。応答信号(Ack)には、デバイス2のデバイスID(例えば、デバイス2内に設けられた近接無線通信デバイスのデバイスID)を含めることができる。デバイス1はデバイス2から送信される応答信号(Ack)を検出することができる。このように、デバイス1とデバイス2との間で接続要求信号/応答信号を送受信することにより、デバイス1とデバイス2との間の無線接続が確立される。
【0046】
次いで、デバイス1とデバイス2との間でネゴシエーション処理が実行される。このネゴシエーション処理では、伝送対象のコンテンツに関する情報がデバイス1とデバイス2との間で交換される。この後、デバイス1とデバイス2との間でデータの伝送が開始される。
【0047】
電子機器10は、上述のデバイス1またはデバイス2のどちらとしても機能し得る。
【0048】
次に、図6を参照して、電子機器10に設けられた通信状態報知部114によって報知される通信状態の例を説明する。
【0049】
ユーザのタッチ操作により、電子機器10と外部デバイスとが近づけられると、電子機器10と外部デバイスとの接続が確立され、コンテンツデータの伝送が可能となる。そして、コンテンツデータの伝送開始と同時に、通信状態報知部114はインジケータ18のLEDを点滅させ、且つスピーカ17から開始音を出力し、ユーザへ伝送の開始を報知する。通信状態報知部114は、コンテンツデータが伝送されている期間中、インジケータ18のLEDを点滅させる。コンテンツデータの伝送が終了すると、通信状態報知部114は、インジケータ18のLEDを一定時間だけ点灯させた後、消灯し、また、伝送完了を示す終了音をスピーカ17から出力する。これによりユーザに対して、コンテンツデータの伝送の完了を報知することができる。終了音には開始音とは異なるメロディを用い、ユーザは音のみでも伝送の開始と終了とを判別することができる。ユーザが伝送の完了を確認して電子機器10と外部デバイスとを所定距離(3cm)以上離すと、機器間の接続が解除される。
【0050】
以上により通信状態報知部114は、インジケータ18のLEDの点灯及び点滅とスピーカ17から出力されるメロディとから、コンテンツデータの伝送が開始されたこと、コンテンツデータが伝送中であること、そして、コンテンツデータの伝送が終了したことをユーザへ報知することができる。
【0051】
図7は、電子機器10と外部デバイスとにより通信状態を報知する音声の出力が重複する例を示している。
【0052】
図7において、電子機器10であるデバイス1と外部デバイスであるデバイス2とは、いずれも音声出力機能を有する。ユーザが、デバイス1にデバイス2を近づけるタッチ操作を行うと、デバイス1とデバイス2との間で無線通信の接続が確立される。そして、デバイス間でデータの伝送が開始される場合、デバイス1及びデバイス2はそれぞれ伝送の開始を示す開始音を出力する。デバイス1により出力される開始音とデバイス2により出力される開始音とは、ほぼ同時に出力されるためにユーザの混乱を招いたり、これら二つの開始音による不協和音をユーザが不快に感じる可能性がある。このため本実施形態では、電子機器10と外部デバイスのいずれかの音声出力機能を有効にし、他方の音声出力機能を無効にするための制御を行う。電子機器10と外部デバイスのいずれかの音声出力機能を用いて通信状態を報知することで、ユーザは容易に通信状態を判別することができる。
【0053】
次に、図8を参照して、電子機器10と外部デバイスとの間で音声出力機能を制御する例について説明する。ここでは、デバイス1に音声出力機能があり、デバイス2に音声出力機能がない場合を想定する。デバイス1は、例えば、デバイス1,2間の通信を制御する側のデバイス(マスタ)である。接続要求信号を送信した側のデバイスがマスタとなり得る。
【0054】
まず、デバイス1は、デバイス2の音声出力機能を確認するため、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス2に対して音声出力機能に関する情報を送信するよう要求する。デバイス2はこの要求に応答して、デバイス2に音声出力機能がない旨を示す情報をデバイス1へ送信する。デバイス2に音声出力機能がない旨を示す情報を受信したデバイス1は、デバイス2に音声出力機能がないため、デバイス1で音声出力を行うための制御を行う。したがって、デバイス1とデバイス2との間でデータを伝送する場合、デバイス1で通信状態を示す音声を出力する。
【0055】
図9は、電子機器10と外部デバイスとの間で音声出力機能を制御する別の例を示す。ここでは、デバイス1に音声出力機能があり、デバイス2に音声出力機能がない場合を想定する。この例ではデバイス2が、例えば、デバイス1,2間の通信を制御する側のデバイス(マスタ)である。
【0056】
まず、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス2は、デバイス2に音声出力機能がない旨を示す情報をデバイス1へ送信する。デバイス2に音声出力機能がない旨を示す情報を受信したデバイス1は、デバイス2に音声出力機能がないため、デバイス1で音声出力を行うための制御を行う。したがって、デバイス1とデバイス2との間でデータを伝送する場合、デバイス1が通信状態を示す音声を出力する。
【0057】
図10は、電子機器10と外部デバイスとの間で音声出力機能を制御する他の例を示す。ここでは、デバイス1及びデバイス2に共に音声出力機能があって、デバイス1の音声出力機能がデバイス2の音声出力機能よりも高機能である場合を想定する。デバイス1は、例えば、デバイス1,2間の通信を制御する側のデバイス(マスタ)である。
【0058】
まず、デバイス1は、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス1の音声出力機能の性能を示す情報をデバイス2へ送信する。そして、デバイス2は、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス2の音声出力機能の性能を示す情報をデバイス1へ送信する。
【0059】
デバイス1は、デバイス1の音声出力機能の性能とデバイス2の音声出力機能の性能とを比較し、デバイス1の音声出力機能がデバイス2の音声出力機能よりも高機能であると判定する。したがって、デバイス1とデバイス2との間でデータを伝送する場合、デバイス1は通信状態を示す音声を出力する。
【0060】
また、デバイス2は、デバイス1の音声出力機能の性能とデバイス2の音声出力機能の性能とを比較し、デバイス2の音声出力機能がデバイス1の音声出力機能よりも低機能であると判定する。そして、デバイス2は、デバイス2の音声出力機能を抑制する。したがって、デバイス1とデバイス2との間でデータを伝送する場合、デバイス2は通信状態を示す音声を出力しない。
【0061】
尚、図10の例では、デバイス2が自身で音声出力機能の抑制を行っているが、図11の例と同様に、デバイス1側から音声出力機能抑制の要求を出すようにしても良い。
【0062】
図11は、電子機器10と外部デバイスとの間で音声出力機能を制御するさらに別の例を示す。ここでは、デバイス1及びデバイス2に共に音声出力機能があって、デバイス1の音声出力機能とデバイス2の音声出力機能とが同等の機能を有する場合を想定する。デバイス1は、例えば、デバイス1,2間の通信を制御する側のデバイス(マスタ)である。
【0063】
まず、デバイス1は、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス1の音声出力機能の性能を示す情報をデバイス2へ送信する。そして、デバイス2は、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス2の音声出力機能の性能を示す情報をデバイス1へ送信する。
【0064】
デバイス1は、デバイス1の音声出力機能の性能とデバイス2の音声出力機能の性能とを比較し、デバイス1の音声出力機能とデバイス2の音声出力機能とが同等の機能であると判定する。そして、デバイス1は、デバイス2の音声出力機能を抑制する旨の要求をデバイス2へ送信する。デバイス2は、デバイス2の音声出力機能を抑制する旨の要求を受信し、デバイス2の音声出力機能を抑制する。したがって、デバイス1とデバイス2との間でデータを伝送する場合、デバイス1は通信状態を示す音声を出力し、デバイス2は通信状態を示す音声を出力しない。
【0065】
図12は、電子機器10と外部デバイスとの間で音声出力機能を制御するさらに他の例を示す。ここでは、デバイス1及びデバイス2に共に音声出力機能があって、デバイス1の音声出力機能とデバイス2の音声出力機能とが同等の機能を有する場合を想定する。デバイス2は、例えば、デバイス1,2間の通信を制御する側のデバイス(マスタ)である。
【0066】
まず、デバイス1は、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス1の音声出力機能の性能を示す情報をデバイス2へ送信する。そして、デバイス2は、ネゴシエーションフェーズにて、デバイス2の音声出力機能の性能を示す情報をデバイス1へ送信する。
【0067】
デバイス2は、デバイス1の音声出力機能の性能とデバイス2の音声出力機能の性能とを比較し、デバイス1の音声出力機能とデバイス2の音声出力機能とが同等の機能であると判定する。そして、デバイス2は、デバイス1で音声を出力する旨の要求をデバイス1へ送信する。また、デバイス2は、デバイス2の音声出力機能を抑制する。したがって、デバイス1とデバイス2との間でデータを伝送する場合、デバイス1は通信状態を示す音声を出力し、デバイス2は通信状態を示す音声を出力しない。
【0068】
尚、図11や図12の例のように、音声出力機能が同等の場合に音声出力を抑制するデバイスの決め方は多数考え得るが、例えば、開始時にはデータ伝送の受信側のデバイスが音声を出力して送信側のデバイスが音声を抑制し、終了時にはデータ伝送の送信側のデバイスが音声を抑制して受信側のデバイスが音声を出力するようにしても良い。このようにすることで、特にデータ伝送終了時の音声出力において、確実に送信側でのデータ受信が完了していることを保証することができるようになる。
【0069】
以上、図8から図12を参照して説明したように、電子機器10と外部デバイスとが近接無線通信を行う場合、電子機器10と外部デバイスのいずれかでのみ音声出力機能を有効にし、他方の音声出力機能を抑制する制御が行われる。なお、ここでは近接無線通信の通信状態を報知する音声出力機能について特に説明したが、インジケータ18のLEDを発光させる光出力機能等、通信状態を報知するあらゆる通信状態報知機能について、上述の制御を適用することができる。また、通信状態報知機能の能力(通信状態報知機能の有無、通信状態報知機能の性能)を示す情報は、接続要求信号や応答信号に含めて送信するようにしてもよい。
【0070】
次に、図13のフローチャートを参照して、電子機器10によって実行される制御側の通信処理の手順の例を説明する。ここでは、電子機器10が、電子機器10及び外部デバイスの通信状態報知機能を制御する場合を想定する。
【0071】
近接無線通信方式の接続モードには、InitiatorモードとResponderモードがある。Initiatorモードに設定されたデバイス、つまりInitiatorは、マスタデバイスとして機能して、別のデバイスに対して接続要求を送信する。Responderモードに設定されたデバイス、つまりResponderは、スレーブデバイスとして機能して、Initiatorから送信される接続要求を検出する。InitiatorとResponderとが近接されることによって、それらInitiatorとResponderとの間の接続が確立される。通信制御プログラム102aは、近接無線通信デバイス20を制御し、近接無線通信デバイス20の接続モードを、InitiatorモードまたはResponderモードに設定する。
【0072】
近接無線通信デバイス20がInitiatorモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、接続要求信号を外部デバイスに送信する(ステップS101)。接続要求信号には、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの応答信号を待つ。外部デバイスからの応答信号を受信すると(ステップS102)、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。
【0073】
一方、近接無線通信デバイス20がResponderモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する(ステップS101)。接続要求信号には、外部デバイスのデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を受信すると、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが付加された応答信号を外部デバイスに送信する(ステップS102)。
【0074】
通信制御プログラム102aは、データ伝送の開始に先立って、通信相手となる外部デバイスとのネゴシエーション処理を実行し、伝送すべきコンテンツデータを決定する。また、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、通信状態を報知する機能である通信状態報知機能の能力を示す報知機能情報を外部デバイスへ送信する(ステップS103)。さらに、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、外部デバイスの通信状態報知機能の能力を示す報知機能情報を外部デバイスから受信する(ステップS104)。
【0075】
通信制御プログラム102aは、受信した外部デバイスの報知機能情報を用いて、自機(電子機器10)の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0076】
自機の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能である場合(ステップS105のYES)、通信制御プログラム102aは、外部デバイスに対して音声出力機能を抑制するよう要求する(ステップS106)。音声出力機能の抑制を要求する信号は、近接無線通信デバイス20から外部デバイスに送信される。要求を受信した外部デバイスは、自機の音声出力機能を抑制し、電子機器10と外部デバイス間のデータ伝送の開始及び完了を示す音声を出力しない。
【0077】
一方、電子機器10の通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を用いてデータ伝送の開始を示す開始音を出力する(ステップS107)。そして、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータを伝送する(ステップ108)。コンテンツデータの伝送が完了すると、通信制御プログラム102aは、伝送の完了を示す終了音を出力する(ステップS109)。
【0078】
自機の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能でない場合、例えば外部デバイスの通信状態報知機能が自機の通信状態報知機能よりも高機能である場合(ステップS105のNO)、通信制御プログラム102aは、外部デバイスへ音声出力を要求する(ステップS110)。音声出力を要求する信号は、近接無線通信デバイス20から外部デバイスに送信される。また、通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を抑制する(ステップS111)。したがって、自機ではデータ伝送の開始及び完了を示す音声が出力されない。
【0079】
そして、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータを伝送する(ステップ112)。データ伝送の開始時、外部デバイスでは伝送の開始を示す開始音が出力される。また、データ伝送の完了時、外部デバイスでは伝送の完了を示す終了音が出力される。
【0080】
以上の処理により、電子機器10は、電子機器10と外部デバイスのうち、通信状態報知機能がより高機能である機器で通信状態を報知する制御を行う。すなわち、電子機器10は、電子機器10の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能であれば、電子機器10でデータ伝送の開始を示す開始音とデータ伝送の完了を示す終了音とを出力し、外部デバイスへ音声出力機能の抑制を要求する。一方、電子機器10の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能でなければ、電子機器10の音声出力機能を抑制し、外部デバイスへ音声出力を要求する。
【0081】
なお、上述のフローチャートではスピーカ17から出力される音声による報知にのみ言及したが、インジケータ18のLEDの点灯及び点滅による報知についても上述の制御を適用できる。
【0082】
図14は、電子機器10によって実行される被制御側の通信処理の手順の例を示すフローチャートである。ここでは、外部デバイスによって電子機器10の通信状態報知機能が制御される場合を想定する。
【0083】
近接無線通信方式の接続モードには、上述したようにInitiatorモードとResponderモードがある。近接無線通信デバイス20がInitiatorモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、接続要求信号を外部デバイスに送信する(ステップS201)。接続要求信号には、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの応答信号を待つ。外部デバイスからの応答信号を受信すると(ステップS202)、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。
【0084】
一方、近接無線通信デバイス20がResponderモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する(ステップS201)。接続要求信号には、外部デバイスのデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を受信すると、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが付加された応答信号を外部デバイスに送信する(ステップS202)。
【0085】
通信制御プログラム102aは、データ伝送の開始に先立って、通信相手となる外部デバイスとのネゴシエーション処理を実行し、伝送すべきコンテンツデータを決定する。また、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、通信状態を報知する機能である通信状態報知機能の能力を示す報知機能情報を外部デバイスへ送信する(ステップS203)。さらに、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、外部デバイスの通信状態報知機能の能力を示す報知機能情報を外部デバイスから受信する(ステップS204)。
【0086】
通信制御プログラム102aは、外部デバイスから電子機器10へ音声出力が要求されているか否かを判定する(ステップS205)。
【0087】
外部デバイスから電子機器10へ音声出力が要求されている場合(ステップS205のYES)、通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を用いてデータ伝送の開始を示す開始音を出力する(ステップS208)。そして、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータを伝送する(ステップS209)。コンテンツデータの伝送が完了すると、通信制御プログラム102aは、伝送の完了を示す終了音を出力する(ステップS210)。この場合、外部デバイスでは音声出力機能が抑制され、データ伝送の開始を示す開始音及びデータ伝送の終了を示す終了音は出力されない。
【0088】
外部デバイスから電子機器10へ音声出力が要求されていない場合(ステップS205のNO)、通信制御プログラム102aは、外部デバイスから電子機器10へ音声出力機能の抑制が要求されているか否かを判定する(ステップS206)。
【0089】
外部デバイスから電子機器10へ音声出力機能の抑制が要求されている場合(ステップS206のYES)、通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を抑制する(ステップS211)。したがって、自機ではデータ伝送の開始及び完了を示す音声が出力されない。自機の音声出力機能を抑制すると、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータの伝送を行う(ステップS212)。
【0090】
外部デバイスから電子機器10へ音声出力機能の抑制が要求されていない場合(ステップS206のNO)、通信制御プログラム102aは、受信した外部デバイスの報知機能情報を用いて、自機の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0091】
自機の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能である場合(ステップS207のYES)、通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を用いてデータ伝送の開始を示す開始音を出力する(ステップS208)。そして、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータを伝送する(ステップ209)。コンテンツデータの伝送が完了すると、通信制御プログラム102aは、伝送の完了を示す終了音を出力する(ステップS210)。
【0092】
自機の通信状態報知機能が外部デバイスの通信状態報知機能よりも高機能でない場合、例えば外部デバイスの通信状態報知機能が自機の通信状態報知機能よりも高機能である場合(ステップS207のNO)、通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を抑制する(ステップS211)。自機の音声出力機能を抑制すると、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータの伝送を行う(ステップS212)。
【0093】
以上の処理により、電子機器10は、外部デバイスによって、電子機器10と外部デバイスのうち通信状態報知機能がより高機能である機器で通信状態を報知するよう制御される。すなわち、電子機器10は、外部デバイスから音声出力を要求されれば、電子機器10でデータ伝送の開始を示す開始音とデータ伝送の完了を示す終了音とを出力する。一方、電子機器10は、外部デバイスから音声出力の抑制を要求されれば、電子機器10でデータ伝送の開始を示す開始音とデータ伝送の完了を示す終了音とを出力しない。
【0094】
なお、上述のフローチャートではスピーカ17から出力される音声による報知にのみ言及したが、インジケータ18のLEDの点灯及び点滅による報知についても上述の制御を適用できる。
【0095】
次に、図15を参照して、電子機器によって実行される通信処理の詳細な手順の例を説明する。ここでは、電子機器10が、電子機器10及び外部デバイスの通信状態報知機能を制御する場合を想定する。
【0096】
近接無線通信方式の接続モードには、上述したようにInitiatorモードとResponderモードがある。近接無線通信デバイス20がInitiatorモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、接続要求信号を外部デバイスに送信する(ステップS301)。接続要求信号には、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの応答信号を待つ。外部デバイスからの応答信号を受信すると(ステップS302)、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。
【0097】
一方、近接無線通信デバイス20がResponderモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する(ステップS301)。接続要求信号には、外部デバイスのデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を受信すると、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが付加された応答信号を外部デバイスに送信する(ステップS302)。
【0098】
通信制御プログラム102aは、データ伝送の開始に先立って、通信相手となる外部デバイスとのネゴシエーション処理を実行し、伝送すべきコンテンツデータを決定する。また、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、通信状態を報知する機能である通信状態報知機能の能力を示す報知機能情報を外部デバイスへ送信する(ステップS303)。さらに、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、外部デバイスの通信状態報知機能の能力を示す報知機能情報を外部デバイスから受信する(ステップS304)。
【0099】
通信制御プログラム102aは、受信した外部デバイスの報知機能情報を用いて、外部デバイスが音声出力機能を有するか否かを判定する(ステップS305)。
【0100】
外部デバイスが音声出力機能を有する場合(ステップS305のYES)、通信制御プログラム102aは、自機が音声出力機能を有するか否かを判定する(ステップS306)。自機が音声出力機能を有する場合(ステップS306のYES)、通信制御プログラム102aは、受信した外部デバイスの報知機能情報を用いて、外部デバイスの音声出力機能が自機の音声出力機能よりも高機能であるか否かを判定する(ステップS307)。外部デバイスの音声出力機能が自機の音声出力機能よりも高機能である場合(ステップS307のYES)、通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を抑制する(ステップS308)。そして、通信制御プログラム102aは、外部デバイスに対して音声出力を要求する(ステップS309)。音声出力を要求する信号は、近接無線通信デバイス20から外部デバイスに送信される。
【0101】
電子機器10(通信制御プログラム102a)から音声出力を要求された外部デバイスは、データ伝送の開始を示す開始音を出力する(ステップS310)。また、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータを伝送する(ステップ311)。コンテンツデータの伝送が完了すると、外部デバイスはデータ伝送の完了を示す終了音を出力する(ステップS312)。
【0102】
外部デバイスに音声出力機能があり(ステップS305のYES)、自機に音声出力機能がない(ステップS306のNO)場合についても同様に、上述のステップS309からステップS312までの処理を行う。
【0103】
外部デバイスに音声出力機能がない場合(ステップS305のNO)、通信制御プログラム102aは、自機に音声出力機能があるか否かを判定する(ステップS313)。自機に音声出力機能がある場合(ステップS313のYES)、通信制御プログラム102aは、自機の音声出力機能を用いてデータ伝送の開始を示す開始音を出力する(ステップS315)。そして、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータを伝送する(ステップ316)。コンテンツデータの伝送が完了すると、通信制御プログラム102aは、伝送の完了を示す終了音を出力する(ステップS317)。
【0104】
また、外部デバイス及び自機に音声出力機能があり(ステップS305のYESとステップ306のYES)、外部デバイスの音声出力機能が自機の音声出力機能より高機能でない(ステップS307のNO)場合、通信制御プログラム102aは、外部デバイスへ音声出力機能の抑制を要求する(ステップS314)。音声出力機能の抑制を要求する信号は、近接無線通信デバイス20から外部デバイスに送信される。そして、上述のステップS315からステップS317までの処理を行う。
【0105】
外部デバイスと自機のどちらにも音声出力機能がない場合(ステップS305のNOとステップ313のNO)、通信制御プログラム102aは、音声による報知を行うことなく、ネゴシエーション処理で決定されたコンテンツデータを伝送する(ステップ318)。
【0106】
以上の処理により、電子機器10は、電子機器10の音声出力機能の有無及び性能と、外部デバイスの音声出力機能の有無及び性能とを比較することによって、音声出力機能を有する機器、又は、より高機能な音声出力機能を有する機器で通信状態を報知する制御を行う。なお、上述のフローチャートではスピーカ17から出力される音声による報知にのみ言及したが、インジケータ18のLEDの点灯及び点滅により報知を行う光出力機能についても上述の制御を適用できる。また、外部デバイスが音声出力機能のような通信状態報知機能を有する場合、その通信状態報知機能の性能に関係なく、外部デバイスの通信状態報知機能を優先的に使用するようにしてもよい。
【0107】
以上説明したように、本実施形態によれば、近接無線通信における通信状態を報知する機能をデバイス間で調整でき、近接無線通信を実行する2つのデバイスによって通信状態報知機能が重複して実行されることを防止することができる。本実施形態の電子機器10と外部デバイスとを接続する場合、電子機器10は、電子機器10と外部デバイスとの内で通信状態報知機能を有するいずれか一方の機器で、又は電子機器10と外部デバイスとの内でより高機能な通信状態報知機能を有する一方の機器で、通信状態を報知するよう、電子機器10の制御と外部デバイスへの要求とを行う。したがって、接続されるデバイス双方(電子機器10と外部デバイス)が通信状態報知機能を有する場合でも、通信状態報知のための音声や光の出力が衝突することなく、ユーザへ適切に通信状態が報知される。例えば、電子機器10の通信状態報知機能及び外部デバイスの通信状態報知機能のいずれか一方により音声が出力されることで、双方のデバイスから音声が同時に出力され不協和音となり、ユーザに不快感を与えるという状況を解決することができる。また、一方のデバイスのみから音声や光が出力されるため、音声や光の出力が抑制される他方のデバイスでは消費電力を低減することができる。
【0108】
なお、本実施形態では、電子機器10がステーションとして機能するパーソナルコンピュータから実現されている場合を例示して説明したが、電子機器10は、携帯電話、PDAといった携帯型装置としても実現し得る。
【0109】
また、本実施形態においてソフトウェアモジュールとして記載した図2の各部はハードウェアモジュールとして実現することも可能である。
【0110】
また本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0111】
10…電子機器、11…システム制御部、101a…CPU、17…スピーカ、18…インジケータ、20…近接無線通信デバイス、12a…通信制御プログラム、111…制御部、112…通信状態報知機能情報取得部、113…通信状態報知機能制御部、114…通信状態報知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接無線通信を実行する通信モジュールと、
前記通信モジュールと外部デバイスとの間で実行する近接無線通信を用いたデータ伝送開始時又は完了時の少なくとも一方を報知する通信状態報知手段と、
前記外部デバイスによる通信状態報知機能の実行を抑制するために、前記通信状態報知手段の通信状態報知機能に関する能力を示す報知機能情報を前記外部デバイスに送信する報知機能情報送信手段とを具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記報知機能情報送信手段は、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間におけるネゴシエーションによって、前記報知機能情報を前記外部デバイスに送信することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
電子機器に設けられた通信モジュールと外部デバイスとの間で実行される近接無線通信を用いたデータ伝送開始時又は完了時の少なくとも一方を報知する機能を制御する通信状態報知機能制御方法であって、
前記外部デバイスによる通信状態報知機能の実行を抑制するために、前記電子機器に設けられた通信状態報知機能に関する能力を示す報知機能情報を前記外部デバイスに送信する報知機能情報送信ステップと、
前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間でデータが伝送される際に、前記データの伝送の開始および完了の少なくとも一方を報知する通信状態報知ステップとを具備することを特徴とする通信状態報知機能制御方法。
【請求項4】
前記報知機能情報送信ステップは、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間におけるネゴシエーションによって、前記報知機能情報を前記外部デバイスに送信することを特徴とする請求項3記載の通信状態報知機能制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−263640(P2010−263640A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146718(P2010−146718)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【分割の表示】特願2009−8195(P2009−8195)の分割
【原出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】