説明

電子機器および電子体温計

【課題】電子機器の電源が意に反して投入されることによって、電源の蓄電エネルギーが消耗してしまうことを抑制可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器の一例としての電子体温計100は、被切断部44が設けられた本体部50と、本体部50に設けられる電子部品と、上記電子部品に接続され、被切断部44内を通過するように配置される回路パターンと、上記電子部品を駆動するための駆動電力を上記電子部品に供給する電源部と、上記電子部品への駆動電力の供給および切断を切り替えるために操作される電源スイッチ37とを備える。被切断部44が切断されていない状態では、上記駆動電力は上記電子部品に供給されず、被切断部44が切断されることによって、上記回路パターンの一部が切断されるとともに、電源スイッチ37は、上記電子部品への上記駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および電子体温計に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は、電子機器の一例として、電子体温計に関する発明を開示している。電子体温計などの電子機器は、電子部品、電源および電源スイッチなどを備える。電子体温計などの電子機器においては、電源スイッチが操作されることによって、電源から電子部品への駆動電力の供給および切断が切り替えられる。
【0003】
下記の特許文献2〜4は、ICカード(integrated circuit card)に関する発明を開示している。同文献は、当該発明によれば、利用者がICカードの使用状態を外見から判断できると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−241631号公報
【特許文献2】特開平10−302039号公報
【特許文献3】特開平11−73483号公報
【特許文献4】特開2003−317066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器は、工場等から出荷されてから使用者によって使用が開始されるまでの間、さまざまな振動または衝撃を受ける。電子機器への振動または衝撃によって、意に反して電子機器の電源が投入されることがある。この場合、電源(乾電池またはバッテリーなど)の蓄電エネルギーは消耗する。
【0006】
また、電子機器の販売店などにおいて、電子機器は、訪問客が手にとったり触れたりすることが可能な状態で陳列される。電子機器の電源は、電源スイッチが操作されることによって意に反して投入されることがある。この場合も、電源の蓄電エネルギーは消耗する。
【0007】
本発明は、上記のような実情に鑑みて為されたものであって、電子機器の電源が意に反して投入されることによって、電源の蓄電エネルギーが消耗してしまうことを抑制可能な電子機器および電子体温計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づく電子機器は、被切断部が設けられた本体部と、上記本体部に設けられる電子部品と、上記電子部品に接続され、上記被切断部内を通過するように配置される回路パターンと、上記電子部品を駆動するための駆動電力を上記電子部品に供給する電源と、上記電子部品への上記駆動電力の供給および切断を切り替えるために操作される電源スイッチと、を備え、上記被切断部が切断されていない状態では、上記駆動電力は上記電子部品に供給されず、上記被切断部が切断されることによって、上記回路パターンの一部が切断されるとともに、上記電源スイッチは、上記電子部品への上記駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。
【0009】
好ましくは、上記被切断部が切断された状態では、上記被切断部は上記本体部から切り離される。
【0010】
好ましくは、上記被切断部は、上記本体部を枠状に取り囲むように形成される。
好ましくは、上記本体部は、上記本体部の外縁から上記本体部の内側に向かって凹む凹部を有し、上記被切断部は、上記凹部内において上記本体部と接続されている。
【0011】
好ましくは、上記被切断部が上記本体部に対して折り曲げられることによって、上記回路パターンの上記一部は切断される。
【0012】
好ましくは、上記被切断部に切り込みが入れられることによって、上記回路パターンの上記一部は切断される。
【0013】
本発明に基づく電子体温計は、本発明に基づく上記の電子機器から構成され、被測定者の体温を測定する。
【0014】
好ましくは、上記本体部は、当該電子体温計の長手方向に沿って延在する底面部、および、上記底面部の周縁から起立する環状壁部を有するケース体と、外周部が上記環状壁部の起立方向の先端に接合されるシート状部材と、を含む。
【0015】
好ましくは、上記本体部は、内部に中空空間を形成し、上記電子部品、上記回路パターン、および上記電源を上記中空空間内に配置するシート状部材である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器の電源が意に反して投入されることによって、電源の蓄電エネルギーが消耗してしまうことを抑制可能な電子機器および電子体温計を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1における電子体温計を示す斜視図である。
【図2】図1中のII線に囲まれる領域を拡大して示す平面図である。
【図3】図2中のIII−III線に関する矢視断面図である。
【図4】実施の形態1における電子体温計の機能ブロックを示す図である。
【図5】実施の形態1における電子体温計(使用開始前の状態)の回路パターン、制御部、および電源スイッチを含む回路構成を示す図である。
【図6】実施の形態1における電子体温計(使用開始後の状態)を示す断面図である。
【図7】実施の形態1における電子体温計(使用開始後の状態)の回路パターン、制御部、および電源スイッチを含む回路構成を示す図である。
【図8】実施の形態1の第1変形例における電子体温計(使用開始前の状態)を示す平面図である。
【図9】実施の形態1の第1変形例における電子体温計(使用開始後の状態)を示す平面図である。
【図10】実施の形態1の第2変形例における電子体温計(使用開始前の状態)を示す平面図である。
【図11】実施の形態1の第3変形例における電子体温計(使用開始前の状態)を示す平面図である。
【図12】実施の形態2の電子体温計(使用開始前の状態)の分解された状態を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2の電子体温計(使用開始前の状態)の組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図14】実施の形態2の第1変形例における電子体温計のケース体を示す斜視図である。
【図15】実施の形態2の第2変形例における電子体温計を示す斜視図である。
【図16】実施の形態3における電子体温計の分解された状態を示す斜視図である。
【図17】実施の形態3における電子体温計の組み立てられた状態(使用開始前の状態)を示す平面図である。
【図18】実施の形態3における電子体温計の組み立てられた状態(使用開始後の状態)を示す平面図である。
【図19】実施の形態3における電子体温計が箱詰めされた状態を示す斜視図である。
【図20】実施の形態3の第1変形例における電子体温計(使用開始前の状態)を示す平面図である。
【図21】実施の形態3の第2変形例における電子体温計(使用開始前の状態)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。特に制限が無い限り、各実施の形態に示す構成に示す構成を適宜組み合わせて用いることは、当初から予定されていることである。
【0019】
[実施の形態1]
図1〜図3を参照して、本実施の形態における電子機器の一例として、被測定者の体温を測定する電子体温計100の構成について説明する。図1は、電子体温計100を示す斜視図である。図2は、図1中のII線に囲まれる領域を拡大して示す平面図である。図3は、図2中のIII−III線に関する矢視断面図である。
【0020】
図1〜図3を参照して、電子体温計100は、本体部50、表示パネル31、電源スイッチ37、枠体45、接続部46,47、電源部40(図2,図3参照)、電子部品18(図2,図3参照)、および回路パターン26(図2,図3参照)を備える。電源部40、電子部品18、および回路パターン26は、本体部50の内部に設けられる。詳細は後述されるが、枠体45および接続部46,47によって、被切断部44が構成される。
【0021】
本体部50は、表面側部材51(図3参照)および裏面側部材52(図3参照)が相互に接合されることによって構成される。本体部50の先端には、被測定者の体温測定に使用されるプローブ部82(図1参照)が設けられる。本体部50は、プローブ部82に向かうにつれて周長が徐々に細くなるテーパー状に形成される。プローブ部82の先端には、熱応答性(熱伝達性)を向上させるためのステンレス製またはアルミ製等のキャップ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0022】
測定結果などを表示する表示パネル31は、本体部50の表面において外部から視認可能に設けられる。電源スイッチ37は、本体部50の表面において外部から押圧可能に設けられる。本体部50の周囲を囲うように、環状のリブ50R(図2参照)が設けられる。略平板状の枠体45は、切欠49を挟んで本体部50(リブ50R)を取り囲むように設けられる。
【0023】
接続部46および接続部47は、本体部50(リブ50R)と枠体45との間に橋渡し状に設けられる。換言すると、本体部50と枠体45とは、いわゆるゲートカット状に形成された接続部46および接続部47によって相互に接続される。表面側部材51(図3参照)、リブ50R、接続部46、接続部47、および枠体45は、樹脂などから一体成形によって作製されるとよい。枠体45の先端側には、吊下用開口部48(図1参照)が設けられるとよい。吊下用開口部48を利用して、電子体温計100は販売店などで容易に陳列されることができる。
【0024】
図2および図3に示すように、電子部品18は本体部50内部の所定の位置に設けられる。電源部40も、電子部品18と接続された状態で本体部50内部の所定の位置に設けられる。電源部40は、電子部品18を駆動するための駆動電力を電子部品18に供給する。詳細は図4を参照して次述されるが、電子部品18は、感温部11(図4参照)、制御基板20(図4参照)、および表示部30(図4参照)を含む。感温部11は、プローブ部82内に配置される。制御基板20上には、制御部22(図4参照)、メモリ部23(図4参照)、報知部24(図4参照)、操作部36(図4参照)が実装される。
【0025】
電子部品18に接続される回路パターン26は、裏面側部材52の内表面に凹設された長溝52W(図3参照)内に配設される。図2に示すように、回路パターン26は、電子部品18から接続部46の内部を通過して枠体45まで到達し、折り返して再び電子部品18に戻るように略U字状に配置される。回路パターン26の一部には、切断対象領域R1(詳細は後述する)が規定される。切断対象領域R1における回路パターン26と電子部品18側に位置する回路パターン26とは、ゲートカット状の接続部46がハサミまたはカッターなどを使用して切断されることによって相互に分離される。
【0026】
図4は、電子体温計100の機能ブロックを示す図である。電子体温計100は、感温部11、制御部22、メモリ部23、報知部24、表示部30、操作部36、および電源部40を、機能ブロックとして含む。制御部22、メモリ部23、報知部24、および操作部36は、本体部50内に配置された制御基板20上に実装される。上述のとおり、感温部11、制御基板20、および表示部30によって、電子部品18(図2,図3参照)が構成される。
【0027】
感温部11は、プローブ部82内に配設され、腋下や舌下などの被測定部位に挟み込まれることで被測定者の体温を検出する。操作部36は、電源スイッチ37(図1参照)を含み、被測定者(または電子体温計100の使用者)による操作を受け付けて、この外部からの命令を制御部22または電源部40に入力する。制御部22は、たとえばCPU(Central Processing Unit)から構成され、電子体温計100の全体を制御する。
【0028】
メモリ部23は、たとえばROM(Read-Only Memory)またはRAM(Random-Access Memory)から構成され、体温測定のための処理手順を制御部22などに実行させるためのプログラムを記憶したり、測定結果などを記憶したりする。報知部24は、たとえばブザーから構成され、測定が終了したことや被測定者の操作を受け付けたことなどを被測定者に知らせる。報知部24は、必要に応じて設けられるとよい。
【0029】
表示部30は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネル31(図1参照)を含み、測定結果などを表示する。電源部40は、たとえばボタン電池またはバッテリーなどを含み、制御部22に電源としての電力を供給する。
【0030】
制御部22は、体温測定を実行するための処理回路を含んでおり、メモリ部23から読み出されたプログラムに基づいて体温を測定する。その際、制御部22は、感温部11から入力された温度データを処理することで測定結果としての体温を算出する。制御部22は、算出した体温を表示部30に表示させたり、算出した体温をメモリ部23に記憶させたり、測定が終了したことを、報知部24を用いて被測定者に知らせたりするように、電子体温計100を制御する。
【0031】
ここで、電子体温計100は、使用開始前の状態および使用開始後の状態を有している。使用開始前の状態においては、電子体温計100の電源スイッチ37が操作されたとしても、駆動電力は電源部40から電子部品18に十分に供給されず、電子体温計100は起動しない。電子体温計100は使用可能な状態とはならない。
【0032】
一方、使用開始後の状態においては、電子体温計100の電源スイッチ37が操作されることによって、電子体温計100が起動する。電子体温計100は使用可能な状態となる。電子体温計100においては、被切断部44(本実施の形態においては接続部46)が切断されることによって、使用開始前の状態から使用開始後の状態に変移する。以下、具体的に説明する。
【0033】
図5は、電子体温計100における回路パターン26、制御部22、および電源スイッチ37を含む回路構成を示す図である。図5は電子体温計100の使用開始前の状態を示している。上述のとおり、制御部22は、電子部品18(図2,図3参照)の一つである制御基板20(図4参照)に実装される。制御部22は、たとえばCPU(Central Processing Unit)から構成され、ポートPAおよびポートPBを有する。回路パターン26は、プルアップ抵抗27を挟んで電源VCC(電源部40)にプルアップされるとともに、制御部22のポートPAに入力される。電源スイッチ37は、制御部22のポートPBに入力される。
【0034】
電子体温計100の使用開始前の状態において、被測定者等が電源スイッチ37を入れたとする(電源ON)。この場合、ポートPAを通してL(Low)レベルの電圧が制御部22に入力されることによって、制御部22は一旦起動する。制御部22は、その起動直後にポートPAにおける入力レベルを確認する。ポートPAにおける入力レベルがL(Low)レベルと判断した制御部22は、電子体温計100をすぐさま停止する(電源OFF)。
【0035】
使用開始前の状態においては、被切断部44(本実施の形態においては接続部46)が切断されていない。電子体温計100の電源スイッチ37が操作されたとしても、制御部22による上記の制御によって、駆動電力は電源部40から電子部品18に供給されない(実際には瞬間的に供給されるが、制御部22の制御によって電子体温計100はすぐさま停止する)。電子体温計100は起動せず、使用可能な状態とはならない。
【0036】
図6および図7を参照して、被切断部44(ゲートカット状に形成された接続部46)(図6参照)がハサミまたはカッターなどによって切断されたとする。この際、ゲートカット状に形成された接続部47(図1参照)も切断され、本体部50は被切断部44(枠体45)から切り離される。接続部46の切断に伴って、回路パターン26から切断対象領域R1が切り離され、電子体温計100は使用開始前の状態から使用開始後の状態に変移する。
【0037】
電子体温計100の使用開始後の状態において、被測定者等が電源スイッチ37を入れたとする(電源ON)。この場合、ポートPAを通してH(High)レベルの電圧が制御部22に入力されることによって、制御部22は起動する。制御部22は、起動直後にポートPAにおける入力レベルを確認する。ポートPAにおける入力レベルがH(High)レベルであると判断した制御部22は、電子体温計100を停止させることなく、電子体温計100としての通常の動作を開始する。
【0038】
使用開始後の状態においては、被切断部44(本実施の形態においては接続部46)が切断されている。電子体温計100の電源スイッチ37が操作されることによって、駆動電力は電源部40から電子部品18に十分に供給される(電源ON)。電子体温計100は起動し、使用可能な状態となる。使用開始後の状態においては、電源スイッチ37が操作されることによって、電子部品18への駆動電力の切断も可能となる。当該切断によって、電子体温計100は停止する(電源OFF)。
【0039】
(作用・効果)
電子体温計100は、工場等から出荷されてから使用者によって使用が開始されるまでの間、さまざまな振動または衝撃を受ける。電子体温計100が振動等を受けた場合であっても、電子体温計100の使用開始前の状態においては、電子体温計100は起動しない。意に反して電源が投入されたとしても、電子体温計100はすぐさま停止し、起動することがない。電子体温計100によれば、電源部40(乾電池、ボタン電池またはバッテリーなど)における蓄電エネルギーの消耗を抑制することが可能となる。
【0040】
電子体温計100の販売店などにおいては、電子体温計100は、訪問客が手にとったり触れたりすることが可能な状態で陳列される。電子体温計100の電源スイッチ37が操作され意に反して電源が投入された場合であっても、電子体温計100の使用開始前の状態においては、電子体温計100は起動しない。電子体温計100によれば、電源部40(乾電池、ボタン電池またはバッテリーなど)における蓄電エネルギーの消耗を抑制することが可能となる。
【0041】
上述のとおり、電子体温計100においては、電子体温計100の購入者などが、電子体温計100の使用開始の直前に被切断部44(接続部46および接続部47)をハサミまたはカッターなどで切断する。接続部46の切断によって、回路パターン26の切断対象領域R1が切断されるとともに、電子体温計100は使用可能な状態となる。電源スイッチ37の操作によって、電子部品18への駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。
【0042】
上述の実施の形態1の電子体温計100おいては、回路パターン26(図5参照)は、プルアップ抵抗27を挟んで電源VCC(電源部40)にプルアップされるとともに、制御部22のポートPAに入力される。回路パターン26は、プルアップ抵抗27を挟んでH(High)レベルの出力を有する他のポートにプルアップされるとともに、制御部22のポートPAに入力されてもよい。この場合、電源VCC(電源部40)は、別途制御部22に接続される。当該構成によっても、上述の実施の形態1と同様の作用および効果を得ることができる。
【0043】
[実施の形態1の変形例]
(第1変形例)
図8は、上述の実施の形態1の第1変形例における電子体温計101(使用開始前の状態)を示す平面図である。図8は、上述の実施の形態1における図2に対応している。図9は、上述の実施の形態1の第1変形例における電子体温計101(使用開始後の状態)を示す平面図である。
【0044】
図8に示すように、本体部50は、リブ50Rの外縁50RTから本体部50の内側に向かって凹む凹部46Rを有しているとよい。この場合、被切断部44としての接続部46は、凹部46R内において本体部50と接続される。接続部47(図1参照)についても、接続部46と同様に構成されるとよい。
【0045】
図9に示すように、凹部46Rが設けられていることによって、接続部46は、リブ50Rの外縁50RTよりも本体部50側(本体部50寄り)において切断されることが可能となる。接続部46の切断後に形成される切断端面46Tは、リブ50Rの外縁50RTよりも本体部50側に位置することが可能となる。当該構成によれば、ゲートカット状に形成された接続部46の切断端面46T(残存部)が、衣服などに引っ掛って衣服などに損傷を及ぼしてしまうことなどが抑制される。
【0046】
(第2変形例)
図10は、上述の実施の形態1の第2変形例における電子体温計102(使用開始前の状態)を示す平面図である。図10は、上述の実施の形態1における図2に対応している。電子体温計102においては、本体部50周りに、上述の実施の形態1の電子体温計100における枠体45(図1参照)が設けられない。回路パターン26は、電子部品18からリブ50Rの内部を略S字状に通過して再び電子部品18に戻るように配置される。電子体温計102においては、リブ50Rのうち、回路パターン26が配設された部分に被切断部44が規定される。
【0047】
電子体温計102においては、被切断部44にハサミまたはカッターなどによって切り込みが入れられる。回路パターン26の一部が切断されるとともに、電源スイッチ37(図1参照)の操作によって、電子部品18への駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。電子体温計102においては、使用開始前の状態から使用開始後の状態(被切断部44が切断された状態)に変移した場合であっても、被切断部44は本体部50から切り離されることはない。電子体温計102においては、被切断部44を廃棄する必要がなく、利便性が高い。
【0048】
回路パターン26は、被切断部44内において略S字状に配置される。被切断部44にハサミまたはカッターなどによって切り込みが入れられた際に、回路パターン26は(切り込みが入れられる方向に並んだ)複数の部分が物理的に切断される。当該構成によって、回路パターン26におけるより確実な電気的な切断を得ることが可能となる。
【0049】
(第3変形例)
図11は、上述の実施の形態1の第3変形例における電子体温計103(使用開始前の状態)を示す平面図である。図11は、上述の実施の形態1における図2に対応している。電子体温計103においては、本体部50周りに、上述の実施の形態1の電子体温計100における枠体45(図1参照)が設けられない。リブ50Rの一部には、切欠49Rの形成によって橋渡し部50Sが設けられる。回路パターン26は、電子部品18から橋渡し部50Sの内部を通過して再び電子部品18に戻るように配置される。電子体温計102においては、橋渡し部50Sに被切断部44が規定される。
【0050】
電子体温計103においては、被切断部44にハサミまたはカッターなどによって切り込みが入れられる。回路パターン26の一部が切断されるとともに、電源スイッチ37(図1参照)の操作によって、電子部品18への駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。電子体温計103においては、使用開始前の状態から使用開始後の状態(被切断部44が切断された状態)に変移した際に、被切断部44は本体部50から切り離されることはない。電子体温計103においては、被切断部44を廃棄する必要がなく、利便性が高い。
【0051】
電子体温計103においては、橋渡し部50S(被切断部44)がツメなどによって折り曲げられることにより切断されてもよい。橋渡し部50S(被切断部44)が折り曲げられることによって、回路パターン26のみが物理的に切断されてもよく、橋渡し部50S(被切断部44)および回路パターン26の双方が物理的に切断されてもよい。この場合も、使用開始前の状態から使用開始後の状態(被切断部44が切断された状態)に変移した際に、被切断部44は本体部50から切り離されることはない。電子体温計103においては、被切断部44を廃棄する必要がなく、利便性が高い。また、橋渡し部50S(被切断部44)は、ツメなどによって折り曲げられることにより切断される。ハサミまたはカッターなどを別途準備する必要もなく、利便性が高い。
【0052】
[実施の形態2]
図12および図13を参照して、本実施の形態における電子機器の一例として、電子体温計104について説明する。図12は、電子体温計104の分解された状態を示す斜視図である。図13は、電子体温計104の組み立てられた状態を示す斜視図である。
【0053】
図12に示すように、電子体温計104は、サーミスタ10、制御基板20、表示部30、操作部36、電源部40、回路パターン26、および本体部50Aを備える。図13に示すように、電子体温計104が組み立てられた状態においては、電子体温計104の一端側(先端側)にプローブ部82が形成される。
【0054】
図12を再び参照して、制御基板20、表示部30、操作部36、および電源部40は、平面視矩形状の基板29上にそれぞれ実装される。サーミスタ10、制御基板20、表示部30、および基板29によって、被測定者の体温を測定するための電子部品18が構成される。
【0055】
サーミスタ10は、いわゆるラジアルリード型であり、被測定者の体温を計測する感温部11と、一端が感温部11に接続されたリード線12とを含む。リード線12の他端は、制御基板20に接続される。制御基板20は、所定の位置に、制御部(図4における制御部22に相当)、メモリ部(図4におけるメモリ部23に相当)、および報知部(図4における報知部24に相当)を有する。
【0056】
表示部30は、基板29によって制御基板20に電気的に接続される。表示部30は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネル31を有する。表示パネル31に、サーミスタ10によって測定された被験者の体温などが表示される。表示部30と並んで基板29上に配置される操作部36も、基板29によって制御基板20に電気的に接続される。操作部36は、外部から押圧可能に配置された押しボタン38を含む。
【0057】
電源部40は、ボタン電池42および対向配置された電極端子41を有する。対向配置された電極端子41同士は、樹脂43によって相互に位置決めされる。電極端子41も、基板29によって制御基板20に接続される。ボタン電池42は、電極端子41間に配置され、電極端子41および基板29を通して、制御基板20および制御基板20に接続された表示部30に電力を供給する。
【0058】
電子体温計104においては、電子体温計104(本体部50A)の長手方向に沿って、サーミスタ10、制御基板20、表示部30、操作部36および電源部40がこの順に並んで配置される。この順序は適宜変更されてもよい。
【0059】
本体部50Aは、シート状部材51Aおよびケース体52Aを有する。シート状部材51Aは、たとえば、紙またはポリエチレンフィルムなどからなる基材層と、基材層の下面側に配置されたシーラント層と、基材層の上面側に配置されたPET層(Polyethylene Terephthalate層)とが積層されることによって構成される。
【0060】
シート状部材51Aの厚さは、たとえば0.1mm〜0.3mmである。PET層の基材層側の面に、電源スイッチ37としての銘板が貼付または印刷されることができる。この銘板は、電子体温計104が組み立てられた状態において、たとえば押しボタン38の押下位置を示す目印として機能することができる。
【0061】
シート状部材51Aは、裁断などによって製造されることができる。シート状部材51Aは、サーミスタ10が配置される先端側(プローブ部82側)に向かって徐々に幅が狭くなるように略テーパー状に構成される。シート状部材51Aの後端側には、延在部51Yが設けられる。
【0062】
シート状部材51Aには、表示パネル31を外部から視認するための開口部51Hが設けられる。開口部51H内には、樹脂などから構成される透明保護部材56が配置される。なお、シート状部材51Aが透明性を有する場合、開口部51Hおよび透明保護部材56は不要である。表示パネル31を外部から視認するための開口部51Hは、次述するケース体52Aに設けられてもよい。この場合、表示部30は基板29の裏面側に露出するように設けられ、表示パネル31はケース体52A側に向かって配置される。
【0063】
ケース体52Aは、たとえばPET、PVC(polyvinyl chloride)、PE(polyethylene)、またはPP(polypropylene)等の熱可塑性を有する部材から、たとえば真空成型によって容器状に構成される。ケース体52Aの厚さは、たとえば0.5mm〜1.0mmである。
【0064】
ケース体52Aは、電子体温計104の長手方向に沿って延在する底面部52S,52R、底面部52S,52Rの周縁から起立する環状壁部52U、および、環状壁部52Uの起立方向の先端に設けられた上端部52Kを有する。本実施の形態における上端部52Kは、環状壁部52Uの起立方向の先端からケース体52Aの外側に向かってフランジ状に延設され、全体として環状を呈している。ケース体52Aの後端側には、上端部52Kから突出するように延在部52Yが設けられる。
【0065】
シート状部材51Aに設けられた延在部51Yの形状と、ケース体52Aに設けられた延在部52Yの形状とは略同一である。延在部51Yおよび延在部52Yが相互に接合されることによって、被切断部44(図13参照)が形成される。
【0066】
底面部52Sは、電子体温計104の一端側(先端側)に位置する。底面部52Rは、底面部52Sに連続し、電子体温計104の他端側(後端側)に位置する。電子体温計104が被測定者の腋下または舌下等に向かって挿入され易いように、底面部52Sは底面部52Rに比べて底浅に形成されている(底上げされている)。
【0067】
底面部52Sの略中央には、電子体温計104の長手方向に沿って凹部52Tが溝状に設けられる。電子体温計104が組み立てられた状態においては、凹部52T内に、サーミスタ10(感温部11およびリード線12)が収容される。この場合、リード線12は凹部52Tの内周面に対して摺動自在であるとよい。
【0068】
ケース体52Aにおける環状壁部52Uおよび上端部52Kは、ケース体52Aに対してサーミスタ10および基板29が一方向に収容可能なように、サーミスタ10および基板29が収容される側に向かって開口を形成している。
【0069】
回路パターン26は、制御基板20から被切断部44(延在部51Yおよび延在部52Yの間)の内部を通過し、折り返して再び制御基板20に戻るように略U字状に配置される。回路パターン26の一部には、切断対象領域R1が規定される。切断対象領域R1における回路パターン26は、被切断部44(図13参照)がハサミなどで切断されることによって、制御基板20側に接続された回路パターン26とは分離される。
【0070】
電子体温計104が組み立てられる際には、電子部品18等がケース体52A内に収容される。回路パターン26は、その一部(切断対象領域R1)が被切断部44(延在部51Yおよび延在部52Yの間)の内部を通過するように配置される。表示部30がシート状部材51Aに対して接着などの手段によって固定された状態で、電子部品18等がケース体52A内に収容されてもよい。この場合、開口部51Hに設けられた透明保護部材56と表示パネル31とが対向するように、電子部品18がシート状部材51Aに対して取り付けられる。
【0071】
また、操作部36における押しボタン38とシート状部材51A(シート状部材51Aの電源スイッチ37)とが対向するように、電子部品18がシート状部材51Aに対して取り付けられる。シート状部材51Aに電子部品18が取り付けられた(貼り付けられた)状態で、シート状部材51Aの周縁がケース体52Aの上端部52Kに接合される。
【0072】
当該接合によって、電子部品18(サーミスタ10、制御基板20、表示部30、および基板29)と、操作部36と、電源部40とが略気密状に封止される。
【0073】
シート状部材51Aと上端部52Kとを相互に接合するためには、シート状部材51Aとケース体52Aの上端部52Kとが対向するように配置される。この状態で、シート状部材51Aと上端部52Kとの接触部に超音波が付与される。付与された超音波により、シート状部材51A(シーラント層など)が一時的に溶解する。当該溶解によって、シート状部材51Aがケース体52Aの上端部52Kに溶着(圧着)される。
【0074】
(作用・効果)
上述の実施の形態1における電子体温計100と同様に、電子体温計104は、工場等から出荷されてから使用者によって使用が開始されるまでの間、さまざまな振動または衝撃を受ける。電子体温計104が振動等を受けた場合であっても、電子体温計104の使用開始前の状態においては、電子体温計104は起動しない。意に反して電源が投入されたとしても、電子体温計104はすぐさま停止し、起動することがない。電子体温計104によれば、電源部40(ボタン電池42など)における蓄電エネルギーの消耗を抑制することが可能となる。
【0075】
電子体温計104の販売店などにおいては、電子体温計104は、訪問客が手にとったり触れたりすることが可能な状態で陳列される。電子体温計104の電源スイッチ37が操作され意に反して電源が投入された場合であっても、電子体温計104の使用開始前の状態においては、電子体温計104は起動しない。電子体温計104によれば、電源部40(ボタン電池42など)における蓄電エネルギーの消耗を抑制することが可能となる。
【0076】
電子体温計104においては、電子体温計104の購入者などが、電子体温計104の使用開始の直前に被切断部44をハサミなどで切断する。ハサミなどを使用して、被切断部44に切り込みが入れられてもよい。被切断部44の切断または被切断部44への切り込みによって、回路パターン26の切断対象領域R1が切断されるとともに、電子体温計104は使用可能な状態となる。電源スイッチ37の操作によって、電子部品18への駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。
【0077】
電子体温計104の本体部50Aは、シート状部材51Aおよびケース体52Aから簡素に構成される。シート状部材51Aは、PET等から構成される極めて薄い部材である。シート状部材51Aは、その厚さが薄く且つ裁断などによって製造されるため、安価に準備されることができる。ケース体52Aも、PET等から真空成型などによって構成される極めて薄い部材であるため、安価に準備されることができる。電子体温計104によれば、筐体の全部が成形樹脂から構成される一般的ないわゆるペンシル型の電子体温計に比べて、製造費用を低減することができる。
【0078】
電子体温計104が安価に製造されるため、電子体温計104は、いわゆるディスポーザブルタイプとして使用されるのに適している。ディスポーザブルタイプであれば、たとえば医療現場などにおいて、電子体温計104が使用される毎(若しくは所定の使用回数毎に)に廃棄される。電子体温計104によれば、廃棄毎に発生する使用者側または被測定者側の費用負担も軽減することが可能である。
【0079】
電子体温計104においては、ケース体52Aにおける環状壁部52Uおよび上端部52Kが、ケース体52Aに対して電子部品18を一方向に収容可能なように、これらが収容される側に向かって開口を形成している。当該開口に対して、電子部品18(またはシート状部材51Aに取り付けられた電子部品18)は、一方向に容易に組み付けられることができる。電子体温計104によれば、組み付け作業の自動化を図ることも可能となり、さらなる製造費用の低減が可能となる。電子体温計104の組み付けの際には、シート状部材51Aを重力方向の最も下側に配置し、その上に電子部品18を接着固定し、さらに、電子部品18に被せるようにケース体52Aをシート状部材51A上に載置するようにしてもよい。
【0080】
[実施の形態2の変形例]
(第1変形例)
図14は、上述の実施の形態2の第1変形例における電子体温計105のケース体52Bを示す斜視図である。図14に示すように、ケース体52Bには、上述の実施の形態1(図1参照)と同様な形状を有する平板状の枠体45が設けられる。枠体45は、切欠49を挟んでケース体52Bを枠状に取り囲むように設けられる。
【0081】
接続部46および接続部47は、ケース体52Bと枠体45との間に橋渡し状に設けられる。換言すると、ケース体52Bと枠体45とは、いわゆるゲートカット状に形成された接続部46および接続部47によって相互に接続される。ケース体52B、接続部46、接続部47、および枠体45は、真空シート成形によって一体的に作製されるとよい。
【0082】
接続部46が、上述の実施の形態2における延在部52Y(図12参照)に対応している。電子体温計105における回路パターン26(図示せず)は、上述の実施の形態1と同様に、電子部品18(図示せず)から接続部46の内部(表面上)を通過して枠体45まで到達し、折り返して再び電子部品18に戻るように略U字状に配置される。
【0083】
電子体温計105においても、電子体温計105の購入者などが、電子体温計105の使用開始の直前に接続部46および接続部47をハサミまたはカッターなどで切断する。接続部46の切断によって、回路パターン26の一部が切断されるとともに、電子体温計106は使用可能な状態となる。
【0084】
(第2変形例)
図15は、上述の実施の形態2の第2変形例における電子体温計106を示す斜視図である。電子体温計106の本体部50Cにおいては、シート状部材51Cおよびケース体52Cの双方の後端側に、略円弧状の2つの切欠59がそれぞれ設けられる。2つの切欠59は、線対称(左右対称)に設けられ、2つの切欠59の間に被切断部44が規定される。回路パターン26は、被切断部44の内部を通過するように配設される。2つの切欠59の内側(電源スイッチ37側)には、半円形状の折り曲げ部51Mが形成される。
【0085】
電子体温計106においては、被切断部44にハサミまたはカッターなどによって切り込みが入れられる。回路パターン26の一部が切断されるとともに、電源スイッチ37の操作によって、電子部品18(図示せず)への駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。電子体温計106においては、使用開始前の状態から使用開始後の状態(被切断部44が切断された状態)に変移した場合であっても、被切断部44は本体部50Cから切り離されることはない。電子体温計106においては、被切断部44を廃棄する必要がなく、利便性が高い。
【0086】
電子体温計106においては、折り曲げ部51Mが手指などによって折り曲げられることにより、被切断部44が切断されてもよい。折り曲げ部51Mが折り曲げられることによって、回路パターン26のみが物理的に切断されてもよく、被切断部44および回路パターン26の双方が物理的に切断されてもよい。この場合も、使用開始前の状態から使用開始後の状態(被切断部44が切断された状態)に変移した際に、被切断部44は本体部50Cから切り離されることはない。電子体温計106においては、被切断部44を廃棄する必要がなく、利便性が高い。また、折り曲げ部51Mには、所定の銘板が貼付または印刷されることも可能である。
【0087】
[実施の形態3]
図16および図17を参照して、本実施の形態における電子機器の一例として、電子体温計107について説明する。図16は、電子体温計107の分解された状態を示す斜視図である。図17は、電子体温計107の組み立てられた状態(使用開始前の状態)を示す平面図である。
【0088】
図16に示すように、電子体温計107は、上述の実施の形態2における電子体温計104(図12参照)と同様に、サーミスタ10、制御基板20、表示部30、操作部36、電源部40、回路パターン26、および本体部50Dを備える。図17に示すように、電子体温計107が組み立てられた状態においては、電子体温計107の一端側(先端側)にプローブ部82が形成される。
【0089】
図16を再び参照して、制御基板20、表示部30、操作部36、および電源部40は、平面視矩形状の基板29上にそれぞれ実装される。サーミスタ10、制御基板20、表示部30、および基板29によって、被測定者の体温を測定するための電子部品18が構成される。
【0090】
本体部50Dは、それぞれ同一形状に形成された第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dを有する。第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dは、たとえば、紙またはポリエチレンフィルムなどからなる基材層と、基材層の下面側に配置されたシーラント層と、基材層の上面側に配置されたPET層(Polyethylene Terephthalate層)とが積層されることによってそれぞれ構成される。
【0091】
第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dの厚さは、それぞれたとえば0.1mm〜0.3mmである。PET層の基材層側の面に、所定の銘板が貼付または印刷されることができる。第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dは、裁断などによって製造されることができる。第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dは、サーミスタ10が配置される側に向かって徐々に幅が狭くなるように、平面視略U字形状に構成される。
【0092】
第1シート状部材51Dの後端および第2シート状部材52Dの後端が相互に接合されることによって、被切断部44(図17参照)が形成される。第1シート状部材51Dは、透明性を有する部材から構成されるとよい。第1シート状部材51Dが透明性を有する部材から構成されない場合、第1シート状部材51Dの一部は、表示部30の表示パネル31を外部から視認可能なように、透明性を有する保護部材が設けられるとよい。
【0093】
回路パターン26は、制御基板20から被切断部44の内部を通過し、折り返して再び制御基板20に戻るように略U字状に配置される。回路パターン26の一部には、切断対象領域R1が規定される。切断対象領域R1における回路パターン26は、被切断部44(図17参照)がハサミなどで切断されることによって、制御基板20側に接続された回路パターン26とは分離される。
【0094】
電子体温計107が組み立てられる際には、電子部品18等が第2シート状部材52D上に配置される。その状態で、第1シート状部材51Dの周縁と第2シート状部材52Dの周縁とが相互に接合される。当該接合によって、第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dの外縁に環状の接合領域54が形成され、電子部品18等が略気密状に封止された中空空間53(図17参照)が形成される。押しボタン38に対応する第1シート状部材51D上の部分に、電源スイッチ37(図17参照)が規定される。
【0095】
第1シート状部材51Dと第2シート状部材52Dとを相互に接合するためには、第1シート状部材51Dの周縁と第2シート状部材52Dの周縁とが一致するように対向配置される。この状態で、第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dの接触部(接合領域54に対応する部分)に超音波が付与される。付与された超音波により、第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dの周縁(シーラント層など)が一時的に溶解する。当該溶解によって、第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dの周縁同士が、接合領域54において溶着(圧着)される。
【0096】
上述の実施の形態1における電子体温計100と同様に、電子体温計107は、使用開始前の状態においては、被切断部44が切断されていない。電子体温計107の電源スイッチ37が操作されたとしても、制御部22による制御によって、駆動電力は電源部40から電子部品18に供給されない(実際には瞬間的に供給されるが、制御部22の制御によって電子体温計107はすぐさま停止する)。電子体温計107は起動せず、使用可能な状態とはならない。
【0097】
図18を参照して、被切断部44がハサミまたはカッターなどによって切断されたとする。被切断部44は本体部50Dから切り離される。被切断部44の切断に伴って、回路パターン26から切断対象領域R1が切り離され、電子体温計107は使用開始前の状態から使用開始後の状態に変移する。
【0098】
電子体温計107の使用開始後の状態において、被測定者等が電源スイッチ37を入れたとする(電源ON)。上述の実施の形態1における電子体温計100と同様に、制御部22は、電子体温計107を停止させることなく、電子体温計107としての通常の動作を開始する。
【0099】
(作用・効果)
上述の実施の形態1における電子体温計100と同様に、電子体温計107は、工場等から出荷されてから使用者によって使用が開始されるまでの間、さまざまな振動または衝撃を受ける。
【0100】
図19に示すように、薄型に構成される電子体温計107は、電子体温計107同士が相互に密接した状態で収容箱200などに詰め込まれて搬送される場合がある。この場合、収容箱200内において、電子体温計107の電源スイッチ37は、隣合う電子体温計107によって意に反して押圧されることがある。
【0101】
電子体温計107の電源スイッチ37が意に反して押圧された場合であっても、電子体温計107の使用開始前の状態においては、電子体温計107は起動しない。電子体温計107によれば、電源部40(ボタン電池42など)における蓄電エネルギーの消耗を抑制することが可能となる。
【0102】
また、電子体温計107の販売店などにおいては、電子体温計107が、訪問客が手にとったり触れたりすることが可能な状態で陳列される場合もある。電子体温計107の電源スイッチ37が操作され意に反して電源が投入された場合であっても、電子体温計107の使用開始前の状態においては、電子体温計107は起動しない。電子体温計107によれば、電源部40(ボタン電池42など)における蓄電エネルギーの消耗を抑制することが可能となる。
【0103】
電子体温計107においては、電子体温計107の購入者などが、電子体温計107の使用開始の直前に被切断部44をハサミなどで切断する。ハサミなどを使用して、被切断部44に切り込みが入れられてもよい。被切断部44の切断または被切断部44への切り込みによって、回路パターン26の切断対象領域R1が切断されるとともに、電子体温計107は使用可能な状態となる。電源スイッチ37の操作によって、電子部品18への駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。
【0104】
電子体温計107の本体部50Dは、各シート状部材51D,52Dから簡素に構成される。各シート状部材51D,52Dは、PET等から構成される極めて薄い部材である。各シート状部材51D,52Dは、その厚さが薄く且つ裁断などによって製造されるため、安価に準備されることができる。電子体温計107によれば、筐体の全部が成形樹脂から構成される一般的ないわゆるペンシル型の電子体温計に比べて、製造費用を低減することができる。
【0105】
電子体温計107が安価に製造されるため、電子体温計107は、いわゆるディスポーザブルタイプとして使用されるのに適している。ディスポーザブルタイプであれば、たとえば医療現場などにおいて、電子体温計107が使用される毎(若しくは所定の使用回数毎に)に廃棄される。電子体温計107によれば、廃棄毎に発生する使用者側または被測定者側の費用負担も軽減することが可能である。
【0106】
電子体温計107においては、第2シート状部材52Dに対して電子部品18等が一方向(図16中の矢印参照)に配置可能となっている。電子部品18等は、第2シート状部材52Dに対して一方向に容易に組み付けられることができる。電子体温計107によれば、組み付け作業の自動化を図ることも可能となり、さらなる製造費用の低減が可能となる。
【0107】
[実施の形態3の変形例]
(第1変形例)
図20は、上述の実施の形態3の第1変形例における電子体温計108(使用開始前の状態)を示す平面図である。第1シート状部材51Dおよび/または第2シート状部材52Dには、上述の実施の形態1(図1参照)と同様な形状を有する平板状の枠体45が設けられる。枠体45は、切欠49を挟んで本体部50Dを枠状に取り囲むように設けられる。
【0108】
接続部46および接続部47は、本体部50Dと枠体45との間に橋渡し状に設けられる。換言すると、本体部50Dと枠体45とは、いわゆるゲートカット状に形成された接続部46および接続部47によって相互に接続される。本体部50D(第1シート状部材51Dまたは第2シート状部材52D)、接続部46、接続部47、および枠体45は、真空シート成形によって一体的に作製されるとよい。
【0109】
電子体温計108における回路パターン26は、上述の実施の形態1と同様に、電子部品18から接続部46の内部(表面上)を通過して枠体45まで到達し、折り返して再び電子部品18に戻るように略U字状に配置される。
【0110】
電子体温計108においても、電子体温計108の購入者などが、電子体温計108の使用開始の直前に接続部46および接続部47をハサミまたはカッターなどで切断する。接続部46の切断によって、回路パターン26の一部が切断されるとともに、電子体温計108は使用可能な状態となる。
【0111】
(第2変形例)
図21は、上述の実施の形態3の第2変形例における電子体温計109を示す斜視図である。電子体温計109の本体部50Dにおいては、第1シート状部材51Dおよび第2シート状部材52Dの双方の後端側に、略L字状の2つの切欠59がそれぞれ設けられる。2つの切欠59は、線対称(左右対称)に設けられ、2つの切欠59の間に被切断部44が規定される。回路パターン26は、被切断部44の内部を通過するように配設される。2つの切欠59の内側(電源スイッチ37側)には、略矩形状の折り曲げ部51Mが形成される。
【0112】
電子体温計109においては、被切断部44にハサミまたはカッターなどによって切り込みが入れられる。回路パターン26の一部が切断されるとともに、電源スイッチ37の操作によって、電子部品18への駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる。電子体温計109においては、使用開始前の状態から使用開始後の状態(被切断部44が切断された状態)に変移した場合であっても、被切断部44は本体部50Dから切り離されることはない。電子体温計109においては、被切断部44を廃棄する必要がなく、利便性が高い。
【0113】
電子体温計109においては、折り曲げ部51Mが手指などによって折り曲げられることにより、被切断部44が切断されてもよい。折り曲げ部51Mが折り曲げられることによって、回路パターン26のみが物理的に切断されてもよく、被切断部44および回路パターン26の双方が物理的に切断されてもよい。この場合も、使用開始前の状態から使用開始後の状態(被切断部44が切断された状態)に変移した際に、被切断部44は本体部50Dから切り離されることはない。電子体温計109においては、被切断部44を廃棄する必要がなく、利便性が高い。また、折り曲げ部51Mには、所定の銘板が貼付または印刷されることも可能である。
【0114】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。上述の各実施の形態においては、電子機器の一例として、電子体温計に基づいて説明した。本発明は、電子機器の他の例として、たとえばお祭りなどで使用される複雑な発光パターンを実現可能なペン型ライトなどにも使用されることが可能である。本発明は、歩数計、玩具、または電卓など、電源を内蔵した状態で搬送または販売などされる多種の電子機器に使用されることが可能である。したがって、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
10 サーミスタ、11 感温部、12 リード線、18 電子部品、20 制御基板、22 制御部、23 メモリ部、24 報知部、26 回路パターン、27 プルアップ抵抗、29 基板、30 表示部、31 表示パネル、36 操作部、37 電源スイッチ、38 押しボタン、40 電源部、41 電極端子、42 ボタン電池、43 樹脂、44 被切断部、45 枠体、46,47 接続部、46R,52T 凹部、46T 切断端面、48 吊下用開口部、49,49R,59 切欠、50,50A,50C,50D 本体部、50R リブ、50RT 外縁、50S 橋渡し部、51 表面側部材、51A,51C シート状部材、51D 第1シート状部材、51H 開口部、51M 折り曲げ部、51Y,52Y 延在部、52 裏面側部材、52A,52B,52C ケース体、52D 第2シート状部材、52K 上端部、52R,52S 底面部、52U 環状壁部、52W 長溝、53 中空空間、54 接合領域、56 透明保護部材、82 プローブ部、100〜109 電子体温計(電子機器)、200 収容箱、PA,PB ポート、R1 切断対象領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断部が設けられた本体部と、
前記本体部に設けられる電子部品と、
前記電子部品に接続され、前記被切断部内を通過するように配置される回路パターンと、
前記電子部品を駆動するための駆動電力を前記電子部品に供給する電源と、
前記電子部品への前記駆動電力の供給および切断を切り替えるために操作される電源スイッチと、を備え、
前記被切断部が切断されていない状態では、前記駆動電力は前記電子部品に供給されず、
前記被切断部が切断されることによって、前記回路パターンの一部が切断されるとともに、前記電源スイッチは、前記電子部品への前記駆動電力の供給および切断を切り替えることが可能となる、
電子機器。
【請求項2】
前記被切断部が切断された状態では、前記被切断部は前記本体部から切り離される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記被切断部は、前記本体部を枠状に取り囲むように形成される、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記本体部は、前記本体部の外縁から前記本体部の内側に向かって凹む凹部を有し、
前記被切断部は、前記凹部内において前記本体部と接続されている、
請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記被切断部が前記本体部に対して折り曲げられることによって、前記回路パターンの前記一部は切断される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記被切断部に切り込みが入れられることによって、前記回路パターンの前記一部は切断される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の前記電子機器から構成され、被測定者の体温を測定する、
電子体温計。
【請求項8】
前記本体部は、
当該電子体温計の長手方向に沿って延在する底面部、および、前記底面部の周縁から起立する環状壁部を有するケース体と、
外周部が前記環状壁部の起立方向の先端に接合されるシート状部材と、を含む、
請求項7に記載の電子体温計。
【請求項9】
前記本体部は、内部に中空空間を形成し、前記電子部品、前記回路パターン、および前記電源部を前記中空空間内に配置するシート状部材である、
請求項7に記載の電子体温計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−163355(P2012−163355A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21751(P2011−21751)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)