説明

電子機器筺体

【目的】 電子回路部品に直接冷却空気を吹きあてないで、かつ通風ダクトの壁から冷却空気への熱伝導経路と伝熱量を増加させ放熱効率に優れた電子機器筺体を得る。
【構成】 放熱フィン10がはまり込むやや大きめの溝と、溝と溝との間に凹部17を設け、凹部17をまたがるコの字型の金具16を複数設け通風ダクト9の回路モジュール1に近い壁と放熱フィン10に接合させるとともに、コの字型の金具の一部を通風ダクト9の中央部に配する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、電子機器筺体の改良に係わるもので、その放熱構造に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子回路部品の冷却方法として、従来より最も一般的な方法は、冷却空気を直接電子回路部品に吹きあてる方法である。しかし、最近電子機器筺体の分野における機能分散化が進むにつれて、電子機器筺体そのものを比較的環境条件の悪い場所へも配置したいという気運が高まってきている。すなわち、電子機器筺体は従来のように、温度、湿度、塵埃等が制御されている室に設置されるとは限らないものである。
このような場合電子回路部品に直接冷却空気を吹きあてる方法は、電子機器筺体の信頼性上好ましい方法ではない。なぜなら冷却空気に浮遊している塵埃が電子回路に付着し、その付着した部分が腐食したり、絶縁破壊する恐れがあるからである。
【0003】
ところで、航空機に搭載される電子機器筺体は、周知のように特に信頼性が重要視されているため冷却空気を直接電子部品に吹きあてない工夫がなされている例が多々ある。図4及び図5は上述のような工夫がなされている従来の代表的な電子機器筺体を示す図であり、図4は斜め上方から見た斜視図、図5は図4の断面CCを示す図である。
図において1は回路モジュールであり、プリント配線板2と上記プリント配線板2に放熱板3を介して取付けてある電子回路部品4とによって構成されている。ここで放熱板3は、熱伝導性の良い金属(例えばアルミニウム合金)板から成り、複数箇所を矩形状に打ち抜かれているとともに一方の面はプリント配線板2に密着するようになされ、さらに他方の面は電子回路部品4と接するように配されている。5は上記回路モジュール1を収納するための箱状のシャーシで、上面には回路モジュール1を取り外すための開口部6が設けられている。7は上記開口部6を覆うためのカバーで、シャーシ5に対し周辺部でねじ等により固定されている。上記シャーシ5の開口部6と直角をなし、かつ互いに相対する2面には隔壁8によって略矩形の通風ダクト9が形成されており、この通風ダクトの内部には、コルゲート状の放熱フィン10が設けられるとともに外部ダクト11を介して機体から供給される冷却空気12が流れるようになされている。さらに上記隔壁8の外面には、上記開口部6と直角をなすように形成されたコの字型の溝13があり、上記回路モジュール1の端部14は上記コの字型の溝13にはまり込むように上方から差し込まれ、上記端部のクランプ15により上記コの字型の溝13に固定されている。
【0004】
ここで、電子回路部品4から発生する熱は放熱板3を介して回路モジュール1の端部14へ伝導された後、隔壁8を経由して放熱フィン10から冷却空気12へと放熱されている。したがって電子回路部品4には直接冷却空気を吹きあてない工夫がなされているわけである。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
従来の電子機器筺体では放熱フィン10と通風ダクト9の壁及び通風ダクト9の壁と冷却空気12との間の熱の伝達効率が悪いという欠点がある。なぜならば通風ダクト9の壁と放熱フィン10との接触面積を大きくするため放熱フィン10の形状を複雑にすると製作コストが大きくなりコスト高になる。そして通風ダクト9の壁と冷却空気12の接触部は通風ダクト9の中央部分より冷却空気12の流速が遅く熱の伝達効率が悪いため全体として熱の伝達効率が小さくなる。
【0006】
この考案は以上のような課題を解決するためになされたもので、通風ダクト9の壁から冷却空気12への熱伝導経路と伝熱量を増加させ、放熱効率に優れた電子機器筺体を得ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この考案による電子機器筺体は、略矩形の通風ダクトが設けられ、上記通風ダクト内にはコルゲート状の放熱フィンが配せられ、さらに上記通風ダクト内に上記コルゲート状の放熱フィンがはまり込むやや大きめの溝と上記溝と上記溝との間に凹部を設け、上記凹部をまたがるコの字型の金具を複数設け、上記通風ダクトの壁及び上記放熱フィンに接合させたものである。
【0008】
【作用】
この考案においては、コルゲート状の放熱フィンがはまり込む溝と放熱フィンを接合し、溝と溝との間に凹部を設け、凹部をまたがるようにコの字型の金具を複数設け通風ダクトの壁と放熱フィンに接合することにより熱伝導の接触面積を大きくすることができ熱伝導効率が大きくなるとともにコの字型の金具を冷却空気流速の速い通風ダクトの中央部に位置させることが可能となり冷却空気への伝達効率を大きくできる優れた電子機器筺体を実現することができる。
【0009】
【実施例】
実施例1.
図1はこの考案による電子機器筺体の一実施例を示す斜視図、図2は図1の断面AAを示す図、図3は図1の断面BBを示す図である。
図において1〜15は従来の電子機器筺体と全く同一のものであるので説明は省略する。
16は熱伝導性の良い金属材料(例えばアルミニウム合金)を成形して成るコの字型の金具で通風ダクト9の回路モジュール1に近い壁と放熱フィン10に接触させ、上記通風ダクト9に上記放熱フィンとともに複数個ロー付け溶接(又は接着)接合されている。さらに上記通風ダクト9の中央部に上記コの字型の金具16の一部が位置するように取付られている。
17は上記放熱フィン10がはまり込むやや大きめの溝と上記溝との間に設けた凹部である。
【0010】
【考案の効果】
この考案による電子機器筺体は、以上のような構成からなるため、電子回路部品に直接冷却空気を吹きあてないで、かつ放熱効率に優れた電子機器筺体を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例による電子機器筺体を示す斜視図である。
【図2】図1の断面AAを示す図である。
【図3】図1の断面BBを示す図である。
【図4】従来の電子機器筺体を示す斜視図である。
【図5】図4の断面CCを示す図である。
【符号の説明】
1 回路モジュール
2 プリント配線板
3 放熱板
4 電子回路部品
5 シャーシ
6 開口部
7 カバー
8 隔壁
9 通風ダクト
10 放熱フィン
11 外部ダクト
12 冷却空気
13 コの字型の溝
14 端部
15 クランプ
16 コの字型の金具
17 凹部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 第1の面には開口部が設けられ、かつ上記第1の面と直角をなす第2の面及び上記第2の面と相対する第3の面には略矩形の通風ダクトが設けられ、上記通風ダクト内にはゲート状の放熱フィンが配せられ、さらに上記通風ダクト内に上記コルゲート状の放熱フィンがはまり込むやや大きめの溝と上記溝と上記溝との間に凹部を設け、上記凹部をまたがるコの字型の金具を複数設け、そして上記第2の面に設けられた上記通風ダクトの上記第3の面と向かい合う外面及び上記第3の面に設けられた上記通風ダクトの上記第2の面と向かい合う外面には上記第1の面と直角をなすコの字型の溝が設けられている箱状のシャーシと、矩形のプリント配線板に電子回路部品が放熱板を挟持して実装されており、かつ互いに相対する2辺が上記コの字型の溝に差し込まれるように配されるとともに上記シャーシ内に収納されている回路モジュールと、上記回路モジュールの上記2辺の際に、クランプを設け、上記コの字型の溝に上記放熱板とで挟持し、上記シャーシに対し、上記開口部を外側から覆うように取付られているカバーとで構成したことを特徴とする電子機器筺体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】実開平5−4579
【公開日】平成5年(1993)1月22日
【考案の名称】電子機器筺体
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−51726
【出願日】平成3年(1991)7月4日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)