説明

電子機器

【課題】 組立も容易で、なおかつ電子機器の周辺部に設けられたタッチスイッチの感度を安定にする。
【解決手段】 電子機器は、表面ケースと、周辺部が表面ケースの周辺部に対して係合する裏面ケースと、表面ケース及び裏面ケースに内蔵される静電容量方式のセンサ部とを備えている。一方のケースの周辺部における係合箇所に至るまでの内面には、センサ部に当接して導通する第一導電部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係り、特に、タッチスイッチを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置等の電子機器においてはタッチスイッチを搭載したものが知られている(例えば特許文献1参照)。このような電子機器では、その周辺部にもタッチを検出できるように静電容量式のタッチスイッチが設けられている。例えば、図11は、従来の電子機器100の概略構成を示す説明図であり、(a)は全体構成を示す斜視図、(b)は電子機器100の表面ケース101を示す斜視図、(c)は電子機器100の裏面ケース102及び基板103を示す斜視図である。また、図12は、図11におけるXII−XII切断線から見た断面図であり、図13は、図11におけるXIII−XIII切断線から見た断面図である。
【0003】
図11に示すような電子機器100は、表面ケース101と、裏面ケース102と、これらケース101,102に内蔵される基板103とを有している。基板103の一辺部には、フレキシブル基板201を有するタッチスイッチ200が搭載されている。また、基板103の他の三辺部には、基板103に直接設置されたセンサ部301を有するタッチスイッチ300が搭載されている。
【0004】
例えば図12に示すタッチスイッチ200であると、基板103の裏面に設けられたコネクタ203にフレキシブル基板201が接続されている。そして、フレキシブル基板201は、基板103の一辺側から表面側に向けて湾曲し、表面ケース101に接触している。フレキシブル基板201における表面ケース101との接触部分には、タッチスイッチ200のセンサ部202が設けられている。これにより、表面ケース101の一辺部が指等によってタッチされると、センサ部202が静電容量の変化を読み取ってタッチされた旨を検出するようになっている。
【0005】
一方、図13に示すタッチスイッチ300であると、基板103の表面に設置されたセンサ部301が、表面ケース101の内側に設けられた凸部302により押さえられている。これにより、表面ケース101の他の三辺部が指等によってタッチされると、凸部302を介してセンサ部301が静電容量の変化を読み取ってタッチされた旨を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−55551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、フレキシブル基板201を用いたタッチスイッチ200であると、電子機器自体を小型化した場合あるいは表面ケース101の側端部の内面が直角に形成されていたり内面にボスやリブ等が形成されていた場合など、組立時にフレキシブル基板201を折り曲げて表面ケース101にセンサ部202を貼り付けるのが困難となってしまう。
一方、基板103に直接設置されたセンサ部301を有するタッチスイッチ300であると、フレキシブル基板201を用いたタッチスイッチ200よりもコストを抑えられるメリットがあるが、表面ケース101の側端部はセンサ部301と面しておらず、しかも両者間には大きな空気層303が介在しているので、その部分だけの感度が著しく低下してしまうのが実状である。
このため、本発明の課題は、組立も容易で、なおかつ電子機器の周辺部に設けられたタッチスイッチの感度を安定させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る電子機器は、
表面ケースと、
周辺部が前記表面ケースの周辺部に対して係合する裏面ケースと、
前記表面ケース及び前記裏面ケースに内蔵される静電容量方式のセンサ部とを備え、
前記表面ケース及び前記裏面ケースのうち一方のケースの周辺部における係合箇所に至るまでの内面には、前記センサ部に当接して導通する第一導電部が形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、
前記センサ部は前記一方のケースの周方向に沿って個別に複数配列されていて、
前記第一導電部は複数の前記センサ部に個別に対応するように、前記一方のケースの前記内面に複数形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電子機器において、
前記表面ケース及び前記裏面ケースのうち、他方のケースの周辺部における係合箇所に至るまでの内面には、前記第一導電部に導通する第二導電部が形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の電子機器において、
前記第一導電部と前記第二導電部との通電部分及び前記第一導電部と前記センサ部との通電部分の少なくとも一方の導通部分には導電ゴムが介在していることを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の発明に係る電子機器は、
表面ケースと、
周辺部が前記表面ケースの周辺部に対して対向する裏面ケースと、
前記表面ケース及び前記裏面ケースに内蔵される静電容量方式のセンサ部と、
前記表面ケースの周辺部及び前記裏面ケースの周辺部に全周にわたって挟持され、前記センサ部に当接する介在部材とを備え、
前記介在部材の表面における前記センサ部と当接する箇所から、前記表面ケースの周辺部と前記裏面ケースの周辺部との対向位置に対応する箇所までには、介在部材用導電部が形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の電子機器において、
前記センサ部は前記一方のケースの周方向に沿って個別に複数配列されていて、
前記介在部材用導電部は複数の前記センサ部に個別に対応するように、前記介在部材に複数形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の電子機器において、
前記介在部材は、前記表面ケースの周辺部及び前記裏面ケースの周辺部の間から外部に露出する露出面を有し、
前記介在部材用導電部は前記露出面まで連続するように前記介在部材の表面に形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記表面ケース及び前記裏面ケースの少なくとも一方の周辺部における前記対向位置まで至るまでの内面には、前記介在部材用導電部に当接して導通するケース用導電部が形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記導電部は、メッキ処理、金属蒸着処理、カーボン印刷処理、導電フィルム貼付処理のいずれか1つの処理により形成された導電膜であることを特徴としている。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記導電部は、二色成型により形成された導電層であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、組立も容易で、なおかつ電子機器の周辺部に設けられたタッチスイッチの感度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態の電子機器の要部構成を示す断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係る電子機器の全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2の電子機器に備わる表面パネルの内部構造を示す斜視図である。
【図4】図2の電子機器に備わる裏面パネルの内部構造を示す斜視図である。
【図5】図2の電子機器に備わる裏面パネルと基板との位置関係を示す斜視図である。
【図6】図2におけるVI−VI切断線から見た断面図である。
【図7】図6に示す電子機器の変形例を示す断面図である。
【図8】第3の実施の形態に係る電子機器の要部構成を示す断面図である。
【図9】図7の電子機器に備わる介在部材の概略構成を示す斜視図である。
【図10】図8の電子機器の変形例を示す断面図である。
【図11】従来の電子機器の概略構成を示す説明図であり、(a)は全体構成を示す斜視図、(b)は電子機器の表面ケースを示す斜視図、(c)は電子機器の裏面ケース及び基板を示す斜視図である。
【図12】図11におけるXII−XII切断線から見た断面図である。
【図13】図11におけるXIII−XIII切断線から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す断面図である。なお、電子機器1の全体構成は従来の電子機器100とほぼ同形状であり、この第1の実施の形態では、本発明の特徴部分に焦点をあてて説明する。
【0022】
電子機器1は照明器具であり、図1に示すように、電子機器1は、表面ケース2と、裏面ケース3と、基板4と、センサ部5と、図示しない光源とを有している。
【0023】
表面ケース2は樹脂等から形成されていて、電子機器1の表面全体を覆うものである。表面ケース2の周辺部21は裏面側に向けて湾曲している。表面ケース2の周辺部21よりも内側には、裏面側に向けて凸となる凸部22が形成されている。表面ケース2の周辺部21から、凸部22の先端面221にかけての内面には導電膜(第一導電部)23が形成されている。これにより導電膜23は、周辺部21における裏面ケース3との係合箇所に至るまでの内面に形成されることになる。導電膜23は、メッキ処理、金属蒸着処理、カーボン印刷処理、導電フィルム貼付処理のいずれか1つの処理により形成されている。
また、表面ケース2の中央部は、光源からの照射光を外部に向けて透過できるように透光性を有する材質或いは形状に形成されている。
【0024】
裏面ケース3は樹脂等から形成されていて、電子機器1の裏面全体を覆うものである。裏面ケース3の周辺部31は、表面ケース2の周辺部21に対して当接して係合するように、表面側に向けて湾曲している。
【0025】
基板4は、プリント基板であり、表面ケース2及び裏面ケース3に内蔵されている。この基板4には、静電容量方式のセンサ部5と、センサ部5で出力された信号により各種制御を行う制御回路(図示省略)、制御回路からの制御信号に基づいて点灯する光源(図示省略)等とが設置されている。
【0026】
センサ部5は、その電極51が基板4の表面であって凸部22に対向する位置に形成されている。センサ部5の電極51は、凸部22の先端面221にある導電膜23と当接しており、これにより電極51と導電膜23とが導通している。そして、表面ケース2の周辺部21が指等の人体の一部によってタッチされると、導電膜23を介して静電容量の変化が電極51に伝達されて、センサ部5はタッチされた旨を検出するようになっている。つまり、表面ケース2、導電膜23及びセンサ部5がタッチスイッチを構成している。
【0027】
以上のように、第1の実施の形態に係る電子機器1によれば、表面ケース2の周辺部21における係合箇所に至るまでの内面に、電極51に当接して導通する導電膜23が形成されているので、電極51と表面ケース2の側端部内面とを導電膜23によって接触させることができ、電子機器1の周辺部における側端部のタッチスイッチの感度を高めることができる。
また、従来のように組立時にフレキシブル基板を湾曲させて貼り付ける必要もないので組立自体も容易化させることが可能となる。
【0028】
なお、組立後において表面ケース2の凸部22が基板4を裏面側に押圧するように、凸部22の突出長さを設定していれば、導電膜23と電極51との接触をより確実にすることができ、タッチスイッチの感度を安定させることができる。
また、これ以外にも凸部22と基板4との間に導電ゴムを配置し、当該導電ゴムを導電膜23とセンサ部5との通電部分に介在させることでも、導電膜23と電極51との接触をより確実にすることができ、タッチスイッチの感度を安定させることができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では正面視略矩形状の電子機器1を例示して説明したが、この第2の実施の形態では正面視略円形状の電子機器50を例示して説明する。
【0030】
図2は第2の実施の形態に係る電子機器50の全体構成を示す斜視図である。図3は、電子機器50に備わる表面ケース52の内部構造を示す斜視図である。図4は、電子機器50に備わる裏面ケース53の内部構造を示す斜視図である。図5は電子機器50に備わる裏面ケース53と基板54との位置関係を示す斜視図である。図6は、図2におけるVI−VI切断線から見た断面図である。
【0031】
図2〜図6に示すように電子機器50は、表面ケース52と、裏面ケース53と、基板54と、センサ部55と、図示しない光源とを有している。
【0032】
表面ケース52は、樹脂等により略円板状に形成されていて、電子機器50の表面全体を覆うものである。表面ケース52の周辺部521は裏面側に向けて湾曲している。表面ケース52の周辺部521における内面側には、表面ケース52の周方向に沿って複数の第一導電膜(第一導電部)523が配列されている。複数の第一導電膜523は、互いに所定の間隔を空けて表面ケース52の全周にわたって配列されている。図6に示すように、第一導電膜523は、センサ部55の電極551に当接する部分から、周辺部521の先端面522にかけて形成されている。
また、表面ケース52の中央部は、光源からの照射光を外部に向けて透過できるように透光性を有する材質或いは形状に形成されている。
【0033】
裏面ケース53は図4〜図6に示すように樹脂等により略円板形状に形成されていて、電子機器50の裏面全体を覆うものである。裏面ケース53の周辺部531は、表面ケース52の周辺部521に対して当接して係合するように、表面側に向けて湾曲している。裏面ケース53の周辺部531における内面側には、裏面ケース53の周方向に沿って複数の第二導電膜(第二導電部)533が配列されている。複数の第二導電膜533は、それぞれ表面ケース52の各第一導電膜523に対向するように、互いに所定の間隔を空けて裏面ケース53の全周にわたって配列されている。図6に示すように、第二導電膜533は、センサ部55の電極551に対向する部分から、周辺部531の先端面532にかけて形成されている。つまり、第二導電膜533は、全体に亘って第一導電膜523と対向するように形成されている。そして、表面ケース52の周辺部521と、裏面ケース53の周辺部531との当接部分、つまり先端面522,532の当接部分においては第一導電膜523と第二導電膜533とが当接した状態で介在するため、第一導電膜523と第二導電膜533とが導通することになる。
【0034】
第一導電膜523及び第二導電膜533は、メッキ処理、金属蒸着処理、カーボン印刷処理、導電フィルム貼付処理のいずれか1つの処理により形成されている。
【0035】
基板54はフレキシブル基板であり、図5及び図6に示すように表面ケース52及び裏面ケース53に内蔵されている。この基板54には、センサ部55と、センサ部55で出力された信号により各種制御を行う制御回路(図示省略)、制御回路からの制御信号に基づいて点灯する光源(図示省略)等とが設置されている。基板54は、略円板状であり、その周囲に複数のスリット541が形成されている。各スリット541の間で放射状に延出した延出部542は、表面ケース52の各第一導電膜523にそれぞれ対向するように設けられている。
【0036】
センサ部55の電極551は、図6に示すように基板54における各延出部542の表面に形成されている。センサ部55の電極551は、表面ケース52の第一導電膜523に当接しており、これにより、電極551と第一導電膜523とが導通している。そして、表面ケース52の周辺部521が指等によってタッチされると、第一導電膜523を介して静電容量の変化が電極551に伝達されて、センサ部55はタッチされた旨を検出するようになっている。さらに、裏面ケース53の周辺部531が指等によってタッチされると、第二導電膜533から第一導電膜523を介して静電容量の変化が電極551に伝達されて、センサ部55はタッチされた旨を検出するようになっている。つまり、本実施形態においては、表面ケース52、裏面ケース53、第一導電膜523、第二導電膜533及びセンサ部55がタッチスイッチを構成している。
【0037】
以上のように、第2の実施の形態に係る電子機器50によれば、センサ部55が表面ケース52の周方向に沿って個別に複数配列されていて、第一導電膜523が複数のセンサ部55に個別に対応するように、表面ケース52における周辺部521の内面に複数形成されているので、1つの電子機器50内に電気的に独立した複数のタッチスイッチを設けることが可能となる。
また、裏面ケース53の周辺部531の内面に、第一導電膜523に導通する第二導電膜533が形成されているので、裏面ケース53に対するタッチをも1つのセンサ部55によって検出することが可能となる。
【0038】
なお、図7に示すように、第一導電膜523と第二導電膜533との当接部分(通電部分)に導電ゴム60を介在させることで、第一導電膜523と第二導電膜533との導通状態をより確実にすることができる。導電ゴム60は組立後においては圧縮された状態で常に第一導電膜523と第二導電膜533とを離れる方向に付勢していることが、導通状態を確保するうえで望ましい。
【0039】
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態では表面ケース52と裏面ケース53との周辺部521,531が第一導電膜523及び第二導電膜533を介して係合する場合を例示して説明したが、この第3の実施の形態では、介在部材を介して係合する場合を例示して説明する。なお、以下の説明において、第2の実施の形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図8は第3の実施の形態に係る電子機器50Aの要部構成を示す断面図である。
図8に示すように第3の実施の形態に係る電子機器50Aにおいては、表面ケース52aと裏面ケース53aの両者には導電膜が形成されていない。また、センサ部55aの電極551aは、基板54における各延出部542の裏面に形成されている。
【0041】
そして、表面ケース52aの周辺部521aと、裏面ケース53aの周辺部531aとの間には環状の介在部材80が介在している。介在部材80は、表面ケース52aの周辺部521a及び裏面ケース53aの周辺部531aにより全周にわたって挟持されている。
【0042】
図9は介在部材80の概略構成を示す斜視図である。介在部材80は、複数の導通部81と、各導通部81を連結する複数の連結部82とを有している。連結部82は非導電性であり、各導通部81を電気的に独立させている。
【0043】
導通部81は、本体部811と、本体部811よりも外側に位置してその一部が外部に向けて露出する露出部812とを有し、本体部811と露出部812とが樹脂等により一体的に形成されている。また、本体部811と露出部812との表面には、導電膜(介在部材用導電部)83が連続して成膜されている。これにより、導電膜83は、介在部材80の表面におけるセンサ部55aと当接する箇所から、表面ケース52aの周辺部521aと裏面ケース53aの周辺部53aとの対向位置に対応する箇所まで形成されることになる。この導電膜83においても、メッキ処理、金属蒸着処理、カーボン印刷処理、導電フィルム貼付処理のいずれか1つの処理により形成されている。
【0044】
本体部811は、表面ケース52a及び裏面ケース53aにおける周辺部521a,531aの先端面522a,532aよりも内側に位置している。本体部811の裏面側を覆う導電膜83は裏面ケース53aの内面に当接している。一方、本体部811の表面側を覆う導電膜83は、基板54における延出部542の裏面に設けられた電極551aに当接している。
【0045】
露出部812は、表面ケース52aにおける周辺部521aの先端面522aと、裏面ケース53aにおける周辺部531aの先端面532aとにより挟持されている。露出部812の先端部における露出面813は、表面ケース52a及び裏面ケース53aよりも外側に突出している。これにより、露出面813を覆う導電膜83も外側に突出することとなり、タッチしやすくなっている。なお、人体の一部に触れることができるのであれば、露出面813を表面ケース52a及び裏面ケース53aから突出させなくてもよい。具体的には表面ケース52a及び裏面ケース53aの外表面と面一となるように露出面813を配置することや、タッチが可能な範囲であれば前記外表面よりも奥まった位置に露出面813を配置することが挙げられる。
【0046】
そして、表面ケース52aの周辺部521aや、裏面ケース53aの周辺部531aが指等によってタッチされると、導電膜83を介して静電容量の変化が電極551aに伝達されて、センサ部55aはタッチされた旨を検出するようになっている。さらに、露出部812の先端部を覆う導電膜83が指等によりタッチされた場合においても、導電膜83を介して静電容量の変化が電極551aに伝達されて、センサ部55aはタッチされた旨を検出するようになっている。つまり、本実施形態においては、表面ケース52a、裏面ケース53a、介在部材80、導電膜83及びセンサ部55aがタッチスイッチを構成している。
【0047】
以上のように、第3の実施の形態に係る電子機器50Aによれば、介在部材80におけるセンサ部55aの電極551aと当接する表面には、当該電極551aに導通する導電膜83が形成されているので、電極551aと表面ケース52a(及び裏面ケース53a)の端面とを導電膜83によって接触させることができ、電子機器50Aの端面のタッチスイッチの感度を高めることができる。
また、従来のように組立時にフレキシブル基板を湾曲させて貼り付ける必要もないので組立自体も容易化させることが可能となる。
【0048】
また、センサ部55aが表面ケース52aの周方向に沿って個別に複数配列されていて、導電膜83が複数のセンサ部55aに個別に対応するように、介在部材80に複数形成されているので、1つの電子機器50A内に電気的に独立した複数のタッチスイッチを設けることが可能となる。
そして、導電膜83は露出面813まで連続するように介在部材80の表面に形成されているので、電子機器50Aの側端面、つまり露出面813がタッチされた場合、その静電容量の変化を、導電膜83を介して電極551aに伝達させることができる。つまり、表面ケース52aや裏面ケース53aを介さずとも静電容量の変化をセンサ部55aに伝達できるので、電子機器50Aの側端面に対するタッチの有無を確実に検出することが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態では介在部材80が環状に形成されている場合を例示して説明したが、介在部材は一体的に環状でなくとも途中で分断されていてもよい。
また、図10に示す電子機器50Bのように表面ケース52b及び裏面ケース53bの周辺部521b、531bの内面に、介在部材80の導電膜83に当接して導通する導電膜(ケース用導電部)523b,533bを形成することも可能である。なお、導電膜521b,531bは、表面ケース52b及び裏面ケース53bの少なくとも一方の周辺部521b,531bにおける対向位置まで至るまでの内面に形成されていればよい。これによって、より高い導通性を確保することができ、タッチセンサの感度を高めることができる。
なお、ケース用導電部は表面ケース52b及び裏面ケース53bの少なくとも一方に形成すればよい。
また、上記実施形態では、電子機器1,50,50Aとして照明器具を例示して説明したが、タッチスイッチを搭載する電子機器であれば如何なる電子機器であってもよい。
【0050】
また、上記第1〜第3の実施の形態では、第一導電部、第二導電部、介在部材用導電部及びケース用導電部がそれぞれメッキ処理、金属蒸着処理、カーボン印刷処理、導電フィルム貼付処理のいずれか1つの処理により形成された導電膜である場合を例示して説明したが、第一導電部、第二導電部、介在部材用導電部及びケース用導電部が二色成型によって形成された導電層であってもよい。
具体的には、表面ケース52と第一導電部とが二色成型によって成型され、裏面ケース53と第二導電部とが二色成型によって成型されていると、第一導電部と第二導電部とが導電層として各ケース52,53に対して一体的に成型されることになる。
また、表面ケース52b及び裏面ケース53bとケース用導電部とが二色成型によって成型されていると、ケース用導電部が導電層として各ケース52b,53bに対して一体的に成型されることになる。
さらに、介在部材用導電部と介在部材80とが二色成型によって成型されていると、介在部材用導電部が導電層として介在部材80に対して一体的に成型されることになる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子機器
2 表面ケース
3 裏面ケース
4 基板
5 センサ部
21 周辺部
22 凸部
23 導電膜(第一導電部)
31 周辺部
50,50A,50B 電子機器
51 電極
52,52a,52b 表面ケース
53,53a,53b 裏面ケース
54 基板
55,55a センサ部
60 導電ゴム
80 介在部材
81 導通部
82 連結部
83 導電膜(介在部材用導電部)
221 先端面
521 周辺部
523 第一導電膜(第一導電部)
523b,533b 導電膜(ケース用導電部)
533 第二導電膜(第二導電部)
541 スリット
542 延出部
551,551a 電極
811 本体部
812 露出部
813 露出面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面ケースと、
周辺部が前記表面ケースの周辺部に対して係合する裏面ケースと、
前記表面ケース及び前記裏面ケースに内蔵される静電容量方式のセンサ部とを備え、
前記表面ケース及び前記裏面ケースのうち一方のケースの周辺部における係合箇所に至るまでの内面には、前記センサ部に当接して導通する第一導電部が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記センサ部は前記一方のケースの周方向に沿って個別に複数配列されていて、
前記第一導電部は複数の前記センサ部に個別に対応するように、前記一方のケースの前記内面に複数形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電子機器において、
前記表面ケース及び前記裏面ケースのうち、他方のケースの周辺部における係合箇所に至るまでの内面には、前記第一導電部に導通する第二導電部が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3記載の電子機器において、
前記第一導電部と前記第二導電部との通電部分及び前記第一導電部と前記センサ部との通電部分の少なくとも一方の導通部分には導電ゴムが介在していることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
表面ケースと、
周辺部が前記表面ケースの周辺部に対して対向する裏面ケースと、
前記表面ケース及び前記裏面ケースに内蔵される静電容量方式のセンサ部と、
前記表面ケースの周辺部及び前記裏面ケースの周辺部に全周にわたって挟持され、前記センサ部に当接する介在部材とを備え、
前記介在部材の表面における前記センサ部と当接する箇所から、前記表面ケースの周辺部と前記裏面ケースの周辺部との対向位置に対応する箇所までには、介在部材用導電部が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5記載の電子機器において、
前記センサ部は前記一方のケースの周方向に沿って個別に複数配列されていて、
前記介在部材用導電部は複数の前記センサ部に個別に対応するように、前記介在部材に複数形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項5又は6記載の電子機器において、
前記介在部材は、前記表面ケースの周辺部及び前記裏面ケースの周辺部の間から外部に露出する露出面を有し、
前記介在部材用導電部は前記露出面まで連続するように前記介在部材の表面に形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記表面ケース及び前記裏面ケースの少なくとも一方の周辺部における前記対向位置まで至るまでの内面には、前記介在部材用導電部に当接して導通するケース用導電部が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記導電部は、メッキ処理、金属蒸着処理、カーボン印刷処理、導電フィルム貼付処理のいずれか1つの処理により形成された導電膜であることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記導電部は、二色成型により形成された導電層であることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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