説明

電子機器

【課題】拡張性を高めるために交換可能な接続端子部において、防水性、防塵性を確保することができる電子機器を得ること。
【解決手段】筐体1と、前記筐体1に形成された開口部23に交換可能に取り付けられた端子板30と、前記端子板30に形成された端子31の周囲に配された止水部材50とを備え、前記開口部23の内部に、開口中心を取り巻いて前記開口中心に向かって突出した鍔部24が形成され、前記端子板30が前記鍔部24に載置されたとき、前記端子板30の外側表面が、前記開口部が形成された部分の前記筐体の表面21と同一面上に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防水性、防塵性が高められた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンなどの電子機器は、屋外において様々な環境で使用されることを考慮し、防水性、防滴性、防塵性を高めたものが登場してきている。このような電子機器において、ケーブル等を接続するために外部に露出している端子部は、液体や埃等が付着すると電子機器の故障につながる可能性があるため、端子部を覆う蓋体を設けた構成とされることがある。
【0003】
また、ノートパソコンなどの電子機器において、基本の情報処理能力を確保した上で、使用者が自身の使用目的にあった機能を果たすことができるようにカスタマイズ化することを可能としたものが提案されている。このような電子機器のカスタマイズ化を行う上では、電子機器の入出力端子を自己の使用目的にあったものに変更できる拡張性を備えることが重要である。このような拡張性を備えた入出力端子として、各種のコネクタに対応した接続端子を交換可能に搭載することが考えられる。
【0004】
拡張性を有する入出力端子であって防塵性と防水性とを備えたものとして、例えば、風雨に曝される環境に配置されるパラボラアンテナ用のトランスミッタとして、筐体内の回路基板に中間コネクタを接続し、この中間コネクタに筐体外部に露出して配置される外部コネクタを備える電子機器が特許文献1で提案されている。この従来の電子機器は、外部コネクタとして信号伝送線の規格に対応させたN型とF型の両方のコネクタを使用することができるので、中間コネクタ部分で防水性、防塵性を確保して、接続端子の拡張性とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−066592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている構成は、電子機器の筐体に水密性を保って中間コネクタを配置しているため、外部から雨水などが浸入することを防止することができる。しかし、中間コネクタに外部コネクタを接続し、さらに外部コネクタにアンテナケーブルが常に接続されていることが前提となって水密性を確保している。このため、必要に応じて適宜外部の機器との間を接続するケーブルのコネクタが接続される接続端子を備えたパソコンなどの電子機器の端子部に応用することはできない。
【0007】
本開示は、拡張性を高めるために交換可能な接続端子部において、防水性および/または防塵性を確保することができる電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の電子機器は、筐体と、前記筐体に形成された開口部に交換可能に取り付けられた端子板と、端子板に形成された端子の周囲に配された止水部材とを備え、開口部の内部に、開口中心を取り巻いて開口中心に向かって突出した鍔部が形成され、端子板が鍔部に載置されたとき、端子板の外側表面が、開口部が形成された部分の筐体の表面と同一面上に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の電子機器は、拡張性を備えた端子板を、開口部の内部に開口中心を取り巻いて形成された鍔部に載置したときに、端子板の外側表面が筐体の表面と同一面上に位置している。このため、端子板の外側に止水部材を配置する場合でも、端子板の内側に止水部材を配置する場合でも、着脱可能な端子板の周囲部分から筐体内部に水などが入り込むことを防止でき、拡張性と、防水性および/または防塵性とを備えた電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態にかかるノートパソコンの概略構成例を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1にかかるノートパソコンの端子部を示す視野図である。
【図3】実施の形態1にかかるノートパソコンの端子部の、蓋体に形成された開口と着脱可能な端子板との構成を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかるノートパソコンの端子部の、蓋体に形成された開口に端子板が装着された状態を示す図である。
【図5】実施の形態1にかかるノートパソコンの端子部の、端子板上に止水部材が配置される状況を示す図である。
【図6】実施の形態1にかかるノートパソコンの端子部の構成を示す要部断面図である。
【図7】実施の形態1にかかるノートパソコンの端子部の、端子板の周辺部分の構成を説明するための要部拡大断面図である。
【図8】実施の形態1にかかるノートパソコンの端子部の別の構成の蓋体を示す斜視図である。
【図9】実施の形態2にかかるノートパソコンの端子部の、蓋体に形成された開口と着脱可能な端子板との構成を示す図である。
【図10】実施の形態2にかかるノートパソコンの端子部の、端子板の周辺部分の構成を説明するための要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態にかかる電子機器の一例であるノートパソコンの外観を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、電子機器は、少なくとも交換可能でかつ、防水性および/または防塵性を確保された端子部を備える機器であればよい。そして、本実施の形態におけるノートパソコンは、端子部を覆って防水性および/または防塵性を確保する蓋体を備えている。
【0014】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。
【0015】
第1の筐体1は、電気回路素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどのノートパソコンが内蔵する既知の各種デバイスを内蔵しているが、図示並びに詳細な説明は省略する。
【0016】
第2の筐体2は、表示素子の一例として液晶ディスプレイ4を備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを矢印AまたはBに示す方向へ回動自在に支持する回転軸を備えている。ノートパソコンの実使用状態における第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。第1の筐体1の側面1bには、端子部10が配されている。なお、以下本明細書においては、ノートパソコンの実使用状態に基づいて、第1の筐体1のキーボード5が配置されている方向を上方として各構成要素の説明に適宜用いることとする。
【0017】
図2は、端子部10の斜視図である。端子部10は、第1の筐体1の側面1bに配置された後述する端子板30に形成された3つの端子31(31a、31b、31c)を備えている。端子31の配置部分にそれぞれ対応し、第1の開口51(51a、51b、51c)を有する止水部材50が配置されている。止水部材50には、第2の開口52が形成されている。第2の開口52から、端子板30に形成された先端部が鈎状の固着突起32が突出している。また、止水部材50の図2における左右方向両端部には、切り欠き53が形成されていて、切り欠き53からは、第1の筐体1に形成された先端部が鈎状の固着突起27が突出している。
【0018】
第1の筐体1には、図2に示す矢印Cまたは矢印D方向に回動可能に固着され、端子31a、31bおよび31cをそれぞれ覆う3つの蓋体41、42、43が配置されている。
【0019】
3つの蓋体41、42、43は、それぞれ第1の筐体1に一端部で固着された蓋部41a、42a、43aと、蓋部41a、42a、43aに対して一端部から遠ざかる方向(図2における矢印E方向)と、一端部に近づく方向(矢印F方向)に変位可能なスライド部41b、42b、43bとを備えている。
【0020】
蓋体41、42、43が図2中の矢印C方向に回動して、蓋部41a、42a、43aの止水部材50に対向する側に形成された矩形枠状のリブ41d、42d、43dが、止水部材50における開口部51(51a、51b、51c)の周囲に当接する。この状態で、それぞれの蓋体41、42、43において、スライド部41b、42b、43bを図2中の矢印E方向にスライドすることで、スライド部41b、42b、43bに形成された凸部41c、42c、43cがそれぞれ対応する第1の筐体1に形成された凹部26に嵌入される。また、スライド部41b、42b、43bに形成された係合部41e、42e、43eが固着突起27および32に係合することで、蓋体41、42、43が止水部材50に当接した状態で保持されるロック状態となる。
【0021】
止水部材50が一定の弾力を有しているため、ロック状態の蓋体41、42、43にそれぞれ形成されたリブ41d、42d、43dが止水部材50に圧着されて、3つの端子31a、31b、31cが防水性および/または防塵性を確保した状態で遮蔽される。
【0022】
次に、本実施の形態のノートパソコンにおける端子部の構成を詳細に説明する。
【0023】
図3は、本実施の形態のノートパソコンの端子部の、第1の筐体に形成された凹所部分と、交換可能に固着される拡張性を備えた端子板の構成を示す斜視図である。
【0024】
図3に示すように、本実施の形態のノートパソコンの第1の筐体1の側面1bには、底面21と側面22とを有する凹所が形成されていて、凹所の底面21に開口部23が形成されている。開口部23の周囲には、凹所の底面21よりも第1の筐体1の内部側に一段低くなった位置に、開口中心を取り巻くように開口部23の全周に渡って、開口中心側に突出した鍔部24が形成されている。鍔部24の四隅には、ねじ穴25が形成されている。
【0025】
蓋体41、42、43は、第1の筐体1に、回動可能に固着されている。また、蓋体41、42、43は、それぞれ対応する端子31a、31b、31cを覆う遮蔽位置でロックできるように、蓋体41、42、43の先端部に突起部41c、42c、43cが形成されている。この突起部41c、42c、43cを嵌入する凹部26が、第1の筐体1における凹所の上側の側面22に形成されている。また、両端部に位置する蓋体41および43の側面部分に形成された係合部41e、43eと係合する先端部が鈎状となった固着突起27が、凹所の底面21に形成されている。
【0026】
開口部23を覆うように取り付けられる端子板30は、3つの端子31a、31b、31cが配置されている。なお、本実施の形態において、端子31それぞれの内部に形成される電極端子や樹脂製の枠体の構成は、図示および詳細な説明を省略する。端子板30の四隅部に形成されたねじ穴33と、第1の筐体1の開口部23に備わる鍔部24の四隅に形成されたねじ穴25とを用いて、開口部23内の鍔部24上に載置された端子板30は、第1の筐体1の凹所内にねじ34によってねじ止めされる。このように、端子板30は、第1の筐体1の開口部23に対して交換することができる。
【0027】
図4は、第1の筐体1の側面1bに形成された凹所の底面21に、端子板30が固着された状態を示している。
【0028】
端子板30の厚さは、凹所の底面21に形成された開口部23の外周に備える鍔部24の形成深さと同じとなっている。このため、端子板30を鍔部24に載置した状態で、端子板30の外側表面は、凹所の底面21と同一平面上に位置する。すなわち、端子板30が凹所の開口部23の外周に配置され固着された状態で、端子31は、凹所の底面21と同じ面に配置されていることになる。また、端子板30に形成された固着突起32は、第1の筐体1の凹所の底面21に形成された固着突起27と同一面上に配置され、その先端部の位置も同じ高さとなる。なお、固着突起27を形成した端子板30の外側表面と、第1の筐体1に形成された凹所の底面21とが同一面上に位置するとは、実際の製品における実用上同じ高さにあるということであり、2つの平面同士が厳密に同一平面を構成する状態のみを示すものではない。
【0029】
図5に示すように、第1の筐体1に形成された凹所の底面21と、端子板30の外側表面とを覆うように、止水部材50が固着される。止水部材50は、蓋体41、42、43が閉塞位置でロックされたときに、防水性および/または防塵性を確保し得るように、所定の弾性を有する部材で形成される。また、止水部材50は、止水部材50の裏面側、すなわち、第1の筐体1と対向する側の面に塗布された接着剤、または、貼着された両面テープなどにより、凹所の底面21と端子板30の外側表面とに固着される。この止水部材50は、端子31に対する防水性を確保できる材料で形成され、例えばシリコーン発泡体で形成することができる。止水部材50は、凹所の底面21と端子板30の外側表面とに接着テープなどで接着した構成とすることができるが、止水部材50と凹所の底面21および端子板30との間から少なくとも液体が進入するのを防ぐため、防水性がある接着手段により接着する。なお、本実施の形態では、止水部材との名称を用いているが、「止水部材」は、その名称に関わりなく水に限らず様々な液体あるいは固体の進入を阻止できる機能まで含む部材を意味する。すなわち、止水部材は、防水性(防液性、防滴性)や防塵性を備えている部材であり、止水部材を用いて端子板30の端子31を蓋体41、42、43で覆うことにより、端子31内部に液体や異物等が進入して、端子31が電気的にショートを起こしてしまうことを防ぐことができる。
【0030】
止水部材50は、3つの端子31a、31b、31cの配置位置に合わせて、3つの端子31a、31b、31cにそれぞれ対応するケーブルのコネクタが装着できるだけの裕度を持って、第1の開口51(51a、51b、51c)が形成されている。また、止水部材50は、端子板30に形成された固着突起32が突出できる2つの第2の開口52が形成され、第1の筐体1の凹所の底面21に形成された2つの固着突起27が突出できる止水部材50の左右両端部にそれぞれ切り欠き53が形成されている。
【0031】
第1の筐体1の側面1bに形成された凹所の底面21と、凹所の底面21に形成された開口部23を塞ぐように固着された端子板30の外側表面とを覆う止水部材50が貼着されることで、図2に示す端子部10が構成される。
【0032】
図6は、ノートパソコンの端子部10の構成を示す要部拡大断面図である。図6は、端子部10に配置された端子板30において、第1の筐体1の上面1aに平行方向(すなわち、図2中の横方向)の中心線部分の断面構成を示している。
【0033】
図6に示すように、端子板30は、第1の筐体1の凹所の底面21に形成された開口部23を塞ぐように、鍔部24上に載置され固着されている。止水部材50は、凹所の底面21と端子板30の外側表面が形成する面を覆うように配置されている。
【0034】
止水部材50に形成された第1の開口51(51a、51b、51c)は、それぞれ対応する端子板30に形成された端子31(31a、31b、31c)に接続されるコネクタの大きさ分の裕度を持って、端子31の大きさよりも少し大面積となるように形成され ている。止水部材50は、第1の筐体1の凹所の底面21と、端子板30との境界部分を覆うように、言い換えると端子板30の外周部分を覆うように配置されている。端子板30に形成した固着突起32は、止水部材50の第2の開口52を貫通し、凹所の底面21に形成した固着突起27は、止水部材50の切り欠き53を貫通し、固着突起32および固着突起27それぞれは底面21から同じ高さに形成されている。
【0035】
図7は、図6における領域Gの部分を示し、第1の筐体1の凹所の底面21と端子板30および止水部材50との配置関係をより詳細に示す要部拡大断面図である。
【0036】
図7に示すように、底面21に形成された開口部23の内部には、一定の形成深さを隔てて鍔部24が形成されている。このため、第1の筐体1と端子板30との境界部は、第1の筐体1の外側(底面21側)に面した部分と端子板30の内部側(開口部23の内部側)に面した部分とで一直線とはならず、第1の筐体1に形成された凹所の底面21に垂直な方向の部分(図7中H部分)と、底面21の面に対して平行方向の部分(図7中I部分)とにより構成され、いわゆるクランク状となっている。そして、第1の筐体1の凹所の底面21と端子板30の外側表面とが同一面内に形成されているため、第1の筐体1と端子板30との境界部分は、確実に止水部材50で覆われている。このように、ノートパソコンの接続部10では、端子板30の外側表面と開口部23が形成された第1の筐体1の底面21の表面とが同一面上にあり、端子板30の外周部分である第1の筐体1との境界部分が止水部材50で覆われている。このため、第1の筐体1の凹所の底面21における開口部23の内径と端子板30の外径との間に、端子板30を交換するためのわずかな隙間があるにもかかわらず、良好な防水性および/または防塵性を確保することができる。したがって、ノートパソコンの端子部10は、高い防水性および/または防塵性を保持しながら、端子31が形成された端子板30を他の種類と交換することで所望の端子を備えることができる。
【0037】
なお、実施の形態では、3つの端子31を含む端子板30を交換することができる端子部10を例示して説明したが、端子部10は、例えば、それぞれが一つの端子を備える端子板を、第1の筐体1の凹所の底面に形成された1または2以上の開口部に交換可能に固着する構成などができる。
【0038】
また、図8に示すように、3つの端子31(31a、31b、31c)を備えた端子板30を、1つの幅広の蓋体61を用いて、3つの端子31を一度に覆う端子部10’の構成とすることもできる。この構成においても、蓋体61は、図2を用いて説明した蓋体41、42、43と同様に、一端部が第1の筐体1に回動可能に固着され、止水部材50’に当接する矩形枠状のリブ61dを備えた蓋部61aと、この蓋部61aに対して変位可能に配置されたスライド部61bとを有している。そして、スライド部61bの先端部に形成された凸部61cと第1の筐体1に形成された凹部26とに係合すると同時に、スライド部61bの側面に形成された係合部61eと第1の筐体1に形成された係合凸部27とに係合することによって、蓋体61を第1の筐体1に対してロック状態とすることができる。
【0039】
また、端子を覆う蓋体として、第1の筐体に一端部が固着された蓋部と、蓋部に対して変位可能なスライド部とを有するものを例示したが、蓋体の形状は上記のものに限られない。端子を覆ってその周囲の止水部材に当接した状態で保持できる構成であれば、蓋体の開閉機構やそのロック機構には、何らの限定もなく、電子機器に求められる防水性および/または防塵性を満たす範囲内において、各種の構成を採用することができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、止水部材50や50’を、シリコーン発泡体で形成したが、少なくとも復元性を有する弾性を有し、液体の進入を防ぐことができる材料であればよい。止水部材50は、防水性および/または防塵性を確保するために、一体材料で形成することができる。止水部材50は、復元性を備える弾性を有する材料として、シリコーンゴム、ニトリルゴム等を用いてもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、シリコーン発泡体で形成された止水部材を備える構成としたが、シリコーン発泡体は一般的に外部からの衝撃に対する耐性はそれほど高くはない。したがって、止水部材の表面に保護膜を設ける構成とすることができる。
【0042】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について説明する。
【0043】
本実施の形態のノートパソコンは、筐体に形成された開口部に交換可能に取り付けられた端子板を備えるが、端子板を覆う蓋体を備えない構成のものである。
【0044】
図9は、本実施の形態にかかるノートパソコンにおける端子部の構成を示す。なお、図9は、実施の形態1において、第1の筐体1に形成された開口部23と、開口部23に取り付けられる端子板30とを説明した図3に相当する図である。
【0045】
図9に示すノートパソコンでは、端子板70に配置された端子71、72が防水性を備え、この端子板70が端子部10”に取り付けられる。
【0046】
図9に示すように、ノートパソコンにおいても、第1の筐体1の側面1bには、底面21”と側面22”とを有する凹所が形成されていて、凹所の底面21”に開口部23”が形成されている。開口部23”の周囲には、凹所の底面21”よりも第1の筐体1の内部側に一段低くなった位置に、開口中心を取り巻くように開口部23”の全周に渡って、開口部23”中心側に突出した鍔部24”が形成されている。鍔部24”の四隅には、ねじ穴25が形成されている。
【0047】
開口部23”を覆うように交換可能に取り付けられる端子板70には、2つの端子71および72が配置されている。本実施の形態の端子板70に配置される端子71および72は、例えばACアダプタ用端子や、拡張コネクタ端子などであり、端子部分からの水の侵入が防がれている防水性を備えた端子である。端子板70の四隅部にはねじ穴73が形成されていて、端子板70のねじ穴73と、第1の筐体1の開口部23”に形成された鍔部24”の四隅に形成されたねじ穴25とを用いている。開口部23”内の鍔部24”上に載置された端子板70は、第1の筐体1の凹所内にねじ74によってねじ止めされる。
【0048】
端子板70と開口部23”の内部に形成された鍔部24”との当接面部分には、第2の止水部材75が配置される。第2の止水部材75は、端子板70において鍔部24”と対向する部分、すなわち、端子板70の裏側表面の周辺部と、鍔部24”の端子板70側の表面との間に挟持されて、端子板70と鍔部24”との間から第1の筐体1の内部に水や埃が進入することを防ぐ。
【0049】
図10は、本実施の形態にかかるノートパソコンの、第1の筐体1の凹所の底面21”と端子板70、止水部材75の配置関係をより詳細に示す要部拡大断面図である。なお、図10は、実施の形態1の説明における図7に相当する図面である。
【0050】
図10に示したように、底面21”に形成された開口部23”の内部は、一定の形成深さを隔てて鍔部24”が開口中心に向かい突出して形成されている。このため、実施の形態1の場合と同様に、第1の筐体1と端子板70との境界部は、第1の筐体1の外側に面した部分と内部側に面した部分とで一直線とはならず、第1の筐体1に形成された凹所の底面21”に垂直な方向と、底面21”の面方向との2つの方向を有する、いわゆるクランク状となっている。そして、本実施の形態にかかるノートパソコンの端子部10では、クランク状となっている第1の筐体1と端子板70とが形成する境界線の内、底面21”の面方向に延在する部分に第2の止水部材75が配置されている。このことで、第1の筐体1の外部と内部とをつなぐ、水や埃の進入路を遮ることができる。このため、第1の筐体1の凹所の底面21”の開口部23”の内径と端子板70の外径との間に、端子板70を交換可能とするために必要な隙間が形成されていても、防水性および/または防塵性を備えたノートパソコンを実現することができる。
【0051】
第2の止水部材75は、両面に接着性を備えたシート部材、例えば両面テープを用いることができる。両面テープであれば、鍔部24”と端子板70との間隙をなくすように作用するために、薄い部材であっても所定の防水性を実現することができる。また、第2の止水部材75として、実施の形態1での止水部材50と同様に、防水性を確保できる材料であるシリコーン発泡体のシートなどを用いることもできる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態のノートパソコンにおいても、端子71、72が形成された端子板70を交換することで、所望の端子を備えることができる拡張性を有するとともに、端子部10”での高い防水性、防塵性を実現することができる。
【0053】
なお、図9および図10においては、本実施の形態では蓋体を備えないため、第1の筐体1に形成された蓋体をロック状態で保持するための凹部26や固着突起27が形成されていない状態の構成を示した。しかし、例えば蓋体をねじ止め等によって第1の筐体1に固着することができる場合のように、不要であれば蓋体を容易に取り外すことができる構成の場合には、開口部23”に配置される端子板70として、実施の形態1で説明した蓋体で覆われて防水性を得ることができる端子を備えた端子板30と、本実施の形態で説明した防水性を備えた端子を備えた端子板70とをいずれも使用可能とするために、凹部26や固着突起27を第1の筐体1に形成しておいてもよい。この場合には、幅広いバリエーションの中から所望の端子を備えた電子機器を得ることができ、非常に高い拡張性を実現することができる。
【0054】
以上の2つの実施の形態の説明において、端子板30、70を固着する開口部23、23”を、第1の筐体1の側面1bに形成された凹所の底面21、21”に設けたものを例示したが、端子板30、70を固着する開口部23、23”は、凹所を設けずに第1の筐体1の側面1bに設けてもよいし、第1の筐体を構成する他の面に設けてもよい。
【0055】
また、開口部の形状、すなわち端子板の外形形状を、角部がわずかに曲線で接続された略矩形状の構成として示したが、端子板の形状は、形成される端子の大きさや形状、端子板上の配置位置、さらには、第1の筐体内の他の電子デバイスの配置状態などに応じて、適宜所望の形状とすることができる。さらに、開口部の内部に形成される鍔部として、突出幅が開口の内周の全てでほぼ同じものとして示したが、鍔部の突出幅は、開口部の周方向において均一なものに限られず、端子板の形状や端子板の裏側に突出する端子の形状、さらには、第1の筐体内部に配置される他の電子デバイスとの干渉を防止する観点から、適宜定めることができる。この場合において、開口部の内側の全周において鍔部が形成させることができるが、第1の筐体1内部の他の電子デバイスとの干渉などが原因で全周に形成できない場合には、その部分で防水性および/または防塵性が損なわれない範囲内において、わずかに鍔部が形成されない部分を設けることもできる。
【0056】
また、以上2つの実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくとも筐体に形成された開口部と、この開口部に交換可能に取り付けられた端子板と、端子板の端子を覆う蓋体を備えた機器であればよい。例えば、携帯電話端末、携帯型ゲーム機、デジタルカメラ、その他ポータブルナビゲーションその他の電子機器に搭載される各種端子に適用可能である。
【0057】
本開示にかかる電子機器は、筐体と、筐体に形成された開口部に交換可能に取り付けられた端子板と、端子板に形成された端子の周囲に配された止水部材とを備え、開口部の内部に、開口中心を取り巻いて開口中心に向かって突出した鍔部が形成され、端子板が鍔部に載置されたとき、端子板の外側表面が、開口部が形成された部分の筐体の表面と同一面上に位置する。
【0058】
本開示の電子機器は、端子が形成された端子板が筐体の開口部に交換可能に取り付けられているため、使用者が必要に応じて選択した端子を電子機器に装備させることができる。また、端子板を開口部の内部に開口中心を取り巻いて形成された鍔部に載置したときに、端子板の外側表面が筐体の表面と同一面上に位置しているため、端子板の外側に止水部材を配して蓋体で端子を覆う構成とする場合も、端子板の内側に止水部材を配する場合においても、着脱可能に形成したために生じる端子板の周囲部分の隙間から、筐体内部に水などが入り込むことを防止でき、拡張性と、防水性および/または防塵性とを備えることができる。
【0059】
また、上記の電子機器において、端子板に形成された端子を覆い、止水部材に当接した状態で保持される蓋体をさらに備え、止水部材が端子板の外周部分を覆うことができる。このようにすることで、蓋体が当接する止水部材が、端子板と筐体との境界部分を覆うことができるので、高い防水性および/または防塵性を得ることができる。
【0060】
また、蓋体は、一端部が筐体に固着されるとともに止水部材と当接する蓋部と、蓋部に対して一端部から遠ざかる方向および一端部に近づく方向に変位可能なスライド部とを有し、スライド部が一端部から遠ざかる方向に変位して、蓋体が止水部材に当接した状態で保持される。このようにすることで、蓋体を回動させてスライド部をスライドさせるという一連の動作で、蓋体を止水部材に当接させた状態で保持でき、端子部の防水性および/または防塵性を確保することができる。
【0061】
さらに、止水部材は、開口部の内部に形成された鍔部と、端子板の前記鍔部に対向する部分との間に配置されている構成もできる。このようにすることで、筐体と端子板との境界部分からの水などの進入を効果的に防止することができる。
【0062】
この場合において、止水部材が、両面に接着性を備えたシート部材である構成もできる。
【0063】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0064】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0065】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示の電子機器は、所望の端子が形成された端子板を交換可能に取り付けることができる各種の機器に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 第1の筐体(筐体)
21 底面(開口部が形成された部分の筐体の表面)
23 開口部
24 鍔部
30 端子板
31(31a、31b、31c) 端子
41、42、43 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に形成された開口部に交換可能に取り付けられた端子板と、
前記端子板に形成された端子の周囲に配された止水部材とを備え、
前記開口部の内部に、開口中心を取り巻いて前記開口中心に向かって突出した鍔部が形成され、前記端子板が前記鍔部に載置されたとき、前記端子板の外側表面が、前記開口部が形成された部分の前記筐体の表面と同一面上に位置することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記端子板に形成された端子を覆い、前記止水部材に当接した状態で保持される蓋体をさらに備え、前記止水部材が前記端子板の外周部分を覆っている請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記蓋体は、一端部が前記筐体に固着されるとともに前記止水部材と当接する蓋部と、前記蓋部に対して前記一端部から遠ざかる方向および前記一端部に近づく方向に変位可能なスライド部とを有し、前記スライド部が前記一端部から遠ざかる方向に変位して、前記蓋体が前記止水部材に当接した状態で保持される請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記止水部材は、前記開口部の内部に形成された鍔部と、前記端子板の前記鍔部に対向する部分との間に配置されている請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記止水部材が、両面に接着性を備えたシート部材である請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−61930(P2013−61930A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159741(P2012−159741)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)