説明

電子機器

【課題】 この電子機器は無線電力伝送手段を備えた電子機器において、磁性体を用いることなくコイルを機器に内蔵可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】 この電子機器は、電子部品を内蔵する第1筐体と、前記第1筐体との共有面となる第1面、前記第1面に対して角度を持つ第2面、および前記第2面に対して角度を持つ第3面とを有する第2筐体と、前記第2面および前記第3面のそれぞれに面する部分に内蔵される電力伝送用コイルとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線電力伝送を用いた電子機器に関する。

【背景技術】
【0002】
電子機器のモバイル化が進み、それとともに、電源の軽量化が求められている。従来モバイル機器のような電子機器の電源は、リチウム二次電池などのような電池が広く用いられているが、大容量の電力を必要とする電子機器においては、電池の重量が大きくなり、可搬性に支障が生じるようになった。
【0003】
また、電池を内蔵する電子機器において、電池を充電する際には、通常電源コネクタを接続して、電力を伝送しているが、電源コネクタは、小型化することには限界があり、電子機器小型化の隘路となっている。さらに、電源コネクタは、電子機器の機種ごとにその設計形状が異なっており、汎用性がなかった。
【0004】
そこで、電源コネクタを用いることなく、電力をモバイル機器に供給する手法として、無線電力伝送技術に関心が集まっている。この無線電力伝送技術は、電子機器筐体内に、コイルと磁性体からなる受電手段を配置し、電子機器筐体の近傍に配置されるコイルなどの送電手段によって電力を伝送するものである。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−239848
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の無線電力伝送装置を有する電子機器においては、コイルを機器に内蔵する場合に磁性体を用いるために、電力損失が発生してしまう課題があった。
【0007】
この実施の形態は、磁性体を用いることなくコイルを機器に内蔵可能な無線電力伝送装置を有する電子機器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態の電子機器は、電子部品を内蔵する第1筐体と、前記第1筐体との共有面となる第1面、前記第1面に対して角度を持つ第2面、および前記第2面に対して角度を持つ第3面とを有する第2筐体と、前記第2面および前記第3面のそれぞれに面する部分に内蔵される電力伝送用コイルと、を有することを特徴とする。

【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の無線電力伝送装置を説明するための図
【図2】電力伝送用コイルの変形例を説明する図
【図3】実施例4の無線電力伝送装置を説明するための構成
【図4】第2の筐体に内蔵可能な導体部品の変形例を説明するための図
【図5】円形スパイラルアンテナを説明するための図
【図6】方円形スパイラルアンテナを説明するための図
【図7】ケーブルを含む電力伝送コイルを説明するための図
【図8】プリンタへ本発明を適用する場合の構成を説明するめの図
【図9】空気清浄機へ本発明を適用する場合の構成を説明するめの図
【図10】掃除機へ本発明を適用する場合の構成を説明するめの図
【図11】電気自動車へ本発明を適用する場合の構成を説明するめの図
【図12】第2の筐体へ絶縁体が内蔵されない変形例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来の無線電力伝送技術においては、上述のように、コイルと磁性体からなる受電手段を電子機器の筐体内に配置している。
この技術によれば、コイルの近傍に磁性体を配置することで、磁力線の形状が変化する。磁力線の形状が変化することで、磁力線の少なくなった場所へ導体部品が配置された場合に渦電流の発生が抑圧される。
渦電流ではエネルギーの損失が発生するので、渦電流の発生が抑圧されると、伝送効率を高くすることができる。このように従来技術を使えば、コイルを機器に内蔵する場合に、機器内の電子部品などの導体部品のある場所への磁力線を少なくするように磁性体を配置すれば、高効率に無線電力伝送が可能となる。
【0011】
しかし、従来の無線電力伝送装置では、磁性体を用いるために、磁性体による損失が発生する課題があった。また、磁性体のコストと重量が増加してしまう課題があった。特に、コイルを内蔵する機器がノートパソコンや携帯電話に代表されるモバイル機器や、電気自動車、電動オートバイ、電動アシストつき自転車に代表される移動体の場合に、重量が増加してしまう問題が大きくなってしまう。
【0012】
本実施の形態の電子機器は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであって、従来では困難だった磁性体を用いないでコイルを機器に内蔵可能な無線電力伝送装置を提供することを目的とする。
【0013】
この実施の形態の電子機器は、電子部品を内蔵する第1筐体と、前記第1筐体との共有面となる第1面、前記第1面に対して角度を持つ第2面、および前記第2面に対して角度を持つ第3面とを有する第2筐体と、前記第2面および前記第3面のそれぞれに面する部分に内蔵される電力伝送用コイルと、を有することを特徴とする。
このような装置とすることによって、電力伝送用コイルによって磁力線の形状が制御され、電子部品との結合が小さくなり、高効率無線電力伝送が可能となる。
【0014】
前記実施の形態の電子機器において、第1筐体の第1面、第2面及び第2筐体の第3面は、相互に角度を持って接するように配置しているが、この「角度を持つ」という用語は、これらの面が単一平面上を形成することなく接している状態を意味している。最も好ましい態様は、2つの面が直交して接している状態である。
【0015】
本実施の形態の電子機器は、この電子機器の筐体外に配置された送電コイルによって形成される磁力線によって電力を受電するが、この磁力線が、受電側の複数の電力伝送用コイル内を通過するよう、電力伝送用コイルを配置することが好ましい。このためには、複数の電力伝送用コイルは、これらのコイルの中心が、磁力線に相当する円の円弧上に位置し、コイル平面の中心近傍を磁力線が直交するように配置されていることが望ましい。

【0016】
前記第1の実施の形態の電子機器において、前記第1面は導体で構成され、前記第1筐体に内蔵される前記電子部品の等価導電率に比べて前記第1面を構成する導体の導電率は大きくすることが好ましい。これによって、電子部品に比べて損失の小さい導電率の第1面で電子部品のほうへ漏れた磁力線をさらに制限し、電子部品と磁力線の結合を小さくし、高効率伝送する。
【0017】
また、前記第1の実施の形態の電子機器において、前記第1面は絶縁体で構成することが好ましい。これによって、電子部品の方へ漏れた磁力線がある場合に、共有面と磁力線の結合による損失を小さくすることが可能になる。
【0018】
さらに、前記実施の形態の電子機器において、前記第2面と前記第3面は、それぞれ絶縁体で構成することが好ましい。
これによって、第2面、第3面を磁力線が通過するが、この通過による損失が小さくなる。
【0019】
さらに、前記実施の形態の電子機器において、前記電力伝送用コイルの巻き軸は、前記第2面と前記第3面に対してそれぞれ垂直になっていることが好ましい。
これによって、第2の筐体の内部の空間を広くすることが可能となる。
【0020】
さらに前記実施の形態の電子機器において、電子機器内に配置する導体部品としては、前記電力伝送コイルで送信、あるいは、受信する周波数と異なる共振周波数を有する導体部品を採用することが好ましい。
これによって、筐体2に内蔵可能な部品が増えるため、筐体1の小形化が可能になる。
【0021】
さらに、前記実施の形態の電子機器において、任意の角度から光を当てたときに、投影平面に形成される影の面積が前記電力伝送コイルの面積よりも小さい導体部品を前記第2筐体に内蔵することが好ましい。
これによって、筐体2に内蔵可能な部品が増えるため、筐体1の小形化が可能になる。
【0022】
さらに、前記実施の形態の電子機器において、複数の前記導体部品を前記第2筐体に内蔵することが好ましい。
これによって、筐体2に内蔵可能な部品がさらに増えるため、筐体1のさらなる小形化が可能になる。
【0023】
さらに前記実施の形態の電子機器において、前記電力伝送コイルは、自己共振コイルで構成されることが好ましい。
これによって、電力伝送コイル間の距離を大きく離すことが可能になるので、コイルの設置場所の自由度が増す。
【0024】
さらに前記実施の形態の電子機器において、前記電力伝送コイルのうちのひとつは前記第1筐体に内蔵される前記電子部品と接続されるケーブルを含むことが好ましい。
これによって、電力伝送コイルはお互いに結合するので、一方のコイルのみを受電回路を有する電子部品に接続すればよく、電子装置の低コスト化が可能になる。
【0025】
さらに前記実施の形態の電子機器において、前記電力伝送コイルのうちのひとつは前記第2筐体に内蔵される前記導体部品と接続されるケーブルを含むことが好ましい。
これによって、電力伝送コイルはお互いに結合するので、一方のコイルのみを受電回路を有する導体部品に接続すればよく、電子装置の低コスト化が可能になる。
【0026】
さらに前記実施の形態の電子機器の一例として、前記第2筐体にロール紙を内蔵したハンディプリンタ装置に適用した装置が挙げられる。これによって、ハンディプリンタへの無線電力伝送が可能となる。

【実施例】
【0027】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
(実施例1)
本発明の実施例1に係る無線電力伝送装置を有する電子機器を説明する。実施例1では、ハンディプリンタを対象とする。図1に示すように、電子部品101と印刷部品102を内蔵する第1筐体103と、ロール紙104を内蔵する第2筐体105が連結して構成される。そして、第2筐体は、第1筐体との共有面となる第1面106を有する。さらに、第1面に対して角度を持つ第2面107、および第2面に対して角度を持つ第3面108を有する。そして、第2面および第3面のそれぞれに面する部分に電力伝送用コイル109が内蔵される。このようにハンディプリンタを構成することで、ハンディプリンタへ電力伝送用コイルを内蔵するときに、磁性体を用いないで高効率に無線電力伝送が可能となる。
【0029】
はじめに各部分についての説明をおこない、次に、本実施例の効果について説明する。
【0030】
第1筐体103は、電子部品101と印刷部品102を内蔵する。ここで、電子部品とは、印刷部品を動作させるためのバッテリー、あるいは、電源回路であってもよい。また、印刷データをパソコンなどから受信し、受信した印刷データを印刷部品へ伝達する機能を有する電子部品が実装された回路基板であってもよい。また、印刷データを取得するカメラ、バーコードリーダ、RFIDの読み書き装置であってもよい。任意の電子部品である。また、印刷部品は、プリンタヘッドやインクなどから構成され、印刷するための機能を有する部品である。
【0031】
第2筐体105は、ロール紙104を内蔵する。このロール紙は第1筐体の印刷部品で用いられる。ここで、ロール紙は、単なる紙だけであってもよい。あるいは、あらかじめ、文字や線などが印刷されている用紙であってもよい。あるいは、シール状になっていて、印刷後にシールとして活用できるようになっていてもよい。
【0032】
この第1筐体103と第2筐体105が連結してハンディプリンタは構成されるが、連結時の共有部分に第1面106を有する。そして、第1面と角度を有する第2面107を有する。さらに、第2面に対して角度を有する第3面108を有する。それぞれの面は任意の形状でよい。
【0033】
第2面および第3面のそれぞれに面する部分に電力伝送用コイル109が内蔵される。電力伝送用コイルは、導体がコイル状に巻かれたものである。ここで導体とは、1本の線で構成されていてもよいし、複数の線を束ねてもよいし、複数の絶縁された線を束ねたリッツ線であってもよい。
【0034】
また、コイルの形状は、平面状に巻かれていてもよいし、立体的に巻かれていてもよい。また、円形、楕円形、長方形、6角形、など任意の外形を有する巻き方でよい。
そして、電力伝送用コイルは第2面と第3面のそれぞれに面する部分に内蔵される。
【0035】
次に本実施例の効果について説明する。
【0036】
図1に示すようにハンディプリンタの下側に送電コイル110がある場合を想定する。ここで、送電コイルには、図示していないが、高周波電源などの送電回路が接続される。この高周波電源が出力する高周波エネルギーがコイルに入力される。高周波エネルギーがコイルに入力されると、コイルに電流が流れ、この電流によって空間に磁力線が形成される。図1に本実施例の磁力線を示す。
【0037】
本実施例においては、送電コイルで生成された磁力線111は第2面に内蔵される電力伝送用コイルを通り、第3面に内蔵される電力伝送用コイルを通る。そして、送電コイルに戻る。このように、磁力線が形成されると、電力伝送用コイルに電流が流れ、エネルギーが伝送されることとなる。本実施例では、図1に示すような磁力線で電力伝送がおこなわれる。
【0038】
ここで、図1のような磁力線となるので、電子部品を内蔵する第1筐体への磁力線の漏れを小さくすることが可能となっている。この結果、電子部品を有するハンディプリンタへも磁性体を用いないで電力伝送が可能となる。また、第2筐体に内蔵されるロール紙と磁力線は同一の筐体内にある。しかし、ロール紙のような絶縁体では渦電流の発生は小さく、伝送効率の劣化を小さくすることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施例におけるハンディプリンタにおいては、第2筐体の第2面と第3面に電力伝送用コイルを内蔵することで、磁力線の形状を制御することが可能となるので、磁性体を使わないでも高効率に無線電力伝送が可能となる。
なお、本実施例は前記に限らず、第2筐体に絶縁体部品が内蔵される種々の機器へ適用することが可能である。
【0040】
(実施例2)
本発明の実施例2に係る無線電力伝送装置を有するハンディプリンタを説明する。本実施例においては、第1面を導体で構成する。そして、第1筐体に内蔵される電子部品の等価導電率に比べて第1面を構成する導体の導電率は大きいことを特徴とする。このようにすることで伝送効率を高くすることが可能となる。
【0041】
ここでは、図1に示したように、磁力線が第2筐体に制限されずに、第1筐体へ漏れる場合を考える。この場合、第1筐体へ漏れた磁力線によって、第1筐体に内蔵される電子部品に渦電流が発生し、伝送効率が劣化する。そこで、共有面である第1面を導体で構成する。第1面を導体で構成すると、導体によって磁力線がさえぎられ、第1筐体に内蔵される電子部品での損失が削減される。
【0042】
しかし、第1面には渦電流が発生するため、伝送効率が劣化する。本実施例では、第1面に流れる渦電流による損失を小さくするために、第1面の導電率を第1筐体に内蔵される電子部品の等価導電率に比べて大きくしている。ここで、第1筐体に内蔵される電子部品とは、第1筐体に内蔵される全ての部品である。そして、等価導電率とは、異なる導電率の部品が混ざっている場合、平均化した導電率を意味している。
導体に流れる渦電流の振幅を同一条件とした場合、導体の導電率は損失に比例する。したがって、本実施例では、渦電流の流れる導体の導電率が大きいために、損失が小さく、高効率な無線電力伝送が可能となっている。
【0043】
以上説明したように、本実施例においては、共有面である第1筐体を導体で構成し、この導体の導電率を第1筐体に内蔵される電子部品の等価導電率よりも大きくすることで、第1筐体へ漏れる磁力線による損失を改善し、高効率な無線電力伝送が可能となっている。
【0044】
なお、等価導電率と共有面の導電率の大小は、次のように比較することが可能である。第1に、第1筐体に内蔵される電子部品の全てを用意する。次にコイルを使った無線電力伝送をおこなうが、この間に第1筐体に内蔵される電子部品を挟んで伝送効率を測定する。この効率をη(電子部品)とする。次に、第1筐体に内蔵される電子部品と同一形状であり、第1面と同一種類の導体をコイルの間に挟んだ場合の伝送効率を測定する。この効率をη(導体)とする。η(電子部品)<η(導体)であれば、導体の導電率が電子部品の等価的な導電率より高いこととなる。
【0045】
(実施例3)
本発明の実施例3に係る無線電力伝送装置を有するハンディプリンタを説明する。本実施例においては、第1面を絶縁体で構成する。このようにすることで伝送効率を高くすることが可能となる。
【0046】
第2の実施例と同様に、第1筐体へ磁力線が漏れる場合がある。この場合に、第1面を絶縁体で構成することで、第1面に生じる渦電流を削減することが可能となる。この結果、エネルギーの損失が削減され、高効率な無線電力伝送が可能となる。
【0047】
ここで、絶縁体とは、発泡スチロールやプラスチックなどで構成されてもよい。あるいは、空気で構成してもよい。
【0048】
このように、本実施例においては、第1面を絶縁体で構成しているので、第1筐体へ漏れる磁力線が第1面に作る渦電流が削減され、高効率な無線電力伝送が可能となる。
【0049】
以下、電力伝送用コイルの変形例を示す。図2は、第2面202に面する部分に内蔵される電力伝送用コイル203である。このコイルは、コイルの巻き軸201が第2面202に垂直になっている。このようにコイルを配置することで、第2筐体の内部空間を大きくすることが可能である。その結果、より大きなロール紙を第2筐体に内蔵することが可能となる。
【0050】
(実施例4)
本発明の実施例4を説明する。図3に示すように、電力伝送コイルで送信、あるいは、受信する周波数と異なる共振周波数を有する導体部品303を前記第2筐体に内蔵することを特徴とする。このような導体部品を第2筐体に入れることが可能になるので、第1筐体の小形化が可能となる。
【0051】
第2筐体に導体部品がある場合、導体部品に渦電流が流れ、損失が発生する。この渦電流は、導体部品が電波の波長で共振する場合にもっとも影響が大きくなる。つまり、共振する導体以外であれば、実用上問題のない場合がある。
共振する導体の例であるが、例えば直線状の棒の長さが2分の1波長の場合。また、2分の1波長の整数倍の場合。平面状の板であって、その平面の外周が1波長場合。また、1波長+0.5波長の整数倍の場合。また、複雑な形状の場合でもよい。ここで波長とは、無線電力伝送の伝送に用いる周波数での波長である。
【0052】
以上説明したように、このような導体部品を第2筐体に内蔵することが可能である。
【0053】
(変形例)
以下、第2の筐体に内蔵可能な導体部品の変形例を説明する。図4に示すように、任意の角度から光源404を使って光を当てたときに、投影平面401に形成される影402の面積が電力伝送コイル405の面積406よりも小さい導体部品403を第2筐体に内蔵してもよい。
【0054】
また、共振周波数が伝送周波数と異なる導体部品、電力伝送コイルの面積よりも面積の小さい導体部品を組み合わせて、また、複数第2筐体に内蔵してもよい。このように、第2筐体に部品を数多く内蔵することで、第1筐体へ内蔵すべき部品が少なくなり、第1筐体の小形化が可能となる。
【0055】
以下、電力伝送コイルの変形例を説明する。図5に示すように、円形スパイラルアンテナ501の形状をした自己共振コイルで構成されてもよい。または、図6に示すように、方形スパイラルアンテナ601の形状をした自己共振コイルで構成されてもよい。このような自己共振コイルを用いることで、伝送距離を長くすることが可能となり、電力伝送コイルの設置場所の自由度が改善される。
【0056】
また、図7に示すように、電力伝送コイル707のうちのひとつは第1筐体702に内蔵される電子部品701と接続されるケーブル708を含むようにしてもよい。電力伝送コイルはお互いに結合するので、一方のコイルのみを受電回路を有する電子部品に接続すればよく、電子装置の低コスト化が可能になる。
【0057】
また、電力伝送コイルのうちのひとつは第2筐体に内蔵される導体部品と接続されるケーブルを含むようにしてもよい。電力伝送コイルはお互いに結合するので、一方のコイルのみを受電回路を有する導体部品に接続すればよく、電子装置の低コスト化が可能になる。
【0058】
以下、第1筐体と第2筐体の変形例を示す。図8は、プリンタの例である。第1筐体802に電子部品801が内蔵され、第2筐体804に紙803が収納される。
【0059】
図9は、空気清浄機の例である。第1筐体902に電子部品901が内蔵され、第2筐体904にフィルター903が内蔵される。
【0060】
図10は、掃除機の例である。第1筐体1002にモータなどの電子部品1001が内蔵され、第2筐体1003は塵や埃などのごみが入るごみ収集部である。
【0061】
図11は、電気自動車の例である。第1筐体1102にモータなどの電子部品1101が内蔵される。この電気自動車の車体は樹脂で構成されており、内蔵したコイルへの電力伝送が可能である。
【0062】
図12は、第2筐体1203に絶縁体が内蔵されない場合の構成である。このように、何も内蔵しない場合には、効率劣化が極めて小さく、高効率な無線電力伝送が可能となる。
【0063】
なお、前記の説明では、電子機器が電力を受電する場合で説明してきたが、逆に、電子機器が電力を送信する場合にも同様に適用することができる。
【0064】
なお、前記の発明は無線電力伝送以外の用途であっても利用することが出来る。例えば、伝送する高周波を変調することで無線通信をおこなうことができる。この場合には、送受信のハードウエアとして無線通信用を利用すればよい。
【0065】
以上、種々説明した実施の形態によれば、無線電力伝送手段において、磁性体による電力損失を防止し、さらに、電子機器の軽量化、低コスト化、大電力化、共振周波数の制御、コイルの薄型化などを実現することが出来る。
【0066】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

【符号の説明】
【0068】
101…電子部品
102…印刷部品
103…第1筐体
104…ロール紙
105…第2筐体
106…第1面
107…第2面
108…第3面
109…電力伝送用コイル
110…送電コイル
111…磁力線
201…巻き軸
202…第2面
203…第2面
301…電子部品
302…第1筐体
303…導体部品
304…第2筐体
305…第1面
306…第2面
307…第3面
308…電力伝送用コイル
401…陰の投影平面
402…導体部品の陰
403…導体部品
404…光源
405…電力伝送用コイル
406…電力伝送用コイルの面積
501…円形平面スパイラルアンテナ
601…方形平面スパイラルアンテナ
701…電子部品
702…第1筐体
703…第2筐体
704…第1面
705…第2面
706…第3面
707…電力伝送用コイル
801…電子部品
802…第1筐体
803…紙
804…第2筐体
805…第1面
806…第2面
807…第3面
808…電力伝送用コイル
901…電子部品
902…第1筐体
903…フィルター
904…第2筐体
905…第1面
906…第2面
907…第3面
908…電力伝送用コイル
1001…電子部品
1002…第1筐体
1003…第2筐体(ごみ収集部)
1004…第1面
1005…第2面
1006…第3面
1007…電力伝送用コイル
1101…電子部品
1102…第1筐体
1103…第2筐体
1104…第1面
1105…第2面
1106…第3面
1107…電力伝送用コイル
1201…電子部品
1202…第1筐体
1203…第2筐体
1204…第1面
1205…第2面
1206…第3面
1207…電力伝送用コイル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を内蔵する第1筐体と、
前記第1筐体との共有面となる第1面、前記第1面に対して角度を持つ第2面、および前記第2面に対して角度を持つ第3面とを有する第2筐体と、
前記第2面および前記第3面のそれぞれに面する部分に内蔵される電力伝送用コイルと、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1面は導体で構成され、前記第1筐体に内蔵される前記電子部品の等価導電率に比べて前記第1面を構成する導体の導電率は大きいことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1面は絶縁体で構成されることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
前記第2面と前記第3面は、それぞれ絶縁体で構成されることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項5】
前記電力伝送用コイルの巻き軸は、前記第2面と前記第3面に対してそれぞれ垂直になっていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項6】
前記電力伝送コイルで送信、あるいは、受信する周波数と異なる共振周波数を有する導体部品を前記第2筐体に内蔵することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項7】
任意の角度から光を当てたときに、投影平面に形成される影の面積が前記電力伝送コイルの面積よりも小さい導体部品を前記第2筐体に内蔵することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項8】
複数の前記導体部品を前記第2筐体に内蔵することを特徴とする請求項7記載の電子装置。
【請求項9】
前記電力伝送コイルは、自己共振コイルで構成されることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項10】
前記電力伝送コイルのうちのひとつは前記第1筐体に内蔵される前記電子部品と接続されるケーブルを含むことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項11】
前記電力伝送コイルのうちのひとつは前記第2筐体に内蔵される前記導体部品と接続されるケーブルを含むことを特徴とする請求項6記載の電子装置。
【請求項12】
前記第2筐体にロール紙が内蔵されることを特徴とする請求項1記載のハンディプリンタ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−74740(P2013−74740A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212526(P2011−212526)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)