説明

電子爆破カプセル

【課題】不慮の発火の可能性を低減した爆破カプセルを提供する。
【解決手段】推進剤を含むハウジングと、信管(18)と、カプセル供給路内のハウジングの位置を検出するためのセンサと、外部エネルギー源からエネルギーを得るためのエネルギー設備と、センサおよびエネルギー設備に応答する信管(18)を作動させて、推進剤を爆発させるための制御装置(66)とを備える電子爆破カプセル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子爆破カプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1である明細書には、岩の表面に穴を開けるために、ドリルロッドに取り付けられたドリルビットを使用するドリル装置が開示されている。ドリルロッドおよびドリルビットを、穴の中に入れた状態で現場に残し、加圧源を用いて、ドリルロットおよびドリルビット内の通路に沿って推進剤カートリッジを移送する。ある状況では、カートリッジを穴の壁に衝当させることによって、カートリッジを爆発させる。しかし、この方法は、やや信頼性に欠ける。
【0003】
ミサイル、砲弾、および他の放射体に関する技術分野では、マイクロ波または他の適当な電磁エネルギー源を用いて、放射体の信管にエネルギーを伝達することが知られている。特許文献2には、電子信管の設定およびその動作を監視するために、砲弾と制御位置との間で双方向通信が記載されている。特許文献3には、放射された信号を受け取るための電子回路を備えた放射体信管が開示されている。放射体信管は、制御回路の動作を変更する起爆リンクを備えている。放射体は、人工知能を搭載しておらず、放射体を爆発させる際には、この起爆リンクを作動させる。また、特許文献4には、遠隔マイクロ波源によって設定される放射体内の信管に関して記載されている。制御位置から放射体への一方向通信が確立されており、信管に関連した回路が、データを受信できるようにバイアスされている。
【0004】
特許文献5に記載の発明では、電磁誘導技術を利用して、タイミング回路以外の人工知能を搭載していない放射体上のタイミング回路に信号を送信するようになっている。特許文献6にも、同様に磁気誘導を利用し、適当な誘導リンクの構成が開示されている。
【0005】
特許文献7には、放射体又はミサイルの遠隔起爆が開示されている。タイミング機構をプログラムまたは動作させるために、放射体との光通信が確立されている。特許文献8には、電磁結合ではなくRF信号を利用して放射体との一方向通信を確立するシステムが開示されている。
【0006】
これに関連した従来技術を代表する他の特許文献の例として、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、米特許文献16、および特許文献17を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/000037号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4495851号明細書
【特許文献3】米国特許第4237789号号明細書
【特許文献4】米国特許第4144815号号明細書
【特許文献5】米国特許第4160416号号明細書
【特許文献6】米国特許第4300452号号明細書
【特許文献7】米国特許第4632031号号明細書
【特許文献8】米国特許第3760732号号明細書
【特許文献9】欧州特許第1559986号
【特許文献10】欧州特許第134298号
【特許文献11】米国特許第6760992号
【特許文献12】国際公開第2006055953号
【特許文献13】欧州特許第235478号
【特許文献14】国際公開第20060702039号
【特許文献15】ドイツ特許第4302009号
【特許文献16】米国特許第6543362号
【特許文献17】欧州特許第1126233号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した従来の文献に記載されている技術は、安全かつ確実に作動させることができ、かつ上記タイプのドリル装置での使用に適した爆破カプセルに使用するのには適していない。本発明の目的は、不慮の発火の可能性を低減した、このタイプのカプセルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子爆破カプセルを提供するものである。電子爆破カプセルは、カートリッジと、このカートリッジ内の推進剤と、起爆装置と、エネルギー貯蔵設備と、カプセルが所定の経路に沿って移動する際に、このカプセルの位置によって信号を生成するためのセンサと、信号に応答して、起爆装置を作動させて推進剤を発火させるために、エネルギー貯蔵設備からのエネルギーの供給を制御する制御装置とを備えている。
【0010】
カプセルは、起爆装置を作動させるために、制御された条件下で、制御装置によって閉じられる電子スイッチを備えることがある。
【0011】
エネルギー貯蔵設備は、制御装置に電力を供給すると共に、起爆装置を作動させるためにエネルギーを供給するエネルギー貯蔵装置をさらに備えることがある。エネルギー貯蔵装置は、コンデンサを備えることがある。
【0012】
カプセルは、エネルギー貯蔵設備にエネルギーを送るために用いられるエネルギー受取り装置を備えることがある。エネルギー受取り装置は、任意の適当な方法で機能することができる。好適な実施形態では、エネルギー受取り装置は、エネルギー貯蔵設備に送られるエネルギーを得るために外部エネルギー源に誘導的に結合される。好ましくは、外部エネルギー源1サイクル当たり、エネルギー受取り装置に送られるエネルギーの量を制限する。
【0013】
従って、適当な信管とすることができる起爆装置は、外部エネルギー源から送られるエネルギーによってのみ作動する。
【0014】
センサは、任意の適当な種類、例えば、誘導性または容量性センサとすることができる。センサは、任意の外部マーカー、材料、または物体に応答することができる。好ましくは、1または複数のマーカーは、所定の経路の一部を構成するように、この経路に形成され、センサが、少なくともこのようなマーカーに応答する。
【0015】
カプセルは、このカプセルが経路に沿って移動する前に、所定の経路に関連したデジタルデータを格納するメモリをさらに備えることができる。このようなデータは、少なくとも、経路における1または複数の特定の位置を示す情報を含むことができる。また、カプセルを使用する位置を特定するデータも、メモリに格納することができる。
【0016】
センサによって生成される信号を、メモリに格納されたデータと比較して、カプセルの使用の有効性を確認し、制御装置の動作の確認および制御を行うことができる。
【0017】
カプセルは、特定の性質の信号がセンサによって生成されてから、所定の時間に起爆装置を作動させるためにタイマを備えることができる。
【0018】
制御装置は、カプセルが所定の時間を超えて所定の経路に存在する場合、または所定の時間内に経路の特定の地点に達しない場合、起爆装置の作動を防止することができる。
【0019】
本発明はまた、爆破設備も提供するものである。この爆破設備は、ドリル装置と、このドリル装置に連結されたドリルロッドおよびドリルビットと、カートリッジをドリルロッドおよびドリルビットの通路内を移送するための加圧源と、外部エネルギー源を備えた外部制御ユニットとを備えており、この外部制御ユニットを用いて、少なくとも計時情報をカプセルに送って、カプセルの爆発を制御するようになっている。
【0020】
また、外部制御ユニットは、カプセルの爆発のためにカプセルにエネルギーを伝達するために用いることもできる。
【0021】
添付の図面を参照しながら、一例をあげて、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるカプセルの物理的構造を例示する側面図。
【図2】ロックドリルシャンクに進入する図1のカプセルを示す断面図。
【図3】外部制御ユニットに結合される、カプセル内に用いられる電子回路の回路図。
【図4】本発明のカプセルに用いる制御装置に関連した構成要素のブロック図。
【図5】本発明の爆破カプセルの動作の制御において実行される動作のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、本発明の理解に必要と思われる程度まで、開示内容を本明細書に組み入れている特許文献1に記載されている技術に関するものである。本発明の内容は、上記国際特許出願の明細書に記載されているが、これは単なる例であって限定するものではないことを理解されたい。従って、本発明の原理は、他の用途にも用いることができる。
【0024】
上記国際出願の明細書に開示されている発明では、ロックドリルを用いて、岩の表面に穴を開ける。次いで、推進剤カートリッジを、カートリッジマガジンから、ドリルシャンク内の通路に沿ってドリルビット内の通路に至るカートリッジ供給路に沿って移送する。カートリッジは、水流によって移送される。水流速度は高いので、カートリッジは、ドリルビット内の制限位置で起爆または発火装置に衝突する。衝突すると、カートリッジは爆発する。ドリル穴にある水、およびドリルシャンクが、カートリッジの爆発時に生成される圧力波を良好にせき止める。
【0025】
本発明は、この種の用途に、確実に使用できるカプセルに関する。上記したように、本発明の用途は、単なる例として示したこの特定の用途に制限されるものではない。
【0026】
添付の図1は、本発明によるカプセル10の物理的構造を例示する分解図である。
【0027】
カプセルは、推進剤(不図示)を含む管状ハウジング12を備えている。ハウジングは、任意の適当な手段によって、一方の端部14が密閉されている。ケーシング16は、電子機器を収容し、信管18などの起爆装置が、管状ハウジングの口20の中に挿入されるようになっているケーシングに取り付けられ、そのケーシングから延出している。この挿入が終了すると、ケーシングは、管状ハウジングの口に係合したエンドキャップ22によって、所定の位置に保持される。管状ハウジング12は、必要に応じて、水の浸入を防止するために密閉することができる。推進剤は、任意の適当な爆発性材料、燃料、または他のエネルギー材料である。
【0028】
カプセル10は、ロックドリルシャンク、およびドリルビット内の内部誘導通路によって形成された所定の経路に沿って、カプセルを移送する高圧水により、岩の表面(不図示)の穴の中の爆破位置に供給できるようになっている。この手順を、ロックドリルのシャンク28内の通路26への入口ポート24にあるカプセル10を示す図2に模式的に示してある。この通路は、ロックドリルビット34内に設けた第2の通路32に連通した出口ポート30で終わっている。ドリルビットは、中心孔を備えるドリルヘッド36を有する。
【0029】
シャンク28は、有利な位置に1つ以上のアンダーカット38を有する。同様に、ドリルビット34も、有利な位置に1つ以上のアンダーカット40を有する。
【0030】
シャンク、ドリルビット、およびドリルヘッドは、異なる材料から形成されているため、本質的に、異なる電磁特性または特徴を有する。
【0031】
ケーシング16は、図3および図4に示すタイプの電子回路を有している。本発明の概念的基礎は、エネルギー源50、信管18(すなわち起爆装置)、コンデンサ54、ダイオード58および60、エネルギー制限コンデンサ62、および電子スイッチ64を例示する図3を参照すると容易に理解しうると思う。スイッチの動作は、内部メモリ68を有するケーシング内の制御装置66の制御により行われる。エネルギー源50は、ケーシング16に取り付けられた二次誘導コイル70と、図2に示す入口ポート24のすぐ上流に位置するドリル装置のマガジン(不図示)内に配置された一次コイル72を備えている。
【0032】
一次コイルは、好ましくはロックドリルシャンク28に独自に取り付けられる外部制御ユニット76によって制御される。外部制御ユニット76は、例えば、ロックドリルシャンクに物理的に固定するか、または任意の他の方法、例えば、コードや電子キーなどを使用して、電子的にロックドリルシャンクに連結することができる。外部制御ユニット76は、プログラム可能なプロセッサおよびメモリを備えており、外部制御ユニットの動作をオペレーターが制御できるように、キーボード78などの入力装置に接続されている。例えば、カートリッジの性質に依存する計時情報、および爆破する岩の種類などが、制御ユニットに入力され格納される。好ましくは工場条件下で、制御ユニットに予めプログラムされた外部制御ユニットの他のデータは、ロックドリルおよびロックドリルのオペレーター、または所有者に関する識別データを含んでいる。このデータは、ロックドリルの運転を調整するため、またロックドリルのカートリッジおよび使用を記録するため、そして、他の保護および安全目的のために用いることができる。
【0033】
コイル70および72が電磁的に結合され、一次コイル72が適当な高周波数信号で励起されるようにカプセルが配置されると、対応する信号が二次コイル70に誘導される。コンデンサ62は、励起信号1サイクル当たり、制限された量のエネルギーのみの流れを許容する。ダイオード58は、交流信号を整流し、コンデンサ54が充電される。
【0034】
詳細を後述するように、コンデンサ54のエネルギーは、当初は、適当なソフトウエアの制御下で、多数の確認ルーチンおよび安全手順を実行し、ロックドリルのシャンク内に形成されたカプセル供給路内のカプセルの通過を監視する制御装置66に電力を供給するために使用される。すべての事前手順が正確に行われ、かつカートリッジが予定通りに動作位置に達すると、コンデンサ54の残りのエネルギーは、所定の時間に、信管18を作動させるために用いられる。信管18の作動は、コンデンサ54が信管を介してその電荷を放出して、推進剤の発火を可能にするスイッチ64の閉によってもたらされる。
【0035】
コンデンサ54を使用電圧まで充電するのに要する時間は、0.6秒程度の短時間である。コンデンサが完全に充電されると、制御装置66は、自己較正ルーチンを行い、この間に、多数の自己検査および較正処理が行われる。これは、数ミリ秒で終了する。自己較正ルーチンが、正常に行われると、制御装置66は、適当なメッセージを生成し、このメッセージは、コイル70をアンテナとして、そしてコイル72を受信アンテナとして用いて、外部制御ユニット76に送信される。同時に、メモリ68から得たこのカプセルの識別番号も送信される。
【0036】
外部制御ユニットが、この情報の有効性を確認すると、制御装置66に発火命令を発する。従って、「未許可」カプセルは、その識別番号または製造番号の有効性が確認できていないため、発火させることができない。
【0037】
図4は、上記の工程を実施するために必要な制御装置66の様々な構成要素を示すブロック図を例示している。制御装置66は、上記したように、コンデンサ54に蓄えられたエネルギーによって電力供給されるプロセッサ80を備えている。プロセッサは、タイミングモジュールまたはタイマ82を制御し、任意選択の通信インターフェイス84に接続されている。プロセッサはまた、二次コイル70に接続された送受信モジュール86にも接続されている。この二次コイルは、誘導センサ88としても機能する。メモリ68は、カプセルの動作に必要なデータを保持している。限定するものではないが、このデータには、使用するカプセルの製造番号90、このカプセルを取得した顧客または取引先を識別する識別番号92、および自己検査や較正ルーチンに必要なデータ94が含まれる。ロックドリルシャンク内の確定位置に関連した位置データも、この保持データに含まれる。この位置データは、事前に、適当なセンサやプローブを用いて特定のロックドリルについて抽出されて決定され、特に、シャンクを形成する1または複数の材料ならびにシャンクの寸法仕様によって決まる。最初のステップ96(図5を参照)で、関連データは、工場条件下、すなわち使用する顧客にカプセルが配達される前にメモリに入力される。
【0038】
二次コイル70は、少なくとも3つのモードで機能することができる。第1に、二次コイルは、エネルギー源50の一部を構成し、電子回路にエネルギーを供給する手段となる。第2に、二次コイルは、外部制御ユニット76とカプセルに搭載された電子機器との間で行われる通信の送受信アンテナとして機能する。第3に、二次コイル70は、上記したように、カプセルの発火動作を制御するセンサとして機能する。
【0039】
図5は、カプセルの使用中に行われる一連の動作のフローチャートである。カプセルが入口ポート24にある状態で(図5のステップ98)、二次コイル70が、外部制御ユニット76に接続された一次コイル72に電磁結合される。一次コイルが、二次コイル70に二次信号を誘導する高周波数搬送信号で励起される。コンデンサ62は、励起電圧1サイクル当たり制限された量のエネルギーのみをダイオード58に流すのを許容する。このダイオードは、交流を整流し、次いでコンデンサ54が、後続の各ステップで有効に充電される。これらの各ステップは、1サイクル当たりコンデンサ62を通過する一定量のエネルギーによって行われる。コンデンサ54の充電には、約600ミリ秒かかる(ステップ100)。
【0040】
制御装置66は、コンデンサ54がいつ完全に充電されるかを検出し、完全に充電されると、多数の自己検査および較正処理を行う自己較正ルーチンを開始する(ステップ102)。これは、数ミリ秒で終了する。
【0041】
次いで、プロセッサ80が、顧客データ92にアクセスし、このデータを、較正ルーチンが正常に行われたことを知らせるメッセージと共に送信する(ステップ104)。これに応答して、外部制御ユニットが、発火信号を発する(ステップ106)。しかし、自己検査ルーチンが正常に行われなかった場合は、制御ユニットは、カプセル10の発火、または行われた発火を停止する適当な信号を発する。
【0042】
カプセルは、発火信号を受け取ると、入口ポート24に保持され、機構内への移動を待つ(ステップ108)。カプセルは、この段階で、参照した国際特許出願の明細書に開示されている手順に従って処理される。従って、発火手順が開始されると、カプセルは、不図示のプランジャーによって、一次コイルまたは送信ループ72から離れる方向に移送される。結果として生じる一次コイルと二次コイルとの電磁結合により、信号が変化し、この信号の変化は、センサとして機能する二次コイル70によって検出される(ステップ110)。次いで、カプセルは、図2に示すように、シャンク28またはバレル内に移送され、これは、コイルに曝される電磁材料の増加に応答する二次コイル70によって、即座に検出される(ステップ112)。
【0043】
次いで、カプセルは、外部加圧水源(不図示)からの水流によって通路26に沿って移送される。この移送中に、二次コイル70が、周囲の電磁材料に応答する。周囲の電磁材料の組成や厚さのどの有意な変化も、この場合は、センサとして機能する二次コイル70によって出力される信号の相応の変化となる。二次コイル70の出力信号はまた、通路を通過するカプセルの運動速度に依存するが、電磁材料のばらつきによる信号の変化の方が、速度の変化によって生じる信号の変化よりも優位であるため、この運動速度は、相当程度まで一定である。従って、プロセッサ80は、カプセルが通路26に沿って移動する際に、シャンク28内の特徴を検出することができる(ステップ114)。
【0044】
検出したすべての特徴を、制御装置66に予めプログラムされた対応するデータと即座に比較して、動作手順が正確に行われているかを確認する。カプセルの発火に通じるステップで、1つでも検査または動作が失敗すると、それぞれの計時期間(ステップA、B、C、およびD)の経過時間をチェックし、計時期間を超えると、供給コンデンサ54が完全に放電され(ステップ116)、動作手順は中止される。
【0045】
カプセルが通路26の出口ポート30に達すると、この事象を知らせるために別の固有信号が生成される(ステップ118)。この信号は、シャンクおよびドリルビットを形成する材料が様々な厚さであるため、材料の差異から発生させることができる。また、様々な所定の位置を強調するために、シャンクに特定の構造を形成することも可能である。例えば、シャンクの有利な位置に形成されたアンダーカット38は、カプセルがこれらのアンダーカットを通過する際に固有の信号を発生させる。同様に、カプセルがドリルビット34内に存在する場合には、アンダーカット40が、二次コイル70がこれらのアンダーカットを通過する際に固有の信号を発生させる。カートリッジが通過する材料を変更することによって、同様の効果を得ることができる。
【0046】
プロセッサ80は、カプセルがドリルビット内に進入したことを検出すると、タイマ82を用いて計時期間を開始する(ステップ120)。計時期間の時間は、設定または予めプログラムすることができ、例えば、0秒〜120秒とすることができる。この計時期間の終了時に、プロセッサは、電子スイッチ64を閉じ、コンデンサ54に残っているエネルギーが、信管18を通って放電され、信管18が作動する(ステップ122)。これにより、カートリッジ内の推進剤が爆発する。
【0047】
上記したように、カプセルが入口ポート24から通路26に進入する時間と、出口ポート30から通路を出る時間との間の時間が、所定の時間、例えば、45秒を超えると、プロセッサ80が、エラー状態と解釈し、エネルギーが信管18に到達しないようにコンデンサ54を放電させる(ステップ116)。次いで、カートリッジが、不活化または休眠状態になる。
【0048】
本発明の一態様では、カプセルが存在する領域における金属の量を検出するカプセルの能力に基づいている。このため、ドリルシャンクおよびドリルビットに沿ってドリル装置内を移動する際に、多数の固有の物理的特徴を探すように、プロセッサを予めプログラムすることが可能である。従って、カプセルは、ドリル装置内のその物理的位置を独自に確認することができ、カプセル内の推進剤の発火が、物理的位置に依存して行われる。
【0049】
カプセルは、通常は全く電力を蓄えておらず、上記したように、その使用の直前に電力供給される。この特徴を用いて、多数の安全機能を達成する。例えば、カプセルは、信管18を作動させる前に、多数のステップまたは段階を経なければならない。ある段階で失敗すると、プロセッサ80がリセットし、信管18を作動させることができない。二次コイル70によって検出された値を、試験条件下で事前に収集されてメモリ68に格納されたデータと比較する。この比較処理により、不正確な結果、または信号と格納されたデータとの間の相違が示されると、再びカプセルがリセットされる。
【0050】
プロセッサ80は、専用の出力線によって、電子スイッチ64に接続されている。この出力は、他の機能には一切使用されない。このため、処理エラーが専用出力線に発火信号を生じさせる可能性が低減される。
【0051】
重要なことは、コンデンサ62が、二次コイル70によって回路の残りの部分に伝達できるエネルギーの量を制限することである。つまり、たとえ電子スイッチ64が故障して常に閉じた状態であったとしても、信管を通過する低電流は、1サイクル当たり通過するエネルギーの量がコンデンサ62よって制限されるため、信管18を作動させるのに十分ではない。他の安全因子として、次に示す例を挙げることができる。
(1)エネルギー源50が故障しても、信管18を作動させるのに不十分なエネルギーしか系内に存在しない。
(2)コンデンサ54が故障しても、またはダイオード58または60のいずれかが開の場合、信管18を作動させるのに不十分なエネルギーしか存在しない。
(3)コンデンサ54が短絡しても、信管18を作動させるエネルギーが存在しない。
(4)コンデンサ54が開回路でも、制御装置66を作動させるエネルギーが存在しない。
(5)充電ルーチン中にスイッチ64が閉じると、コンデンサ54は、信管18を作動させるのに不十分な速度で連続的に放電する。制御装置66が、コンデンサ54によって出力された動作電圧をチェックし、この動作電圧が低すぎると、自己検査ルーチン(ステップ102)が故障を知らせる。従って、発火命令は生成されない。
【0052】
どんな理由であっても、信管18が作動しない場合には、コンデンサ54は、制御装置66によって放電される。コンデンサからのエネルギーは、制御装置66によって、パルスの形態でコイル70に迅速に送られる。これにより、エネルギーが散逸し、コンデンサは、短時間、例えば、1秒程度で放電される。
【0053】
従って、本発明のカプセルは、発火位置の手前の所定の位置に達すると、所定の時間で発火されるように電子的に制御されている。この所定の位置は、様々にすることができ、従って所定の時間も様々にすることができる。発火は、カプセルと外部発火装置との間の機械的な衝突によるもではない。多数の安全機能を、カプセルに搭載することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 カプセル
12 ハウジング
14 端部
16 ケーシング
18 信管(起爆装置)
20 口
22 エンドキャップ
24 入口ポート
26 通路
28 シャンク
30 出口ポート
32 第2の通路
34 ドリルビット
36 ドリルヘッド
38、40 アンダーカット
50 エネルギー源
54 コンデンサ
58、60 ダイオード
62 コンデンサ
64 電子スイッチ
66 制御装置
68 メモリ
70 二次コイル
72 一次コイル
76 外部制御ユニット
78 キーボード
80 プロセッサ
82 タイマ
86 送受信モジュール
88 誘導センサ
90 製造番号
92 顧客データ
94 データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジと、
前記カートリッジ内の推進剤と、
起爆装置と、
エネルギー貯蔵設備と、
カプセルが所定の経路に沿って移動する際に前記カプセルの位置によって信号を生成するためのセンサと、
前記信号に応答して、起爆装置を作動させて前記推進剤を発火させるために、前記エネルギー貯蔵設備からのエネルギーの供給を制御する制御装置とを備えている電子爆破カプセル。
【請求項2】
起爆装置を作動させるために、制御された条件下で制御装置によって閉じられる電子スイッチをさらに備えている、請求項1に記載の電子爆破カプセル。
【請求項3】
エネルギー貯蔵設備は、制御装置に電力を供給すると共に、起爆装置を作動させるために、エネルギーを供給するエネルギー貯蔵装置をさらに備えている、請求項1または2に記載の電子爆破カプセル。
【請求項4】
エネルギー貯蔵設備に送られるエネルギーを得るために、外部エネルギー源に誘導的に結合されるエネルギー受取り装置をさらに備え、前記外部エネルギー源1サイクル当たり、前記エネルギー受取り装置に送られるエネルギーの量を制限している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子爆破カプセル。
【請求項5】
起爆装置は、外部エネルギー源から送られるエネルギーのみによって作動するようになっている、請求項4に記載の電子爆破カプセル。
【請求項6】
センサは、所定の経路における少なくとも1つのマーカーに応答するようになっている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子爆破カプセル。
【請求項7】
所定の経路に関連したデジタルデータを格納するメモリをさらに備え、前記データは、少なくとも、前記経路における1または複数の特定の位置を示す情報、およびカプセルを使用する位置を特定するデータから選択されるようになっている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子爆破カプセル。
【請求項8】
タイマをさらに備え、センサからの信号をメモリ内のデータと比較して、制御装置の動作を制御し、特定の性質の信号が前記センサによって生成されてから、所定の時間に起爆装置を作動させるようになっている、請求項7に記載の電子爆破カプセル。
【請求項9】
制御装置は、カプセルが所定の時間を超えて所定の経路に存在する場合、または所定の時間内に前記経路の特定の地点に達しない場合、起爆装置の作動を防止するソフトウエアを搭載している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子爆破カプセル。
【請求項10】
ドリル装置と、
前記ドリル装置に連結されたドリルロッドおよびドリルビットと、
カートリッジを、前記ドリルロッドおよび前記ドリルビットの通路内を移送するための加圧源と、
外部エネルギー源を備えた外部制御ユニットとを備え、
前記外部制御ユニットを用いて、少なくとも計時情報をカプセルに送って、前記カプセルの爆発を制御するようになっている、爆破設備。
【請求項11】
外部制御ユニットは、カプセルを爆発させるために外部エネルギー源からエネルギーを伝達するようになっている、請求項10に記載の爆破設備。
【請求項12】
推進剤を含むハウジングと、
信管と、
カプセル供給路内の前記ハウジングの位置を検出するためのセンサと、
外部エネルギー源からエネルギーを得るためのエネルギー設備と、
前記センサおよび前記エネルギー設備に応答して、前記信管を作動させて、前記推進剤を爆発させるための制御装置とを備える電子爆破カプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−539429(P2010−539429A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524270(P2010−524270)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【国際出願番号】PCT/ZA2008/000080
【国際公開番号】WO2009/082767
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(510065137)サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション アールエスエー プロプライアタリー リミテッド (4)