説明

電子装置ユニツト

【目的】 バックワイヤリングボードの交換を簡単な作業にするとともに、構成部品が少ない電子装置ユニットを得ることを目的とする。
【構成】 ユニットフレームを前方と後方に分けずに一体にし、その一体にしたユニットフレームの側面にバックワイヤリングボード3を横から挿入できる窓を設け、更にそのユニットフレームの上面と下面の内側にバックワイヤリングボードに沿って横方向のガイドレールを設けたことにより、バックワイヤリングボードをスライドさせて挿入および引き抜きできるようにした。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、バックワイヤリングボードの両面からカード基板等を複数枚実装して成る電子装置ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は例えば実開昭62−197891号公報に示された従来の電子装置ユニットを示す斜視図であり、図において1は前方ユニットフレーム、1aはこの前方ユニットフレーム1の背面に設けた螺子穴、1bは前方ユニットフレーム1の上面及び下面の内側に前後方向に設けたガイドレール、2は後方ユニットフレーム、2aはこの後方ユニットフレーム2の前方面に、螺子穴1aに対応して設けた螺子用穴、2bは後方ユニットフレーム2の上面及び下面の内側に前後方向に設けたガイドレールである。
【0003】
3は前方ユニットフレーム1と後方ユニットフレーム2の間に挟み込まれたバックワイヤリングボード、3aはこのバックワイヤリングボード3に螺子穴1aおよび螺子用穴2aに対応して設けた取り付け穴、3bはバックワイヤリングボード3の両面に取り付けられたバックボードコネクタ(コネクタ)、4は螺子穴1a、螺子用穴2a、ならびに取り付け穴3aを貫通する螺子である。また5は前方カード基板、5aは前方カード基板5に取り付けられたカードコネクタ(コネクタ)、6は後方カード基板、6aは後方カード基板6に取り付けられたカードコネクタ(コネクタ)である。
【0004】
次に動作について説明する。ボード内のプリント配線によってバックボードコネクタ3bを互いに電気的に接続するバックワイヤリングボード3は、螺子4によって前方ユニットフレーム1と後方ユニットフレーム2で挟むように螺子止めされる。また電子部品が搭載された前方カード基板5及び後方カード基板6は、各々ガイドレール1b並びに2bに沿って前方ユニットフレーム1と後方ユニットフレーム2に挿入され、カードコネクタ5a,6aが前述のバックボードコネクタ3aに嵌合することで電子装置ユニットが形成される。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
従来の電子装置ユニットは以上のように構成されているので、バックワイヤリングボード3の交換の際、多くの螺子4を外さねばならず、また、ユニットフレーム1,2等の構成部品を分解する事が必要なため、交換作業が複雑になり装置の保守性が悪くなるなどの問題点があった。
【0006】
この考案は上記の様な問題点を解決するために成されたもので、バックワイヤリングボードの交換を簡単な作業にするとともに、構成部品が少ない電子装置ユニットを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この請求項1に記載の考案に係る電子装置ユニットは、ユニットフレームを前方と後方に分けずに一体にし、この一体にしたユニットフレームの側面に窓を設けるとともに、バックワイヤリングボードを挿入型にしたものである。
【0008】
また、請求項2に記載の考案に係る電子装置ユニットは、請求項1に記載の考案に係る電子装置ユニットに加え、バックワイヤリングボードを左バックワイヤリングボードと右バックワイヤリングボードに分割し、相互をコネクタ接続したものである。
【0009】
更に請求項3に記載の考案に係る電子装置ユニットは、請求項1に記載の考案に係る電子装置ユニットに加え、テスト用端子をもつテスト用カード基板を設け、またこのテスト用カード基板はユニットフレームに挿入可能にしたものである。
【0010】
【作用】
この請求項1に記載の考案におけるユニットフレームは、前方と後方に分けずに一体にし、側面に設けた窓よりバックワイヤリングボードを挿入可能にする。
【0011】
この請求項2に記載の考案におけるバックワイヤリングボードは、右バックワイヤリングボードと左バックワイヤリングボードに分割し、相互をコネクタ接続しユニットフレームに挿入する。
【0012】
この請求項3に記載の考案におけるテスト用カード基板は、ユニットフレームに挿入しバックワイヤリングボードより電気信号を得、テスト用端子に出力する。
【0013】
【実施例】
実施例1.
以下、この考案の一実施例を図について説明する。なお、図中従来技術である図6に示したものと同一の構成部分には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。図1はこの請求項1に記載の考案の一実施例による電子装置ユニットを示す斜視図、図2は図1のA−A断面を示す部分断面図である。図において、7はユニットフレーム、7bはユニットフレーム7の上面及び下面の内側に前後方向に設けたガイドレール、7cはユニットフレーム7の側面に開けた窓、7dはユニットフレーム7の上面と下面の内側に、バックワイヤリングボード3に沿って設けた横方向のガイドレール、7eはユニットフレーム7の側面に窓7cに近接して設けた螺子穴である。
【0014】
8はバックワイヤリングボード3の一辺に固着され、バックワイヤリングボード3に対して90゜の角を成す面を持った、断面がL字状のバックワイヤリングボード固定部材、8aはバックワイヤリングボード固定部材8のバックワイヤリングボード3に対して90゜の角を成す面に螺子穴7eに対応して設けたバックワイヤリングボード固定穴、9はそのバックワイヤリングボード固定穴8aを貫通して螺子穴7eに至る螺子である。
【0015】
次に動作について説明する。バックワイヤリングボード3は、ユニットフレーム7の側面に設けた、バックワイヤリングボード3が十分通過する大きさをもつ窓7cを通して、ガイドレール7dで案内されながらユニットフレーム7に挿入される。バックワイヤリングボード固定部材8の、バックワイヤリングボード3に対して90°の角を成す面がユニットフレーム7の側面に到達した位置で、螺子9をバックワイヤリングボード固定穴8aを貫通して螺子穴7eに螺合させバックワイヤリングボード3を固定する。
【0016】
また、電子部品が搭載された前方カード基板5及び後方カード基板6は、ガイドレール7bに沿ってユニットフレーム7の前方と後方から挿入され、カードコネクタ5a,6aがバックボードコネクタ3aに嵌合することで電子装置ユニットが形成される。
【0017】
実施例2.
なお上記実施例ではバックワイヤリングボード3及び前方後方のカード基板5,6を1段しか実装していなかったが、それらを複数段実装する場合にも同じ効果が期待出来る。図3はバックワイヤリングボード3及び前方後方のカード基板5,6を3段実装した場合のこの請求項2に記載の考案の他の実施例を示す電子装置ユニットの斜視図である。図において10は3段ユニットフレーム、10cは3段ユニットフレーム10の側面に段毎に開けた窓、10dはユニットフレーム10の各段の上面と下面の内側に、バックワイヤリングボード3に沿って設けた横方向のガイドレールである。
【0018】
次に動作について説明する。3枚のバックワイヤリングボード3は、ユニットフレーム10の側面に設けた、バックワイヤリングボード3が十分通過する大きさをもつ3箇所の窓10cを通して、ガイドレール10dで案内されながらユニットフレーム10に各々挿入される。尚、バックワイヤリングボード3の固定は実施例1の場合と同じである。
【0019】
また電子部品が搭載された前方カード基板5及び後方カード基板6を、実施例1の場合と同じ要領でユニットフレーム10の前方と後方から挿入することで電子装置ユニットが形成される。この様な3段実装のユニットの場合、従来の電子装置ユニットの構造では、特に中央の段のバックワイヤリングボード3の固定が困難であったが、本実施例の構造によれば簡単に固定が出来る。
【0020】
実施例3.
更にバックワイヤリングボードを機能単位毎に複数個に分割して実装することで、新たな効果を得ることが出来る。図4はこの請求項2に記載の考案の一実施例を示すバックワイヤリングボードを2個に分割して実装した場合の電子装置ユニットの斜視図であり、図において、11は左バックワイヤリングボード、12は右バックワイヤリングボードであり、11cおよび12cは、左バックワイヤリングボード11と右バックワイヤリングボード12が同一平面上に位置するように、各々左バックワイヤリングボード11並びに右バックワイヤリングボード12に取り付けられた、互いに嵌合する一対のコネクタである。
【0021】
この実施例によればパターン配線の異なる複数種の左バックワイヤリングボード11並びに右バックワイヤリングボード12を組み合わせることで多くの種類のバックワイヤリングボードを構成することが出来る。更にこの様にバックワイヤリングボードを機能単位毎に複数個に分割して実装することで、総じてバックワイヤリングボードの種類を減らすことが出来る。
【0022】
実施例4.
また図5はこの請求項3に記載の考案の一実施例を示すバックワイヤリングボードとテスト用カード基板の斜視図であり、図において、13は一端にコネクタを持つバックワイヤリングボード、13aはそのコネクタ、14はユニットフレーム7の一端のガイドレールにテスト用として挿入された奥行きの大きなテスト用カード基板、14aはその奥行きの大きなカード基板に前述したコネクタ13aが嵌合するように設けたコネクタ、14bはテスト用カード基板14の前端部に設けたテスト用端子、15は電線である。
【0023】
この実施例によればテスト用としてバックワイヤリングボード13の電気信号
を電子装置ユニットの前面でテスト用端子14bから電線15等を接続することで取り出すことが出来る。
【0024】
【考案の効果】
以上のように、この請求項1に記載の考案によれば、ユニットフレームを前方と後方に分けずに一体にし、そのユニットフレームの側面に設けた窓と、内側に設けた横方向のガイドレールによって、バックワイヤリングボードを横から挿入できるように構成したので、バックワイヤリングボードの交換を簡単な作業にするとともに、構成部品が少ない電子装置ユニットを得ることができる効果がある。
【0025】
また、この請求項2に記載の考案によれば、請求項1に記載の考案に加えバックワイヤリングボードを分割し、各ボードを互いに接続する構成としたので、多くの種類のバックワイヤリングボードを構成することができる効果がある。
【0026】
更に、この請求項3に記載の考案によれば、請求項1に記載の考案に加えテスト端子をもつテスト用カード基板を設けた構成としたので、テスト用としてバックワイヤリングボードの電気信号を容易に取り出すことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この請求項1に記載の考案の一実施例による電子装置ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1の部分断面図である。
【図3】この請求項1に記載の考案の他の実施例による電子装置ユニットを示す斜視図である。
【図4】この請求項2に記載の考案の一実施例を示すバックワイヤリングボードの斜視図である。
【図5】この請求項3に記載の考案の一実施例を示すバックワイヤリングボードとテスト用カード基板の斜視図である。
【図6】従来の電子装置ユニットを示す斜視図である。
【符号の説明】
3 バックワイヤリングボード
3b バックボードコネクタ(コネクタ)
5 前方カード基板
5a カードコネクタ(コネクタ)
6 後方カード基板
6a カードコネクタ(コネクタ)
7 ユニットフレーム
7b ガイドレール
7c 窓
7d ガイドレール
11 左バックワイヤリングボード
11c コネクタ
12 右バックワイヤリングボード
12c コネクタ
13 バックワイヤリングボード
13a コネクタ
14 テスト用カード基板
14a コネクタ
14b テスト用端子

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 前後方向のガイドレールと、横方向のガイドレールと、該横方向のガイドレールに対応した側面の窓とを有するユニットフレームと、該ユニットフレームの側面の窓から挿入可能で側面にコネクタをもつバックワイヤリングボードと、該ユニットフレームの前方および後方から挿入し、該バックワイヤリングボードの該コネクタに接続可能なコネクタをもつ前方カード基板並びに後方カード基板とを備えた電子装置ユニット。
【請求項2】 前記バックワイヤリングボードとして、前記ユニットフレームの側面の窓から挿入可能で一端にコネクタをもつ左バックワイヤリングボードと、該左バックワイヤリングボードと同一平面上に位置し横並びに該コネクタに接続可能なコネクタをもち、該ユニットフレームの側面の窓から挿入可能な右バックワイヤリングボードとに分割した請求項1記載の電子装置ユニット。
【請求項3】 前記バックワイヤリングボードとして、前記ユニットフレームの側面の窓から挿入可能で一端にコネクタをもつバックワイヤリングボードとし、また該ユニットフレームに前方または後方から挿入され側面に該コネクタと接続可能なコネクタをもち、一端にテスト用端子をもつテスト用カード基板とを備えた請求項1記載の電子装置ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】実開平5−1282
【公開日】平成5年(1993)1月8日
【考案の名称】電子装置ユニツト
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−54507
【出願日】平成3年(1991)6月19日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)