説明

電子透かし埋め込み方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】カラー画像に電子透かし情報を埋め込むにあたって、ノイズの発生を抑制して画質の劣化を抑止する。
【解決手段】RGB表色系の元画像の画像データの赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとに基づいてYUV表色系の輝度情報Yを生成する第1のステップと、上記第1のステップで生成された輝度情報Yに対して電子透かし情報を埋め込んで、上記電子透かし情報を埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’を生成する第2のステップと、上記第1のステップで生成された輝度情報Yと上記第2のステップで生成された輝度情報Y’と上記元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとに基づいて、上記元画像に電子透かし情報を埋め込んだRGB表色系の画像データを生成する第3のステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子透かし埋め込み方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、さらに詳細には、カラー画像に電子透かし情報を埋め込むようにした電子透かし埋め込み方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータネットワークの発展に伴い、画像データや音声データなどのような電子データの著作権侵害が問題となってきている。
【0003】
こうした電子データの著作権侵害に対抗して電子データの著作権を保護する手段として、例えば、電子データに電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋め込み技術が種々開発されてきている。
【0004】
ここで、電子透かし(以下、電子透かしを、単に「透かし」と適宜に称することとする。)埋め込み技術とは、画像データや音声データといった電子データに、その冗長性を利用して他の情報を埋め込む技術であり、一般に、画像データや音声データといった電子データに埋め込まれた他の情報を「電子透かし情報(透かし情報)」あるいは単に「電子透かし(透かし)」と称している。
【0005】

従来、カラー画像に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋め込み技術としては、JPEGやMPEGなどの圧縮技術に用いられるYUV(Y:輝度情報、U:青色成分色差情報、V:赤色成分色差情報)表色系で示されたカラー画像の輝度情報Yに、電子透かし情報を埋め込むという手法が知られている。
【0006】
一方、パーソナルコンピュータを用いてディスプレイへカラー画像を表示するには、RGB(R:赤色情報、G:緑色情報、B:青色情報)表色系で表現された画像データが用いられる。
【0007】
このため、パーソナルコンピュータのディスプレイに表示可能なRGB表色系で表現された画像データに電子透かし情報を埋め込むためには、図1に示すような処理を行うことになる。
【0008】
即ち、RGB表色系で表現された元画像の画像データを、YUV表色系で表現される画像データに変換し(RGB→YUV変換処理)、元画像の輝度情報Yと青色成分色差情報Uと赤色成分色差情報Vとを得る。それから、上記RGB→YUV変換処理により得られたYUV表色系で表現された画像データの輝度情報Yに電子透かし情報を埋め込んで(電子透かし情報埋め込み処理)、電子透かし情報を埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’を生成する。その後に、輝度情報Y’と青色成分色差情報Uと赤色成分色差情報Vとよりなる画像データを、RGB表色系で表現される画像データに変換し(YUV→RGB変換処理)、電子透かし情報が埋め込まれた赤色情報R、緑色情報Gおよび青色情報Bたる赤色情報R’、緑色情報G’および青色情報B’よりなるRGB表色系で表現される画像データを得るものである。この赤色情報R’、緑色情報G’および青色情報B’よりなるRGB表色系で表現された画像データが、元画像に電子透かし情報が埋め込まれた画像を表すものとなる。
【0009】
ここで、RGB表色系の赤色情報R、緑色情報Gおよび青色情報BとYUV表色系の輝度情報Y、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vとは、記憶装置の容量の消費量を低くするために、いずれも0〜255までの整数で表現されるものであるが、図2(a)にRGB表色系をYUV表色系へ変換するRGB→YUV変換処理の際に用いる典型的な変換式を示し、図2(b)にYUV表色系をRGB表色系へ変換するYUV→RGB変換処理の際に用いる典型的な変換式を示す。
【0010】

ところで、こうしたRGB→YUV変換処理やYUV→RGB変換処理に用いる上記した図2(a)(b)に示すような変換式の係数は、一般にその精度がかなり高いものと認識されている。
【0011】
しかしながら、RGB表色系の赤色情報R、緑色情報Gおよび青色情報BとYUV表色系の輝度情報Y、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vとは整数で表現されるものであるため、図2(a)(b)に示すような変換式により変換された値の小数点以下の数値に対しては切り捨て、切り上げあるいは四捨五入などの処理が行われ、図2(a)(b)に示すような変換式により変換された値は整数化されている。このため、RGB→YUV変換処理やYUV→RGB変換処理により変換された各情報には、変換の際の誤差が生じることとなっていた。
【0012】
即ち、本願発明者が図2(a)(b)に示す変換式を用いて計算したところによれば、元画像の画像データRGBと元画像に電子透かし情報を埋め込んだ画像の画像データR’G’B’との間には、図3に示すように大きな差が認められた。
【0013】
なお、この図3に示す図表は、RGB表色系からYUV表色系への変換を行った後にさらにそのYUV表色系をRGB表色系へ変換した後において、元のRGB表色系と変換後のRGB表色系(変換後のRGB表色系のRをR’として示し、変換後のRGB表色系のGをG’として示し、変換後のRGB表色系のBをB’として示す。)とを比較し、R、G、Bのそれぞれが0〜255の範囲で変化する全部で16777216点の中で、
R−R’
G−G’
B−B’
とについて、それぞれ全16777216点中に誤差が1.0以上ある数の割合を示したものである。
【0014】
なお、図3において、「RError」は赤色情報Rについての誤差を示し、「GError」は緑色情報Gについての誤差を示し、「BError」は青色情報Bについての誤差を示し、「Plus」は誤差が+1.0以上になった点数を示し、「Minus」は誤差が−1.0以下になった点数を示し、「Total」は「Plus」と「Minus」との点数を合計したものを示し、「ErrorRate」は赤色情報R、緑色情報Gおよび青色情報Bのそれぞれにおける全16777216点中の「Total」に示されている誤差の点数の割合を示している。
【0015】

ここで、RGB表色系をYUV表色系へ変換するRGB→YUV変換処理の際に用いる図2(a)に示す変換式における青色成分色差情報Uを求める式2に着目すると、青色成分色差情報Uに関しては、四捨五入によって結果的に−0.5〜+0.5の誤差が発生することになる(図4(a)参照)。
【0016】
次に、YUV表色系からRGB表色系へ変換するYUV→RGB変換処理の際に用いる図2(b)に示す変換式における青色情報Bを求める式6に着目すると、当該式6中に存在する青色成分色差情報Uの係数は1.772003となっている。従って、青色成分色差情報Uにおける−0.5〜+0.5の四捨五入による誤差−0.5〜+0.5は1.772003倍され、−0.886〜+0.886となる(図4(b)参照)。
【0017】
そして、この誤差自体が青色情報Bに反映されることになるが、その際に図2(b)における青色情報Bを求める式で算出された値がさらに四捨五入されることにより、その誤差は−1〜+1となり、誤差範囲が拡大することになる。
【0018】
なお、図5には、RGB表色系からYUV表色系への変換を行った後にさらにそのYUV表色系をRGB表色系へ変換した場合について、元のRGB表色系と変換後のRGB表色系(変換後のRGB表色系のRをR’として示し、変換後のRGB表色系のGをG’として示し、変換後のRGB表色系のBをB’として示す。)との誤差が示されている。図5においては、R’G’B’において誤差の出る部分がそれぞれ強調表示されている。
【0019】
また、図6には、RGB表色系からYUV表色系への変換を行った後に、輝度情報Yに電子透かし情報を埋め込み輝度情報Y’を生成し、電子透かし情報を埋め込んだYUV表色系をRGB表色系へ変換した場合について、元のRGB表色系と変換後のRGB表色系(変換後のRGB表色系のRをR’として示し、変換後のRGB表色系のGをG’として示し、変換後のRGB表色系のBをB’として示す。)との誤差が示されている。図6においては、R’G’B’において誤差の出る部分がそれぞれ強調表示されている。
【0020】
こうした図5と図6とを比較すると明らかなように、輝度情報Yに電子透かし情報を埋め込むことにより誤差が拡大することになる。
【0021】

以上において説明したように、RGB表色系で表示された画像データをYUV表色系に変換する際や、電子透かし情報を埋め込み処理されたYUV表色系で表示された画像データをRGB表色系に変換する際において、図2(a)(b)に示す変換式で得られた値の小数点以下が四捨五入されることにより、仮に変換式の係数の精度を高めたとしても得られる値には誤差が発生し、電子透かし情報が埋め込まれた画像にはこの誤差に起因するノイズが生じて、電子透かし情報が埋め込まれた画像の画質が劣化するという問題点が指摘されていた。
【0022】

なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カラー画像に電子透かし情報を埋め込むにあたって、ノイズの発生を抑制して画質の劣化を抑止するようにした電子透かし埋め込み方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために、本発明は、RGB表色系の元画像の画像データの赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとに基づいて輝度情報Yのみを発生し、この輝度情報Yに対して電子透かし情報を埋め込んで当該電子透かし情報を埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’を生成し、輝度情報Yと輝度情報Y’と元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとを用いて演算することにより、元画像に電子透かし情報を埋め込んだRGB表色系の画像データを得るようにしたものである。
【0025】
こうした本発明によれば、元画像のRGB表色系の元画像の画像データと元画像に電子透かし情報を埋め込んだ画像のRGB表色系の元画像の画像データとにおける各情報の差が小さくなり、元画像に電子透かし情報を埋め込んだ画像におけるノイズの発生が抑制されて、元画像に電子透かし情報を埋め込んだ画像の画質の劣化が抑止される。
【0026】

より詳細には、まず、図2(b)に示す変換式中の赤色情報Rへの変換式である、以下に示す式2について着目する。
【0027】
R=(unsigned char){Y+1.401998(V−128)} ・・・ 式2
そして、この式2を、元画像のRGB表色系の画像データをRGB→YUV変換処理して得られた電子透かし情報の埋め込み処理が施されていないYUV表色系の画像データを、RGB表色系の画像データへ変換する際の赤色情報Rの変換式とする。
【0028】
一方、元画像のRGB表色系の画像データをRGB→YUV変換処理して得られたYUV表色系の画像データに対して、電子透かし情報の埋め込み処理を施す場合には、輝度情報Yに電子透かし情報のパターンを示す成分M(以下、単に「電子透かし成分M」と適宜に称する。)を埋め込むことにより、輝度情報Yは電子透かし成分Mを埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’に変換される。しかしながら、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vには電子透かし成分Mが埋め込まれないので、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vはそのまま変化しない。
【0029】
従って、電子透かし情報を埋め込む処理を施された赤色情報Rたる赤色情報R’は、以下の式7で表される。
【0030】
R’=(unsigned char){Y’+1.401998(V−128)} ・・・ 式7
これらの式2と式7との2つの式を用いて演算すると、
R’−R=Y’−Y
となり、
R’=R+(Y’−Y)
が得られる。
【0031】
ここで、元画像のRGB表色系の画像データの赤色情報Rは既知の値であり、輝度情報Yは図2(a)に示す式1により得られる値であり、輝度情報Y’は図2(a)に示す式1により得られた輝度情報Yに電子透かし成分Mを加算したものである。
【0032】
つまり、電子透かし情報の埋め込み処理を施された赤色情報R’は、元画像のRGB表色系の画像データの赤色情報Rに、電子透かし成分Mを埋め込んだ輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値を加えれば求められることになる。
【0033】

また、緑色情報Gと青色情報Bとについても、上記において説明した赤色情報Rの場合と同様である。
【0034】
まず、緑色情報Gについて説明すると、図2(b)に示す変換式中の緑色情報Gへの変換式である、以下に示す式5について着目する。
【0035】
G=(unsigned char){Y−0.344133(U−128)−0.714137(V−128)} ・・・ 式5
そして、この式5を、元画像のRGB表色系の画像データをRGB→YUV変換処理して得られた電子透かし情報の埋め込み処理が施されていないYUV表色系の画像データを、RGB表色系の画像データへ変換する際の緑色情報Gの変換式とする。
【0036】
一方、元画像のRGB表色系の画像データをRGB→YUV変換処理して得られたYUV表色系の画像データに対して、電子透かし情報の埋め込み処理を施す場合には、輝度情報Yに電子透かし成分Mを埋め込むことにより、輝度情報Yは電子透かし成分Mを埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’に変換される。しかしながら、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vには電子透かし成分Mが埋め込まれないので、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vはそのまま変化しない。
【0037】
従って、電子透かし情報を埋め込む処理を施された緑色情報Gたる緑色情報G’は、以下の式8で表される。
【0038】
G’=(unsigned char){Y’−0.344133(U−128)−0.714137(V−128)} ・・・ 式8
これらの式5と式8との2つの式を用いて演算すると、
G’−G=Y’−Y
となり、
G’=G+(Y’−Y)
が得られる。
【0039】
ここで、元画像のRGB表色系の画像データの緑色情報Gは既知の値であり、輝度情報Yは図2(a)に示す式1により得られる値であり、輝度情報Y’は図2(a)に示す式1により得られた輝度情報Yに電子透かし成分Mを加算したものである。
【0040】
つまり、電子透かし情報の埋め込み処理を施された緑色情報G’は、元画像のRGB表色系の画像データの緑色情報Gに、電子透かし成分Mを埋め込んだ輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値を加えれば求められることになる。
【0041】

次に、青色情報Bについて説明すると、図2(b)に示す変換式中の青色情報Bへの変換式である、以下に示す式6について着目する。
【0042】
B=(unsigned char){Y+1.772003(U−128)+0.000016(V−128)} ・・・ 式6
そして、この式6を、元画像のRGB表色系の画像データをRGB→YUV変換処理して得られた電子透かし情報の埋め込み処理が施されていないYUV表色系の画像データを、RGB表色系の画像データへ変換する際の青色情報Bの変換式とする。
【0043】
一方、元画像のRGB表色系の画像データをRGB→YUV変換処理して得られたYUV表色系の画像データに対して、電子透かし情報の埋め込み処理を施す場合には、輝度情報Yに電子透かし成分Mを埋め込むことにより、輝度情報Yは電子透かし成分Mを埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’に変換される。しかしながら、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vには電子透かし成分Mが埋め込まれないので、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vはそのまま変化しない。
【0044】
従って、電子透かし情報を埋め込む処理を施された青色情報Bたる青色情報B’は、以下の式9で表される。
【0045】
B’=(unsigned char){Y’+1.772003(U−128)+0.000016(V−128)} ・・・ 式9
これらの式6と式9との2つの式を用いて演算すると、
B’−B=Y’−Y
となり、
B’=B+(Y’−Y)
が得られる。
【0046】
ここで、元画像のRGB表色系の画像データの青色情報Bは既知の値であり、輝度情報Yは図2(a)に示す式1により得られる値であり、輝度情報Y’は図2(a)に示す式1により得られた輝度情報Yに電子透かし成分Mを加算したものである。
【0047】
つまり、電子透かし情報の埋め込み処理を施された青色情報B’は、元画像のRGB表色系の画像データの青色情報Bに、電子透かし成分Mを埋め込んだ輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値を加えれば求められることになる。
【0048】

即ち、従来の技術では、電子透かし成分Mの埋め込みを行っていない青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vが、表色系の変換によって誤差を生じることとなっていた。
【0049】
しかしながら、本発明においては、上記において説明したように、
R’=R+(Y’−Y) ・・・ 式10
G’=G+(Y’−Y) ・・・ 式11
B’=B+(Y’−Y) ・・・ 式12
で示す式10、式11および式12の3つの式を用いることによって、電子透かし情報を埋め込む処理を行う際に、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vについての表色系の変換を行う必要がないので、誤差の発生を大幅に抑制することができるようになる。
【0050】
従って、こうした本発明によれば、電子透かし情報が埋め込まれた画像に、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vについての表色系の変換誤差に起因するノイズを生じさせて画質が劣化させることがない。換言すれば、本発明を用いることにより、カラー画像に電子透かし情報を埋め込むにあたって、ノイズの発生を抑制して画質の劣化を抑止することができる。
【0051】

ところで、上記した変換式である
R’=R+(Y’−Y) ・・・ 式10
G’=G+(Y’−Y) ・・・ 式11
B’=B+(Y’−Y) ・・・ 式12
で示す式10、式11および式12の3つの式において、電子透かし成分Mを埋め込んだ輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)は、電子透かし成分Mに他ならないものである。
【0052】
従って、上記した3つの変換式は
R’=R+M
G’=G+M
B’=B+M
ただし M=Y’−Y
と書き替えることもできる。
【0053】

こうした本発明のうち請求項1に記載の発明は、カラー画像に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋め込み方法において、RGB表色系の元画像の画像データの赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとに基づいてYUV表色系の輝度情報Yを生成する第1のステップと、上記第1のステップで生成された輝度情報Yに対して電子透かし情報を埋め込んで、上記電子透かし情報を埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’を生成する第2のステップと、上記第1のステップで生成された輝度情報Yと上記第2のステップで生成された輝度情報Y’と上記元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとに基づいて、上記元画像に電子透かし情報を埋め込んだRGB表色系の画像データを生成する第3のステップとを有するようにしたものである。
【0054】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記第1のステップは、RGB表色系の画像データをYUV表色系の画像データに変換する変換処理において、輝度情報Yのみを生成するようにしたものである。
【0055】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項1または2のいずれか1項に記載の発明において、上記第3のステップは、上記第1のステップで生成された輝度情報Yと上記第2のステップで生成された輝度情報Y’との差分値を生成し、上記差分値と上記元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとをそれぞれ演算処理し、上記元画像に電子透かし情報を埋め込んだRGB表色系の画像データを生成するようにしたものである。
【0056】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項3に記載の発明において、上記演算処理は、上記差分値を上記元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとにそれぞれ加算する処理であるようにしたものである。
【0057】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の発明をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0058】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0059】
本発明は、以上説明したように構成されているので、カラー画像に電子透かし情報を埋め込むにあたって、ノイズの発生を抑制して画質の劣化を抑止することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による電子透かし埋め込み方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0061】

図7には、本発明による電子透かし埋め込み方法を実施するための電子透かし埋め込み処理装置のシステム構成の一例を表すブロック構成図が示されている。
【0062】
即ち、この本発明による電子透かし埋め込み処理装置10は、その全体の動作を中央処理装置(CPU)12を用いて制御するように構成されている。
【0063】
このCPU12には、バス14を介して、CPU12の制御のためのプログラムや後述する各種の情報などを記憶するリードオンリメモリ(ROM)やCPU12のワーキングエリアとして用いられる記憶領域などを備えたランダムアクセスメモリ(RAM)などから構成される記憶装置16と、CPU12の制御に基づいて各種の表示を行うCRTや液晶パネルなどの画面を備えた表示装置18と、表示装置18の画面上における任意の位置を指定するなどの操作を行うためのマウスなどのポインティングデバイス20と、任意の文字を入力するなどの操作を行うためのキーボードなどの文字入力デバイス22と、RGB表色系の画像データを入力するとともにRGB表色系の画像データを出力する画像データ入出力装置24とが接続されている。
【0064】
なお、電子透かし埋め込み処理装置10においては、ユーザーがポインティングデバイス20や文字入力デバイス22などの入力手段を操作することにより、ユーザーの所望の指示や設定を入力することができるようになされており、ユーザーによるポインティングデバイス20や文字入力デバイス22の操作に応じて表示装置18における表示が変化する。
【0065】

以上の構成において、図8に示すフローチャートならびに図9以下の各図を参照しながら、電子透かし埋め込み処理装置10によって実行される電子透かし埋め込み処理を詳細に説明する。
【0066】
ここで、図8には、電子透かし埋め込み処理装置10によって実行される電子透かし埋め込み処理の処理ルーチンを示すフローチャートが表されている。
【0067】
ユーザーがポインティングデバイス20や文字入力デバイス22などの入力手段を操作することにより、元画像への電子透かし情報の埋め込みを指示すると、この処理ルーチンが起動される。
【0068】
この処理ルーチンが起動されると、まず、画像データ入出力装置24により元画像のRGB表色系の画像データ(以下、「発明を実施するための最良の形態」の項においては、元画像のRGB表色系の画像データを「画像データRGB」と適宜に称する。)を読み込む(ステップS802)。
【0069】
次に、読み込まれた画像データRGBをYUV表色系の画像データに変換する処理を行うが、この際には、青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vは本発明における透かし埋め込み処理に必要ないので、表色系の変換は輝度情報Yのみ行い(図9参照)、図2(a)に示す式1により算出された値を四捨五入することにより輝度情報Yを得るようにする(ステップS804)。即ち、ステップS804では、青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vは生成しない。
【0070】
次に、ステップS804で得られた輝度情報Yに電子透かし成分Mを加算することによって、輝度情報Yに電子透かし成分Mを埋め込み、電子透かし情報を埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’を生成する(ステップS806)。
【0071】
それから、輝度情報Y’と輝度情報Yとの差分値を求めて輝度情報Yの変化分を示す値(Y’−Y)を取得し、上記した式10、式11および式12を用いて、値(Y’−Y)を画像データRGBにおける赤色情報R、緑色情報Gおよび青色情報Bに加算することによって、元画像に電子透かし情報が埋め込まれた画像のRGB表色系の画像データR’G’B’を生成する(ステップS808)。
【0072】
そして、ステップS808で生成された画像データR’G’B’は、画像データ入出力装置24により出力され(ステップS810)、電子透かし埋め込み処理の処理ルーチンを終了する。
【0073】

上記した電子透かし埋め込み処理の処理ルーチンを実行することにより、例えば、図10に示すように、画像データRGBと画像データR’G’B’との差を著しく低減することができ、画像データR’G’B’におけるノイズの発生を抑制して画質の劣化を抑止することができた。
【0074】
即ち、図10の(a)に着目すると、画像データRGBの赤色情報Rは「220」、緑色情報Gは「153」、青色情報Bは「191」となっている。このRGB表色系の画像データRGBをYUV表色系に変換する際には、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vへの変換は行わず、図2(a)に示す式1を用いた演算処理により輝度情報Yのみが取得され、得られた値を四捨五入することにより輝度情報Yが「177」と算出される。
【0075】
ここで、電子透かし成分Mの値を「3」とすると、輝度情報Yに電子透かし成分Mとして「3」を加算することによって、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’の値が「180」と求められる。さらに、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)として、「3」が得られる。
【0076】
そして、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)の値である「3」を赤色情報Rの「220」に加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された赤色情報R’として「223」が算出される。
【0077】
同様にして、緑色情報Gの「153」に値(Y’−Y)の値である「3」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された緑色情報G’は「156」と算出され、青色情報Bの「191」に値(Y’−Y)の値である「3」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された青色情報B’は「194」と算出される。
【0078】
また、図10の(b)では、画像データRGBの赤色情報Rは「222」、緑色情報Gは「225」、青色情報Bは「103」となっている。このRGB表色系の画像データRGBをYUV表色系に変換する際には、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vへの変換は行わず、図2(a)に示す式1を用いた演算処理により輝度情報Yのみが取得され、得られた値を四捨五入することにより輝度情報Yが「210」と算出される。
【0079】
ここで、電子透かし成分Mの値を「−2」とすると、輝度情報Yに電子透かし成分Mとして「−2」を加算することによって、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’の値が「208」と求められる。さらに、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)として、「−2」が得られる。
【0080】
そして、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)の値である「−2」を赤色情報Rの「222」に加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された赤色情報R’として「220」が算出される。
【0081】
同様にして、緑色情報Gの「225」に値(Y’−Y)の値である「−2」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された緑色情報G’は「223」と算出され、青色情報Bの「103」に値(Y’−Y)の値である「−2」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された青色情報B’は「101」と算出される。
【0082】
また、図10の(c)では、画像データRGBの赤色情報Rは「224」、緑色情報Gは「220」、青色情報Bは「100」となっている。このRGB表色系の画像データRGBをYUV表色系に変換する際には、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vへの変換は行わず、図2(a)に示す式1を用いた演算処理により輝度情報Yのみが取得され、得られた値を四捨五入することにより輝度情報Yが「208」と算出される。
【0083】
ここで、電子透かし成分Mの値を「−1」とすると、輝度情報Yに電子透かし成分Mとして「−1」を加算することによって、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’の値が「207」と求められる。さらに、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)として、「−1」が得られる。
【0084】
そして、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)の値である「−1」を赤色情報Rの「224」に加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された赤色情報R’として「223」が算出される。
【0085】
同様にして、緑色情報Gの「220」に値(Y’−Y)の値である「−1」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された緑色情報G’は「219」と算出され、青色情報Bの「100」に値(Y’−Y)の値である「−1」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された青色情報B’は「99」と算出される。
【0086】
また、図10の(d)では、画像データRGBの赤色情報Rは「219」、緑色情報Gは「215」、青色情報Bは「105」となっている。このRGB表色系の画像データRGBをYUV表色系に変換する際には、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vへの変換は行わず、図2(a)に示す式1を用いた演算処理により輝度情報Yのみが取得され、得られた値を四捨五入することにより輝度情報Yが「204」と算出される。
【0087】
ここで、電子透かし成分Mの値を「0」(電子透かし情報を埋め込まない場合である。)とすると、輝度情報Yに電子透かし成分Mとして「0」を加算することによって、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’の値が「204」と求められる。さらに、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)として、「0」が得られる。
【0088】
そして、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)の値である「0」を赤色情報Rの「219」に加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された赤色情報R’として「219」が算出される。
【0089】
同様にして、緑色情報Gの「215」に値(Y’−Y)の値である「0」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された緑色情報G’は「215」と算出され、青色情報Bの「105」に値(Y’−Y)の値である「0」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された青色情報B’は「105」と算出される。
【0090】
また、図10の(e)では、画像データRGBの赤色情報Rは「227」、緑色情報Gは「223」、青色情報Bは「140」となっている。このRGB表色系の画像データRGBをYUV表色系に変換する際には、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vへの変換は行わず、図2(a)に示す式1を用いた演算処理により輝度情報Yのみが取得され、得られた値を四捨五入することにより輝度情報Yが「215」と算出される。
【0091】
ここで、電子透かし成分Mの値を「2」とすると、輝度情報Yに電子透かし成分Mとして「2」を加算することによって、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’の値が「217」と求められる。さらに、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)として、「2」が得られる。
【0092】
そして、電子透かし成分Mが埋め込まれた輝度情報Y’から電子透かし成分Mを埋め込む前の輝度情報Yを引いた値(Y’−Y)の値である「2」を赤色情報Rの「227」に加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された赤色情報R’として「229」が算出される。
【0093】
同様にして、緑色情報Gの「223」に値(Y’−Y)の値である「2」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された緑色情報G’は「225」と算出され、青色情報Bの「140」に値(Y’−Y)の値である「2」を加算することにより、電子透かし埋め込み処理を施された青色情報B’は「142」と算出される。
【0094】
このようにして算出した電子透かし埋め込み処理を施された画像データR’G’B’により、画質の劣化の少ない電子透かし情報を埋め込まれた元画像を得ることができる。
【0095】

ここで、ピクセル解像度が2048×2560ピクセルのビットマップ形式の画像において、透かし強度4で透かし埋め込み処理を行った場合の従来の技術による手法と本発明による手法とについて、それぞれの画質変化評価を行った。
【0096】
図11には、その画質変化評価の結果が示されており、従来の技術による手法に比べて本発明による手法においては、青色成分色差情報Uおよび赤色成分色差情報Vの変化率が大幅に低減することが示された。
【0097】
また、本発明による手法においては、従来の技術による手法に比べて赤色情報R’、緑色情報G’および青色情報B’の変化率が小さいので、本発明による手法によれば従来の技術による手法よりもノイズを抑制して画質の劣化を抑止することができる。
【0098】
さらに、本発明による手法においては、赤色情報R’、緑色情報G’および青色情報B’の変化率は近似した値であり、基本的に輝度情報Yだけしか変化していないので、本発明による手法を用いた電子透かし埋め込み処理を施された画像は、高画質を保つことができる。
【0099】

なお、本発明による手法によれば、表色系の変換処理や電子透かし情報の埋め込み処理に関しては、青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vに対しては何らの処理も行っていないため、理論上は青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vの変化率はゼロとなるはずである。しかしながら、青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vの値が「0」または「255」付近の場合には、電子透かし成分を埋め込むことによってオーバーフローが発生してしまうため、図11に示すように、青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vの変化率はゼロとはならない場合がある。
【0100】

また、図12には、画像データRGBをRGB→YUV変換処理により得られた画像データYUVと、従来の技術により画像データYUVに電子透かし埋め込み処理を施した画像データY’UVと、本発明の手法により画像データYUVに電子透かし埋め込み処理を施した画像データY’UVとを比較した比較結果が示されている。
【0101】
この比較結果によれば、輝度情報Y’では従来の技術と本発明による手法とではあまり差がみられない。一方、電子透かし埋め込み処理を施していない青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vとの比較に関しては、図12において強調表示したように、従来の技術により画像データYUVに電子透かし埋め込み処理を施した画像データY’UVでは大きな差異が見られるのに対して、本発明の手法により画像データYUVに電子透かし埋め込み処理を施した画像データY’UVでは差異がほとんど見られない。
【0102】
なお、図12に示す比較結果においては、比較精度を高めるために四捨五入していない値を用いた。
【0103】

以上において説明したように、本発明の手法による電子透かし埋め込み方法を用いると、人間の目にとって敏感に感じられる青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vの変化を大幅に抑えることができる。例えば、透かし強度2の場合、図13に示すように、青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vの変化率に関して、本発明による手法は従来の技術に対して約80%の改善効果がある。
【0104】
また、従来の技術によれば、表色系の変換の際に図2(a)(b)に示す式1〜6に関して14回の演算処理を行っていたが、本発明による手法によれば、輝度情報Yの値のみが必要となるので式1における3回の演算処理だけを行えばよく、CPU12による演算処理を大幅に削減でき、処理速度を大幅に向上することができるものであり、例えば、約70%の改善効果がある。
【0105】
また、本発明による手法によれば、青色成分色差情報Uならびに赤色成分色差情報Vを記憶領域に保持しなくてもよいため、従来の技術において1ピクセルあたり6バイトを利用していたものが、1ピクセルあたり5バイトの利用ですみ、利用するメモリの消費量を約17%低減することができる。
そして、上記においても説明したように、本発明による手法によれば、従来の技術に比べて、元画像の画像データの値と元画像に電子透かし成分を埋め込んだ画像の画像データの値との差が小さくなるため、従来の技術よりも電子透かし埋め込み処理による画像の画質が向上し、透かし強度を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、RGB表色系の画像データに電子透かし情報を埋め込む際に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、従来の技術によるRGB表色系の画像データに電子透かし情報を埋め込む処理を示すブロック説明図である。
【図2】図2(a)は、画像データをRGB表色系からYUV表色系に変換するRGB→YUV変換処理に用いる変換式を示す説明図であり、図1(b)は、画像データをYUV表色系からRGB表色系に変換するYUV→RGB変換処理に用いる変換式を示す説明図である。
【図3】図3は、RGB表色系からYUV表色系への変換を行った後にさらにそのYUV表色系をRGB表色系へ変換した後において、元のRGB表色系と変換後のRGB表色系(変換後のRGB表色系のRをR’として示し、変換後のRGB表色系のGをG’として示し、変換後のRGB表色系のBをB’として示す。)とを比較し、R、G、Bのそれぞれが0〜255の範囲で変化する全部で16777216点の中で、「R−R’」と「G−G’」と「B−B’」とについて、それぞれ全16777216点中に誤差が1.0以上ある数の割合を示した図表である。
【図4】図4(a)は、青色成分色差情報Uの誤差範囲を示したグラフであり、図4(b)は、青色情報Bの誤差範囲を示したグラフである。
【図5】図5は、RGB表色系からYUV表色系への変換を行った後にさらにそのYUV表色系をRGB表色系へ変換した場合について、元のRGB表色系と変換後のRGB表色系(変換後のRGB表色系のRをR’として示し、変換後のRGB表色系のGをG’として示し、変換後のRGB表色系のBをB’として示す。)との誤差を説明するための図表である。
【図6】図6は、RGB表色系からYUV表色系への変換を行った後に、輝度情報Yに電子透かし情報を埋め込み輝度情報Y’を生成し、電子透かし情報を埋め込んだYUV表色系をRGB表色系へ変換した場合について、元のRGB表色系と変換後のRGB表色系(変換後のRGB表色系のRをR’として示し、変換後のRGB表色系のGをG’として示し、変換後のRGB表色系のBをB’として示す。)との誤差を説明するための図表である。
【図7】図7は、本発明による電子透かし埋め込み方法を実施するための電子透かし埋め込み処理装置のシステム構成の一例を表すブロック構成図である。
【図8】図8は、本発明による電子透かし埋め込み処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明によるRGB表色系の画像データに電子透かし情報を埋め込む処理を示すブロック説明図である。
【図10】図10は、本発明による電子透かし埋め込み方法で処理された画像データR’G’B’の算出結果を示す図表である。
【図11】図11は、透かし強度4の場合における本発明による各情報の変化率と従来の技術による各情報の変化率とを比較して示した図表である。
【図12】図12は、画像データRGBをRGB→YUV変換処理により得られた画像データYUVと、従来の技術により画像データYUVに電子透かし埋め込み処理を施した画像データY’UVと、本発明の手法により画像データYUVに電子透かし埋め込み処理を施した画像データY’UVとを比較した比較結果を示す図表である。
【図13】図13は、透かし強度2の場合における本発明による各情報の変化率と従来の技術による各情報の変化率とを比較して示したた図表である。
【符号の説明】
【0108】
10 電子透かし埋め込み処理装置
12 中央処理装置(CPU)
14 バス
16 記憶装置
18 表示装置
20 ポインティングデバイス
22 文字入力デバイス
24 画像データ入出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋め込み方法において、
RGB表色系の元画像の画像データの赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとに基づいてYUV表色系の輝度情報Yを生成する第1のステップと、
前記第1のステップで生成された輝度情報Yに対して電子透かし情報を埋め込んで、前記電子透かし情報を埋め込まれた輝度情報Yたる輝度情報Y’を生成する第2のステップと、
前記第1のステップで生成された輝度情報Yと前記第2のステップで生成された輝度情報Y’と前記元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとに基づいて、前記元画像に電子透かし情報を埋め込んだRGB表色系の画像データを生成する第3のステップと
を有することを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法において、
前記第1のステップは、RGB表色系の画像データをYUV表色系の画像データに変換する変換処理において、輝度情報Yのみを生成する
ことを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の電子透かし埋め込み方法において、
前記第3のステップは、前記第1のステップで生成された輝度情報Yと前記第2のステップで生成された輝度情報Y’との差分値を生成し、前記差分値と前記元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとをそれぞれ演算処理し、前記元画像に電子透かし情報を埋め込んだRGB表色系の画像データを生成する
ことを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電子透かし埋め込み方法において、
前記演算処理は、前記差分値を前記元画像のRGB表色系の赤色情報Rと緑色情報Gと青色情報Bとにそれぞれ加算する処理である
ことを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の電子透かし埋め込み方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−67233(P2008−67233A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244822(P2006−244822)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(300029617)株式会社シーフォーテクノロジー (5)
【Fターム(参考)】