説明

電子部品装着装置

【目的】 ノズルブロックが設けられた回転テーブルを停止させることなく、電子部品を高速で吸着、装着させる。
【構成】 回転テーブル1上に同心状に配設され、それぞれに吸着ノズル13が取り付けられた複数個のノズルブロック12をリンク機構36を介してサーボモータ22により回転駆動し、回転テーブル1の回転を停止させることなく、吸着ノズル13を自由な軋跡で上下させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子機器に取り付けられる基板などに電子部品を装着する電子部品装着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような電子部品装着装置は、従来は回転テーブル上に同心状に複数個の吸着ノズルを上下移動可能に搭載し、装置本体側に設けられた昇降機構により吸着ノズルを上下移動させていた。そして1つの吸着ノズルが吸着ステーションの位置に到達したときに、回転テーブルを停止して吸着ノズルにより電子部品を吸着し、再び回転テーブルを回転させて前記吸着ノズルが装着ステーションの位置に到達したときに、回転テーブルの回転を停止、基板上の所定の位置に電子部品を装着していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のように構成された従来の電子部品装着装置によると、吸着ノズルを上下移動させる昇降機構が装置本体側に固定されているため、電子部品の吸着、装着時には回転テーブルの回転を一時停止しなければならず、時間のロスとなっていた。また回転テーブルの回転、停止を行なうために分割装置が必要であり、コスト高になるという問題もあった。さらに回転テーブルを高速で停止、回転を行なうと、ノズル部が振動して吸着率が低下する恐れもあり、分割装置の寿命が短くなるという問題もあった。この場合分割装置の剛性を高めなければならず、大きさや重量が増大してさらにコスト高になる欠点があった。
【0004】本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、回転テーブルを停止させることなく、電子部品を高速で吸着装着することのできる電子部品装着装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の電子部品装着装置は、回転テーブル1上に同心上に配設され、それぞれに吸着ノズル13が取り付けられた複数個のノズルブロック12を有する電子部品装着装置において、ノズルブロック12をリンク機構36を介して回転テーブル1に配設したことを特徴としている。
【0006】請求項2に記載の電子部品装着装置は、リンク機構36が、同期回転する1対のプーリ24,27と、1対のプーリ24,27にそれぞれ一端が固定され、プーリ24,27の半径方向に平行に設けられた第1及び第2のリンク29,30と、第1及び第2のリンク29,30の他端にそれぞれ両端が回転自在に連結され、ノズルブロック12が固定された第3のリンク35とを備えることを特徴とする。
【0007】請求項3に記載の電子部品装着装置は、1対のプーリ24,27はサーボモータ22により回転駆動されることを特徴とする。
【0008】
【作用】上記構成の電子部品装着装置においては、サーボモータ22により1対のプーリ24,27を回転駆動することにより、リンク機構36を介してノズルブロック12が円運動を行なう。従って吸着ノズル13の先端の運動軌跡は、リンク機構36の運動と回転テーブル1の運動との合成されたものとなる。この時回転テーブル1の回転速度に対してサーボモータ22の回転速度を変化させ適正に設定することにより、吸着、装着時にノズル先端の運動を一時的に昇降運動のみとすることができる。従って回転テーブル1の回転を停止させることなく、吸着ノズル13により電子部品4の吸着、装着を行なうことができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の電子部品装着装置の一実施例を図面を参照して説明する。
【0010】図1乃至図4に本発明の一実施例の構成を示す。図2において、回転テーブル1の外周近傍には複数個、たとえば12個の吸着ノズル部材2が同心状に等ピッチで配設されている。そしてAの位置が供給テープ3に装着された電子部品4を吸着する吸着位置であり、Aに対して直径上で対向するBの位置が電子部品4を基板5上に装着する装着位置である。
【0011】電子部品4が装着された供給テープ3は矢印Z方向に移動し、吸着位置Aにおいて電子部品4の中心が後述する吸着ノズルの位置と一致して吸着が行なわれる。また装着位置Bにおいて吸着ノズルの下に図示しないX−Yテーブル上の基板5に、プログラムされた順に電子部品4が装着されている。回転テーブル1は時計方向に一定の速度で回転している。
【0012】吸着ノズル部材2は図1に示すように、回転テーブル1の外周に沿って取り付けられたノズル駆動機構11と、ノズル駆動機構11により駆動されるノズルブロック12と、ノズルブロック12の下端に固定された吸着ノズル13とから構成されている。
【0013】図3,4にノズル駆動機構11の詳細な構成を示す。回転テーブル1上に固定された基台21上にはサーボモータ22が軸方向を水平にして取り付けられている。サーボモータ22の出力軸23には第1のプーリ24が固定されており、基台21の上部には軸受25を介して回転軸26が出力軸23に平行に回転自在に支持されている。回転軸26には第1のプーリ24と同じ外径の第2のプーリ27が平行に固定されており、第1のプーリ24と第2のプーリ27との間にはタイミングベルト28が張架されている。
【0014】第1のプーリ24と第2のプーリ27とには、それぞれ半径方向に第1のリンク29と第2のリンク30との一端が相互に平行に固定されており、第1のリンク29と第2のリンク30とのそれぞれの他端には支軸31,32が植設されている。そして支軸31,32にはそれぞれ軸受33,34を介して第3のリンク35の両端が回転自在に連結されている。また第3のリンク35には図1に示すようにノズルブロック12が固定されており、第1、第2及び第3のリンク29,30,35によりリンク機構36を構成している。
【0015】次に本実施例の作用を説明する。1対のプーリ24,27はサーボモータ22によりタイミングベルト28を介して同期回転する。この回転によりリンク機構36を介してノズルブロック12もサーボモータ22の出力軸23を中心として円運動を行ない、ノズルブロック12に固定された吸着ノズル13の先端も同様の運動を行なう。一方回転テーブル1は一定の速度で回転しているので、吸着ノズル13の先端の運動軌跡は2つの運動が合成されたものとなる。なお図5はサーボモータ22の一般的な加減速を示す線図である。
【0016】図6に吸着ノズル13の先端の運動軌跡を示す。回転テーブル1の回転速度を一定とし、サーボモータ22の回転速度を変化させることにより、運動軌跡の曲線はA,B,Cに示すように変化する。図6では曲線Cに示す運動軌跡が最適であり、吸着ノズル13の先端の運動は一時的に昇降運動のみとなる。このような運動軌跡が得られるようにサーボモータ22の回転速度を設定すれば、回転テーブル1の回転による吸着ノズル13の周方向の移動が相殺されるので、このタイミングで電子部品4の吸着、装着を行なえば、回転テーブル1の回転を継続したままで吸着、装着が可能となる。またサーボモータ22のサーボ制御を最適にすることにより、より吸着率のよい運動軌跡の合成も可能となる。
【0017】本実施例によれば、ノズルブロック12をリンク機構36を介してサーボモータ22により回転させるようにしたので、吸着ノズル13の上下動の軌跡を自由に選択することができ、回転テーブル1の回転を継続した状態で電子部品4を高速で吸着、装着することができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子部品装着装置によれば、吸着ノズルが取り付けられたノズルブロックをリンク機構を介してサーボモータで回転駆動するようにしたので、吸着ノズルの上下動の軌跡を自由に選択でき、回転テーブルの回転を継続した状態で電子部品を高速で吸着、装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品装着装置の一実施例の要部の構成を示す正面図である。
【図2】本実施例が適用される回転テーブルの一例の構成を示す平面説明図である。
【図3】図1のノズル駆動機構の構成を示す縦断面図である。
【図4】図3のリンク機構の構成を示す正面図である。
【図5】図3のサーボモータの一般的な加減速を示す線図である。
【図6】本実施例による吸着ノズルの移動軋跡の一例を示す線図である。
【符号の説明】
1 回転テーブル
4 電子部品
12 ノズルブロック
13 吸着ノズル
22 サーボモータ
24,27 プーリ
29 第1のリンク
30 第2のリンク
35 第3のリンク
36 リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転テーブル上に同心状に配設され、それぞれに吸着ノズルが取り付けられた複数個のノズルブロックを有する電子部品装着装置において、前記ノズルブロックをリンク機構を介して前記回転テーブルに配設したことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項2】 リンク機構は、同期回転する1対のプーリと前記1対のプーリにそれぞれ一端が固定され、前記プーリの半径方向に平行に設けられた第1及び第2のリンクと、前記第1及び第2のリンクの他端にをれぞれ両端が回転自在に連結され、ノズルブロックが固定された第3のリンクとを備えることを特徴とする請求項1記載の電子部品装着装置。
【請求項3】1対のプーリはサーボモータにより回転駆動されることを特徴とする請求項1または2記載の電子部品装着装置

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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