説明

電極積層装置

【課題】電池の生産効率の向上を図ることが可能な電極積層装置の提供。
【解決手段】正極Pと負極NとをセパレータSを挟んで積層して構造体を形成する電極積層装置1であって、電極シートPSから正極Pを1枚ずつ切り出す切出装置10と、上記切り出されて落下した正極Pを受けて長手方向に搬送する正極搬送用コンベア20と、電極シートNSから負極Nを1枚ずつ切り出す切出装置30と、上記切り出されて落下した負極Nを受けて長手方向に搬送する負極搬送用コンベア40と、セパレータシートSSからセパレータSを2枚ずつ切り出す切出装置50と、上記切り出されて落下したセパレータSを受けて長手方向に搬送するセパレータ搬送用コンベア60と、上記各々のコンベアに搬送されている正極P、負極N、セパレータSを1枚ずつ積層部2に移送し、上記積層を行うハンド装置70と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極積層装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次電池等は、電極及びセパレータを交互に積層した構造体を有する。例えば、リチウムイオン二次電池は、正極にリチウム含有金属酸化物、負極に炭素材料を用い、その間に絶縁性の多孔性セパレータを交互に積層した構造体に電解液を含浸させ、ケースで密閉した構造となっている。
【0003】
ところで、このような二次電池を構成する正極、負極及びセパレータは、薄い材料で形成されていることから剛性が低く、取り扱いが非常に困難である。また、正極、負極、セパレータを積層させる際に位置ずれが生じると、電圧等の特性に影響し、電池の性能にばらつきが生じてしまう。このため、電池の性能にばらつきが生じないよう正極、負極、セパレータを積層させることが可能な技術が求められている。
【0004】
このような要求に応えるための技術が検討されており、例えば特許文献1では、正極マガジンと、負極マガジンと、一対の吸引機構を有する電極用トランスファと、正極及び負極の位置合わせを行う電極ゲージング機構と、積層用トランスファと、積層テーブルと、を備えた電極積層装置が開示されている。これにより、正極、負極、セパレータを積層させる際に位置ずれが生じることを抑制し、電池の性能にばらつきが生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−50583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術にあっては、電極を予めマガジンに収めて積んでおくという事前準備が必要となるため、電池の生産効率の点で課題がある。
【0007】
本発明は、上記課題点に鑑みてなされたものであり、電池の生産効率の向上を図ることが可能な電極積層装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、正極と負極とをセパレータを挟んで積層して構造体を形成する電極積層装置であって、第1の電極シートから上記正極を1枚ずつ切り出す第1の切出装置と、上記切り出されて落下した上記正極を受けて長手方向に搬送する正極搬送用コンベアと、第2の電極シートから上記負極を1枚ずつ切り出す第2の切出装置と、上記切り出されて落下した上記負極を受けて長手方向に搬送する負極搬送用コンベアと、セパレータシートから上記セパレータを2枚ずつ切り出す第3の切出装置と、上記切り出されて落下した上記セパレータを受けて長手方向に搬送するセパレータ搬送用コンベアと、上記各々のコンベアに搬送されている上記正極、上記負極、上記セパレータを1枚ずつ積層部に移送し、上記積層を行うハンド装置と、を有するという構成を採用する。
【0009】
この構成を採用することによって、本発明では、正極と負極をそれぞれ1枚ずつ、セパレータを2枚ずつ切り出して物量のバランスをとり、それぞれをコンベアで搬送する。そして、コンベアで搬送されている正極、負極、セパレータを1枚ずつ積層部に移送し、正極と負極とをセパレータで挟んで積層する。これにより、正極と負極とをマガジンに収めて積む事前作業をすることなく、構造体を形成することができる。
【0010】
また、本発明においては、上記移送される位置よりも上記長手方向上流側の位置で、上記切り出した上記正極及び上記負極及び上記セパレータのうち少なくとも1つを撮像する撮像カメラと、上記撮像により取得した画像データに基づいて、上記ハンド装置の駆動を制御する制御装置と、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ハンド装置により移送される位置よりも上流側で、切り出されたものを撮像し、画像データを取得してチェックすることで、不良品が積層部に移送されて積層されてしまうことを予防することができるため、構造体の歩留まりが高まる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、正極と負極とをセパレータを挟んで積層して構造体を形成する電極積層装置であって、第1の電極シートから上記正極を1枚ずつ切り出す第1の切出装置と、上記切り出されて落下した上記正極を受けて長手方向に搬送する正極搬送用コンベアと、第2の電極シートから上記負極を1枚ずつ切り出す第2の切出装置と、上記切り出されて落下した上記負極を受けて長手方向に搬送する負極搬送用コンベアと、セパレータシートから上記セパレータを2枚ずつ切り出す第3の切出装置と、上記切り出されて落下した上記セパレータを受けて長手方向に搬送するセパレータ搬送用コンベアと、上記各々のコンベアに搬送されている上記正極、上記負極、上記セパレータを1枚ずつ積層部に移送し、上記積層を行うハンド装置と、を有するという構成を採用することによって、正極と負極をそれぞれ1枚ずつ、セパレータを2枚ずつ切り出して物量のバランスをとり、それぞれをコンベアで搬送する。そして、コンベアで搬送されている正極、負極、セパレータを1枚ずつ積層部に移送し、正極と負極とをセパレータで挟んで積層する。これにより、正極と負極とをマガジンに収めて積む事前作業をすることなく、構造体を形成することができる。
したがって、本発明では、電池の生産効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における電極積層装置の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態における電極積層装置の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態における撮像カメラが取得した画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における電極積層装置1の構成を示す平面図である。図2は、本発明の実施形態における電極積層装置1の構成を示す正面図である。なお、図2においては、説明の便宜上、正極Pに関するラインのみを図示している。
図に示すように、電極積層装置1は、シート状の正極Pとシート状の負極Nとをシート状のセパレータSを挟んで積層して構造体を形成するものである。
【0014】
電極積層装置1は、電極シート(第1の電極シート)PSから正極Pを1枚ずつ切り出す切出装置(第1の切出装置)10と、上記切り出されて落下した正極Pを受けて長手方向(図1において紙面左右方向)に搬送する正極搬送用コンベア20と、電極シート(第2の電極シート)NSから負極Nを1枚ずつ切り出す切出装置(第2の切出装置)30と、上記切り出されて落下した負極Nを受けて長手方向に搬送する負極搬送用コンベア40と、セパレータシートSSからセパレータSを2枚ずつ切り出す切出装置(第3の切出装置)50と、上記切り出されて落下したセパレータSを受けて長手方向に搬送するセパレータ搬送用コンベア60と、上記各々のコンベアに搬送されている正極P、負極N、セパレータSを1枚ずつ積層部2に移送し、上記積層を行うハンド装置70と、を有する。また、電極積層装置1は、上記の各種構成機器の動作を統括的に制御する制御装置(図1において図示省略、図2参照)80を備えている。
【0015】
切出装置10は、巻き取りロール11と送り出しロール12とを備えてロールツーロール方式で電極シートPSを供給する電極シート供給装置13と、巻き取りロール11と送り出しロール12との間に渡された電極シートPSから正極Pを切り出すカッター装置14とを有する。
電極シートPSは、例えば活物質としてコバルト酸リチウムなどのリチウム含有金属酸化物が付着した、厚さ8〜20μm程度の金属箔のシートがロール体となったものであって、電極シート供給装置13にセットされている。この電極シートPSは、例えばアルミニウムの金属箔を基材に用い、粉末状のリチウム含有金属酸化物を基材の面上に配置する等して形成することができる。電極シート供給装置13は、制御装置80の制御の下、電極シートPSを所定速度で搬送する構成となっている。
【0016】
カッター装置14は、巻き取りロール11と送り出しロール12との間に渡された電極シートPSの真上に配置されたカッター刃15(図2において図示省略、図1参照)と、カッター刃15を電極シートPSに対し昇降させる昇降装置16とを有する。
カッター刃15は、平面視で略矩形の枠形状を有している。本実施形態のカッター刃15は、電極シートPSから、例えばJIS規格のA4サイズ程度の大きさの正極Pを切り出すことが可能な大きさを有する。昇降装置16は、制御装置80の制御の下、カッター刃15を所定タイミングで昇降させる構成となっている。
【0017】
図2に示すように、正極搬送用コンベア20の一端部21は、切出装置10の下方に位置する。正極搬送用コンベア20は、水平方向に延在しており、他端部(終端部)22に対向する位置には廃棄トレイ23が設けられている。正極搬送用コンベア20は、制御装置80の制御の下、正極Pを所定速度で、一端部21から他端部22に向けて搬送する構成となっている。正極搬送用コンベア20の構成としては、ベルトコンベア、空気浮上型コンベア等が採用できる。
【0018】
図1に戻り、切出装置30は、巻き取りロール31と送り出しロール32とを備えてロールツーロール方式で電極シートNSを供給する電極シート供給装置33と、巻き取りロール31と送り出しロール32との間に渡された電極シートNSから負極Nを切り出すカッター装置34とを有する。
電極シートNSは、例えば活物質として炭素材料が付着した、厚さ8〜20μm程度の金属箔シートがロール体となったものであって、電極シート供給装置33にセットされている。この電極シートNSは、例えば銅等の金属箔を基材に用い、粉末状の炭素を基材の面上に配置する等して形成することができる。電極シート供給装置33は、制御装置80の制御の下、電極シートNSを所定速度で搬送する構成となっている。
【0019】
カッター装置34は、巻き取りロール31と送り出しロール32との間に渡された電極シートNSの真上に配置されたカッター刃35と、カッター刃35を電極シートNSに対し昇降させる昇降装置36とを有する。
カッター刃35は、平面視で略矩形の枠形状を有している。本実施形態のカッター刃35は、電極シートNSから、上記正極Pと同程度の大きさの負極Nを切り出すことが可能な大きさを有する。昇降装置36は、制御装置80の制御の下、カッター刃35を所定タイミングで昇降させる構成となっている。
【0020】
負極搬送用コンベア40の一端部41は、切出装置30の下方に位置する。負極搬送用コンベア40は、水平方向に延在しており、他端部(終端部)42に対向する位置には廃棄トレイ43が設けられている。負極搬送用コンベア40は、制御装置80の制御の下、負極Nを所定速度で、一端部41から他端部42に向けて搬送する構成となっている。負極搬送用コンベア40の構成としては、ベルトコンベア、空気浮上型コンベア等が採用できる。
【0021】
切出装置50は、巻き取りロール51と送り出しロール52とを備えてロールツーロール方式でセパレータシートSSを供給するセパレータシート供給装置53と、巻き取りロール51と送り出しロール52との間に渡されたセパレータシートSSからセパレータSを2枚同時に切り出すカッター装置54とを有する。
セパレータシートSSは、例えば厚さ8〜25μm程度の絶縁性の樹脂材のシートがロール体となったものであって、セパレータシート供給装置53にセットされている。このセパレータシートSSは、例えば多孔質のポリエチレンやポリエステルからなる。セパレータシート供給装置53は、制御装置80の制御の下、セパレータシートSSを所定速度で搬送する構成となっている。
【0022】
カッター装置54は、巻き取りロール51と送り出しロール52との間に渡されたセパレータシートSSの真上に配置された2つのカッター刃55と、2つのカッター刃55を同時にセパレータシートSSに対し昇降させる昇降装置56とを有する。
カッター刃55は、平面視で略矩形の枠形状を有している。本実施形態のカッター刃55は、セパレータシートSSから、例えば上記正極P及び負極Nのサイズよりも一回り大きくセパレータSを切り出すことが可能な大きさを有する。昇降装置56は、制御装置80の制御の下、カッター刃55を所定タイミングで昇降させる構成となっている。
【0023】
セパレータ搬送用コンベア60の一端部61は、切出装置50の下方に位置する。セパレータ搬送用コンベア60は、正極搬送用コンベア20及び負極搬送用コンベア40よりも2倍の幅を有して水平方向に延在しており、他端部(終端部)62に対向する位置には廃棄トレイ63が設けられている。セパレータ搬送用コンベア60は、制御装置80の制御の下、セパレータSを所定速度で、一端部61から他端部62に向けて搬送する構成となっている。セパレータ搬送用コンベア60の構成としては、ベルトコンベア、空気浮上型コンベア等が採用できる。
【0024】
正極搬送用コンベア20と、負極搬送用コンベア40と、セパレータ搬送用コンベア60とは、並列で配置されている。また、セパレータ搬送用コンベア60の隣には、積層部2が配置されている。
ハンド装置70は、正極P、負極N、セパレータSを1枚ずつ吸着して保持する吸着ハンド71と、吸着ハンド71を昇降させるハンド昇降装置72と、吸着ハンド71及びハンド昇降装置72を、正極搬送用コンベア20、負極搬送用コンベア40、セパレータ搬送用コンベア60及び積層部2を跨いだコンベア幅方向に延びる移動経路上において横行させるハンド横行装置73と、を有する。
【0025】
吸着ハンド71は、吸盤型ハンドあるいは真空吸着型ハンドからなる。本実施形態では、薄いシート(正極P、負極N、セパレータS)を保持対象とするので、吸着ハンド71は、吸引孔の径が小さい多孔質材からなる吸着面を有する真空吸着型ハンドから構成するのが好ましい。吸着ハンド71は、制御装置80の制御の下、不図示の空気ポンプを駆動させ、内部を負圧状態にすることで、シートを吸着し、また、内部の負圧解除状態あるいは内部を加圧状態(逆噴射)にすることで、シートの吸着を解除する構成となっている。この吸着ハンド71は、シートの四隅に対応する位置に当接可能な配置となっている。ハンド昇降装置72は、制御装置80の制御の下、吸着ハンド71を昇降させる構成となっている。また、ハンド横行装置73は、制御装置80の制御の下、吸着ハンド71及びハンド昇降装置72を、正極搬送用コンベア20上で正極Pが搬送される位置、負極搬送用コンベア40上で負極Nが搬送される位置、セパレータ搬送用コンベア60上で2枚並行してセパレータSが搬送されるそれぞれの位置、積層部2の位置、へと移動させる構成となっている。
【0026】
吸着ハンド71及びハンド昇降装置72が横行する位置よりも、各々のコンベアの搬送方向上流側には、撮像カメラ81が設けられている。本実施形態の撮像カメラ81は、正極搬送用コンベア20上で正極Pが搬送される位置に1つ、負極搬送用コンベア40上で負極Nが搬送される位置に1つ、セパレータ搬送用コンベア60上で2枚並行してセパレータSが搬送されるそれぞれの位置に1ずつで計2つ、設けられて、それぞれの位置で定点観測する構成となっている。撮像カメラ81は、CCDカメラ等からなり、図2に示すように撮像により取得した画像データを制御装置80に伝送する構成となっている。制御装置80は、当該画像データに基づいて、ハンド装置70の駆動を制御する構成となっている。例えば、制御装置80は、当該画像データを画像処理して取得したシート(正極P、負極N、セパレータS)の外縁形状のデータから、折れ、めくれ、傷、破れ等を判定し、その値が予め定められた閾値を越える場合、不良品であると判断し、ハンド装置70によるシートの移送を行わない制御を行う。また、例えば、制御装置80は、当該画像データを画像処理して取得したシート(正極P、負極N)の色データから、活物質の削れ、穴、薄さ、傷等を判定し、その値が予め定められた閾値を越える場合、不良品であると判断し、ハンド装置70によるシートの移送を行わない制御を行う。
【0027】
続いて、上記構成の電極積層装置1の動作について説明する。
切出装置10は、電極シートPSから正極Pを1枚ずつ切り出して正極搬送用コンベア20の搬送面上に落下させる。具体的には、巻き取りロール11と送り出しロール12との間に配置したカッター刃15を昇降させ、電極シートPSから矩形状の正極Pを1枚ずつ切り出す。
また、同様にして、切出装置30は、電極シートNSから負極Nを1枚ずつ切り出して負極搬送用コンベア40の搬送面上に落下させる。
また、同様にして、切出装置50は、セパレータシートSSからセパレータSを2枚ずつ切り出してセパレータ搬送用コンベア60の搬送面上に落下させる。
以上により、正極Pと負極NとセパレータSとの物量のバランスをとる。
【0028】
切り出された正極Pは、正極搬送用コンベア20によって搬送されて、撮像カメラ81を用いた検査を受ける。具体的には、撮像カメラ81は、正極搬送用コンベア20上の正極Pを撮像し、その画像データを制御装置80に伝送する。制御装置80は、当該画像データを画像処理して、正極Pの外縁形状データや色データから損傷や形状等の問題の有無を判断する。
また、同様にして、切り出された負極Nは、負極搬送用コンベア40によって搬送されて、撮像カメラ81を用いた検査を受ける。
また、同様にして、切り出されたセパレータSは、セパレータ搬送用コンベア60によって搬送されて、撮像カメラ81を用いた検査を受ける。
【0029】
当該検査をクリアした正極Pは、ハンド装置70により、積層部2の積層トレイ3上に移送される。具体的には、ハンド横行装置73により吸着ハンド71を正極搬送用コンベア20上に位置させ、タイミングを測って、ハンド昇降装置72により吸着ハンド71を下降させて、当該検査をクリアした正極Pに当接させる。当接した吸着ハンド71が正極Pの四隅を吸着して保持したら、ハンド昇降装置72により吸着ハンド71を上昇させ、ハンド横行装置73により吸着ハンド71を積層部2の積層トレイ3上に位置させる。そして、ハンド昇降装置72により吸着ハンド71を下降させて、吸着解除を行い、正極Pを積層トレイ3上に載置する。
一方、当該検査で問題が有りと判断された場合、制御装置80は、ハンド装置70に当該正極Pを積層部2に移送させないよう指令を出す。したがって、当該正極Pは、正極搬送用コンベア20により、ハンド装置70より移送される位置よりも下流側に搬送され、他端部22から落下し、廃棄トレイ23に回収されることとなる。
【0030】
正極Pを積層トレイ3上に載置したら、次に、ハンド装置70は、検査をクリアしたセパレータSを拾い上げて、積層トレイ3に移送し、正極P上に積層する。一方、当該検査で問題が有りと判断された場合、制御装置80は、ハンド装置70に当該セパレータSを積層部2に移送させないよう指令を出し、不良品を廃棄トレイ63に落下させる。
セパレータSを積層トレイ3上に積層したら、次に、ハンド装置70は、検査をクリアした負極Nを拾い上げて、積層トレイ3に移送し、セパレータS上に積層する。一方、当該検査で問題が有りと判断された場合、制御装置80は、ハンド装置70に当該負極Nを積層部2に移送させないよう指令を出し、不良品を廃棄トレイ43に落下させる。
そして、負極Nを積層トレイ3上に積層したら、次に、ハンド装置70は、検査をクリアしたセパレータSを拾い上げて、積層トレイ3に移送し、正極P上に積層する。一方、当該検査で問題が有りと判断された場合、制御装置80は、ハンド装置70に当該セパレータSを積層部2に移送させないよう指令を出し、不良品を廃棄トレイ63に落下させる。
【0031】
以上の積層工程を複数回(例えば100回程度)繰り返すことにより、積層トレイ3上には、正極P、セパレータS、負極N、セパレータSの順に繰り返し積層された構造体が形成されることになる。この構造体は、例えば100層程度で構成されている。
その後、この構造体を載置した積層トレイ3を他の場所に移動させ、所定の処理をする。具体的には、正極P及び負極Nの不図示のタブをそれぞれ溶接し、この構造体を例えばアルミニウムからなるラミネートフィルムに入れ、電解液を注液し、構造体を含浸させる。この後、構造体をシールして密閉することにより、ラミネート型電池セルが得られる。
【0032】
したがって、上述の本実施形態によれば、正極Pと負極NとをセパレータSを挟んで積層して構造体を形成する電極積層装置1であって、電極シートPSから正極Pを1枚ずつ切り出す切出装置10と、上記切り出されて落下した正極Pを受けて長手方向に搬送する正極搬送用コンベア20と、電極シートNSから負極Nを1枚ずつ切り出す切出装置30と、上記切り出されて落下した負極Nを受けて長手方向に搬送する負極搬送用コンベア40と、セパレータシートSSからセパレータSを2枚ずつ切り出す切出装置50と、上記切り出されて落下したセパレータSを受けて長手方向に搬送するセパレータ搬送用コンベア60と、上記各々のコンベアに搬送されている正極P、負極N、セパレータSを1枚ずつ積層部2に移送し、上記積層を行うハンド装置70と、を有するという構成を採用することによって、正極Pと負極Nをそれぞれ1枚ずつ、セパレータSを2枚ずつ切り出して物量のバランスをとり、それぞれをコンベアで搬送する。そして、コンベアで搬送されている正極P、負極N、セパレータSを1枚ずつ積層部2に移送し、正極Pと負極NとをセパレータSで挟んで積層する。これにより、正極Pと負極Nとをマガジンに収めて積む事前作業をすることなく、構造体を形成することができる。
したがって、本実施形態では、電池の生産効率の向上を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態においては、上記移送される位置よりも上記長手方向上流側の位置で、上記切り出した正極P及び負極N及びセパレータSのそれぞれを撮像する撮像カメラ81と、上記撮像により取得した画像データに基づいて、ハンド装置70の駆動を制御する制御装置80と、を有するという構成を採用することによって、ハンド装置70により移送される位置よりも上流側で、切り出されたものを撮像し、画像データを取得してチェックすることで、不良品が積層部2に移送されて積層されてしまうことを予防することができるため、構造体の歩留まりが高まる。
また、本実施形態においては、上記各々のコンベアの上記長手方向終端部には、上記各々のコンベアからの落下物を受ける廃棄トレイ23,43,63が設けられているという構成を採用することによって、ハンド装置70により積層部2に移送されなかったものを、コンベア長手方向終端部に設けられた廃棄トレイ23,43,63に落下させ回収することができる。
【0034】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0035】
例えば、図3は、撮像カメラ81が取得した画像データの一例を示す図である。図に示すように、正極Pが基準位置Aからズレて搬送されている場合、当該正極Pが検査をクリアしてもハンド装置70によるハンドリングができない場合がある。そこで、制御装置80は、当該画像データから、基準位置Aからのズレを検出し、ハンド装置70の移送位置を補正する構成を採用してもよい。具体的には、ハンド装置70に、アライメントステージ(XYθステージ)を新たに導入し、そのステージに吸着ハンド71を設ける。そして、制御装置80は、図3に示す画像データから、正極Pの重心Pの位置と、基準位置Aの重心Aの位置とのXY座標における差を求める。ここで、X軸は、正極Pの搬送方向(コンベア長手方向)である。また、Y軸は、正極Pの搬送方向と直交する水平方向(コンベア幅方向)である。次に、制御装置80は、図3に示す画像データから、正極Pの重心Pにおける傾きと、基準位置Aの重心Aの傾きの差(θ:X軸及びY軸と直交するZ軸周りの角度)を求める。そして、制御装置80は、当該(X、Y、θ)の値に基づいて、アライメントステージを駆動させることで、確実な拾い上げを行う。また、移送中に、正しい向きに直すことで、積層部2における積層を正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1…電極積層装置、2…積層部、10…切出装置(第1の切出装置)、20…正極搬送用コンベア、23…廃棄トレイ(トレイ)、30…切出装置(第2の切出装置)、40…負極搬送用コンベア、43…廃棄トレイ(トレイ)、50…切出装置(第3の切出装置)、60…セパレータ搬送用コンベア、63…廃棄トレイ(トレイ)、80…制御装置、81…撮像カメラ、N…負極、NS…電極シート(第2の電極シート)、P…正極、PS…電極シート(第1の電極シート)、S…セパレータ、SS…セパレータシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とをセパレータを挟んで積層して構造体を形成する電極積層装置であって、
第1の電極シートから前記正極を1枚ずつ切り出す第1の切出装置と、
前記切り出されて落下した前記正極を受けて長手方向に搬送する正極搬送用コンベアと、
第2の電極シートから前記負極を1枚ずつ切り出す第2の切出装置と、
前記切り出されて落下した前記負極を受けて長手方向に搬送する負極搬送用コンベアと、
セパレータシートから前記セパレータを2枚ずつ切り出す第3の切出装置と、
前記切り出されて落下した前記セパレータを受けて長手方向に搬送するセパレータ搬送用コンベアと、
前記各々のコンベアに搬送されている前記正極、前記負極、前記セパレータを1枚ずつ積層部に移送し、前記積層を行うハンド装置と、を有することを特徴とする電極積層装置。
【請求項2】
前記移送される位置よりも前記長手方向上流側の位置で、前記切り出した前記正極及び前記負極及び前記セパレータのうち少なくとも1つを撮像する撮像カメラと、
前記撮像により取得した画像データに基づいて、前記ハンド装置の駆動を制御する制御装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電極積層装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−18776(P2012−18776A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154194(P2010−154194)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】