説明

電気かみそり

【課題】髭くずの飛散や衛生上の問題をなくした電気かみそりを提供する。
【解決手段】高電圧発生回路5の一極をヘッド部が一端に設けられた本体ハウジング1に設け、高電圧発生回路5の他極をヘッド部における内刃収納室内の内刃3や、該内刃収納室の底部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそり、殊に刃部の抗菌や髭くずの処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気かみそりは、外刃に設けられた刃孔から外刃内に導入した髭を外刃と外刃の内面に摺接する内刃とによって切断し、髭くずを内刃収納室の底部に貯めるものとなっている。
【0003】
そして内刃収納室に溜まった髭くずは、内刃収納室を開放してブラシなどで掃除したり、防水構造となったものでは水洗したりしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
髭を切断した時、すべての髭くずが内刃収納室に入るわけではなく、飛散してしまう髭くずの量が多い。また、内刃や外刃に髭くずが付着するとともに、付着した髭くずは掃除を行っても残ってしまい、衛生的に問題がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは髭くずの飛散や衛生上の問題をなくした電気かみそりを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
しかして本発明は、高電圧発生回路の一極を、ヘッド部が一端に設けられた本体ハウジングに設け、高電圧発生回路の他極を、ヘッド部における内刃を配した内刃収納室内に設けていることに特徴を有している。この場合、高電圧発生回路の他極は内刃としてもよいし、内刃収納室の底部に配してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、コロナ放電による電界で抗菌作用を発生させて内刃に付着した髭くずや脂質による菌の発生を防止して、いやな臭いが生じることを抑制したり、Gradient力で髭くずを内刃収納室内に導いたり、帯電させた髭くずを電極に吸着させたりすることで、髭くずの飛散を防止したりすることができる。また、刃部を肌に近づければ誘導帯電現象によって髭の起毛がなされ、髭の刃部への導入効率が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を図示の実施の形態に基づいて詳述すると、図3において、1は駆動用モータを内蔵する本体ハウジングであり、本体ハウジング1の上端面から突出する駆動子10には内刃3が連結されている。複数枚のブレード30が並んでいる内刃3は、駆動子10によって往復駆動される。
【0009】
そして、上記本体ハウジング1には高電圧発生回路5が内蔵されており、高電圧発生回路5の一極(グランド側)が内刃3の各ブレード30に接続され、高電圧発生回路5の他極である針状の放電電極50が本体ハウジング1の上端面(内刃収納室の底面)から立ち上げられて上端を内刃3の近傍に位置させたものとなっている。高電圧発生回路5は放電電極50に0.1kV〜100kV程度の高電圧を印加することで、放電電極50と内刃3のブレード30との間にコロナ放電を行わせ、該放電による電界で抗菌作用を発生して、内刃3に付着した髭くずや脂質に起因する菌の発生を防止する。
【0010】
放電電極50は図4に示すように、駆動子10における内刃3との連結係合部である連結ピン11を放電電極50としたものであってもよい。
【0011】
図5は内刃3の各ブレード30間に断面が三角形状の放電電極50を配置し、各ブレード30をグランドに接続したものを示している。このものでは、放電電極50と内刃3との間に0.1kV〜100kV程度の高電圧を印加することで、Gradient力を発生させ、内刃3のブレード30間の髭くずを下方へと落とすことで、内刃3への髭くずの付着を防ぐ。図6に示すように、内刃3における一つおきのブレード30を放電電極50とし、他のブレード30をグランドに接続しても同様の作用を得ることができる。
【0012】
図7に示すものでは、内刃3におけるアーチ状ブレード30の中心部に棒状の放電電極50を配置している。放電電極50と内刃3との間に0.1kV〜100kV程度の高電圧を印加することで、面放電による誘導帯電現象で髭くずをイオン化させ、内刃3間に残っている髭くずを放電電極50に吸い寄せることで、内刃3のブレード30への髭くずの付着を防いでいる。
【0013】
高電圧発生回路5の電源側を本体ハウジング1の上端面(内刃収納室の底部)に配した導電板51に接続し、高電圧発生回路5の出力側である他極を内刃3に接続してブレード30を放電電極50としたものを図8に示す。このものにおいては、内刃3に−0.1kV〜−100kV程度の高電圧を印加するものであり、剃られた髭くずは誘導帯電現象によりイオン化されるために、電源側である導電板51上に集められる。放電電極50は図9に示すように、外刃フレーム40で保持している外刃4としたり、図10に示すように内刃3における導電板51と対面する下面に配してもよい。
【0014】
図11は外刃フレーム40の内面に先端が導電板51に向けられた針状の放電電極50を設けたものを示しており、導電板51に対して放電電極50に0.1kV〜100kV程度の直流高電圧を印加してコロナ放電を報じさせると、その電界によって髭くずを導電板51に押しつける力が作用するために、髭くずの飛散が防止される。
【0015】
図12に示すように、内刃の下面に先端が導電板51に向けられた針状の放電電極50を設けてコロナ放電を生じさせてもよい。
【0016】
図13に示したものは、本体ハウジング1の上端面(内刃収納室の底面)に配した導電板51を2つに分割して、一方51aを高電圧発生回路5の一極に接続し、他方51bを他極に接続するとともに、両導電板51a,51bの中央部がもっとも低くなるように両導電板51a,51bを傾斜させたものとなっている。両導電板51a,51b間に0.1kV〜100kV程度の直流高電圧を印加して面放電させることでGradient力を発生させれば、髭くずは両導電板51a,51bの間に集められる。導電板51の分割方向は任意であり、また分割数も図示例に限るものではない。
【0017】
図14に示すものでは、内刃収納室内に面状の外部放電板52を配置し、外部放電板52にプラス、内刃3にマイナスの数kVの高電圧を印可するようにしたもので、誘導帯電の集塵作用により、プラス側の外部放電板52に髭くずが吸い寄せられるために、髭くずの飛散や内刃3への髭くずの付着を防ぐことができる。
【0018】
高電圧発生回路5のマイナス側は図15に示すように外刃4に接続したり、図16に示すように内刃収納室底部の導電板51に接続してもよい。いずれの場合も外部放電板52に髭くずが吸着されるために、外刃4への髭くずの付着や髭くずの飛散を防いだり、導電板51上に髭くずが広がってしまうことを防ぐことができる。高電圧発生回路5のマイナス側を内刃3と外刃4と導電板51のすべてに接続したり、あるいは接続を切りかえることができるようにしておいてもよい。
【0019】
高電圧発生回路5の一極(グランド側)を本体ハウジング1の少なくとも一部に接続し、他極は内刃3に接続した例を図1及び図2に示す。本体ハウジング1は髭剃りに際して使用者が握るところであるために、使用者の体は高電圧発生回路5のグランドと同電位となる。このために、0.1kV〜100kV程度の直流高電圧を内刃3に印加すれば、使用者の体は内刃3との間に高電圧が印加された状態となる。
【0020】
従って髭を剃るために刃部を肌に近づけると、内刃3との間で誘導帯電現象が起こって髭が内刃3の方に引っ張られる。このために、くせ髭についても刃部に容易に導入することができて剃り残しがなくなる。なお、内刃3の表面には絶縁を施して、肌との接触による短絡を防止する。
【0021】
一極(グランド側)を本体ハウジング1に接続した高電圧発生回路5の他極は図17及び図18に示すように表面が絶縁処理された外刃4に接続したり、あるいは図19に示すように外刃フレーム40における外刃4の近傍に接続してもよい。図18に示すように誘導帯電現象によって髭の起毛がなされるために髭の刃部への導入効率が高くなる。外刃4の近傍に放電電極50を設置する場合、外刃4を放電電極50とする場合よりも絶縁処理が容易である。
【0022】
一極(グランド側)を本体ハウジング1に接続した高電圧発生回路5の他極は図20に示すように内刃収納室の底部に位置させる導電板51に接続しても、髭の起毛作用を得ることができ、また剃った髭くずは誘導帯電現象により導電板51側に吸い寄せられるために集塵効果も得ることができる。
【0023】
トリマー部6を備えた電気かみそりにおいては、図21に示すように、外刃4に高電圧発生回路5の電源側を接続し、高電圧発生回路5を通してトリマー部6に他極を接続し、外刃4に対してトリマー部6に−0.1kV〜−100kV程度の直流高電圧を印加すると、剃られた髭くずは誘導帯電現象によってイオン化されてトリマー部6側に引き寄せられる。従って、外刃4の内部に入らなかった髭くずは飛散することなく、トリマー部6に引き寄せられるものであり、従って、トリマー部6に集塵部60を設けておけば、この集塵部60に髭くずを集めることができる。
【0024】
外刃4に電源側を接続するのではなく、図22に示すように、内刃3に接続してもよく、さらに図23に示すように、内刃収納室底部に配した導電板51に接続してもよい。
【0025】
ところで高電圧発生回路5のオンオフは、図24に示すように、内刃3の駆動用のモータMのためのオンオフ用スイッチ7によって同時に行われるようにしておけばよいが、外刃フレーム40が本体ハウジング1に対して開閉自在となっている場合、外刃フレーム40の開閉に連動するスイッチ8を設けて、図25に示すように、該スイッチ8で高電圧発生回路5をオンオフするようにしておくとよい。外刃フレーム40が閉じられている時だけ、高電圧が発生するようにしておくのである。もちろん、スイッチ7とスイッチ8とを高電圧発生回路5とを直列に接続しておいてもよい。
【0026】
図26に他例を示す。これは放電電極50として、導電板51に先端を向けた針状のもの50aと、導電板51と逆方向を向いた針状のもの50bとを設けて高電圧発生回路5に導電板51と放電電極50a,50bとを接続するとともに、高電圧発生回路5と各放電電極50a,50bとの間にスイッチ7に連動するスイッチ7a,7bを設けたもので、スイッチ7がオンの時にはスイッチ7aも閉じて放電電極50aと導電板51との間に高電圧を印加し、コロナ放電を生じさせて髭くずが導電板51に押しつけられ、スイッチ7がオフの時にはスイッチ7bが閉じて放電電極50bと導電板51との間に高電圧を印加し、コロナ放電による電界によって抗菌作用が発生するようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態の一例の斜視図ある。
【図2】同上の使用状態を示す側面図である。
【図3】同上の他例の斜視図である。
【図4】同上の更に他例の斜視図である。
【図5】同上の別の例の部分正面図である。
【図6】同上の更に別の例の部分正面図である。
【図7】同上の他例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は概略断面図である。
【図8】別の例の斜視図である。
【図9】同上の他の例の斜視図である。
【図10】同上の更に他例の斜視図である。
【図11】同上の別の例の概略断面図である。
【図12】同上の更に別の例の斜視図である。
【図13】異なる例の概略断面図である。
【図14】他例の断面図である。
【図15】同上の別の例の断面図である。
【図16】同上の更に別の例の断面図である。
【図17】同上の他の例の斜視図である。
【図18】同上の作用を示す概略断面図である。
【図19】同上の別の例の概略断面図である。
【図20】同上の更に別の例の斜視図である。
【図21】異なる例の概略側面図である。
【図22】同上の他例の概略側面図である。
【図23】同上の別の例の概略側面図である。
【図24】一例におけるブロック回路図である。
【図25】他例のブロック回路図である。
【図26】別の例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 本体ハウジング
3 内刃
5 高電圧発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧発生回路の一極を、ヘッド部が一端に設けられた本体ハウジングに設け、高電圧発生回路の他極を、ヘッド部における内刃を配した内刃収納室内に設けていることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
高電圧発生回路の他極を内刃としていることを特徴とする請求項1記載の電気かみそり。
【請求項3】
高電圧発生回路の他極を内刃収納室の底部に配していることを特徴とする請求項1記載の電気かみそり。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−98157(P2007−98157A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340404(P2006−340404)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願平10−179069の分割
【原出願日】平成10年6月25日(1998.6.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】