説明

電気かみそり

【課題】使用時に、開口部の開閉を行う操作子を誤って操作してしまうことを抑制することのできる電気かみそりを得る。
【解決手段】電気かみそり1は、把持部2と、把持部2に支持されるヘッド部3と、を備えている。ヘッド部3は、外刃51と、当該外刃51の内方に配設されて外刃51に対して相対移動することで、刃穴に挿入された体毛を切断する内刃54と、切断した体毛を溜めることが可能な空間部Sと、を有している。そして、ヘッド部3には、空間部Sに連通する開口窓210と、当該開口窓210を開閉可能に覆う蓋部200とが形成されており、蓋部200を操作する操作子203が、電気かみそり1の正面1aにおける端部1cに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気かみそりとして、外刃ホルダに通水用の開口窓を形成し、当該開口窓を蓋部で開閉可能に覆ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、操作子を上下方向にスライドさせることで蓋部を回動させて、開口窓の開閉を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−075253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、使用者が把持するかみそり本体の中心軸上に操作子が設けられているため、電気かみそりの使用時に、使用者が誤って操作子を操作してしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、使用時に、開口窓の開閉を行う操作子を誤って操作してしまうことを抑制することのできる電気かみそりを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、把持部と、前記把持部に支持されるヘッド部と、を備える電気かみそりであって、前記ヘッド部は、外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、切断した体毛を溜めることが可能な空間部と、を有しており、前記ヘッド部には、前記空間部に連通する開口窓と、当該開口窓を開閉可能に覆う蓋部とが形成されており、前記蓋部を操作する操作子が、前記電気かみそりの正面における端部に形成されていることを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の特徴は、前記開口窓が前記電気かみそりの正面における端部に形成されており、前記操作子が前記蓋部の前記開口窓を覆う領域に設けられていることを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の特徴は、前記外刃と前記内刃とを相対移動させるスイッチ部が前記電気かみそりの正面に設けられていることを要旨とする。
【0010】
本発明の第4の特徴は、前記開口窓が複数設けられていることを要旨とする。
【0011】
本発明の第5の特徴は、前記電気かみそりの正面における中央部の前記操作子よりも下側に滑り止め部が設けられていることを要旨とする。
【0012】
本発明の第6の特徴は、前記電気かみそりの正面視で、前記内刃の端縁と前記開口窓とが上下方向でオーバーラップしていることを要旨とする。
【0013】
本発明の第7の特徴は、前記内刃は、前記外刃に対して往復動しており、前記電気かみそりの正面視における前記内刃の端縁が、前記外刃に対する往復動のいずれの状態にあっても、前記開口窓と上下方向でオーバーラップしていることを要旨とする。
【0014】
本発明の第8の特徴は、前記内刃が駆動子の内刃装着部に取り付けられており、前記内刃装着部が、前記電気かみそりの正面視において、前記開口窓と上下方向でオーバーラップしていないことを要旨とする。
【0015】
本発明の第9の特徴は、前記空間部を画成する下面部には、前記電気かみそりの正面視における中央部から前記開口窓に向けて傾斜する傾斜部が形成されていることを要旨とする。
【0016】
本発明の第10の特徴は、1つの前記操作子で複数の前記開口窓を開閉することが可能となるように形成されていることを要旨とする。
【0017】
本発明の第11の特徴は、複数の前記開口窓のうち少なくともいずれか1つの開口窓に前記操作子が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、開口窓を開閉可能に覆う蓋部を操作する操作子を、電気かみそりの正面における端部に形成している。すなわち、電気かみそり正面における使用者が把持部を把持した際に親指が置かれる部位から左右に外れた部位に操作子を設けている。そのため、電気かみそり使用時に、開口窓の開閉を行う操作子を誤って操作してしまうことを抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電気かみそりを示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる電気かみそりを示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる開口窓を示す図であって、蓋部により開口部が閉じられた状態を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる開口部を示す図であって、蓋部により開口部が閉じられた状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるヘッド部を示す図であって、蓋部により開口部が閉じられた状態において、刃フレーム部および内刃を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】図5に内刃を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる開口部を示す図であって、蓋部により開口部が開かれた状態を示す正面図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる開口部を示す図であって、蓋部により開口部が開かれた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかるヘッド部を示す図であって、蓋部により開口部が開かれた状態において、刃フレーム部および内刃を取り外した状態を示す斜視図である。
【図10】図9に内刃を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、複数の外刃が並設される方向を前後方向(剃り方向)X、各外刃が延在する方向を左右方向Y、外刃が上方を向くようにヘッド部を配置した状態における上下方向を上下方向Zとして説明する。また、電気かみそりのスイッチ部が設けられている側を前後方向X前方として説明する。
【0021】
本実施形態にかかる電気かみそり1は、図1に示すように、手で把持する把持部2と、把持部2に支持されるヘッド部3と、を備えている。
【0022】
把持部2は、合成樹脂製の把持部本体21を備えており、この把持部本体21には、駆動機構100の回転モータ110(図2参照)の駆動をオン・オフさせるスイッチ部22が形成されている。また、電気かみそり1の正面視(電気かみそり1をスイッチが設けられている側から見た状態)で、把持部本体21の両端には、接点端子23が突設されている。この接点端子23は、リード線23aを介して、把持部本体21内部に内蔵される充電池120に電気的に接続されている。そして、図示せぬ充電台に電気かみそり1を載置し、接点端子23を充電台の接点部に当接させることで充電を行えるようになっている。また、本実施形態にかかる電気かみそり1にはトリマーユニット4が形成されており、把持部本体21の背面側(後側:スイッチ部22が形成されている面の反対側)には、トリマーハンドル41が上下方向にスライド可能に取り付けられている。このトリマーハンドル41の上端には、トリマー刃41aが形成されており、トリマーハンドル41は保持枠42によって保持されている(図2参照)。なお、トリマーユニット4を設けないようにしてもよい。
【0023】
電気かみそり1の外壁をなす把持部本体21は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。複数の分割体は、ねじ84を用いたり、分割体同士を嵌合させたりすることで継ぎ合わせることができる。そして、把持部本体21の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0024】
本実施形態では、図2に示すように、前側ハウジング25と後側ハウジング26とをOリング26aを介して継ぎ合わせて形成される密閉空間内に、回転モータ110や充電池120等を収容している。
【0025】
充電池120は、電池陽極金具122および電池陰極金具123に当接するように電池基台121に取り付けられており、電池陽極金具122および電池陰極金具123は回路基板124に電気的に接続されている。この回路基板124には、スイッチ釦軸127が取り付けられており、スイッチ部22を押圧することで、スイッチ釦軸127が押圧されて回転モータ110(図2参照)の駆動のオン・オフが切り換えられるようになっている。なお、回転モータ110は、リード線112を介して充電池120に電気的に接続されている。また、図2の符号22aはフィルタ押さえ板、22bはフィルタ、125はOリング、126は座金である。
【0026】
さらに、本実施形態では、前側ハウジング25および後側ハウジング26の下部に、下側カバー29a,29bがそれぞれ取り付けられている。そして、前側ハウジング25の前部には、前面パネル28が取り付けられており、前面パネル28の上側には、シャッター(蓋部)200を上下方向にスライド可能に保持するシャッターカバー27が取り付けられている。
【0027】
そして、ヘッド部3には上方に向けて露出する外刃51が形成されており、外刃51の内方(外刃51の下側)に配設された内刃54を外刃51に対して相対移動(左右方向Yへ往復動)させることで、外刃51の刃穴内に挿入された体毛を、外刃51と内刃54とで協働して切断するようにしている。
【0028】
以下、ヘッド部3の構成について説明する。
【0029】
ヘッド部3は、図2に示すように、把持部本体21に一体に設けられたヘッド部本体70と、当該ヘッド部本体70に着脱自在に装着される刃フレーム部30と、を備えている。
【0030】
本実施形態では、上方に向けて開口したヘッドケース71に形成された駆動機構収容部72内に回転モータ110以外の駆動機構100を収容するとともに、当該回転モータ110以外の駆動機構100を駆動機構収容部72内に収容した状態で上開口部にヘッドケースカバー81を被せ、駆動子防水ゴム82とゴム押さえ板83を介してねじ84で固定することで、ヘッド部本体70を形成している。
【0031】
具体的には、駆動機構100は、図2に示すように、回転モータ110と、当該回転モータ110に支持され、互いに逆位相で往復動する第1および第2駆動子130,140と、回転モータ110の回転運動を往復運動に変換して第1および第2駆動子130,140に伝達する変換機構180と、を備えている。
【0032】
回転モータ110は、回転軸111を駆動機構収容部72内に突出させた状態でヘッドケース71の下方の把持部本体21に収容されている。
【0033】
また、変換機構180としては、公知のものを用いることができ、例えば、偏心軸を回転モータ110の回転軸111から偏心させて設けることで回転モータ110の回転運動を往復運動に変換させることができる。このとき、回転モータ110の回転軸111回りに180°の位相差で2つの偏心軸を設けるようにすれば、回転モータ110の回転運動を第1駆動子130および第2駆動子140の逆位相の往復運動に変換させることができる。
【0034】
第1および第2駆動子130,140には、内刃54が着脱可能に取り付けられる内刃装着部131,141がそれぞれ設けられている。なお、図2の符号131a,141aは内刃54を上方に付勢するスプリング、131b,141bはスプリング131a,141aを上方に付勢した状態で保持するストッパである。
【0035】
本実施形態では、駆動機構100は、回転モータ110、内刃54およびトリマー刃41aが取り付けられる装着部以外の部位が、駆動機構収容部72内に収容されている。上述したように、回転モータ110は、把持部本体21内に収容されており、内刃54およびトリマー刃41aが取り付けられる装着部は、ヘッド部本体70の上方に露出している。
【0036】
具体的には、まず、ヘッドケースカバー81をヘッドケース71の上開口部に被せる際に、第1および第2駆動子130,140の内刃装着部131,141をヘッドケースカバー81に形成された挿通孔81aから挿通させて、ヘッドケースカバー81の上方に露出させる。
【0037】
次に、上方に露出した内刃装着部131,141を駆動子防水ゴム82に形成された挿通孔82a,82bから挿通させて、駆動子防水ゴム82の上方に露出させる。このとき、内刃装着部131,141の首部が駆動子防水ゴム82にて緊迫され、駆動機構収容部72の内部空間が封止されるようにしている。
【0038】
そして、駆動子防水ゴム82の上方に露出した内刃装着部131,141を、ゴム押さえ板83に形成された挿通孔83aから挿通させてゴム押さえ板83の上方に露出させる。また、ゴム押さえ板83の上方に露出した内刃装着部131,141に、駆動桿132,142をそれぞれ取り付ける。こうして、駆動機構100は、内刃54およびトリマー刃41aが取り付けられる装着部のみがヘッド部本体70の上方に露出した状態で駆動機構収容部72内に収容される。すなわち、本実施形態では、第1および第2駆動子130,140の内刃装着部131,141と内刃装着部131,141にそれぞれ取り付けられる駆動桿132,142が内刃54およびトリマー刃41aが取り付けられる装着部となっている。
【0039】
このように、本実施形態では、ヘッドケース71、ヘッドケースカバー81、駆動子防水ゴム82およびゴム押さえ板83により略箱状の防水空間(封止空間)を形成し、内刃54によって剃られた体毛、内刃54を洗浄する際に使用する水などが、回転モータ110等が収容される防水空間内に侵入するのを抑制している。このとき、ヘッドケースカバー81、駆動子防水ゴム82およびゴム押さえ板83の上部には、内刃54によって剃られた体毛を溜めることが可能な空間部Sが形成される。すなわち、空間部Sは、ヘッドケースカバー81、駆動子防水ゴム82およびゴム押さえ板83によって下面が画成されている。
【0040】
刃フレーム部30は、図2に示すように、複数の外刃51を上下動自在に備えた箱型の外刃カセット50と、当該外刃カセット50を下側から収納して装着させることで外刃カセット50の外刃フレーム59を全周に亘って覆い隠す筒型の外周枠60と、を備えている。
【0041】
外刃カセット50は、前後方向Xに複数並設された外刃51を備えている。本実施形態では、3枚(複数)の外刃51を備えており、第1のネット刃51a、スリット刃51c、第2のネット刃51bが前後方向Xに並設されている(図4参照)。
【0042】
ネット刃51a,51bはいずれも、図4に示すように、側面視(左右方向Yに外刃を視た状態)で上方が凸となるように前後方向(短手方向)Xに沿って逆U字状に湾曲して形成されている。さらに、ネット刃51a,51bは、正面視(前後方向Xに外刃を視た状態)で上方が凸となるように左右方向(長手方向)Yに沿って若干湾曲して形成されている。なお、本実施形態では、ネット刃51a,51bを、正面視で上方が凸となるように湾曲させているが、必ずしも湾曲させる必要はない。
【0043】
そして、このネット刃51a,51bには、多数の刃穴(図示せず)が画成されている。
【0044】
スリット刃51cは、図4に示すように、前後方向(短手方向)Xに沿ってコ字状に湾曲形成されており、平坦な上壁から側壁に至る多数のスリット(刃穴)を穿設することで形成されている。
【0045】
すなわち、スリット刃51cには、多数のスリット(刃穴)が、平坦な上壁から側壁に至る略コ字状の桟および側壁の下部で長手方向(左右方向)Yに沿って延在する桟によって画成されている。
【0046】
そして、外刃51を成す各ネット刃51a,51bおよびスリット刃51cは、それぞれ専用の外刃枠に取り付けることで、外刃ユニットを形成している。
【0047】
そして、外刃ユニットを、外刃フレーム59にそれぞれ独立して上下移動可能に係合させることで、外刃カセット50を形成している。この外刃カセット50は、外周枠60に着脱自在に装着されるとともに、ヘッド部本体70に着脱自在に装着されるものである。
【0048】
内刃54は、外刃51を成す各ネット刃51a,51bおよびスリット刃51cに対して専用のものが設置されている。具体的には、各ネット刃51a,51bの下方(内方)に、対応するネット刃51a,51bの湾曲に沿う逆U字状の内刃54a,54bが配設されている(図4参照)。そして、スリット刃51cの下方(内方)には、このスリット刃51cの湾曲に沿うコ字状のスリット内刃54cが配設されている。
【0049】
本実施形態では、内刃54a,54bは、第1および第2駆動子130,140の内刃装着部131,141に取り付けられている。また、スリット内刃54cは、駆動桿132に取り付けられている。そして、駆動機構100を駆動させると、内刃54a,54bおよびスリット内刃54cがそれぞれ左右方向(長手方向)Yに往復動するようになっている。なお、駆動桿142には、トリマー刃41aが取り付けられており、駆動機構100を駆動させると、トリマー刃41aも左右方向(長手方向)Yに往復動するようになっている。
【0050】
このように、各ネット刃51a,51bおよびスリット刃51cの下方(内方)に配設された内刃54a,54bおよびスリット内刃54cを、各ネット刃51a,51bおよびスリット刃51cに対してそれぞれ相対移動(左右方向Yへの往復動)させることで、各ネット刃51a,51bの刃穴およびスリット刃51cのスリット内に挿入された体毛を、各ネット刃51a,51bおよびスリット刃51cと、内刃54a,54bおよびスリット内刃54cと、で協働して切断するように構成している。
【0051】
なお、本実施形態では、外刃カセット50には、スリット内刃54cがスリット刃51cに対して往復動可能に装着されている。
【0052】
また、外刃カセット50の外刃フレーム59の左右両側部には、図2に示すように、下方に向けて弾性片59aが延設されており、左右一対の弾性片59aにはそれぞれ左右方向に貫通した貫通孔59bが形成されている。
【0053】
また、上下両端が開口した(上端開口60aおよび下端開口60b)筒型の外周枠60には、下端縁の左右両側部に凹陥部61が形成されており、各凹陥部61の底部からは、内側に向けてフック(図示せず)が突設されている。
【0054】
そして、左右両端の弾性片59aを凹陥部61に通しながら外刃カセット50を下端開口60bから外周枠60内に挿入していくと、外周枠60から内側に突出させたフック(図示せず)が、貫通孔59bに係合される。こうして、外刃フレーム59、すなわち、外刃カセット50が外周枠60に装着されるようにしている。
【0055】
また、ヘッド部本体70の左右両端には、図2に示すように、解除ボタン90が、ばね91により左右方向Y外側に付勢された状態で突没可能に設けられている。
【0056】
そして、外周枠60の凹陥部61に解除ボタン90を通しながら、刃フレーム部30をヘッド部本体70に対して上方から被せることで、外刃フレーム59(外刃カセット50、または、刃フレーム部30全体)が、ヘッド部本体70上端に装着されるようになっている。
【0057】
なお、本実施形態にかかる電気かみそり1は、図2に示す刃保護キャップ150を着脱可能に装着できるようになっており、この刃保護キャップ150を装着することで、電気かみそり1の外刃51を保護できるようになっている。
【0058】
ここで、本実施形態では、ヘッド部3に、内刃54によって剃られた体毛を溜めることが可能な空間部Sに連通する開口窓210を設けている。この開口窓210は、空間部Sに溜まった体毛を洗浄する際に空間部S内に水を導入する導入口や空間部S内の体毛や水を排出する排出口として機能するものである。
【0059】
具体的には、外周枠60に外刃カセット50を装着した状態で、外周枠60の外刃カセット50の下部に、スリット62を形成している。そして、外周枠60をヘッド部本体70に装着することで、スリット62とヘッドケースカバー81の上面とで画成される開口窓210を設けている。このとき、外周枠60をヘッド部本体70に装着した状態で、ヘッドケースカバー81のスリット62と対応する位置に、切り欠き81bを設けることで、ヘッドケースカバー81の通常の上面部分よりも下方にも開口窓210が形成されるようにしている。
【0060】
また、本実施形態では、電気かみそり1の正面視において、空間部Sの下面を画成するヘッドケースカバー81の上面に、中央部から開口窓210に向けて傾斜する傾斜部81cが形成されている。具体的には、電気かみそり1の正面視において、切り欠き81bの中央側に、開口窓210に向けて傾斜する傾斜部81cを設けることで、ヘッドケースカバー81の上面を、中央部から開口窓210に向けて傾斜させている。
【0061】
また、本実施形態では、開口窓210は、電気かみそり1の正面1aであるヘッド部3の正面3aの左右両端部にそれぞれ形成されている。すなわち、2つ(複数)の開口窓210が形成されている。そして、電気かみそり1の正面1aの把持部2の中心軸(中央部1b)から左右に外れた位置(端部1c)に、開口窓210が形成されている。
【0062】
そして、本実施形態では、開口窓210を開閉可能に覆うシャッター(蓋部)200が設けられている。
【0063】
本実施形態では、シャッター(蓋部)200は、略T字状に形成されており、中央下端には、前側ハウジング25の前面に形成された係合部220に係合可能な一対の係合片201,201が形成されている。一対の係合片201,201は、開口窓210を閉じた状態では、係合部220の上部で係合されており(図5参照)、開口窓210を開いた状態では、係合部220の下部で係合されるようになっている(図9参照)。
【0064】
また、シャッター(蓋部)200の水平部の両端には、開口窓210を覆うことが可能な被覆部202がそれぞれ設けられている。
【0065】
さらに、本実施形態では、シャッター(蓋部)200を操作する操作子203が、電気かみそり1の正面における端部1cに形成されている。
【0066】
具体的には、操作子203は、シャッター(蓋部)200のそれぞれの被覆部202の前面から前方に向けて突設されている。そして、それぞれの操作子203は、左右方向に延在するように被覆部202に設けられている。
【0067】
このように、本実施形態では、2つ(複数)の開口窓210が電気かみそり1の正面1aにおける端部1cに形成されており、操作子203がシャッター(蓋部)200の開口窓210を覆う領域(被覆部202)に設けられている。
【0068】
また、略T字状のシャッター(蓋部)200の両端に被覆部202をそれぞれ設けることで、1つの操作子203を操作するだけで、2つ(複数)の開口窓210を開閉することができるようにしている。
【0069】
なお、本実施形態では、2つ(複数)の開口窓210のいずれにも操作子203を設けたものを例示したが、2つ(複数)の開口窓210のうち少なくともいずれか1つの開口窓210に操作子203が設けられていればよい。
【0070】
さらに、本実施形態では、内刃54を駆動する(外刃51と内刃54とを相対移動させる)スイッチ部22も電気かみそり1の正面1aに設けられている。
【0071】
そして、電気かみそり1の正面1aにおける中央部1bには、滑り止め部24が設けられている。
【0072】
本実施形態では、滑り止め部24は、電気かみそり1の正面1aにおける中央部1bの操作子203よりも下側に設けられている。すなわち、滑り止め部24は、把持部2の中央部に設けられている。
【0073】
また、本実施形態では、電気かみそり1の正面視で、内刃54の左右方向の端縁54dと開口窓210とが上下方向でオーバーラップするように、開口窓210を形成している(図5,6,9,10参照)。
【0074】
そして、電気かみそり1の正面視における内刃54の端縁54dが、外刃に対する往復動のいずれの状態にあっても、開口窓210と上下方向でオーバーラップするように、開口窓210を形成している。すなわち、左右方向に往復動する内刃54が、最も右側に位置する状態であっても、最も左側に位置する状態であっても、内刃54の両端縁54dが、それぞれ静止状態で上下方向にオーバーラップする開口窓210と上下方向でオーバーラップするようにしている。
【0075】
さらに、内刃54が装着される第1および第2駆動子130,140の内刃装着部131,141が、電気かみそり1の正面視において、開口窓210と上下方向でオーバーラップしないようにしている。本実施形態では、内刃装着部131,141を電気かみそり1の正面視において、中央部に位置するように設け、当該内刃装着部131,141が設けられた位置から外れた位置に開口窓210を形成している。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、開口窓210を開閉可能に覆うシャッター(蓋部)200を操作する操作子203を、電気かみそり1の正面1aにおける端部1cに形成している。すなわち、電気かみそり1の正面1aにおける使用者が把持部2を把持した際に親指が置かれる部位から左右に外れた部位に操作子203を設けている。そのため、電気かみそり1の使用時に、開口窓210の開閉を行う操作子203を誤って操作してしまうことを抑制することができるようになる。
【0077】
また、本実施形態によれば、開口窓210を電気かみそり1の正面1aにおける端部1cに形成し、操作子203をシャッター(蓋部)200の開口窓210を覆う領域(被覆部202)に設けている。そのため、開口窓210を開閉するために操作子203に加える力が開口窓210を覆う領域(被覆部202)に伝わりやすくなり、シャッター(蓋部)200の操作性の向上を図ることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、外刃51と内刃54とを相対移動させるスイッチ部22を電気かみそり1の正面1aに設けているため、スイッチ部22の操作と操作子203の操作を片手で行うことができるようになり、使い勝手がよくなる。
【0079】
また、本実施形態によれば、開口窓210を複数設けているため、洗浄時に、水の導入口として機能させる開口窓210と水の排出口として機能させる開口窓210とを設定することができ、より効率よく空間部S内を洗浄することができるようになる。
【0080】
また、本実施形態によれば、電気かみそり1の正面1aにおける中央部1bに滑り止め部24を設けている。このように、電気かみそり1の正面1aにおける中央部1bに滑り止め部24を設けることで、使用者が把持部2を把持した際に置かれた親指が滑ってしまうのを抑制することができ、より確実に開口窓210の開閉を行う操作子203を誤って操作してしまうことを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、滑り止め部24を、操作子203よりも下側に設けているため、使用者が把持部2を把持した際に置かれた親指が、仮に左右にずれてしまったとしても、ずれた部分に操作子203がないので、開口窓210の開閉を行う操作子203を誤って操作してしまうことをより抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、電気かみそり1の正面視で、内刃54の端縁54dと開口窓210とを上下方向でオーバーラップさせている。このように、体毛が溜まりやすい内刃54の端縁54dの近傍に開口窓210を形成することで、よりスムースに体毛を開口窓210から排出させることができるようになる。
【0083】
また、本実施形態によれば、電気かみそり1の正面視における内刃54の端縁54dを、外刃51に対する往復動のいずれの状態にあっても、開口窓210と上下方向でオーバーラップするようにしている。こうすれば、より一層スムースに体毛を開口窓210から排出させることができるようになる。
【0084】
また、本実施形態によれば、内刃装着部131,141が、電気かみそり1の正面視において、開口窓210と上下方向でオーバーラップしないようにした。こうすれば、開口窓210から導入した水が内刃装着部131,141に当たって奥側(背面側)まで到達できなくなってしまうのを抑制することができ、空間部S内の洗浄性をより向上させることができるようになる。
【0085】
また、本実施形態によれば、空間部Sを画成する下面部であるヘッドケースカバー81に、電気かみそり1の正面視における中央部から開口窓210に向けて傾斜する傾斜部81cを形成している。こうすれば、ヘッドケースカバー81の中央部の水が傾斜部81cを伝って開口窓210に向けて流れやすくなるため、より効率よく空間部S内を洗浄することができるようになる。なお、本実施形態では、電気かみそり1を立てた状態(図4に示す状態:把持部2が略垂直となるようにした状態)で、ヘッドケースカバー81の上面が前方かつ下方に傾斜するようにしている。すなわち、開口窓210が設けられた側が下方となるように傾斜させている。そのため、電気かみそり1を立てた状態で空間部S内の乾燥をより効率的に行うことができるという利点もある。
【0086】
また、本実施形態によれば、1つの操作子203で複数の開口窓210を開閉することが可能となるようにしている。このように、1つの操作子203で複数の開口窓210を開閉できるようにすることで、一度の操作で複数の開口窓の開閉を行うことができるため、開口窓210の開閉を楽に行うことができるようになる。
【0087】
また、複数の開口窓210のうちのいずれかの開口窓210に操作子203を設けるようにすれば、操作子の設置自由度が向上し、デザイン性の向上を図ることができるようになる。
【0088】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0089】
例えば、上記実施形態では、回転モータおよび変換機構を用いて、内刃を往復動させるようにしたものを例示したが、振動型リニアアクチュエータを用いて内刃を往復動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 電気かみそり
1a 正面
1b 中央部
1c 端部
2 把持部
3 ヘッド部
22 スイッチ部
24 滑り止め部
51 外刃
54 内刃
54d 端縁
130 第1駆動子(駆動子)
131 内刃装着部
140 第2駆動子(駆動子)
141 内刃装着部
200 シャッター(蓋部)
203 操作子
210 開閉窓
S 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、前記把持部に支持されるヘッド部と、を備える電気かみそりであって、
前記ヘッド部は、外刃と、当該外刃の内方に配設されて前記外刃に対して相対移動することで、刃穴に挿入された体毛を切断する内刃と、切断した体毛を溜めることが可能な空間部と、を有しており、
前記ヘッド部には、前記空間部に連通する開口窓と、当該開口窓を開閉可能に覆う蓋部とが形成されており、
前記蓋部を操作する操作子が、前記電気かみそりの正面における端部に形成されていることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
前記開口窓が前記電気かみそりの正面における端部に形成されており、前記操作子が前記蓋部の前記開口窓を覆う領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記外刃と前記内刃とを相対移動させるスイッチ部が前記電気かみそりの正面に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記開口窓が複数設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記電気かみそりの正面における中央部の前記操作子よりも下側に滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記電気かみそりの正面視で、前記内刃の端縁と前記開口窓とが上下方向でオーバーラップしていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項7】
前記内刃は、前記外刃に対して往復動しており、
前記電気かみそりの正面視における前記内刃の端縁が、前記外刃に対する往復動のいずれの状態にあっても、前記開口窓と上下方向でオーバーラップしていることを特徴とする請求項6に記載の電気かみそり。
【請求項8】
前記内刃が駆動子の内刃装着部に取り付けられており、
前記内刃装着部が、前記電気かみそりの正面視において、前記開口窓と上下方向でオーバーラップしていないことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項9】
前記空間部を画成する下面部には、前記電気かみそりの正面視における中央部から前記開口窓に向けて傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の電気かみそり。
【請求項10】
1つの前記操作子で複数の前記開口窓を開閉することが可能となるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電気かみそり。
【請求項11】
複数の前記開口窓のうち少なくともいずれか1つの開口窓に前記操作子が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項10に記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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