説明

電気ケーブルの接続構造および電気ケーブルの接続構造形成方法

【課題】電気ケーブルの接続構造において、シールド部材を追加することなく、被接続体に接続する電気ケーブルの接続端での特性インピーダンスの変動を抑えることができるようにする。
【解決手段】電気ケーブル2をプリント基板1に接続した電気ケーブルの接続構造であって、芯線6を被覆する絶縁体7、絶縁体7の周りに配置された導体層9、導体層9の周りに配置された被覆部材10、および導体層9に電気的に接続されたグランド線8を有する導体層配置部3と、導体層配置部3の端部から絶縁体7およびグランド線8が露出され、絶縁体7の外周にグランド線8が巻き付けられたグランド線巻き付け部4と、グランド線8の端部をグランド線接続端子12に接続したグランド線接続部13と、絶縁体7の端部から芯線6を露出し芯線接続端子11に接続した芯線接続部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケーブルの接続構造および電気ケーブルの接続構造形成方法に関する。例えば、電気信号伝送用として好適な電気ケーブルの接続構造および電気ケーブルの接続構造形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の高機能、高性能化に伴い、製品内部のシステム全体の規模が大きくなってきている。一方で、製品は小型化しており、小さな筐体にシステムを収める為に、複数のプリント基板でシステムを構成することが多くなってきている。また、電気信号の高速化・高精度化の為に、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)に代表される差動信号伝送方式が使われるようになってきている。
こうしたことから、前述したような複数のプリント基板間の信号のやり取りの為に、ドレイン線と呼ばれるグランド線を入れた、シールドツイストペアケーブルなどの電気ケーブルが使われることが多い。
例えば、特許文献1には、同軸ケーブルにおけるインピーダンスの整合を図る目的で、芯線を包む誘電体、この誘電体の周りに介在する導体層、この導体層の周りに配置された外皮、を有する同軸ケーブルの端末部の外皮及び導体層を除去し、露出した誘電体を端縁から所定長除去し、芯線を露出させてなる同軸ケーブルの端末構造であって、露出した誘電体を覆うようにシールド部材を配置し、このシールド部材を接地した、ことを特徴とする同軸ケーブルの端末構造(電気ケーブルの接続構造)が記載されている。
特許文献1のシールド部材は、矩形状の金属箔からなる導電性テープを2つに折り畳んで内側に、金属メッキが施された細長い軟銅線等からなる軟導電線を挟み、対向するテープ部分を接着したものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−19232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の電気ケーブルの接続構造には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術は、シールド部材を追加して導体層から露出した芯線を覆うことにより、端末部の特性インピーダンスの整合を図っているため、部品数が増大し、製造コストが増大してしまうという問題がある。また、基板側に、導体層に接続されたグランド線を接地する接地端子の他に、シールド部材を接地する接地端子を設ける必要があるため、実装面積が大きくなり、基板の小型化に向かないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、シールド部材を追加することなく、被接続体に接続する電気ケーブルの接続端での特性インピーダンスの変動を抑えることができる電気ケーブルの接続構造および電気ケーブルの接続構造形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、芯線およびグランド線を有する電気ケーブルを、前記芯線を接続する芯線接続端子および前記グランド線を接地するグランド線接続端子が設けられた被接続体に接続した電気ケーブルの接続構造であって、前記芯線を被覆する絶縁体、該絶縁体の周りに配置された導体層、該導体層の周りに配置された被覆部材、および前記導体層に電気的に接続された前記グランド線を有する導体層配置部と、該導体層配置部の端部から前記絶縁体および前記グランド線が露出され、前記導体層配置部の端部から露出された前記絶縁体の外周に、前記導体層配置部の端部から露出された前記グランド線が巻き付けられたグランド線巻き付け部と、該グランド線巻き付け部に巻き付けられた前記グランド線の端部を前記グランド線接続端子に接続したグランド線接続部と、前記グランド線巻き付け部における前記絶縁体の端部から前記芯線を露出し前記芯線接続端子に接続した芯線接続部と、を備える構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電気ケーブルの接続構造において、前記グランド線巻き付け部において、前記グランド線が前記絶縁体の外周に均一ピッチで巻きつけられた構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の電気ケーブルの接続構造において、前記グランド線巻き付け部は、前記導体層配置部の端部から、複数の前記芯線をそれぞれ被覆する複数の前記絶縁体が露出され、該複数の前記絶縁体をひとまとめにしてその周りに前記グランド線が巻き付けられた構成とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の電気ケーブルの接続構造において、前記電気ケーブルの前記グランド線は、分岐可能な導体からなり、前記グランド線巻き付け部は、前記導体層配置部の端部から、複数の前記芯線をそれぞれ被覆する複数の前記絶縁体が露出され、該複数の前記絶縁体のそれぞれの外周に、前記グランド線が分岐されたグランド線分岐部が巻き付けられた構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、芯線およびグランド線を有する電気ケーブルを、前記芯線を接続する芯線接続端子および前記グランド線を接地するグランド線接続端子が設けられた被接続体に接続する電気ケーブルの接続構造形成方法であって、前記芯線を被覆する絶縁体、該絶縁体の周りに配置された導体層、該導体層の周りに配置された被覆部材、および前記導体層に電気的に接続された前記グランド線を有する前記電気ケーブルの端部において、前記導体層および前記被覆部材を除去することにより、前記絶縁体および前記グランド線を露出させ、さらに、前記絶縁体の端部を除去して前記絶縁体から前記芯線を露出させる端部処理工程と、前記端部処理工程において前記絶縁体から露出された前記芯線を、前記芯線接続端子に接続する芯線接続工程と、前記端部処理工程と前記芯線接続工程との間、または前記芯線接続工程の後に、前記電気ケーブルの端部において露出された前記絶縁体の外周に、前記電気ケーブルの端部において露出された前記グランド線を巻き付けるグランド線巻き付け工程と、該グランド線巻き付け工程において巻き付けた前記グランド線の端部を前記グランド線接続端子に接続するグランド線接続工程と、を備える方法とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気ケーブルの接続構造および電気ケーブルの接続構造形成方法によれば、導体層配置部から芯線接続部までの間に露出した絶縁体にグランド線を巻き付けてからグランド線を接地するため、シールド部材を追加することなく、被接続体に接続する電気ケーブルの接続端での特性インピーダンスの変動を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造を示す模式的な平面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造形成方法の工程フローの一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造を示す模式的な平面図である。
【図5】図4におけるB−B断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造を示す模式的な平面図である。
【図7】図6におけるC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造を示す模式的な平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
なお、これらの図面は、模式図であり、各部の寸法は誇張されている場合がある(以下の図面も同様)。
【0015】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造は、図1に示すように、電気ケーブル2を被接続体であるプリント基板1に接続したものである。
電気ケーブル2の概略構成は、図2に示すように、電気信号を伝送する芯線6と、芯線6を被覆する絶縁体7と、絶縁体7の周りに配置された導体層9と、導体層9の周りに配置された被覆部材10と、導体層9に電気的に接続されたグランド線8とを備える。
【0016】
また、グランド線8は、導体層9の内部では、芯線6および絶縁体7と並行して延ばされ、絶縁体7と導体層9に挟まれた状態となるように配置されている。これにより、導体層9の内部では、グランド線8は、導体層9と接触して保持され、導体層9と同電位となる状態で電気的に接続されている。
【0017】
プリント基板1は、図示略の回路パターンが形成されており、少なくとも、芯線6をこの回路パターンに接続するための芯線接続端子11と、グランド線8を接地するためのグランド線接続端子12とが設けられている。
芯線接続端子11、グランド線接続端子12は、プリント基板1上に形成されたランド部でもよいし、プリント基板1に設置された端子部材でもよい。
本実施形態では、芯線接続端子11、グランド線接続端子12は、それぞれ芯線6の先端、およびグランド線8の先端を半田付けして接続する矩形状のランド部で構成されている。
グランド線接続端子12は、電気ケーブル2を位置決めして芯線6の端部を芯線接続端子11に接続した際に、後述するグランド線巻き付け部4の先端側の側方となる位置に設けられている。
【0018】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造の概略構成は、図1に示すように、互いに接続された電気ケーブル2とプリント基板1との間に、導体層配置部3、グランド線巻き付け部4、グランド線接続部13、および芯線接続部5を備える。
【0019】
導体層配置部3は、電気ケーブル2において、芯線6、絶縁体7、およびグランド線8が、導体層9に覆われている部分である。導体層9は、プリント基板1上の導電部と短絡するおそれがなければ、被覆部材10から露出していてもよい。
本実施形態では、導体層配置部3の境界である導体層9の端部の近傍まで被覆部材10によって被覆され、導体層9の端部が被覆部材10からわずかに露出されている。
【0020】
グランド線巻き付け部4は、導体層配置部3の端部から絶縁体7およびグランド線8が露出され、導体層配置部3の端部から露出された絶縁体7の外周に、導体層配置部3の端部から露出されたグランド線8が巻き付けられた部分である。
グランド線8は、図1に示す例では、導体層配置部3との境界から絶縁体7の延在方向の先端側に向かって(図示下側から上側)右回転で旋回する螺旋状に2巻き1/2だけ巻き付けられている。
また、グランド線8は、グランド線巻き付け部4における絶縁体7の延在方向にわたって、一定の巻き付けピッチpで、均一に巻き付けられている。
グランド線8の巻き付けピッチp、および巻き数は、グランド線8の巻き付けによる静電シールド効果を考慮して、単位長さ当たりのケーブルの特性インピーダンスが電気ケーブルの仕様の許容範囲内となるように設定されている。
なお、図1では、隣接するグランド線8が間隔をあけて巻き付けられている場合の例が描かれているが、グランド線8は、密巻きされていてもよい。
【0021】
グランド線巻き付け部4における絶縁体7の内部には、図1には図示しないが、導体層配置部3内の絶縁体7と同様に芯線6が挿通されている。
【0022】
グランド線接続部13は、グランド線巻き付け部4に巻き付けられたグランド線8の端部をグランド線接続端子12に接続したものである。
本実施形態では、グランド線巻き付け部4に巻き付けられた先端側のグランド線8の端部が側方に位置するグランド線接続端子12上に延ばされ、このグランド線8の端部が半田付けによってグランド線接続端子12に接続されている。
【0023】
芯線接続部5は、グランド線巻き付け部4における絶縁体7の端部から芯線6を露出し芯線接続端子11に接続したものである。
本実施形態では、芯線6がグランド線巻き付け部4の絶縁体7から前方の芯線接続端子11上に延ばされ、この芯線6の端部が半田付けによって芯線接続端子11に接続されている。
【0024】
次に、このような構成の電気ケーブルの接続構造を製造する方法である本実施形態の電気ケーブルの接続構造形成方法について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造形成方法の工程フローの一例を示すフローチャートである。
本方法は、端部処理工程、芯線接続工程、グランド線巻き付け工程、およびグランド線接続工程を備える。これらの工程は、上記の電気ケーブルの接続構造が形成できれば、最初に端末処理工程を行う以外には、特に他の工程との実行順序に制限はない。
以下では、一例として、図3に示す工程フローに基づいて、端部処理工程S1、グランド線巻き付け工程S2、芯線接続工程S3、およびグランド線接続工程S4の順に行う場合の例で説明する。
【0025】
まず、端部処理工程S1を行う。本工程は、電気ケーブル2の端部において、導体層9および被覆部材10を除去することにより、絶縁体7およびグランド線8を露出させ、さらに、絶縁体7の端部を除去して絶縁体7から芯線6を露出させる工程である。
本工程では、まずプリント基板1上の部品配置や、電気ケーブル2の端部を配置するスペースの大きさなどを考慮して、電気ケーブル2の端部の加工形状を決める。
【0026】
加工形状を決定したら、被覆部材10、導体層9をストリッパーなどで除去工具を用いて除去して、被覆部材10から導体層9がわずかに露出しこの導体層9の端部から絶縁体7が適宜長さ露出するような端部形状に加工する。これにより、導体層配置部3が形成される。
また、本実施形態では、導体層9内で絶縁体7と並行してグランド線8が挿通されているため、被覆部材10および導体層9を除去することで、絶縁体7の露出長さと略同じ長さのグランド線8が導体層配置部3から露出されることになる。
このため、導体層配置部3を形成する加工では、導体層配置部3から露出するグランド線8が必要な長さになるように加工量を設定する。
【0027】
次に、導体層配置部3から露出された絶縁体7の先端をストリッパーやカッターなどの工具を用いて、上記の加工形状に一致するように絶縁体7および絶縁体7から露出した芯線6の長さを整える。
以上で、端部処理工程S1が終了する。
【0028】
次に、グランド線巻き付け工程S2を行う。本工程は、電気ケーブル2の端部において導体層配置部3から露出された絶縁体7の外周に、同じく導体層配置部3から露出されたグランド線8を巻き付ける工程である。
グランド線8の巻き付け方向、巻き付けピッチ、巻き数等は、例えば、実験やシミュレーションを行うなどして、単位長さ当たりのケーブルの特性インピーダンスが電気ケーブルの仕様の許容範囲内となるように予め決めておくことができる。
【0029】
グランド線8は線材であるため、層状の導体層9に比べると静電シールド効果は劣るが、図2に示すように、絶縁体7は導体層9の内径よりも小径であるため、巻き付けピッチなどを適宜設定することにより、特性インピーダンスが導体層配置部3と同等となるように巻き付けることが可能である。
本実施形態では、グランド線8を、導体層配置部3との境界から絶縁体7の延在方向の先端側に向かって右回転で旋回する螺旋状に、巻き付けピッチpで2巻き1/2だけ、均一に巻き付ける。
ここで、均一に巻き付けるとは、巻き付けピッチpが、単位長さ当たりの特性インピーダンスの変化が、許容範囲に収まる程度に均一に巻き付けることを意味する。このため、特性インピーダンスが許容範囲となる程度の巻き付け誤差があっても均一の範囲に含まれる。
巻き付けの終端側のグランド線8の端部は、絶縁体7の側方に向かって延ばしておく。
このようにしてグランド線巻き付け部4が形成される。
以上で、グランド線巻き付け工程S2が終了する。
なお、本工程における巻き付け作業は、手作業で行ってもよいし、適宜の治具を用いたり、自動巻き付け装置を用いたりしてもよい。
【0030】
次に、芯線接続工程S3を行う。本工程は、端部処理工程S1において絶縁体7から露出された芯線6を、芯線接続端子11に接続する工程である。
まず、プリント基板1上で芯線6が芯線接続端子11上に位置し、グランド線巻き付け部4の先端部がグランド線接続端子12に隣接するように、電気ケーブル2を配置する。
この状態で、電気ケーブル2の位置を固定し、芯線6の端部を芯線接続端子11に半田付けする。電気ケーブル2の固定方法は、保持治具などを用いて、半田付けの間、一時的に固定する方法や、図示しない適宜のクランプ部材をプリント基板1に設けて電気ケーブル2をプリント基板1上に恒久的に固定する方法などを採用することができる。
これにより、芯線6が芯線接続端子11に接続され、芯線接続部5が形成される。
以上で、芯線接続工程S3が終了する。
【0031】
次にグランド線接続工程S4を行う。本工程は、グランド線巻き付け工程において巻き付けたグランド線8の端部をグランド線接続端子12に接続する工程である。
まず、絶縁体7の側方に延ばされたグランド線8の端部をグランド線接続端子12上に配置する。次に、グランド線巻き付け部4の巻き付けが緩まないように、必要に応じてグランド線8に張力を加え、グランド線接続端子12上の位置を固定する。この状態で、グランド線8をグランド線接続端子12に半田付けする。これにより、グランド線接続部13が形成される。
以上で、グランド線接続工程S4が終了する。
このようにして、プリント基板1と電気ケーブル2とが接続され、プリント基板1上に本実施形態の電気ケーブルの接続構造が形成される。
【0032】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造では、導体層配置部3においては、グランド線接続部13によって接地されたグランド線8と同電位の導体層9によって芯線6が静電シールドされる。このため、導体層配置部3は、一定の特性インピーダンスを有する同軸ケーブルになっている。
また、グランド線巻き付け部4では、接地されたグランド線8が絶縁体7の外周に巻き付けられているため、絶縁体7内の芯線6が静電シールドされる。このとき、絶縁体7の太さとグランド線8の巻き付け方とによって、グランド線巻き付け部4の特性インピーダンスが決まるため、グランド線8の巻き付け方による特性インピーダンスの変化を予め調べておくことで、グランド線巻き付け部4の特性インピーダンスを適宜値に調整することができる。
本実施形態では、導体層配置部3とグランド線巻き付け部4との間の特性インピーダンスの変化を低減し、特性インピーダンスの許容範囲内となるようにしている。
従来、このような端末部における特性インピーダンスの調整は、シールド部材等の電気ケーブル2とは別部材を付加して実現していたが、本実施形態では、このようなシールド部材を用いることなく、電気ケーブル2の構成のみで特性インピーダンスを調整することができる。
このため、シールド部材を用いる場合に比べて、部品点数を削減し、低コストで電気ケーブルの接続を行うことができる。
また、本実施形態では、グランド線巻き付け部4において、絶縁体7にグランド線8を均一に巻き付けるため、特性インピーダンスの変化を抑制し、より良好な接続構造を形成することができる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造を示す模式的な平面図である。図5は、図4のB−B断面図である。
【0034】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造は、図4に示すように、電気ケーブル22を被接続体であるプリント基板21に接続したものである。
電気ケーブル22は、上記第1の実施形態の電気ケーブル2が、芯線6を有する1芯線の同軸ケーブルであるのに対して、図5に示すように、被覆電線C、Cが撚り合わされてツイストペアを構成している2芯線のシールドツイストペアケーブルである。
電気ケーブル22の概略構成は、図5に示すように、電気信号を伝送する芯線26A(第一の芯線)と芯線26Aを被覆する絶縁体27A(第一の絶縁体)とからなる被覆電線C(第一の被覆電線)と、電気信号を伝送する芯線26B(第二の芯線)と芯線26Bを被覆する絶縁体27B(第二の絶縁体)とからなる被覆電線C(第二の被覆電線)と、絶縁体27A、27Bの周りに配置された導体層29と、導体層29の周りに配置された被覆部材30と、導体層29に電気的に接続されたグランド線28とを備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0035】
芯線26A、26Bは、上記第1の実施形態における芯線6と同様の構成を採用することができる。
導体層29は、ツイストペアを静電シールドする部材であり、上記第1の実施形態における導体層9と同様の構成を採用することができる。
被覆部材30は、本実施形態では、電気ケーブル22の外皮を構成するもので、上記第1の実施形態における被覆部材10と同様の構成を採用することができる。
グランド線28は、導体層29を接地するための導線であり、上記第1の実施形態におけるグランド線8と同様の構成を採用することができる。
なお、本実施形態では、グランド線28は、導体層29と絶縁体27A、27Bとの間に挟まれて配置され、これによりグランド線28と導体層29とは、接触状態に保持され互いに電気的に接続されている。
【0036】
プリント基板21は、図4に示すように、上記第1の実施形態のプリント基板1の芯線接続端子11に代えて、芯線接続端子31A(第一の芯線接続端子)、芯線接続端子31B(第二の芯線接続端子)を備える。また、プリント基板21は、グランド線接続端子12を備えるが、グランド線8に代えてグランド線28を接地するために用いられる。
芯線接続端子31A、31Bは、それぞれ、芯線26A、26Bを回路パターンに接続するためのもので、被覆電線C、Cの最小並列ピッチ(それぞれの外径の和の半分)以上のピッチで、互いに離間して配置されている。
芯線接続端子31A、31Bは、芯線接続端子11と同様、プリント基板21上に形成されたランド部でもよいし、プリント基板21に設置された端子部材でもよい。
本実施形態では、芯線接続端子31A、31Bは、それぞれ芯線26A、26Bの先端を半田付けして接続する矩形状のランド部で構成されている。
ただし、本実施形態におけるグランド線接続端子12は、電気ケーブル22を位置決めして芯線26A、26Bの端部を芯線接続端子31A、31Bに接続した際に、後述するグランド線巻き付け部24の先端側において、絶縁体27Bの側方となる位置に設けられている。
【0037】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造の概略構成は、図4に示すように、互いに接続された電気ケーブル22とプリント基板21との間に、導体層配置部23、グランド線巻き付け部24、グランド線接続部33、および芯線接続部25A(第一の芯線接続部)、芯線接続部25B(第二の芯線接続部)を備える。
【0038】
導体層配置部23は、電気ケーブル22において、芯線26A、26B、絶縁体27A、27B、およびグランド線28が、導体層29に覆われている部分である。導体層29は、プリント基板21上の導電部と短絡するおそれがなければ、被覆部材30から露出していてもよい。
本実施形態では、導体層配置部23の境界である導体層29の端部の近傍まで被覆部材30によって被覆され、導体層29の端部が被覆部材30からわずかに露出されている。
【0039】
グランド線巻き付け部24は、導体層配置部23の端部から絶縁体27A、27B、およびグランド線28が露出され、導体層配置部23の端部から露出された絶縁体27A、27Bをひとまとめにしてその周りにグランド線28が巻き付けられた部分である。
グランド線28は、図4に示す例では、導体層配置部23との境界から絶縁体27A、27Bの延在方向の先端側に向かって(図示下側から上側)右回転で旋回する螺旋状に2巻き1/4だけ巻き付けられている。
また、グランド線28は、グランド線巻き付け部24における絶縁体27A、27Bの延在方向にわたって、一定の巻き付けピッチpで、均一に巻き付けられている。
グランド線巻き付け部24における絶縁体27A、27Bの内部には、図4には図示しないが、導体層配置部23内の絶縁体27A、27Bと同様に芯線26A、26Bが挿通されている。
【0040】
グランド線接続部33は、グランド線巻き付け部24に巻き付けられたグランド線28の端部をグランド線接続端子12に接続したものである。
本実施形態では、グランド線巻き付け部24に巻き付けられた先端側のグランド線28の端部が、側方に位置するグランド線接続端子12上に延ばされ、このグランド線28の端部が半田付けによってグランド線接続端子12に接続されている。
【0041】
芯線接続部25A、25Bは、グランド線巻き付け部24における絶縁体27A,27Bの端部から芯線26A、26Bを露出し、それぞれ芯線接続端子31A、31Bに接続したものである。
本実施形態では、芯線26A、26Bが、グランド線巻き付け部24の絶縁体27A,27Bから、前方の芯線接続端子31A、31B上に延ばされ、この芯線26A、26Bの端部が半田付けによって芯線接続端子31A、31Bにそれぞれ接続されている。
【0042】
このように本実施形態の電気ケーブルの接続構造は、上記第1の実施形態の電気ケーブル2が1本の芯線6を備え、グランド線巻き付け部4において絶縁体7の周りにグランド線8を巻き付けているのに対して、電気ケーブル22では、芯線6に対応して2本の芯線26A、26Bを備えグランド線巻き付け部24において各芯線を被覆する絶縁体27A、27Bをひとまとめにしてグランド線28が巻き付けられている点と、2本の芯線26A、26Bに対してそれぞれ芯線接続部25A、25Bが形成されている点とが異なる。
【0043】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造は、上記第1の実施形態の電気ケーブルの接続構造形成方法と同様に、端部処理工程、芯線接続工程、グランド線巻き付け工程、およびグランド線接続工程を備える。また、これらの工程は、上記に説明した電気ケーブルの接続構造を形成できれば、第1の実施形態と同様に適宜の順序で行うことができる。
以下では、上記第1の実施形態と同様、図3に示す工程フローを順次行う場合について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0044】
まず、端部処理工程S1を行う。本工程では、電気ケーブル22の端部において、上記第1の実施形態の導体層9および被覆部材10と同様にして導体層29および被覆部材30を除去する。
これにより、被覆電線C、Cに対応する絶縁体27A、27Bと、グランド線28とを露出させる。そして、被覆電線C、Cごとに、上記第1の実施形態の絶縁体7と同様にして絶縁体27A、27Bの端部を除去し、絶縁体27A、27Bからそれぞれ芯線26A、26Bを露出させる。
【0045】
次に、グランド線巻き付け工程S2を行う。本工程は、絶縁体27A、27Bをひとまとめにしてグランド線28を2巻き1/4だけ巻き付けピッチpで均一に巻き付ける以外は、上記第1の実施形態と同様の工程である。
ただし、巻き付けピッチpは、必要な特性インピーダンスに応じて、上記第1の実施形態とは異なる値に設定することができる。また、巻き付け数の2巻き1/4は一例であって、必要な特性インピーダンスが得られるように適宜の巻き付け数に設定することが出来る。
【0046】
芯線接続工程S3は、端部処理工程において絶縁体27A、27Bから露出された芯線26A、26Bを、それぞれ芯線接続端子31A、31Bに接続する工程であり、上記第1の実施形態の芯線接続工程S3と同様にして行うことができる。
グランド線接続工程S4は、グランド線巻き付け工程S1において巻き付けたグランド線28の端部をグランド線接続端子12に接続する工程であり、上記第1の実施形態のグランド線接続工程S4と同様にして行うことができる。
このようにして、プリント基板21と電気ケーブル22とが接続され、プリント基板21上に本実施形態の電気ケーブルの接続構造が形成される。
【0047】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造では、導体層配置部23においては、グランド線接続部33によって接地されたグランド線28と同電位の導体層29によって芯線26A、26Bが静電シールドされる。このため、導体層配置部23は、一定の特性インピーダンスを有するシールドツイストペアケーブルになっている。
また、グランド線巻き付け部24では、接地されたグランド線28が絶縁体27A、27Bの外周に巻き付けられているため、絶縁体27A、27B内の芯線26A、26Bが静電シールドされる。
このとき、絶縁体27A、27Bに対するグランド線28の巻き付け方によって、グランド線巻き付け部24の特性インピーダンスが決まるため、グランド線28の巻き付け方による特性インピーダンスの変化を予め調べておくことで、グランド線巻き付け部24の特性インピーダンスを適宜値に調整することができる。
このように本実施形態では、上記第1の実施形態と同様にシールド部材を用いることなく電気ケーブル22の構成のみで特性インピーダンスを調整することができる。このため、シールド部材を用いる場合に比べて、部品点数を削減し、低コストで電気ケーブルの接続を行うことができる。
【0048】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る電気ケーブルの接続構造を示す模式的な平面図である。図7は、図6のC−C断面図である。
【0049】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造は、図6に示すように、電気ケーブル42を被接続体であるプリント基板41に接続したものである。
電気ケーブル42は、図7に示すように、上記第2の実施形態の電気ケーブル22と同様、被覆電線C、Cがツイストペアを構成している2芯線のシールドツイストペアケーブルであり、プリント基板41に対する接続構造のみが異なっている。
以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0050】
プリント基板41は、図6に示すように、上記第2の実施形態のプリント基板21にグランド線接続端子52を追加したものである。
グランド線接続端子52は、グランド線接続端子12と同様にグランド線28を接地するためのもので、グランド線接続端子12と同様の構成を有し、図示略の配線によってグランド線接続端子12と電気的に接続され、互いに同電位とされている。
グランド線接続端子52の配置位置は、電気ケーブル42を位置決めして、上記第2の実施形態と同様に芯線26A、26Bの端部を芯線接続端子31A、31Bに接続した際に、被覆電線C、Cを挟んで、グランド線接続端子12と対向する位置に設けられている。
【0051】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造の概略構成は、図6に示すように、互いに接続された電気ケーブル42とプリント基板21との間に、導体層配置部43、グランド線巻き付け部44、グランド線接続部33、53、および芯線接続部25A、25Bを備える。
ここで、導体層配置部43は、上記第2の実施形態の導体層配置部23と同様な構成を備える。
【0052】
グランド線巻き付け部44は、導体層配置部43の端部から絶縁体27A、27Bが露出され、導体層配置部23の端部から露出された絶縁体27A、27Bのそれぞれの外周に、グランド線28が分岐されたグランド線分岐部28a、28b(グランド線)が巻き付けられた部分である。
グランド線分岐部28a、28bは、撚り線で構成されたグランド線28が、導体層配置部43から露出される位置で長さ方向に2つに分岐して形成された線状部分である。
グランド線分岐部28aは、図6に示す例では、導体層配置部43との境界から絶縁体27Aの延在方向の先端側に向かって(図示下側から上側)左回転で旋回する螺旋状に2巻き1/2だけ、一定の巻き付けピッチpで均一に巻き付けられている。
グランド線分岐部28bは、図6に示す例では、導体層配置部43との境界から絶縁体27Bの延在方向の先端側に向かって右回転で旋回する螺旋状に2巻き1/2だけ、一定の巻き付けピッチpで均一に巻き付けられている。
グランド線巻き付け部44における絶縁体27A、27Bの内部には、図6には図示しないが、導体層配置部43内の絶縁体27A、27Bと同様に芯線26A、26Bが挿通されている。
【0053】
グランド線接続部33は、上記第2の実施形態のグランド線8に代えて絶縁体27Bに巻き付けられたグランド線分岐部28bの端部を、上記第2の実施形態と同様にしてグランド線接続端子12に接続したものである。
【0054】
グランド線接続部53は、グランド線巻き付け部44において、絶縁体27Aに巻き付けられたグランド線分岐部28aの端部をグランド線接続端子52に接続したものである。
本実施形態では、絶縁体27Aに巻き付けられた先端側のグランド線分岐部28aの端部が、側方に位置するグランド線接続端子52上に延ばされ、このグランド線分岐部28aの端部を半田付けすることによってグランド線接続端子52に接続している。
【0055】
このように本実施形態の電気ケーブルの接続構造では、グランド線巻き付け部44において、絶縁体27A、27Bのぞれぞれの外周が、グランド線28から分岐されたグランド線分岐部28a、28bが巻き付けられ、グランド線分岐部28a、28bが、グランド線接続端子52、12に接続されて、グランド線接続部53、13が形成されている。これにより、グランド線巻き付け部44が静電シールドされている。
【0056】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造は、上記第2の実施形態の電気ケーブルの接続構造形成方法と同様に、端部処理工程、芯線接続工程、グランド線巻き付け工程、およびグランド線接続工程を備える。また、これらの工程は、上記に説明した電気ケーブルの接続構造を形成できれば、第2の実施形態と同様に適宜の順序で行うことができる。
以下では、上記第2の実施形態と同様、図3に示す工程フローを順次行う場合について、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0057】
端部処理工程S1は、グランド線28の処理を除けば、上記第2の実施形態の端部処理工程S1と全く同様である。
グランド線28は、上記第2の実施形態と同様にして、導体層29から露出させた後、例えば、撚りをほぐすなどして、グランド線28をグランド線分岐部28a、28bに分割し、Y字状に分岐させる。
以上で、本実施形態の端部処理工程S1が終了する。
【0058】
グランド線巻き付け工程S2では、グランド線分岐部28aを絶縁体27Aに、グランド線分岐部28bを絶縁体27Bに、それぞれ上記の巻き付け方向、巻き付け数、巻き付けピッチpで、それぞれ均一に巻き付ける。ここで、巻き付け数、巻き付けピッチpは、必要な特性インピーダンスに応じて、上記第1、2の実施形態とは異なる値に設定することができる。
本実施形態では、例えば、芯線26A、26Bがツイストペアを構成するため、グランド線巻き付け部44は、各芯線に対する巻き付け方が対称になるようにしている。
芯線接続工程S3は、上記第2の実施形態の芯線接続工程を全く同様な工程である。
【0059】
グランド線接続工程S4は、グランド線巻き付け工程において巻き付けたグランド線分岐部28a、28bの端部を、それぞれグランド線接続端子52,12に接続する工程であり、上記第1の実施形態のグランド線接続工程とS4同様にして行うことができる。
このようにして、プリント基板41と電気ケーブル42とが接続され、プリント基板41上に本実施形態の電気ケーブルの接続構造が形成される。
【0060】
本実施形態の電気ケーブルの接続構造では、導体層配置部43においては、グランド線接続部53、33によって接地されたグランド線分岐部28a、28bと同電位のグランド線28および導体層29によって、芯線26A、26Bが静電シールドされる。このため、導体層配置部43は、一定の特性インピーダンスを有するシールドツイストペアケーブルになっている。
また、グランド線巻き付け部44では、接地されたグランド線分岐部28a、28bが絶縁体27A、27Bの外周にそれぞれ巻き付けられているため、絶縁体27A、27B内の芯線26A、26Bが静電シールドされる。
このとき、絶縁体27A、27Bに対するグランド線28のそれぞれの巻き付け方によって、グランド線巻き付け部44の特性インピーダンスが決まるため、グランド線分岐部28a、28bの巻き付け方による特性インピーダンスの変化を予め調べておくことで、グランド線巻き付け部44の特性インピーダンスを適宜値に調整することができる。
本実施形態では、上記第2の実施形態と同様にシールド部材を用いることなく電気ケーブル42の構成のみで特性インピーダンスを調整することができる。このため、シールド部材を用いる場合に比べて、部品点数を削減し、低コストで電気ケーブルの接続を行うことができる。
【0061】
なお、上記の説明では、電気ケーブルの接続される被接続体がプリント基板の場合の例で説明したが、被接続体は、芯線接続端子およびグランド線接続端子が設けられている部材であれば、プリント基板には限定されない。例えば、板状、シート状と異なる形状の絶縁体に、芯線接続端子およびグランド線接続端子を構成する導体が設置された部材を挙げることができる。
【0062】
また、上記の説明では、グランド線巻き付け部において、グランド線またはグランド線分岐部が2巻き以上巻き付けられている場合の例で説明したが、必要な特性インピーダンスを得るための巻き数は、絶縁体の長さや被接続体のグランドパターン等によっても異なる。例えば、1巻きしただけでもよいし、場合によっては、1/2巻き、1/4巻き等の1巻き未満であってもよい。
【0063】
また、上記の説明では、電気ケーブルの接続構造形成方法の一例として、端部処理工程、グランド線巻き付け工程、芯線接続工程、およびグランド線接続工程の順に行う場合の例で説明したが、端部処理工程、芯線接続工程、グランド線巻き付け工程、およびグランド線接続工程の順に行ってもよいし、端部処理工程、グランド線巻き付け工程、グランド線接続工程、および芯線接続工程の順に行ってもよい。
例えば、上記第2の実施形態では、グランド線巻き付け工程を行う前に芯線接続工程を行うと、芯線26A、26Bの配列ピッチ、すなわち絶縁体27A、27Bの配列ピッチが固定されるため、均一な巻き付けがより容易となる。
また、複数の芯線と、複数のグランド線または複数のグランド線分岐部とがそれぞれ対をなしている場合に、対ごとに、芯線接続工程およびグランド線接続工程を繰り返してもよい。
【0064】
また、上記第2および第3の実施形態の説明では、絶縁体27A、27Bが互いに独立したチューブからなる場合の例で説明したが、絶縁体27A、27Bは導体層配置部では、互いに側部で接続され一体化され、端末処理工程において必要に応じて2本に分割してグランド線巻き付け部では分岐できるようにした構成としてもよい。
【0065】
また、上記の説明では、グランド線またはグランド線分岐部を線状に保って巻き付ける場合の例で説明したが、これらが撚り線で構成される場合に、中間部の撚りをほどいて帯状に拡がる導線群を形成して巻き付けてもよい。
【0066】
また、上記第1の実施形態の説明では、1組の芯線6、絶縁体7、およびグランド線8が導体層9内に挿通される電気ケーブル2の場合の例で説明したが、芯線6、絶縁体7、およびグランド線8を複数組備え、それぞれにより複数組のグランド線巻き付け部4を形成してもよい。
【0067】
また、上記第2、3の実施形態の説明では、芯線27A、27Bがツイストペアを構成する場合の例で説明したが、ツイストペアを構成しない複数の芯線に対して、同様のグランド線巻き付け部24、44を形成した構成としてもよい。
また、芯線の数は、3以上でもよい。
【0068】
また、上記の各実施形態で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
例えば、上記第1の実施形態において、芯線6、絶縁体7、およびグランド線8をそれぞれ複数設けておき、グランド線巻き付け部4が複数形成される構成としてもよい。
また、グランド線巻き付け部を3以上有する構成としてもよく、この場合、上記第1〜第3の実施形態のグランド巻き付け部を適宜組み合わせた構成としてもよい。
また、グランド線から複数のグランド線分岐部を形成する場合に、1つの絶縁体に対して複数のグランド線分岐部を巻き付けてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、21、41 プリント基板(被接続体)
2、22、42 電気ケーブル
3、23、43 導体層配置部
4、24、44 グランド線巻き付け部
5、25A、25B 芯線接続部
6、26A、26B 芯線
7、27A、27B 絶縁体
8、28 グランド線
9、29 導体層
10、30 被覆部材
11、31A、31B 芯線接続端子
12、52 グランド線接続端子
13、33、53 グランド線接続部
28a、28b グランド線分岐部(グランド線)
、C 被覆電線
p 巻き付けピッチ
S1 端部処理工程
S2 グランド線巻き付け工程
S3 芯線接続工程
S4 グランド線接続工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線およびグランド線を有する電気ケーブルを、前記芯線を接続する芯線接続端子および前記グランド線を接地するグランド線接続端子が設けられた被接続体に接続した電気ケーブルの接続構造であって、
前記芯線を被覆する絶縁体、該絶縁体の周りに配置された導体層、該導体層の周りに配置された被覆部材、および前記導体層に電気的に接続された前記グランド線を有する導体層配置部と、
該導体層配置部の端部から前記絶縁体および前記グランド線が露出され、前記導体層配置部の端部から露出された前記絶縁体の外周に、前記導体層配置部の端部から露出された前記グランド線が巻き付けられたグランド線巻き付け部と、
該グランド線巻き付け部に巻き付けられた前記グランド線の端部を前記グランド線接続端子に接続したグランド線接続部と、
前記グランド線巻き付け部における前記絶縁体の端部から前記芯線を露出し前記芯線接続端子に接続した芯線接続部と、
を備えることを特徴とする電気ケーブルの接続構造。
【請求項2】
前記グランド線巻き付け部において、前記グランド線が前記絶縁体の外周に均一ピッチで巻きつけられた
ことを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブルの接続構造。
【請求項3】
前記グランド線巻き付け部は、前記導体層配置部の端部から、複数の前記芯線をそれぞれ被覆する複数の前記絶縁体が露出され、該複数の前記絶縁体をひとまとめにしてその周りに前記グランド線が巻き付けられた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気ケーブルの接続構造。
【請求項4】
前記電気ケーブルの前記グランド線は、分岐可能な導体からなり、
前記グランド線巻き付け部は、前記導体層配置部の端部から、複数の前記芯線をそれぞれ被覆する複数の前記絶縁体が露出され、該複数の前記絶縁体のそれぞれの外周に、前記グランド線が分岐されたグランド線分岐部が巻き付けられた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気ケーブルの接続構造。
【請求項5】
芯線およびグランド線を有する電気ケーブルを、前記芯線を接続する芯線接続端子および前記グランド線を接地するグランド線接続端子が設けられた被接続体に接続する電気ケーブルの接続構造形成方法であって、
前記芯線を被覆する絶縁体、該絶縁体の周りに配置された導体層、該導体層の周りに配置された被覆部材、および前記導体層に電気的に接続された前記グランド線を有する前記電気ケーブルの端部において、前記導体層および前記被覆部材を除去することにより、前記絶縁体および前記グランド線を露出させ、さらに、前記絶縁体の端部を除去して前記絶縁体から前記芯線を露出させる端部処理工程と、
前記端部処理工程において前記絶縁体から露出された前記芯線を、前記芯線接続端子に接続する芯線接続工程と、
前記端部処理工程と前記芯線接続工程との間、または前記芯線接続工程の後に、前記電気ケーブルの端部において露出された前記絶縁体の外周に、前記電気ケーブルの端部において露出された前記グランド線を巻き付けるグランド線巻き付け工程と、
該グランド線巻き付け工程において巻き付けた前記グランド線の端部を前記グランド線接続端子に接続するグランド線接続工程と、
を備えることを特徴とする電気ケーブルの接続構造形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21148(P2013−21148A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153645(P2011−153645)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】