説明

電気スタンドのセード

【課題】 直下照度を高くしながらも、小型化を実現する電気スタンドのセードを提供することである。
【解決手段】 セード本体17には、天板部25aと、この天板部25aの長手方向に直交する幅方向の両側に設けた補助部25bとからなる反射板25を備え、上記補助部25bは、天板部25aの幅方向端を通る鉛直線Nに対して、天板部25aの内方に折り曲げ、この補助部25bに放射された放射光が天板部25aに向かって反射する構成にした電気スタンドのセード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直下照度を高めた電気スタンドのセードに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気スタンドとして、例えば特許文献1のような電気スタンドが従来から知られているが、このような従来の電気スタンドについて、図7〜図9を用いて説明する。
図7に示す電気スタンド1は、アーム2の一端を台座3に固定するとともに、他端にセード本体4を固定している。このセード本体4は、その断面を半筒形状にし、セード本体4の描く円弧内すなわち内側に、光源5を固定している。このようにセード本体4の円弧内に光源5を固定することによって、光源5のほぼ全部を、図8に示すように、セード本体4で覆うようにしている。
なお、セード本体4の内面は、光源5から放射された放射光を反射する反射板としての機能も兼ね備えている。
また、アーム2は、回動部2a,2aを有しており、この回動部2a,2aが回動することで、セード本体4及び光源5の位置を調整することができる。このように構成される従来の電気スタンド1は、主に卓上で用いられ、光源5を照射対象に向けることで照射対象を明るく照らすことができる。
【特許文献1】特開平11−162213
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記電気スタンド1を卓上で用いた場合、光源5から放射された放射光は、図8に示すように、直接照射対象に到達する実線Xで示した光、セード本体4の天井面4aなどに反射してから照射対象Mに到達する実線Yで示した光、あるいは、セード本体4の側壁面4bに反射する点線Zで示した光がある。
ところが、壁面4bに向かって点線Z方向に照射された光は、照射対象Mから外れた方向へ反射するので、照射対象Mを照らす光にはならない。したがって、この点線Zで示した光は、照射対象Mを効率よく照らすというテーマの中では、エネルギーロスとなるとともに、そのエネルギーロスの分だけ、照度が低くなってしまう。
【0004】
そのために、従来の電気スタンド1では、光源5の直下に照射対象Mを位置させた場合、光源5から放射された放射光のうち、実線X,Yの軌跡をたどる放射光のみが有効となり、点線Zの軌跡をたどる放射光は、照射対象の照射に寄与しないものとなってしまう。言い換えれば、従来の電気スタンド1は、光源5の直下に対する照度、すなわち直下照度が低いため、小さなセード本体で狭い範囲を効率よく照射する目的を達成できないという問題があった。
【0005】
なお、直下照度を高めるために、反射板として機能するセード本体4の内側を凸凹形状にし、天井面4aで反射された光を効率よく照射対象Mに向かわせることが従来から知られている。しかし、上記のようにセード本体4の内面を凸凹形状にしたとしても、壁面4bに向かう放射光のロスを完全に防ぐことはできない。したがって、セード本体4の内側に凸凹を形成しただけでは、直下照度を高めるのに未だ不十分である。
【0006】
また、上記の問題に鑑み、図9に示すセード本体6のように、長手方向に直交する幅方向の曲率を大きくして、卓上に向かう放射光を、光源5の直下に集中させる手段がある。このように、セード本体6の曲率を大きくすれば、入射角と反射角との関係により、卓上と水平方向に向かう放射光を、光源5の直下に到達させ、放射光の散逸を低減するとともに、直下照度を高めることができる。
しかし、セード本体6の幅方向の曲率を大きくすれば、その分、セード本体6が幅方向に対して大型化してしまう。このように、セード本体6が大型化すれば、当該電気スタンド1を使用している者の頭にセード本体6が当たったり、あるいは視界を狭くしたりするので、使用者に、煩わしさを感じさせてしまうという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、直下照度を高くしながらも、小型化を実現する電気スタンドのセードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、セード本体には、天板部と、この天板部の長手方向に直交する幅方向の両側に設けた補助部とからなる反射板を備え、上記補助部は、天板部の幅方向端を通る鉛直線に対して、天板部の内方に折り曲げ、この補助部に照射された光が天板部に向かって反射する構成にした点に特徴を有する。
第2の発明は、天板部における幅方向の断面形状を円弧にした点に特徴を有する。
第3の発明は、セード本体先端に、長手方向にスライド可能なスライド板を設けた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1〜第3の発明によれば、光源から補助部に向かう放射光を天板部に反射させ、天板部で反射した放射光を直下に集中させるので、放射光の散逸を低減して、直下照度を高めることができる。
また、放射光を反射させる補助部が、天板部の幅方向端を通る鉛直線よりも、天板部の内方に折り曲げられているため、直下照度を高めても、高さ方向、幅方向どちらの幅も非常に小さくすることができる。このように、反射板の高さ及び幅を小さくすることができれば、電気スタンドの小型化を実現することができる。
【0010】
また、第3の発明によれば、セード本体先端に、長手方向にスライド可能なスライド板を設けたので、セード先端を、光源の先端近くまで位置させても、安全かつ確実に光源を取り外すことができる。
したがって、セードを幅方向に小型化することに加えて、長手方向にも小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図6を用いて、この実施形態の電気スタンドについて説明する。
図1に示すように、この実施形態の電気スタンドは、固定部材10を机等に挟むことで固定される。そして、固定部材10の上方には、連結部材11が設けられ、この連結部材11に、アーム12の一端が回動自在に連結されている。また、アーム12の他端には、連結部材13が回動自在に設けられ、この連結部材13に、アーム14の一端が回動自在に連結されている。そして、アーム14の他端には、支持部材15の一端が回動自在に連結されるとともに、支持部材15の他端に、カバー16を取り付けるとともに、このカバー16にセード本体17を組み付けている。なお、上記アーム12,14等によって、当該スタンドの脚部を構成するものである。また、この実施形態では、当該スタンドを、固定部材10を介して固定するようにしたが、この発明としては、例えば卓上に置くタイプのものでもよいこと当然である。
なお、図1中の符号Sはスプリングを内蔵した伸縮部材であり、連結部材11とアーム14との間に伸縮自在に介在している。
【0012】
図2は、図1中の点線部分をx方向から見た図であり、図3は、図2の状態から、カバー16及び、後述するスライド板27を取り外した状態を示すものである。図2及び図3に示すように、カバー16及びセード本体17内に、ソケット18を固定するとともに、このソケット18に、コネクター19bを差し込み、このコネクター19bと一体の光源19aを、セード本体17内に固定するようにしている。なお、この実施形態におけるコネクター19bは、その内部にインバーターを内蔵したものである。また、この光源19aを取り外すときには、光源19aを図2,3の左方向に引き抜くことで、光源19aと一体に構成されたコネクター19bを、ソケット18から抜くことができる。
【0013】
また、上記のように、コネクター19bをソケット18に差し込んだとき、上記コネクター19bとソケット18との間に、幅Lを保った溝20が形成される構成にしている。そして、この溝20は、セード本体17に直交する方向に円弧を描くようにしている。
【0014】
そして、セード本体17であって、ソケット18を固定した部分には、カバー16を設けているが、このカバー16は、その長手方向に直交する方向の断面形状を円弧状にしている。このようにしたカバー16は、コネクター19bとソケット18とを覆うものである。さらに、このカバー16には、図3からも明らかなように、長孔21を形成しているが、カバー16をセード本体17に取り付けた状態で、上記長孔21の長軸が、上記溝20と平行になる関係にしている。
【0015】
上記のようにしたカバー16の長孔21には、カバー16の外側から連結ピン22aを貫通させている。そして、この連結ピン22aには一対の挟持片22b,22cを設け、これら挟持片22b,22cで、カバー16を挟み込むとともに、連結ピン22aは、上記長孔21に沿って相対移動可能で、しかも、任意の位置で停止させられるようにしている。このようにした連結ピン22aは、前記した支持部材15を介して、当該スタンドの前記脚部に固定する。したがって、セード本体17は、上記脚部と相対的に回りながら、角度を自由に調整することができる。
【0016】
また、上記カバー16には孔23を形成しているが、この孔23には、回転体24を回転自在に嵌めている。そして、この回転体24は、頭部24aと、頭部24aから垂直に突出した後、頭部24aと水平方向に直角に折れ曲がった爪部24bとからなる。なお、頭部24aには、コイン溝24cが形成されている。上記のようにした爪部24bの長さは、前記溝20の幅Lよりも長くしている。したがって、爪部24bを溝20に沿って、その溝20にはめた状態から、回転体24を強制的に回せば、上記爪部24bが溝20の幅方向に回るとともに、その回転力で、コネクター19bをソケット18から抜くことができる。
【0017】
図4は、図2におけるIV―IV線断面図であるが、図4に示すように、上記セード本体17は、緩やかな円弧を描く天板部17aと、この天板部17aの両端から、この両端を通る鉛直線Nに対して内方に折り曲げた補助部17bとからなる。そして、天板部17aと補助部17bとで囲まれる範囲内に、光源19aが、ほぼ収容される構成にしている。
そして、セード本体17の内側には、反射板25が設けられている。この反射板25は、セード本体17と同様に、緩やかな円弧を描く天板部25aと、この天板部25aの両端から、この両端を通る鉛直線に対して内方に折り曲げた補助部25bとからなる。ただし、反射板25は、天板部17a及び補助部17bの内面に収容されるように、セード本体17の内面形状よりもわずかに小さく形成されている。なお、反射板25は、光源19aから放射された放射光を反射する素材からなるものであり、しかも、天板部25aには、凸凹26が形成されている。
【0018】
また、図3に示すように、セード本体17の長手方向先端側(図3中左側)であって、セード本体17の内側には、スライド板27が嵌め込まれている。このスライド板27は、コの字形であり、先端平面部27aと、先端平面部27aの両端部に対して直角にしたスライド支持部27bとからなる。そして、スライド支持部27bが、補助部17bの内側において長手方向にスライド可能な寸法関係を維持している。
なお、先端平面部27aの内側には、突部28を設け、図2の収納状態で、光源19aの先端を支持する構成にしている。したがって、光源19aは、通常、その後端側をソケット18に支持されるとともに、先端側を突部28に支持されている。
【0019】
次に、この実施形態の電気スタンドの作用について説明する。
いま、図示しない電源を入れると、図5に示すように、光源19aが光を放射するとともに、光源19aから放射された放射光は、光源19aの直下に位置する照射対象Mに、直接あるいは間接的に到達する。特に、光源19aから、水平方向に放射された放射光は、補助部25bにあたって、天板部25aに向かって反射する。そして、天板部25aに到達した放射光は、天板部25aで反射して照射対象Mに到達する。したがって、この実施形態の電気スタンドは、放射光の散逸を低減し、光源19aの直下に放射光を集中させるので、直下照度を高めることができる。
【0020】
なお、補助部25bの長さは、照射対象Mの範囲や、必要な直下照度に応じて任意に決めればよい。すなわち、補助部25bを長くすると、照射可能な範囲は狭くなるが、その分、散逸していた放射光を光源19aの直下に集中させることができるので、直下照度をより高めることができる。
そして、放射光を光源19aの直下に集中させるほど、この実施形態の電気スタンドは、従来の電気スタンドに比べて、より優位点が顕著となる。
つまり、図6に示すように、補助部25bを長くすると、光源19aから放射された放射光のうち、実線Zの軌跡をたどる放射光も、光源19aの直下に集中させることができる。
【0021】
このように、光源19aから、卓上側であって、照射対象Mから外れた方向に向かって放射された実線Zで表す放射光をも、光源19aの直下に集中させるためには、図6のように補助部25bを、内方に向かって、より延長させればよい。これに対して、点線で示すように、従来の電気スタンド1におけるセード6を用いて、放射光を直下に集中させるためには、セード6を高さ方向、幅方向どちらにも伸ばさなければならない。
このように、この実施形態の電気スタンドによれば、直下照度を高めつつも、従来に比べて、高さ方向、幅方向どちらにもコンパクトにすることができる。
なお、この実施形態においては、反射板25を、セード本体17とは別部材にして設けたが、セード本体17の内面を、光を反射する素材で形成して、セード本体17に反射板としての機能をもたせてもよい。この場合には、セード本体17と反射板25とが一体的に構成されたこととなる。
【0022】
また、高さ方向、幅方向どちらにも小型化を実現したこの実施形態の電気スタンドにおいては、光源19aと補助部25bとの間隔が小さいため、光源19aを指でつまんで、コネクター19bをソケット18から引き抜くことが難しくなる。
しかし、図3に示すように、この実施形態の電気スタンドにおいては、回転体24の爪部24bが、溝20に嵌っているので、コイン溝24cにコイン等を嵌め込んで回せば、爪部24bが間隔Lを広げるように作用する。したがって、回転体24を回転させれば、ソケット18から光源19a及びコネクター19bを簡単に抜くことができる。
【0023】
しかも、この実施形態においては、スライド板27が、長手方向にスライドするので、光源19aの先端と、先端平面部27aとの間隔が非常に小さい場合でも、光源19aが長手方向に抜ける際に、先端平面部27aが邪魔にならない。
したがって、セード先端を、光源の先端近くまで位置させても、安全かつ確実に光源の取り外しをすることができるとともに、セードを長手方向にも小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この実施形態における電気スタンドの全体図である。
【図2】図1の点線部分をx方向から見た斜視図である。
【図3】カバー及びスライド板を取り外した状態の斜視図である。
【図4】図2におけるIV―IV線断面図である。
【図5】この実施形態における放射光の軌跡を示す図である。
【図6】この実施形態の電気スタンドと従来の電気スタンドの放射光の軌跡を示す図である。
【図7】従来の電気スタンドの全体図である。
【図8】放射光の軌跡の一例を示す図である。
【図9】放射光の軌跡の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
17 セード本体
25a 天板部
25b 補助部
25 反射板
27 スライド板
N 鉛直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セード本体には、天板部と、この天板部の長手方向に直交する幅方向の両側に設けた補助部とからなる反射板を備え、上記補助部は、天板部の幅方向端を通る鉛直線に対して、天板部の内方に折り曲げ、この補助部に放射された放射光が天板部に向かって反射する構成にした電気スタンドのセード。
【請求項2】
上記天板部は、幅方向の断面形状を円弧にした請求項1記載の電気スタンドのセード。
【請求項3】
セード本体先端に、長手方向にスライド可能なスライド板を設けた請求項1又は2に記載の電気スタンドのセード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−194135(P2007−194135A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12943(P2006−12943)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(597024496)スワン電器株式会社 (4)